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特許6936791画像を投影面に投影するための自動車用投影方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936791
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】画像を投影面に投影するための自動車用投影方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20210909BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20210909BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20210909BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   B60Q1/50 Z
   G03B21/14 Z
   B60Q1/00 G
   H04N5/74 Z
【請求項の数】26
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-513638(P2018-513638)
(86)(22)【出願日】2016年9月13日
(65)【公表番号】特表2018-530467(P2018-530467A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016071596
(87)【国際公開番号】WO2017046105
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】1558592
(32)【優先日】2015年9月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ、モレル
(72)【発明者】
【氏名】アフィド、エル、イドリッシ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、ゾンマーシュー
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルボー
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−184428(JP,A)
【文献】 特表2010−536061(JP,A)
【文献】 特表2002−532795(JP,A)
【文献】 特開2015−123855(JP,A)
【文献】 特開2008−007079(JP,A)
【文献】 特開2009−105679(JP,A)
【文献】 特開2014−046838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
G03B 21/14
B60Q 1/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(V)のための投影方法(MTH)であり、少なくとも1の画像(Ip)を、投影面(S)上に、光束(Fx)を投影するために好適な光モジュール(ML)を用いて投影する投影方法(MTH)であって、
光モジュールを基準とする座標軸により表される光モジュール参照フレーム(RP)内の観察者(O)の観察位置(PosO1)を検出するステップと、
画像を基準とする座標軸により表される画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)を計算するステップと、
前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)にしたがって前記投影面(S)上に前記画像(Ip)を投影するステップであって、前記画像(Ip)が、前記光モジュール(ML)の前記光束(Fx)に統合されているステップと、
を備え、
前記画像(Ip)を投影するステップは、
前記光モジュール(ML)により照射された光による所定の強度値を有する点に関する情報である複数の強度インジケータ(pf)を含む、前記光モジュール(ML)の前記光束(Fx)の光強度マップ(CLUX)から、前記投影面(S)上の輝度マップ(CLUM)を計算して輝度(pl)を有する点(以下、輝度の大きさを用いて輝点(pl)と記載する)を算出するサブステップと、
前記画像参照フレーム(RI)におけるそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)を計算するサブステップと、
前記画像参照フレーム(RI)におけるそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)及び前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)から、前記画像(Ip)が投影される像平面(P1)上において、それぞれの前記輝点(pl)が投影(plr)される座標(ply,plz)を定義するサブステップと、
前記投影(plr)が投影される前記画像(Ip)に属する場合に、それぞれの前記輝点の前記投影面への前記投影に対応するピクセル(Pix)の座標(lig,col)を定義するサブステップと、
前記画像(Ip)に属している輝点(pl)のそれぞれの投影(plr)に対して、対応する前記ピクセル(Pix)の色(Co)にしたがって対応する前記強度インジケータ(pf)の強度値(Vi)を修正するサブステップと、
を備える投影方
【請求項2】
前記投影面(S)上の前記輝度マップ(CLUM)を計算するステップは、
前記投影面(S)上の前記強度インジケータ(pf)の位置(POSpf)の第1の計算を実行し、前記光束(Fx)を形成するそれぞれの光線と前記投影面(S)が交わる点であるインパクトポイント(pi)を算出するステップと、
前記インパクトポイント(pi)の照度マップ(CECL)の第2の計算を実行するステップと、
前記照度マップ(CECL)から前記インパクトポイント(pi)の前記輝度マップ(CLUM)の第3の計算を実行し、前記輝点(pl)を算出するステップと、
を備える、請求項1に記載の投影方
【請求項3】
前記第1の計算は、
前記光モジュール(ML)の位置(POSpj)と、
前記強度インジケータ(pf)の方向(dir1)と、
に基づく、請求項2に記載の投影方
【請求項4】
前記第2の計算は、
計算された前記強度インジケータ(pf)の位置(POSpf)と、
前記強度インジケータ(pf)の光強度(I(θ,δ))と、
前記光モジュール(ML)と前記インパクトポイント(pi)との距離(dist1)と、
に基づく、請求項2又は請求項3に記載の投影方
【請求項5】
投影される前記画像は、前記投影面の性質にしたがって計算される、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の投影方
【請求項6】
前記第3の計算は、
前記インパクトポイント(pi)の照度(E)と、
前記照度マップ(CECL)のインパクトポイント(pi)の前記位置と、前記観察者(O)の前記光モジュール参照フレーム(RP)における前記観察位置(PosO1)との間の位置ベクトル(Roeil)と、
光拡散関数(d)と、
に基づく、請求項1乃至請求項5のうち、請求項2乃至請求項4のいずれか1つとの組み合わせに記載の投影方
【請求項7】
前記輝点(pl)の投影(plr)の前記座標(ply,plz)を定義するステップは、
前記観察者(O)の前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察位置(PosO2)と、前記輝点(pl)の前記画像参照フレーム(RI)内の前記位置(PosL2)と、を通る直線と、
投影される前記画像(Ip)の前記像平面(P1)と、の交点(Int)を計算するサブステップと、
投影される前記画像(Ip)の寸法(L1,H1)から前記交点(Int)の座標(ply,plz)を決定するサブステップと、
を備える、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の投影方
【請求項8】
前記投影面(S)は、ランバート拡散器(Lambertian Diffuser)と考えられる、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の投影方
【請求項9】
前記投影面(S)は、地面又は壁である、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の投影方
【請求項10】
前記観察者(O)は、自動車(V)外にいる、又は、前記自動車(V)内に位置している、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の投影方
【請求項11】
前記画像は、前記光モジュール参照フレーム(RI)内では歪んで現れ、前記画像参照フレーム(RI)内では歪んでいない、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の投影方
【請求項12】
前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)の計算ステップ及び前記画像参照フレーム(RI)内の輝点(pl)の前記位置の計算ステップは、
前記光モジュール参照フレーム(RP)内に投影される前記画像(Ip)の位置(PosIp)と、
投影される前記画像(Ip)の回転(RotIp)と、
のうち少なくとも1つのパラメータを考慮に入れた、前記光モジュール参照フレーム(RP)から前記画像参照フレーム(RI)への変換のための少なくとも1つの変換行列(M)に基づく、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の投影方
【請求項13】
前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)の計算は、前記光モジュール参照フレーム(RP)内に投影される前記画像(Ip)の位置(PosIp)及び前記光モジュール参照フレーム(RP)内の投影される画像(Ip)の回転(RotIp)の関数であり、前記回転(RotIp)は、−90°よりも大きく0°以下である前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察位置(PosO2)を基準とした前記画像参照フレーム(RI)内のそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)への仰角(ε)の関数である、請求項12に記載の投影方
【請求項14】
前記画像参照フレーム(RI)内のそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)の計算は、前記光モジュール参照フレーム(RP)内に投影される前記画像(Ip)の位置(PosIp)及び前記光モジュール参照フレーム(RP)内の投影される前記画像(Ip)の前記回転(RotIp)の関数であり、前記回転(RotIp)は、−90°よりも大きく0°以下である前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察位置(PosO2)を基準とした前記画像参照フレーム(RI)内のそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)への仰角(ε)の関数である、請求項12又は請求項13に記載の投影方
【請求項15】
前記仰角(ε)は、0である、請求項13又は請求項14に記載の投影方
【請求項16】
前記仰角(ε)は、実質的に−35°に等しい、請求項13又は請求項14に記載の投影方
【請求項17】
投影される前記画像(Ip)の投影(plr)は、中心型である、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の投影方
【請求項18】
前記強度インジケータ(pf)の強度値(Vi)の修正は、
Viを修正された強度値、Vi0を前記光モジュール(ML)の前記強度インジケータ(pf)の前記強度値の初期値、Coを対応するピクセル(Pix)の色、σを最大オーバードライブ係数として、
Vi=σ.Vi0×Co/255
で実行される、請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の投影方
【請求項19】
前記強度インジケータ(pf)の強度値(Vi)の修正は、
Viを修正された強度値、φを輝度係数、Coを対応するピクセル(Pix)の色として、
Vi=φ.Co
で実行される、請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の投影方
【請求項20】
観察者(O)の前記光モジュール参照フレーム(RP)における前記観察位置(PosO1)は、カメラを用いて前記観察者(O)を検出し、計算される、請求項1乃至請求項19のいずれかに記載の投影方
【請求項21】
前記光強度マップ(CLUX)は、メモリに格納されている、請求項1乃至請求項20のいずれかに記載の投影方
【請求項22】
前記投影面(S)上に前記画像(Ip)を投影するステップはさらに、前記光モジュール(ML)を用いて、前記投影面(S)上に、前記強度インジケータ(pf)の修正された前記強度値(Vi)を有する前記光束(Fx)を投影するサブステップをさらに備える、請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の投影方
【請求項23】
処理ユニット(RP)と、光束(Fx)を投影するのに好適な光モジュール(Fx)と、を備える、自動車(V)用の照明装置(DISP)であって、
前記処理ユニット(PR)は、
光モジュールを基準とする座標軸により表される光モジュール参照フレーム(RP)内の観察者(O)の観察位置(PosO1)を検出し、
画像を基準とする座標軸により表される画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)を計算し、
前記照明装置(DISP)は、
前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)にしたがって投影面(S)上に前記画像(Ip)を投影し、前記画像(Ip)は、前記光モジュール(ML)の前記光束(Fx)に統合され、
前記投影面(S)上に前記画像(Ip)を投影するために、前記処理ユニット(PR)はさらに、
前記光モジュール(ML)により照射された光による所定の強度値を有する点に関する情報である複数の強度インジケータ(pf)を含む、前記光モジュール(ML)の前記光束(Fx)の光強度マップ(CLUX)から、前記投影面(S)上の輝度マップ(CLUM)を計算して輝度(pl)を有する点(以下、輝度の大きさを用いて輝点(pl)と記載する)を算出し、
前記画像参照フレーム(RI)内のそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)を計算し、
前記画像参照フレーム(RI)におけるそれぞれの前記輝点(pl)の位置(PosL2)及び前記画像参照フレーム(RI)内の前記観察者(O)の前記観察位置(PosO2)から、前記画像(Ip)が投影される像平面(P1)上において、それぞれの前記輝点(pl)が投影(plr)される座標(ply,plz)を定義し、
前記投影(plr)が投影される前記画像(Ip)に属する場合に、それぞれの前記輝点の前記投影面への前記投影に対応するピクセル(Pix)の座標(lig,col)を定義し、
前記画像(Ip)に属している輝点(pl)のそれぞれの投影(plr)に対して、対応する前記ピクセル(Pix)の色(Co)にしたがって対応する前記強度インジケータ(pf)の強度値(Vi)を修正する、
照明装
【請求項24】
前記投影面(S)上に前記画像(Ip)を投影するために、前記光モジュール(ML)は、前記強度インジケータ(pf)の修正された前記強度値(Vi)を有する前記光束(Fx)を前記投影面(S)上に投影する請求項23に記載の照明装
【請求項25】
前記照明装置は、ヘッドライト又はリアライトである、請求項23又は請求項24に記載の照明装置。
【請求項26】
請求項23乃至請求項25のいずれかに記載の照明装置を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールを用いた画像を投影面に投影するための自動車用投影方法に関する。
【0002】
自動車のヘッドライトのような照明装置において特に限定されるものではなく、特定の用途を見出す。
【背景技術】
【0003】
当業者に知られている少なくとも1つの画像を投影するための自動車用の投影方法は、自動車の運転手の車両の運転を支援するために、彼らに理解可能なグラフィックシンボルを高速道路等の投影面に投影することを含む。例えば、グラフィックシンボルは、超過すべきではない高速道路の速度制限であってもよく、又は、他の自動車との距離であってもよい。
【0004】
この先行技術の1つの欠点は、この方法が運転手にのみ適用されることである。
【0005】
このコンテキストにおいて、本発明は、光モジュールにより投影面に少なくとも1つの画像を投影するための自動車用の投影方法を提供することを目的とし、これは、自動車に対する観察者の観察する位置に関係することなく適用され、かつ、自動車外の観察者にも理解でき、又は、自動車内に位置する観察者にも理解できる画像を取得することを可能とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、自動車のための投影方法であり、少なくとも1の画像を投影面に光束を投影する好適な光モジュールの手段により投影する投影方法であって、
光モジュール参照フレーム内の観察者の観察位置を検出するステップと、
画像参照フレーム内の前記観察者の観察位置を計算するステップと、
画像参照フレーム内の前記観察者の前記観察位置にしたがった前記投影面上に前記画像を投射するステップであって、前記画像は、前記光モジュールの前記光束に統合されているステップと、
を備える。
【0007】
したがって、下記の詳細が見られるように、投影される画像の投影は、観察者の観察位置に依存し、光モジュールの光束内に導入される。このように、画像は、彼らが自動車の乗客であっても、自動車の外側にいても、観察者に可視であり、かつ、理解可能に作成される。
【0008】
非限定的ないくつかの実施形態によれば、この投影方法は、さらに、1又は複数の以下の追加の特徴を備える。非限定な1実施形態によれば、前記画像の前記投影ステップは、複数の強度インジケータを含む、前記光モジュールの光束の光強度マップから、投影面上の輝度マップを計算して輝点を算出するサブステップと、
前記画像参照フレーム内のそれぞれの輝点の位置を計算するサブステップと、
その位置及び前記画像参照フレーム内の前記観察者の前記観察位置から、投影される前記画像の前記画像面上のそれぞれの輝点の投影の座標を定義するサブステップと、
前記投影が投影される前記画像に属する場合に、対応する前記ピクセルの座標を定義するサブステップと、
投影される前記画像に属する輝点のそれぞれの投影に対して、対応する前記ピクセルの前記色にしたがった対応する前記強度インジケータの前記強度値を修正するサブステップと、
を備える。
【0009】
非限定的な1実施形態によれば、前記投影面上の前記輝度マップを計算するステップは、
前記投影面上の前記強度インジケータの前記位置の第1の計算を実行し、インパクトポイントを算出するステップと、
前記インパクトポイントの照度マップの第2の計算を実行するステップと、
前記照度マップから前記インパクトポイントの前記輝度マップの第3の計算を実行し、前記輝点を算出するステップと、
を備える。
【0010】
非限定的な1実施形態によれば、前記第1の計算は、
前記光モジュールの前記位置と、
前記強度インジケータの前記方向と、
に基づく。
【0011】
非限定的な1実施形態によれば、前記第2の計算は、
前記強度インジケータの計算された前記位置と、
前記強度インジケータの前記光強度と、
前記光モジュールと前記インパクトポイントとの間の前記距離と、
に基づく。
【0012】
非限定的な1実施形態によれば、投影される前記画像は、前記投影面の前記性質にしたがって計算される。
【0013】
非限定的な1実施形態によれば、前記第3の計算は、
前記インパクトポイントの前記照度と、
前記照度マップのインパクトポイントの前記位置と、前記観察者の前記位置との間の位置ベクトルと、
光拡散関数と、
に基づく。
【0014】
非限定的な1実施形態によれば、前記観察者の前記観察位置の計算ステップ及び前記画像参照フレーム内の輝点の前記位置の計算ステップは、
前記光モジュール参照フレーム内に投影される前記画像の前記位置と、
投影される前記画像の回転と、
のうち少なくとも1つのパラメータを考慮に入れた前記光モジュール参照フレームから前記画像参照フレームへの変換のための少なくとも1つの変換行列に基づく。
【0015】
非限定的な1実施形態によれば、輝点の投影の前記座標を定義するステップは、
前記観察者の前記画像参照フレーム内の前記観察位置と、前記輝点の前記画像参照フレーム内の前記位置と、を通る直線と、
投影される前記画像の前記像平面と、の前記交点を計算するサブステップと、
投影される前記画像の寸法から前記交点の前記座標を決定するサブステップと、
を備える。
【0016】
非限定的な1実施形態によれば、前記画像面はランバート拡散器であると考えられる。
【0017】
非限定的な1実施形態によれば、前記投影面は、地面又は壁である。
【0018】
非限定的な1実施形態によれば、前記観察者は前記自動車外にいる、又は、前記自動車内に位置している。
【0019】
非限定的な1実施形態によれば、前記画像は前記光モジュール参照フレームでは歪んで現れ、前記画像参照フレームでは歪んでいないように見える。
【0020】
非限定的な1実施形態によれば、前記画像参照フレーム内の前記観察者の前記観察位置の計算は、前記位置及び前記光モジュール参照フレーム内の投影される画像の回転の関数であり、前記回転は、−90°よりも大きく0°以下である仰角の関数である。
【0021】
非限定的な1実施形態によれば、前記画像参照フレーム内のそれぞれの輝点の前記観測位置の計算は、前記位置及び前記光モジュール参照フレーム内の投影される前記画像の前記回転の関数であり、前記回転は、−90°よりも大きく0°以下である仰角の関数である。
【0022】
非限定的な1実施形態によれば、前記仰角は0である。
【0023】
非限定的な1実施形態によれば、前記仰角は−35°である。
【0024】
非限定的な1実施形態によれば、投影される前記画像の前記像平面上のそれぞれの輝点の投影は、中心であり、円錐状の視点効果を生じさせる。
【0025】
非限定的な1実施形態によれば、前記強度インジケータの強度値の修正は、Viを修正された強度値、Vi0を前記光モジュールの前記強度インジケータの前記初期強度値、Coを対応するピクセルの色、σを最大オーバードライブ係数として、
Vi=σ.Vi0×Co/255
で実行される。
【0026】
非限定的な1実施形態によれば、強度インジケータの強度値の修正は、Viを修正された強度値、φを輝度係数、Coを対応するピクセルの色として、
Vi=φ.Co
で実行される。
【0027】
非限定的な1実施形態によれば、観察者の前記観察位置は、カメラを用いて計算される。
【0028】
非限定的な1実施形態によれば、前記光強度マップは、メモリに格納されている。
【0029】
非限定的な1実施形態によれば、前記投影面上に前記画像を投影するステップはさらに、前記光モジュールを用いて、前記強度インジケータの修正された前記強度値を有する前記光束を前記投影面上に投影するサブステップをさらに備える。
【0030】
処理ユニットと、光束を投影することに適した光モジュールと、を備える、自動車用の照明装置であって、
前記処理ユニットは、
光モジュール参照フレーム内の観察者の観察位置を検出し、
画像参照フレーム内の前記観察者の前記観察位置を計算する、
ことに適しており、
前記照明装置は、
前記画像参照フレーム内の前記観察者の前記観察位置にしたがった前記投影面上に前記画像を投影することに適しており、前記画像は、前記光モジュールの前記光束に統合されている、
照明装置がまた提供される。
【0031】
非限定的な1実施形態によれば、前記投影面上に前記画像を投影するために、前記処理ユニットはさらに、
複数の強度インジケータを含む、前記光モジュールの前記光束の光強度マップから、前記投影面上の輝度マップを計算して輝点を算出し、
前記画像参照フレーム内のそれぞれの輝点の前記位置を計算し、
前記位置及び前記画像参照フレーム内の前記観察者の前記観察位置から、投影される前記画像の前記像平面上のそれぞれの輝点の投影の座標を定義し、
前記投影が投影される前記画像に属する場合に、前記対応するピクセルの座標を定義し、
投影される前記画像に属している輝点のそれぞれの投影に対して、対応する前記ピクセルの前記色にしたがって、対応する前記強度インジケータの前記強度値を修正する、
ことに適している。
【0032】
非限定的な1実施形態によれば、前記投影面上に前記画像を投影するために、前記光モジュールは、前記強度インジケータの修正された前記強度値を有する前記光束を前記投影面上に投影することに適している。
【0033】
非限定的な1実施形態によれば、前記照明装置はヘッドライト又はリアライトである。
【0034】
非限定的な1実施形態によれば、前記処理装置は、前記光モジュールに統合されている。
【0035】
上述の特徴による照明装置を備えた自動車もまた、提供される。
【0036】
本発明及び本発明の様々な応用は、以下の記載及び添付されている図を見ることにより、よりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の非限定的な実施形態に係る少なくとも1つの画像を投影面に投影するための投影方法のステップのフローダイアグラムを表す。
図2】非限定的な実施形態に係る図1の投影方法を実装するための好適な照明装置を含む自動車を表す。
図3】非限定的な実施形態に係る図1の投影方法のステップにより準備された光強度マップを表す。
図4図1の投影方法の少なくとも1つのステップを実行するのに好適な光モジュールを組み込むヘッドライト及び当該ヘッドライトの光モジュールからの光線の方向を表す。
図5】非限定的な実施形態に係る図1の投影方法における光強度マップを準備するステップのサブステップを示すフローダイアグラムを表す。
図6図4のヘッドライト及び地上の光束のインパクトポイントを表す。
図7図6のヘッドライト及びインパクトポイントの照明を表す。
図8図1の投影方法における観察者の観察位置を計算するステップに考慮される仰角及び方位角を表す。
図9】インパクトポイント、画像参照フレームにおける自動車外の観察者の観察位置、及び、図1の投影方法により投影される画像を模式的に表す。
図10図1の投影方法により投影された画像であって、自動車の運転者の視点から見た画像であるが、自動車外の観察者のみが理解できる画像を表す。
図11図1の投影方法により投影された画像であって、自動車の後方の乗員の始点から見た画像であるが、自動車外の観察者のみが理解である画像を表す。
図12図1の投影方法により投影された画像であって、自動車外の観察者から見た画像であり、自動車外の観察者のみが理解できる画像を表す。
図13】非限定的な実施形態に係る図1の投影方法における輝点の投影の座標を定義するステップのサブステップを示すフローダイアグラムを表す。
図14】インパクトポイント、自動車外の観察者の観察位置及び図1の投影方法により図9において投影される画像、及び、インパクトポイントと投影される画像との交差する位置の座標を模式的に表す。
図15】インパクトポイント、自動車外の観察者の観察位置及び図14の投影される正規化された画像を模式的に表す。
図16図14の投影される画像のピクセルを模式的に表す。
図17図1の投影方法の実装に好適な照明装置を表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
異なる図に表れる構造又は機能による同一要素は、別段の指定が無い限り同一の符号を保持する。
【0039】
光モジュールMLの手段による投影面に少なくとも1つの画像を投影するための本発明に関する自動車用の投影方法MTHは、図1図16を参照することにより記載される。
【0040】
自動車は、あらゆるモーターのついた乗り物手段として理解される。
【0041】
図1に示すように、方法MTHは、
光モジュール参照フレームRP内の観察者Oの観察位置PosO1を検出するステップ(DET_POS(O,PosO1,RP)と表されるステップ)と、
画像の参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2を計算するステップ(DET_POS(O,PosO2,RI)と表されるステップ)と、
画像の参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2にしたがった投影面S上の画像Ipであって、光モジュールMLの光束Fx内に組み込まれる画像Ipを投影するステップ(PROJ(Fx,Ip,S)と表されるステップ)と、
を含む。
【0042】
図1に示されるように、画像を投影するステップは、
3a)複数の強度インジケータpfを含む光モジュールMLの光強度マップCLUXから、輝度plの点(以下、輝点plと記載する。)を生じさせる、投影面S上における輝度マッピングCLUMを計算するサブステップ(CALC_CLUM(CLUX,S,pl)と表されるステップ)と、
3b)画像の参照フレームRIにおいてそれぞれの輝点plの位置PosL2を計算するサブステップ(CALC_POS(pl,PosL2,O,RI)と表されるステップ)と、
3c)その位置PosL2と、画像の参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2と、から、投影される画像Ipの像平面P1内における各輝点plの投影plrの座標ply,plzを定義するサブステップ(DEF_PLR(plr,P1,PosL2,PosO2)と表されるステップ)と、
3d)投影plrが投影された画像Ipに属するのであれば、対応するピクセルPixの座標lig,colを定義するサブステップ(DEF_PIX(pl(lig,col),ply,plz))と表されるステップ)と、
3e)投影された画像Ipに属するそれぞれの輝点plの投影plrに対し、対応するピクセルPixの色Coにしたがい、対応する強度インジケータpfの輝度値Viを補正するサブステップ(MOD_PF(pf,Vi,Pix、Co)と表されるステップ)と、
を備える。
【0043】
特に第1ステップ3aは、特にステップ3bと同様に、次のステップの反復の前に実行してもよいことに留意されたい。より一般的には、記載されたステップは、連続的に実行される、すなわち、同じ反復において実行される必要は無く、異なる反復において異なる反復の頻度により実行されてもよい。
【0044】
画像Ipを投影するステップはさらに、3f)投影面Sに、強度インジケータpfの輝度値Viを補正する光線Fxを投影するサブステップ(図1においてPROJ(ML,Fx,Vi,pf)と表されるステップ)を含む。
【0045】
投影方法MTHは、同時に1又は複数の画像lpを投影するために好適である。残りの記載は、非限定的な例として1枚の画像の投影が取得されることについて説明する。投影は、自動車Vの前方、後方又は側方で行われてもよいことに留意されたい。
【0046】
光モジュールMLは、光束Fxを生成することを可能とし、光束Fxは、異なる方向を進む複数の光線Rxを含む。光モジュールMLは、それぞれの強度インジケータpfの強度値Viを修正することが可能であり、したがって、デジタル化された光モジュールである。下記の記載するように、投影される画像Ipは、光モジュールMLの光束Fxに結合される。光強度マップCLUXは、デジタル的に使用できるように離散化されていることに留意されたい。光モジュールMLは、光源の周辺の空間が離散化される点光源と考えられる。したがって、強度インジケータpfは、ある方向dir1及び当該方向dir1内に当該光モジュールMLにより与えられた所定の強度値Viを有する光モジュールMLにより照射された空間内の点である。方向dir1は、(後述する)2つの角度θ及び角度δにより与えられる。非限定的な1実施形態において、投影面Sは、地面(S1で参照される)又は壁(S2で参照される)である。地面又は画像に投影される画像Ipは、したがって2次元画像である。
【0047】
図2に示される非限定的な1実施形態において、自動車Vの照明装置DISPは、少なくとも1つの光モジュールMLを含み、投影方法MTHを実装するために好適である。示される非限定的な例において、照明装置は、ヘッドライトである。
【0048】
後ほど見るように、観察者Oの観察位置は、投影される画像Ipを投影するために考慮される。この目的のために、投影される画像Ipは、歪曲され、それ故に、それが、運転者、自動車の前部若しくは後部の乗客、又は、自動車外の観察者であるかどうかは、問題の観察者が理解することができる。
【0049】
したがって、画像Ipが投影されるということは、観察者Oからの視点からと言うことになる。観察者Oの視点から、画像Ipは、歪曲しない。観察者とは異なる視点からは、画像Ipは、歪曲する。非限定的ないくつかの実施形態では、自動車の外の観察者Oは、歩行者、別の自動車の運転者、サイクリスト(自転車の運転者)、モーターサイクリスト(バイクの運転者)等である。彼らは、自動車Vの前方、後方、又は、側方のうち一方にいてもよい。
【0050】
非限定的な1実施形態において、投影された画像Ipは、少なくとも1つのグラフィックシンボルを含む。グラフィックシンボルは、観察者Oの快適性及び/又は安全性を改善することが可能であろう。非限定的な1実施形態において、観察者Oが自動車の運転手であるならば、グラフィックシンボルは、高速道路において超過すべきではない速度制限、自動車がバックし、かつ、障害物(歩行者、壁等)が自動車に近すぎるように位置している場合における停止グラフィックシンボル、自動車が高速道路の曲がるポイントにいる場合に運転者を補助する矢印、等を表すことが可能である。
【0051】
非限定的な一例において、観察者Oが歩行者又はサイクリストのような自動車外にいるとすると、グラフィックシンボルは、自動車が再び立ち去ろうとしているので、車両の前の横切らないようにするべきであることを示す停止信号であってもよい。非限定的な一例において、観察者Oが後続車のように自動車外にいるとすると、グラフィックシンボルは、自動車がブレーキを考えている場合の停止信号であってもよく、その結果、後続車の運転者が彼らの順番においてブレーキを掛けることができる。別の非限定的な一例において、観察者Oが自動車外におり、横に並んでいる自動車であるとすると、グラフィックシンボルは、別の自動車が前方に到着しているので、自動車を引き戻すことを示す警告信号であってもよい。
【0052】
図2に示すように、投影された画像Ipは、停止シンボル(STOP)である。これは、投影面S、ここでは非限定的に例示に示されるように地面に向けられてもよく、観察者Oがこの停止シンボル(STOP)を見て理解できるようにする。非限定的に示された例において、投影は、自動車の前方に行われ、観察者Oは、自動車外にいる。
【0053】
投影方法MTHの種々のステップは、以下に詳細に記載される。
【0054】
1)光モジュール参照フレームRPにおける観察者の観察位置を検出するステップ。
【0055】
光モジュール参照フレームRP内の観察者Oの観察位置PosO1を検出するために、光モジュール参照フレームRP内の実際の観察者Oの位置を検出することが必要となる。この目的のために、非限定的な一例において、カメラ(図示しない)が用いられる。これは、自動車Vの外側に位置している観察者Oの位置を検出し、計算するのに好適である。
【0056】
非限定的ないくつかの実施形態において、カメラは、レーダー(Radar:Radio Detection And Ranging)又はライダー(Lidar:Light Detection And Ranging)で置換される。
【0057】
自動車内に位置している観察者O(運転者又は乗客)に対して、例えば、参照観察位置が考慮される。したがって、非限定的な一例において、運転者の目は、車両が自動車である場合には、光モジュールからの位置PosO1(1.5;−0.5;1)(メートルで表される)に位置すると考えられる。もちろん、車両がトラックであれば、光モジュールMLに対応する目の位置は、異なる。
【0058】
外側の観察者に対して、観察者Oの位置から、観察位置PosO1が彼らの目の位置に対応して推定されてもよい。例えば、彼らの目の位置は、地面から約1.5メートル離れている。このような観察者の位置の検出は、当業者には周知であるので、ここでは詳細には説明しない。
【0059】
2)画像参照フレームRIにおいて、観察者の観察位置を計算するステップ。
【0060】
観察者Oの観察位置PosO1は、光モジュール参照フレームRPにしたがって既に決定されている。これは、以下に説明する座標系の変換に使用される。
【0061】
このステップは、座標系の変換を実行する。実際、光モジュール参照フレームRP(座標軸pjx,pjy,pjzにより定義される)は、投影される画像Ipの画像参照フレームRI(座標軸Ix,Iy,Izにより定義される)へと変換される。
【0062】
画像参照フレームRIにおける観察者Oの観察位置PosO2を計算することは、少なくとも1つの光モジュール参照フレームRPから画像参照フレームRIへの変換行列Mに基づいている。
【0063】
非限定的な1実施形態において、位置PosO2は、以下のように形成される。
【数1】
【0064】
非限定的な1実施形態において、変換行列Mは、少なくとも1つの以下のパラメータを考慮する。
光モジュール参照フレームRP内の投影画像Ipの位置PosIp。
光モジュール参照フレームRP内の投影画像IpのローテーションRotIp
投影される画像Ipのスケール。
【0065】
投影される画像Ipの位置PosIpは、光モジュール参照フレームRPの3つの軸pjx,pjy,pjzに沿った変換にしたがって、光モジュール参照フレームRPから推定される。
【0066】
非限定的な1実施形態において、変換行列Mは、以下のように形成される。
【数2】
【0067】
ここで、a,e及びiは、アフィニティタームであり、b,c,d,f,g及びhは、ローテーションタームであり、t,u及びvは、トランスレーションタームである。
【0068】
アフィニティタームa,e及びiは、画像の拡大又は縮小を達成することが可能であり、例えば、a,eの値によりi、全体のサイズ(相似に)を50%増加したり、20%減少したり、それぞれを50%増加したり、20%減少させたりすることができる。a,e及びiの値の例として、1に等しい値は、投影される画像の基準寸法に方向pjx,pjy及びpjzにおいてそれぞれ対応する。拡大又は収縮を1次元のみ又は2時点のみにおいて(非相似に)適用することもまた可能である。異なる拡大率又は収縮率を他の次元と比較して適用することもまた可能であり、特に、異なる拡大率又は収縮率をそれぞれの方向に適用することがかのである。このように、観察者Oの目の位置PosO2にしたがって、観察者Oに見える画像を、より大きく又はより小さく全体的に又はある次元に沿って、a,e及びiの値をそれぞれ増加又は減少することにより、投影することを決定してもよい。
【0069】
ローテーションRotIpは、以下に示す3つの角度に依存することに留意されたい。
β:方位角(投影される画像Ipが観察者の右側又は左側、例えば、後者が左側又は右側に見えるかどうかをしめす。)
Ω:傾斜角(投射される画像Ipの傾き、例えば、観察者が頭を一方に傾けた場合を示す。これは、画像を傾けることに等しい。)
ε:仰角(画像Ipのグラフィックシンボルを与えることを望む効果を示す。)
【0070】
図8は、仰角及び方位角、並びに、投影される画像Ipの平面P1を示す。
【0071】
したがって、PosO2=M×PosO1となる。PosO1は、光モジュール参照フレームRP内に投影される画像Ipに使用される、観察者Oの観察位置である。PosO2は、画像参照フレームRI内に投影される画像Ipに使用される、観察者Oの観察位置である。
【0072】
したがって、投影される画像Ipの位置及びローテーションは、観察者Oに適切なものとなる。このように、投影される画像Ipは、観察者Oに理解できるものとなる。
【0073】
したがって、画像のアフィン歪みは、漸進的進化(Anamorphosis)と呼ばれ、所望の視点から取得される。このように、自動車の運転者の目には、投影された画像Ipは、歪んでいない。同様に、トラック運転者の目には、光モジュール参照フレームRPの上方に位置しているとしても、投影された画像Ipは、歪んでいない。最終的に、外側の観察者に対して、投影された画像Ipは、歪んでいない。したがって、画像の投影が観察者の観察位置に依存し、観察者の望むようにそのスケールを調整することが可能であるので、投影された画像Ipは、観察者にはっきりと見られることができる。したがって、自動車から遠くにいたとしてもなお、観察者Oは、投影された画像Ipのグラフィックシンボルを理解し、見ることが可能である。
【0074】
3)投影面上に画像Ipを投影するステップ。
【0075】
このステップは、以下のサブステップを含む。
3a)輝度マッピングCLUMを計算するサブステップ。
【0076】
非限定的な1実施形態において、光強度マップCLUXは、メモリに格納される。これは、ゴニオフォトメーター(図示しない)を用いて、製品の設計中にあらかじめ調整されているであろう。ゴニオフォトメーターは、例えば、タイプAであり、すなわち、水平軸の周りの回転運動は、水平軸の周りの回転のために調整された垂直軸の周りの回転運動を支持する。光強度マップCLUXは、点光源として考えられる光モジュールMLの強度インジケータpfを与える。光モジュールMLからスタートした光線Rxの方向dir1は、2つの角θ及び角δの式として表され、以下の式により与えられる。
【数3】
【0077】
δは、ゴニオフォトメーターの垂直回転Vであり、θは、ゴニオフォトメーターの水平回転Hである。光強度マップCLUXは、したがって、複数の強度インジケータpf、上記の式で与えられる方向dir1、強度インジケータpfの水平角θ及び強度インジケータpfの垂直角δを含む。光強度マップCLUXは、図3に示される。δ=0V、θ=0Hの極座標の強度インジケータpfが存在していることが分かる。光強度マップCLUXは、したがって、与えられた方向に対する強度I(θ,δ)を決定することを可能とする。したがって、CLUX={(δ,θ,Ii,j),(i,j)∈[1,M]×[1,N]}、ここで、M及びNは、垂直方向及び水平方向(それぞれ)に沿った光束Fxの離散化点(又は強度インジケータ)の数である。強度インジケータpfは、故に、その方向dir1及びその強度I(θ,δ)により決定される。
【0078】
図4は、光線Fxの方向の光モジュールMLを含む照明装置DISPを示す。投影面S上の輝度マップCLUMを計算するステップは、図5に示す以下のサブステップを含む。
i)インパクトポイントpiを算出する、投影面S上の強度インジケータpfの位置POSpfの第1の計算のサブステップ(CALC_POSF(pf,POSpf,pi)と表されるステップ)。
ii)インパクトポイントpiの照度マップCECLの第2の計算のサブステップ(CACL_CECL(pi,CECL)で表されるステップ)。
iii)輝点plを算出する、照度マップCECLからインパクトポイントpiの輝度マップCLUMの第3の計算のサブステップ(CALC_CLUM(pi,CECL)と表されるステップ)。
【0079】
種々のサブステップは、以下に詳細が与えられる。以下の計算は、投影面S(地面S1又は壁S2)にしたがって実行されることに留意されたい。
【0080】
サブステップi)
第1の計算は、デカルト座標のx,y,zにおける光モジュールMLの位置POSpj、及び、上述した強度インジケータpfの方向dir1、に基づいている。
【0081】
地面S1に対して、位置POSpf1は、以下の式によりデカルト座標x,y,zにおける地面上の強度インジケータpfから得られる。
POSpf1=POSpj−(POSpj.z/dir1.z)×dir1
【0082】
ここで、POSpj.zは、光モジュールMLの位置のz成分(地面に対する光モジュールの高さ)であり、dir1.zは、光線Rxの方向ベクトルのz成分である。
【0083】
壁S2に対して、位置POSpf2は、以下の式によりデカルト座標x,y,zにおける壁上の強度インジケータpfから得られる。
POSpf2=POSpj−(D/dir1.x)×dir1
【0084】
ここで、dir1.xは、光線Rxの方向ベクトルのx成分であり、Dは、光モジュールMLと壁との距離である。非限定的な一例において、Dは、25メートルに等しい。
【0085】
インパクトポイントpi(位置POSpf1又は位置POSpf2における)は、このように、地面S1上又は壁S2上で取得される。図6は、地面S1である投影面S上のインパクトポイントpiの非限定的な例を示す。
【0086】
サブステップii)
地面S1上又は壁S2上のインパクトポイントpiが一度決定されると、このインパクトポイントpiの照度Eは、上述で決定された強度インジケータpfの強度I(θ,δ)から計算される。
【0087】
地面S1に対して、地面上のインパクトポイントpiの照度Eは、したがって、以下の式により得られる。
=−(I(θ,δ)/dist1)×cosθ×sinδ
ここで、dist1は、インパクトポイントpiと光モジュールMLとの距離である。
【0088】
壁S2に対して、壁上のインパクトポイントpiの照度Eは、したがって、以下の式により得られる。
=(I(θ,δ)/dist1)×cosθ×cosδ
ここで、dist1は、インパクトポイントpiと光モジュールMLとの距離である。
【0089】
図7は、地面S1である投影面S上のインパクトポイントpiの照度E(点線の円で区切られる)を示す。
【0090】
サブステップiii)
第3の計算は、インパクトポイントpiの照度E、照度マップCECLのインパクトポイントの位置と、観察者Oの観察位置PosO1(光モジュール参照フレームRP内における)との位置ベクトルRoeil/Moeil、及び、光拡散関数dに基づいている。dは、投影面による光の拡散を計算することを可能とする既知の関数である。これは、投影面Sの性質により変化することに留意されたい。例えば、関数dは、面がアスファルト、コンクリート、タール、石畳等であることにより異なる。
【0091】
地面S1に対して、地面上のインパクトポイントpiの輝度Lは、以下の式により得られる。
【数4】
【0092】
ここで、(Reye/||Reye||).zは、ノルム付ベクトルRoeilのz成分である。
【0093】
壁S2に対して、壁上のインパクトポイントpiの輝度Lは、以下の式により得られる。
【数5】
【0094】
ここで、(Meye/||Meye||).xは、ノルム付ベクトルMoeilのx成分である。
【0095】
非限定的な1実施形態において、投影面Sは、全ての方向に均一に放出すると仮定する。この場合、拡散パラメータは、角δ及び角θに依存しない。
【0096】
非限定的な1実施形態において、投影面Sは、ランバート拡散器(Lambertian Diffuser)(例えば、灰色体)であると考えられる。そうすると、照度Eに比例して、投影面S上には、一定の輝度が存在し、この場合、拡散関数dは、余弦(cosine)となる。この場合、L=a/π・Eであり、以下の式が成り立つ。
【数6】
【0097】
ここで、aは、物質のアルベドであり、L=a/π・Eである。
【0098】
非限定的ないくつかの例において、アスファルトのアルベドは、7%であり、コンクリートのアルベドは、17%〜27%の間を変化する。
【0099】
3b)画像参照フレームRI内の輝点plの位置を計算するサブステップ。
【0100】
輝点plの位置PosL1は、光モジュール参照フレームRPにしたがって、前もって決定される。これは、下記に記載する座標系の変換のために用いられる。
【0101】
同様に、観察者Oの観察位置PosO2を計算することに関して、このステップは、座標系の変換を実行する。実際、光モジュール参照フレームRP(軸pjx,pjy,pjzにより定義される)は、投影される画像Ipの画像参照フレームRI(軸Ix,Iy,Izにより定義される)に変換される。
【0102】
画像参照フレームRI内の輝点plの位置PosL2の計算をすることは、光モジュール参照フレームRPから画像参照フレームRIへの変換のための少なくとも1つの変換行列M(上述されている変換行列M)に基づいている。
【0103】
非限定的な1実施形態において、位置PosL2は、上述した位置PosO2と同じ形式である。
【数7】
【0104】
変換行列Mは、画像参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2の計算において記載されている。それ故、ここでは再び記載しない。
【0105】
このように、PosL2=M×PosL1である。PosL1は、光モジュール参照フレームRP内の輝点plの位置である。PosL2は、画像参照フレームRI内の輝点plの位置である。
【0106】
図9は、画像参照フレームRIだけではなく投影される画像Ipも示している。輝点pl及び観察者Oの目(観察位置に関連する)もまた、画像参照フレームRI内で定義された位置PosL2及び位置PosO2としてそれぞれ見ることができる。
【0107】
地面上又は壁上の投影画像Ipが2次元であったとしても、3次元の効果、すなわち、上述した仰角εを調整することにより、遠近法又はトロンプルイユ(trompe l'oeil:だまし絵)効果を得ることができることに留意されたい。観察者O(運転者、乗客、又は、外部の観察者のいずれでも)視点で見るであろう。この目的のため、仰角εは、−90°よりも大きい。特に、−90°よりも大きく、0°以下である。3次元効果は、このように、0°から−90°(包含的ではない)において見ることができる。−90°において、画像Ipは、地面上で平面であり、それ故に、3次元効果を有しない。図10乃至図12は、角錐である投影画像Ipを示す。歩行者のような自動車外にいる観察者Oは、非限定的な例として取られる。角錐は、3つの別の視点、運転者の視点(図10)、後部座席の乗客の視点(図11)及び歩行者の視点(図12)から見ることができるが、1つの視点からのみ3次元で見える。非限定的な例において、歩行者のみが3次元で角錐を見るであろう(図12に示すように)。運転者又は乗客の視点から、角錐は、歪んで表れる。非限定的な種々の実施形態において、仰角εは、0である。観察者Oは、まっすぐ前を見ている。この場合、観察者Oは、まっすぐ立っているかのように、画像、すなわち、ここでは角錐を見ることになるであろう。非限定的な種々の実施形態において、εは、−35°である。これは、高速道路の方向に3次元効果を高めることを可能とする。
【0108】
画像Ipの平面P1は、このように、観察者Oの観察方向に対して垂直である。仰角εが−90°と異なると、角錐は、このように、3次元で見ることができるが、多かれ少なかれ傾いている。
【0109】
3c)輝点plの投影plrの座標ply,plzを定義するサブステップ。
【0110】
図13に示されるように、非限定的な1実施形態において、基点plの投影plrの座標ply,plzを定義するステップは、
i)観察者Oの画像参照フレームRI内の観察位置PosO2及び基点plの画像参照フレームRI内の位置PosL2を通る直線V(PosO2,PosL2)と、投影される画像Ipの像平面P1と、の交点Intを計算するサブステップ(CALC_INT(PosO2,PosL2,P1)で表されるサブステップ)と、
ii)投影される画像Ipの寸法L1及び寸法H1から、交点Intの座標ply,plzを決定するサブステップ(DEF_COORD(Int,L1,H1)で表されるサブステップ)と、
を含む。
【0111】
これらの2つのサブステップは、以下に記載される。
【0112】
サブステップi)
画像参照フレームRI内で、直線(目,輝点)と像平面P1との交点は、直線(目,輝点))で、lx=0となる点である。したがって、Int=PosO2−((PosO2.x)/(V(PosO2,PosL2).x))×V(PosO2,PosL2)である。ここで、
V(PosO2,PosL2)は、画像参照フレームRIにおける直線(目,輝点))を表すベクトルであり、
V(PosO2,PosL2).xは、ベクトルのx成分であり、
Intは、直線(目,輝点)と画像参照フレームRIにおける投影される画像Ipとの交点であり、交点Intは、したがって、投影される画像Ipの像平面P1上の輝点plの投影plrであり、
PosL2.xは、輝点plの位置のx成分であり、
PosO2.xは、観察者の観察位置のx成分である。
【0113】
観察者Oの観察位置は、Ix軸上に位置するという仮定があることに留意されたい。
【0114】
図14は、投影される画像Ip、面P1上の輝点plの投影plrとベクトルV(PosO2,PosL2)(点線で示される)とに関連する交点Intを示す。投影Plrは、中心型(Central Type)であり、この結果、円錐形の遠近法の効果を生じるということに留意されたい。以下では、投影plr又は中心投影plrという用語は、同じ意味として使用される。
【0115】
サブステップii)
画像参照フレームRI内の輝点plの中心投影plrの座標ply,plzは、前もって決定された交点Intの位置のIy(鉛直)軸に沿った座標及びIz(水平)軸に沿った座標に対応する。非限定的な1実施形態において、それらは、メートル単位で表される。図14の座標系において、この点の座標か、以下の式により推定される。
【0116】
ply=(Int.y+(L1/2))/L1
plz=Int.z/H1
【0117】
ここで、
L1は、投影される画像Ipの幅(非限定的な一例においてメートルで表される)であり、
H1は、投影される画像Ipの高さ(非限定的な一例においてメートルで表される)であり、
Int.yは、交点のy座標であり、
Int.zは、交点のz座標である。
【0118】
図14は、画像参照フレームRIにおいてメートル単位の座標ply及び座標plzの定義を示す。L1及びH1は、投影方法MTHの入力パラメータであることに留意されたい。
【0119】
このサブステップは、座標ply,plzが投影される画像Ipに属するか否か(それらは、0と1との間にあるべきである)、したがって、輝点plの中心投影plrが投影される画像Ipに属するか否かを、その後に決定することを可能とする。
【0120】
この目的のために、非限定的な1実施形態において、投影される画像Ip及びこのように計算された投影plrの座標は、正規化される。これは、投影される画像Ipに属していることの評価を簡略化することを可能とする。このように、図15に示すように、正規化された座標系IX(垂直軸),IY(水平軸)が得られる。投影plrの座標ply,plzの値は、ここで、0から1の間となる。図示された例では、軸ly及び軸lzは、それぞれ、軸IX及び軸−IYとなっている。したがって、画像の寸法H2,L2は、0から1の間に得られる。
【0121】
図15は、画像参照フレームRI内で単位なしの座標ply,plzの定義を示す。
【0122】
投影される画像Ipのサイズ(L1,H1)は、本ステップ3c)で定義されてもよいし、変換行列Mのステップで定義されてもよいことに留意されたい。投影される画像Ipの寸法L1,H1、したがって、L2,H2、位置及び回転が既知であれば(これらは投影方法MTHの入力パラメータである)、座標ply,plzを介し、投影plが投影される画像Ipに属するか否かは簡単に決定することができる。
【0123】
3d)対応するピクセルPixの座標を定義するサブステップ。
【0124】
ピクセルPixの行(lig)及び列(col)座標は、投影される画像Ipに属している(輝点plの)それぞれの投影plrにより定義され、すなわち、ステップ3c−ii)で確認された投影される画像Ipの矩形L2×H2の内側に位置する。
【0125】
したがって、投影plrが投影される画像Ipに属する場合、対応するピクセルPixの座標が計算される。それらは、以下のように計算される。
【0126】
lig=−plz×L2
col=ply×H2
【0127】
ここで、
ligは、ピクセルの行であり、
colは、ピクセルの列であり、
L2は、投影された画像Ipの幅(この場合、ピクセルで表される)であり、
H2は、投影された画像Ipの高さ(この場合、ピクセルで表される)であり、
plyは、投影plrのIX軸に沿った座標であり、
plzは、投影plrのIY軸に沿った座標である。
【0128】
3e)対応する強度インジケータpfの強度値を修正するサブステップ。
【0129】
ピクセルPixの座標lig,colにより、その色値Coは、投影される画像において復元することが可能である。非限定的な一例において、その値は、0から255である。したがって、図16に示すように、それは、複数の灰色の濃淡値を通して、白から黒まで分布している。白という用語は、単一の色を意味すると理解されなければならず、灰色の表現は、その最も明りょうな色合いと、黒との間の前記単一色の色合いを意味すると理解されなければならない。したがって、投影画像は、必ずしも、0から255の間のCoの値に関連した白及び灰色ではなく、人間の目に見えるいかなる色よりも多い又は少ない濃い色合いで構成される。好適には、白色、黄色、青色、赤色又は琥珀色である。その後、関連する強度インジケータpfに強度値Viは、修正される。光モジュールMLがデジタル化されていることにより、これが可能であることに留意されたい。
【0130】
非限定的な1実施形態において、修正は以下のように実行される。
【0131】
Vi=σ.Vi0×Co/255
【0132】
ここで、
Vi0は、光モジュールの強度インジケータpfの初期強度値であり、
Coは、関連するピクセルPixの色であり、
σは、最大オーバードライブ係数である。
【0133】
非限定的な2つめの実施形態において、修正は以下のように実行される。
【0134】
Vi=φ.Co
【0135】
ここで、φは、輝度係数である。したがって、輝度の置換が実行される。これは、基準となる光の分布から独立した背景上に画像を表示することを可能とする。
【0136】
このステップは、投影される画像Ipの矩形L2×H2に属する輝点pl、中心投影plrの全てに対して実行される。
【0137】
したがって、光モジュールMLは、投影面S上に、図1のPROJ(ML,Fx,pf,Vi)に示される強度インジケータの修正された強度値Vi(ステップ3f)である光線Rxを含む光束Fxを投射することができる。これは、考慮される強度インジケータに対する正しい色Coを表示することを可能とする。このように、投影される画像Ipは、光モジュールMLの光束Fxに統合され(光モジュールMLそのものにより生成されるため)、正しい色で投影面Sに投影される。
【0138】
したがって、ピクセルPixの望ましい色Coにしたがい、決定された修正率は、強度インジケータpfに関連した強度値Viに適用される。このように、強度インジケータは取得され、その色は、光束Fx自体の光強度には依存しない。例えば、示された投影される角錐は、均質な色となる。光束に重ね合わされた角錐を投影した光モジュールMLから独立した光源の場合、これは当てはまらない。画像のピクセルは、光束の光強度の分布に関連して多く又は少なく照射される。これらの色は、したがって、光束の光強度により変化する。さらに、投影された画像Ipが光束Fxに統合され、かつ、重ね合わされていないという事実は、独立した光源を用いた場合に比べて投影面S上の画像のよりよいコントラストを得ることを可能とする。独立した光源である場合、光束は、投影画像をも照射する。後者は、それ故に、色のレベルについてより明確になる。ピクセルの色値Co、又は、投影画像の所定部分に関連した一連のピクセルの色値Coは、3次元効果を強化することにも用いられてもよい。例えば、図12を参照すると、投影画像のパターンの面F1に関連するピクセル及び投影画像の面F2に関連するピクセルは、固有であり、異なる色値Coを備えてもよい。このように、面F1の構成画素に関連した色Coの値が、面F2の構成画素に関連したものよりも高いか低いかによって、面F1は、面F2によりも明るく、又は、逆に見える。面F1及び/又は面F2の構成画素に関連する色値Coはまた、陰影効果、例えば、面F1及び/又は面F2の1つの側面から他の側面への陰影効果を生成するために変化し、3次元効果をより強化することを可能とする。
【0139】
上述した方法に関して操作され、それぞれが視覚的に異なる色を射出する多重のシステムを用いることにより、多色の画像を得ることが可能である。それぞれのシステムにより投影された画像は、そうすると、全体として多色の投影画像を取得するために、重ね合わされる方法により投影面S上に投影されるように計算される。
【0140】
投影される画像Ipの投影は、観察者Oの観察位置に依存するので、観察者が自動車の外にいる場合には、自動車に対する観察者Oの動きにしたがい、観察者Oが自動車の中にいる場合には、車両自体の動きにしたがい、継続的に更新されることに留意されたい。非限定的な1実施形態において、上述した計算のリフレッシュレートは、したがって、自動車外の観察者の場合、自動車に対する観察者の動きの速度の関数である。速度が増加すると、リフレッシュレートは増加する。速度が減少すると、リフレッシュレートは減少する。非限定的なもう1つの実施形態において、上述した計算のリフレッシュレートは定数である。非限定的な一例において、レートは1秒である。
【0141】
このように、これらの計算は実時間で実行されるため、自動車に対する(彼らが外側にいる場合)、又は、自動車内の(彼らが内側にいる場合)多数の相対しうる観察者の観察位置に対応して、メモリ内にプレロードされた同じグラフィックシンボルの画像を備えるデータベースを有する必要は無い。
【0142】
投影方法MTHは、このように、投影画像Ipは、観察者Oの視線の方向に向けられているから、自動車の内側又は外側に位置する観察者に見えるだけではなく、彼らが理解もまた可能である投影面S上の1又は複数の画像Ipを投影することを可能とする。
【0143】
同時に多数の画像Ipが投影された場合、光束Fxを伴う異なる画像の組み合わせは、全ての結果の投影前に計算されることに留意されたい。
【0144】
非限定的な1実施形態によれば、投影方法MTHは、自動車Vの照明装置DISPにより実装される。非限定的な1実施形態において、照明装置DISPは、ロービーム、ハイビーム又は前方、後方及び/又は側方の信号機能といった標準の測光機能を実装することも可能である。したがって、照明装置は、自動車の前方又は後方に位置する。
【0145】
照明装置DISPは、図17に示される。それは、処理ユニットPRと、少なくとも1つの光モジュールMLとを含む。非限定的ないくつかの実施形態において、照明装置は、ヘッドライト又はリアライトである。処理ユニットPRは、光モジュール参照フレームRP内の観察者Oの観察位置PosO1を検出し(DET_POS(O,PosO1,RP)で表される)、画像参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2、すなわち、目の位置を計算する(DET_POS(O,PosO2,RI)で表される)こと、に適している。
【0146】
照明装置DISPは、画像参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2にしたがった投影面S上の画像Ipを当社するのに適しており、この画像Ipは、光モジュールMLの光束Fx内に統合される(PROJ(Fx,Ip,S)で表される)。
【0147】
投影面S上に画像Ipを投影するために、処理ユニットPRは、さらに、
複数の強度インジケータpfを含む光モジュールMLの光強度マップCLUXから、輝点plとなる投影面S上の輝度マップCLUMを計算し(CALC_CLUM(CLUX,S,pl)で表される)、
画像参照フレームRI内のそれぞれの輝点plの位置PosL2を計算し(CALC_POS(pl,PosL2,O,RI)で表される)、
その位置PosL2及び画像参照フレームRI内の観察者Oの観察位置PosO2から、投影される画像Ipの像平面P1上のそれぞれの輝点plの投影plrの座標ply,plzを定義し(DEF_PLR(plr,P1,PosL2,PosO2)で表される)、
投影される画像Ipに投影plrが属しているのであれば、対応するピクセルPixの座標lig,colを定義し(DEF_PIX(pl(lig,col),ply,plz)で表される)、
投影される画像Ipに属している輝点plのそれぞれの投影plrについて、強度インジケータpfに関連する強度値Viを、対応するピクセルPixの色Coにしたがって修正する(MOD_PF(pf,Vi,Pix,Co)で表される)ことに適している。投影面Sに画像Ipを投影するために、光モジュールMLは、投影面S上に強度インジケータpfの修正された強度値VIを備える光束Fxを投射する(PROJ(ML,Fx,Vi,pr)で表される)ことに適している。
【0148】
処理ユニットPRは、光モジュールMLに統合され、又は、光モジュールMLとは独立であることに留意されたい。
【0149】
もちろん、本発明の説明は、上述した実施形態に限定されない。したがって、非限定的なもう1つの実施形態において、タイプBのゴニオフォトメーターが使用されてもよく、例えば、垂直軸を中心とする回転運動が、水平軸を中心とする回転運動を支持するものであってもよい。したがって、非限定的なもう1つの実施形態において、処理ユニットPRは、照明装置DIPSに関してオフセットされることもできる。したがって、画像参照フレームRI内の観察位置PosO2を計算するステップは、輝度の位置PosL2を計算するよりも前に、又は、同時に実行されてもよい。したがって、自動車Vは、記載された投影方法MTHを実行するために適した1又は複数の照明装置DISPを含む。
【0150】
したがって、記載された本発明は、以下のような利点を有する。
自動車の内側又は外側にいる観察者の快適度及び/又は安全度を改善することを可能とする少なくとも1つのグラフィックシンボルを含む画像を投射することを可能とする。
投影が観察者の位置に依存するので、所与の観察者に可視かつ理解可能な画像を投影することを可能とする。したがって、同じ投影方法は、運転者に理解可能な画像を投影すること、又は、歩行者若しくは後続車両の運転者にも理解可能な画像を投影することに適用される。投影される画像Ipを歪めることを可能とし、所与の観察者に理解可能にする。
したがって、画像の歪みを生成し、この歪みは、観察者Oの観察位置に依存する。
画像参照フレーム内の観察者の観察位置は、投影される画像の位置及び回転の関数である。特に、仰角に依存する回転のため、後者が特定の方法で設定される場合、観察者は、3次元で画像を見る印象を有する。
自動車の光モジュールMLの光束Fx内に投影される上方を統合することを可能とする。それは、追加の専用光源を必要としない。
したがって、自動車のリアライトのガラス上に直接画像を表示し、一定の距離において小さすぎるように見える先行技術とは異なり、本発明は、自動車から一定の距離に位置する外側の観察者が、画像を正しく見ることを可能とし、これは、画像が観察者の実際の位置によって、投影面上に投影され、投影面が自動車のライトのガラスではないためである。
投影される画像Ipの寸法は、もはやライトのグラスのような小さな投影面に限られるものではない。
例えば自動車のリアライト上に画像を表示する解決策と異なり、自動車の前方又は後方のみを見る上方の受信者にとって使用できる解決策を提供することを可能とする。
自動車のリアライト上の画像の表示以外の解決策を提供することを可能とする。
自動車の運転者専用の画像の投影以外の解決策を提供することを可能とする。
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