(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6936903
(24)【登録日】2021年8月31日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】外科用切断器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
A61B17/3205
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-109778(P2020-109778)
(22)【出願日】2020年6月25日
(62)【分割の表示】特願2017-553955(P2017-553955)の分割
【原出願日】2016年4月11日
(65)【公開番号】特開2020-163212(P2020-163212A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年7月7日
(31)【優先権主張番号】14/689,938
(32)【優先日】2015年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】グエン,トアイ
(72)【発明者】
【氏名】バーマン,フィリップ・ジェイ
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−500106(JP,A)
【文献】
特表平11−504533(JP,A)
【文献】
特表2000−508206(JP,A)
【文献】
特表2014−529426(JP,A)
【文献】
特表2003−524479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32−17/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断先端部を有する第1の管状部材と、
切断窓を有する第2の管状部材であり、前記切断先端部が前記切断窓において選択的に露出されるように前記第1の管状部材が前記第2の管状部材の内部に同軸に配設されている、第2の管状部材と、
スリーブ部材であり、前記第1の管状部材および前記第2の管状部材は前記スリーブ部材の内部に同軸に配設されている、スリーブ部材と、
第3の管状部材であり、前記スリーブ部材が前記第3の管状部材の内部に同軸に配設されており、前記第3の管状部材が前記第2の管状部材に剛固定されている、第3の管状部材と、
近位部および遠位部を有する配向部材であり、前記配向部材は前記近位部において前記スリーブ部材を覆って摩擦嵌合されておりかつ前記遠位部において前記第3の管状部材にしっかり固定されており、前記配向部材は、前記配向部材にかけられる回転力を伝達して、前記第2の管状部材を前記スリーブ部材に対して回転させ、前記切断窓の空間回転を達成するために回転可能である、配向部材と
を含む、外科用切断器具。
【請求項2】
前記スリーブ部材の近位部が前記配向部材の前記近位部を通って遠位に延在している、請求項1に記載の外科用切断器具。
【請求項3】
前記第3の管状部材の近位部分が前記配向部材の内部で終端する、請求項1に記載の外科用切断器具。
【請求項4】
前記第3の管状部材の中間部が前記第1の管状部材の中間部分、前記第2の管状部材の中間領域、および前記スリーブ部材の湾曲部の周囲に同軸に配設されている、請求項1に記載の外科用切断器具。
【請求項5】
前記中間部、前記中間部分、および前記中間領域が可撓性である、請求項4に記載の外科用切断器具。
【請求項6】
前記第1の管状部材の前記中間部分および前記第2の管状部材の前記中間領域は螺旋状の切れ目を入れられている、請求項4に記載の外科用切断器具。
【請求項7】
前記第1の管状部材の近位部分に取り付けられている第1のハブと、
前記第2の管状部材の近位領域および前記スリーブ部材の近位端に取り付けられている第2のハブと
をさらに含み、
前記スリーブ部材の前記近位端は前記第2のハブに固く固定されている、
請求項1に記載の外科用切断器具。
【請求項8】
前記第3の管状部材が近位部分と遠位部分との間に中間管状体を含み、前記中間管状体が第1の可撓層および第2の可撓層を含む、請求項1に記載の外科用切断器具。
【請求項9】
前記第1の可撓層と前記第2の可撓層とが、反対方向に螺旋状の切れ目を入れられている、請求項8に記載の外科用切断器具。
【請求項10】
ハブ組立体をさらに含み、前記第2の管状部材が前記ハブ組立体の内部で選択的に回転可能である、請求項1に記載の外科用切断器具。
【請求項11】
前記ハブ組立体のハブが前記スリーブ部材に剛固定されている、請求項10に記載の外科用切断器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は外科用切断器具に関する。より詳細には、本発明は、切断窓の回転を容易にするようになされている外科用切断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]細長い内側部材が細長い外側管状部材の内部で回転する外科用切断器具が、手術部位へのアクセスが狭い入口または通路経由で得られる外科手術において広く受け入れられるようになってきた。通常、外側管状部材は、切断口または切断窓を画定している開口部を有する遠位端を含み、内側部材は、その窓において身体組織を切断する切断先端部を形成している遠位端を含む。内側部材および外側部材の近位端が一般にハブに固定されており、このハブは、内側部材を外側部材に対して回転させるかつ/または揺動させる動力付きハンドピースに取り付けられている。内側部材の切断先端部は、問題の外科手術(例えば、切断、切除、剥離、薄片採取(shaving)等)に特有の様々な構造を有することができ、切断窓は、切断先端部の特定の構造と協働するように適切に構成されている。切断、切除、または剥離の手技に起因する弛緩した組織が内側部材の中空管腔を通して吸引され得るように、内側部材は管状であることが多い。
【0003】
[0003]前述の外科用切断器具の使用が、一般に、切断窓/切断先端部を標的部位に送達すること、および切断先端部が所望の組織に対して「露出される」ように切断窓を位置決めすることを必要とする。このため、従来の外科用切断器具では、内側部材およびしたがって切断先端部がハンドピースに対して回転可能であるが、外側管状部材およびしたがって切断窓は回転可能ではない。すなわち、ハンドピースに対する切断窓の回転位置または空間位置が、大部分の利用可能な外科用切断器具では、固定されている。結果として、所望の組織に対して切断先端部を露出させるように切断窓を空間的に位置決めするために、外科医はハンドピースを物理的に移動させるかまたは回転させなければならない。多くの場合、これは、外科医が他の心地良くない位置に手を捻じることを必要とする。さらに、多くの外科手術が、特定の標的部位における様々な空間位置の組織が切断先端部により作用を及ぼされることを必要とする。したがって、標的部位での最初の配置時に、切断窓は手技の第1の部分のために適切に配向され得るが、異なる空間位置の組織もまた除去を必要とし、ひいては切断窓の空間位置が修正されるかまたは回転することを必要とする。再度、従来の外科用切断器具では、この手順仕様は、外科医がハンドピースの配向を物理的に変更し、したがって外科医の手に負担をかけることを必要とするかつ/または外科医が手技を一次的に休止しかつ患者に対して異なる身体位置へ移動することを必要とする。
【0004】
[0004]外科用切断器具が画像誘導手術(IGS:image guided surgery)システムと併せて使用された場合、さらなる懸念が生じる可能性がある。特に、IGSは、一般に、標的部位へ展開されたら、切断窓/切断先端部を位置合わせすることを必要とする。手技中に切断窓の空間配向が変更されなければならない場合、外科医は、一般に、ハンドピースおよびしたがって切断窓をより容易に再配向するために、患者から器具を除去する。これが行われると、切断器具の再挿入に続いて、切断窓/切断先端部はIGSシステムに対して再び位置合わせされなければならず、それにより、外科手術の時間を延長する。
【0005】
[0005]外科用切断器具がその長手方向長さに沿って1つまたは複数の屈曲を含む場合、切断窓の空間配向の変更を達成するために、外科手術中に外科用切断器具を除去する必要に日常的に直面させられる。基準点として、いくつかの外科用切断器具が、特にその外側管状部材は、それらの長手方向長さに沿って真っ直ぐであるかまたは直線状である。他は
、期待される標的部位組織に当接した切断先端部の配置を容易にするために、特定の手技に基づいて湾曲している。湾曲したまたは屈曲した構造では、切断窓はハンドピースの回転により不規則に移動し、屈曲または長手方向湾曲点の周りを効果的に回転する。このような状況で、次に、外科医が患者から外科用切断器具を最初に除去せずに切断窓の位置を正確に修正することは、事実上不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]外科用切断器具は極めて有用であり続けている。しかし、標的部位において切断窓の回転配向を容易にかつ都合よく変更するができないことは、完全には対処されていない。したがって、ユーザの可視性への影響を最小限に抑えて、ハンドピース操作に対する切断窓の回転を達成することができる外科用切断器具が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本開示の原理に基づくいくつかの態様が、第1の管状部材と、第2の管状部材と、スリーブ部材と、第3のスリーブ部材と、配向部材とを含む外科用切断器具に関する。第1の管状部材は、近位部分と、中間部分と、遠位部分とを有する。遠位部分は切断先端部を含む。第2の管状部材は、近位領域と、中間領域と、遠位領域とを有する。遠位領域は切断窓を形成している。切断先端部が切断窓において選択的に露出されるように、第1の細長い部材は第2の管状部材の内部に同軸に配設されている。スリーブ部材は近位端と遠位端とを有する。第1の管状部材および第2の管状部材はスリーブ部材の内部に同軸に配設されている。第3の管状部材は第1の管状部材の中間部分、第2の管状部材の中間領域、およびスリーブ部材の周囲に同軸に配設されている。配向部材は、配向部材にかけられる回転力を伝達して、第2の管状部材および第3の管状部材をスリーブに対して選択的に回転させ、切断窓の空間回転を達成するために回転可能である。
【0008】
[0008]本開示の原理に基づく他の態様が、第1の管状部材と、第2の管状部材と、スリーブ部材と、ハブ組立体と、配向部材とを含む外科用切断器具に関する。第1の管状部材は、近位部分と、中間部分と、遠位部分とを有し、遠位部分は切断先端部を含む。第2の管状部材は、近位領域と、中間領域と、遠位領域とを有する。遠位領域は切断窓を形成している。切断先端部が切断窓において選択的に露出されるように、第1の細長い部材は第2の管状部材の内部に同軸に配設されている。スリーブ部材は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間の中間部とを有する。第1の管状部材および第2の管状部材はスリーブ部材の内部に同軸に配設されている。第2の管状部材はハブ組立体の内部で選択的に回転可能である。ハブ組立体のハブがスリーブ部材に剛固定されている。配向部材は近位端と遠位端とを有する。配向部材は遠位端でスリーブ部材を覆って摩擦嵌合されており、第2の管状部材に剛固定されている。配向部材は、配向部材にかけられる回転力を伝達して、第2の管状部材をハブに対して回転させ、切断窓の空間回転を達成するために回転可能である。
【0009】
[0009]本開示の原理に基づく他の態様が、外科用切断器具を握持するステップを含む、外科用切断器具を使用する方法に関する。この器具は、第1の管状部材と、第2の管状部材と、スリーブ部材と、ハブ組立体と、配向部材とを含む。第1の管状部材は切断先端部を有する。第2の管状部材は切断窓を有する。切断先端部が切断窓において選択的に露出されるように、第1の管状部材は第2の管状部材の内部に同軸に配設されている。第1の管状部材および第2の管状部材はスリーブ部材の内部に同軸に配設されている。第2の管状部材はハブ組立体の内部で選択的に回転可能である。ハブ組立体はスリーブ部材に剛固定されている。配向部材はスリーブ部材を覆って摩擦嵌合されており、第3の管状部材に剛固定されている。配向ハブは、配向部材にかけられる回転力を伝達して、第2の管状部材をハブ組立体に対して回転させ、切断窓の空間回転を達成するために回転可能である。
本方法は、切断窓および切断先端部を標的組織において位置決めするステップと、切断先端部を回転させて、第1の領域内で標的組織を選択的に切断するステップと、切断先端部を標的組織に維持するステップと、配向ハブを回転させて、切断窓を選択的に再位置決めし、切断先端部を露出させて、第2の領域内で標的組織を切断するステップとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]本開示の原理による、組織を外科的に除去するための切断刃組立体を含む外科用切断器具の斜視図である。
【
図2】[0011]一実施形態による切断刃組立体の拡大側面図である。
【
図3】[0012]
図2の切断刃組立体の分解図である。
【
図4】[0013]
図2および
図3のスリーブ部材の拡大横断面図である。
【
図6】[0015]
図6Aは、本開示の態様による配向部材の別の実施形態の拡大斜視図である。
図6Bは、本開示の態様による配向部材の別の実施形態の横断面図である。
【
図7】[0016]本開示の原理による、
図2の切断刃組立体の近位領域の拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]外科用切断器具10の一実施形態が
図1に示されている。外科用切断器具10は切断刃組立体12とハンドピース14とを含む(
図1において全体が参照される)。構成要素は以下により詳細に記載されている。しかし、一般的には、切断刃組立体12は、第1の管状部材16と、第2の管状部材18と、スリーブ部材20と、第3の管状部材21と、配向部材22とを含む。
【0012】
[0018]
図2および
図3は、外科用切断器具10で有用な、本開示による切断刃組立体12の一実施形態を示す。第1の管状部材16は、近位部分24と、遠位部分26と、近位部分24と遠位部分26との間に延在している中間部分28とを含む。遠位部分26は切断先端部30を形成している。第2の管状部材18は、近位領域32と、遠位領域34と、近位領域32と遠位領域34との間に延在している中間領域36とを含む。遠位領域34は切断窓38を形成している。切断先端部30が切断窓38において露出されるように、第1の管状部材16は第2の管状部材18の内部に同軸に配設されている。管状部材16、18が互いにおよびハンドピース14に対して回転可能であるように、ハブ組立体40(例えば
図2参照)が第1の管状部材16および第2の管状部材18それぞれをハンドピース14に連結している。この関連で、以下により詳細に記載されている通り、スリーブ部材20および配向部材22は、ハンドピース14に対する第2の管状部材18およびしたがって切断窓38の回転を容易にする。
【0013】
[0019]第1の管状部材16は、開口近位端と遠位端との間に管腔を画定しており、遠位端はそこに経路/管腔と連通している開口部を有し、切断された身体組織が通って吸引され得る吸引入口を形成している。第1の管状部材16の内面および外面は、全般的に滑らかで棘がない。第1の管状部材16は、吸引経路が第1の管状部材16および第2の管状部材18の両方のハブ組立体40を通って連続的に延在し得るような長さを有する。特に、第2の管状部材18の遠位領域34が第1の管状部材16の遠位部分に近接しているように、第1の管状部材16は第2の管状部材18の内部に同軸に配設されている。
【0014】
[0020]第1の管状部材16は細長い管状体であり、遠位部分26内に形成されている遠位切断先端部30で終端している。第1の管状部材16は、実施されている手技に相応しいように、単一の方向に揺動するかまたは回転し得る。切断先端部30は、所望の外科手
術に適した任意の切断先端部である。第1の管状部材16の近位部分24、中間部分26、および遠位部28は、別々に機械加工され、組み立てられることが可能である。一実施形態では、第1の管状部材16の近位部分24の少なくとも1つの部分が、隆起した微細な綾目切りを含むように質感を付けられている。
【0015】
[0021]第2の管状部材18は、近位端と遠位端との間に延在している中心管腔を画定している細長い管状体である。第2の管状部材18の中心管腔は全体的に均一の内径を画定しており、全体的に一様に滑らかである。第2の管状部材18の外径が、安定性の増大のために、近位領域32において、遠位領域34においてより大きくされ得る。第2の管状部材18の近位領域32は、径方向に突出している環間で配設可能なOリングを収容するために離間されている、径方向に突出している環を含む。組み立てられると、第1の管状部材16の外面と第2の管状部材18の内面とが切断窓38への潅注経路を画定するように、第1の管状部材16は第2の管状部材18の中心管腔の内部に維持される。第2の管状部材18の中心管腔は、第1の管状部材16を内部に同軸に収容しかつ第1の管状部材16の壁と第2の管状部材18の壁との間に潅注経路を維持するような大きさに作製されている。
【0016】
[0022]スリーブ部材20は、近位部42と、遠位部44と、近位部42と遠位部44との間に延在している中間部46とを有する。スリーブ部材20の内径は、おおよそ、内部に第2の管状部材18を収容するような大きさに作製されている。近位部42は、第2の管状部材18の近位領域32の所の径方向環を収容するために、スリーブ部材20の残部より大きい内径を有し得る。
【0017】
[0023]第3の管状部材21は可撓部62を含む。組み立てられると、可撓部62は、第1の管状部材16の可撓中間部分28と、第2の管状部材18の可撓中間領域36と、スリーブ部材20の湾曲した中間部と長手方向に位置合わせされている。
【0018】
[0024]
図4にさらに示されている通り、第3の管状部材21は、管状体64と、第1の可撓層66および第2の可撓層68とを含む。管状体64は、近位部分72と遠位部分74との間に位置決めされている可撓中間部分70を含む。近位部分72および遠位部分74は剛性である。第3の管状部材21はステンレス鋼または他の適切な材料とすることができる。第1の可撓層66と第2の可撓層68とは反対方向(すなわち左右)に螺旋状の切れ目を入れられ(be spiral cut)得る。また、中間部分70は、一様な可撓性のために螺旋状の切れ目を入れられ得る。遠位部分74は先細になった端部を有する。
【0019】
[0025]窓配向部材22は、ハブ組立体40の遠位にある第2の管状部材18に沿って配設されている。配向部材22と第2の管状部材18とが単体として共に回転し得るために、配向部材22は第2の管状部材18に接着でまたは別の方法で取り付けられ得る。
図5A〜
図5Bをさらに参照すると、配向部材22は方向指示器50を含む。組み立てられると、ユーザが配向部材22を選択的に回転させるかまたは再位置合わせし、その結果として切断窓38が、除去される所望の組織に対向しかつそれに向かって開いているために、配向部材22の方向指示器50は第2の管状部材18の切断窓38と位置合わせされている。
【0020】
[0026]
図5Aおよび
図5Bは、切断刃組立体12で有用な配向部材22の一実施形態を示す。配向部材22は略管状の内側を有する。配向部材22は遠位部52と近位部54とを含む。遠位部52は、第3の管状部材21を適切に受容するような大きさに作製されている内径を有する。近位部54は、スリーブ21を受容するような大きさに作製されている内径を有し、遠位部52より小さい内径を有し得る。組み立てられると、第3の管状部
材21は、遠位部52内で終端し、スリーブ21は近位部54を通って延在している。近位部54の終端部は傾斜が付けられており、近位部54の内部でのスリーブ21の挿入および組立てを容易にすることができる。遠位部52の終端部は先細になった外面を有して、第3の管状部材21との結合を容易にすることができる。配向部材22の遠位部52は、Loctite(登録商標)、誘導結合、レーザ溶接、または他の適切な結合により、第3の管状部材21と結合され得る。一実施形態では、配向部材22は径方向内側の力をかけて、第3の管状部材21の不注意な回転を防止する(第2の管状部材18は第3の管状部材21に結合する)。スリーブ部材21の遠位部44は配向部材22の内部で終端する。配向部材22の外面が外科医により容易に握持され、第2の管18の遠位端の所の切断窓38の方向を手動で変更する。配向部材22は、外科医によりかけられる適切なトルクに応答して回転するだけである。方向指示器50は配向部材22から径方向に突出し得る。突出している指示器50は切断窓38と位置合わせされており、視覚および触覚のフィードバックをもたらす。一実施形態では、方向指示器50は聴覚および触覚のフィードバックを含み、切断窓38の配向の変更を指示する。一実施形態では、配向部材22は切断窓38の配向に別々の個別の変更をもたらす。一実施形態では、配向部材22は切断窓38が、外科医により所望されるいかなる回転方向にも配向されることを可能にし得る。
【0021】
[0027]
図6Aおよび
図6Bは、切断刃組立体12で有用な配向部材122の別の実施形態を示す。配向部材122は略管状の内側を有する。配向部材122は遠位部152と近位部154とを含む。遠位部152は、第3の管状部材21を適切に受容するような大きさに作製されている内径を有する。近位部154は、スリーブ20を受容するような大きさに作製されている内径を有し、遠位部152より小さい内径を有し得る。組み立てられると、第3の管状部材21は遠位部152の内部で終端し、スリーブ21は近位部154を通って延在している。近位部154の終端部は傾斜が付けられており、近位部154の内部でのスリーブ20の挿入および組立てを容易にすることができる。遠位部152の終端部は先細になった外面を有し、第3の管状部材21との結合を容易にすることができる。配向部材122の遠位部152は、Loctite(登録商標)、誘導結合、レーザ溶接、または他の適切な結合により、第3の管状部材21と結合され得る。一実施形態では、ウィープポート(weep port)148が接着結合のために含まれる。一実施形態では、配向部材122は、径方向内側の力をかけて、第3の管状部材21の不注意な回転を防止するコンプライアント部材(compliant member)である(第2の管状部材18は第3の管状部材21に結合される)。一実施形態では、配向部材122は、溝部158内に配設されている玉156を含む。組み立てられると、玉156は、スリーブ部材20内の陥凹部(図示せず)と結合される。別の実施形態では、配向部材122は遠位端上に陥凹部を含み、玉およびばね緊張緩和物(detente)(図示せず)を収容する。スリーブ部材20の遠位部44は配向部材122の内部で終端する。配向部材122の外面が外科医により容易に握持されて、切断窓38の方向を手動で変更する。配向部材122は、外科医によりかけられる適切なトルクに応答して回転するだけである。方向指示器150は配向部材122の外面に沿って直線状に突出し得る。一実施形態では、方向指示器は、視覚および触覚のフィードバックをもたらす矢印として形成されている。突出している指示器50は切断窓38と位置合わせされている。一実施形態では、方向指示器150は音声および触覚のフィードバックを含み、切断窓38の配向の変更を指示する。一実施形態では、配向部材122は、切断窓38の配向の別々の個別の変更をもたらす。例えば、配向部材122は、切断窓38が90°の増分で再配向されることを可能にし得る。調節された配向の他の度もまた、任意の回転方向への自由な調節を含んで適切である。
【0022】
[0028]
図2に戻って参照すると、第1の管状部材16および第2の管状部材18ならびにスリーブ20はハブ組立体40により近位で支持されている。配向部材22は外科医による操作を容易にするために、ハブ組立体40に隣接して位置決めされており、配向部材
22が切断先端部30の外科医の視野を隠さないことを確実にする。配向部材22、または配向ハブ22は、第2の管状部材18の遠位領域34の位置およびx軸に対するスリーブ部材の配向を変更することなく、ユーザが切断窓16の回転配向を選択的に変更することを可能にする。結果として、外科医は、第2の管状部材18を回転させることにより切断先端部30の迎え角(angle of attack)を変更しながら、外科用器具10を基本的に固定された位置に維持することができる。
【0023】
[0029]管状部材16、18それぞれの中間領域28、36は可撓性である。中間部分28と中間領域36とは位置合わせされており、切断刃組立体12の長さに沿って同軸に組み立てられている。部分28および領域36は、スリーブ部材20の中間部46により強いられる湾曲を受け入れ、ハブ組立体40においてかけられるトルクを切断先端部30に伝達し、十分な力で切断先端部30を回転させ、切断窓38を介して露出されている組織または他の身体構成要素を切断することができる。第2の管状部材18は、第1の管状部材16の中間部分を包囲する可撓中間領域36を含み、ユーザが、配向部材22を操作することにより、ハブ組立体40に対して第2の管状部材18を回転させることを可能にする。
【0024】
[0030]一実施形態では、第1の管状部材16および第2の管状部材18は、ステンレス鋼などの金属である。第1の管状部材16と同様に、第2の管状部材18は剛性近位領域32と剛性遠位領域3とを有し、可撓中間領域36は領域32と34との間に配設されている。中間部分28は螺旋状の切れ目を入れられて、一様な可撓性をもたらし、第1の管状部材16の近位部分24においてかけられるトルク(すなわち回転力)を、スリーブ部材20の中間部46により強いられる任意の湾曲を介して、遠位部分26に効率的に伝達することができる。中間部分28は左または右どちらかに傾斜した螺旋状の切れ目を入れられ得る。中間領域36と中間部分28とは逆方向に螺旋状の切れ目を入れられている。例えば、中間領域36は、左に傾斜した螺旋状の切れ目を入れられており、中間部分28は右に傾斜した螺旋状の切れ目を入れられており、切断刃組立体12の構造的完全性を損なうことなく、切断刃組立体12がいずれの方向にも回転することを可能にする。
【0025】
[0031]
図2および
図3を参照すると、ハブ組立体40は、第1のハブ組立体82と、第2のハブ組立体84と、締結具86とを含む。以下に記載されている通り、第1のハブ組立体82は第1の管状部材16を維持し、第1の管状部材16のモータ(図示せず)への接続を容易にする。第2のハブ組立体50は動的シール88と外側ハブ90とを含む。第2の管状部材18は外側ハブ90の内部から遠位に延在している。
図1を参照すると、締結具90は、ハブ組立体82、84を、ハンドピース14の内部に取外し可能に固定している。第2のハブ組立体84は、外科用切断器具10に適した多種多様な形態を取り得る。
【0026】
[0032]第1の管状部材16は第2の管状部材18と組み立てられ、組立てられたハブ82、84はハンドピース14(図示せず)の内部に同軸に受容され、第1の管状部材16および第2の管状部材18はハブ組立体82、84の遠位に延在している。内側ハブ組立体82と外側ハブ組立体84とは協働して、第1の管状部材16と第2の管状部材18との回転関係を容易にする。ハンドピース14は、内側刃組立体16と外側刃組立体の両方、第1の管状部材16および第2の管状部材18を支持する。以下により詳細に記載されている通り、第1の管状部材16の回転が切断先端部30に移されて、処置部位において標的組織を選択的に除去することを達成する。この構造では、吸引された液体および固体(図示せず)が、封止された経路経由で第1の管状部材16の管腔を通して、切断先端部30から送達され得る。また、第2の管状部材18への潅注液の流動および第1の管状部材16を通した吸引を達成することができる他の構造が考えられる。
【0027】
[0033]
図7を参照すると、締結具86は、ねじ山92から離れて遠位にかつ径方向外側に延在している有翼つまみ94を含む。有翼つまみ94は、切断刃組立体12をハンドピース14に係合させるかまたはそこから取り外すために(例えば、
図1参照)、締結具86のねじ山92の取扱いおよび回動を容易にするために構成されている。このようにして、締結具86は、ハンドピース14の内部で外側ハブ組立体84に取外し可能に固定されている(すなわち、ねじ山92はハンドピース(図示せず)内のねじと結合可能である)。また、他の係合機構および解除機構が許容可能である。一実施形態では、2つの有翼つまみ94が含まれ、締結具86の対向側部上に配設されている。また、有翼つまみ94の他の量および構造が適切であり得る。一実施形態では、ねじ山92は、ハンドピース14の内部で固定する場合、締結具86が180°回動することを可能にするために設けられている。外科用切断器具10が使用中である時に締結具86がハンドピース14から不用意に外れないようにするために、十分なねじ山92が含まれている。いかなる観点においても、ユーザが有翼つまみ94を押し回すことにより締結具86を回転させて、ねじ山92をハンドピース14から解除するまで、外側ハブ組立体84、および切断刃組立体12をハンドピース14に固定するのに適切なねじ山92が設けられている。一実施形態では、周囲切欠きが近位端に含まれている。組み立てられると、Oリング95が周囲切欠き内へ挿入可能であり、外側ハブ90に当接して配置され、動作中、切断器具10の、特に軸方向の、振動のいくらかを低減するかまたは吸収することができる。
【0028】
[0034]外側ハブ90は首状部96と基部98とを含む。径方向肩状部100が首状部96と基部98との間に画定されており、首状部96の外径から基部98の外径まで径方向に延在している。首状部96は、締結具86の内部でそれを通って延在するような大きさに作製されており、そうなるように構成されている。通路102が首状部96および基部98を通って延在している。潅注入口104は外側ハブ84の外面から延在しており、通路102と流体接続している。一実施形態では、通路102はハブ組立体40の長手方向軸に沿って延在しており、潅注入口104は外側ハブ84の外面に対して垂直に延在している。本開示の態様によれば、潅注入口104はハンドピース14の内部に配設されており、ハンドピース14に組み立てられると、流体経路および潅注口に流体接続している。
【0029】
[0035]第2の管状部材18は通路102の内部で延在しており、潅注入口104が第2の管状部材118の管腔と自由に連通するように、潅注入口104の遠位で終端している。窓配向部材22は外側ハブ組立体84の内部から遠位に延在している。等に、スリーブ部材21は第2の管状部材18の周囲に同軸に延在しており、外側ハブ84の内部で終端している。スリーブ部材21の近位端が、第2の管状部材18の近位領域32の近位端とおおよそ同一平面で終端している。シール環95が、第2の管状部材18の近位領域32上に形成されている径方向環間に配設されており、第2の管状部材18の近位領域32とスリーブ部材20との間の流体密シールを容易にする。スリーブ部材21は外側ハブ84の内部に接着剤で取り付けられ得る。少なくとも1つの接着剤ウィープポート48が通路102の長さに沿って延びている長手方向軸に対してある角度で、かついくつかの場合には垂直に、延在している。少なくとも1つの接着剤ウィープポート106は、通路102に直接に流体接続しており、また、外側ハブ84の外面に流体的に開いている。スリーブ部材21を外側ハブ90の通路102の内部に接着するのに使用された場合、スリーブ部材21の挿入後またはこの挿入により、接着剤(図示せず)が遠位端内に挿入され、組立て中、過剰な接着剤が、首状部96を少なくとも1つの接着剤ウィープポート48において出ることができる。
【0030】
[0036]
図7を続けて参照すると、第1の管状部材16は、第2の管状部材18の近位端を越えてかつ外側ハブ90の近位端部に配設されている動的シール88を通って延在しており、内側ハブ組立体82(図示せず)と接続している。動的シール88は第1の管状部材16の周囲で流体封止している。加えて、以下により詳細に記載されている通り、外側
ハブ90の外面は、潅注入口104のどちらかの側(すなわち近位および遠位)でシール環95(例えばOリング)を受容するようになされており、外側ハブ90とハンドピース14(図示せず)との間で流体密シールを達成する。組み立てられると、また、シール環95は径方向振動の減衰を実現することができ、それにより、切断先端部30における振動を低減する。いくつかの実施形態では、動的シール88およびシール環95は、テフロン(登録商標)などのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料であるが、他の適切な材料もまた許容可能である。
【0031】
[0037]一実施形態では、外側ハブ90は識別口114を含む。識別口114は無線自動識別デバイス(RFID)を許容するように構成されている。RFIDは、切断器具14がハンドピース14と組み立てられた場合に統合パワーコンソール(IPC:intgrated power−console)に転送される、切断器具14の、例えば大きさおよび刃の種類を識別するデータを含む。IPC(図示せず)は、RFIDから情報を受信すると、電力を供給して、切断器具10を、適切な速度ならびに特定の切断器具10に適した流体および吸引で動作させ得る。また、例えば磁気ホールセンサなどの、他の切断器具識別システムが許容可能である。
【0032】
[0038]
図7をさらに参照すると、第3の管状部材21の近位部分72は、配向部材22の遠位端内へ延在しており、接着剤または他の適切な手段により、配向部材22に固定取付けされている。第3の管状部材60の遠位端は第2の管状部材18に接着されている。スリーブ部材20の遠位端は、第2の管状部材18および配向部材22に対する摩擦関係を維持する。前段で論じられている通り、スリーブ部材21は外側ハブ90に接着されている。配向部材22の手動回転が、第3の管状部材21および第2の管状部材18ならびに切断窓38の回転を容易にする。
【0033】
[0039]最終組立て時、切断先端部30は切断窓38の所に位置決めされており、前段で論じられている通り、2つの構成要素は互いに対して回転可能である。例えば動力付きハンドピース14により、第1の管状部材16がその近位端で回転可能に駆動されると、切断先端部30の表面または縁部は、第2の管状部材18にある切断窓38と協働して、組織を剪断し、切断し、またはその薄片を採取する。組み立てられると、第1の管状部材16の外表面は生体適合性タングステン−炭化物/炭素被覆で被覆されて、第1の管状部材16と第2の管状部材18との間の磨耗および摩擦の減少を防止する。放電加工(EDM)、電解加工(ECM)、機械加工、化学加工、微小電気機械システム(MEMS)処理、または他の適切な微細機械加工法が用いられて、第1の管状部材16および第2の管状部材18、特に切断先端部30および切断窓38を形成することができる。一実施形態では、遠位領域34は第2の管状部材18の残部にレーザビーム溶接され、遠位部分26は第1の管状部材16の中間部分28にレーザビーム溶接される。
【0034】
[0040]
図2に示されている通り、スリーブ部材21は、中間部46において湾曲しているかまたは屈曲しており、切断先端部30を角度的にずらしている。湾曲した中間領域46は、真っ直ぐな器具を用いて他の方法で到達することが困難な手術領域上で外科用器具10が動作することを可能にする。
図7をさらに参照すると、剛性固定スリーブ部材21は、第2の管状部材18および第1の管状部材16の周囲に同軸に配設されている。
【0035】
[0041]外科用切断器具10は、頭蓋内腫瘍および脊髄腫瘍の外科的処置(すなわち除去)(ならびに可能性のある他の外科的処置)において非常に有用である。この関連で、本開示の態様による腫瘍の処置が、患者の頭蓋骨にアクセス開口部を形成すること(例えば従来の開頭術)を含む。脳腫瘍がある標的部位が露出されたら、システム10は、それが軟部腫瘍か繊維腫瘍かどうかに関わらず、脳腫瘍の少なくともいくらか、好ましくは全てを除去するように動作する。
【0036】
[0042]外科医が遠位部44を腫瘍に隣接して位置決めしたら、外科医は、切断窓38を脳腫瘍に隣接してかつ/またはその中に位置決めするために、ハンドピース14および/または配向部材22、122を操作する。湾曲したスリーブ部材21により画定されている切断刃組立体12の湾曲または屈曲は、外科医の手およびハンドピース14が顕微鏡の視野の外に留まっていることを容易にし、手技の可視化を補助する。切断器具10の第1の管状部材16の回転が、IPC(図示せず)による起動により達成される。(ハンドピース14との間の接続により)制御装置/IPCは、第1の管状部材1に関する選択的回転制御が、標的部位を壊死組織切除するかまたは別途切断するために、切断器具10の高速回転を引き起こすことを可能にする。腫瘍の特定の配置に応じて、切断器具10は、外科医の手(単数または複数)を明白に捻じること(twisting/contortion)なく、腫瘍を斜めに横断してまたは下方に操作され得る。
【0037】
[0043]一実施形態では、窓配向部材は手動で操作されて、切断窓を任意の径方向に配向することができる。ユーザにより適切な回転圧力がかけられて、窓配向部材22およびしたがって切断窓38を再配向するまで、スリーブ部材21との配向部材22の摩擦係合が切断窓38を定位置に保持する。外科医の手の一方がハンドピース14の基部を握持する一方、外科医の他方の手が、第2の管状部材18(およびしたがって切断窓38)に別途取り付けられている配向部材22を握持する。正確に保持されたら、外科医は、次いで、彼の/彼女の手を強制的に回転させることにより、配向部材22にトルクをかける。
【0038】
[0044]本開示が好適な実施形態を参照して説明されたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更が施され得ることが、当業者には理解されよう。