(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本明細書では図面に示した例示的な諸実施形態を参照し、それらを具体的な表現で説明する。ただし、これらは本発明の範囲を限定するよう意図したものではないことが理解されるであろう。本開示を所持した当業者であれば考案するであろう、本明細書で例示した進歩性のある特徴の修正形態および変更形態、ならびに本明細書で例示した本発明の原理の付加的な応用は、本発明の範囲内と見なされる。
【0014】
定義
本明細書において、単数形は、別段の断りがない限り、複数形も含むことができる。そのため、例えば、「ペレット」または「1つのペレット」(a pellet)は、文脈に応じ、そのようなペレットを1若しくはそれ以上含むことができる。
【0015】
本明細書における用語「空包」(firearm blankまたはblank cartridge)は、銃器で使用可能な周知の空包をいう。そのような空包は火薬を含むが、弾頭または散弾は含まない。そのため空包が発射されると、散弾またはスラッグ弾を伴わない高速の圧力波のみが生じる。
【0016】
本明細書における用語「実質的に」(substantially)は、作用、特徴、特性、状態、構造、単位体(アイテム)、または結果の完全またはほぼ完全な程度または度合いをいう。任意の例として、「実質的に」封入された物体とは、完全またはほぼ完全に封入(封止)された物体である。絶対的な完全性からの逸脱に関する厳密な許容度は、場合により、特定の文脈に応じて異なる。ただし、一般的に言うと、完全性への近さは、絶対的かつ総体的な完全性が得られた場合と同じ全体的な結果を有するためのものである。「実質的に」の使用は作用、特徴、特性、状態、構造、単位体、または結果の完全またはほぼ完全な欠如をいう否定的な意味合いで使用される場合も、等しく適用される。別の任意例としては、ある成分または要素が「実質的にない」組成物も、実際は、その結果として効果が測定できない範囲内で、当該成分または元素を含む場合がある。
【0017】
本明細書における用語「約」(about)は、所与の値が一定の数値範囲の端点より「わずかに大きく」または「わずかに小さく」てもよいとして、その端点に柔軟性を与えるため使用される。
【0018】
本明細書では、本発明の種々の構成要素を記述および主張するため、相対的方向を示す用語が使用される場合もある。そのような用語としては、「上方へ」(upward)、「下方へ」(downward)、「水平な」(horizontal)、「垂直な」(vertical)などがあるが、これに限定されるものではない。これらの用語は、一般に限定を目的としたものではなく、本発明の種々の特徴を最も明確に記述および主張するため使用される。そのような用語は、何らかの限定を含むものでなければならない場合、本開示の文脈で当業者により一般に知られ理解されている用途に限定されることを目的とする。
【0019】
本明細書において、複数の単位体、構造要素、組成物の要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストで示す場合がある。ただし、これらのリストは、そのリストの各構成要素が別個で一意の構成要素として個々に識別される場合と同様に解釈すべきである。そのため、そのようなリストの個々の構成要素と、同じリストの他の任意の構成要素とは、別段の断りがない限り、共通の群内における各々の表現だけに基づいて、事実上等価であると解釈すべきではない。
【0020】
数値データは、本明細書において範囲形式で表現または提示される場合がある。そのような範囲形式は、単に便宜的かつ簡略的に使用されるものであるため、範囲の限界値として明示的に記載された数値を含むだけでなく、当該範囲内に含まれる個々の数値または部分的な範囲も各数値および部分的な範囲が明示的に記載された場合同様にすべて含むものとして、柔軟に解釈すべきであることを理解すべきである。その一例として、「約1〜約5」という数値範囲は、明示的に記載された値である約1〜約5を含むだけでなく、指示された範囲内の個々の値および部分的な範囲も含むものと解釈すべきである。そのため、この数値範囲に含まれるのは、個々の値、例えば2、3、および4、ならびに部分的な範囲、例えば1〜3、2〜4、および3〜5など、そして個別の1、2、3、4、および5である。
【0021】
これと同じ原則は、最小値または最大値としての単一数値だけからなる範囲にもあてはまる。さらに、そのような解釈は、説明される範囲の幅または特徴にかかわらず適用されるべきである。
【0022】
本発明
本技術は全体として非致死性武器システムに関し、場合により、投げ輪式捕捉(ensnarement)または絡め取り式捕捉(entanglement)システムと呼ばれ、攻撃的な若しくは逃走中の対象者の進行を妨げ若しくは拘束する一助として効果的に使用できる。法執行者、警備員、または軍事要員が対象者を拘束することが必要な状況にあり、かつ致死性の若しくは危害を及ぼす力を使った至近距離の格闘を望まない場合に、対象者の歩行、走行、または腕を使用する能力を一時的に妨害するために本技術に係る装置を使用すると有利である。本技術は、対象者が通常態様で動き続けることが困難になる程度まで、対象者の腕部または脚部が一時的に係留または結束される態様をもたらす。
【0023】
本技術は対象者の任意の身体部分へと方向付けが可能であるが、以下の説明では主に本技術を使って対象者の脚部を一時的に係留または結束することに主眼を置いている。ただし、本技術はこの用途に限定されるものではないことを理解すべきである。一部のケースでは、対象者身体の複数部分、例えば腕部および脚部の双方を標的とすることができる。
【0024】
図1〜5に略示しているように、本技術は、対象者の脚部に向けて展開できる絡め取り式捕捉用発射体(entangling projectile)を提供する。この発射体は、少なくとも1つの可撓性テザー16と、そのテザーに一体的に連結された少なくとも2つのペレット14とを含む。前記絡め取り式捕捉用発射体を対象者に係着させることにより、その対象者は一時的に部分的または完全に無能化されるため、逃走または攻撃する能力を制限される。本技術の前記絡め取り式捕捉用発射体は、ランチャー(launcher)により対象者(
図3A〜4の100)に向けて発射される。本明細書で説明するランチャーのほかにも適切なランチャーの例は多数提供されており、その例として、上記で参照した親案件、2016年3月25日付で出願された米国特許出願第15/081,440号があり、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そのようなランチャーは、エネルギー源、例えば圧縮気体、爆薬または可燃物、機械バネなどを含むことができる。
【0025】
一般的に言うと、本絡め取り式捕捉用発射体と併用するランチャーは、対象者100に向けて比較的高速で前記発射体を発射する。通常、前記発射体は、約6フィート〜約30フィート(1.8〜9.1メートル)の距離から対象者に向けて展開し、約0.0075〜約0.0375秒以内に(約800フィート/秒(243.8m/s)で移動)当該対象者に係着できる。前記ランチャーから展開されたのち、当該絡め取り式捕捉用発射体は前記対象者の脚部に2または3回若しくはそれ以上巻き付いて、当該対象者を一時的に効果的に動けなくする。前記絡め取り式捕捉用発射体は任意の距離から発射できるため、法執行者は対象者から安全な距離を維持しながらも、効果的かつ安全にその対象者を一時的に拘束、対象者の動作を停止、または妨害できる。
【0026】
図4は前記絡め取り式捕捉用発射体の動作を略示する。ランチャーによりリリースされたのち、前記発射体12は対象者100へ向かって移動する。前記発射体が前記対象者へ向かって移動するに伴い、ペレット14が互いから離れる方向へ移動すると、結果的にその2つの間で前記テザー16に実質的に張力がかかる。前記発射体が前記対象者に係着すると(
図4に示した例では当該対象者の脚部に係着)、前記ペレットおよびテザーが当該対象者に巻き付いて、当該対象者に一時的に絡み付き、および/または対象者の動作を停止させる。
【0027】
本技術には多種多様なペレットおよびテザーの組み合わせを利用できる。
図1〜4に示した例において、前記発射体12は、単一のテザー16により連結された2つの汎用ペレット14を伴って示されている。2より多くのペレットも利用できるが、本明細書に示した例はペレットを2つだけ含む。一部の実施形態において、本発明は、2つであって、2つのみのペレットが単一テザーにより連結されたものに限られている。一態様において、本発明は2つのペレットおよび単一のテザーから成る。一態様において、本発明は本質的に2つのペレットおよび単一のテザーから成る。前記ペレットの数を2つに制限すると、結果的に、より効果的な展開システムが得られることがわかっている。それにより前記テザー16が絡まるリスクが軽減され、前記ペレットは前記ランチャーから展開されると、はるかにスムーズかつ迅速に互いから離れ拡散する。この結果、展開後の軌跡がより一貫する。また、この構成では、適切なランチャーの構成により、前記発射体をより正確に対象者へ方向付けることができる。
【0028】
図5は、前記絡め取り式捕捉用発射体12のさらに別の特徴を例示したものである。上記のように、前記発射体はテザー16の対向しあう端部に連結された2つのペレット14を含む。この実施形態では、2つであって、2つのみのペレットが提供され、単一のテザー16のみで連結される。ペレットを2つだけ使うと、著しくクリーンで正確な発射体を対象者へ方向付けることができ、その発射体をより効果的に対象者に係着させられる点で有利であることがわかっている。前記ペレット14は、例において方向を示すインジケータ102および104で示した等しい逆向きの力をテザー16にかけることができる。これにより、前記テザーは互いから離れる方向へ移動する前記ペレットの力により直線状構成になるよう張力がかかる。
【0029】
前記テザー16は、それに連結された付加的な構造を、そこから延出する付加的な構造を備えて含まなくともよい。これにより、前記ペレット14は、まっすぐで中断されない直線状の構成へと前記テザーを引張ることができる。前記テザーおよびペレットは、対象者に接触する直前に、実質的に共通した平面106を占める構成になることができる。図示したように、この平面106は通常「真の」水平方向108とオフセット角を成すが、これは前記ペレットが対象者への接触前にそれぞれ異なる高さに位置するためである(以降、詳述するように)。付加的なペレットまたはテザー、あるいは他の余分な構造を省くことにより、本技術は、著しく高い係着成功率で対象者に係着する絡め取り式捕捉用発射体を送達することができる。
【0030】
図1は、前記発射体12がその全長L0へと延長したものを例示している。一実施形態において、前記テザーの全長はペレットのサイズ(Lp)よりもはるかに長い。前記全長は、7フィート(2.14メートル)のオーダー若しくはそれ以上にできる。前記ペレットは、1インチ(2.54cm)オーダーの長さLpと3/8インチ(0.95cm)オーダーの直径Dpとを有することができる。本技術の異なる実施形態は可能であるが、一般に、前記ペレットを比較的小さいサイズに保つことにより展開前に前記ペレットを収容する前記発射体のケーシングの全体的なサイズ要件を制限し、万一ペレットが対象者に当たったときの衝撃を軽減することが望ましい。これにより、本技術は軽量の手持ち式装置を提供できる。
【0031】
前記テザーの長さ/重量に対するペレットの直径、重量、および長さの関係は、前記絡め取り式捕捉用発射体の性能に大きな影響を及ぼしうる。ペレットの直径を約0.330インチ(0.84cm)、長さを約1〜1.5インチ(2.54〜3.81cm)、重量を約5〜6グラムにして、これを約7フィート(2.13m)、重量約1グラムのテザーと組み合わせると、効果的な絡め取り式捕捉用発射体が得られることがわかっている。後述するケーシングは、そのような絡め取り式捕捉用発射体を高い精度と信頼性で効果的に送達するよう設計されている。
【0032】
前記テザー16は種々の材料から形成できる。一態様において、前記テザーは従来のナイロン材料から形成される。ワックス加工したコードも使用でき、これは前記テザーをテザー区画に適切に収納し、その中に当該前記テザーが留まるよう梱包し、および/または巻く上でワックスが役立つためである。一実施形態において前記テザーは伸縮性材料から形成できる。
【0033】
一例において、前記テザーは太さ約0.1mmのケブラー(商標)コードから形成される。ケブラーテザーは、いくつかの理由で良好に機能することがわかっている。ケブラーテザーは非常に強靱で、他のコードよりも切れにくい。また、傾向としてケブラー材料は、他材料と異なり接着剤を吸収しないため、接着剤の乾燥時間または硬化時間を最小限に抑え、コードの長さに沿って吸収、硬化した接着剤でコードが固くなる傾向を抑える。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態に係る例示的な絡め取り式捕捉用発射体の1つ12cの一部を例示したものである。この例において、ペレット14cは、より正確および効果的に対象者に係着する上で役立つ種々の特徴を含んで提供される。テザー16の一部はアクセスホール166bから延長して示されており、アクセスホール166bは全体として前記ペレット14cの軸部に、またはこれを貫通して設けられる。前記テザーは、アクセスホール166bを通じて塗布した接着剤を使って前記軸部に固定できる。フックアセンブリ180は、当該ペレットの軸部の頂部に取り付け、アクセスホール166aを通じて接着剤を塗布することで前記軸部に固定することができる。アクセスホール166aおよび166bはロゼット状に機能するものであり、これらを使うと、前記フック構造またはペレットを、前記テザーに若しくは互いに連結できる。
図6の実施形態において、前記フックアセンブリ180は望ましい位置に配置でき、少量の接着剤または他の合着材料をアクセスホール166aから適用して前記フックアセンブリを定位置に取り付けることができる。アクセスホール166bは、同じ態様で容易に使用して、前記テザー16に前記ペレット14bを取り付けることができる。
【0035】
本発射体は種々のランチャーと併用できるが、
図7〜13は、対象者に向けて前記絡め取り式捕捉用発射体を効果的に方向付ける上で利用できる例示的なシステムの1つを例示している。
図7の分解図に示すように、この発射体展開システム40は、一般に、一対のペレット14a、14bと、それらのペレットを連結するテザー16とを含んだ絡め取り式捕捉用発射体を含む(なお、他の構成要素をより明瞭に説明するため、これらの図の多くからは前記テザーを省いている)。発射体ケーシング44は、一対のソケット30a、30bを含むように設けられている(例えば、
図8、10、および11を参照)。各ソケットは、前記一対のペレットのうち1つを受容できるようサイズ設定および成形できる。すなわち示した例では、ソケット30aがペレット14aを受容し、ソケット30bがペレット14bを受容する。
【0036】
前記発射体ケーシング44は、選択的に作動可能な圧力源50を含むことができる(
図9〜12)。この圧力源は、前記ランチャーまたは当該システムの他の構成要素から独立して、前記発射体ケーシングに収容できる。この圧力源は、前記発射体ケーシングから対象者100に向けて前記絡め取り式捕捉用発射体を発射できる。当該システムは、ランチャー42を含むこともでき、このランチャー42は、前記圧力源を作動させて前記発射体ケーシングから対象者に向け前記絡め取り式捕捉用発射体を発射するよう動作可能な作動装置(アクティベータ)を収容する。作動装置54の一例については、
図13に関連付けて以下でより詳しく説明する。
【0037】
前記発射体ケーシング44は、前記ランチャー42に着脱自在に係合できるため、当該発射体ケーシングから前記絡め取り式捕捉用発射体12を発射したのち、当該発射体ケーシングを前記ランチャーから取り外すことが可能である。これにより、本技術は、前記ランチャー42および前記発射体ケーシング44という2つの別個かつ区別可能な構成要素を含む展開システムを提供する。一実施形態において、前記ペレット14a、14bおよびテザー16は、前記圧力源50同様、前記発射体ケーシングにより収容される。前記作動装置(
図13の54など)は、前記ランチャーに収容される。一般に、前記作動装置の給電に必要なすべての構成要素は前記ランチャーに収容され、前記発射体の発射に必要なすべての構成要素は前記発射体ケーシングに収容される。これにより、本ユニット全体は、前記ケーシング44および前記ランチャー42が機能的に係合し合うまで動作可能にならない。これら2つが互いに係合すると、前記ランチャー42(および前記作動装置54)の動作の結果、前記ケーシング44から前記絡め取り式捕捉用発射体が発射される。
【0038】
示した例では、ランチャー42が
図13に関連して以下でより詳しく説明するトリガーパネル46を含む。一般に、前記トリガーパネルを作動させると、前記ランチャー42が前記圧力源50を作動させ、前記絡め取り式捕捉用発射体が前記ケーシング44から発射される。前記発射体が特定の発射体ケーシングから展開されると、そのケーシングを取り外し、事前装填された絡め取り式捕捉用発射体12および圧力源を備えた新たな発射体ケーシングを前記ランチャー内に設置することができる。第1のケーシングの作動および新たなケーシングとの交換は、数秒で行える。そのため、法執行者、警備員、軍事要員などは、使用済みの発射体ケーシングを、前記ランチャーですぐ作動できる装填済みの新たな発射体ケーシングと非常にすばやく交換できる。
【0039】
前記ケーシング44には当該システムの使い捨て構成要素をすべて含めることができるため、前記ランチャー42は耐用期間を長期にでき、交換または保守が必要になったとしても、それはまれである。前記絡め取り式捕捉用発射体12および圧力源50は、管理された環境で前記発射体ケーシング内に装填でき、これによりクリーンで効果的な展開が一貫して確実に行える。発射体ケーシングは、装填されてすぐに使える状態で法執行者に提供でき、当該法執行者は前記発射体ケーシングを前記ランチャーに挿入するだけでよい。前記装置の最終使用者が前記発射体ケーシングに圧力源および絡め取り式捕捉用発射体を再充填することも考えられるが、それは必要なことではなく、発射体ケーシングに前記絡め取り式捕捉用発射体および前記圧力源の双方を予め装填したほうが品質をはるかに適切に管理できると考えられる。
【0040】
前記ケーシング44は、種々の態様で前記ランチャー42内に受容できる。一実施形態では、前記ケーシングを前記ランチャー内に「スナップ嵌合」させて、1若しくはそれ以上の機械式ロック(詳細は図示せず)で定位置にしっかり保持することができる。前記ロックは、前記ケーシングを前記ランチャーから取り外すことが望ましいとき、最終使用者により容易に係合解除できる。
【0041】
図8は前記ケーシング44の正面図を例示したものである。この図では、ペレット14a、14bがソケット30a、30bにそれぞれ格納され、使用準備が整っていることわかる。テザー格納区画32は設置可能で、前記発射体ケーシング内に成形した凹部で構成して、使用前に前記テザー(この図では示さず)が前記ペレットに隣接して格納されるようにできる。前記発射体ケーシングは、前記テザーおよび前記ペレットの周囲に保護ポケット58を形成するように機能するシュラウド(隔壁)56を含む。
図7に示すように、前記ポケットを混入物質へのばく露から保護し、および/または前記発射体ケーシング内に前記絡め取り式捕捉用発射体を収容するために、カバー57が前記ポケット58に装着され、シュラウド56に取り付けられる。
【0042】
図9〜12に示した例において、前記圧力源50は空砲を有する。このタイプの圧力源は火薬を含むことがよく知られており、通常、前記空砲のカートリッジ内に形成された銃用雷管(プライマー)を叩打することにより作動される。前記空包はスラッグ弾を含まず、そのカートリッジを発火させると、単に高圧波が前記発射体ケーシングから発せられる。この高圧波は、当該システムから高速で前記絡め取り式捕捉用発射体を推進するよう本技術に利用される。本発明の一実施形態において、前記空砲は、前記カートリッジが1度しか発火できないようにするため、前記カートリッジに取り外し不能に取り付けられる。これにより、カートリッジの装填を管理された製造環境で行うことで適切なカートリッジの使用を保証し、カートリッジが適切に装填されるようにし、それ以外の場合は前記ケーシング44が使用できないようにできる。前記カートリッジは、接着剤、機械式圧着などで前記ケーシングに固定できる。
【0043】
前記ケーシング44に前記空砲50を取り外し不能に装填することにより、実際の弾丸または「本物の」カートリッジ(実包)が前記ケーシングに誤って挿入されるリスクはほとんど若しくはまったくなくなる。また、中心孔60の長さおよび構成は、適切に設計された空包50以外のものが挿入されることを防ぐよう構成できる。
【0044】
これと対照的に、前記絡め取り式捕捉用発射体12は、前記発射体ケーシング内に着脱自在に装填できる。前記絡め取り式捕捉用発射体の全構成要素(すなわち、前記ペレット14a、14b、およびテザー16)は、前記圧力源50が作動された時点で容易かつ完全に前記ケーシングから排出されるよう当該ケーシング内に装填される。前記ケーシング44内の前記ソケット30a、30bの幾何学構造は、前記ペレットの幾何学構造とともに、前記絡め取り式捕捉用発射体の一貫した効果的な展開が前記ランチャーの作動で毎回確実に達成されるようにするよう慎重に設計されている。
図10〜12は、この幾何学構造をより詳細に例示したものである。
【0045】
図10の上面図には、前記ソケット30aおよび30bが互いに角度を成していることを示しており、これは前記ペレット14a、14bが前記発射体ケーシング44から発射される際、互いから離れる方向へ移動するようにするためである。示した例では、前記ソケットの一方の少なくとも一部が、前記カートリッジ内において他方のソケットの一部の下に延在する(この例では、「底部」ソケット30bが「上方」ソケット30aの下に延在する)。構成に応じて、前記ペレットが前記ソケット内に設置される際、前記ペレットの一方は、前記ペレットの他方と重なり合い、またはその下または上に延長する。示した例では、前記ペレットが格納されて作動準備が整うと、ペレット30bがペレット30aの下に延長する(前記ケーシングが置かれた水平平面から垂直に見た場合)。
図11の側面図に示すように、一例において、前記ソケットは、付加的に若しくは代替的に、互いに垂直方向にオフセットされて配置され、互いに平行な平面上に延長できる。
【0046】
前記ケーシング44には、
図10〜12に示す中心孔60を含めることもでき、この中心孔60は圧力源または空包50の発射端に直接隣接して位置する。この実施形態では、作動時、前記空包50が前記中心孔内に高圧波を発射する。この高圧波は、次いで双方のソケット30aおよび30b内に移動し、一般にその2つの間で均等に分散される。このように、ソケット30aおよびソケット30bの各々は、中心孔60内で終端し、または少なくとも中心孔60と流体連通している。
【0047】
説明したように、ソケット30a、30bは、前記発射体ケーシングからの前記ペレット展開前に、ペレット14a、14bをそれぞれ1つずつ受容できる。高圧波は、前記カートリッジにより生成されると、前記中心孔を通じて送られ、ソケット30a、30b内に受容された前記ペレットに適用される。前記ペレットは、次に前記内部ブロックから対象者へ向かって強制的に排出される。
【0048】
図10から最もよくわかるように、前記ソケット30a、30bは、互いから角度αで配向できる。この角度は異なりうるが、一般に鋭角であり、通常、約10度から約60度までの範囲である。別の実施形態において、前記角度は約25度〜約45度の範囲にできる。別の実施形態において、前記角度は約30度にできる。ソケットが互いに角度を成すようにすると、前記ペレット14a、14bは、前記ソケットから発射されるに伴い、互いから離れるように方向付けられる。これにより、前記ペレットは非常に迅速に互いから分離して、前記テザー16を引張ることで当該ペレット間に張力がかかり、対象者に係着する前に前記テザーが完全に延長するようにできる。前記ペレットにかかる前方へのエネルギーは、双方当該2つのペレット間で分割され、当該ソケットの構成により角度を成す。そのため、意図せずペレットが直接対象者に接触した場合も、対象者に作用する力は全付勢力より小さくなり、対象者の傷害リスクを最小限に抑える。
【0049】
結果としての発射を
図3Aおよび3Bに示す。
図3Aでは、前記絡め取り式捕捉用発射体12が対象者100へ向かって発射され(上から示す)、移動して前記対象者に係着している。前記対象者に接触する前、前記テザー16は引張られて張力がかかっており、前記ペレット14は前記対象者へ向かって直線方向に移動している。前記テザー16が前記対象者に接触した直後、前記ペレットの運動量は前記テザーにより妨げられ各々の現在の軌跡から外れて互いへと向かい始め(
図3Bに示す)、その運動量により前記ペレットは前記対象者を中心とした軌道を周回する。
【0050】
前記ペレットが前記対象者の脚部を中心とした軌道を周回するに伴い、前記テザーは前記対象者の脚部に強固に巻き付く。なお、前記テザーが前記対象者の脚部に巻き付くに伴い、前記ペレットの回転速度は上がっていき、前記テザーの有効長が短くなるにつれ、より高速に巻き付いていくことに注意すべきである。平均的な展開において、前記ペレットは前記対象者の脚部に2〜3回巻き付くため、結果として前記テザーは前記対象者の脚部に4〜6回巻き付くことになる。前記テザーがこのように脚部に巻き付くと、対象者は少なくとも一時的に動くことが困難を極めることが理解されるであろう。
【0051】
再び
図10を参照すると、この例では、ソケット30a、30bの軸31a、31bは、それぞれ前記ケーシング44内の位置で互いに交差する。すなわち、一方の前記ソケットの一部または1セクションは前記ケーシング内の狭い空間で、他方の前記ソケットの一部または1セクションと交差する。示した例において、ソケット30a、30bは、各ソケットが中心孔60に流体的に結合された位置で、交差し若しくは重なり合う。また、前記ソケットは、互いに水平方向に積み重ねられて、一方が他方の上に重なった構成をもたらす。これにより、前記ソケットは比較的互いの近くで離間されながらも、双方間で望ましい角度を保つ。前記ソケットが交差する位置は、前記中心孔に近づけ、またはそこから遠ざけるよう調整できる。
【0052】
この積み重ね/重ね合わせ構成により、前記ソケットの望ましい配向角度にかかわらず比較的細い発射体ケーシング44が使用可能になる。前記ソケットが単に並列に配向されて軸が重複しない場合は、前記ソケット軸31間の角度αが広がるため、前記発射体ケーシングの幅または口径を広げなければならない。しかし、前記軸を重ね合わせると、この前記ソケット構成の制限がなくなる。これにより、前記発射体ケーシングを、それ以外の場合よりも、はるかに細くできるようになる。この結果、法執行者が容易に携帯できる、従来の銃器またはテーザー銃と同様なランチャーシステムが得られる。これに限定されるものではないが、本発明の一観点では、前記発射体ケーシング44は、約2インチ(5.1cm)未満、およびわずか1.5インチ(3.8cm)またはそれ未満の直径または最大幅を有するよう形成できる。前記発射体ケーシングは、約2.5インチ(6.4cm)未満、またはわずか2インチ(5.1cm)またはそれ未満の長さで形成できる。また、前記ソケットの重ね合わせ若しくは積み重ねにより、前記ペレットが対象者に接触する際、前記ペレットの垂直方向の変位が異なるようにできる。前記ペレットのこの垂直方向のオフセットについては、上記で参照した親出願でより詳しく説明されている。
【0053】
図13は、前記ランチャー42、およびこのランチャー42のいくつかの構成要素の一例を示したものである。なお、前記ランチャーの動作可能な構成要素のいくつかは、当該ランチャーの動作可能な主要素をより明瞭に例示するため、この図で省略されていることに注意すべきである。この例において、前記作動装置は、スライド式ストライカー54を有する。前記ストライカーは、前記ストライカーの発火準備を整えるため圧縮状態へと付勢できる内部ばね66を含むことができる。これは、前記内部ばねの圧縮に使用できる「コッキング」機構(詳細は図示せず)をスライドさせて達成できる。トリガーパネル46(一般に、前記ランチャーの頂部からアクセス可能)は、前記絡め取り式捕捉用発射体の発射を起動することが望ましい時点で押圧できる。パネル46を押圧すると、レバー46aがレバー68を押圧し、それにより、突起部70によって前記ストライカーがリリースされる。次に、ばね66の張力が所定の軌道に沿ってストライカー54を推進する。前記空包50は、前記ケーシングが前記ランチャー内に装填されると、前記ストライカーの軌道の端部に位置付けられる。前記ストライカーは、前記カートリッジを打撃して前記銃用雷管を発火させ、高圧波を生じさせる。
【0054】
図13は、前記例示的なトリガーストライカー54の一般的な動作を例示しているが、この図では前記ランチャーの動作に寄与する多数の構成要素が省略されていることを理解すべきである。それらは、これに限定されるものではないが、前記ストライカー54を準備位置に「コッキング」するため使用される構造、不慮の前記ランチャー作動を防止できる安全機構、前記ケーシング44を前記ランチャー42に、または前記ランチャー42内でラッチするラッチ機構などを含む。当業者であれば、本開示を有することにより、このような構成要素の動作を容易に理解できるであろう。
【0055】
前記圧力源50は、空包を利用するほかにも、他のいくつかの形態で提供できる。一例において、前記圧力源は、空包に関連して説明した方法とほぼ同様に作動可能な圧縮気体シリンダーを含む。他の実施形態では、電子トリガーシステムを利用できる。この例では、前記ランチャー内に電子スイッチ(例示目的で
図13に80bとして概略的に示す)を提供できる。前記ランチャー上には、コンタクトパッド80a(例示目的で
図9に80bとして概略的に示す)を提供できる。相補的パッド(図示せず)を前記ランチャーに付随させることもできる。前記トリガーパネル46を作動すると前記電子スイッチが作動され、これにより電気信号が生成され、パッド80aを通じて前記発射体ケーシングへ転送されて、前記圧力源が作動される。パッド80aは、前記ケーシングが前記ランチャー内に適切に装填されない限り、前記ケーシングに前記電気信号がもたらされないことを確実にする。
【0056】
前記圧力源50および前記絡め取り式捕捉用発射体12を前記着脱自在な発射体ケーシング44内に梱包することにより、力を生じ(力に反応す)る構成要素がすべて単一のユニットに収納される。前記動力源と前記絡め取り式捕捉用発射体との間に不要な間隙または接続は存在しない。また、この態様では、前記絡め取り式捕捉用発射体および前記圧力源が着脱自在な1つの部品、前記発射体ケーシング内に収容され、前記ランチャー42からすばやく容易に装填または取り外しができるため、2つの部品、前記絡め取り式捕捉用発射体および前記圧力源を個別に再装填する必要がなくなる。
【0057】
図24および25は本発明の代替実施形態を例示したもので、この場合、4つのソケット、30c、30d、30e、30fが内部の例示的発射体ケーシング44a内に形成されている。
図25に示すように、前記上方ソケット30c、30dは、1つの絡め取り式捕捉用発射体(ここでは図示せず)のペレットを受容しており、これらのペレットは作動すると当該ブロックの前方へ方向付けられる。下方ソケット30e、30fは、異なる絡め取り式捕捉用発射体(ここでは図示せず)のペレットを受容し、こちらのペレットは作動すると前記上方ソケットと非平行な角度εで方向付けられる。各ペアのソケットは、
図8および11に例示したように方向付ける(または垂直方向にずらす)こともできる。この実施形態では、ケーシング44aを含む前記ランチャーを標的に向けると、1つの発射体を対象者の胴体へ向かって方向付け、第2の発射体を対象者の脚部へ向かって方向付けることになる。これにより、対象者の動きを一時的に封じられる可能性が高まる。また、この構成により、法執行者は前記ランチャーを直接対象者の体全体に向けて方向付けることが可能になる。多くの法執行者は対象者の脚部よりも胴部に銃器の狙いを定めるよう訓練されるため、これにより、法執行者が前記発射体ランチャーを適切に利用することを確実にできる。前記角度εは変更できるが、本発明者らは、2つの発射体が対象者の異なる身体領域に接触するようにするには、わずか6度で十分であることを見出した。
【0058】
図24および25に示した実施形態でじゃ。前記エネルギー源50作動(これらの図では図示せず)により、双方の発射体(全4つのペレット)が前記ケーシング44aから発射される。ただし、このシステムは、前記下方ソケットとは独立して前記上方ソケットに圧力波をもたらすよう構成できるため、例えば法執行者はどちらの発射体を作動させるか選択できることを理解すべきである。同様に、ブロックは、同時に発射可能な2対より多くのソケットを含むことができ、または1若しくはそれ以上のトリガー機構により別個に発射するよう構成できる。
【0059】
上記説明の大半では、前記本技術が使用する前記発射体ケーシングおよびランチャーに重点を置いているが、前記絡め取り式捕捉用発射体の弾道的な特徴は、前記ケーシングおよびランチャーの動作可能な特徴と慎重に適合させなければならない。一般に、本技術の絡め取り式捕捉用発射体は電気的に不活性なものとして提供される。すなわち電荷源に接続されておらず、対象者を制圧し、またはこれに絡み付くにも電荷を必要としない。本明細書における用語「電気的に不活性」(electrically inert)とは、前記発射体と、ペレットおよびテザーとが、前記発射体が展開される環境で不活性物体が有する以外の電荷を有さない状態をいうものと理解される。そのため、そのような環境では大部分の物体が何らかの静電荷を有するものの、前記発射体(ペレットおよびテザー)は付加的な電荷を有さない。大部分の実施形態においても、前記テザーおよびペレットは、やはり対象者に電荷を送達できる他のいかなる構造も有する必要はない。
【0060】
適切なペレットおよびテザーのさらに別の例を
図14〜23に例示する。
図14に示した例では、少なくとも1つの係着フック144を前記ペレット12の少なくとも一方に結合できる。この係着フックは、前記絡め取り式捕捉用発射体の係着対象者100が着用している衣服に係着するよう動作可能であり、前記対象者への前記絡め取り式捕捉用発射体の係着を維持する上で役立つ。また当該係着フックの係着は、別の係着フックの巻き付き中またはその完了後に可能である。本発明者らは、対象者への本発射体の巻き付きが効果的であると実証されてはいるものの、前記ペレットに係着フックを使うと、前記発射体が巻き付いた後、対象者上に前記発射体を保持する上で役立ち、絡み係着または巻き付きの成功率が高まることを見出した。本係着フックは、必ずしも対象者の皮膚または身体ではなく、対象者が着用する衣服に係着(または当該発射体の他のフックに係着)するよう設計されている。一部の実施形態では、対象者の皮膚または身体への係着は望ましくない一方、他の実施形態では、そのような配慮が重要にならない場合もある(例えば、使用するフックが非常に小さい場合)。
【0061】
図に例示した種々の係着フックは従来の「フック」形状を含むが、前記フックは、前記ペレットを種々の方向へ延出させる直線状セグメントを含むことができることを理解すべきである。例えば、フックは、前記ペレットから1方向へ垂直に延出したのち別の方向へ一定角度で曲がる直線状のセグメントを含むことができる。すなわち、前記フックは湾曲部を含む必要はない―前記フックは互いに一定の角度で形成された1若しくはそれ以上の直線状セグメントを含むことができる。また、前記フックは単一方向へ前記ペレットから直接延出するようにもでき、異なる方向へ延長するセグメントを含む必要はない。
【0062】
本構成は、前記係着フックが前記ペレットに対して構成されるという独自の態様でこれを実現する。例えば
図14に示すように、前記フック144は、前記テザーが前記ペレットから延出する方向とは逆の方向へ延出する先端146を含むことができる。これにより、前記先端146が対象者の衣服に係着する間に、前記ペレットは対象者への巻き付きを完了する。なお、
図14の前記ペレット14dの遠端部170は、前記発射体が巻き付くに伴い、対象者の衣服へ向かって(動径方向に)移動することに注意すべきである。前記フックの先端は、巻き付きが完了する直前に対象者の衣服に係着する。前記フックは、この配向により対象者の衣服に即時係着することができる。それ以外の場合、前記フックは、衣服に係着するため逆方向に引かれる必要がある。
【0063】
逆に、
図21に示した実施形態では、フック148は、ペレット14hから前記テザー16と同じ方向へ延出するよう配向されて提供される。種々の実施形態によれば、フックは、前方配向、後方配向、および双方向配向で設けることができる。この例において、フック144は、反対方向へも延出して提供される。本技術に係るペレットは、一方向または両方向へ配向されたフックを含むよう設けることができる。
図14に示した例では、前記フック144が、当該フックから全体的に前記先端146と逆方向へ突出する係止爪159を含む。前記係止爪は、前記フックを対象者の衣服に係着したまま保つ上で役立つ。ただし、他の実施形態では
図16に示すように係止爪が提供されない。この場合、フック152は、種々の角度または軌跡へと配向され、または向かうようにできる単一方向の先端154のみ含む。
【0064】
また
図16に示すように、前記フックは、前記ペレットから特定の向きに延出するよう構成できる。示した角度βは、前記ペレットの長手方向の軸(
図14の142)と、前記フックの先端部分が前記ペレットから延出する全般的な方向との間の角度である。一部の実施形態において、この角度は約15度〜約35度とできる。一実施形態では、この角度を約23度にできる。
【0065】
図14に示すように、本発明の一態様では、前記ペレットの外径未満の直径を有するネック部160を当該ペレットに含めることができる。これにより、前記ネックは、一部の実施形態において、前記ペレットのより大きな部分から延びた前記ポケット132を含む陥凹した軸部をもたらす。
【0066】
前記係着フック144は、前記ペレットの前記ネック部160の上から延長できる。一実施形態において、前記係着フックは、前記ペレットの前記軸の長手方向から外周へと径方向に外方へ延長する。この前記係着フックの外周は、前記ペレット外面の外周より短くできる。
図14からは、前記フック144が前記ペレット下部の直径Dまでしか外方へ延出しないことが理解されるであろう。これにより、前記フックが前記ペレットと併用可能になるとともに、前記ペレットが排出されるソケットまたはバレルに前記ペレットを挿入できるようになる。そのため、特定用途向けのソケット構成を必要とすることなく、フックを設けることができる。前記連結されたフックを伴う前記ペレットは、フックなしのペレットに使用されるものと同サイズ直径の孔部内に嵌合できる。
【0067】
前記陥凹したネック部160は、前記ペレットの前記遠端部170が全体として前記ネック部よりはるかに大きく、ひいてはより大質量になるという付加的な利点をもたらす。(
図14の前記ペレットの前記端部170に圧力波をかける)前記ランチャーから前記ペレットが発射されるに伴い、まず前記ネック部が前記ランチャーのバレルまたはソケットから発射される。ただし、前記テザーが引張られ、それに張力がかかると、端部170が先端となり、この端部のより大きな質量が前方への運動量を前記ペレットにもたらして対象者100への良好な巻き付きをにもたらす上で役立つ。
【0068】
図15〜18は、フックアセンブリを前記ペレットの一部として提供でき、またはフックアセンブリが前記ペレット自体として機能できる例示的な実施形態を例示したものである。これらの実施形態において、前記フック構造は、前記テザー16を受容できる中空の軸部162(
図15)を含む。これにより、前記フック構造は、前記テザーのいずれかの側に重量オフセットを生じることなく前記テザーに容易に結合できる。また、前記中空の軸部を使うと、前記テザーの種々の長手方向位置で、1若しくはそれ以上のフック構造を前記テザーに結合できる。例えば、
図20に示すように、ペレット14gはフック構造を含まない。ただし、フックアセンブリ164は2つのフック144を含み、中空の軸部162(詳細は図示せず)を含む。前記中空の軸部により、前記フックアセンブリは、前記テザー16上の任意の望ましい位置に移動でき、前記テザーを損傷し、またはこれにねじれ(twisting)若しくはよれ(kinking)を生じることなく定位置に容易に装着できる。前記テザーは、そのようなフックアセンブリ上に逆向きのフック180(
図22)を含む種々の方向に配向された複数のフックアセンブリ164を含むことができる。また、前記テザー上のフックアセンブリは、前記ペレット上のフックアセンブリと併用できる。
【0069】
アクセスホール166は、ロゼット状に機能し、これをこの(および他の多数の)実施形態で使うと、前記フック構造またはペレットを前記テザーに容易に連結できる。
図20の実施形態において、前記フックアセンブリ164は望ましい位置に配置でき、少量の接着剤または他の合着材料をアクセスホール166から適用して前記フックアセンブリを定位置に取り付けることができる。
図14に示した例では、アクセスホール166を容易に使って、望ましい構成に応じて、前記ペレットを前記テザー16に取り付け、かつフック144を前記ペレット内に取り付けることができる。
【0070】
図14、15、16、19、および20に示した例は、それぞれ前記ペレットに結合または受容された2つのフック144を含む。前記2つのフックを使うほか、単一のフックも使用できる。あるいは、前記ペレットの周囲に等間隔で離間された複数のフックを利用すると、対象者への適切な係着を確実に実現できることがわかっている。
図17では、3つのフックを使用している。一実施形態では、12番トレブルフックが適切であることがわかった。
図18では、4つのフック151を使用している。これらの各ケースでは、前記フックが前記ペレット前記中空の軸部162の長手方向の軸周囲で均等に離間される。一部の実施形態では、4つより多くのフックが使用される。
【0071】
前記テザー16は、対象者がすばやく前記テザーによる係着を解除する能力を制限するために役立つ構造を含むこともできる。例えば
図19に示すように、前記テザー上に一定間隔で係着形状168を加えることもできる。代表的な離間間隔を例によりSとして示している。前記係着形状168は種々の形態を取ることができる。一例では、前記テザーに一定間隔で小さい結び目を形成できる。これらの結び目は対象者が着用する衣服に係着し、対象者がすばやく前記発射体による係着を解除する能力を制限できる。また前記テザーが対象者に巻き付ついた際に、それ自体に係着することを補助する。別の例では、ビーズ、球体、または他の構造を前記テザーに取り付け、またはそれと一体的に形成することもできる。接着剤または類似材料の小さい「塊」またはドットを前記テザーに加えると、前記係着形状を作製できる。別の例では、前記係着形状に、
図20に164で示した前記フックアセンブリを含めることができ、これは必要に応じて一定間隔で離間できる。このように、前記テザーには間隔をあけて一連のフックアセンブリを取り付けることができる。
【0072】
前記テザー16は種々の材料から形成できる。一態様において、前記テザーは従来のナイロン材料から形成される。ワックス加工したコードも使用でき、これは前記テザーをテザー区画に適切に収納し、その中に当該前記テザーが留まるよう梱包し、および/または巻く上でワックスが役立つためである。一実施形態において前記テザーは伸縮性材料から形成できる。その伸縮性材料により、前記テザーは名目上の構成(例えば、
図1のL0)から、より長い伸長構成へと伸長できる。
【0073】
一例において、前記テザーは元の長さの20%〜300%もの長さに伸長できる。前記テザーに伸縮性を提供することにより、前記絡め取り式捕捉用発射体が対象者に向けて推進されるに伴い、当該テザーは前記ペレットの運動量により伸長できる。そのため、
図3Aに示した時点で、対象者100との接触直前に、前記テザー16は伸長構成でありうる。前記テザーが前記対象者に接触すると、前記テザーの伸縮特性が前記対象者の周囲で前記ペレットを引張る上で役立つ。この態様で、前記テザーが前記対象者に接触した時点で、前記ペレットがその運動量で前記対象者に巻き付くことに加え、前記テザーの伸縮性も前記対象者の周囲で前記ペレットを引張ることに役立つ。
【0074】
図22に示すように、一実施形態では、複数のフック144、148などを含むことができるフックアセンブリ180を提供できる。このフックアセンブリは、例えばペレットの中空のネック部160内に装填できる(この図では全部を示していない)。このフックアセンブリは、先端軸部182および後端軸部184を含むことができる。この例において、前記後端軸部184は、前記ペレットの前記ネック部内で前記テザー16の横に装填される。前記テザーは、前記フックアセンブリの前記フックが前記ペレットから延出するため、当該フックをよけるように配置される。これにより、前記テザーの長手方向の軸(例えば、
図23の192で示される)は、前記フックアセンブリの長手方向の軸からオフセットされる。本発明者らは、前記テザーの前記長手方向の軸をこのようにオフセットすると、前記ペレットおよび/またはフックアセンブリが対象者へ向かって移動するに伴い前記テザーに対し「コッキング」されることを見出した。これは、対象者の衣服に接触したとき(または別のペレットまたはフックアセンブリのフックとの接触時)、前記フックで対象者に適切に係着する上で役立つ。
【0075】
同様な関係については、
図23で付加的に示した実施形態において、より詳しく示している。この例において、ペレット14jは長手方向の軸190を含むことができる。この例では、前記テザーが、前記ペレットの端部ではなく開口部166を通じて前記ペレットを出るよう配線される。これにより、当該テザーの前記長手方向の軸192は、前記ペレットの前記長手方向の軸190からオフセットOwだけオフセットされる。また、前記テザーは、開口部166で前記ペレットと結合されることにより、前記ペレットの全長LPに対しオフセットOLで前記ペレットと効果的に結合される。なお、この例において、それまでの実施形態で示したように、前記テザーが前記ペレットの上端から延出する場合は、前記オフセットOLがゼロになることに注意すべきである。一例において、オフセットOLは前記全長LPの約半分である。一態様において、前記全長LPは約1.5インチ(3.81cm)、前記オフセットOLは約0.75インチ(1.91cm)である。この実施形態において、前記ネック部の長さは約0.9インチ(2.29cm)である。このように、前記開口部166は、前記ネック部のより幅広の部分のすぐ上に形成される。
図23には示していないが、前記コードが前記ペレットに入れる
図23の前記開口部166のほか、付加的な開口部を設けて(通常、
図14に示すように前記ネック部のより高い位置に)、前記フックアセンブリへのアクセスを可能にことができる。
【0076】
これらオフセットのどちらか一方または双方をゼロより大きく定めることにより、前記ペレット(およびそれに伴う任意のフック)は、特に空中を移動するに伴い、前記テザーに対して部分的に回転または「コッキング」される。これにより、ペレットに取り付けられ若しくは受容された前記フックのうち1若しくはそれ以上によって望ましい構造に係合する成功率が高まることがわかっている。
【0077】
図22に例示した前記フックアセンブリ180は、図示したように前記ペレットに形成された軸部内に設置でき、または前記ペレットの端部に結合できる。一体型ユニットとして形成される前記フックアセンブリに加え、個別ユニットとして多数のフックを前記ペレット内に設置し、または前記ペレットに結合することもできる。
【0078】
本技術の種々の追加特徴については、添付の図面全体にわたり例示している。本発明の一態様において、1若しくはそれ以上のペレットは、外径から内方へ延出した部分と、前記ペレットにポケットが形成されるよう前記ペレットの外径より小さい内径を有する前記凹部と、前記発射体展開システムにより生じた圧力波からの破片および気体が蓄積する領域を提供する前記ポケットとを含むことができる。一例において、前記凹部は前記ペレットを完全に囲むようにできる。
【0079】
前記ペレットは、さらに少なくとも2つの凹部を含むことができ、その少なくとも2つの凹部は前記ペレットに沿って長手方向に離間されて、前記ペレットの未変更部分により分離されたポケットを生じる。前記凹部は、前記ペレットの細長い軸に実質的に垂直な平面状部分へと延長する円錐状にテーパーをかけた部分を含むことができる。前記少なくとも1つの凹部は、前記ペレットの前記テザーが結合される端部と反対側の端部に形成できる。少なくとも1つの係着フックは前記ペレットのうち少なくとも1つに結合でき、前記係着フックは、前記絡め取り式捕捉用発射体の係着対象者が着用する衣服に係着するよう動作可能であり、前記対象者への前記絡め取り式捕捉用発射体の係着を維持する上で役立つ。
【0080】
前記ペレットは、前記ペレットの外径未満の直径を有するネック部を含むことができ、前記少なくとも1つの係着フックは、前記ペレットの前記ネック部の上から延長できる。前記フックは、前記テザーが前記ペレットから延出する方向とは逆の方向へ延出する先端を含むことができる。ただし、
図6に示すように、ペレット12cは凹部を伴わず「ヘッド」194を1つだけ含むことができることに注意すべきである。
【0081】
本発明の別の態様によれば、対象者を絡め取る方法が提供され、この方法は、対象者を発射体ランチャーの標的とする工程であって、前記発射体ランチャーは、テザーにより連結された一対のペレットを有する絡め取り式捕捉用発射体を受容し、前記ペレットの各々は、前記ランチャー内に形成された一対のソケットの一方に受容される、工程と、前記発射体ランチャーを作動させて当該発射体ランチャーから前記ペレットを発射させる工程であって、前記ペレットは、前記発射体ランチャーから発射されるに伴い、前記発射体ランチャーから外方へ、および互いから離れるように側方へ移動し、前記ペレットは、前記テザーが前記対象者に接触する際、互いに異なる垂直方向の高さを有する、工程とを含む。
【0082】
前記方法は、さらに、前記発射体ランチャーを前記対象者から一定距離だけ離間させ、前記絡め取り式捕捉用発射体が前記対象者に係着する時点において前記テザーを実質的に最大に延長させる工程を含むことができる。前記テザーは、前記ペレットが前記発射体ケーシングから発射されるに伴い伸長できるよう伸縮性にできる。前記発射体ランチャーを作動させる工程は、前記発射体ランチャーに収容された圧縮気体シリンダーの作動を含むことができる。前記発射体ランチャーを作動させる工程は、前記発射体ランチャーに収容された空砲を作動させる工程を含むことができる。前記ペレットを排出する工程は、互いに約10度〜約60度の角度で前記ペレットを発射する工程を含むことができる。前記角度は約25度〜約45度とできる。
【0083】
前記方法は、さらに、前記ランチャーを作動させる前に前記発射体ランチャー内の前記ソケットを特定の配向で位置合わせする工程を含むことができる。前記ソケットを特定の配向で位置合わせする工程は、前記ペレットが前記発射体ランチャーから発射されるに伴い、垂直方向にオフセットされた軌道で移動するよう前記ソケットを位置合わせする工程を含むことができる。
【0084】
以上参照した構成は、本発明の原理の応用を例示したものであることを理解すべきである。本発明の要旨を逸脱しない範囲で多数の変更形態および代替構成が考案可能であるが、本発明については前記図面により示し、本発明の前記例示的な実施形態に関連付けて上述している。当業者であれば、前記例で記載した本発明の原理および概念を逸脱しない範囲で、多数の変更形態が可能であることが明確に理解されるであろう。