【文献】
Lee, Jungjoon; Lee, Kyung Hyun; Jeon, Jongho; Dragulescu-Andrasi, Anca; Xiao, Fei; Rao, Jianghong,Combining SELEX screening and rational design to develop light-up fluorophore-RNA aptamer pairs for RNA tagging,ACS Chemical Biology ,2010年,5(11),1065-1074
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の化合物は、式(1)で表される。以下、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」という場合がある。本発明の化合物には、その互変異性体やそれらの塩も含まれる。また、以下に例示する各成分及び官能基は、それぞれ、単独で、或いは組み合わせて使用することができる。
【0009】
[式(1)中、R
1〜R
4は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、少なくとも一つは置換基としてアルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−CO−又は−NR
5−に置き換わっていてもよい。R
1及びR
2は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R
3及びR
4は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
R
5〜R
7は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0010】
R
1〜R
4における炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、プロピルフェニル基及びブチルフェニル基等が挙げられる。
【0011】
前記アルキルオキシ基とは、好ましくは−OR
8で表される基である。
【0012】
R
8は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0013】
該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、−R
8、−OH、−OR
8、−SO
3-、−SO
3H、−SO
3-Z
+、−CO
2H、−CO
2R
8、−SR
8、−SO
2R
8、−SO
3R
8、又は−SO
2NR
9R
10が挙げられ、これらの置換基が芳香族炭化水素基に含まれる水素原子を置換していることが好ましい。これらの中でも、置換基としては、−OR
8、−SO
3-、−SO
3H、−SO
3-Z
+及び−SO
2NR
9R
10が好ましく、−OR
8、−SO
3-Z
+、−SO
2NR
9R
10がより好ましい。この場合の−SO
3-Z
+としては、−SO
3-+N(R
11)
4が好ましい。
ただし、Z
+は、
+N(R
11)
4、Na
+又はK
+を表し、4つのR
11は同一でも異なってもよい。
【0014】
R
9及びR
10は、互いに独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和炭化水素基を表し、該飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−CO−、−NH−又は−NR
8−に置き換わっていてもよく、R
9及びR
10は、互いに結合して窒素原子を含んだ3〜10員環の複素環を形成していてもよい。
R
11は、水素原子、炭素数1〜20の飽和炭化水素基又は炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
【0015】
R
1〜R
4及びR
8〜R
11における炭素数1〜20の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3〜20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。
R
1〜R
4における該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、例えば、置換基としての炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。R
1〜R
4の飽和炭化水素基の水素原子を置換していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、R
1〜R
4における炭素数6〜10の芳香族炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。
R
9及びR
10における該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、例えば、置換基としてのヒドロキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】
R
1及びR
2が一緒になって形成する環、並びにR
3及びR
4が一緒になって形成する環としては、例えば、以下のものが挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【化5】
【0017】
−OR
8としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基及びイコシルオキシ基等のアルキルオキシ基等が挙げられる。
【0018】
−CO
2R
8としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基及びイコシルオキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0019】
−SR
8としては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、デシルスルファニル基及びイコシルスルファニル基等のアルキルスルファニル基等が挙げられる。
−SO
2R
8としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基及びイコシルスルホニル基等のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
−SO
3R
8としては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロポキシスルホニル基、tert−ブトキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基及びイコシルオキシスルホニル基等のアルキルオキシスルホニル基等が挙げられる。
【0020】
−SO
2NR
9R
10としては、例えば、スルファモイル基;
N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−(1−エチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,1−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(2,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1−メチルブチル)スルファモイル基、N−(2−メチルブチル)スルファモイル基、N−(3−メチルブチル)スルファモイル基、N−シクロペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−(1,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−(3,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−ヘプチルスルファモイル基、N−(1−メチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,4−ジメチルペンチル)スルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,5−ジメチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN−1置換スルファモイル基;
N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−エチルメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−プロピルメチルスルファモイル基、N,N−イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N−tert−ブチルメチルスルファモイル基、N,N−ブチルエチルスルファモイル基、N,N−ビス(1−メチルプロピル)スルファモイル基、N,N−ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N−2置換スルファモイル基等が挙げられる。
【0021】
R
5としては、−CO
2H、−CO
2-Z
+、−CO
2R
8、−SO
3-、−SO
3-Z
+、−SO
3H又は−SO
2NHR
9が好ましく、−SO
3-、−SO
3-Z
+、−SO
3H又は−SO
2NHR
9がより好ましい。
【0022】
R
5〜R
7における炭素数1〜6のアルキル基としては、上記で挙げたアルキル基のうち、炭素数1〜6のものが挙げられる。R
6、R
7としては、水素原子が好ましい。
【0023】
R
11における炭素数7〜10のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
【0024】
Z
+は、
+N(R
11)
4、Na
+又はK
+であり、好ましくは
+N(R
11)
4である。
前記
+N(R
11)
4としては、4つのR
11のうち、少なくとも2つが炭素数5〜20の飽和炭化水素基であることが好ましい。また、4つのR
11の合計炭素数は20〜80が好ましく、20〜60がより好ましい。
【0025】
化合物(1)において、R
1が、置換基としてアルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、かつ、R
2〜R
4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和炭化水素基、又は、水素原子を表すか、あるいは、R
1及びR
3が、置換基としてアルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、かつ、R
2及びR
4が、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和炭化水素基、又は、水素原子を表すことが好ましい。
【0026】
前記アルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、式(1x)で表される基が好ましい。
【0028】
[式(1x)中、R
8は、炭素数1〜8のアルキル基を表す。*は窒素原子との結合手を表す。]
【0029】
R
8で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、前述したR
8のうち炭素数が1〜8のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基またはイソプロピル基がより好ましい。
【0030】
化合物(1)としては、式(2)で表される化合物(以下「化合物(2)」という場合がある。)が好ましい。化合物(2)は、その互変異性体であってもよい。
【0032】
[式(2)中、R
21〜R
24は、互いに独立に、水素原子、−R
26又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、少なくとも一つは置換基としてアルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。R
21及びR
22は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R
23及びR
24は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
R
26は、炭素数1〜20の飽和炭化水素基を表す。]
【0033】
R
21〜R
24における炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、前記R
1〜R
4の芳香族炭化水素基として挙げたものと同様の基が挙げられる。該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR
8、−SO
3-、−SO
3H、−SO
3-Z
1+、−SO
3R
26、又は−SO
2NHR
26で置換されていてもよい。
前記アルキルオキシ基としては、R
1で表される芳香族炭化水素基の置換基として例示した−OR
8と同様の基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基またはブトキシ基が好ましく、メトキシ基またはイソプロポキシ基がより好ましい。
【0034】
R
21及びR
22が一緒になって形成する窒素原子を含む環、並びに、R
23及びR
24が一緒になって形成する窒素原子を含む環としては、R
1及びR
2が一緒になって形成する環と同様のものが挙げられる。中でも、脂肪族複素環が好ましい。該脂肪族複素環としては、例えば、下記のものが挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【化8】
【0035】
R
26における炭素数1〜20の飽和炭化水素基としては、R
8〜R
11で飽和炭化水素基として挙げたものと同様の基が挙げられる。
R
21〜R
24が−R
26である場合、−R
26は、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることが好ましい。また、−SO
3R
26及び−SO
2NHR
26におけるR
26としては、炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基が好ましく、炭素数6〜12の分岐鎖状アルキル基がより好ましく、2−エチルヘキシル基がさらに好ましい。
【0036】
化合物(2)において、R
21が、置換基としてアルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、かつ、R
22〜R
24が、互いに独立に、水素原子又は−R
26を表すか、あるいは、R
21及びR
23が、置換基としてアルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、かつ、R
22及びR
24が、互いに独立に、水素原子又は−R
26を表すことが好ましい。
前記アルキルオキシ基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、式(1x)で表される基が好ましい。
【0037】
また、化合物(1)としては、式(3)で表される化合物(以下「化合物(3)」という場合がある。)も好ましい。化合物(3)は、その互変異性体であってもよい。
【0039】
[式(3)中、R
31及びR
32は、互いに独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表し、該R
31、R
32の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜3のアルキルオキシ基で置換されていてもよく、前記R
31、R
32の飽和炭化水素基に含まれる−CH
2−は、−O−、−CO−又は−NR
11−に置き換わっていてもよい。
R
33及びR
34は、互いに独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基又はアルキルオキシ基を表し、少なくとも一つはアルキルオキシ基を表す。
R
31及びR
33は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよく、R
32及びR
34は、一緒になって窒素原子を含む環を形成してもよい。
p及びqは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。pが2以上のとき、複数のR
33は同一でも異なってもよく、qが2以上のとき、複数のR
34は同一でも異なってもよい。ただし、p及びqの合計は1以上である。
R
11は、上記と同じ意味を表す。]
【0040】
R
31及びR
32における炭素数1〜10の飽和炭化水素基としては、R
8におけるもののうち炭素数1〜10の基が挙げられる。
置換基として有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、R
1におけるものと同じ基が挙げられる。
炭素数1〜3のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
R
31及びR
32は、互いに独立に、炭素数1〜3の飽和炭化水素基であることが好ましい。
【0041】
R
33及びR
34における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
R
33及びR
34における炭素数1〜4のアルキルスルファニル基としては、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基及びイソプロピルスルファニル基等が挙げられる。
R
33及びR
34における炭素数1〜4のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基及びイソプロピルスルホニル基等が挙げられる。
R
33及びR
34におけるアルキルオキシ基としては、R
1で表される芳香族炭化水素基の置換基として例示した−OR
8と同様の基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基またはブトキシ基が好ましく、メトキシ基またはイソプロポキシ基がより好ましい。
R
33及びR
34としては、炭素数1〜4のアルキル基又はアルキルオキシ基が好ましく、メチル基又はアルキルオキシ基がより好ましい。
【0042】
p及びqは、0〜2の整数が好ましく、0又は1が好ましい。
【0043】
化合物(3)において、R
33及びR
34の少なくとも1つはアルキルオキシ基であり、R
33及びR
34がアルキルオキシ基であることが好ましい。
【0044】
化合物(3)は、式(3−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0046】
[式(3−1)中、R
31及びR
32は、上記と同義である。R
38及びR
39は、互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
【0047】
R
38及びR
39で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、前述したR
8のうち炭素数が1〜8の基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基またはイソプロピル基がより好ましい。
【0048】
化合物(1)としては、例えば、式(I)で表される化合物(I−1)〜(I−504)が挙げられる。
【0059】
ただし、Hは水素原子、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn−プロピル基、iPrは2−プロピル基、Buはn−ブチル基、2EHは2−エチルヘキシル基を表し、(p1)〜(p8)は、それぞれ、以下の基を表す。式中、*は結合手を表す。
【0061】
(h1)〜(h4)は、それぞれ、R
3aとR
4aとが、一緒になって以下の環を形成していることを表す。式中、*は結合手を表す。
【0063】
化合物(1)としては、化合物(I−1)〜(I−14)、化合物(I−57)〜(I−112)、化合物(I−113)〜(I−168)が好ましい。
【0064】
化合物(1)の製造方法としては、式(1x)で表される化合物と、式(1z−1)で表される化合物及び式(1z−2)で表される化合物とを、有機溶媒の存在下又は無溶媒で反応させる方法が挙げられる。反応温度は、30℃〜180℃であることが好ましく、50℃〜110℃であることがより好ましい。反応時間は、1〜12時間であることが好ましく、3〜8時間であることがより好ましい。
【0066】
[式(1x)、式(1z−1)、式(1z−2)及び式(1)中、R
1〜R
7は、それぞれ上記と同義である。]
【0067】
前記有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;1−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒;等が挙げられる。
【0068】
式(1z−1)で表される化合物及び式(1z−2)で表される化合物の使用量は、式(1x)で表される化合物1モルに対して、それぞれ好ましくは1モル以上8モル以下であり、より好ましくは1モル以上5モル以下である。それぞれ段階的に反応させてもよいし、同時に反応させてもよい。
【0069】
化合物(1)が、R
1〜R
4のいずれかが水素原子である化合物(以下、「化合物(1a)」という場合がある。)である場合、化合物(1a)と、式(1z−3)で表される化合物とを、有機溶媒の存在下又は無溶媒でさらに反応させてもよい。反応温度は、30℃〜180℃であることが好ましく、50℃〜110℃であることがより好ましい。反応時間は、1〜12時間であることが好ましく、3〜8時間であることがより好ましい。
【0071】
[式(1z−3)中、R
12は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の飽和炭化水素基を表す。]
【0072】
前記有機溶媒としては、化合物(1x)と化合物(1z−1)及び(1z−2)とを反応させる際の有機溶媒として例示した溶媒と同様の溶媒が挙げられる。
【0073】
化合物(1a)と式(1z−3)で表される化合物とを反応させる際、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基性物質を共存させてもよい。
【0074】
反応混合物から目的化合物である化合物(1)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物を水と混合し、析出した結晶を濾取することができる。反応混合物と水とを混合するときの温度は、好ましくは10℃以上50℃以下である。また、この後、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0075】
本発明の着色樹脂組成物は、化合物(1)及び樹脂を含む。
化合物(1)の含有量は、樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましく、1〜20質量部であることがさらに好ましい。
【0076】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂がより好ましい。樹脂(B)は、さらに、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)に由来する構造単位、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)に由来する構造単位、並びに、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有することが好ましい。
【0077】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
【0078】
(b)は、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デシル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デシル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。
【0079】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレートベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が好ましい。
【0080】
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位を有する樹脂は、(a)と(c)との共重合体に(b)を付加させるか、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させることにより製造することができる。該樹脂は、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させさらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂であってもよい。
【0081】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜30,000である。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6であり、より好ましくは1.2〜4である。
【0082】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは50〜170mg−KOH/gであり、より好ましくは60〜150、さらに好ましくは70〜135mg−KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0083】
樹脂(B)の含有率は、固形分の総量に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。
【0084】
<着色剤(A)>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(1)の他に、染料(A1)と顔料(A2)とを含んでいてもよい。
【0085】
染料(A1)は、特に限定されず公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。また、染料としては、特開2015−28121号公報、特開2013−7032号公報、特開2013−144724号公報、特開2013−53292号公報に記載の染料も好ましい。
【0086】
顔料(A2)としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
等が挙げられる。
【0087】
本発明の着色樹脂組成物が青色着色樹脂組成物である場合、顔料は、青色顔料及びバイオレット色顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物が赤色着色樹脂組成物である場合、顔料は、黄色顔料、オレンジ色顔料及び赤色顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0088】
着色剤(A)の含有率は、固形分の総量に対して、好ましくは0.1〜60質量%であり、より好ましくは0.5〜55質量%であり、さらに好ましくは1〜50質量%である。
【0089】
化合物(1)の含有率は、着色剤(A)の総量中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0090】
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0091】
本発明の着色樹脂組成物は、重合性化合物及び/又は重合開始剤を含んでいてもよい。以下、重合性化合物及び重合開始剤を含む着色樹脂組成物を「着色硬化性樹脂組成物」という場合がある。
【0092】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0093】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0094】
重合性化合物(C)を含む場合、重合性化合物(C)の含有率は、固形分の総量に対して、7〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは13〜60質量%であり、さらに好ましくは17〜55質量%である。
【0095】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)−3−シクロペンチルプロパン−1−オン−2−イミン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0096】
重合開始剤(D)を含む場合、重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0097】
本発明の着色樹脂組成物は、重合開始助剤を含んでいてもよい。
【0098】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2,4−ジエチルチオキサントン、N−フェニルグリシン等が挙げられる。
【0099】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0100】
本発明の着色樹脂組成物は、溶剤(E)を含むことが好ましい。
【0101】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0102】
溶剤(E)としては、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ−ブチロラクトン等のエステル溶剤(分子内に−COO−を含み、−O−を含まない溶剤);
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、等のエーテル溶剤(分子内に−O−を含み、−COO−を含まない溶剤);
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル溶剤(分子内に−COO−と−O−とを含む溶剤);
4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤(分子内に−CO−を含み、−COO−を含まない溶剤);
ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤(分子内にOHを含み、−O−、−CO−及び−COO−を含まない溶剤);
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド溶剤が挙げられる。
【0103】
溶剤(E)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、N−メチルピロリドン及び3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0104】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、本発明の着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0105】
<その他の成分>
本発明の着色脂組成物は、必要に応じて、レベリング剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0106】
<着色樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、並びに必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、溶剤(E)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
【0107】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。
【0108】
着色樹脂組成物が、着色剤として本発明の化合物を含むことにより、特に耐光性に優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0109】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0110】
実施例1
式(1x−1)で表される化合物6.7部およびN−メチル−p−アニシジン5.0部(東京化成工業(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン30部中に加え、60℃で5時間攪拌した。上記の反応液を室温まで冷却後、水100部を加え、1時間攪拌した。析出した結晶を吸引濾過し、水100部で3度洗浄し、結晶を減圧乾燥し、式(I−2)で表される化合物9.8部を得た。
【0111】
【化16】
【0112】
【化17】
【0113】
実施例2
式(1x−1)で表される化合物50.0部、イソプロピルアルコール350部を室温で混合し、混合物にジエチルアミン(東京化成工業(株)製)18.1部を、20℃を超えない温度で滴下し、20℃で3時間撹拌した。反応液を10%塩酸2100部に投入した。得られた析出物を吸引ろ過の残渣として取得し、イオン交換水373部で洗浄乾燥し、式(1y−1)で表される化合物を23.6部得た。
【0114】
【化18】
【0115】
次いで、式(1y−1)で表される化合物6.6部、4−イソプロポキシアニリン5.0部(東京化成工業(株)製)および、炭酸カリウム10.4部をN−メチル−2−ピロリドン30部中に加え、80度で5時間攪拌した。上記の反応液を室温まで冷却後、水100部を加え、1時間攪拌した。析出した結晶を吸引濾過し、水100部で3度洗浄し、結晶を減圧乾燥し、式(I−114)で表される化合物7.0部を得た。
【0116】
【化19】
【0117】
さらに、式(I−114)で表される化合物3.2部、1−ブロモプロパン2.2部(東京化成工業(株)製)および炭酸カリウム2.5部をN−メチル−2−ピロリドン30部中に加え、80度で4時間攪拌した。上記の反応液を室温まで冷却後、水100部を加え、1時間攪拌した。析出した結晶を吸引濾過し、水100部で3度洗浄し、結晶を減圧乾燥し、式(I−138)で表される化合物3.0部を得た。
【0118】
【化20】
【0119】
合成例1
撹拌機、温度計、還流冷却器及び、滴下ロートを備えたフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート305部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、アクリル酸60部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.0
2,6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)440部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0120】
【化21】
【0121】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート225部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、重量平均分子量(Mw)は、9.1×10
3、分子量分布が2.16、固形分34.8%、固形分換算の酸価は81mg−KOH/gの樹脂B1溶液を得た。樹脂B1は下記に示す構造単位を有する。
【0122】
【化22】
【0123】
合成例で得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0124】
実施例3、4および比較例1
(着色樹脂組成物の調製)
以下の組成で各成分を混合して着色樹脂組成物を得た。
【0125】
【表10】
【0126】
表10中、各成分は以下の化合物を表す。
(A−1):式(I−2)で表される化合物
(A−2):式(I−138)で表される化合物
(A−3):式(1−x)で表される化合物
【0127】
【化23】
【0128】
(B−1):樹脂B1(固形分換算)
(C−1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製)
(D−1):N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製)
(E−1):N−メチルピロリドン
(E−2):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0129】
<着色パターンの作製>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして着色組成物層を得た。放冷後、着色組成物層が形成された基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cm
2の露光量(365nm基準)で光照射した。フォトマスクとしては、100μmラインアンドスペースパターンが形成されたものを使用した。光照射後の着色組成物層を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に24℃で60秒間浸漬現像し、水洗後、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、着色パターンを得た。
【0130】
<耐光性評価>
実施例3、4および比較例1で得られた着色パターンの上に紫外線カットフィルター(COLORED OPTICAL GLASS L38;ホヤ社製;380nm以下の光をカットする。)を配置し、耐光性試験機(SUNTEST CPS+:東洋精機社製)にてキセノンランプ光を24時間照射した。
照射後の着色パターンの色度を測定し、照射前後の色差を求めた。結果を表11に示す。
【0131】
【表11】