特許第6937155号(P6937155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937155
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】基礎パッキン用スペーサ
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   E04B1/64 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-75245(P2017-75245)
(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-178411(P2018-178411A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌樹
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−129663(JP,A)
【文献】 特開2004−232397(JP,A)
【文献】 特開2009−035917(JP,A)
【文献】 特開2001−183980(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0340893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/64
E04B 1/70
E04C 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に、前記基礎パッキンの幅方向の一方から挿入して当該隙間を埋めるための矩形板状の基礎パッキン用スペーサであって、
前記スペーサは、当該スペーサの一辺に平行な一方向において、前記基礎パッキンの前記一方の端縁から前記基礎パッキンに形成されたアンカーボルト挿入孔を画定する側面のうち当該一方の端縁から前記幅方向において最も離れた部分までの長さを超える長さを有しており、
前記スペーサの前記一方向の一端部全体には、その一端縁から中央に近づくに連れて当該スペーサの厚みがその表面側から増加するように下方に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする基礎パッキン用スペーサ。
【請求項2】
前記スペーサの前記一方向と直交する直交方向の長さは、当該スペーサの前記一方向の長さ以下であることを特徴とする請求項1に記載の基礎パッキン用スペーサ。
【請求項3】
基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に、前記基礎パッキンの幅方向の一方から挿入して当該隙間を埋めるための矩形板状の基礎パッキン用スペーサであって、
前記スペーサは、当該スペーサの一辺に平行な一方向において、前記基礎パッキンの前記一方の端縁から前記基礎パッキンに形成されたアンカーボルト挿入孔を画定する側面のうち当該一方の端縁から前記幅方向において最も離れた部分までの長さを超える長さを有しており、
前記スペーサの前記一方向の一端部全体には、その一端縁から中央に近づくに連れて当該スペーサの厚みが増加するように下方に傾斜する傾斜面が形成されており、
前記スペーサには、当該スペーサのサイズに関する表記が厚み方向に貫通して形成されていることを特徴とする基礎パッキン用スペーサ。
【請求項4】
前記サイズに関する表記は、前記スペーサの表面から正しく読み取れるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の基礎パッキン用スペーサ。
【請求項5】
前記スペーサには、当該スペーサのサイズに関する表記が形成されており、
前記サイズに関する表記は、前記スペーサの前記一方向の中央部に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基礎パッキン用スペーサ。
【請求項6】
前記スペーサには、当該スペーサのサイズに関する表記が形成されており、
前記サイズに関する表記は、前記スペーサの前記一端部を上にして正しく読み取れるように形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基礎パッキン用スペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの建築物の基礎と土台との間に基礎パッキンを配置する施工方式において、基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入して当該隙間を埋めるための矩形板状の基礎パッキン用スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の工法において、基礎と土台との間に基礎パッキンが敷設される工法が広く用いられている。この種の基礎パッキンには、アンカーボルトを挿入するためのアンカーボルト挿入孔が基礎パッキンの幅方向の中央部に形成されている。そして、基礎パッキンは、現場打設のコンクリート製の基礎の上面に配置され、この基礎パッキン上に土台が載置され、基礎と土台とは、基礎パッキンを介した状態でアンカーボルトによって固定される。
【0003】
このようにして固定された基礎パッキンと土台との間には、基礎の上面の不陸の影響によって隙間が生じることがある。隙間をこのまま放置しておくと、土台の支持に支障を来すため、隙間を埋めるための、例えば、左右2分体からなる基礎パッキン用スペーサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3113831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の基礎パッキン用スペーサにおいては、2分体であるため、基礎パッキンに対して屋外側及び屋内側のそれぞれから挿入する必要がある。このため、基礎パッキンと土台との間に生じる隙間が多数存在する場合、スペーサの使用数も増え、作業が極めて煩わしくなるという問題が生じる。
【0006】
そこで本発明者が、2分体であったスペーサを一体とし、基礎パッキンの幅方向の一方だけから当該スペーサを隙間に挿入することで、作業性を向上させることについて検討したところ、以下の課題を知見した。基礎パッキンの中央部には、アンカーボルト挿入孔が形成されているため、基礎パッキンと土台との間の隙間にスペーサを挿入しようとすると、スペーサの先端がアンカーボルト挿入孔を画定する側面(基礎パッキンの幅方向において、基礎パッキンの一方から最も離れた側面部分)の上部に引っ掛かり、当該スペーサを基礎パッキンと土台との間の隙間の所望位置まで挿入することができない問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、使用数が増えても作業の煩わしさを軽減しつつ、基礎パッキンと土台との間の隙間の所望位置にスペーサを容易に設置することが可能な基礎パッキン用スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基礎パッキン用スペーサは、基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に、前記基礎パッキンの幅方向の一方から挿入して当該隙間を埋めるための矩形板状の基礎パッキン用スペーサであって、前記スペーサは、当該スペーサの一辺に平行な一方向において、前記基礎パッキンの前記一方の端縁から前記基礎パッキンに形成されたアンカーボルト挿入孔を画定する側面のうち当該一方の端縁から前記幅方向において最も離れた部分までの長さを超える長さを有しており、前記スペーサの前記一方向の一端部全体には、その一端縁から中央に近づくに連れて当該スペーサの厚みがその表面側から増加するように下方に傾斜する傾斜面が形成されている。
【0009】
これによると、スペーサの一端部の下側部分に傾斜面が形成されているため、一端部からスペーサを基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入する際に、スペーサの一端部がアンカーボルト挿入孔の側面に引っ掛かりにくくなる。このため、基礎パッキンと土台との間の隙間の所望位置にスペーサを容易に設置することが可能となる。また、スペーサが二分体に分かれておらず、基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に幅方向の一方から挿入することが可能であるため、使用数が増えても、作業の煩わしさを軽減することが可能となる。
本発明において、前記スペーサは、当該スペーサの一辺に平行な一方向において、前記基礎パッキンの幅寸法と略同等もしくはそれ以上の長さを有しているのがより好ましい。このようにすることで、土台からの荷重を受ける面積を大きくでき、土台下端とスペーサが接する面積を確保でき、土台のめりこみを防止することができる。
【0010】
また、本発明において、前記スペーサの前記一方向と直交する直交方向の長さは、当該スペーサの前記一方向の長さ以下であることが好ましい。これにより、基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入されたスペーサが若干傾いていても、基礎パッキンと土台との間の隙間からスペーサがはみ出しにくくなる。このため、土台の支持に支障を来すのを抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明の基礎パッキン用スペーサは、別の観点では基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に、前記基礎パッキンの幅方向の一方から挿入して当該隙間を埋めるための矩形板状の基礎パッキン用スペーサであって、前記スペーサは、当該スペーサの一辺に平行な一方向において、前記基礎パッキンの前記一方の端縁から前記基礎パッキンに形成されたアンカーボルト挿入孔を画定する側面のうち当該一方の端縁から前記幅方向において最も離れた部分までの長さを超える長さを有しており、前記スペーサの前記一方向の一端部全体には、その一端縁から中央に近づくに連れて当該スペーサの厚みが増加するように下方に傾斜する傾斜面が形成されており、前記スペーサには、当該スペーサのサイズに関する表記が厚み方向に貫通して形成されている。これにより、スペーサの一端部の下側部分に傾斜面が形成されているため、一端部からスペーサを基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入する際に、スペーサの一端部がアンカーボルト挿入孔の側面に引っ掛かりにくくなる。このため、基礎パッキンと土台との間の隙間の所望位置にスペーサを容易に設置することが可能となる。また、スペーサが二分体に分かれておらず、基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に幅方向の一方から挿入することが可能であるため、使用数が増えても、作業の煩わしさを軽減することが可能となる。また、スペーサの色と異なる色のものの上に、スペーサを置いて見たときに、当該スペーサのサイズが識別しやすい。例えば、スペーサが黒色の場合、準備作業として土台などの上にスペーサを置くことで、当該スペーサのサイズが識別しやすい。
【0012】
また、本発明において、前記サイズに関する表記は、前記スペーサの表面から正しく読み取れるように形成されていることが好ましい。これにより、スペーサの表裏(上下)の識別が可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記スペーサには、当該スペーサのサイズに関する表記が形成されており、前記サイズに関する表記は、前記スペーサの前記一方向の中央部に形成されていることが好ましい。基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入されたスペーサの一方向の中央部は、主にアンカーボルト挿入孔と対向する部分であり、当該スペーサは中央部以外の部分で土台からの荷重を受ける。これにより、サイズに関する表記がスペーサの一方向の中央部以外に形成されているものと比して、土台からの荷重を受ける面積が小さくなるのを抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明において、前記スペーサには、当該スペーサのサイズに関する表記が形成されており、前記サイズに関する表記は、前記スペーサの前記一端部を上にして正しく読み取れるように形成されていることが好ましい。これにより、スペーサを基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入する挿入方向を認識しやすくなり、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の基礎パッキン用スペーサによると、スペーサの一端部の下側部分に傾斜面が形成されているため、一端部からスペーサを基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入する際に、スペーサの一端部がアンカーボルト挿入孔の側面に引っ掛かりにくくなる。このため、基礎パッキンと土台との間の隙間の所望位置にスペーサを容易に設置することが可能となる。また、スペーサが二分体に分かれておらず、基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に幅方向の一方から挿入することが可能であるため、使用数が増えても、作業の煩わしさを軽減することが可能となる。
また、本発明の基礎パッキン用スペーサの別の観点によると、スペーサの一端部の下側部分に傾斜面が形成されているため、一端部からスペーサを基礎パッキンと土台との間の隙間に挿入する際に、スペーサの一端部がアンカーボルト挿入孔の側面に引っ掛かりにくくなる。このため、基礎パッキンと土台との間の隙間の所望位置にスペーサを容易に設置することが可能となる。また、スペーサが二分体に分かれておらず、基礎パッキンと土台との間に生じた隙間に幅方向の一方から挿入することが可能であるため、使用数が増えても、作業の煩わしさを軽減することが可能となる。また、スペーサの色と異なる色のものの上に、スペーサを置いて見たときに、当該スペーサのサイズが識別しやすい。例えば、スペーサが黒色の場合、準備作業として土台などの上にスペーサを置くことで、当該スペーサのサイズが識別しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る基礎パッキン用スペーサが採用された建物構造の要部断面図である。
図2図1に示す基礎パッキンの要部斜視図である。
図3図1に示す基礎パッキンの平面図である。
図4図1に示す基礎パッキン用スペーサを示しており、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る基礎パッキン用スペーサ10が採用された建物構造100について、図1を参照しつつ以下に説明する。
【0018】
本実施形態における建物構造100は、図1に示すように、基礎1と、土台2と、基礎パッキン3と、基礎パッキン用スペーサ10(以下、スペーサ10と称する)と、アンカーボルト5とを含む。本実施形態においては、図1に示すように、基礎1の左側が屋外であり、基礎1の右側が屋内である。基礎1は、図1中紙面垂直方向(長手方向A)に長尺に延在している。基礎1には、アンカーボルト5が上面1aから立設されるように、植設されている。
【0019】
土台2は、図1に示すように、長手方向Aに長尺に形成されており、基礎1とで基礎パッキン3を鉛直方向Cに挟むように基礎パッキン3上に配置されている。また、土台2には、アンカーボルト5を通すために鉛直方向Cに貫通する貫通孔2aが形成されている。土台2及び基礎パッキン3は、アンカーボルト5、角座金6及びナット7によって基礎1上に固定されている。また、基礎1は、現場打設のコンクリート製であるため、その上面1aに不陸が生じることがある。このため、基礎1の上面1aに載置された基礎パッキン3と土台2との間には、図1に示すような隙間4が形成される。この隙間4には、スペーサ10が挿入され、当該隙間4がスペーサ10によって埋められる。本実施形態においては、基礎パッキン3の幅方向B(長手方向A及び鉛直方向Cと直交する方向)の一方である屋外側から、隙間4にスペーサ10が挿入されるが、屋内側から挿入されてもよい。要するに、スペーサ10は、幅方向Bの一方から隙間4に挿入されればよい。
【0020】
続いて、基礎パッキン3について、図2及び図3を参照しつつ以下に説明する。基礎パッキン3は、図2及び図3に示すように、長手方向Aに長尺な板状部材であり、合成樹脂から構成されている。本実施形態における基礎パッキン3は、フィラーを含むポリプロピレン樹脂を用いているが、特に限定するものではなく、別の合成樹脂から構成されていてもよい。
【0021】
基礎パッキン3の長手方向Aに沿う両側面3a,3bには、図2及び図3に示すように、幅方向Bに抜ける床下換気用の多数の通気孔12が形成されている。各通気孔12は、基礎パッキン3の両側面3a,3bから内側に凹んだ凹部を構成している。基礎パッキン3は、使用時に鉛直方向Cに圧縮荷重を受けるので、通気孔12の形成に際しては、必要とする圧縮強度が確保されるように設計されている。本実施形態における通気孔12の断面形状は4角形とし、隣接させて長手方向Aに配列されている。さらに、各通気孔12は、上下いずれかの壁面に開放部13a,13bが形成されている。開放部13aは上壁15aが部分的に切り欠かれることで形成され、開放部13bは下壁15bが部分的に切り欠かれることで形成されている。各通気孔12は、長手方向Aに隣接する2つの側壁14と、上壁15a及び下壁15bのいずれか一方との3方囲繞形態であり、開放部13a,13bでは自由に通気が可能である。これにより、通気面積が増加し、換気性能を高めることができ、かつ、上下に接する基礎1や土台2の接触面を乾燥させることができる。また、開放部13a,13bは、図2に示すように、長手方向A及び幅方向Bに沿って、上下に交互に形成されている。これにより、開放部13a,13bの形成に伴う、基礎パッキン3の撓み強度の低下を抑制できる。
【0022】
基礎パッキン3には、図2及び図3に示すように、アンカーボルト5を通すために鉛直方向Cに貫通する複数のアンカーボルト挿入孔16が形成されている。アンカーボルト挿入孔16は、長手方向Aに沿って複数形成されている。また、基礎パッキン3の長手方向Aの両端には、基礎パッキン3同士を連結する際の位置決め用の凸部17及び凹部18がそれぞれ形成されており、基礎パッキン3同士を直列状に繋げて使用しやすくなっている。
【0023】
続いて、スペーサ10について、図3及び図4を参照しつつ以下に説明する。図3中二点鎖線で示すスペーサ10は、スペーサ10が隙間4に挿入されて所望位置に配置されたときの基礎パッキン3上での配置状況を示している。スペーサ10は、図4に示すように、矩形平面形状を有する板状部材である。本実施形態においては、略正方形の平面形状を有している。つまり、本実施形態におけるスペーサ10は、スペーサ10の一辺10aに平行な幅方向Bの長さL1と、スペーサ10の一辺10aと直交する他辺10bに平行な長手方向Aの長さL2とが同じになっている。また、スペーサ10の長さL1は、図3に示すように、基礎パッキン3の屋外側の端部(側面3b)からアンカーボルト挿入孔16を画定する側面のうち当該屋外側の端部から最も離れた側面部分16aまでの長さL3を超えている。本実施形態におけるスペーサ10の長さL1は、基礎パッキン3の幅方向Bの長さとほぼ同じになっているが、特に限定するものではない。
【0024】
また、スペーサ10の幅方向Bの中央部には、厚み方向(鉛直方向C)に貫通する貫通孔20が形成されている。この貫通孔20は、スペーサ10の厚み(サイズ)に関する表記であり、本実施形態におけるスペーサ10の厚みが2mmであるため、数字の「2」を示す平面形状を有している。なお、スペーサ10の厚みが異なる場合は、当該数字とは異なる数字を示す平面形状を有する貫通孔20とすることで、スペーサ10のサイズが分かる。また、貫通孔20の平面形状は、スペーサ10のサイズに関する表記であれば、数字のみならず、記号やアルファベットを示す形状であってもよい。また、スペーサ10の表記としての貫通孔20は、スペーサ10を基礎パッキン3と土台2との間の隙間4に挿入する際の先端部(図4(a)中上側端部10d)を上にすることで、正しく読み取れるように形成されている。また、スペーサ10の表記としての貫通孔20は、スペーサ10の上面(表面)10cから見たときに、正しく読み取れるように形成されている。
【0025】
スペーサ10は、図4(b)に示すように、右側端部10dの下側部分に傾斜面21が形成されている。スペーサ10の右側端部10dは、スペーサ10を基礎パッキン3と土台2との間の隙間4に挿入する際の先端となる端部である。傾斜面21は、スペーサ10の右側端部10d全体に形成されている。また、傾斜面21は、右側端部10dの端縁10d1から幅方向Bに沿って中央に近づくに連れてスペーサ10の厚みが増加するように下方に傾斜している。
【0026】
また、スペーサ10は、図4(b)に示すように、上面10cの左側端部10eに2つの凹部22が形成されている。各凹部22は、上方及び左方に向かって開口されている。また、スペーサ10は、これら凹部22が形成されることで下面10fから下方に突出して形成された2つの突起部23を有する。つまり、突起部23の下面10fからの高さと、凹部22の深さとがほぼ同じであり、平面形状も同じである。このため、スペーサ10を重ねて配置したときに、上側のスペーサ10の突起部23が下側のスペーサ10の凹部22にちょうど嵌まる。このため、上側のスペーサ10を下側のスペーサ10に対して位置決めでき、上側のスペーサ10を隙間4に差し込みすぎるのを防ぐことが可能となる。
【0027】
また、スペーサ10は、図4(a)に示すように、幅方向Bにおいて、中央部から端部10eの間に3つの貫通孔25が形成されている。これら貫通孔25は、長手方向Aに沿って互いに離隔して配置されている。図4(b)に示すように、各貫通孔25には、当該貫通孔25を画定する側面のうちの左側端部10eから最も離れた側面(右側端部10d側の側面)から左方に向かって突出する片持ち状の突起片26が形成されている。各突起片26の先端部には、下方に突出する係止部27が形成されている。
【0028】
係止部27は、図4(b)に示すように、幅方向Bの右側面である傾斜面27aと、幅方向Bの左側面である垂直な垂直面27bとを有する。傾斜面27aは、係止部27が下方から上方に向かって厚みが増加するように傾斜している。これら係止部27は、図3に示すように、二点鎖線で示すスペーサ10が隙間4の所望位置に配置されたときに(スペーサ10の端部10dが基礎パッキン3の屋内側の端部と重なるように配置されたときに)、開放部13aの周縁と係止される。より詳細には、係止部27の垂直面27bが対応する開放部13aの周面と係止される。これにより、スペーサ10が隙間4の所望位置から屋外側に抜け出すのを防ぐことができる。
【0029】
また、スペーサ10が、図3に示すように、隙間4の所望位置に配置されたときには、突起部23も開放部13aと係止する。つまり、スペーサ10が、隙間4内に差し込まれ過ぎるのを防ぐことが可能となる。また、これら突起部23と係止部27によって、スペーサ10が所望位置に位置決め可能となる。
【0030】
以上に述べたように、本実施形態のスペーサ10によると、スペーサ10の端部10dの下側部分に傾斜面21が形成されているため、端部10dからスペーサ10を基礎パッキン3と土台2との間の隙間4に挿入する際に、スペーサ10の端部10dがアンカーボルト挿入孔16の側面部分16aに引っ掛かりにくくなる。このため、基礎パッキン3と土台2との間の隙間4の所望位置にスペーサ10を容易に設置することが可能となる。また、スペーサ10が二分体に分かれておらず、基礎パッキン3と土台2との間に生じた隙間4に幅方向Bの屋外側(一方)から挿入することが可能であるため、使用数が増えても、作業の煩わしさを軽減することが可能となる。
【0031】
また、スペーサ10の長さL2が長さL1以下である。このため、基礎パッキン3と土台2との間の隙間4に挿入されたスペーサ10が若干傾いていても、基礎パッキン3と土台2との間の隙間4からスペーサ10がはみ出しにくくなる。一方、スペーサ10の長さL2が長さL1を超え、スペーサが長手方向Aに長尺であると、隙間4に傾いて挿入されると、スペーサの隙間4からのはみ出し量が多くなり、土台2からの荷重を受ける面積が小さくなる。本実施形態においては、スペーサ10の長さL2が長さL1以下であるため、隙間4からスペーサ10がはみ出しにくくなって、土台2からの荷重を大きな面積で受けることができ、土台2の支持に支障を来すのを抑制することが可能となる。
【0032】
また、スペーサ10には、スペーサ10のサイズに関する表記としての貫通孔20が形成されている。これにより、スペーサ10の色と異なる色のものの上に、スペーサ10を置いて見たときに、当該スペーサ10のサイズが識別しやすい。例えば、スペーサ10が黒色の場合、準備作業として土台2などの上にスペーサ10を置くことで、当該スペーサ10のサイズが識別しやすい。
【0033】
また、スペーサ10のサイズに関する表記が、スペーサ10の上面(表面)10cから正しく読み取れるように形成されている。これにより、スペーサの表裏(上下)の識別が可能となる。
【0034】
また、スペーサ10のサイズに関する表記が、スペーサ10の幅方向Bの中央部に形成されている。基礎パッキン3と土台2との間の隙間4に挿入されたスペーサ10の中央部は、図3に示すように、主にアンカーボルト挿入孔16と対向する部分であり、当該スペーサ10は中央部以外の部分で土台2からの荷重を主に受けている。これにより、サイズに関する表記がスペーサ10の幅方向Bの中央部以外に形成されているものと比して、土台2からの荷重を受ける面積が小さくなるのを抑制することが可能となる。
【0035】
また、スペーサ10のサイズに関する表記が、スペーサ10の端部10dを上にして正しく読み取れるように形成されている。これにより、スペーサ10を基礎パッキン3と土台2との間の隙間4に挿入する挿入方向を認識しやすくなり、作業性が向上する。
【0036】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態におけるスペーサ10は、正方形平面形状を有していたが、スペーサ10の幅方向Bの長さが、基礎パッキン3の一方の側面10a又は側面10b(端縁)からアンカーボルト挿入孔16を画定する側面のうち当該一方の側面10a又は側面10bから最も離れた部分までの長さを超えていれば、これ以外の平面形状を有していてもよい。つまり、スペーサ10の長手方向Aの長さが、スペーサ10の幅方向Bの長さよりも長くてもよい。また、スペーサ10の幅方向Bの長さは、基礎パッキン3の幅方向Bの長さ以下が好ましい。これにより、スペーサ10が隙間4に挿入され所望位置に配置されたときに、スペーサ10が隙間4からはみ出しにくくなる。
【0037】
スペーサ10には、当該スペーサ10のサイズに関する表記が形成されていてなくてもよい。また、スペーサ10のサイズに関する表記が貫通しない凹部で形成されていてもよい。また、スペーサ10のサイズに関する表記が、スペーサ10の上面10cから正しく読み取れなくてもよい。つまり、スペーサの下面10f(裏面)から正しく読み取れるように形成されていてもよい。
【0038】
スペーサ10のサイズに関する表記が、スペーサ10の幅方向Bの中央部以外の箇所に形成されていてもよい。また、スペーサ10のサイズに関する表記が、スペーサ10を隙間4に挿入するときの先頭となる端部10dの上にして正しく読み取れなくてもよい。
【0039】
スペーサ10には、凹部22、突起部23、貫通孔25及び突起片26の少なくともいずれかが設けられていなくてもよい。また、スペーサ10は、気密タイプの基礎パッキンと土台との間の隙間にも採用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
2 土台
3 基礎パッキン
4 隙間
10 スペーサ(基礎パッキン用スペーサ)
10c 上面(表面)
10d 端部(一端部)
10d1 端縁(一端縁)
16 アンカーボルト挿入孔
21 傾斜面
L1〜L3 長さ
図1
図2
図3
図4