特許第6937134号(P6937134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937134
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】細胞内ATP増強剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/708 20060101AFI20210909BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20210909BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20210909BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   A61K31/708
   A61K31/522
   A61K31/4439
   A61P43/00 121
   A61P43/00 105
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-31953(P2017-31953)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-87179(P2018-87179A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-225609(P2016-225609)
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168256
【氏名又は名称】株式会社スタージェン
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 直之
【審査官】 参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−057436(JP,A)
【文献】 特開2003−038184(JP,A)
【文献】 大竹喜雄 ほか,Ischemicおよびreperfusion cellular injuryに対するATPとallopurinol併用の効果について,Cyto-protection Biol.,1988年,Vol.6,pp.393-399
【文献】 大竹喜雄 ほか,肝のhypothermic ischemia-reperfusion injuryに対するATPとallopurinol併用の有効性,肝臓,1989年,Vol.30(4),pp.444-449
【文献】 OPIE, Lionel H.,Allopurinol for Heart Failure,Journal of the American College of Cardiology,2012年,Vol.59(9),pp.809-812
【文献】 SATTUI, E. Sebastian et al.,Treatment of hyperuricemia in gout: current therapeutic options, latest developments and clinical im,Therapeutic Advances in Musculoskeletal Disease,2016年05月,Vol.8(4),pp.145-159
【文献】 WANG, Zhenzhen et al.,Allopurinol preserves myocardial energy metabolism in chronic heart failure rats,Journal of Clinical Cardiology,2015年01月,Vol.31, No.1,p.89-93
【文献】 HARMSEN, Eef et al.,Enhanced ATP and GTP synthesis from hypoxanthine or inosine after myocardial ischemia,Am. J. Physiol.,1984年,Vol.246, No.1 Pt 2,p.H37-43
【文献】 SETTLE, T. et al.,Effect of Allopurinol and Inosine Administration on Xanthine Oxidoreductase Gene Expression in Selec,International Journal of Poultry Science,2015年01月,Vol.14, No.1,pp.37-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のA)及びB)を組み合わせてなる、ヒトの細胞内ATP増強剤。
A)アロプリノール又はトピロキソスタット
B)イノシン
【請求項2】
A)及びB)の組み合わせが、A)及びB)を含む合剤又はキット剤である、請求項1に記載のヒトの細胞内ATP増強剤。
【請求項3】
イノシンと組み合わせて使用される、アロプリノール又はトピロキソスタットを含むヒトの細胞内ATP増強剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤と、B)ヒポキサンチンまたは体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物と、を組み合わせてなるヒト又は動物の細胞内ATP増強剤に関する。さらに詳しくは、A)がアロプリノール又はトピロキソスタットである場合の前記細胞内ATP増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ATP(adenosine triphosphate、以下単にATPということがある)は生物のエネルギーを蓄え、必要なときに供給する最も重要な化合物であり、ATP減少は様々な疾患の病態に関連していると考えられている。例えば、各種の遺伝性溶血性貧血の原因として、赤血球内のATP減少が溶血のメカニズムであると考えられている。例えば、鎌形赤血球症(非特許文献1)、ピルベートキナーゼ欠損症(非特許文献2)、球状赤血球症(非特許文献3)、楕円赤血球症(非特許文献3)、口唇状赤血球症(非特許文献4)、サラセミア(非特許文献5)などである。
また、虚血性心疾患による心筋障害のメカニズムとして細胞内ATP低下が示唆されており(非特許文献6)、キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害薬であるアロプリノールの高用量投与により慢性安定性狭心症の症状が抑えられたと報告されている(非特許文献7)。著者他は、アロプリノールがATPを増加させたことにより虚血性心疾患に良好な影響があったと示唆している(非特許文献7)。
更に、ATP増強療法は心不全に効果がある可能性が高い。米国では心不全患者にしばしば心臓移植が行われており、心不全の発生から死亡に至る期間ではなく、心不全の発生から心臓移植に至る期間が心不全進行の早さの目安になる。心臓移植に至る期間が短いことは心不全の進行が早いことを示す。欧米では遺伝性筋AMP deaminase(AMPD)欠損症の頻度が極めて高く、約20%の一般人がヘテロ接合体欠損症である。研究により筋肉の遺伝的AMPD欠損者は、心不全発生から心臓移植に至る期間が長いことが知られている(非特許文献8)。また、AMPD阻害薬によりマウスの心不全が改善することが示唆されている(非特許文献9)。一般に運動をすると筋肉のATPは減少する。しかし、遺伝性筋AMPD欠損者は運動後も筋肉内ATPが減少しない、あるいは減少が抑制されていると報告されている(非特許文献10)。即ち、AMPがIMP(inosine monophosphate、以下単にIMPということがある)に変換されないためAMP減少が防止でき、ATP減少も起きないのである(図6)。これより考えると、遺伝的筋AMPD欠損症では心筋細胞のATP減少が起きにくく心不全の進行が抑えられたと考えられる。
このようにATPを増強することにより、ATP低下が病態に関係する疾患の病態を改善することが期待できる。
【0003】
また、イノシン投与によりATP増加により筋肉運動の増強作用が起きることを期待し、イノシンが筋肉運動を増強するという報告があるが、最近はその効果を否定する報告もある(非特許文献11)。しかし、イノシンによる筋運動増強作用が証明されない原因は、イノシンのみではATP増強作用が不完全なためである可能性がある。
西野他は、筋萎縮性側索硬化症(以下、単にALSということがある)モデルマウスにフェブキソスタットなどのキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害薬を投与し、疾患進行を抑制することを見出している(非特許文献12)。西野他はフェブキソスタットの投与により神経細胞のATPが増加することが疾患進行を抑制させると推測している (非特許文献12)。実際に、ALSモデルマウスのNa/K−ATPaseをknock-downすることにより神経細胞の変性が抑制されると報告されている(非特許文献12)。また、ALS患者ではNa/K−ATPase活性が更新していると報告されている(非特許文献13)。即ち、ATPを減少させるNa/K−ATPaseの活性化がALSの発症あるいは進行を促進し、ATP減少を抑えるNa/K−ATPaseの抑制がALSの進行を抑えると考えられる。
更に、イノシン投与によりパーキンソン病(非特許文献14)、多発性硬化症(非特許文献15)の症状が軽減するという報告がある。著者他はいずれも血清尿酸値の低下が疾患に関係しているのではないかと考えている。イノシンを投与することにより血清尿酸値を上昇させ、治療効果を発揮することを目的として臨床試験を行っている。しかし、これまでの報告では効果は十分ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Palek J, Liu SC, Liu PA. Crosslinking of the nearest membrane protein neighbors in ATP depleted, calcium enriched and irreversibly sickled red cells. Prog Clin Biol Res. 1978;20:75-91.
【非特許文献2】Glader BE. Salicylate-induced injury of pyruvate-kinase-deficient erythrocytes. N Engl J Med. 1976 Apr 22;294(17):916-8.
【非特許文献3】de Jong K, Larkin SK, Eber S, Franck PF, Roelofsen B, Kuypers FA. Hereditary spherocytosis and elliptocytosis erythrocytes show a normal transbilayer phospholipid distribution. Blood. 1999 Jul 1;94(1):319-25.
【非特許文献4】Mentzer WC Jr, Smith WB, Goldstone J, Shohet SB. Hereditary stomatocytosis: membrane and metabolism studies. Blood. 1975 Nov;46(5):659-69.
【非特許文献5】Wiley JS. Increased erythrocyte cation permeability in thalassemia and conditions of marrow stress. J Clin Invest. 1981 Apr;67(4):917-22.
【非特許文献6】Vogt AM, Ackermann C, Yildiz M, Schoels W, Kubler W. Lactate accumulation rather than ATP depletion predicts ischemic myocardial necrosis: implications for the development of lethal myocardial injury. Biochim Biophys Acta. 2002 Mar 16;1586(2):219-26
【非特許文献7】Noman A, Ang DS, Ogston S, Lang CC, Struthers AD. Effect of high-dose allopurinol on exercise in patients with chronic stable angina: a randomised, placebo controlled crossover trial. Lancet. 2010 Jun 19;375(9732):2161-7.
【非特許文献8】Loh E, Rebbeck TR, Mahoney PD, DeNofrio D, Swain JL, Holmes EW. Common variant in AMPD1 gene predicts improved clinical outcome in patients with heart failure. Circulation. 1999 Mar 23;99(11):1422-5.
【非特許文献9】Borkowski T, Slominska EM, Orlewska C, Chlopicki S, Siondalski P, Yacoub MH, Smolenski RT. Protection of mouse heart against hypoxic damage by AMP deaminase inhibition. Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2010 Jun;29(4-6):449-52.
【非特許文献10】Norman B, Sabina RL, Jansson E. Regulation of skeletal muscle ATP catabolism by AMPD1 genotype during sprint exercise in asymptomatic subjects. J Appl Physiol (1985). 2001 Jul;91(1):258-64.
【非特許文献11】McNaughton L, Dalton B, Tarr J. Inosine supplementation has no effect on aerobic or anaerobic cycling performance. Int J Sport Nutr. 1999 Dec;9(4):333-44.
【非特許文献12】Yasuko Abe, Shinsuke Kato, Takeshi Nishino. Therapeutic agent for amyotrophic lateral sclerosis. US Patent US 8318792 B2, European Patent EP2050467 A1
【非特許文献13】Gallardo G, Barowski J, Ravits J, Siddique T, Lingrel JB, Robertson J, Steen H, Bonni A. An α2-Na/K ATPase/α-adducin complex in astrocytes triggers non-cell autonomous neurodegeneration. Nat Neurosci. 2014 Dec;17(12):1710-9.
【非特許文献14】Parkinson Study Group SURE-PD Investigators, Schwarzschild MA, Ascherio A, Beal MF, Cudkowicz ME, Curhan GC, Hare JM, Hooper DC, Kieburtz KD, Macklin EA, Oakes D, Rudolph A, Shoulson I, Tennis MK, Espay AJ, Gartner M, Hung A, Bwala G, Lenehan R, Encarnacion E, Ainslie M, Castillo R, Togasaki D, Barles G, Friedman JH, Niles L, Carter JH, Murray M, Goetz CG, Jaglin J, Ahmed A, Russell DS, Cotto C, Goudreau JL, Russell D, Parashos SA, Ede P, Saint-Hilaire MH, Thomas CA, James R, Stacy MA, Johnson J, Gauger L, Antonelle de Marcaida J, Thurlow S, Isaacson SH, Carvajal L, Rao J, Cook M, Hope-Porche C, McClurg L, Grasso DL, Logan R, Orme C, Ross T, Brocht AF, Constantinescu R, Sharma S, Venuto C, Weber J, Eaton K. Inosine to increase serum and cerebrospinal fluid urate in Parkinson disease: a randomized clinical trial. JAMA Neurol. 2014 Feb;71(2):141-50.
【非特許文献15】Markowitz CE, Spitsin S, Zimmerman V, Jacobs D, Udupa JK, Hooper DC, Koprowski H. The treatment of multiple sclerosis with inosine. J Altern Complement Med. 2009 Jun;15(6):619-25.
【非特許文献16】Ogasawara N, Goto H, Yamada Y, Nishigaki I, Itoh T, Hasegawa I, Park KS.Deficiency of AMP deaminase in erythrocytes. Hum Genet. 1987 Jan;75(1):15-8.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イノシンの単独投与によっても細胞内ATPは多少増加すると報告されている。実際に、Ogasawara他は20−30日低温で放置し、ATPが低下した赤血球にイノシンを加え1時間放置した後、ATPが上昇したことを報告している(非特許文献16)。しかし、ヒト体内ではイノシンはヒポキサンチン、キサンチンを経て尿酸へと速やかに代謝される(図6)。従ってイノシンだけで十分なATP増強作用を発揮するには不十分であった。また、フェブキソスタットの単独投与でも多少の細胞内ATPの増強は期待できるが、これだけでは不十分の可能性がある。
本発明は、細胞内のATPを増強させる効果を有する組成物、そのうちでもイノシン単独、又はフェブキソスタット単独による増強効果を凌ぐような細胞内ATP増強剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのものであって、以下の構成を有する。
〔1〕以下のA)及びB)を組み合わせてなる、ヒト又は動物の細胞内ATP増強剤。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤
B)ヒポキサンチン、又は体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物
〔2〕A)が、フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノール、ヒドロキシアルカン、カルプロフェン、Y−700およびKUX−1151からなる群から選ばれるいずれか1以上である〔1〕に記載の細胞内ATP増強剤。
〔3〕B)の体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物が、イノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシンおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物である〔1〕又は〔2〕に記載の細胞内ATP増強剤。
〔4〕A)及びB)の組み合わせが、A)及びB)を含む合剤又はキット剤である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のATP増強剤。
〔5〕細胞内ATP増強剤としてイノシンと組み合わせて使用される、アロプリノール又はトピロキソスタット。
【発明の効果】
【0007】
本発明の以下の、A)及びB)の併用投与による細胞内ATP増強効果により、ATP減少が病態の一部を形成する様々な疾患、更にはATPの過剰供給により病態の進行が抑制される様々な疾患の治療薬を提供することが可能である。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤
B)ヒポキサンチン、又は体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】A〜E群の投与を行った場合の血清尿酸値の推移を示すグラフである。横軸は測定期間(週)、縦軸は血清尿酸値(単位mg/dL)を示す。A群:フェブキソスタット20mg、1日2回、14日間,B群:イノシン500mg、1日2回、14日間,C群:フェブキソスタット20mg+イノシン500mg、1日2回、14日間,D群:フェブキソスタット20mg+イノシン1000mg、1日2回、14日間,E群:フェブキソスタット30mg、1日2回、14日間(以下の図でも同様)
図2】A〜E群の投与を行った場合の尿中尿酸濃度/クレアチニン濃度の推移を示すグラフである。横軸は測定期間(週)、縦軸は尿中尿酸濃度/クレアチニン濃度(比)を示す。
図3】A〜E群の投与を行った場合の血液中ATP及びADPの推移を示すグラフである。横軸は測定期間(週)、縦軸はATP又はADP濃度(単位μM)を示す。ATP:実線、ADP:破線。
図4】A〜E群の投与を行った場合の血液中Hx(ヒポキサンチン)、X(キサンチン)の推移を示すグラフである。横軸は測定期間(週)、縦軸はHx又はX濃度(単位μM)を示す。Hx:実線、X:破線。
図5】A〜E群の投与を行った場合の尿中の各種プリン体の濃度(μM)の推移を示すグラフである。
図6】ATP合成に関する経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つの有効成分は、A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤である。キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤としては、フェブキソスタット(商品名フェブリク(帝人ファーマ))、トピロキソスタット(商品名ウリアデック(三和化学研究所)、トピロリック(富士薬品))、アロプリノール(商品名ザイロリック(グラクソ・スミスクライン))、ヒドロキシアルカン、カルプロフェン、Y−700(田辺三菱製薬)、及びKUX−1151(キッセイ薬品)などが挙げられる。また、これらの化合物の薬学的に許容される塩も本発明のA)の有効成分に含まれる。
本発明のもう1つの有効成分は、B)ヒポキサンチン、又は体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物である。体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物としては、例えばイノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシン及びそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物が挙げられるが、これらの化合物も結局はヒポキサンチンに分解されるため、イノシンの代わりにこれらの物質を使用することが可能である(図6)。このうちでもイノシンが望ましい。
【0010】
本発明の細胞内ATP増強作用とは、本発明の有効成分が細胞内でATPの生成を増加させる効果をいう。増加には、定常からの増加、又は減少を抑制すること、あるいは減少した状態から定常に近づけること、のいずれをも含む意味で用いられる。本発明の効果の確認は、細胞内ATP濃度の直接の測定の他、ATP増加によってもたらされる他の代謝経路の産物の測定によって間接的に測定することもできる。
【0011】
本発明の「A)及びB)を組み合わせてなる」とは、A)の成分とB)の成分が投与対象の体内でATP増強作用を発揮するように組み合わされた態様をすべて含む意味で用いられる。したがって、A)の成分とB)の成分が混合されて組成物を形成している合剤(配合剤ともいう)、あるいは混合されることなく、物理的に別々に存在するが、投与される際に同時期に投与されるようにまとめられて存在する薬剤のいずれをも含む。
合剤(配合剤)の例としては、混合されて製剤化されたものが挙げられる。製剤化の例としては、顆粒、粉体、固形剤、液体などの経口剤、吸入剤などが挙げられる。
物理的に別々に存在するが、投与される際に同時期に投与されるようにまとめられて存在する薬剤としては、いわゆるキット剤や、1つの袋に取りまとめられる形態が挙げられる。
同時期とは、必ずしも厳密な意味での同時を意味せず、本発明のATP増強作用効果が発揮される範囲で間隔を置く場合も本発明の同時期に含むものとする。例えば、一方を食前、一方を食後に飲むような場合は本発明の同時期に投与される場合に相当する。
また、本発明は、A)及びB)を併用投与する工程を含む細胞内ATP増強方法、ATP増加方法ともとらえることができる。
【0012】
本発明のATP増強剤の投与量は、例えば、A)のアロプリノールは、約50mg〜約800mg/日、トピロキソスタットは、40〜160mg/日、フェブキソスタットは、10〜80mg/日が望ましい。また、B)のイノシンは、0.5〜4.0g/日が望ましく、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物の有効量も前記イノシンの量に相当する量を分子量により換算して求めることができる。
【0013】
投与方法は、上記投与量をそれぞれ1日1回又は2回以上に分けて投与することが可能である。このうちでも、フエブキソスタットは、従来のフェブキソスタットの用法のように1日1回投与ではなく、1日2回の投与を行うことが望ましい。また、イノシンも1日1回よりも2回の投与が望ましい。したがって、イノシン、フェブキソスタットともに1日2回にわけて投与することがさらに望ましい。また、アロプリノール、トピロキソスタットも同様に1日1回よりも2回の投与が望ましい。
合剤とする場合は、1日の投与量、投与方法を考慮して調整すればよく、アロプリノール100m、トピロキソスタット80mg、フェブキソスタット20mg、又は40mgにイノシン0.5g、1g、1.5g、又は2gを加えたものなどが望ましい。
【0014】
本発明医薬の投与形態は特に限定されず、経口又は非経口のいずれの投与形態でもよい。また、投与形態に応じて適当な剤形とすることができ、例えば注射剤、あるいはカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤などの経口剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水性坐剤などの各種製剤に調製することができる。
本発明医薬は、有効成分A)及びB)を含むことから、有効成分A)の投与形態とB)の投与形態は同じであってもよいし、異なってもよい。同じ投与形態の例としては、両方を錠剤で経口投与する場合、両者を合わせた合剤として経口投与する場合、両者を混合した注射剤で投与する場合などが挙げられる。また、異なる投与形態の例としては、一方を経口剤、一方を注射剤などで投与する場合が挙げられる。
【0015】
本発明の投与対象は、ヒト又は動物であり、ATPの増強が必要な状態にあるヒト又は動物である。
対象疾患としては、ATP減少が病態に関連していることが強く示唆される、以下の疾患(1)溶血性貧血(2)虚血性心疾患(3)心不全(4)筋萎縮性側索硬化症(5)パーキンソン病(6)ADSL欠損症が挙げられる。このうちでも特に、(2)虚血性心疾患(3)心不全(4)筋萎縮性側索硬化症に効果的である。
【0016】
本発明のATP増強剤は、本発明の作用を損なわない範囲で他の医薬とさらに組み合わせることも可能である。
以下、本発明を実施例をもとに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
〔試験例1〕臨床試験(フェブキソスタットとイノシンの併用投与)
1.各種測定方法
(1)臨床検査
下記項目以外は定法により測定した。
(2)血清尿酸値
臨床化学自動分析装置はアークレイ株式会社製の乾式臨床化学分析測定ユニットを用い、血清尿酸値の測定はウリカーゼーペルオキシダーゼ法を用いた。
(3)尿中尿酸濃度/クレアチニン濃度
尿中尿酸濃度は尿量により変化するため、尿中クレアチニン濃度で除した、尿中尿酸/クレアチニンの値を用い、尿中尿酸量を評価した。尿酸値の測定方法は血清尿酸値と同じ。
(4)血液中プリン体濃度
末梢血中の各種プリン体の測定は、文献によった。簡単に述べると、末梢血をEDTA採血し、500μL+500μL ice cold 8%PCAと混合し、直ちに5秒Vortex、12,000 x gで4℃で10分間遠心、上清を−80度で保存した。サンプルが集まった状態で、溶解し、溶解液650μLに40μLの2MKCOin6MKOHを加え、PCAの沈殿と中性化を同時に行った。これを、12,000x gで摂氏4度で10分間遠心後、上清40μLに移動相160μLを加えHPLCにかけた。HPLCの条件も下記文献によった。プリン体の量は全血1L中に含まれるモル量で表した。
文献
Coolen EJ, Arts IC, Swennen EL, Bast A, Stuart MA, Dagnelie PC. Simultaneous determination of adenosine triphosphate and its metabolites in human whole blood by RP-HPLC and UV-detection. J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 2008 Mar 15;864(1-2):43-51.
(5)尿中プリン体濃度
上記(4)と同じ方法によりプリン体濃度を測定した。
【0018】
2.投与試験
(1)投与対象
日本人の健康成人男性16名を、I期は1名、第II期は15名をA群〜E群に各群3名ずつに分けて下記投与試験を行った。
(2)投与内容及び投与スケジュール
(2−1)第I期
1名に対し、フェブキソスタット20mgとイノシン500mg、1日2回の同時投与を14日間行い、安全性を確認した。
(2)第II期
第I期終了後、下記に示す内容で、各群3名に投与を行った。
A群 フェブキソスタット20mg、1日2回、14日間
B群 イノシン500mg、1日2回、14日間
C群 フェブキソスタット20mgとイノシン500mg、1日2回、14日間
D群 フェブキソスタット20mgとイノシン1000mg、1日2回、14日間
E群 フェブキソスタット30mg、1日2回、14日間
【0019】
3.結果
3−1.第I期
(1)有害事象
(1−1)身体所見等
被検者は自覚所見、及び身体所見で有害事象はなかった。
(1−2)臨床検査
8日目のASTが49U/L(基準値10〜40)と異常値を示したが、15日目に29U/Lと基準値に復した。8日目のクレアチニンが1.09mg/dL(基準値0.61〜1.04)と異常値を示したが、15日目に0.98mg/dLと基準値に復した。8日目の血糖値が66mg/dL、15日目が67mg/dL(基準値70〜109)と異常値を示した。
(2)血清尿酸値の変化
血清尿酸値は、1日目4.9mg/dL、8日目2.5mg/dL、15日目2.9mg/dLであった。フェブキソスタット40mg、イノシン1gの服用により、平均2.2mg/dL低下したことになる。
【0020】
3−2.第II期
(1)有害事象
(1−1)身体所見
年齢、身長、体重、BMI、最高血圧、最低血圧、脈拍、体温に群間の著明な差はなかった。最高血圧、最低血圧、脈拍、体温も、被検者1名において脈拍数の著明な増加が見られた以外は、著明な変化は見られなかった。
(1−2)各検査値の有害事象(尿酸値を除く)
総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、AST、ALT、AL−P、LD、γ−GT、総コレステロ−ル、中性脂肪、HDLコレステロ−ル、LDLコレステロール定量、尿酸、尿素窒素、クレアチニン、ナトリウム、クロ−ル、カリウム、カルシウム、血糖検査、HbA1c(NGSP)、白血球数WBC、赤血球数RBC、血色素量Hb、ヘマトクリツトHt、血小板数PLT、BASO、EOSINO、NEUTRO、LYMPH、MONOについて測定した。
特に各群の背景に差は見られなかった。また、血清尿酸値以外は特に著明な変化は認められなかった。
【0021】
(2)血清尿酸値の変化
図1にA〜Eの群ごとのグラフを示す。イノシンのみを投与したB群では血清尿酸値の著増が見られた(最高8.1mg/dL)。A、C〜E群では血清尿酸値の低下が見られた。フェブキソスタット40mg/日投与例では血清尿酸値が2mg/dL未満に低下した例は無かったが、フェブキソスタット60mg/日投与群であるE群では血清尿酸値が2mg/dL未満になる例が見られた。
フェブキソスタット40mg/dLの投与により、血清尿酸値は2.53mg/dL低下したが(A群)、同時にイノシンを1日1g投与した例では2.23mg/dL低下(C群)、1日2g投与した例では1.47mg/dL低下(D群)した。
フェブキソスタット60mg/dLの投与により、血清尿酸値は3.93mg/dL低下した(E群)。一日1gのイノシンにより血清尿酸値は平均2.57mg/dL上昇した(B群)。これをフェブキソスタット投与下におけるイノシンの血清尿酸値増加効果から検討すると、フェブキソスタット40mg/日の下ではイノシン1g/日投与により血清尿酸値は0.3mg/dL、2g/日投与により血清尿酸値は1.06mg/dL増加したことになる。前述のように、フェブキソスタット非投与下では1g/日のイノシン投与により血清尿酸値は2.57mg/dL増加したのでフェブキソスタット投与下ではイノシンによる血清尿酸上昇作用が大幅に抑制されることになる。
【0022】
(3)尿中尿酸濃度/クレアチニン濃度
各群ごとの尿中尿酸濃度/クレアチニン濃度の第0週から第2週までの変化を図2に示した。尿中尿酸/クレアチニンはB群のみがイノシン投与により著明に増加した。A、C−G群はすべて尿中尿酸/クレアチニンが低下した。これらの尿中尿酸濃度/クレアチニン濃度の変化は、血清尿酸値の変化のパターンとほぼ同じであった。
【0023】
(4)血液中プリン体濃度
各群ごとの血液中のプリン体の濃度の第0週から第2週までの変化を図3〜4に示した。
図3はA〜E群ごとの血液中ATP/ADPの濃度を示す。A、B群はATP濃度は変化なし、C、D群ではATPが上昇した事を示唆している。E群は一定の傾向が見られない。即ち、フェブキソスタット、イノシン単独投与ではATPの上昇は見られないが、併用例、特にフェブキソスタット40mg/日、イノシン1〜2g/日の例ではATPの上昇が見られた。それらの量を超えたフェブキソスタット、イノシンの併用では一定の傾向が見られなかった。
図4はA〜E群ごとの血液中ヒポキサンチン(Hx)とキサンチン(X)の濃度を示す。フェブキソスタット40mg/日のみの投与群(A群)ではHx濃度は不変であるが、Xは著明に増加した。イノシン1g/日のみの投与群(B群)ではHx、Xともに不変であった。なお、血液中イノシン濃度も測定したが、イノシン単独投与群を含め、イノシンの濃度の上昇は見られなかった(A−E群)。これはイノシンをHxに変換する酵素、Purine nucleoside phosphorylase(PNP)の濃度が血液中で極めて高く、イノシンは速やかにHxに分解され、更にはHx、Xへと分解されると考えられる。フェブキソスタット40mg/日にイノシンを1〜2g/日併用した例ではHxとXの両方の著明な上昇が認められた。即ち、フェブキソスタット単独でもイノシン単独でも見られなかった「血液中のHxの上昇」という効果が併用により見られた(図4)。
フェブキソスタット60mg/日の単独投与例ではXの上昇とともにHxの軽微な上昇が見られた(図4E)。
【0024】
(5)尿中プリン体濃度
各群ごとの尿中イノシン、Hx、X、尿酸の濃度の第0週から第2週までの変化を図5に示す。尿中Hxはフェブキソスタット単独投与例では中程度の上昇を示すが、フェブキソスタットとイノシンの併用例では著明な上昇を示した。イノシン単独使用例ではHxとXの上昇は認められなかった。Xの濃度はフェブキソスタットの単独投与例でも著明に上昇したが、フェブキソスタットとイノシンの併用例では更に著明に上昇した。
尿中Xの各群での最大の濃度は、A群556.0、B群61.9、C群2023.3、D群1474.8、E群867.7μMであった。即ち、フェブキソスタット40mgとイノシン1、2gを併用した例では、フェブキソスタット40mg単独投与群に比較して最大尿中X濃度が3.64、2.65倍であった。
【0025】
4.試験例4の考察
(1)フェブキソスタットとイノシンの併用は、2週間連続服用試験において、フェブキソスタット40mg/日、イノシン2g/日以下の用量で安全であった。また、これらの併用群で血液中ATPの増加が見られたが、それ以外の単独投与群ではそのような変化は観察されなかった。
(2)フェブキソスタット単独投与では血清尿酸値の著減、イノシンの単独投与では血清尿酸値の著増が見られ、併用療法では中程度の低下が見られた。
(3)どの群でもイノシンの増加は見られず、PNPによりHxに代謝されたと考えられた。
(4)イノシンの単独投与群では血液中も尿中もHxもXも増加せず、尿酸に変化したと考えられた。
(5)フェブキソスタット単独投与群ではXが中程度増加したが、Hxは血液中、尿中を含め軽度−中程度増加した。
(6)フェブキソスタットとイノシンの併用ではHx、Xが血液中、尿中ともに著明に増加した。血液中のHxの増加がATPの増加の原因であると考えられる。
(7)上記臨床試験により、イノシン、フェブキソスタットの単独投与では不可能な薬理作用がこれらの併用により認められた。本発明は、これまでには存在しなかった新規の薬理作用である血液中ヒポキサンチンとATPの増強を可能にするものである。
【0026】
〔試験例2〕臨床試験(2)
上記試験例1により、フェブキソスタットとイノシンの併用により単独投与には認められないほどのATP増強作用が認められた。そこで、フェブキソスタットと同じキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤であるアロプリノール、トピロキソスタットについても同様の作用効果があるか確認するための試験を行った。
1.投与試験
(1)投与対象
日本人の健康成人男性15名を5名ずつ、グループA,B,Cに分けて下記投与試験を行った。
(2)投与内容及び投与スケジュール
グループA
アロプリノール100mgとイノシン500mgを1日2回、14日間
グループB
トピロキソスタット80mgとイノシン500mgを1日2回、14日間
グループC
フェブキソスタット20mgとイノシン500mgを1日2回、14日間
【0027】
2.結果
(1)血清尿酸値の変化
グループA〜Cの試験開始前、試験終了後の血清尿酸値の平均値を下記表1に示す。
いずれのグループにおいても本発明のATP増強剤の投与により血清尿酸値は低下した。
【0028】
【表1】
【0029】
(2)ヒポキサンチン濃度
グループA〜Cの試験開始前、試験終了後のヒポキサンチン濃度の平均値を下記表2に示す。いずれのグループにおいても本発明のATP増強剤の投与により血液中ヒポキサンチンは大幅に増加した。
【0030】
【表2】
【0031】
(3)ATP濃度
グループA〜Cの試験開始前、試験終了後の血液中ATP濃度の平均値を下記表3に示す。いずれのグループにおいても本発明のATP増強剤の投与により血液中ATPは増加した。
【0032】
【表3】
【0033】
3.考察
フェブキソスタットとイノシンの併用、トピロキソスタットとイノシンの併用、及び、アロプリノールとイノシンの併用により、血液中ヒポキサンチンの増加、ATPの増加が確認された。これらはすべて、フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノールがキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼを抑制し、そこにイノシンがプリンヌクレオシドホスホリラーゼにより分解されて出来たヒポキサンチンが体内に蓄積することにより、細胞内ATPが増加したと考えられる。このようなヒポキサンチンとATPの増加は、イノシンからの供給と、キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの抑制の両方が同時に起きたときのみ起こる現象である。
なぜなら、ヒポキサンチンとATPの増加はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤単独の投与、あるいはイノシン単独の投与では起きなかったからである(試験例1)。すなわち、試験例1では、フェブキソスタット、イノシンのそれぞれの単独投与ではヒポキサンチンの増加も、ATPの増加も起きなかったが(図4A、B、図3A、B)、これらを併用投与したときは、ヒポキサンチンとATPの増加が起きたのである(図4C、D、図3C、D)。
従って、ヒポキサンチン及びATPの増加は、キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤とイノシンを併用投与したときのみに起きる現象であるといえる。
【0034】
〔製剤例1〕合剤の例
1錠あたり下記を含む経口投与用の合剤(錠剤タイプ)を製造した。
アロプリノール 100mg
イノシン 0.5g
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8mg
【0035】
〔製剤例2〕キット剤の例
アロプリノールを含む下記A.の組成の錠剤とイノシンを含む下記Bの組成の医薬を製造し、それぞれ混ざらないように区切った同一袋に入れ、1回分を調整した。これを2回分すなわち1日分を同一の箱に梱包しキット剤を製造した。
A.アロプリノール錠
アロプリノール 100mg
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8mg
B.イノシン
イノシン 0.5g
【0036】
〔製剤例3〕合剤の例
1錠あたり下記を含む経口投与用の合剤(錠剤タイプ)を製造した。
トピロキソスタット 80mg
イノシン 0.5g
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8mg
【0037】
〔製剤例4〕キット剤の例
トピロキソスタットを含む下記A.の組成の錠剤とイノシンを含む下記Bの組成の医薬を製造し、それぞれ混ざらないように区切った同一袋に入れ、1回分を調整した。これを2回分すなわち1日分を同一の箱に梱包しキット剤を製造した。
A.トピロキソスタット錠
トピロキソスタット 80mg
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8mg
B.イノシン
イノシン 0.5g
【0038】
〔製剤例5〕合剤の例
1錠あたり下記を含む経口投与用の合剤(錠剤タイプ)を製造した。
フェブキソスタット 20mg
イノシン 0.5g
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8mg
【0039】
〔製剤例6〕キット剤の例
フェブキソスタットを含む下記A.の組成の錠剤とイノシンを含む下記Bの組成の医薬を製造し、それぞれ混ざらないように区切った同一袋に入れ、1回分を調整した。これを2回分すなわち1日分を同一の箱に梱包しキット剤を製造した。
A.フェブキソスタット錠
フェブキソスタット 20mg
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8mg
B.イノシン
イノシン 0.5g
【産業上の利用可能性】
【0040】
アルプリノール、トピロキソスタット又はフェブキソスタットとイノシンの併用投与により細胞内ATPの増強が可能であった。これは、これまでの薬剤に無い、新たな薬理作用である。したがって、様々なATP減少を病態とする疾患に効果があると考えられる。
また、イノシンが有する尿酸値上昇作用が、アルプリノール、トピロキソスタット又はフェブキソスタットとの併用により抑制された。したがって、高尿酸血症の治療のためにアルプリノール、トピロキソスタット又はフェブキソスタットを投与する患者に対して、高尿酸血症の治療効果を減じることなく、ATPの増加をすることができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6