(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加圧部材が移動する軸線の延長線と前記フック部材の中間部との間の距離が、15mm以上35mm以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の骨手術用圧迫器具。
前記フック部材が、前記ネジ孔の内側と前記支持部の外側とを該ネジ孔の径方向に連通するとともに前記ネジ孔の中心軸に沿う方向に形成され、前記ネジ孔内に前記径方向にガイドピンを挿入可能なスリットを有する請求項2に記載の骨手術用圧迫器具。
前記押圧面を支持する凹状の受け面を有する受部と、該受部を前記骨の側面に固定される骨接合材に接続可能な接続部とを有するプラグを備える請求項1から請求項7のいずれかに記載の骨手術用圧迫器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
骨接合材を骨に固定する際には、切り込みに形成された骨切り面同士が密着するように骨を矯正する必要があり、そのためには骨切り面同士を引き寄せる方向の骨の長手軸方向の圧迫力を骨切り面の両側において骨に加える必要がある。しかしながら、特許文献1の骨保持器は、骨の径方向の圧迫力を骨と骨接合材に加えて骨と骨接合材とを密着させることはできるが、骨に長手軸方向の力を加えることはできず、骨切り面同士が密着するように骨を矯正することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、骨の径方向と長手軸方向の両方に圧迫力を加えて、骨と骨接合材および骨の骨切り面同士をそれぞれ密着させることができる骨手術用圧迫器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、一端に凸状の略球面からなる押圧面を有する略柱状の加圧部材と、骨の側面に係合する鉤状に形成され、一端に、前記押圧面を他端側に向けて前記加圧部材を支持する支持部を有し、前記他端に、前記支持部側へ向かって突出し前記骨の側面に食い込む突起部を有するフック部材とを備え、前記支持部が、前記加圧部材を前記突起部側に向かって長手方向に移動可能に支持する骨手術用圧迫器具である。
【0008】
本発明の上記態様によれば、切り込みが形成された骨の側面に切り込みを跨ぐように骨接合材を配置した後に、フック部材の両端に設けられた突起部および支持部が骨および骨接合材を骨の径方向に挟むようにフック部材を骨の側面に係合し、突起部を骨の側面に食い込ませることで突起部を骨の側面に固定し、支持部によって支持された加圧部材を突起部側へ向かって移動させて押圧面によって骨接合材を骨に向かって押圧する。これにより、突起部と加圧部材との間に挟まれた骨および骨接合材に骨の径方向の圧迫力を加えて骨と骨接合材とを密着させることができる。
【0009】
この場合に、骨および骨接合材に加えられる圧迫力の方向は、加圧部材の移動方向であるその長手方向に一致する。したがって、加圧部材の長手方向が骨の長手軸方向に対して傾斜するようにフック部材を骨の側面に係合することで、骨の径方向と長手軸方向の両方の圧迫力を骨および骨接合材に加えて、骨と骨接合材および骨の骨切り面同士をそれぞれ密着させることができる。
【0010】
また、骨の長手軸方向に対して加圧部材が傾斜するようにフック部材を骨に係合させた状態においても、フック部材の他端に設けられた突起部を骨の側面に固定することで、突起部と加圧部材との間の骨と骨接合材に大きな圧迫力を安定的に加えることができる。また、骨接合材に接する押圧面が略球面状であるので、骨接合材に対して押圧面を同じ位置で回転させて突起部を骨の長手軸方向にずらすことで、フック部材の向きを容易に変更することができる。
【0011】
上記態様においては、前記加圧部材が、雄ネジと、該雄ネジの一端に設けられ前記押圧面を有する頭部とを有し、前記支持部は、前記雄ネジが締結されるネジ孔を有していてもよい。
このようにすることで、ネジ孔内での雄ネジの回転が軸部の長手方向の移動に変換されるので、雄ネジの移動量の微調整が容易になり、骨および骨接合材に加える圧迫力の制御が容易になる。
【0012】
上記態様においては、前記突起部は、前記加圧部材が移動する軸線の延長線上に位置していてもよい。
このようにすることで、骨接合材に加圧部材の長手方向の押圧力のみを加えることができる。
【0013】
上記態様においては、前記突起部は、前記加圧部材が移動する軸線の延長線から該延長線に交差する方向にオフセットした位置に位置していてもよい。
このようにすることで、加圧部材の長手方向の押圧力に加えて、加圧部材の長手方向に交差し突起部のオフセット方向とは反対方向のモーメントも骨接合材に加えて、骨接合材を、骨に近接する方向のみならず、突起部のオフセット方向とは反対方向にも移動させることができる。
【0014】
上記態様においては、前記加圧部材が移動する軸線の延長線と前記フック部材の中間部との間の距離が、15mm以上35mm以下であってもよい。
このようにすることで、フック部材の寸法を、大腿骨や脛骨等の大きな骨に好適な寸法とすることができる。
【0015】
上記態様においては、前記突起部が、尖端を有する錐状の突起を1つ以上有
する。
このようにすることで、骨の表面を覆う硬い皮質骨にも突起の尖端を食い込ませて容易に突起部を固定することができる。
【0016】
上記態様においては、前記フック部材が、前記ネジ孔の内側と前記支持部の外側とを該ネジ孔の径方向に連通するとともに前記ネジ孔の中心軸に沿う方向に形成され、前記ネジ孔内に前記径方向にガイドピンを挿入可能なスリットを有していてもよい。
このようにすることで、骨に予め挿入されたガイドピンに対してフック部材を容易に配置することができる。
【0017】
上記態様においては、前記押圧面を支持する凹状の受け面を有する受部と、該受部を前記骨の側面に固定される骨接合材に接続可能な接続部とを有するプラグを備えていてもよい。
このようにすることで、骨接合材に接続されたプラグの受部の受け面内に押圧面を嵌めることで、骨接合材に押圧面を直接押し当てる場合と比べて、骨接合材に対する押圧面の位置を安定させることができ、押圧面から骨接合材へ押圧力をより効率的に加えることができる。
【0018】
上記態様においては、前記プラグが、前記受け面の略中央に開口しガイドピンが貫通する貫通孔を有していてもよい。
このようにすることで、骨に挿入されたガイドピンを骨接合材、プラグおよび加圧部材に貫通させることで、骨に対して骨接合材、プラグおよび加圧部材の位置を安定させることができる。プラグの貫通孔の直径は、骨切り術で一般に使用されるガイドピンの直径を考慮して、2mm以上であることが好ましい。
【0019】
上記態様においては、前記受部の前記受け面の立体角が、4ステラジアン以上であってもよい。
このようにすることで、頭部の軸部とは反対側の面を受け面によってより安定的に支持することができ、加圧部材から骨接合材へ確実に押圧力を加えることができる。頭部の外面の半分以上を受け面で支持することができるように、受け面の立体角は2πステラジアン以上であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、骨の径方向と長手軸方向の両方に圧迫力を加えて、骨と骨接合材および骨の骨切り面同士をそれぞれ密着させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態に係る骨手術用圧迫器具1について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る骨手術用圧迫器具1は、
図1Aから
図1Dに示されるように、脛骨Xの外側から骨片を切除し、骨片の切除部位Yを閉じることで脛骨Xの変形を矯正し、脛骨Xを骨プレート(骨接合材)10で固定するクローズドウェッジ法による高位脛骨骨切り術(CWHTO)において使用されるものである。
図1Aから
図1Dには、クローズドウェッジ法と、脛骨Xの内側面に切り込みを形成して切り込みを開大するオープンウェッジ法とを組み合せたハイブリッドHTOの例を示している。
【0023】
骨プレート10は、
図1Bに示されるように、脛骨Xの側面に脛骨Xの長手軸に沿う方向に配置される細長い帯板状の部材である。骨プレート10には、骨プレート10を脛骨Xに固定するためのスクリュ20が挿入される複数のネジ孔10aが長手方向に間隔をあけて設けられている。符号30は、ドリルスリーブを示している。
【0024】
本実施形態に係る骨手術用圧迫器具1は、
図2に示されるように、脛骨Xの側面に係合するフック部材2と、骨プレート10を脛骨Xの側面へ向けて押圧して脛骨Xと骨プレート10に圧迫力を加えるための押しネジ(加圧部材)3とを備えている。フック部材2および押しネジ3は、チタンやステンレスのような高強度の金属から形成されている。
【0025】
フック部材2は、略鉤状に湾曲し脛骨Xの側面に係合可能な湾曲部4と、湾曲部4の一端に設けられ押しネジ3を支持する支持部5と、湾曲部4の他端に設けられ脛骨Xの側面に固定可能な突起部6とを備えている。
【0026】
湾曲部4は、細長い柱状の部材からなり、脛骨Xの外側から内側まで脛骨Xの側面を略半周にわたって囲む略鉤状に湾曲している。湾曲部4を脛骨Xの側面に周方向に沿って係合させた状態で、支持部5は脛骨Xの外側に配置され、突起部6は脛骨Xの内側に配置される。
【0027】
支持部5は、長手方向に貫通し内面にネジ溝が形成された円柱状のネジ孔5aを有する筒状である。ネジ孔5aは、湾曲部4の一端と他端とを結ぶ線に沿って延びており、ネジ孔5aの中心軸(軸線)Aの延長線上に突起部6が位置している。脛骨Xや大腿骨等の太い骨に湾曲部4を係合させたときに押しネジ3が骨の外側面に対して圧迫に適した位置に配置されるように、湾曲部4の一端と他端との中間部と、ネジ孔5aの中心軸Aの延長線との間の距離Dは、15mm以上35mm以下であることが好ましい。
【0028】
突起部6は、湾曲部4の他端から支持部5側へ向かって突出している。
図3に示されるように、突起部6の先端の中央にはV字状の溝が形成されており、これにより、突起部6の先端には、尖端6bをそれぞれ有する2つの錐状の突起6aが形成されている。突起6aの尖端6bを脛骨Xの側面に食い込ませることで、突起部6を脛骨Xに対して固定することができるようになっている。
【0029】
突起部6の先端に設けられる突起6aの数は、2個に限定されるものではなく、1個のみまたは3個以上であってもよい。例えば、
図4に示されるように、比較的大きな1個の突起6aが設けられていてもよく、
図5に示されるように、円形に配列された3個以上の突起6aが設けられていてもよい。
【0030】
押しネジ3は、真っ直ぐな円柱状の軸部3aと、軸部3aの一端に設けられた略球状の頭部3bとを備えている。頭部3bの、軸部3aとは反対側の面は、骨プレート10のネジ孔10a内に嵌められ骨プレート10に押圧力を与える押圧面3cであり、凸状の略球面に形成されている。
【0031】
軸部3aは、側面にネジ山が形成され支持部5のネジ孔5aに締結可能な雄ネジであり、頭部3bの押圧面3cが突起部6側を向くようにネジ孔5a内に締結されている。軸部3aがその中心軸回りに回転することで押しネジ3がネジ孔5aの中心軸(軸線)上を長手方向に移動し、頭部3bが、突起部6に接近または離間する方向にネジ孔5aの中心軸Aの延長線上を移動するようになっている。
【0032】
次に、このように構成された骨手術用圧迫器具1の作用について説明する。
本実施形態に係る骨手術用圧迫器具1を用いてハイブリッドHTO法により変形性膝関節症を治療するためには、脛骨Xの高位外側面から内側に向かって、脛骨Xの長手軸に対して傾斜する方向に2つの切り込みを形成し、2つの切り込み間の骨片を所定の器具を用いて除去する。次に、
図1Aおよび
図1Bに示されるように、骨片の切除部位Yを跨ぐように脛骨Xの外側面に骨プレート10を配置し、切除部位Yよりも高位側において骨プレート10の上端部を脛骨Xにスクリュ20で固定する。
【0033】
次に、
図1Cに示されるように、フック部材2の湾曲部4を脛骨Xの側面に係合させ、突起6aの尖端6bを脛骨Xの内側面に食い込ませることで突起部6を脛骨Xの内側面に固定する。また、脛骨Xの外側面と支持部5との間に骨プレート10が挟まれるように、押しネジ3を支持した支持部5を配置する。
【0034】
続いて、切除部位Yよりも低位側に位置するネジ孔10a内に頭部3bの押圧面3cを嵌め、軸部3aを回転させることで押しネジ3を骨プレート10側へ進ませる。これにより、頭部3bと突起部6との間の距離が縮まり、頭部3bと突起部6との間に挟まれた脛骨Xと骨プレート10は、頭部3bと突起部6とによって互いに接近する方向に圧迫される。このときに、押しネジ3が移動するネジ孔5aの中心軸Aの延長線上に突起部6が位置するので、脛骨Xと骨プレート10には押しネジ3の移動方向であるネジ孔5aの中心軸A方向の圧迫力のみが加えられ、中心軸A方向にのみ脛骨Xと骨プレート10が移動する。
図1Dに示されるように、骨プレート10が脛骨Xの外側面に密着するまで軸部3aを回転させた後、骨プレート10の残りのネジ孔10aにスクリュ20を挿入して骨プレート10を脛骨Xに固定する。
【0035】
この場合に、脛骨Xと骨プレート10との位置合わせに際して、
図1Dに示されるように、脛骨Xの切除部位Yにおける2つの骨切り面Y1,Y2が互いに密着するように、切除部位Yの高位側および低位側に位置する脛骨Xの2つの部分X1,X2の位置合わせも行う必要がある。すなわち、脛骨Xの高位側部分X1と低位側部分X2とを互いに引き寄せるように長手軸方向の圧迫力を脛骨Xに加える必要がある。
【0036】
本実施形態によれば、上述したように、脛骨Xおよび骨プレート10に加えられる圧迫力の方向はネジ孔5aの中心軸A方向に一致するので、
図6に示されるように、脛骨Xの長手軸に対するネジ孔5aの中心軸Aの傾斜角度を調整することで、圧迫力の方向を容易に所望の方向に制御することができる。
【0037】
すなわち、脛骨Xの長手軸に対してネジ孔5aの中心軸Aが傾斜するようにフック部材2を配置することで、脛骨Xおよび骨プレート10に、脛骨Xの長手軸に傾斜する方向の圧迫力を加えて、脛骨Xと骨プレート10を互いに引き寄せる方向の脛骨Xの径方向の圧迫力と同時に、脛骨Xの高位側部分X1と低位側部分X2を互いに引き寄せる方向の長手軸方向の圧迫力を発生させることができる。脛骨Xの長手軸に対するネジ孔5aの中心軸Aの傾斜角度を大きくすることで、長手軸方向の圧迫力はより大きくなる。このようにして、脛骨Xと骨プレート10とが近接する方向および骨切り面Y1,Y2同士が近接する方向に同時に圧迫力を加えることで、骨切り面Y1,Y2間に隙間が生じないように、脛骨Xの高位側部分X1および低位側部分X2と、骨プレート10との3者の相対位置を調整することができるという利点がある。
【0038】
また、圧迫力の方向を変更するためには、脛骨Xに食い込んでいる尖端6bを一度脛骨Xから離し、突起部6の位置を脛骨Xの長手軸方向にずらした後に尖端6bを再び脛骨Xに食い込ませるだけでよい。このときに、頭部3bの押圧面3cが球状であるので、ネジ孔10a内で頭部3bを回転させることで頭部3bを支点として突起部6の位置を容易にずらすことができる。このように、脛骨Xおよび骨プレート10に加える圧迫力の方向を容易に変更することができるという利点がある。
【0039】
また、脛骨Xの高位側部分X1および低位側部分X2と、骨プレート10との位置合わせが一度で成功しなかった場合には、軸部3aを逆方向に回転させて押しネジ3を骨プレート10とは反対側へ後退させることで、圧迫操作を容易にやり直すことができるという利点がある。
【0040】
本実施形態においては、
図7に示されるように、骨手術用圧迫器具1を、スクリュ20のガイドピン40と組み合わせ使用することができるように、押しネジ3に、軸部3aの中心軸に沿って貫通し、ガイドピン40が貫通可能な貫通孔3dが形成されていてもよい。HTOにおいて一般に使用されるガイドピン40の直径を考慮して、貫通孔3dの直径は2mm以上であることが好ましい。
このようにすることで、貫通孔3d内に挿入されたガイドピン40に沿って押しネジ3が案内されるので、脛骨Xおよび骨プレート10に対する押しネジ3の位置および向きを安定させることができる。
【0041】
さらに、
図8に示されるように、ガイドピン40を支持部5内に径方向に挿脱するためのスリット2aがフック部材2に形成されていてもよい。スリット2aは、ネジ孔5aの内部と支持部5の外部とを連通するように支持部5の外周面から内周面まで貫通し、長手方向に全長にわたって形成されている。
このようなスリット2aを有するフック部材2によれば、ガイドピン40を脛骨Xに挿入した後に、スリット2aを介してガイドピン40を支持部5内に挿入することで、フック部材2を脛骨Xおよび骨プレート10に対して簡単に配置することができる。
【0042】
スリット2aは、
図9に示されるように、湾曲部4を介してネジ孔5a内にガイドピン40を挿脱するように形成されていてもよい。すなわち、湾曲部4および突起部6を2つに分割するように突起部6の先端からネジ孔5aまでの全長にわたってスリット2aが形成されていてもよい。
【0043】
本実施形態においては、押しネジ3の頭部3bを骨プレート10のネジ孔10a内に直接嵌めることとしたが、これに代えて、
図7に示されるように、ネジ孔10aに取り付け可能であり頭部3bを支持するプラグ7をさらに備えていてもよい。
プラグ7は、
図10に示されるように、骨プレート10のネジ孔10aに締結可能な雄ネジからなる接続部7aと、接続部7aの一端側に設けられ頭部3bを受け入れる受部7bとを備えている。受部7bは、接続部7aとは反対側に、頭部3bの略球状の押圧面3cと相補的な凹状の略球面からなり押圧面3cを支持する受け面7cを有している。
【0044】
骨プレート10のネジ孔10aに接続部7aが取り付けられたプラグ7の受け面7cに頭部3bを嵌めることで、頭部3bの押圧面3cから受け面7cを介して骨プレート10へ圧迫力を効率良く伝達することができる。
受け面7cの立体角は4ステラジアン以上であることが好ましく、2πステラジアン以上であることがより好ましい。このようにすることで、頭部3bの押圧面3cを受け面7cによって安定的に支持することができ、圧迫力の向きの調整に際して受け面7c内で頭部3bを回転させたときに頭部3bが受け面7c内から外れてしまうことを防止することができる。
受け面7cの形状は、必ずしも凹球面に限定されるものではなく、頭部3bの押圧面3cに外接する他の形状、例えば多面体形状であってもよい。
【0045】
プラグ7をガイドピン40と組み合わせて使用することができるように、プラグ7には、ガイドピン40が貫通可能な貫通孔7dが形成されていてもよい。貫通孔7dは、接続部7aの中心軸に沿ってプラグ7を貫通しており、受け面7cの中央に開口している。貫通孔7dの直径は、押しネジ3の貫通孔3dの直径と同様に、2mm以上であることが好ましい。
このようにすることで、ネジ孔10aおよび貫通孔7d,3dを貫通するガイドピン40によって、骨プレート10、プラグ7および押しネジ3の脛骨Xに対する位置をより安定させることができる。
【0046】
本実施形態においては、ネジ孔5aの中心軸Aの延長線上に突起部6が位置することとしたが、これに代えて、
図11に示されるように、ネジ孔5aの中心軸Aの延長線から該延長線に交差する方向にオフセットした位置に突起部6が位置していてもよい。
この場合、骨プレート10には、ネジ孔5aの中心軸Aに交差し突起部6のオフセット方向とは反対方向のモーメントが作用する。このモーメントによって、脛骨Xに対して骨プレート10を該骨プレート10の幅方向にも移動させて骨プレート10の位置調整を行うことができる。
【0047】
本実施形態においては、押しネジ3を進退させるための駆動力として、術者の人力を使用することとしたが、これに代えて、油圧または水圧を利用して押しネジ3を移動させてもよく、電動モータを使用してもよい。
また、本実施形態においては、骨プレート10を押圧して圧迫力を発生させるための加圧部材として、押しネジ3を使用することとしたが、これに代えて、他の加圧部材を使用してもよい。例えば、
図12に示されるように、加圧部材31が、雄ネジ3aに代えて、滑らかな側面を有する軸部31aを備えていてもよい。この場合、支持部51は、ネジ孔5aに代えて、滑らかな内面を有し加圧部材の軸部31aが長手方向に移動可能に嵌合するガイド穴51aを有していてもよい。軸部31aは、術者の所定の運動を軸部31aの長手方向の運動に変換する器具を使用して駆動されてもよい。
【0048】
例えば、
図12に示されるように、操作者がグリップ50aを把持したときのグリップ50aの揺動運動を軸部31aの長手方向の運動に変換する器具50を使用してもよい。操作者がグリップ50aに加えた力Fiと、加圧部材31に作用する力Foとの間には下記のような関係が成り立つように構成されていることが好ましい。
Fo=Fi×α (α≧1)
すなわち、器具50は、グリップ50aに与えられた力Fiを増幅して加圧部材31に伝達するように、構成されていることが好ましい。
グリップ50aが意図せずに反対方向に戻ることがないように、グリップ50aの戻りを防止するための機構が設けられていてもよい。このようにすることで、安定的に圧迫力を脛骨Xおよび骨プレート10に加え続けることができる。