(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
前記電離放射線硬化型樹脂は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレートを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のような易接着処理は、工程にかかるエネルギーが大きく、また工程が追加されることによる歩留りの低下が懸念される。また、特許文献3のような微粒子の添加は、ハードコートフィルムの透明性の低下や凝集物の発生が懸念される。さらに特許文献4、5のように特定の種類、組成のハードコート樹脂に限定せず、幅広い種類の樹脂を用いることが望まれている。
また近年、用途の拡大等によりハードコートフィルムに対する機能的要求はますます高まってきており、上述の従来技術ではその要求に応えるような特性を持ったハードコートフィルムを得ることが困難である。
【0007】
そこで、本発明は、従来の易接着処理や、微粒子の添加、及び特定の樹脂の規定を行わずとも、密着性(特に耐久密着性)に優れ、且つハードコート適性に優れるハードコートフィルムを提供することを目的とする。また、このようなハードコートフィルムを製造するのに好適なハードコート塗料、このハードコート塗料を用いるハードコートフィルムの製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ハードコート層に添加剤として特定の有機過酸化物を添加することによって上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、以上のような解明事実に基づきなされたものであり、以下の構成を有する。
【0009】
(第1の発明)
透明フィルム上の少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂と添加剤とを含有するハードコート層が設けられたハードコートフィルムにおいて、前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、前記添加剤が3〜20重量部の範囲で配合されることを特徴とするハードコートフィルム。
【0010】
(第2の発明)
第1の発明において、前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とする記載のハードコートフィルム。
【0011】
(第3の発明)
第1又は第2の発明において、前記電離放射線硬化型樹脂は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレートを含有することを特徴とするハードコートフィルム。
【0012】
(第4の発明)
第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記透明フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とするハードコートフィルム。
【0013】
(第5の発明)
電離放射線硬化型樹脂、溶媒、及び添加剤を少なくとも含むハードコート塗料であって、前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、前記添加剤の配合量は、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、3〜20重量部の範囲であることを特徴とするハードコート塗料。
【0014】
(第6の発明)
第5の発明において、前記添加剤が、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことを特徴とするハードコート塗料。
【0015】
(第7の発明)
透明フィルム上の少なくとも片面にハードコート層が設けられたハードコートフィルムの製造方法であって、透明フィルム上に、第6の発明に記載のハードコート塗料を塗工し、80〜150℃の温度範囲で乾燥させた後、積算光量200〜600mJ/cm
2の範囲で光照射して硬化させることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【0016】
(第8の発明)
第7の発明において、前記透明フィルムは、シクロオレフィンフィルムであることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来の易接着処理や、微粒子の添加、及び特定の樹脂の規定を行わずとも、密着性(特に耐久密着性)に優れ、且つハードコート適性に優れるハードコートフィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、このようなハードコートフィルムを製造するのに好適なハードコート塗料や、このハードコート塗料を用いるハードコートフィルムの製造方法についても提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
なお、本発明において、特に断りのない限り、「○○〜△△」とは「○○以上△△以下」を意味するものとする。
【0019】
本発明のハードコートフィルムは、透明フィルム上の少なくとも片面に、電離放射線硬化型樹脂と添加剤とを含有するハードコート層が設けられたハードコートフィルムにおいて、前記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、前記添加剤が3〜20重量部の範囲で配合されることを特徴としている。
【0020】
本発明に用いることができる上記透明フィルムは特に限定されるものではなく、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレングリシジルメタクリレート、ポリイミド及びこれらの混合物を例示することができるが、耐湿性、耐熱性に優れ、光学特性に優れた点からシクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリイミドを用いることが好ましく、特にシクロオレフィンポリマーを用いることが好ましい。
【0021】
本発明における上記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂と特定の添加剤とを含有する。
本発明に用いることができる上記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことが重要である。本発明における上記ハードコート層に、このような添加剤として特定の有機過酸化物を含有することにより、基材フィルム(透明フィルム)とハードコート層との密着性を向上させることができ、特に耐久密着性の向上に効果的である。
【0022】
上記有機過酸化物は、一般構造式が、R
1−O−O−R
2(ここで、R
1とR
2はいずれもアルキル基、または水素原子である。)で表される有機物であり、反応性が高く、上記電離放射線硬化型樹脂と基材フィルム(上記透明フィルム)とのグラフト重合を促進し、密着性を高めると考えられ、特に耐久密着性の向上に効果的である。この反応は、初めに基材フィルムと有機過酸化物の開始剤ラジカルが反応し、ラジカルにより基材フィルムが活性化され電離放射線硬化型樹脂との反応性が増すと推定される。
【0023】
本発明に用いることができる上記添加剤としては、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物であれば特に限定されるものではないが、反応性の観点から特に分子内にR−C(=O)−を持つもの、または分子内にR−O−O−Rを二つ以上持つもの(但し、C:炭素原子、R:アルキル基又は水素原子)であることが好ましく、そのようなものとしてはジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含むことが好ましい。
【0024】
上記ケトンパーオキサイド類としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド。アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。上記ジアシルパーオキサイド類としては、例えば、ジイソブチリルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。上記ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。上記ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。上記パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等が挙げられる。上記アルキルパーエステル類としては、例えば、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。上記パーカーボネート類としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0025】
本発明において、上記添加剤として特定の有機過酸化物の配合量は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対し3〜20重量部の範囲での添加が好ましい。より好ましくは3〜10重量部であり、さらに好ましくは5〜10重量部である。
上記添加剤の配合量が3重量部未満であると、当該添加剤を配合したことによる密着性の向上効果が得られない。また、上記添加剤の配合量が20重量部を超えると、添加剤が電離放射線硬化型樹脂の硬化を阻害し、好ましい硬度のハードコートフィルムが得られない。
【0026】
本発明に用いる上記電離放射線硬化型樹脂は、紫外線や電子線を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではなく、特定の種類、組成のハードコート樹脂に限定せず、幅広い種類の樹脂を用いることが可能である。例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。得られるハードコート層のハード性の点では、本発明に用いる電離放射線硬化型樹脂として好ましいものは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレートからなるものであり、より好ましくは分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレート、更に好ましくは分子内に6個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線にて硬化可能な多官能アクリレートが挙げられる。
【0027】
分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線または電子線硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールA ジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することによって得ることができるポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、これらの多官能アクリレートはそれぞれを単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
本発明において、上記ハードコート層には、上記の電離放射線硬化型樹脂および添加剤の他に、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。本発明のハードコート層は、これらの樹脂、添加剤等を適当な溶媒に溶解、分散したハードコート塗料を透明フィルム上に塗工、乾燥後、光照射により硬化させて形成される。
【0029】
本発明において、上記ハードコート層の塗工厚みは、1μm〜20μmの範囲にあることが好ましい。塗工厚みが1μm未満では、硬度が低下するため好ましくない。また、逆に塗工厚みが20μmを超えると、ハードコートフィルムのカールが強く筒カールとなり易いため好ましくない。言い換えれば、ハードコート層の塗工厚みを1μm〜20μmの範囲に設定することにより、ハードコートフィルムの硬度とカールの両立を図ることができる。
【0030】
本発明は、以上のようなハードコートフィルムの製造に好適なハードコート塗料についても提供する。
すなわち、本発明の上記ハードコート層を形成するためのハードコート塗料としては、電離放射線硬化型樹脂、溶媒、及び添加剤を少なくとも含み、上記添加剤は、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類から選ばれる少なくとも一つの有機過酸化物を含み、上記添加剤の配合量は、上記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、3〜20重量部の範囲としたハードコート塗料である。
【0031】
このハードコート塗料に用いられる上記添加剤、及び上記電離放射線硬化型樹脂について詳しくは前述のとおりであるので、ここでは重複説明は省略する。また、上記添加剤の配合量についても前述したとおりである。
【0032】
本発明のハードコート塗料に用いることができる上記溶媒としては、配合される前記樹脂の溶解性に応じて適宜選択でき、少なくとも固形分(樹脂、その他添加剤)を均一に溶解あるいは分散できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等) 、エステル類( 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類、アミド類などが例示できる。また、溶媒は単独で使用しても、或いは数種類混合して使用することもできる。とくに、沸点が50℃〜150℃の有機溶剤を使用することが、塗工時の作業性、乾燥性の点から好ましい。
【0033】
上記ハードコート塗料には、上記の電離放射線硬化型樹脂、添加剤、及び溶媒の他に、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。
【0034】
本発明は、このようなハードコート塗料を用いた本発明のハードコートフィルムの製造方法についても提供する。
すなわち、本発明のハードコートフィルムの製造方法は、上記透明フィルム上に、上述のハードコート塗料を塗工し、80〜150℃の温度範囲で乾燥させた後、積算光量200〜600mJ/cm
2の範囲で光照射して硬化させることを特徴とするものである。
【0035】
本発明のハードコート塗料を用いたハードコート層の塗工方法は、公知の任意の塗工方法を用いることができる。例えば、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、キスコート法、ワイヤーバーコート法、カーテンコート法などが挙げられ、これ等の方法を単独或いは複数組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明において、塗工後のハードコート塗料(ハードコート層)の乾燥には公知の乾燥方法を用いることができるが、乾燥温度としては好ましくは80℃〜150℃であり、より好ましくは100℃〜150℃であり、さらに好ましくは120℃〜150℃である。また、乾燥時間としては好ましくは10秒〜100秒であり、より好ましくは30秒〜60秒である。
【0037】
乾燥温度が80℃未満では上記添加剤に含まれる有機過酸化物の反応が十分に進行しないため、基材フィルムとハードコート層との密着性に劣り好ましくない。また、乾燥温度が150℃を超えると基材フィルムのガラス転移温度以上での加熱によって基材フィルムが軟化してしまうため望ましくない。一方、乾燥時間が10秒未満では乾燥が不十分となり、また上記添加剤に含まれる有機過酸化物の反応が十分に進行しないため好ましくない。また、乾燥時間が100秒を超えると上記添加剤に含まれる有機過酸化物が劣化し、反応性が低下するため好ましくない。
【0038】
また、ハードコート層を硬化させる電子線または紫外線などの電離放射線の照射条件としては特に限定はされないが、本発明においては、積算光量が200mJ/cm
2〜600mJ/cm
2の範囲で光照射することが好ましい。
【0039】
積算光量が200mJ/cm
2未満では、添加剤として使用される有機過酸化物の、電離放射線硬化樹脂の開始剤としての反応が十分に進行しないため基材フィルムとの密着性、及びハードコート層の硬度に劣り好ましくない。また、積算光量が600mJ/cm
2を超えると、基材フィルムが光照射によって発生する熱量により劣化するため好ましくない。
なお、本発明において、表面強度(耐擦傷性など)を改善する場合には、窒素ガスなどを封入し酸素濃度を1000ppm以下とした条件下で電離放射線を照射することが好ましい。
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、従来の易接着処理や、微粒子の添加、及び特定の樹脂の規定を行わずとも、密着性(特に耐久密着性)に優れ、且つハードコート適性に優れるハードコートフィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、このような優れた特性を備えるハードコートフィルムを製造するのに好適なハードコート塗料を提供することができ、また、このハードコート塗料を用いるハードコートフィルムの製造方法についても提供することができる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、特に断りのない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0042】
[実施例1]
<ハードコート塗料の調製>
ウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「NKエステルA−9550(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:6、新中村化学社製)を100部、ジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L(商品名)」(化薬アクゾ社製)を7.0部、フッ素系表面調整剤「RS75(商品名)」(DIC株式会社製)を0.1部とし、溶剤組成は、酢酸エチル80部、エチルセロソルブ20部とし、全体の固形分濃度を30%にした後、攪拌混合してハードコート塗料(ハードコート層形成用塗料)を得た。
【0043】
<ハードコートフィルムの作製>
上記のようにして得られたハードコート塗料を、シクロオレフィンポリマーフィルム「ZEONOR(商品名)」(ゼオン株式会社製)の片面に、バーコーターを用いて塗布し、120℃の乾燥炉で60秒乾燥させ、乾燥後の塗工厚みが3.0μmのハードコート層を形成した。これを塗布面より60mmの高さにセットしたUV照射装置を用い、大気雰囲気下でUV積算光量290mJ/cm
2にて硬化させて本実施例のハードコートフィルムを作製した。なお、後記表1中では、上記シクロオレフィンポリマーフィルムを「COP(ゼオノア)」と略記した。
【0044】
[実施例2]
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「ビスコート#802(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:7、大阪有機化学社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0045】
[実施例3]
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「アートレジン UN−904(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:10、根上工業社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0046】
[実施例4]
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「NKオリゴ U−15HA(商品名)」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:15、新中村化学社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0047】
[実施例5]
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」の添加量を3.0部とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0048】
[実施例6]
実施例1のUV積算光量を190mJ/cm
2とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0049】
[実施例7]
実施例1の乾燥温度を75℃とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0050】
[実施例8]
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」の添加量を20部とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0051】
[実施例9]
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」を、パーオキシケタール類有機過酸化物「トリゴノックス22−70E(商品名)」(化薬アクゾ社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0052】
[実施例10]
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」を、アルキルパーエステル類有機過酸化物「カヤカルボンAIC-75(商品名)」(化薬アクゾ社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0053】
[実施例11]
実施例1のUV積算光量を600mJ/cm
2とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0054】
[実施例12]
実施例1の乾燥温度を150℃とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0055】
[実施例13]
実施例1の「NKエステルA−9550」をウレタンアクリレート系電離放射線硬化型樹脂「ライトアクリレートPE-3A」(固形分100%、(メタ)アクリロイルオキシ基数:3、共栄社化学社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0056】
[実施例14]
実施例1の基材フィルムであるシクロオレフィンポリマーフィルム「ZEONOR(商品名)」を、シクロオレフィンコポリマーフィルム「アートンR5000U」(JSR株式会社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0057】
[比較例1]
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」の添加量を1.0部とした以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0058】
[比較例2]
実施例1のジアシルパーオキサイド類有機過酸化物「パーカドックスCH−50L」を光重合開始剤「イルガキュア184(商品名)」(BASF社製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
【0059】
<評価方法>
得られた上記各実施例および各比較例のハードコートフィルムを下記の項目、基準で評価し、その結果を纏めて表1に示した。
【0060】
(1)密着性
密着性は、JIS−K5600−5−6に準じて碁盤目剥離試験を行った。積層フィルムのハードコート形成面に、カッターナイフを用いて、碁盤目状に1mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100マスの正方形の升目を刻み、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付け後、60度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を4段階評価した。同じ箇所で5回、圧着・剥離を行った後に判定を行った。評価基準は下記の通りであり、△以上であれば実用上問題無い。
◎:100〜99個
○:98〜95個
△:94〜50個
×:49〜0個
【0061】
(2)鉛筆硬度
各実施例、比較例で作製したハードコートフィルムについて、JIS K5600−5−4に準じた試験法により鉛筆硬度を測定した。表面に傷の発生ない硬度を表記した。
【0062】
(3)耐擦傷性
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、JIS−K5600−5−10に準じた試験方法にて、ハードコート層面を、スチールウール#0000を用い、荷重1kgをかけ10往復摩擦し、傷のつき具合を次の基準で評価した。○評価品を耐擦傷性は良好としたが、△評価品も製品として使用可能である。
評価基準
○:傷の発生なし。△:傷が少し発生する。×:傷が無数に発生する。
【0063】
(4)耐久密着性(耐湿熱密着性及び耐光密着性)
<耐湿熱密着性>
実施例、及び比較例で作製した各ハードコートフィルムを、湿熱条件下(80℃、90%RH)でサンプル吊り具に仕掛け30日間保存した後、サンプルを取り出し、上述のJIS−K5600−5−6に準じて密着性の評価を行った。評価基準は上記の密着性の場合と同じである。
<耐光密着性>
実施例及び比較例で得られた各ハードコートフィルムを、スガ試験(株)製紫外線オートフェードメーター「U48AU」(紫外線カーボンアークランプ)を用いて、照射照度500W/m
2、温度43度、湿度50%RHとし、100時間処理した。その後、各ハードコートフィルムを取り出し、上述のJIS−K5600−5−6に準じて、密着性の評価を行った。評価基準は上記の密着性の場合と同様である。
【0064】
(5)外観
実施例、比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、目視でフィルムを観察し、フィルム変形の有無を判定した。評価基準は下記の通りである。
評価基準
○:フィルム変形無し。△:フィルムが少し変形する。×:フィルムが大きく変形する。
【0065】
【表1】
【0066】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、ハードコート層に添加剤として特定の有機過酸化物を配合することにより、基材フィルムとハードコート層との密着性(特に耐久密着性)に優れ、且つハードコート適性にも優れるハードコートフィルムを得ることができる。また、フィルムの外観も良好である。
また、本発明においては、前記添加剤の配合量は、前記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して3〜20重量部の範囲が好適であることがわかる。
また、透明フィルム上にハードコート塗料を塗工した後、乾燥温度が80〜150℃の温度範囲であること、積算光量200〜600mJ/cm
2の範囲で光照射することが好ましいこともわかる。
【0067】
これに対し、添加剤の添加量が本発明の範囲より少ない比較例1では、密着性が得られない。また、本発明の有機過酸化物添加剤の代わりに従来の光重合開始剤を使用した比較例2では、密着性が得られない。