(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するアンテナ装置を説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(アンテナ装置1の適用例)
本実施形態では、
図1に示すように、車両100のバンパー101内に配置される車両周辺監視用のレーダ装置102に用いられるアンテナ装置1(
図2参照)を一例として説明する。
図1は、アンテナ装置1が用いられたレーダ装置102の配置例を示す図である。なお、アンテナ装置1は、自動運転用のセンサ用のレーダ装置に用いられてもよい。また、アンテナ装置1は、航空機や船舶などに搭載されるレーダ装置に用いられてもよい。また、アンテナ装置1は、無線通信機器などに用いられてもよい。
【0011】
車両100のバンパー101内に配置されるレーダ装置102は、アンテナ装置1によって送受信された電波に基づいて車両100の周囲の物標を検出する。物標は、自車両の前方を走行する前方車両、後方を走行する後方車両や自転車、歩行者などの移動体である。また、物標は、例えば、路側帯や信号機やポール、ガードレールなどの静止物であってもよい。
【0012】
このようなレーダ装置102に用いられるアンテナ装置1は、物標を水平方向において広角で検出するために広角に電波を送受信し、アンテナ利得が大きいことが望まれる。また、レーダ装置102は、バンパー101内の狭いスペースに配置されるため、アンテナ装置1は、小型、特に薄型にすることが望まれる。
【0013】
本実施形態に係るアンテナ装置1は、以下で詳しく説明する構成により、アンテナ利得を低下させずに、広角で電波を送受信することができる。またアンテナ装置1を小型にすることができる。
【0014】
(アンテナ装置1の構成)
次に、本実施形態のアンテナ装置1について
図2〜
図4を参照し説明する。
図2は、アンテナ装置1の正面図である。
図3は、アンテナ装置1の斜視分解図である。
図4は、
図2のIV−IV断面図である。なお、
図2などにおいては、説明の便宜のために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向で規定される3次元の直交座標系を図示している。また、Z軸方向を鉛直方向の上向きに規定する。
【0015】
アンテナ装置1は、アンテナ部2と、誘電体基板3と、アンテナシャーシ4とを備える。
【0016】
アンテナ部2は、2本の送信アンテナ2Aと、4本の受信アンテナ2Bとによって構成される。なお、送信アンテナ2Aおよび受信アンテナ2Bの本数は一例であり、これに限定されるものではない。
【0017】
送信アンテナ2Aおよび受信アンテナ2Bは、同一の形状である。そのため、ここでは、送信アンテナ2Aおよび受信アンテナ2Bをまとめて、アンテナ部2として説明することがある。また、
図2などでは、1つの受信アンテナ2Bに後述するアンテナ素子20などの符号を付して説明し、他のアンテナでは符号を省略している。
【0018】
アンテナ部2は、誘電体基板3の第1表面に配置される。アンテナ部2は、Z軸方向に沿って延伸するように形成される。また、アンテナ部2は、アンテナ部2の延伸方向に直交する方向、ここではX軸方向に並んで平行に配置される。
【0019】
具体的には、アンテナ部2は、誘電体基板3のX軸方向に沿って2本の送信アンテナ2A、4本の受信アンテナ2Bの順に並んで平行に配置される。
【0020】
なお、ここでは、誘電体基板3の面積が最大となる面のうち、一方の面であり、アンテナ部2が配置される面を「第1表面」とする。また、誘電体基板3の面積が最大となる面のうち、他方の面を「第1裏面」とする。
【0021】
アンテナ部2は、マイクロストリップアンテナであり、複数のアンテナ素子20と、複数の給電線路21と、変換部22とを備える。
【0022】
アンテナ素子20は、導電性の薄膜パターンとして形成される。薄膜パターンは、スパッタリング法や蒸着法といった手法を用いて、銅などの薄膜を誘電体基板3の第1表面に形成した後、薄膜をフォトエッチング法などでパターニングすることによって形成される。また、薄膜パターンは、薄膜、厚膜、銅箔等の基盤パターンで形成されても良い。
【0023】
アンテナ素子20は、アンテナ部2の延伸方向であるZ軸方向に並んで配置される。アンテナ素子20は、矩形形状に形成される。アンテナ素子20のZ軸方向の長さは、アンテナ部2が送受信する電波の共振周波数に応じて設定され、アンテナ素子20は、Z軸方向の長さに応じた共振周波数の電波を送受信する。また、アンテナ素子20は、アンテナ素子20のX軸方向の長さに応じた電界強度の電波を送受信する。
【0024】
ここでは、誘電体基板3と向かい合うアンテナ素子20の面を「第2裏面」とし、第2裏面とは逆側の面を「第2表面」とする。また、アンテナ素子20に対して誘電体基板3側を「背面側」とし、背面側とは逆側を「正面側」とする。
【0025】
給電線路21は、導電性の薄膜パターンとして形成される。隣接するアンテナ素子20間に配置された給電線路21は、隣接するアンテナ素子20に接続される。また、変換部22とアンテナ素子20との間に配置された給電線路21は、一端がアンテナ素子20に接続され、他端が変換部22の切り込み部内に形成される。
【0026】
変換部22は、誘電体基板3を介して、後述する導波管40と向かい合うように形成される。変換部22は、切り込み部内に形成された給電線路21と導波管40とを電磁気的に結合し、給電線路21と導波管40との間で電力変換を行う。すなわち、変換部22は、給電線路21の給電点となる。
【0027】
誘電体基板3は、所定の比誘電率を有する基板である。誘電体基板3は、例えば矩形状の基板である。誘電体基板3は、例えば、PTFE(Poly-Tetra-Fluoro-Ethylene)などのフッ素樹脂やLCP(Liquid Crystal Polymer)などが用いられる。
【0028】
誘電体基板3の第1裏面には、
図5に示すように、接地導体30が形成される。
図5は、誘電体基板3を第1裏面側から見た図である。接地導体30は、導電性の薄膜パターンとして形成される。なお、
図5では、受信アンテナ2Bの一部を破線で示す。
【0029】
接地導体30には、薄膜パターンが形成されず、誘電体基板3が露出する複数の第1開口部31および複数の第2開口部32が形成される。
【0030】
第1開口部31は、
図6に示すように、アンテナシャーシ4の凹部41に向かい合う位置に形成される。
図6は、
図4のA領域の拡大図である。
【0031】
第1開口部31は、アンテナ素子20から背面側に向けて放射された電波、物標によって反射された電波である反射波、および後述するアンテナシャーシ4の凹部41によって反射された電波(反射波)が接地導体30によって妨げられずに通過するように形成される。
【0032】
第1開口部31は、
図5に示すように、矩形状に形成される。第1開口部31は、一方の辺である長辺の長さW(X軸方向の長さ)が電波の自由空間における波長以上となり、かつ他方の辺である短辺の長さL(Z軸方向の長さ)が給電線路21内の波長である管内波長以上となるように形成される。
【0033】
第1開口部31は、アンテナ部2の延伸方向(Z軸方向)に並んで形成される。第1開口部31がアンテナ部2の延伸方向に並んで形成されることで、接地導体30の一部として、アンテナ部2の延伸方向で隣接する第1開口部31を離間させる第1分離部33が形成される。
【0034】
第1分離部33は、アンテナ部2の延伸方向に対して直交する方向であるX軸方向に沿って形成される。
【0035】
第1開口部31は、誘電体基板3を第1裏面(第1表面)から見た場合に、第1開口部31の一部および接地導体30(第1分離部33)の一部がアンテナ素子20に重なるように形成される。
【0036】
例えば、誘電体基板3を第1裏面から見た場合に、第1分離部33はアンテナ素子20の中心部と重なり、第1開口部31はZ軸方向におけるアンテナ素子20の端部と重なる。
【0037】
端部は、給電線路21との接続部分を含むアンテナ素子20の一部分である。アンテナ素子20の一方の端部と他方の端部とのそれぞれが第1開口部31と重なる。アンテナ素子20のZ軸方向におけるこれらの2つの端部の間の部分(中心部)は、第1分離部33と重なる。
【0038】
また、第1開口部31は、各アンテナ部2に応じて形成される。すなわち、第1開口部31は、アンテナ部2の配置方向(X軸方向)に並んで形成される。
【0039】
第1開口部31がアンテナ部2の配置方向に並んで形成されることで、接地導体30の一部として、アンテナ部2の配置方向で隣接する第1開口部31を離間させる第2分離部34が形成される。
【0040】
第2分離部34は、隣接するアンテナ部2間で電波の干渉を防ぎ、アンテナ部2のアイソレーションを確保するように形成される。
【0041】
第2開口部32は、アンテナシャーシ4の導波管40と向かい合う位置に形成され、中心部に接地導体30が残るように形成される。
【0042】
図3に戻り、アンテナシャーシ4は、誘電体基板3の第1裏面、すなわち接地導体30と向かい合うように配置される。アンテナシャーシ4は、誘電体基板3が接合され、誘電体基板3を支持する。
【0043】
アンテナシャーシ4は、例えば、アルミダイキャストにより成形される。アンテナシャーシ4は、直方体のブロック形状である。アンテナシャーシ4には、複数の導波管40と、複数の凹部41とが形成される。導波管40は、Y軸方向に沿って形成され、誘電体基板3を介して変換部22と向かい合うように形成される。
【0044】
凹部41は、
図6に示すように、誘電体基板3が接合される接合面から窪んで形成され、アンテナ部2の延伸方向(Z軸方向)に沿った溝形状である。凹部41は、所定方向、ここではアンテナ部2の延伸方向に対して直交する平面による断面が円弧形状となるように形成され、凹部41は、反射板として機能する。このように、凹部41は、曲面形状に形成される。
【0045】
凹部41は、誘電体基板3を介してアンテナ素子20と向かい合うように形成される。具体的には、凹部41の底部が誘電体基板3を介してアンテナ素子20と向かい合うように形成される。すなわち、凹部41は、アンテナ素子20と凹部41の底部とがY軸方向に沿って一列に並んで形成される。凹部41は、アンテナ部2に応じて、アンテナ部2の配置方向(X軸方向)に並んで形成される。
【0046】
凹部41は、アンテナ素子20で送受信される電波の周波数に応じて、誘電体基板3との接合面から凹部41の底部までの距離である凹部41の深さd1が設定される。凹部41の深さd1は、アンテナ素子20で送受信される電波の周波数が大きくなるほど小さくなる。
【0047】
凹部41の深さd1は、アンテナ素子20と凹部41の底部までの距離d2が、物標によって反射されて受信アンテナ2Bに直接到達する電波と、凹部41によって反射されて受信アンテナ2Bに到達する電波との位相が、例えば180degずれない距離となるように設定される。
【0048】
具体的には、凹部41の深さd1は、アンテナ素子20と凹部41の底部までの距離d2が、管内波長の1/2に設定される。これにより、例えば、物標によって反射された反射波の電力が最大となっている場合に、受信アンテナ2Bで受信する電波の電力が、凹部41によって反射された反射波によって低下することを抑制することができる。
【0049】
(アンテナ装置1の作用)
次にアンテナ装置1の作用について
図7、
図8を参照し説明する。
図7は、送信アンテナ2Aから放射された電波の進行方向を示す概略図である。
図8は、受信アンテナ2Bが受信する電波の進行方向を示す概略図である。
【0050】
送信アンテナ2Aのアンテナ素子20から放射された電波は、
図7において実線の矢印で示すように正面側に進む。また、接地導体30に第1開口部31が形成されていることで、送信アンテナ2Aのアンテナ素子20から放射された電波は、
図7において破線の矢印で示すように背面側にも進み、第1開口部31を通り、凹部41で反射される。反射された電波は、正面側に進む。
【0051】
アンテナ装置1は、アンテナ素子20と給電線路21とによる垂直偏波と、アンテナ素子20と給電線路21とを放射器として機能させ、凹部41を有するアンテナシャーシ4を反射器として機能させた円偏波とが位相合成された電波を送信波として正面側に送信(放射)する。
【0052】
そのため、凹部41が設けられない場合、例えば、
図7中の実線の矢印のみの場合と比較して、アンテナ装置1は、送信波を水平方向に広角で送信する。
【0053】
物標によって反射された反射波の一部は、
図8において実線の矢印で示すように正面側から受信アンテナ2Bのアンテナ素子20に直接到達する。また、反射波の一部は、
図8において破線の矢印で示すように、受信アンテナ2Bのアンテナ素子20の周囲、誘電体基板3および第1開口部31を通り、凹部41によって反射され、背面側からも受信アンテナ2Bのアンテナ素子20に到達する。すなわち、受信アンテナ2Bのアンテナ素子20は、これらが位相合成された反射波を受信する。
【0054】
そのため、凹部41が設けられない場合、例えば、
図8中の実線の矢印のみの場合と比較して、アンテナ装置1は、反射波を水平方向に広角で受信する。
【0055】
(実施形態の効果)
次に、本実施形態のアンテナ装置1の効果について説明する。
【0056】
アンテナ装置1では、誘電体基板3の第1裏面にアンテナシャーシ4が配置され、アンテナシャーシ4には、誘電体基板3を介してアンテナ素子20と向かい合う凹部41が形成される。
【0057】
これにより、送信アンテナ2Aでは、背面側に向けて放射された電波が、凹部41によって反射され、正面側に向けて放射される。そのため、送信アンテナ2Aは、アンテナ部2から直接正面側に向けて放射される電波に加えて、凹部41によって反射された電波を正面側に放射し、これらが位相合成された送信波を正面側に送信することができる。従って、アンテナ装置1は、アンテナ利得を低下させずに、送信波を水平方向に広角で送信することができる。
【0058】
また、受信アンテナ2Bは、正面側から直接受信する反射波と、凹部41によって反射された反射波とが位相合成された反射波を受信することができる。そのため、アンテナ装置1は、アンテナ利得を低下させずに、反射波を水平方向に広角で受信することができる。
【0059】
本実施形態のアンテナ装置1は、アンテナシャーシ4に凹部41を設けることで、アンテナ装置1を厚くせずに電波を水平方向に広角で送受信することができる。すなわち、薄型のアンテナ装置1で、電波を水平方向に広角に送受信することができる。
【0060】
誘電体基板3の第1裏面に形成された接地導体30には、凹部41と向かい合う位置に第1開口部31が形成される。これにより、電波を凹部41まで到達させて、凹部41によって電波を反射させることができる。そのため、アンテナ装置1は、電波を水平方向に広角で送受信することができる。
【0061】
誘電体基板3を第1裏面から見た場合に、接地導体30の一部(第1分離部33)および第1開口部31の一部がアンテナ素子20と重なるように第1開口部31が形成される。これにより、アンテナ素子20によって電波を送受信させるとともに、送信アンテナ2Aのアンテナ素子20から背面側に放射された電波を凹部41まで到達させ、また受信アンテナ2Bのアンテナ素子20に背面側から電波を到達させることができる。
【0062】
各アンテナ部2に応じた複数の第1開口部31がアンテナ部2の配置方向に沿って形成される。これにより、アンテナ部2の配置方向において隣接する第1開口部31の間に接地導体30の一部として第2分離部34が形成される。そのため、隣接するアンテナ部2において電波の干渉を防ぎ、アイソレーションを確保することができる。
【0063】
第1開口部31は、長辺の長さW(X軸方向の長さ)が電波の自由空間における波長以上であり、かつ短辺の長さL(Z軸方向の長さ)が給電線路21内の波長である管内波長以上である矩形状に形成される。これにより、第1開口部31は、電波を確実に通過させることができる。
【0064】
凹部41の深さは、アンテナ素子20で送受信される電波の周波数が大きくなるほど小さくなる。具体的には、凹部41の深さは、管内波長の1/2とする。これにより、物標によって反射されて受信アンテナ2Bに直接到達する電波と、凹部41によって反射されて受信アンテナ2Bに到達する電波との位相がずれることを抑制することができる。そのため、例えば、物標によって反射された反射波の電力が最大となっている場合に、受信アンテナ2Bで受信する反射波の電力が、凹部41によって反射された反射波によって低下することを適宜抑制することができる。
【0065】
凹部41は、アンテナ部2の延伸方向に対して直交する平面による断面が円弧形状となるように形成される。これにより、アンテナ装置1は、電波を水平方向に広角で送受信することができる。
【0066】
凹部41は、アンテナ部2の延伸方向に沿った溝形状に形成される。これにより、凹部41をアンテナシャーシ4に容易に成形することができる。
【0067】
(実施形態の変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0068】
凹部41は、アンテナ部2の延伸方向に対して直交する平面による断面が放物線形状となるように形成されてもよい。これによっても、アンテナ装置1は、電波を水平方向に広角で送受信することができる。また、凹部41の断面形状は、円弧形状などの曲面形状に限られず、例えば、V字形状などであってもよい。
【0069】
また、凹部41は、各アンテナ素子20に対応してそれぞれ形成されてもよい。凹部41は、例えば、
図6で示す円弧形状の断面をY軸で回転させて形成される球面の一部であってもよい。また、凹部41は、放物面形状であってもよい。これにより、アンテナ装置1は、例えば、鉛直方向および鉛直方向上向きにおいても、電波を広角に送受信することができる。
【0070】
また、凹部41に反射膜を形成してもよく、また、凹部41を鏡面加工してもよい。これにより、凹部41による反射率を向上させることができ、アンテナ装置1は、アンテナ利得を向上させることができる。
【0071】
また、上記実施形態では、アンテナ装置1は、直線偏波として垂直偏波の電波を送受信したが、水平偏波の電波を送受信するものであってもよい。また、偏波は、直線偏波に限定されず、他の偏波、例えば、45deg偏波や、円偏波であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、アンテナ部2は、複数のアンテナ素子20を有しているが、アンテナ素子20は1つであってもよい。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。