(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧力検出装置は、前記筐体を内部に収容するとともに一端側には前記受圧部材が取り付けられ、当該筐体との間には複数の前記検出素子が配置される筒状の他の筐体をさらに備え、
前記受圧部材の全周にわたり、前記他の筐体の厚さに相当する溶け込み深さとなるように当該他の筐体の内側と外側とに跨って溶接することにより、当該他の筐体と当該他の筐体の前記一端側に位置する当該受圧部材とを溶接する工程をさらに有することを特徴とする請求項5または6記載の圧力検出装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[内燃機関の構成]
図1は、本実施の形態に係る内燃機関1の概略構成図である。
この内燃機関1は、シリンダ2aを有するシリンダブロック2と、シリンダ2a内を往復動するピストン3と、シリンダブロック2に締結されてシリンダ2aおよびピストン3などとともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド4とを備えている。また、内燃機関1は、シリンダヘッド4に装着されて燃焼室C内の混合気を爆発させるための点火を行う点火プラグ5と、シリンダヘッド4に装着されて燃焼室C内に燃料を噴射し且つ燃焼室C内の圧力を検出するインジェクタユニット6とをさらに備えている。なお、シリンダヘッド4には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔が2つ設けられており、一方の連通孔には点火プラグ5が、他方の連通孔にはインジェクタユニット6が、それぞれ貫通した状態で取り付けられている。
【0011】
[インジェクタユニットの構成]
インジェクタユニット6は、燃焼室C内に燃料を噴射する燃料噴射装置7と、燃料噴射装置7に取り付けられるとともに、燃焼室C内の圧力を検出する圧力検出装置8とを有している。ここで、燃料噴射装置7は、燃焼室Cの外部に配置される本体部71と、本体部71から外方に向かって延びる円柱状の先端部72とを備えている。一方、圧力検出装置8は、燃料噴射装置7の先端部72における先端側に取り付けられている。圧力検出装置8のうち、燃料噴射装置7の先端部72における先端側に取り付けられる部位は、後述するように貫通孔を有する円筒状の形状を備えている。このため、燃料噴射装置7の先端部72における先端すなわち燃料を噴射するためのノズルの形成部位は、貫通孔を介して燃焼室C内に露出している。なお、この燃料噴射装置7の先端部72には、長手方向に沿う溝72aが形成されている。
【0012】
[圧力検出装置の構成]
次に、インジェクタユニット6における圧力検出装置8の構成について説明する。
図2は、圧力検出装置8の斜視図である。また、
図3は、
図2におけるIII−III断面図である。さらに、
図4は、
図3におけるIV−IV断面図である。さらにまた、
図5は、
図3におけるV部の拡大図である。また、
図6は、
図3におけるVI部の拡大図である。さらに、
図7は、
図3におけるVII部の拡大図である。なお、以下の説明においては、燃料噴射装置7とともにインジェクタユニット6を構成した際に、圧力検出装置8のうち、燃焼室Cを向く側(
図2における奥側、
図3における下側)を『前面側』と称し、燃焼室Cとは反対を向く側(
図2における手前側、
図3における上側)を『背面側』と称する。
【0013】
圧力検出装置8は、圧力を検出する機能を備えたセンサユニット10と、センサユニット10で検出された圧力を電気信号として外部に伝送する伝送ユニット50とを備える。
これらのうち、センサユニット10は、上述したように全体として円筒形状を呈しており、前面側から背面側に貫通し、
図1に示す燃料噴射装置7における先端部72の先端側を収容する開口部10a(貫通孔)が設けられている。なお、以下の説明においては、円柱形状を有する開口部10aの中心線方向(
図3に一点鎖線で示す)を、単に中心線方向と称する。
これに対し、伝送ユニット50は、中心線方向に沿って延びるとともに、前面側における端部がセンサユニット10内に収容され、背面側となる他端側がセンサユニット10における背面側の端面から後方に向かって突出して配置される伝送電線51と、この伝送電線51をセンサユニット10に取り付けるための取り付け機構とを有している。
【0014】
[センサユニットの構成]
最初に、センサユニット10の構成について説明する。
センサユニット10は、円筒状の形状を有するフロント外側筐体11と、円筒状の形状を有し且つフロント外側筐体11の内側にフロント外側筐体11と同心状に配置されるフロント内側筐体12とを有している。また、センサユニット10は、円筒状の形状を有し、フロント外側筐体11およびフロント内側筐体12の背面側に取り付けられるリア筐体13と、環状の形状を有するとともにフロント外側筐体11およびフロント内側筐体12の前面側に取り付けられ、外部からの圧力を受ける受圧リング14とを備えている。このセンサユニット10には、これらフロント外側筐体11、フロント内側筐体12、リア筐体13および受圧リング14によって囲まれる部位に、円筒状の内部空間10bが形成されている。そして、このセンサユニット10は、この内部空間10bにおいて、環状の形状を有するとともに受圧リング14の背面側に配置され、受圧リング14からの圧力をさらに背面側に伝達する圧力伝達リング15を備えている。また、センサユニット10は、内部空間10bにおいて、圧力伝達リング15の背面側とリア筐体13における前面側の端面との間に配置され、圧力伝達リング15から受けた圧力を、検出信号の一例としての電気信号(この例では電荷信号)に変換する圧電素子群16を備えている。ここで、この例における圧電素子群16は、圧力伝達リング15の背面側において周方向に120°間隔で設けられた、第1圧電素子161と、第2圧電素子162と、第3圧電素子163とを含んでいる。また、センサユニット10は、全体が円筒状を呈し且つ断面がL字状となる形状を有し、フロント内側筐体12の前面側の内周面に取り付けられる内部リング17を備えている。さらに、センサユニット10には、フロント外側筐体11の前面側においてフロント外側筐体11と受圧リング14との溶接により形成される外側溶接部18と、フロント内側筐体12の前面側においてフロント内側筐体12と受圧リング14と内部リング17との溶接により形成される内側溶接部19とが設けられている。
【0015】
以下、センサユニット10の構成部材について詳述する。
(フロント外側筐体)
他の筐体の一例としてのフロント外側筐体11は、上述したように円筒状の形状を有しており、その前面側の端部内側には、受圧リング14における外側突出部14c(詳細は後述する)の背面側端部をはめ込むための切り欠きが形成されている(後述する
図8(a)も参照)。
【0016】
(フロント内側筐体)
筐体の一例としてのフロント内側筐体12は、上述したように円筒状の形状を有しており、その外径は、上述したフロント外側筐体11の内径よりも小さい。また、フロント内側筐体12の前面側における端部外側には、受圧リング14における内側突出部14d(詳細は後述する)の背面側端部をはめ込むための切り欠きが形成され、フロント内側筐体12の背面側における端部外側には、リア筐体13における前面側の端部内側をはめ込むための切り欠きが形成されている(後述する
図8(a)も参照)。
【0017】
(リア筐体)
リア筐体13は、上述したように全体として円筒状の形状を有するリア筐体本体13aと、リア筐体本体13aにおいて前面側となる端面に設けられ、圧電素子群16の接地電極として機能する接地電極層13bとを備えている。ここで、リア筐体本体13aは、前面側においてフロント外側筐体11の内径とほぼ同じ外径に設定された前段部131と、前段部131の背面側においてフロント外側筐体11の外径とほぼ同じ外径に設定された中段部132と、中段部132の背面側においてフロント外側筐体11の内径とほぼ同じ外径に設定された後段部133とを有している。そして、上述した接地電極層13bは、リア筐体本体13aの前段部131における前面側の端面に、ほぼ一周にわたって形成されている。また、リア筐体本体13aの前段部131の前面側における端部外側には、中段部132とによって、フロント外側筐体11における背面側の端部外側をはめ込むための凹部が形成され、リア筐体本体13aの前段部131の前面側における端部内側には、フロント内側筐体12における背面側の端部外側に設けられた切り欠きにはめ込むための突出部が設けられている。
【0018】
さらに、リア筐体本体13aの前段部131および中段部132には、中心線方向に沿ってリア筐体本体13aを貫通するフロント側貫通孔13cが1つ形成されており、リア筐体本体13aの後段部133には、中心線方向に沿ってリア筐体本体13aを貫通するリア側貫通孔13dが1つ形成されている。ここで、フロント側貫通孔13cおよびリア側貫通孔13dは、中心線方向からみたときに両者が重なる位置に設けられており、しかも、フロント側貫通孔13cは、上述した圧力伝達リング15および圧電素子群16を収容するための内部空間10bと繋がっている。そして、リア筐体本体13aにおける後段部133の外周面において、フロント側貫通孔13cの形成部位とリア側貫通孔13dの形成部位との間には、直方体状の凹部13eが設けられている。
【0019】
リア筐体13に設けられる接地電極層13bは、導電性の高い金属薄膜を、リア筐体本体13aに対し単層あるいは複数層積層して構成されている。
【0020】
(筐体について)
ここで、フロント外側筐体11、フロント内側筐体12およびリア筐体13(リア筐体本体13a)は、高温となり得る燃焼室Cに面する位置または燃焼室Cに近い位置に存在することになるため、少なくとも、−40℃〜350℃の使用温度環境に耐える材料を用いて製作することが望ましい。また、この例では、後述するように、センサユニット10を構成する圧電素子群16および伝送電線51の接地対象としてリア筐体13(リア筐体本体13a)を使用することから、少なくともリア筐体本体13aについては、導電性を有する材料を用いて製作することが望ましい。具体的には、フロント外側筐体11、フロント内側筐体12およびリア筐体13(リア筐体本体13a)を、耐熱性が高く且つ導電性があるステンレス鋼材、例えばJIS規格のSUS630、SUS316、SUS430等を用いて構成するとよい。
【0021】
そして、フロント外側筐体11における背面側の端部は、リア筐体本体13aの前面側における端部外側に設けられた切り欠きにはめ込まれた状態で、一周にわたってレーザ溶接が施されることで固定されている。また、フロント内側筐体12における背面側の端部は、リア筐体本体13aの前面側における端部内側に設けられた突出部がはめ込まれた状態で、一周にわたってレーザ溶接が施されることで固定されている。
【0022】
(受圧リング)
受圧部材の一例としての受圧リング14は、同心状に配置したフロント外側筐体11およびフロント内側筐体12が前面側において形成する環状の隙間を、塞ぐように設けられる。この受圧リング14は、円環状を呈し且つ外部すなわち燃焼室C(
図1参照)側に露出することで外部からの圧力を受ける受圧部14aと、受圧部14aの背面側において受圧部14aが受けた圧力を圧力伝達リング15に伝達する伝達部14bと、円環状を呈し且つ受圧部14aの外側の周縁から背面側に突出する外側突出部14cと、円環状を呈し且つ受圧部14aの内側の周縁から背面側に突出する内側突出部14dとを有している(後述する
図8(a)も参照)。なお、
図3および
図7は、溶接によって外側溶接部18および内側溶接部19を形成した後の状態を示しているため、受圧部14aと外側突出部14cとが、外側溶接部18(より具体的には後述する第2外側溶接部182)によって分断されており、受圧部14aと内側突出部14dとが、内側溶接部19(より具体的には後述する第2内側溶接部192)によって分断されている。
【0023】
そして、受圧リング14に設けられた伝達部14bは、フロント外側筐体11の内周面およびフロント内側筐体12の外周面の両者に接触しないように、これら両者に対する位置決めがなされている。なお、受圧リング14を構成する材料としては、高温であり且つ高圧となる燃焼室C内に露出することを考慮し、弾性が高く、且つ、耐久性、耐熱性、耐食性に優れる合金製であることが望ましく、例えばSUS630、SUS316、SUS430、SUH660等を用いることができる。ただし、フロント外側筐体11および受圧リング14を外側溶接部18によって固定し、且つ、フロント内側筐体12および受圧リング14を内側溶接部19によって固定することを考慮すると、これらフロント外側筐体11、フロント内側筐体12および受圧リング14を、同じ材料で構成することが望ましい。
【0024】
(圧力伝達リング)
圧力伝達リング15は、上述したように環状の形状を有する圧力伝達リング本体15aと、圧力伝達リング本体15aにおいて背面側となる端面に設けられ、圧電素子群16からの電荷信号を出力するための出力電極として機能する出力電極層15bとを備える。そして、出力電極層15bは、圧力伝達リング本体15aにおける背面側の端面に、一周にわたって形成されている。
【0025】
ここで、圧力伝達リング本体15aの断面は矩形状であり、圧力伝達リング本体15aの外径はフロント外側筐体11の内径よりも小さく、圧力伝達リング本体15aの内径はフロント内側筐体12の外径よりも大きい。なお、この例において、圧力伝達リング本体15aは、耐熱性および絶縁性を有する、アルミナ等のセラミック材料で構成されている。
【0026】
また、圧力伝達リング15に設けられる出力電極層15bは、導電性の高い金属薄膜を、圧力伝達リング本体15aに対し単層あるいは複数層積層して構成されている。
【0027】
(圧電素子群)
圧電素子群16は、上述したように、第1圧電素子161と、第2圧電素子162と、第3圧電素子163とを備える。ここで、第1圧電素子161〜第3圧電素子163は共通の構成を有しており、それぞれが、直方体状に加工された圧電体16aと、圧電体16aにおける前面側の端面に形成されたフロント側電極16bと、圧電体16aにおける背面側の端面に形成されたリア側電極16cとを備えている。
【0028】
それぞれが検出素子の一例となる第1圧電素子161〜第3圧電素子163は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体16aを有している。圧電縦効果とは、圧電体16aの電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を作用させると、電荷発生軸方向の圧電体16aの表面に電荷が発生する作用をいう。本実施の形態に係る第1圧電素子161〜第3圧電素子163は、中心線方向が応力印加軸の方向となるように内部空間10b内に収納されている。
【0029】
次に、第1圧電素子161〜第3圧電素子163に圧電横効果を示す圧電体16aを利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体16aの電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を作用させると、電荷発生軸方向の圧電体16aの表面に電荷が発生する作用をいう。薄板状に薄く形成した圧電体16aを複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体16aに発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電体16aとしては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LTGA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。なお、本実施の形態の第1圧電素子161〜第3圧電素子163には、圧電体16aとしてランガサイト単結晶を用いている。
【0030】
一方、フロント側電極16bおよびリア側電極16cは、導電性の高い金属薄膜を、圧電体16aの前面側の端面およびリア側の端面に対し、単層あるいは複数層積層して構成されている。
【0031】
第1圧電素子161〜第3圧電素子163のそれぞれにおいて、各フロント側電極16bは、圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bと接触し、各リア側電極16cは、リア筐体13に設けられた接地電極層13bと接触する。また、この例では、第1圧電素子161〜第3圧電素子163が、各フロント側電極16bを介して、出力電極層15bに接合されており、結果として、圧力伝達リング15と圧電素子群16とが一体化している。
【0032】
(内部リング)
内部リング17は、上述したように円筒状の形状を有しており、その断面がL字状を呈するようになっている。そして、内部リング17は、燃料噴射装置7に圧力検出装置8を取り付けることによってインジェクタユニット6を構成した場合に、圧力検出装置8におけるセンサユニット10の開口部10aと、燃料噴射装置7の先端部72との間に存在する隙間を埋めるようになっている。
【0033】
なお、内部リング17を構成する材料としては、高温であり且つ高圧となる燃焼室C内に露出することを考慮し、弾性が高く、且つ、耐久性、耐熱性、耐食性に優れる合金製であることが望ましく、例えばSUS630、SUS316、SUS430、SUH660等を用いることができる。
【0034】
(外側溶接部)
外側溶接部18は、フロント外側筐体11における前面側の端面と、受圧リング14の外側突出部14cにおける背面側の端面との対向部位を溶接してなる第1外側溶接部181と、第1外側溶接部181よりも前面側においてフロント外側筐体11と受圧リング14とを溶接してなる第2外側溶接部182とを有している。ここで、他の接合部の一例としての第2外側溶接部182は、フロント外側筐体11の前面側と、受圧リング14における受圧部14aの外側端部および外側突出部14cの前面側とを溶接して構成されている。この例において、第2外側溶接部182は、フロント外側筐体11の内側と外側とに跨って(貫通して)いる。そして、本実施の形態における外側溶接部18は、溶接棒(ワイヤ)等を使用せず、レーザ光を照射することで母材を溶融、凝固させるレーザ溶接によって形成されている。このため、外側溶接部18は、フロント外側筐体11の構成材料と受圧リング14の構成材料とによって形成されている。
【0035】
(内側溶接部)
内側溶接部19は、フロント内側筐体12における前面側の端面と、受圧リング14の内側突出部14dにおける背面側の端面との対向部位を溶接してなる第1内側溶接部191と、第1内側溶接部191よりも前面側においてフロント内側筐体12と受圧リング14と内部リング17とを溶接してなる第2内側溶接部192とを有している。ここで、接合部の一例としての第2内側溶接部192は、フロント内側筐体12の前面側と、受圧リング14における受圧部14aの内側端部および内側突出部14dの前面側と、内部リング17の前面側とを溶接して構成されている。この例において、第2内側溶接部192は、フロント内側筐体12の内側と外側とに跨って(貫通して)いる。そして、本実施の形態における内側溶接部19は、溶接棒(ワイヤ)等を使用せず、レーザ光を照射することで母材を溶融、凝固させるレーザ溶接によって形成されている。このため、内側溶接部19は、フロント外側筐体11の構成材料と受圧リング14の構成材料と、内部リング17の構成材料とによって形成されている。
【0036】
[伝送ユニットの構成]
続いて、伝送ユニット50の構成について説明する。
伝送ユニット50は、センサユニット10から燃料噴射装置7(
図1参照)に向けて電荷信号を伝送する伝送電線51と、伝送電線51よりも前面側に設けられ、センサユニット10の圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bと電気的に接続される接続端子52と、伝送電線51よりも前面側且つ接続端子52よりも背面側に設けられ、伝送電線51および接続端子52を電気的に接続する接続パイプ53とを備えている。また、伝送ユニット50は、接続パイプ53の外周面を保護する保護チューブ54と、保護チューブ54よりも前面側において接続端子52の外周面を覆うとともに接続端子52の位置決めに用いられる位置決めチューブ55と、位置決めチューブ55よりも前面側において接続端子52の外周面に巻き回され、接続端子52を前面側に向けて押すコイルスプリング56とを備えている。さらに、伝送ユニット50は、保護チューブ54よりも前面側且つ位置決めチューブ55よりも背面側において接続端子52の外周面に取り付けられ、且つ、リア筐体本体13aの中段部132に設けられたフロント側貫通孔13cの内壁面に接触することで、接続端子52における前面側を外部から封止する封止部57と、保護チューブ54よりも背面側において伝送電線51の外周面に取り付けられ、且つ、リア筐体本体13aの後段部133に設けられたリア側貫通孔13dの内壁面に接触することで、センサユニット10に対して伝送電線51を固定する固定リング58とを備えている。
【0037】
以下、伝送ユニット50の構成部材について詳述する。
(伝送電線)
伝送電線51は、所謂同軸構造を有する絶縁電線にて構成される。より具体的に説明すると、伝送電線51は、金属線の撚り線からなる導体部51aと、絶縁性を有する樹脂からなり導体部51aの外周を被覆する樹脂絶縁層51bと、半導電性を有する樹脂からなり樹脂絶縁層51bの外周を被覆する樹脂半導電層51cとを備えている。
【0038】
なお、燃料噴射装置7に圧力検出装置8を装着してインジェクタユニット6を構成する際、伝送電線51のうち外部に露出する部位は、燃料噴射装置7の先端部72に設けられた溝72aの内側に収容される。したがって、インジェクタユニット6において、圧力検出装置8に設けられた伝送電線51は、インジェクタユニット6の外側に飛び出し難い構成となっている。
【0039】
(接続端子)
接続端子52は耐熱性および導電性を有する金属製の棒状体で構成されており、最も前面側に位置することで圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bに突き当たる突き当て部52aと、突き当て部52aの背面側に位置する柱状部52bと、柱状部52bの背面側に位置する接続部52cとを、一体化して構成されている。そして、接続端子52において、突き当て部52aの外径は、内部空間10bにおける径方向の長さよりも小さく、柱状部52bの外径は、突き当て部52aの外径よりも小さく、接続部52cの外径は、柱状部52bの外径よりも小さい。
【0040】
(接続パイプ)
接続パイプ53は耐熱性および導電性を有する金属製の筒状体で構成されており、接続パイプ53に設けられた貫通孔の内径は、伝送電線51における導体部51aの外径および接続端子52における接続部52cの外径よりも大きい。また、接続パイプ53には、貫通孔の背面側から伝送電線51における導体部51aの前面側の端部が、貫通孔の前面側から接続端子52における接続部52cの背面側の端部が、それぞれ挿入されている。そして、この状態で、接続パイプ53を外周面側からかしめることで、接続パイプ53が、導体部51aと接続端子52とを、電気的に接続するとともに固定している。
【0041】
(保護チューブ)
保護チューブ54はPFA製の筒状体で構成されており、接続パイプ53のすべての外周面と、接続端子52における柱状部52bの後端側端部の外周面と、伝送電線51における樹脂絶縁層51bの前面側端部の外周面とを覆っている。
【0042】
(位置決めチューブ)
位置決めチューブ55はアルミナセラミック製の筒状体で構成されており、前面側に位置するフロント側筒状部55aと、フロント側筒状部55aの背面側に位置するリア側筒状部55bとを有している。ここで、位置決めチューブ55におけるフロント側筒状部55aの外径は、リア側筒状部55bの外径よりも大きく、内部空間10bにおける径方向の長さよりも小さい。また、位置決めチューブ55の内径は、接続端子52における柱状部52bの外径よりも大きい。
【0043】
(コイルスプリング)
コイルスプリング56は、接続端子52における突き当て部52aの背面側端面と、位置決めチューブ55のフロント側筒状部55aにおける前面側の端面との間に配置される。ここで、コイルスプリング56は耐熱性を有する金属で構成されており、前面側の端部が接続端子52における突き当て部52aの背面側端面に突き当たり、背面側の端部が位置決めチューブ55のフロント側筒状部55aにおける前面側の端面に突き当たる。また、コイルスプリング56の内径は、接続端子52における柱状部52bの外径とほぼ等しい。
【0044】
(封止部)
封止部57は、位置決めチューブ55におけるリア側筒状部55bの背面側に位置するフロント側Oリング57aと、フロント側Oリング57aの背面側且つ保護チューブ54の前面側に位置するリア側Oリング57bとを備える。ここで、フロント側Oリング57aおよびリア側Oリング57bは、ともにPFAで構成されている。ここで、フロント側Oリング57aおよびリア側Oリング57bの外径は、リア筐体本体13aに設けられたフロント側貫通孔13cの内径よりも大きく設定され、フロント側Oリング57aおよびリア側Oリング57bの内径は、接続端子52における柱状部52bの外径よりも小さく設定される。
【0045】
(固定リング)
固定リング58は耐熱性を有する金属製の筒状体で構成されており、その前面側の端部には、逆テーパ加工が施されている。そして、固定リング58の外径は、リア筐体13に設けられたリア側貫通孔13dの内径よりもわずかに大きく設定され、固定リング58の内径は、伝送電線51の外径(樹脂半導電層51cを含む外径)とほぼ等しいか、わずかに小さく設定される。
【0046】
[圧力検出装置における電気的な接続構造]
ではここで、本実施の形態の圧力検出装置8における電気的な接続構造について説明しておく。
まず、圧電素子群16を構成する第1圧電素子161〜第3圧電素子163の前面側に設けられた各圧電体16aの背面側の端面は、それぞれに設けられたリア側電極16cを介して、リア筐体13に設けられた接地電極層13bと電気的に接続される。ここで、リア筐体13を構成するリア筐体本体13aと接地電極層13bとは、電気的に接続された状態にある。
【0047】
これに対し、圧電素子群16を構成する第1圧電素子161〜第3圧電素子163の前面側に設けられた各圧電体16aの前面側の端面は、それぞれに設けられたフロント側電極16bを介して、圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bと電気的に接続される。ここで、圧力伝達リング15を構成する圧力伝達リング本体15aと出力電極層15bとは、電気的に絶縁された状態にある。また、出力電極層15bは、突き当て部52aを介して接続端子52と電気的に接続される。さらに、接続端子52は、その接続部52cから接続パイプ53を介して、伝送電線51における導体部51aと電気的に接続される。そして、接続端子52から接続パイプ53を介して導体部51aへと至る電荷信号の伝送経路は、それぞれが絶縁体で構成された、内部空間10b、位置決めチューブ55、封止部57、保護チューブ54および伝送電線51における樹脂絶縁層51bによって、金属にて構成されるとともに相互に電気的に接続された、フロント外側筐体11、フロント内側筐体12およびリア筐体13(より具体的にはリア筐体本体13a)と電気的に絶縁される。なお、接続端子52における、接続部52cを含む前面側は、位置決めチューブ55によって位置が規制されていることから、接続端子52は、フロント外側筐体11における外周面およびフロント内側筐体12における内周面には接触しない。
【0048】
また、伝送電線51では、樹脂絶縁層51bによって導体部51aと樹脂半導電層51cとが電気的に絶縁される。そして、伝送電線51を構成する樹脂半導電層51cは、金属製の固定リング58を介して、リア筐体13におけるリア筐体本体13aと電気的に接続される。
【0049】
なお、燃料噴射装置7および圧力検出装置8を用いて構成したインジェクタユニット6を、
図1に示すシリンダヘッド4に取り付けた際、少なくともフロント外側筐体11が、金属製のシリンダヘッド4と電気的に接続される。このシリンダヘッド4は、電気的に接地された状態にあるため、圧力検出装置8では、リア筐体13(リア筐体本体13a)およびフロント外側筐体11を介して、第1圧電素子161〜第3圧電素子163のそれぞれにおける前面側と伝送電線51における樹脂半導電層51cとが、それぞれ接地されることになる。
【0050】
[圧力検出装置による圧力検出動作]
次に、内燃機関1に装着されたインジェクタユニット6における、圧力検出装置8の圧力検出動作について説明する。
【0051】
燃焼室C内に発生した燃焼圧の変動が、受圧リング14および圧力伝達リング15を介して、リア筐体13と圧力伝達リング15とに挟まれた圧電素子群16に作用する。このとき、燃焼圧の変動に伴って発生する振動は、最大で数kHz程度の周波数成分を含むものである。この例において、圧電素子群16は、周方向に等間隔に配置された第1圧電素子161〜第3圧電素子163を備えており、第1圧電素子161〜第3圧電素子163には、それぞれ、燃焼圧の変動に応じた電荷が発生する。そして、第1圧電素子161〜第3圧電素子163を構成する各圧電体16aに発生した電荷は、各圧電体16aにおける前面側の端面から、各フロント側電極16bを介して、圧力伝達リング15に設けられた出力電極層15bに伝達される。その後、出力電極層15bに伝達された電荷信号は、接続端子52から接続パイプ53を介して、伝送電線51の導体部51aに伝達され、さらに、導体部51aを介して、電荷信号として燃料噴射装置7に伝送される。なお、燃料噴射装置7に伝送された電荷信号は、さらに、内燃機関1の作動を制御する制御装置(図示せず)に伝送される。
【0052】
このとき、圧電素子群16を構成する第1圧電素子161〜第3圧電素子163における背面側の端面は、リア筐体13(接地電極層13bおよびリア筐体本体13a)とフロント外側筐体11とを介してシリンダヘッド4に接続されており、第1圧電素子161〜第3圧電素子163のそれぞれから出力される電荷に対するノイズ分の混入を抑制している。また、このとき、伝送電線51における樹脂半導電層51cは、固定リング58およびリア筐体13(リア筐体本体13a)とフロント外側筐体11とを介して電気的にシリンダヘッド4に接続されており、導体部51aによって伝送される電荷信号に対するノイズ分の混入を抑制している。
【0053】
[前面側の筐体構造の製造方法]
では、圧力検出装置8における前面側の筐体構造の製造方法について説明を行う。ここで、本実施の形態における『前面側の筐体構造』は、フロント外側筐体11とフロント内側筐体12と受圧リング14と内部リング17とを、溶接によって接合することで一体化したものをいう。
図8は、前面側の筐体構造の製造方法を説明するための図である。
【0054】
(受圧リング装着工程)
図8(a)は、最初に実行される、受圧リング装着工程を説明するための図である。
受圧リング装着工程では、まず、フロント外側筐体11とフロント内側筐体12とを、同心円状に(フロント内側筐体12の外側にフロント外側筐体11を)配置する。このとき、フロント外側筐体11に設けられた受圧リング14(外側突出部14c)用の切り欠き、および、フロント内側筐体12に設けられた受圧リング14(内側突出部14d)用の切り欠きを、上方に向けて配置する。そして、この状態で、フロント外側筐体11とフロント内側筐体12とを、図示しない治具で固定する。
【0055】
次に、フロント外側筐体11およびフロント内側筐体12の上方から、伝達部14b、外側突出部14cおよび内側突出部14dを下方に向けた状態で、受圧リング14を下降させていく。すると、フロント外側筐体11の上方に位置する切り欠きに、受圧リング14の外側突出部14cがはめ込まれ、フロント内側筐体12の上方に位置する切り欠きに、受圧リング14の内側突出部14dがはめ込まれる。その結果、フロント外側筐体11の内側且つフロント内側筐体12の外側に、受圧リング14の伝達部14bが配置される。このとき、受圧リング14の伝達部14bは、フロント外側筐体11の内周面およびフロント内側筐体12の外周面には接触しない。
【0056】
(第1溶接工程)
図8(b)は、上記受圧リング装着工程に続いて実行される、第1溶接工程を説明するための図である。
第1溶接工程では、まず、フロント外側筐体11の上方に位置する切り欠きの前面側の端面と、受圧リング14の外側突出部14cの背面側の端面との対向部位に対し、フロント外側筐体11からみて外部側方から、全周(一周以上)にわたってレーザ光を照射する。すると、この部位には、レーザ照射に伴う溶融および凝固により、全周にわたって第1外側溶接部181が形成される。この例における第1外側溶接部181の溶け込み深さは、フロント外側筐体11の厚さ未満となっている。すなわち、第1外側溶接部181は、フロント外側筐体11を貫通していない。
【0057】
次に、フロント内側筐体12の上方に位置する切り欠きの前面側の端面と、受圧リング14の内側突出部14dの背面側の端面との対向部位に対し、フロント内側筐体12からみて内部側方から、全周(一周以上)にわたってレーザ光を照射する。すると、この部位には、レーザ照射に伴う溶融および凝固により、全周にわたって第1内側溶接部191が形成される。この例における第1内側溶接部191の溶け込み深さは、フロント内側筐体12の厚さ未満となっている。すなわち、第1内側溶接部191は、フロント内側筐体12を貫通していない。
【0058】
これにより、第1外側溶接部181と第1内側溶接部191とを介して、フロント外側筐体11とフロント内側筐体12と受圧リング14とが、一体化した構造体となる。以下では、このようにして一体化したフロント外側筐体11、フロント内側筐体12および受圧リング14を、『フロント筐体部』と称する。
【0059】
ここで、
図7においては、第1外側溶接部181および第1内側溶接部191の外観が平坦となっているが、実際には、周方向に沿って凹凸が形成されてなるビード痕が残ることが多い。
なお、ここでは、第1外側溶接部181を形成した後に第1内側溶接部191を形成しているが、逆順であってもかまわない。
【0060】
(内部リング装着工程)
図8(c)は、上記第1溶接工程に続いて実行される、内部リング装着工程を説明するための図である。
内部リング装着工程では、上述した手順で得られたフロント筐体部の、受圧リング14における内側突出部14dの内側に内部リング17をはめ込む。そして、図示しない治具を用いて、フロント筐体部に対して内部リング17を位置決めする。
【0061】
(第2溶接工程)
図8(d)は、上記内部リング装着工程に続いて実行される、第2溶接工程を説明するための図である。
第2溶接工程では、まず、フロント筐体部の受圧リング14における外側突出部14c(第1外側溶接部181よりも前面側)に対し、受圧リング14からみて外側且つ斜め上方から、全周(一周以上)にわたってレーザ光を照射する。また、このときのレーザ光の単位面積あたりの照射量(照射パワー×照射時間)は、第1外側溶接部181を形成したときよりも多くする。すると、この部位には、レーザ照射に伴う溶融および凝固により、全周にわたって第2外側溶接部182が形成される。このとき、第2外側溶接部182は、受圧リング14とフロント外側筐体11とに跨って形成される。また、第2外側溶接部182は、フロント外側筐体11の前面側の端部と、受圧リング14における受圧部14aおよび外側突出部14cによる湾曲部との間に存在していた隙間を埋めるように形成される。この例における第2外側溶接部182の溶け込み深さは、フロント外側筐体11の厚さとなっている。すなわち、第2外側溶接部182は、フロント外側筐体11の外側から内側を貫通して(跨って)設けられる。これにより、フロント筐体部の前面側且つ外側(フロント外側筐体11側)には、第1外側溶接部181と第2外側溶接部182とを含む外側溶接部18が形成されることになる。
【0062】
次に、フロント筐体部の受圧リング14における内側突出部14dの内側の端面と、内部リング17の外側の端面との対向部位(第1内側溶接部191よりも前面側)に対し、受圧リング14からみて内側且つ斜め上方から、全周(一周以上)にわたってレーザ光を照射する。また、このときのレーザ光の単位面積あたりの照射量(照射パワー×照射時間)は、第1内側溶接部191を形成したときよりも多くする。すると、この部位には、レーザ照射に伴う溶融および凝固により、全周にわたって第2内側溶接部192が形成される。このとき、第2内側溶接部192は、受圧リング14と内部リング17とフロント内側筐体12とに跨って形成される。また、第2内側溶接部192は、フロント内側筐体12の前面側の端部と、受圧リング14における受圧部14aおよび内側突出部14dによる湾曲部との間に存在していた隙間を埋めるように形成される。この例における第2内側溶接部192の溶け込み深さは、フロント内側筐体12の厚さとなっている。すなわち、第2内側溶接部192は、フロント内側筐体12の外側から内側を貫通して(跨って)設けられる。これにより、フロント筐体部の前面側且つ内側(フロント内側筐体12側)には、第1内側溶接部191と第2内側溶接部192とを含む内側溶接部19が形成されることになる。
【0063】
ここで、
図7においては、第2外側溶接部182および第2内側溶接部192の外観が平坦となっているが、実際には、第1外側溶接部181および第1内側溶接部191と同じく、上述した周方向に沿って凹凸が形成されてなるビード痕が残ることが多い。また、
図7においては、第2外側溶接部182および第2内側溶接部192のそれぞれの断面形状が長方形状(矩形状)となっているが、実際の形状はこれに限られない。
【0064】
なお、ここでは、第2外側溶接部182を形成した後に第2内側溶接部192を形成しているが、逆順であってもかまわない。
また、ここでは、外側溶接部18において第1外側溶接部181と第2外側溶接部182とが分離した構造となっているが、これらが一体化していてもかまわない。さらに、ここでは、内側溶接部19において第1内側溶接部191と第2内側溶接部192とが分離した構造となっているが、これらが一体化していてもかまわない。
【0065】
[第2外側溶接部および第2内側溶接部を貫通させる効果]
圧力検出装置8の受圧リング14には、内燃機関1の燃焼室Cから、燃焼に伴い、圧力に加えて熱が伝達される。すると、受圧リング14には、熱の伝達に伴って熱膨張が生じる。そして、受圧リング14に熱膨張が生じると、受圧リング14および圧力伝達リング15とリア筐体13とに挟み込まれている、圧電素子群16(第1圧電素子161〜第3圧電素子163)に加わる予荷重に変化が生じる。このようにして、圧電素子群16に加わる予荷重が変化すると、受圧リング14および圧力伝達リング15を介して圧電素子群16が受ける圧力にも変化が生じる。その結果、圧電素子群16から出力される電荷の量が、本来出力されるべき量とは異なるものとなってしまい、得られる圧力の値に誤差が生じる。
【0066】
本実施の形態の場合、金属製の受圧リング14には、それぞれ金属製のフロント外側筐体11およびフロント内側筐体12が接続されており、受圧リング14に伝達された熱は、これらフロント外側筐体11およびフロント内側筐体12を介してリア筐体13側へと伝達されることになる。
【0067】
ここで、本実施の形態では、フロント外側筐体11と受圧リング14とを、フロント外側筐体11の内側と外側とに跨って設けられた第2外側溶接部182を介して接続している。このため、例えばフロント外側筐体11と受圧リング14とを、フロント外側筐体11を貫通しない第1外側溶接部181のみによって接続した場合と比較して、両者の接合を強固にできるとともに、両者の接触面積を大きくすることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、フロント内側筐体12と受圧リング14とを、フロント内側筐体12の内側と外側とに跨って設けられた第2内側溶接部192を介して接続している。このため、例えばフロント内側筐体12と受圧リング14とを、フロント内側筐体12を貫通しない第1内側溶接部191のみによって接続した場合と比較して、両者の接合を強固にできるとともに、両者の接触面積を大きくすることができる。
【0069】
その結果、受圧リング14からフロント外側筐体11およびフロント内側筐体12へと伝達される熱の量を多くすることが可能となるために、受圧リング14の熱膨張が生じにくくなり、また、受圧リング14の剛性が高まる。その結果、熱に起因する圧力の誤差を低減することが可能となる。
【0070】
[その他]
なお、本実施の形態では、圧力検出装置8に設けられる圧電素子群16を、3個の圧電素子で構成していたが、これに限られるものではなく、複数個であればよい。また、本実施の形態では、圧電素子群16を構成する複数個の圧電素子を、周方向に等間隔で配置していたが、これに限られるものではなく、非等間隔であってもよい。また、本実施の形態では、複数(ここでは3個)の圧電素子(第1圧電素子161〜第3圧電素子163)にて圧電素子群16を構成するようにしていたが、単数の圧電素子を用いてもよい。この場合には、環状の圧電素子を用いることが望ましい。
【0071】
また、本実施の形態では、外側溶接部18および内側溶接部19を、ともにレーザ溶接によって形成していたが、これに限られるものではなく、各種溶接方法あるいは各種接合方法を用いてもかまわない。ただし、ステンレス鋼同士を溶接する場合は、レーザ溶接を用いることが望ましい。
【0072】
さらに、本実施の形態では、それぞれが円筒状を呈するフロント外側筐体11およびフロント内側筐体12の前面側に円環状の受圧リング14を取り付けるとともに、フロント外側筐体11とフロント内側筐体12との間であって受圧リング14の背面側に圧電素子群16を配置してなる、円筒形状の圧力検出装置8を例として説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、円筒状の筐体の前面側に円形状の受圧板(ダイアフラム)を取り付けるとともに、筐体の内部であって受圧板の背面側に圧電素子を配置してなる装置に適用してもかまわない。この場合には、筐体と受圧板との接続部位に、本発明を適用することになる。
【0073】
また、本実施の形態では、圧力検出装置8を燃料噴射装置7と組み合わせることによって、インジェクタユニット6を構成する場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、上述した圧力検出装置8を、
図1に示す点火プラグ5と組み合わせることによって、点火プラグユニットを構成するようにしてもかまわない。
【0074】
さらに、本実施の形態では、圧力の検出素子として圧電素子を用いた場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えばひずみゲージや離間した電極等を用いてもかまわない。
そして、本実施の形態では、圧力検出装置8による圧力の検出対象を内燃機関1としていたが、これに限られるものではなく、内燃機関1以外であってもかまわない。