(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、封口板には、コンデンサの外装ケース内に発生するガスの内圧上昇に対して、変形や破損を防止できる強度が求められる。そのほか、封口板には、たとえば車載用コンデンサなどの使用環境が厳しい場合の耐振動性や、密閉性、製造時に残留片が発生し難いなどの成形加工性などが求められる。また、電子機器の小型化要求に関連して、コンデンサの小型化も求められる。このような要求機能のうち、封口板には、変形や破損などに対する強度の向上が最低限求められている。特に、コンデンサが大型でかつ静電容量が大きくなるほど、封口板に求められる耐久性や強度も大きくなる。
【0006】
斯かる課題について特許文献1−3には開示がなく、解決することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、封口板の強度や変形に対する耐久度の向上を図ることにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、上記課題に鑑み、封口板の成形加工性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の封口板の一側面は、コンデンサ用の封口板であって、弾性部材で構成された封止層と、前記封止層に積層された支持層とを備え、
前記封止層は前記封口板の表面側に配置され、前記支持層は、
第1の紙フェノール樹脂層と、該
第1の紙フェノール樹脂層を挟んで積層されたガラスクロス含有層と、
該ガラスクロス含有層のうち裏面側のガラスクロス含有層
の前記第1の紙フェノール樹脂層と接触しない面側に配置された
第2の紙フェノール樹脂層とを含む。
【0010】
上記封口板において、前記支持層は、前記封止層と接触しない面側に、前記
第2の紙フェノール樹脂層を介して樹脂フィルムが配置されてよい。
【0011】
上記封口板において、前記
第1の紙フェノール樹脂層
および前記第2の紙フェノール樹脂層は、前記ガラスクロス含有層を隣接して配置されてよい。また前記紙フェノール樹脂層は、前記ガラスクロス含有層の配置枚数に応じて、形成厚さが設定されてよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの一側面は、上記のいずれかの前記封口板を備える。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の封口板の製造方法の一側面は、コンデンサに用いる封口板の製造方法であって、弾性部材で構成された封止層を形成
して、前記封口板の表面側に配置する工程と、
第1の紙フェノール樹脂層と、該
第1の紙フェノール樹脂層を挟んでガラスクロス含有層を積層させるとともに、
該ガラスクロス含有層のうち裏面側の前記ガラスクロス含有層
の前記第1の紙フェノール樹脂層と接触しない面側に
第2の紙フェノール樹脂層を積層させて支持層を形成する工程と、前記封止層に前記支持層を積層させて積層材を形成する工程と、前記積層材の前記封止層側から前記封口板の形状に打抜く工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0015】
(1) 支持層にガラスクロス含有層を積層させることで封口板の強度を向上させることができる。
【0016】
(2) ガラスクロス含有層を含む支持層を備えることで、ケースの内圧上昇に対し、封口板の変形を抑制できる。
【0017】
(3) ガラスクロス含有層を含むことで強度が向上し封口板の破損を回避できる。
【0018】
(4) 封口板の支持層の外装側や外装側に近い部分に紙フェノール樹脂層を介在させることで、封口板の成形時に残留片などの発生が抑えられ、この残留片がコンデンサ素子に付着することによるコンデンサの内部抵抗の上昇などの影響を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、第1の実施の形態に係る封口板の構成例を示す図である。
図1に示す構成は一例であり本願発明が係る構成に限定されない。
【0022】
この封口板2は、本開示の封口板の一例であり、たとえば
図1に示したように、薄い円盤状であり、図示しない外装ケースの開口側を封止させる封止層4と、この封止層4の一面に設置される支持層6で構成される。封止層4と支持層6は、同径の円盤形状に形成すればよく、または設置する外装ケースの開口部側の形状に応じて、封止層4と支持層6を異なる外径に形成してもよい。
【0023】
封止層4は、ゴムなどの弾性材料で構成されており、その側面周囲が外装ケースの収納部内壁に嵌め合わさることで外装ケースを密封させる。封止層4は、柔軟性や弾力性を発揮する硬度で形成され、たとえばエチレンプロピレンゴムやブチルゴム、シリコンゴムなどが用いられる。また支持層6は、貼り付けられた封止層4を平板面から支持して剛性を持たせる手段の一例であり、たとえば複数の部材を積層して形成される。
【0024】
このように封口板2は、封止層4の板面に対し剛性のある支持層6が貼り付けられることで、封止性の向上、剛性の向上、変形性の低下が図れる。
【0025】
その他封口板2には、平板面上に2つの端子8が設置される。端子8は、たとえばそれぞれ単一または複数の部品を組み合せて形成されており、コンデンサを形成する封止した素子と電気的に接続することで、それぞれ陽極側、陰極側の端子として機能する。
【0026】
なお、封口板2は、円盤形状の場合を示したが、これに限らず、楕円形状や四角形状などに形成されてもよい。封口板2の形状は、封口対象であるコンデンサの外装ケースの開口形状に合わせればよい。
【0027】
封口板2の内部構成は、たとえば
図2のAに示すように、単一の弾性部材による封止層4に対して底部側に、少なくとも4層の材料を積層した支持層6を備える。また端子8は、たとえば軸部が、それぞれ封口板2の厚さ方向に貫通されており、封口板2の反対面側に一定の長さで突出している。
【0028】
封口板2は、たとえば
図2のBに示すように、封止層4である弾性層10に対し、紙フェノール樹脂層12と、この紙フェノール樹脂層12の上下方向から挟んで配置されたガラスクロス含有層14、16を備える。すなわち、紙フェノール樹脂層12の両面にガラスクロス含有層14、16が積層されている。さらに、支持層6のうち封止層4と接触しない面に、紙フェノール樹脂層20が積層される。すなわち、この封口板2は、封止層4である弾性層10の下に、支持層6としてガラスクロス含有層14、紙フェノール樹脂層12、ガラスクロス含有層16、紙フェノール樹脂層20が積層される。
【0029】
この紙フェノール樹脂層12は、支持層6の基材の一例であり、紙基材にフェノール系樹脂を含浸させた合成材料で形成された部材による層である。
ガラスクロス含有層14、16は、紙フェノール樹脂層12に対する補強材の一例であり、ガラス繊維を含むガラスクロスにフェノール系樹脂を含浸させた合成材料で形成された部材による層である。このガラスクロス含有層14、16は、高強度、高靱性を備えているほか、耐火性、耐熱性を有する。
【0030】
支持層6では、ガラスクロス含有層14、16が紙フェノール樹脂層12を挟んで配置されることで、封口板2の平面側に受けた圧力F1に対し、紙フェノール樹脂層12が屈曲したり伸縮したりするのを抑制させることができる。これにより支持層6の剛性が向上する。そして、支持層6の剛性強化により、積層された封止層4の変形を抑えることができ、封口板2全体の強度や剛性の強化が図れる。
【0031】
紙フェノール樹脂層20は、封口板2の支持材として機能するとともに、封口板2の表面部材として機能する。ガラスクロス含有層14、16は、たとえば構成材量であるガラスクロスの強度が高いことなどから、ガラスクロス含有材の生成時や、支持層6の形成処理において、表面に微小なバリXが発生する場合がある。このバリXは、たとえば封口板2の製造時の剪断処理における微小な切り残しや引き裂きによる切れ端などが含まれる。
【0033】
ここで、封口板2の製造工程の一例を説明する。
【0034】
(A)積層材の生成処理
この処理では、たとえば紙フェノール樹脂材、ガラスクロス含有材などをそれぞれ生成する。ここで生成される材料は、たとえばプリプレグ(Prepreg)と呼ばれる半硬化状態のものである。紙フェノール樹脂材の生成では、たとえば紙基材に架橋前のフェノール樹脂をアルコールなどに溶解したものを含浸させ、加熱や乾燥により半硬化状態にして生成する。またガラスクロス含有材は、たとえばガラス繊維であるガラスクロスに対し、熱硬化性のフェノール樹脂を均等に含浸させ、加熱や乾燥により半硬化状態にして生成する。そしてこのように形成されたプリプレグの紙フェノール樹脂材とガラスクロス含有材、およびゴムを既述した順序に配置した積層材を作る。そしてこの積層材を加熱圧着して一体化させる。これにより封止層4と支持層6を備えた積層材が生成できる。
【0035】
(B)封口板の形成処理
この処理では、封口板2を所定の形状に成形する処理を行う。生成された積層材は、たとえばプレス加工によって封口板2の形状および寸法に打ち抜かれる。このとき、積層材は、たとえばプレス機の剪断刃によって切断される。
【0036】
(C)その他の加工処理
打抜きによって成形された積層材は、たとえば予め設定された位置に貫通孔を形成し、端子8を挿入させるなどの加工処理が行われる。また積層材は、たとえば表面状態を安定させるための表面処理などを行ってもよい。
【0037】
以上のような処理を経て、封口板2が製造される。このような製造工程において、ガラスクロス含有層16の端部に発生するバリXは、積層材料の打抜き方向によって形成向きが決まる。この打抜き処理がたとえば封口板2の封止層4側から支持層6方向に向けて行われた場合、たとえば
図2のBに示すように、下向きにバリXが生じるおそれがある。
【0038】
そこで、この封口板2では、バリXが発生するガラスクロス含有層16の下層側に対して紙フェノール樹脂層20を配置している。
【0040】
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0041】
(1) 支持層6は、少なくとも基材である紙フェノール樹脂層12の平面側の両面をガラスクロス含有層14、16で挟み込むことで、封口板2の剛性、強度を向上させることができる。
【0042】
(2) 支持層6にガラスクロス含有層14、16を積層させることで、封口板2の平面側に受ける圧力に対して封口板2の変形を抑制できる。
【0043】
(3) ガラスクロス含有層14、16により剛性強度が向上することで、コンデンサ内部の圧力上昇に対して封口板2の破損を防止できる。
【0044】
(4) ガラスクロス含有層14、16の積層により、封口板2の耐熱性、耐火性が向上する。
【0045】
(5) 封口板2のガラスクロス含有層16よりも外部側に紙フェノール樹脂層20を配置することで、バリXの発生を抑制し、またはバリXが封口板2の外装側に突出するのを防止できる。
【0046】
(6) バリXの発生を抑えることで、封口板2の表面状態の美感の低下を防止できる。
【0047】
(7) バリXによるコンデンサ内部の部品の損傷などを防止できる。
【0048】
(8) 経年劣化等によるバリXの剥離の発生を防止できる。これにより、外装ケースの収納部内に異物の混入を防止でき、コンデンサのショート等の発生を抑えることができる。
【0050】
図3は、第2の実施の形態に係る封口板の構成例を示している。
【0051】
この封口板2は、たとえば
図3のAに示すように、支持層6に対し、封止層4が積層された面と反対側の面、すなわち封止層4と接触しない面に樹脂フィルム22が配置される。この樹脂フィルム22は、封口板2の防水手段の一例であり、コンデンサの外装ケースの収納部内に向けて配置される。樹脂フィルム22は、熱可塑性を有する樹脂であり、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリプロピレン(PP)などの疎水性の材質が用いられる。
【0052】
支持層6は、たとえば
図3のBに示すように、外装ケース側に紙フェノール樹脂層20を備えており、この紙フェノール樹脂層20の一面に樹脂フィルム22が配置される。また少なくともこの封口板2は、樹脂フィルム22をガラスクロス含有層16の面に対して配置させないように構成されている。すなわちガラスクロス含有層16と樹脂フィルム22とが接触した状態で積層された積層材は、封口板2の形状および寸法に打ち抜くプレス加工の際にプレス機の剪断刃の影響により封口板2の周端部において、樹脂フィルム22がガラスクロス含有層16から剥離するおそれがある。よって、支持層6は、外装ケース側にガラスクロス含有層16以外の層を形成し、その層に樹脂フィルム22を配置させる。特に、紙フェノール樹脂層20は、ガラスクロス含有層16および樹脂フィルム22との密着性が想定範囲内であることから、支持層6の基材となる紙フェノール樹脂層12とともに、ガラスクロス含有層16を介して外装ケース側に配置される。
【0053】
樹脂フィルム22を含む封口板2の製造工程は、たとえば第1の実施の形態に示す工程と同様に、(A)積層材の生成処理、(B)封口板の形成処理、(C)その他の加工処理等が含まれる。
積層材の生成処理では、既述のように、それぞれ生成されたプリプレグの紙フェノール樹脂材、ガラスクロス含有材に加え、さらに外装ケース側の紙フェノール樹脂層20となる紙フェノール樹脂材と、樹脂フィルム22による積層材を生成する。そしてこの積層材を加熱圧着して一体化させた積層体を生成すればよい。
そして、封口板の形成処理やその他の加工処理等は既述の通りである。
【0054】
支持層6の基材である樹脂フェノール樹脂層12は、たとえば外装ケース側に配置した樹脂フェノール樹脂層20よりも厚く形成すればよい。外装ケース側の紙フェノール樹脂層20は、支持層6に対して樹脂フィルム22を配置させるものある。本願発明は、紙フェノール樹脂層12の両面をガラスクロス含有層14、16で挟むことで、支持層6の剛性や耐久性を向上させるものである。従って、封口板2の封止性や剛性を向上させるためには、ガラスクロス含有層14、16を厚くした方がよい。
【0056】
斯かる構成によれば、上記実施の形態に示す効果に加えて、以下のような効果が得られる。
【0057】
(1) 封口板2の外装面に樹脂フィルム22を備えることで、封口板2の防水機能が向上し、電解液が封口板2に浸透するのを抑制することができる。特に、高温、高圧状態となるコンデンサの外装ケース内部での封口板に対する防水機能が向上する。
【0058】
(2) 親和性のある紙フェノール樹脂層20に対して樹脂フィルム22を配置することで、コンデンサ使用中に樹脂フィルム22が剥離するのを防止できる。
【0059】
(3) コンデンサ使用時の樹脂フィルム22の剥離が生じないことで、コンデンサに対する異物の介在によるショートなどを防止できる。
【0061】
図4は、第3の実施の形態の封口板の構成例を示している。
【0062】
この封口板2は、
図4のAに示すように封止層4に対し、複数の層で構成された支持層6が積層されている。この支持層6は、たとえば
図4のBに示すように、2枚のガラスクロス含有層14a、14bと、2枚の紙フェノール樹脂層12a、12bが交互に配置され、これらの積層体にさらに、ガラスクロス含有層16と紙フェノール樹脂層20が積層されている。すなわち、支持層6では、弾性層10に配置したガラスクロス含有層14aと中央側に積層されたガラスクロス含有層14bとで紙フェノール樹脂層12aを挟み込んで補強している。またガラスクロス含有層14bとガラスクロス含有層16とが紙フェノール樹脂層12bを挟み込んで補強している。
【0063】
さらにこの封口板2には、既述のように、ガラスクロス含有層16よりも外装ケース側に紙フェノール樹脂層20を介して樹脂フィルム22が配置されてもよい。ガラスクロス含有層14a、14b、16は、均等の厚さに形成すればよく、たとえばそれぞれ0.1〔mm〕〜0.2〔mm〕程度の厚さに設定してもよい。また紙フェノール樹脂層12a、12b、20も同等の厚さに形成すればよく、たとえばそれぞれ0.3〜0.5〔mm〕程度の厚さにしてもよい。ガラスクロス含有層や紙フェノール樹脂層の厚さは、たとえば配置させる枚数に対し、封口板2の全体厚さの設定値や、弾性層10の厚さに基づいて、設定されればよい。
【0065】
斯かる構成によれば、上記実施の形態に示す効果に加えて、以下のような効果が得られる。
【0066】
(1) 補強材であるガラスクロス含有層の枚数を増やすことで、支持層6の剛性や支持強度、耐久性を向上させることができる。
【0067】
(2) コンデンサの設定電圧や使用環境に応じてガラスクロス含有層の枚数を設定することができ、コンデンサに合わせた封口板2を製造でき、利便性が高められる。
【0068】
(3) ガラスクロス含有層と樹脂フェノール層の積層数が増加することで、封口板に対して過大な圧力が負荷された場合でも、積層体が加重的に封止していることで、コンデンサの封口性を維持することができる。
【0070】
図5は、コンデンサに対する封口板の設置状態の一例を示している。
【0071】
コンデンサ素子30は、たとえば電極箔やセパレータを巻回した巻回素子である。このコンデンサ素子30は、たとえば図示しない電極箔である陽極箔や陰極箔が絶縁体であるセパレータを介して積層された状態で所定の方向に巻回されている。この巻回端面に対して封口板2の平板部分を向けて配置する。
【0072】
コンデンサ素子30は、たとえば
図5のAに示すように一端側の巻回面に陽極箔および陰極箔からそれぞれタブ40a、40bが突出しており、このタブ40a、40bが封口板2の端子8に接続する。封口板2が接続したコンデンサ素子30は、外装ケース32の収納部33内に収納される。この外装ケース32は、コンデンサの外装部品の一例であり、たとえば一端側に開口部34がある有底筒状に形成されている。この外装ケース32は、収納部33内にコンデンサ素子30や図示しない電解液などを入れた後、開口部34の先端部36を封口板2側に折り返して封止状態にする。
【0073】
また、外装ケース32は、たとえば
図5のBに示すように、封口板2の下部側に近い位置または封口板2に重なる位置に対して、外部から押圧して加締め溝38を形成することで、封口板2と外装ケース32を密着状態にさせる。外装ケース32の先端部36は、折り返しにより封口板2の封止層4に接触させてもよい。これによりコンデンサの内部圧力が上昇しても、封口板2が外装ケース32から離脱するのを阻止できる。
【0075】
斯かる構成によれば、上記実施の形態に示す効果に加えて、以下のような効果が得られる。
【0076】
(1) 外装ケース32に対し、封口板2が隙間無く配置されるとともに、加締め処理や開口部34側の折り返しによって、封口板2が電解液などの噴出を阻止することができる。
【0077】
(2) 外装ケース32の先端部36を折り返して封口板2の封止層4と接触させることで、封口板2の端面側周囲が外装ケース32と強固に一体化できる。
【0078】
(3) 封口板2と外装ケース32との一体化とともに、ガラスクロス含有層によって紙フェノール樹脂層を挟み込んで強化した支持層の剛性強度の向上により、外装ケース32に対する封口板の封止強度が向上する。
【0079】
(4) ガラスクロス含有層による紙フェノール樹脂層の挟み込み構造によって封止層に対する支持強度が向上することで、外装ケース32内の内部圧力の上昇に対し、封口板2の変形が抑えられるので、封止精度が向上する。
【0081】
次に、封口板の剛性についての実験例を示す。
図6は、実験例における封口体の変形状態を想定した図である。
図6に示すコンデンサは、本実験例における測定対象を明確にするため示した想定図であり、実際の封口板の変形状態を示したものではない。
【0082】
コンデンサは、たとえば内部圧力の上昇等や経年によって封口板50が変形する場合がある。封口板50は、たとえば封止層52、この封止層52を支持する支持層54の積層体構造で構成されている。そして、この実験では、内部構造の異なる複数の支持層54を構成し、封口板全体の変形状態を測定している。
この実験で用いたコンデンサの構成は、サイズがφ30×40〔L〕、定格が450〔V〕、390〔μF〕、電解紙がクラフト紙であり、電解液がエチレングリコールを主溶媒としている。そして封口板50は、
図7に示すように、比較例1、2、実施例1〜3の5種類を用いている。そして実験内容は、各封口板を備えたコンデンサに対し、周囲環境下105〔℃〕で450〔V〕の電圧を印加し、3000〔時間〕後の封口板の変形量h(
図6)を測定している。
【0083】
それぞれの封口板の構成および測定結果を
図7に示す。
(1) 比較例1の封口板は、内部にガラスクロス含有層を含まない、弾性層10と紙フェノール樹脂層12の積層体である。この封口板は、3000〔時間〕が経過したとき、本出願人の基準において、コンデンサとして使用出来ない状態となった。
【0084】
(2) 比較例2の封口板は、内部に2枚のガラスクロス含有層を備えている。内部構造は、弾性層10の下層に厚い紙フェノール樹脂層11、そして2枚のガラスクロス含有層14が近接して配置され、その間に薄い紙フェノール樹脂層12が配置されている。そして下層側に厚い紙フェノール樹脂層20が配置されている。この封口板は、3000〔時間〕が経過したときの変形量が1.9〔mm〕となった。
【0085】
(3) 実施例1の封口板は、2枚のガラスクロス含有層を支持層内に離して配置している。すなわち、弾性層10の下に薄い紙フェノール樹脂層11が配置され、2枚のガラスクロス含有層14の間に厚い紙フェノール樹脂層12が配置されている。そして下層側に薄い紙フェノール樹脂層20が配置されている。そして、この封口板は、3000〔時間〕が経過したときの変形量が0.8〔mm〕となった。この実施例1を比較例2と比較すると、補強材であるガラスクロス含有層が、基材である紙フェノール樹脂層12の大部分に対して上下両面で支持することで、封口板の剛性、耐久性が向上し、変形量が抑えられている。
【0086】
(4) 実施例2の封口板は、4枚のガラスクロス含有層14を支持層内に均等に離して配置している。すなわち、弾性層10の下に第1の紙フェノール樹脂層11が配置され、その下層側にそれぞれガラスクロス含有層14を介して第2の紙フェノール樹脂層12−a、第3の紙フェノール樹脂層12−b、第4の紙フェノール樹脂層12−cが配置される。そして下層側に紙フェノール樹脂層20が配置されている。この封口板は、3000〔時間〕が経過したときの変形量が0.5〔mm〕となった。
実施例2と比較例2を対比すると、ガラスクロス含有層に挟まれたそれぞれの紙フェノール樹脂層12−a、第3の紙フェノール樹脂層12−b、第4の紙フェノール樹脂層12−cの厚さは比較例2に対して大きく異なっていない。しかしながら、全体としてガラスクロス含有層で挟まれた紙フェノール樹脂層が厚くなったことから、封口板の基材の支持強度や剛性が向上している。
また、実施例2と実施例1を比較すると、枚数の増加によりガラスクロス含有層14の全体厚さも増加したことで、支持層の支持強度や剛性、耐久性が向上している。
【0087】
(5) 実施例3の封口板は、6枚のガラスクロス含有層を支持層内に離して配置している。すなわち、弾性層10の下に第1の紙フェノール樹脂層11が配置され、その下層側にそれぞれガラスクロス含有層14を介して、薄い第2の紙フェノール樹脂層121−1、第3の紙フェノール樹脂層121−2を配置し、さらに支持層の中央部分に厚い第4の紙フェノール樹脂層121が配置される。そして、ガラスクロス含有層を介して薄い第5の紙フェノール樹脂層121−3、第6の紙フェノール樹脂層121−4が配置される。そして下層側に紙フェノール樹脂層20が配置されている。この封口板は、3000〔時間〕が経過したときの変形量が0.3〔mm〕となった。
実施例3と比較例2を比較すると、厚い紙フェノール樹脂層121を支持部の中央に配置し、その他の紙フェノール樹脂層121−1〜121−4を薄くしたことで、実施例1のように、基材の多くの部分が、上下面にそれぞれ3枚ずつのガラスクロス含有層14で挟み込まれることになり、支持強度が増加した。また、ガラスクロス含有層14を6枚にし、支持層全体としてガラスクロス含有層の厚さが増えたことで、支持強度や剛性、耐久性が向上している。
【0088】
従って、本願発明のように、封口板の支持層内に複数のガラスクロス含有層を介在させ、かつ基材である紙フェノール樹脂層の両面を挟み込む構造とすることで、封口板の強度や剛性、耐久性が向上する。これによりコンデンサの内部圧力の上昇や経年に対して、封口板の封止強度を高く維持でき、コンデンサの安全性の向上が図れる。
【0090】
次に、封口板の実験例2について説明する。
実験例2では、封口板の支持層に配置されるガラスクロス含有層について、封口板の外装ケース側に紙フェノール樹脂層を配置しない場合について以下の状態を測定した。
実験例2の封口板60は、たとえば
図8のAに示すように、支持層6の下層側にガラスクロス含有層16を配置し、その面に樹脂フィルム22を配置している。この実験例では、(1)ガラスクロス含有層16と樹脂フィルム22の剥離の有無の確認、(2)封口板60の支持層6のバリの発生の測定を行った。この実験例2では、
図8のBに示すガラスクロス含有層16と樹脂フィルム22との間に紙フェノール樹脂層20を介在させた封口板2と比較している。実験は、10個の封口板60、2について行った。
【0091】
実験の結果、
(1)については、10個の封口板60について樹脂フィルム22が剥離したのに対し、紙フェノール樹脂層20を介在させた封口板2は、樹脂フィルム22の剥離は発生しなかった。
(2)については、10個の封口板60についてガラスクロス含有層16にバリが発生したのに対し、紙フェノール樹脂層20を介在させた封口板2は、ガラスクロス含有層16にバリが発生しなかった。
【0092】
従って、支持層6において、ガラスクロス含有層16を封口板の外装面に表出させず、紙フェノール樹脂層20を外装面に配置することで、樹脂フィルム22を安定させ、かつバリなどの異物の発生が抑えられる。
【0094】
以上説明した実施形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0095】
(1) 支持層内に薄型化したガラスクロス含有層を複数枚を配置させる場合を示したが、これに限らない。支持層には、たとえば複数枚分の厚さで形成された少なくとも2枚のガラスクロス含有層が形成され、その間に紙フェノール樹脂層が配置されてもよい。ガラスクロス含有層を厚く形成し、これによって紙フェノール樹脂層を挟み込むことで、支持層の剛性を高くでき、封口板の強度を向上させることができる。
【0096】
(2) 第2の実施の形態では、打抜き処理を封口板2の封止層4側から支持層6方向に向けて行われた場合を示したが、これに限らない。封口板2の支持層6側から封止層4方向に向けて行ってもよい。この場合、ガラスクロス含有層14よりも外部側に封止層4が配置されているため、バリの発生を抑制し、またはバリが封口板2の外装側に突出するのを防止できる。また、ガラスクロス含有層16の外部側に紙フェノール樹脂層20が配置されることで、打抜き処理の際にプレス機の剪断刃の先端が直接当たらず、ガラスクロス含有層16の損傷を防止できる。
【0097】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。