特許第6936741号(P6936741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6936741インターホンシステム及び集合住宅インターホンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936741
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】インターホンシステム及び集合住宅インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   H04M9/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-1401(P2018-1401)
(22)【出願日】2018年1月9日
(65)【公開番号】特開2019-121961(P2019-121961A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】住田 哲哉
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−114663(JP,A)
【文献】 特開2002−368888(JP,A)
【文献】 特開2017−192034(JP,A)
【文献】 特開2002−125059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24−7/26
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−11/10
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問者が居住者を呼び出すための玄関子機と、前記玄関子機から呼出操作を受けて居住者が応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、
前記玄関子機或いは居室親機は、クラウド上に配置されたサーバと通信する機能を有し、
前記サーバは、居住者が携行する第1の携帯電話の番号に訪問予定者が携行する第2の携帯電話の番号を関連付けた携帯番号テーブル記憶部を有する一方、
前記玄関子機及び前記第2の携帯電話の双方が近距離無線通信機能を備え、
前記第1の携帯電話は、前記玄関子機の操作による呼び出し先を前記居室親機から前記第1の携帯電話に変更する不在設定ボタンを有し、
前記不在設定ボタンのオン操作により、前記サーバから前記玄関子機或いは前記居室親機に不在モード移行信号が送信され、前記玄関子機の前記近距離無線通信機能が有効となり、
前記第2の携帯電話が前記玄関子機に翳されると、前記第2の携帯電話の番号が前記玄関子機に読み取られて前記サーバに通知され、
前記サーバは、前記第2の携帯電話の番号を受信したら、前記携帯番号テーブル記憶部の情報を基に前記第2の携帯電話に関連付けられている前記第1の携帯電話の呼び出しを実施し、前記呼び出しを受けた前記第1の携帯電話が応答操作されると、前記サーバを経由する前記第1の携帯電話と前記玄関子機との間の通信路を形成し、訪問者と特定の居住者との間で通話が可能となることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記玄関子機には訪問者を撮像するためのカメラが設けられており、
前記玄関子機或いは前記居室親機は、前記第1の携帯電話と前記玄関子機との間の通信路形成を受けて、前記カメラの撮像映像を前記第1の携帯電話に送信する映像送信部を有することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記居室親機は、玄関ドアの電気錠を解錠操作する電気錠制御部を有し、
前記玄関子機と通信路が形成されている状態の前記第1の携帯電話から所定の解錠操作がなされると、前記サーバから前記居室親機に解錠信号が送信されて、前記電気錠が解錠されることを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
集合住宅のエントランスに設置されて訪問者が住戸を選択して居住者を呼び出すための集合玄関機と、前記集合玄関機から呼出操作を受けて居住者が応答するための住戸親機と、前記集合玄関機と前記住戸親機との間の通信を制御する制御機とを有する集合住宅インターホンシステムであって、
前記制御機はクラウド上に配置されたサーバと通信する機能を有すると共に、
前記サーバは、居住者が携行する第1の携帯電話の番号に訪問予定者が携行する第2の携帯電話の番号を関連付けた携帯番号テーブル記憶部を有する一方、
前記集合玄関機及び前記第2の携帯電話の双方が近距離無線通信機能を備え、
前記第1の携帯電話は、前記集合玄関機の操作による呼び出し先を、前記住戸親機から前記第1の携帯電話に変更する不在設定ボタンを有し、
前記不在設定ボタンのオン操作により、前記サーバから前記制御機に不在モード移行信号が送信され、前記集合玄関機の前記近距離無線通信機能が有効となり、
前記第2の携帯電話が前記集合玄関機に翳されると、前記第2の携帯電話の番号が前記集合玄関機に読み取られて前記制御機を介して前記サーバに通知され、
前記サーバは、前記第2の携帯電話の番号を受信したら、前記携帯番号テーブル記憶部の情報を基に前記第2の携帯電話に関連付けられている前記第1の携帯電話の呼び出しを実施し、前記呼び出しを受けた前記第1の携帯電話が応答操作されると、前記サーバ及び前記制御機を経由する前記第1の携帯電話と前記集合玄関機との間の通信路を形成し、訪問者と特定の居住者との間で通話が可能となることを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記集合玄関機には訪問者を撮像するためのカメラが設けられており、
前記制御機は、前記第1の携帯電話と前記集合玄関機との間の通信路形成を受けて、前記カメラの撮像映像を前記第1の携帯電話に送信する映像送信部を有することを特徴とする請求項記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記制御機は、集合玄関ドアの電気錠を解錠操作する電気錠制御部を有し、
前記集合玄関機と通信路が形成されている状態の前記第1の携帯電話から所定の解錠操作がなされると、前記サーバから前記制御機に解錠信号が送信されて、前記電気錠が解錠されることを特徴とする請求項4又は5記載の集合住宅インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訪問者が居住者を呼び出して通話するためのインターホンシステムに関し、詳しくは複数人の居住者のうち特定の居住者を呼び出すことができるインターホンシステム及び集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より玄関に設置された玄関子機等からの呼び出しに対して、居住者が携行する携帯電話で応答することが可能なインターホンシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
このようなインターホンシステムでは、居住者が留守の時に訪問者があっても、玄関子機からの呼出信号が室内に設置された居室親機等を介して外出している居住者の携帯電話に送信され、玄関子機と携帯電話との間で通話が可能となり、訪問者と居住者の双方にとって利便性のよいシステムとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−174209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、訪問先の住戸には通常複数の居住者がおり、訪問者にとって会いたい人物がその中の特定の居住者である場合は、せっかく携帯電話で外出先から応答していただいても、設定された呼出先が訪問者にとって会いたい人物では無い場合は、通話できても訪問の目的を達成できなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、訪問者が玄関子機等の玄関に設置された機器を介して訪問対象の特定の居住者を呼び出して通話することができるインターホンシステム及び集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、訪問者が居住者を呼び出すための玄関子機と、玄関子機から呼出操作を受けて居住者が応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、玄関子機或いは居室親機は、クラウド上に配置されたサーバと通信する機能を有し、サーバは、居住者が携行する第1の携帯電話の番号に訪問予定者が携行する第2の携帯電話の番号を関連付けた携帯番号テーブル記憶部を有する一方、玄関子機及び第2の携帯電話の双方が近距離無線通信機能を備え、第1の携帯電話は、玄関子機の操作による呼び出し先を居室親機から第1の携帯電話に変更する不在設定ボタンを有し、不在設定ボタンのオン操作により、サーバから玄関子機或いは居室親機に不在モード移行信号が送信され、玄関子機の近距離無線通信機能が有効となり、第2の携帯電話が玄関子機に翳されると、第2の携帯電話の番号が玄関子機に読み取られてサーバに通知され、サーバは、第2の携帯電話の番号を受信したら、携帯番号テーブル記憶部の情報を基に第2の携帯電話に関連付けられている第1の携帯電話の呼び出しを実施し、呼び出しを受けた第1の携帯電話が応答操作されると、サーバを経由する第1の携帯電話と玄関子機との間の通信路を形成し、訪問者と特定の居住者との間で通話が可能となることを特徴とする。
この構成によれば、訪問者は玄関子機から居住者の中の特定の人物を直接呼び出しできるため、最初に不特定の応答者が対応する問題が発生しない。また、呼出対象の居住者は訪問者に携帯電話の番号等を教える必要がないため、セキュリティ上の問題も発生しない。加えて、不在設定し忘れて出かけても、外出先から不在設定して玄関子機からの呼出先を携帯電話に変更できるため、便利である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、玄関子機には訪問者を撮像するためのカメラが設けられており、玄関子機或いは居室親機は、第1の携帯電話と玄関子機との間の通信路形成を受けて、カメラの撮像映像を第1の携帯電話に送信する映像送信部を有することを特徴とする。
この構成によれば、居住者は訪問者と通話する際に訪問者の映像を見ながら通話でき、安心して通話できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、居室親機は、玄関ドアの電気錠を解錠操作する電気錠制御部を有し、玄関子機と通信路が形成されている状態の第1の携帯電話から所定の解錠操作がなされると、サーバから居室親機に解錠信号が送信されて、電気錠が解錠されることを特徴とする。
この構成によれば、居住者は自身が携行する第1の携帯電話を操作して玄関ドアを解錠できるため、外出先から玄関ドアの解錠を行うことができ、例えば子供が帰宅した場合等便利である。
【0010】
請求項の発明は、集合住宅のエントランスに設置されて訪問者が住戸を選択して居住者を呼び出すための集合玄関機と、集合玄関機から呼出操作を受けて居住者が応答するための住戸親機と、集合玄関機と住戸親機との間の通信を制御する制御機とを有する集合住宅インターホンシステムであって、制御機はクラウド上に配置されたサーバと通信する機能を有すると共に、サーバは、居住者が携行する第1の携帯電話の番号に訪問予定者が携行する第2の携帯電話の番号を関連付けた携帯番号テーブル記憶部を有する一方、集合玄関機及び第2の携帯電話の双方が近距離無線通信機能を備え、第1の携帯電話は、集合玄関機の操作による呼び出し先を、住戸親機から第1の携帯電話に変更する不在設定ボタンを有し、不在設定ボタンのオン操作により、サーバから制御機に不在モード移行信号が送信され、集合玄関機の近距離無線通信機能が有効となり、第2の携帯電話が集合玄関機に翳されると、第2の携帯電話の番号が集合玄関機に読み取られて制御機を介してサーバに通知され、サーバは、第2の携帯電話の番号を受信したら、携帯番号テーブル記憶部の情報を基に第2の携帯電話に関連付けられている第1の携帯電話の呼び出しを実施し、呼び出しを受けた第1の携帯電話が応答操作されると、サーバ及び制御機を経由する第1の携帯電話と集合玄関機との間の通信路を形成し、訪問者と特定の居住者との間で通話が可能となることを特徴とする。
この構成によれば、訪問者は集合玄関機から居住者の中の特定の人物を直接呼び出しできるため、最初に不特定の応答者が対応する問題が発生しない。また、呼出対象の居住者
は訪問者に携帯電話の番号等を教える必要がなくセキュリティを維持できる。
更に、制御機がサーバと通信するため、各居室親機等にサーバ通信部を設ける必要がない。加えて、不在設定し忘れて出かけても、外出先から不在設定して集合玄関機からの呼出先を携帯電話に変更できるため、便利である。
【0011】
請求項の発明は、請求項に記載の構成において、集合玄関機には訪問者を撮像するためのカメラが設けられており、制御機は、第1の携帯電話と玄関子機との間の通信路形成を受けて、カメラの撮像映像を第1の携帯電話に送信する映像送信部を有することを特徴とする。
この構成によれば、居住者は訪問者と通話する際に訪問者の映像を見ながら通話でき、安心して通話できる。
【0012】
請求項の発明は、請求項4又は5に記載の構成において、制御機は、集合玄関ドアの電気錠を解錠操作する電気錠制御部を有し、集合玄関機と通信路が形成されている状態の第1の携帯電話から所定の解錠操作がなされると、サーバから制御機に解錠信号が送信されて、電気錠が解錠されることを特徴とする。
この構成によれば、居住者は自身が携行する第1の携帯電話を操作して集合玄関ドアを解錠できるため、外出先から集合玄関ドアを解錠することができ、例えば子供が帰宅した場合等便利である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、訪問者は玄関子機或いは集合玄関機から居住者の中の特定の人物を直接呼び出しできる。よって、最初に不特定の応答者が対応する問題が発生しない。また、呼出対象の居住者は訪問者に携帯電話の番号等を教える必要がないため、セキュリティ上の問題も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図である。
図2】玄関子機の機能ブロック図である。
図3】居室親機の機能ブロック図である。
図4】サーバの機能ブロック図である。
図5】集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図である。
図6】集合玄関機の機能ブロック図である。
図7】住戸親機の機能ブロック図である。
図8】制御機の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す構成図であり、戸建住宅に設置されるインターホンシステムを示している。図1において、1は訪問者が居住者を呼び出すために玄関に設置された玄関子機、2は居住者が訪問者の呼び出しに応答するために居室に設置された居室親機、3は後述する携帯電話とインターホン機器との間の通信を管理するサーバ、4は玄関ドアD1に設けられた電気錠、M1は居住者が携行する携帯電話(第1の携帯電話)、M2は訪問者が携行する携帯電話(第2の携帯電話)、Cは携帯電話通信網及びインターネット網を含むクラウドである。尚、Hは訪問者を示している。また、玄関子機1と居室親機2との組み合わせを便宜上「インターホン機器」として説明する。
【0017】
玄関子機1と居室親機2とは伝送線L1で接続され、電気錠4は制御線L2で居室親機2に接続されている。また、サーバ3はクラウドC上に配置されて、居室親機2がこのサーバ3と通信を実施するよう構成されている。
【0018】
図2は玄関子機1の機能ブロック図を示している。玄関子機1は図2に示すように、訪問者Hを撮像するためのカメラ11、マイク12a及びスピーカ12bを備えた通話部12、呼出ボタン13、近距離通信部14、玄関子機1を制御する子機CPU15、居室親機2と通信する子機通信IF16等を備えている。近距離通信部14は、例えばBluetooth(登録商標)、NFC(登録商標)等である。
【0019】
図3は居室親機2の機能ブロック図を示している。居室親機2は図3に示すように、玄関子機1のカメラ11の撮像映像の表示に加えて各種情報を表示する表示部21、各種設定操作を行う操作部22、呼び出しを受けて応答するための通話ボタン23、電気錠4を解錠操作する解錠ボタン24、マイク25a及びスピーカ25bを備えた通話部25、居室親機2を制御する親機CPU26、サーバ3と通信するための外部通信IF27、玄関子機1と通信する親機通信IF28、電気錠4を制御する電気錠制御部29等を備えている。
操作部22には不在設定部があり、不在設定されるとインターホン機器が不在モードに移行する。不在モードに移行すると、玄関子機1の近距離通信部14がオン状態となり、この近距離通信機能を利用して玄関子機1から居住者が携行する第1の携帯電話M1の呼び出しが可能となる。
【0020】
図4はサーバ3の機能ブロック図を示している。サーバ3は図4に示すように、携帯電話同士を関連付けした情報を記憶する携帯番号テーブル記憶部31、インターホン機器と携帯電話の間の通信を制御するサーバCPU32、クラウドCを介して居室親機2等と通信するサーバ通信IF33等を備えている。
携帯番号テーブル記憶部31には、居住者が携行する第1の携帯電話M1の電話番号に訪問者Hが携行する第2の携帯電話M2の電話番号を関連付けた情報が居室親機2のID情報と共に登録されており、第2の携帯電話M2の番号情報を居室親機2から受信したら、関連付けられている第1の携帯電話M1の呼出制御を実施する。そして、応答操作を受けたら、サーバ3を介した居室親機2と第1の携帯電話M1の間での音声や映像の送受を実施するための通信路の形成制御を実施する。
【0021】
尚、サーバ3への登録は電話番号で実施されるが、サーバ3による通信路形成制御は、サーバ3が電話番号管理サーバ(図示せず)に問い合わせて入手したIPアドレスにより実施される。また、携帯番号テーブル記憶部31には、予め第1の携帯電話M1の電話番号に居室親機2のIDが紐づけされて登録されており、第2の携帯電話M2の電話番号の登録は、居住者が第1の携帯電話M1等を操作して行われる。また、サーバ3の携帯番号テーブル記憶部31には、複数の住戸の情報が一括管理されている。
【0022】
第1の携帯電話M1及び第2の携帯電話M2は、例えばスマートフォンが使用される。この場合、第1の携帯電話M1は、サーバ3と通信するための所定のアプリケーションソフトウェアがインストールされて使用され、玄関子機1の近距離通信部14を能動状態とする不在モードにインターホンシステムを設定する不在設定ボタン、玄関ドアD1の電気錠4を解錠する解錠ボタンを備えた構成となる。
また、第2の携帯電話M2は、玄関子機1の近距離通信部14と通信を可能とする近距離通信機能を備えている。
【0023】
このように構成されたインターホンシステムは以下のように動作する。ただし、玄関子機1からの呼び出しを受けて居室親機2で応答する動作は従来と同様であるため説明を省略し、居住者が携行する第1の携帯電話M1で応答する動作を説明する。
インターホン機器が不在モードに設定されて、玄関子機1の近距離通信部14がオン状態にある場合、訪問者Hが携行する第2の携帯電話M2の短距離通信部(図示せず)を能動状態にしてこの玄関子機1に翳すと、例えばBluetooth(登録商標)により玄関子機1に送信される。こうして読み取られた第2の携帯電話M2の電話番号情報は、子機CPU15の制御により居室親機2に送信される。
電話番号情報が送信された居室親機2では、親機CPU26の制御によりクラウドC上のサーバ3へ電話番号情報が通知(送信)され、サーバ3から応答を待つ。尚、サーバ3へ送信される電話番号情報には、居室親機IDの情報が追加されて送信される。
【0024】
第2の携帯電話M2の電話番号情報を受信したサーバ3では、サーバCPU32が携帯番号テーブル記憶部31を参照して、受信した第2の携帯電話M2に関連付けられている第1の携帯電話M1を探し、該当する電話番号があれば、その第1の携帯電話M1の呼び出しを実施する。
こうして呼び出された第1の携帯電話M1を携行している人物(訪問先の居住者)が応答操作すると、応答信号がサーバ3へ送信され、応答信号を受けたサーバCPU32は居室親機2に対して許可信号を送信し、第1の携帯電話M1と居室親機2との間の通信路を確保する。
【0025】
一方、サーバ3から許可信号を受信した居室親機2では、親機CPU26の制御により玄関子機1と居室親機2の間の通信路を形成する。結果、玄関子機1と第1の携帯電話M1との間の通信路が形成される。また許可信号を受信した親機CPU26は、更に玄関子機1のカメラ11を起動してその撮像映像を、形成した通信路を介して第1の携帯電話M1へ送信させる。
この結果、玄関子機1と第1の携帯電話M1との間で音声の送受及び映像の送受が可能となり、訪問者Hの映像が第1の携帯電話M1に表示され、居住者は訪問者Hの映像を見ながら通話が可能となる。
【0026】
このように、訪問者Hは自身が携行する携帯電話(第2の携帯電話M2)を玄関子機1に翳すことで、玄関子機1から訪問者Hに関連付けられている居住者の中の特定の人物を直接呼び出しできるため、最初に不特定の応答者が対応する問題が発生しない。また、呼出対象の居住者は、訪問者Hに携帯電話(第1の携帯電話M1)の番号等を教える必要がないため、セキュリティ上の問題も発生しない。
更に、居住者は訪問者Hの映像を見ながら訪問者と通話できるため、訪問者を確認でき安心して通話できる。
【0027】
ただし、第2の携帯電話M2を玄関子機1に翳す上記呼出操作は、予め訪問者Hが訪問先住戸のインターホン機器が不在モード状態にあることを認識していることを前提としており、不在モードに設定されていることを認識していない場合は以下のようである。
訪問者Hは、まず従来通り呼出ボタン13を押下するが、この操作を受けて不在モード状態にある親機CPU26は、予め設定されているメッセージ音声を玄関子機1のスピーカ12bから報音させる。例えば、「携帯電話を翳してください」のメッセージが報音される。
【0028】
このメッセージを受けて、訪問者Hにより自身が携行している携帯電話(第2の携帯電話M2)が玄関子機1に翳されると、近距離通信部14が例えばBluetooth(登録商標)により電話番号情報を受信して、子機CPU15の制御により居室親機2へ送信される。その後の動作は上述した流れと同様である。
【0029】
尚、サーバ3の携帯番号テーブル記憶部31に、送信された第2の携帯電話M2の電話番号に関連付けられている第1の携帯電話M1が無ければ、その時点でサーバ3は制御を終了する。また、関連付けられている第1の携帯電話M1が登録されていても、第2の携帯電話M2の電話番号情報と共に送信された居室親機IDの情報が登録されている情報と異なっていれば、異なる住戸の居住者であるため、その時点で制御は終了される。
【0030】
そして、この不在モードへ移行させる操作は、第1の携帯電話M1からでも実施できる。具体的に、第1の携帯電話M1の所定の操作でサーバ3を呼び出し、その後不在設定ボタン(図示せず)を表示させて設定操作する。この操作で、不在モード移行信号がサーバ3に送信され、サーバCPU32により不在モード移行信号送信元の第1の携帯電話M1に関連付けられている居室親機2に不在モード移行信号が送信される。この信号を受信した居室親機2では、親機CPU26がインターホン機器を不在モードに移行させ、玄関子機1の近距離通信部14をオンさせる。
このように、インターホン機器を不在設定し忘れても、第1の携帯電話M1の操作でインターホン機器を不在モードに移行させて、近距離通信部14を使用して居住者の呼び出しができ便利である。
【0031】
更に、応答した居住者が通話により玄関ドアD1の電気錠4を解錠すべきであると判断したら、第1の携帯電話M1の操作で解錠操作が可能であり、所定の操作で第1の携帯電話M1に解錠ボタン(図示せず)を表示させて、解錠操作が成されると解錠信号が生成されてサーバ3を経由して居室親機2に送信される。
この解錠信号を受けた居室親機2では、親機CPU26が玄関ドアD1の電気錠4の解錠操作を実施し、玄関ドアD1が解錠される。
【0032】
こうして、居住者は自身が携行する第1の携帯電話M1を操作して玄関ドアD1を解錠できるため、外出先から玄関ドアD1の解錠を行うことができ、子供が帰宅した場合等便利である。
尚、上記実施形態では居室親機2にサーバ3と通信する機能を設けたが、玄関子機1にその機能を設けても良い。
【0033】
図5は集合住宅インターホンシステムの一例を示している。図5において、6はエントランスに設置されて訪問者Hが住戸を選択して居住者を呼び出すための集合玄関機、7は集合住宅の個々の住戸に設置されて居住者が呼び出しに応答するための住戸親機、8は集合玄関機6と住戸親機7との間の通信を制御する制御機、D2はエントランスに設置されて居住エリアに進む際に通過する集合玄関ドア、4aはその電気錠である。尚、上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付与して説明を省略する。
【0034】
集合玄関機6は伝送線L11を介して制御機8に接続され、住戸親機7は親機幹線L12により制御機8に接続されている。また、電気錠4aは制御線L13を介して制御機8に接続されている。更に制御機8は、クラウドC上のサーバ3と通信を実施するよう構成されている。
【0035】
図6は集合玄関機6の機能ブロック図を示している。集合玄関機6は図6に示すように、訪問者Hを撮像するカメラ61、訪問先の住戸を選択する操作部62、マイク63a及びスピーカ63bを備えた通話部63、近距離通信部64、集合玄関機6を制御する集合玄関機CPU65、制御機8と通信する集合玄関機通信IF66等を備えている。近距離通信部64は上記玄関子機1と同様に、例えばBluetooth(登録商標)、NFC(登録商標)等が使用される。
【0036】
図7は住戸親機7の機能ブロック図を示している。住戸親機7は図7に示すように、集合玄関機6のカメラ61の撮像映像の表示に加えて各種情報を表示する表示部71、各種設定操作を行う操作部72、呼び出しを受けて応答操作する通話ボタン73、マイク74a及びスピーカ74bを備えた通話部74、集合玄関ドアD2の電気錠4aを解錠する解錠ボタン75、住戸親機7を制御する親機CPU76、制御機8と通信する親機通信IF77等を備えている。
操作部72には不在設定部があり、不在設定されると住戸親機7が不在モードに移行し、集合玄関機6からの呼び出しを居住者の携帯電話(第1の携帯電話M1)へ通知する制御が可能となる。
【0037】
図8は制御機8の機能ブロック図を示している。制御機8は図8に示すように、住戸番号と住戸親機IDを関連付けた住戸親機テーブルに加えて個々の住戸親機7の状態(不在設定の有無)を記憶する記憶部81、集合玄関機6と住戸親機7の間の通信及びサーバ3との通信を制御する制御機CPU82、集合玄関機6及び住戸親機7と通信する制御機通信IF83、クラウドCを介してサーバ3と通信する外部通信IF84、集合玄関ドアD2の電気錠4aを制御する電気錠制御部85等を備えている。
【0038】
このように構成されたインターホンシステムの動作は以下のようである。ただし、集合玄関機6の呼出操作を受けて住戸親機7で応答する動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは住戸親機7が不在設定されて、集合玄関機6からの呼び出しが居住者の携帯電話(第1の携帯電話M1)へ転送される動作を中心に説明する。
訪問者Hが集合玄関機6を操作して訪問先の住戸の呼び出しを行うと、呼出先の住戸親機7は不在設定されて不在モード状態にあることで、親機CPU76が予め記憶しているメッセージを集合玄関機6に送信してスピーカ63bから報音させ、訪問者Hに不在設定されていることを通知する。こうして集合玄関機6では、例えば、「携帯電話を翳してください」のメッセージが報音される。
【0039】
尚、住戸親機7が不在設定されたら、集合玄関機6からの呼び出しは制御機8で対応させても良く、その場合は制御機CPU82の制御でメッセージが集合玄関機6から報音される。
【0040】
メッセージの報音を受けて、訪問者Hが携行する携帯電話(第2の携帯電話M2)が集合玄関機6に翳されると、第2の携帯電話M2の近距離通信機能により電話番号情報が送信され、集合玄関機CPU65の制御により、集合玄関機6の近距離通信部64が読み取り、制御機8に送信される。
住戸親機7が不在設定されていることを認識している制御機8は、集合玄関機6から送信された電話番号情報を受けて、制御機CPU82の制御によりクラウドC上のサーバ3へ呼出先の住戸親機7のID情報を含む電話番号情報が通知(送信)され、サーバ3から応答を待つ。
【0041】
第2の携帯電話M2の電話番号情報を受けたサーバ3では、サーバCPU32が携帯番号テーブル記憶部31を参照して、受信した第2の携帯電話M2に関連付けられている第1の携帯電話M1を探し、該当する第1の携帯電話M1があれば呼び出しを実施する。
こうして呼び出された第1の携帯電話M1を携行している人物(訪問先の居住者)が応答操作すると、応答信号がサーバ3へ送信され、応答信号を受けたサーバCPU32は制御機8に対して許可信号を送信し、第1の携帯電話M1と制御機8との間の通信路を確保する。
【0042】
一方、サーバ3から許可信号を受けた制御機8は、制御機CPU82の制御により集合玄関機6とサーバ3との間の通信路を形成する。結果、集合玄関機6と第1の携帯電話M1との間の通信路が形成される。また、許可信号を受信した制御機CPU82は、集合玄関機6のカメラ61を起動してその撮像映像を、形成した通信路を介して第1の携帯電話M1へ送信させる。
この結果、集合玄関機6と第1の携帯電話M1との間で通信路が形成されると共に、訪問者Hの映像が第1の携帯電話M1に表示され、居住者は訪問者Hの映像を見ながらの通話が可能となる。
【0043】
このように、訪問者Hは自身が携行する携帯電話(第2の携帯電話M2)を集合玄関機6に翳すことで、訪問者Hに関連付けられている居住者の中の特定の人物を直接呼び出しできるため、最初に不特定の応答者が対応する問題が発生しない。また、呼出対象の居住者は訪問者に携帯電話(第1の携帯電話M1)の番号等を教える必要がなくセキュリティ上の問題も発生しない。
また、制御機8がサーバ3と通信するため、各住戸親機7等にサーバ通信部を設ける必要がないし、居住者は訪問者Hと通話する際に訪問者Hの映像を見ながら通話でき、安心して通話できる。
【0044】
尚、上記インターホンシステムと同様に、サーバ3の携帯番号テーブル記憶部31に、送信された第2の携帯電話M2の電話番号に関連付けられている第1の携帯電話M1が無ければ、その時点でサーバ3は制御を終了する。また、関連付けられている第1の携帯電話M1が登録されていても、第2の携帯電話M2の電話番号情報と共に送信された住戸親機IDの情報が登録されている情報と異なっていれば、訪問先とは異なる住戸の居住者であるため、その時点で制御は終了される。
【0045】
また、住戸親機7を不在モードへ移行させる操作も上記インターホン機器を不在モードへ移行させる操作と同様に第1の携帯電話M1からでも実施できる。第1の携帯電話M1の所定の操作で、不在モード移行信号がサーバ3を介して制御機8に送信され、この信号を受信した制御機CPU82が不在モード移行信号送信元の第1の携帯電話M1に関連付けられている住戸親機7を不在モードに移行させ、記憶部81にそれを登録する。
このように、住戸親機7を不在設定し忘れても、第1の携帯電話M1の操作で住戸親機7を不在モードに移行させることができ、集合玄関機6の近距離通信部64を活用でき便利である。
【0046】
また応答した居住者が、通話により集合玄関ドアD2の電気錠4aを解錠すべきであると判断したら、第1の携帯電話M1の操作で解錠操作が可能であり、所定の解錠操作が成されると解錠信号が生成されてサーバ3を経由して制御機8に送信される。
解錠信号を受けた制御機8では、制御機CPU82が集合玄関ドアD2の電気錠4aの解錠操作を実施し、集合玄関ドアD2が解錠される。
【0047】
そして、各住戸玄関に設置された玄関子機1は上記図2の玄関子機1であり、解錠された集合玄関ドアD2から居住エリアに入った訪問者Hは、引き続き訪問先住戸の玄関子機1に第2の携帯電話M2を翳すことで、上記実施形態に記載した如く第1の携帯電話M1を介して居住者と通話でき、必要に応じて住戸玄関の玄関ドアD1の電気錠が解錠される。
【0048】
こうして、居住者は自身が携行する第1の携帯電話M1を操作して集合玄関ドアD2を解錠できるため、外出先から集合玄関ドアD2の解錠を行うことができ、子供が帰宅した場合等便利である。
【0049】
尚、上記実施形態では、第2の携帯電話M2を玄関子機1或いは集合玄関機6に翳すことで呼び出される第1の携帯電話M1を1台として説明したが、呼び出される第1の携帯電話は複数であっても良く、訪問者Hが会いたい人物が二人等複数人の場合は、複数の第1の携帯電話M1を呼び出し、最初に応答した第1の携帯電話M1と通信路を形成すれば良い。
【符号の説明】
【0050】
1・・玄関子機、2・・居室親機、3・・サーバ、4,4a・・電気錠、6・・集合玄関機、7・・住戸親機、8・・制御機、11・・カメラ、14・・近距離通信部、26・・親機CPU(映像送信部)31・・携帯番号テーブル記憶部、32・・サーバCPU、61・・カメラ、64・・近距離通信部、82・・制御機CPU(映像送信部)、M1・・第1の携帯電話、M2・・第2の携帯電話、C・・クラウド、H・・訪問者。
図1
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