特許第6937163号(P6937163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937163
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】乳房X線撮影装置及び穿刺支援システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20210909BHJP
   A61B 6/02 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   A61B6/00 330Z
   A61B6/02 351Z
   A61B6/00 370
   A61B6/00 350D
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-105213(P2017-105213)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-198816(P2018-198816A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敦子
(72)【発明者】
【氏名】小林 由昌
【審査官】 井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−233962(JP,A)
【文献】 特開2000−197630(JP,A)
【文献】 特開2014−204907(JP,A)
【文献】 特表2008−508905(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0118640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 8/00−8/15
A61B 34/00−90/98
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の乳房の三次元画像データを収集する収集部と、
前記三次元画像データから複数の病変部を検出する検出部と、
前記複数の病変部の三次元的な分布から導出された回帰直線に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する導出部と
を備える、乳房X線撮影装置。
【請求項2】
被検者の乳房の三次元画像データを収集する収集部と、
前記三次元画像データから複数の病変部を検出する検出部と、
前記複数の病変部の三次元的な分布から導出された直線に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する導出部と
を備え、
前記導出部は、前記穿刺経路、及び、前記複数の病変部の分布の範囲に基づいて、前記穿刺針の太さを推定する、
房X線撮影装置。
【請求項3】
被検者の乳房の三次元画像データを収集する収集部と、
前記三次元画像データから複数の病変部を検出する検出部と、
前記複数の病変部の三次元的な分布から導出された直線に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する導出部と
を備え、
前記穿刺針は、検体を採取するための開口部を有しており、
前記導出部は、前記複数の病変部の三次元的な分布の重心を導出し、当該重心の位置、及び、前記穿刺針における前記開口部の位置に基づいて、前記穿刺針を刺入する穿刺深さをさらに導出する、
房X線撮影装置。
【請求項4】
被検者の乳房の三次元画像データを収集する収集部と、
前記三次元画像データから複数の病変部を検出する検出部と、
前記複数の病変部の三次元的な分布から導出された直線に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する導出部と
を備え、
前記穿刺針は、検体を採取するための開口部を有しており、
前記導出部は、前記乳房に対して関心領域を指定する操作を操作者から受け付け、当該関心領域の位置、及び、前記穿刺針における前記開口部の位置に基づいて、前記穿刺針を刺入する穿刺深さをさらに導出する、
房X線撮影装置。
【請求項5】
被検者の乳房の三次元画像データを収集する収集部と、
前記三次元画像データから複数の病変部を検出する検出部と、
前記複数の病変部の三次元的な分布から導出された直線に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する導出部と
を備え、
前記導出部は、前記穿刺針によって検体が採取される領域を予測し、当該領域の位置及び大きさを示す情報を前記穿刺経路と関連付けて表示する、
房X線撮影装置。
【請求項6】
前記導出部は、操作者から受け付けた操作に応じて、前記穿刺経路を修正する、
請求項1〜5のいずれか一つに記載の乳房X線撮影装置。
【請求項7】
被検者の乳房に穿刺針を刺入する穿刺アダプタと、
乳房X線撮影装置によって収集された前記乳房の三次元画像データから複数の病変部を検出する検出部と、
前記複数の病変部の三次元的な分布から導出された回帰直線に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する導出部と、
前記穿刺経路に基づいて、前記穿刺アダプタを制御する制御部と
を備える、穿刺支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乳房X線撮影装置及び穿刺支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳房X線撮影装置によって収集された画像データを用いて、乳房の生体組織診断で行われる穿刺を支援する技術が知られている。
【0003】
例えば、「乳房X線撮影装置」の一例であるマンモグラフィ装置によって撮影されたスカウト画像やステレオ画像等の二次元画像データを用いて、乳房に生じた病変の位置を三次元的に把握し、把握した位置を穿刺用の装置に入力することで、穿刺位置を機械的にガイドする技術が知られている。また、近年では、一度の撮影で複数のスライス画像からなる三次元画像データを収集することが可能な三次元マンモグラフィが普及してきており、当該三次元画像データを用いて、穿刺位置をガイドする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−233962号公報
【特許文献2】特開2007−216022号公報
【特許文献3】特開2014−204907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より確実に病変部を含む検体を採取することができる乳房X線撮影装置及び穿刺支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る乳房X線撮影装置は、収集部と、検出部と、導出部とを備える。収集部は、被検者の乳房の三次元画像データを収集する。検出部は、前記三次元画像データから病変部を検出する。導出部は、前記病変部の三次元的な分布の直線性を解析し、当該直線性の解析結果に基づいて、前記乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路を導出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置及び穿刺支援システムの構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る穿刺針の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置を用いて穿刺が行われる際の被検者のポジショニングの一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る導出機能による穿刺経路の導出を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る導出機能による穿刺深さの導出を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る導出機能による穿刺深さの導出を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る導出機能による穿刺深さの導出を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る導出機能による穿刺経路の表示の一例を示す図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る導出機能によって表示される乳房のMIP画像の一例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置による穿刺支援の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、乳房X線撮影装置及び穿刺支援システムの実施形態を説明する。なお、以下の実施形態では、本願が開示する乳房X線撮影装置をマンモグラフィ装置に適用した場合の例を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置及び穿刺支援システムの構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、マンモグラフィ装置100は、撮影台装置110と、高電圧発生装置120と、コンソール装置130とを有する。
【0010】
撮影台装置110は、支持台111と、X線発生装置112と、X線検出装置113と、撮影台114と、スタンド115と、基台116とを有する。
【0011】
支持台111は、被検者の乳房Bを支持するための台である。
【0012】
X線発生装置112は、X線管112aと、X線絞り器112bとを有する。X線管112aは、X線を発生させる。X線絞り器112bは、X線管112aから発生したX線の照射範囲を制御する。
【0013】
X線検出装置113は、X線検出器113aと、信号処理回路113bとを有する。X線検出器113aは、乳房B及び支持台111を透過したX線を検出して電気信号に変換する。信号処理回路113bは、X線検出器113aによって変換された電気信号からX線投影データを生成する。
【0014】
撮影台114は、X線発生装置112、支持台111及びX線検出装置113を支持している。具体的には、撮影台114は、X線発生装置112と、X線検出装置113とを、水平方向に沿った回転軸を挟んで対向させた状態で支持している。また、撮影台114は、支持台111を、X線発生装置112とX線検出装置113との間で移動可能に支持している。そして、撮影台114は、操作者による操作に応じて、支持台111を移動させる。
【0015】
スタンド115は、撮影台114を支持している。具体的には、スタンド115は、撮影台114を、前述した回転軸とともに上下方向へ移動可能に支持し、かつ、前述した回転軸を中心に回転可能に支持している。そして、スタンド115は、操作者による操作に応じて、撮影台114を移動又は回転させる。
【0016】
基台116は、スタンド115を立設させた状態で支持している。
【0017】
高電圧発生装置120は、X線管112aに接続され、X線管112aがX線を発生するための高電圧を供給する。
【0018】
コンソール装置130は、マンモグラフィ装置100の全体を総括して制御する。具体的には、コンソール装置130は、入力回路131と、ディスプレイ132と、記憶回路133と、処理回路134とを有する。
【0019】
入力回路131は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力回路131は、処理回路134に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路134へ出力する。例えば、入力回路131は、トラックボールやスイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
【0020】
ディスプレイ132は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ132は、処理回路134に接続されており、処理回路134から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ132は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0021】
記憶回路133は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路133は、信号処理回路113bによって生成されるX線投影データや、処理回路134によって生成される画像データ等を記憶する。例えば、記憶回路133は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0022】
処理回路134は、マンモグラフィ装置100が有する各構成要素を制御することによって、マンモグラフィ装置100の全体制御を行う。例えば、処理回路134は、プロセッサによって実現される。
【0023】
このような構成のもと、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、被検者の乳房Bの生体組織診断で行われる穿刺を支援するための構成を有している。例えば、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、乳がんの精密検査等で用いられる。なお、以下では、穿刺によって採取される病変部が石灰化である場合の例を説明する。
【0024】
本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、所定のスキャン起動に沿ってX線管112aを移動させながら被検者の乳房BにX線を曝射して、X線検出器113aの検出面に入射したX線を検出する構成を有する。また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、検出されたX線に基づいて、フレームごとのX線画像を生成する構成を有する。すなわち、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、X線断層撮影装置(トモシンセシス(Tomosynthesis)とも呼ばれる)としての構成を有する。
【0025】
また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、穿刺アダプタ200を有する。穿刺アダプタ200は、コンソール装置130による制御のもと、被検者の乳房Bに穿刺針を刺入する。ここで、穿刺アダプタ200は、Vacume Assistant Biopsyや、Core Needle Biopsy等の様々な穿刺手技に対応可能となるように構成されている。
【0026】
具体的には、穿刺アダプタ200は、アダプタ支持台210と、アダプタ圧迫板220と、穿刺針230とを有する。
【0027】
アダプタ支持台210は、被検者の乳房Bの穿刺が行われる際に、乳房Bを支持する。
【0028】
アダプタ圧迫板220は、アダプタ支持台210上に置かれた乳房Bを圧迫することで、乳房Bを押し広げた状態でアダプタ支持台210上に固定する。具体的には、アダプタ圧迫板220は、アダプタ支持台210に近付く方向及びアダプタ支持台210から離れる方向へ移動可能に設けられており、操作者による操作に応じて、双方向へ移動する。ここで、アダプタ圧迫板220の一部には、板の表面から裏面へ貫通するアクセス孔が形成されており、当該アクセス孔を介して、穿刺針230が乳房Bに刺入される。
【0029】
穿刺針230は、乳房Bから検体を採取するための針である。
【0030】
図2は、第1の実施形態に係る穿刺針230の一例を示す図である。例えば、図2に示すように、穿刺針230は、先端が尖った形状を有しており、当該先端から被検者の乳房Bに刺入される。また、穿刺針230は、中空の円筒状に形成されており、側面の一部に、穿刺針230の外側から内側へ通じる開口部230aを有している。この開口部230aは、穿刺針230が乳房Bに刺入された際に、検体を採取するための孔となる。
【0031】
ここで、本実施形態では、穿刺アダプタ200は、X線発生装置112とX線検出装置113との間に配置されるように、撮影台装置110の支持台111上に装着される。これにより、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100では、アダプタ支持台210上に乳房Bが固定された状態で、乳房Bの撮影を行うことが可能となっている。
【0032】
図3は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置100を用いて穿刺が行われる際の被検者のポジショニングの一例を示す図である。例えば、図3に示すように、乳房Bの穿刺が行われる際には、被検者は、椅子等に座って上半身を起こした座位の状態で、アダプタ支持台210上に乳房Bを載せる。そして、アダプタ圧迫板220がアダプタ支持台210に近付く方向へ移動されることで、アダプタ支持台210上に置かれた乳房Bが圧迫されて、押し広げられた状態でアダプタ支持台210上に固定される。なお、穿刺が行われる際の被検者の姿勢は、座位に限られず、側臥位であってもよいし、腹臥位であってもよい。
【0033】
そして、本実施形態では、コンソール装置130の処理回路134が、被検者の乳房Bを撮影した三次元画像データを用いて、穿刺アダプタ200を制御することで、乳房Bの穿刺を機械的にガイドする。
【0034】
ここで、例えば、三次元画像データを用いて穿刺をガイドする場合には、穿刺アダプタ200に対して、穿刺の目標となる位置を点で指定する方法もあり得る。例えば、穿刺の目標となる位置の点は、三次元画像データにおいて、複数のスライス画像が並ぶ方向における各スライス画像の位置をzとし、各スライス画像における二次元の位置を(x,y)とした場合に、それらを組み合わせた三次元の位置(x,y,z)によって指定される。
【0035】
しかしながら、穿刺の目標となる位置を点で指定した場合には、穿刺針230が刺入される角度によって、その点の周囲にある石灰化が検体に十分に含まれないこともあり得る。一般的に、穿刺によって採取される検体には、目標とされた位置にある石灰化だけではなく、その周囲にある石灰化も十分に含まれていることが求められる。採取された検体に石灰化が十分に含まれているか否かは、穿刺が行われた後にX線撮影等によって確認されるが、その結果、石灰化が十分に含まれていないと判定された場合には、再度、穿刺を行わなければならないこともあり、被検者に与える負担が大きい。
【0036】
このようなことから、本実施形態に係るマンモグラフィ装置100は、より確実に病変部を含む検体を採取することができるように構成されている。
【0037】
具体的には、本実施形態では、処理回路134が、収集機能134aと、検出機能134bと、導出機能134cと、制御機能134dとを有する。なお、本実施形態では、穿刺アダプタ200と、処理回路134が有する検出機能134b、導出機能134c及び制御機能134dとが、穿刺支援システムを構成している。
【0038】
ここで、収集機能134aは、特許請求の範囲における収集部の一例である。また、検出機能134bは、特許請求の範囲における検出部の一例である。また、導出機能134cは、特許請求の範囲における導出部の一例である。また、制御機能134dは、特許請求の範囲における制御部の一例である。
【0039】
収集機能134aは、被検者の乳房Bの三次元画像データを収集する。
【0040】
具体的には、収集機能134aは、高電圧発生装置120及びX線発生装置112を制御することで、三次元マンモグラフィを実行する。より具体的には、収集機能134aは、所定のスキャン起動に沿ってX線管112aを移動させながら被検者の乳房Bに対して複数の異なる方向からX線を照射し、その際にX線検出器113aによって検出されたX線に基づいて、フレームごとのX線画像を生成する。そして、収集機能134aは、生成されたX線画像に基づいて、三次元画像データ(ボリュームデータとも呼ばれる)を生成する。例えば、収集機能134aは、乳房BをMLO(Mediolateral-Oblique:内外斜位)方向に撮影した三次元画像データや、CC(Cranio-Caudal:頭尾)方向に撮影した三次元画像データ等を生成する。そして、収集機能134aは、生成した三次元画像データを記憶回路133に記憶させる。
【0041】
検出機能134bは、収集機能134aによって収集された三次元画像データから石灰化を検出する。
【0042】
具体的には、検出機能134bは、収集機能134aによって収集された乳房Bの三次元画像データを記憶回路133から読み出し、読み出した三次元画像データから石灰化を検出する。ここで、検出機能134bが石灰化を検出する方法としては、公知の各種の方法を用いることが可能である。例えば、検出機能134bは、三次元画像データに含まれる各ボクセルの輝度値に基づいて、輝度値が所定の閾値以上の領域を抽出することで、石灰化を検出する。
【0043】
導出機能134cは、検出機能134bによって検出された石灰化の三次元的な分布の直線性を解析し、当該直線性の解析結果に基づいて、乳房Bに穿刺針230を刺入する穿刺経路を導出する。さらに、導出機能134cは、石灰化の三次元的な分布の重心を導出し、当該重心の位置、及び、穿刺針230における開口部230aの位置に基づいて、穿刺針230を刺入する穿刺深さを導出する。
【0044】
具体的には、導出機能134cは、まず、マンモグラフィ装置100によって撮影される撮影空間を表す三次元座標上に、検出機能134bによって検出された石灰化を配置する。なお、ここでいう三次元座標は、マンモグラフィ装置100に固有の座標として、X線検出器113aの位置等に基づいて予め定義されている。そして、導出機能134cは、統計学的な処理を行うことによって、三次元座標上に配置された石灰化の分布の直線性を解析し、当該直線性の解析結果に基づいて、穿刺経路を導出する。
【0045】
本実施形態では、導出機能134cは、三次元座標上に配置された石灰化の分布に基づいて回帰直線を導出し、導出した回帰直線を穿刺経路とする。
【0046】
図4は、第1の実施形態に係る導出機能134cによる穿刺経路の導出を説明するための図である。ここで、図4に示す例では、三次元座標は、X線検出器113aの検出面における二次元の方向に沿ったX軸及びY軸と、X線検出器113aの検出面に垂直なZ軸とで定義されている。また、図4に示す例では、三次元座標上に、三次元画像データに含まれる複数のスライス画像Sの位置と、X線検出器113aの位置と、アダプタ圧迫板220の位置と、アダプタ圧迫板220に形成されているアクセス孔220aの位置とを示している。
【0047】
例えば、図4に示すように、導出機能134cは、三次元座標上に配置された石灰化Cの分布から回帰直線Rを導出する。また、導出機能134cは、三次元座標上に配置された石灰化Cの分布の重心Gを導出する。そして、導出機能134cは、導出した回帰直線Rに基づいて、穿刺経路を設定する。
【0048】
ここで、例えば、前述したように、穿刺の目標となる位置を点で指定した場合には、図4に破線Aで示す経路のように、目標となる位置の周囲にある石灰化を含まないように穿刺経路が設定されてしまうこともあり得る。その場合には、採取される検体に石灰化が十分に含まれないこともあり得る。これに対し、本実施形態では、石灰化の分布から導出された回帰直線Rに基づいて穿刺経路を設定することによって、より多くの石灰化を含むように、穿刺経路を設定することができる。これにより、採取される検体に、石灰化をより確実に含めることができるようになる。
【0049】
なお、乳房Bの穿刺を行う際の穿刺の方向(穿刺針230を刺入する方向)としては、乳房Bに対して、上側から下側へ向かう方向、右側から左側へ向かう方向、左側から右側へ向かう方向、前側から奥側へ向かう方向があり得る。そして、通常、これらの方向によって、乳房Bへ穿刺針230を刺入する際の装置上や検査上の制限(アクセス制限)が異なっている。
【0050】
そこで、本実施形態では、導出機能134cは、穿刺の方向に応じて、装置上や検査上の制限を考慮して、穿刺経路及び穿刺深さを導出する。
【0051】
例えば、乳房Bに対して上側から下側へ向かう方向に穿刺を行う場合には、穿刺針230は、アダプタ圧迫板220に形成されているアクセス孔220aを通して、乳房Bに刺入されることになる。そのため、例えば、導出機能134cは、石灰化の分布から導出された回帰直線が上側から下側へ向かうものであった場合には、当該回帰直線に最も近く、かつ、重心Gを通り、かつ、アクセス孔220aを通る経路を穿刺経路として導出する。なお、この場合に、アクセス孔220aの位置や大きさは、穿刺が行われる時点での装置の状態に応じて、三次元座標と対応付けて予め設定されていることとする。
【0052】
また、例えば、乳房Bに対して右側から左側へ向かう方向、左側から右側へ向かう方向、又は、前側から奥側へ向かう方向に穿刺を行う場合には、穿刺針230は、アダプタ支持台210及びアダプタ圧迫板220を避けて、乳房Bに刺入されることになる。そのため、例えば、導出機能134cは、石灰化の分布から導出された回帰直線が右側から左側へ向かうもの、左側から右側へ向かうもの、又は、前側から奥側へ向かうものであった場合には、当該回帰直線に最も近く、かつ、重心Gを通り、かつ、アダプタ支持台210及びアダプタ圧迫板220と交差しない経路を穿刺経路として導出する。なお、この場合に、アダプタ支持台210及びアダプタ圧迫板220の位置や大きさは、穿刺が行われる時点での装置の状態に応じて、三次元座標と対応付けて予め設定されていることとする。
【0053】
図5〜7は、第1の実施形態に係る導出機能134cによる穿刺深さの導出を説明するための図である。例えば、図5〜7に示すように、導出機能134cは、穿刺針230が有する開口部230aの軸方向における中心の位置と、石灰化の分布の重心Gの位置とが一致するように、穿刺針230の穿刺深さを導出する。なお、ここでいう穿刺深さは、例えば、乳房Bの皮膚表面から穿刺針230の先端までの距離である。
【0054】
ここで、例えば、図5に示すように、乳房Bに対して上側から下側へ向かう方向に穿刺を行う場合(バーチカルアプローチ)には、穿刺針230の先端が乳房Bを突き抜けないように、穿刺針230の先端とアダプタ支持台210との間に、予め決められた距離(以下、セーフティディスタンス)SDを確保することが求められる。そのため、この場合には、例えば、導出機能134cは、穿刺針230の先端とアダプタ支持台210との間の距離が、セーフティディスタンスSD以上となり、かつ、開口部230aの軸方向における中心の位置が、石灰化の分布の重心Gの位置に最も近くなるように、穿刺針230の穿刺深さ(Z軸方向の深さ)を導出する。ここで、例えば、穿刺針230の先端とアダプタ支持台210との間にセーフティディスタンスSDを確保した場合に、穿刺針230の開口部230aの範囲内に重心Gが入らない場合には、操作者にその旨を報知してもよい。
【0055】
また、例えば、図6に示すように、乳房Bに対して左側から右側へ向かう方向に穿刺を行う場合(ラテラルアプローチ)には、穿刺針230の軸心とアダプタ支持台210との間にセーフティディスタンスSDを確保することが求められる。そのため、この場合には、例えば、導出機能134cは、穿刺針230の軸心とアダプタ支持台210との間の距離が、セーフティディスタンスSD以上となるように、穿刺針230の穿刺経路の位置(Z軸方向の位置)を導出する。ここで、例えば、穿刺針230の軸心とアダプタ支持台210との間にセーフティディスタンスSDを確保した場合に、穿刺針230の開口部230aの範囲内に重心Gが入らない場合には、操作者にその旨を報知してもよい。
【0056】
また、例えば、図7に示すように、乳房Bに対して斜めに穿刺を行う場合(オブリークアクセス)もあり得る。この場合には、例えば、導出機能134cは、穿刺針230の先端とアダプタ支持台210との間の距離が、セーフティディスタンスSD以上となり、かつ、開口部230aの軸方向における中心の位置が、石灰化の分布の重心Gの位置に最も近くなるように、穿刺針230の穿刺深さ(Z軸方向の深さ)、及び、穿刺経路の位置(Z軸方向の位置)及び傾き(Z軸方向に対する傾き)を導出する。
【0057】
そして、導出機能134cは、導出した穿刺経路に関する情報をディスプレイ132に表示する。
【0058】
図8は、第1の実施形態に係る導出機能134cによる穿刺経路の表示の一例を示す図である。例えば、図8に示すように、導出機能134cは、ディスプレイ132上に、各種のGUI(Graphical User Interface)を配置した操作画面300を表示する。
【0059】
例えば、操作画面300は、穿刺経路に関する情報を表示するための領域310、穿刺針230に関する情報を表示するための領域320、穿刺針230が有する開口部230aに関する情報を表示するための領域330、穿刺の目標となる位置に関する情報を表示するための領域340、操作者へのメッセージを表示するための領域350、操作者から各種操作を受け付けるためのボタンやアイコン等を表示するための領域360等を含む。
【0060】
そして、導出機能134cは、穿刺経路に関する情報を表示するための領域310に、穿刺経路及び穿刺深さを示すグラフィック311を表示する。例えば、導出機能134cは、乳房Bの最大値投影(Maximum Intensity Projection:MIP)画像312を生成して、穿刺経路に関する情報を表示するための領域310に表示する。
【0061】
図9は、第1の実施形態に係る導出機能134cによって表示される乳房BのMIP画像312の一例を示す図である。例えば、図9に示すように、導出機能134cは、三次元画像データをY軸方向に投影したMIP画像312を生成する。ここで、生成されるMIP画像312には、乳房Bに生じている石灰化の分布が描出される。
【0062】
なお、導出機能134cによって生成されるMIP画像312は、Z軸方向に投影したものであってもよいし、X軸方向に投影したものであってもよい。例えば、導出機能134cは、導出した穿刺経路の方向に応じて、穿刺経路が把握しやすくなる投影方向で、MIP画像312を生成する。
【0063】
そして、例えば、図8に示すように、導出機能134cは、生成したMIP画像312に重畳させて、穿刺針230の形状を模したグラフィック311を表示する。このとき、導出機能134cは、三次元座標に基づいて、導出した穿刺経路及び穿刺深さの位置が示されるように、グラフィック311をMIP画像312と位置合わせして表示する。
【0064】
ここで、例えば、導出機能134cは、穿刺経路及び穿刺深さを示すグラフィック311に加えて、アダプタ支持台210の位置を示すグラフィック313や、アダプタ圧迫板220の位置を示すグラフィック314、セーフティディスタンスを示すグラフィック315をさらにMIP画像312に重畳させて表示してもよい。このとき、導出機能134cは、三次元座標に基づいて、各グラフィックをMIP画像312と位置合わせして表示する。
【0065】
なお、導出機能134cは、MIP画像312を表示する代わりに、三次元画像データから生成したスライス画像を表示してもよい。その場合には、例えば、導出機能134cは、導出した穿刺経路が通る位置のスライス画像を生成して表示する。
【0066】
また、導出機能134cは、穿刺経路、及び、石灰化の分布の範囲に基づいて、穿刺針230の太さを推定する。
【0067】
具体的には、導出機能134cは、三次元画像データから検出された石灰化の分布に基づいて、導出した穿刺経路で穿刺を行う場合に適した穿刺針230の太さを推定する。例えば、導出機能134cは、穿刺経路と直交する方向における石灰化の分布の範囲の大きさに基づいて、予め記憶回路133に記憶されている複数の穿刺針230の太さの中から、適切な太さを選択する。
【0068】
この場合には、例えば、穿刺経路と直交する方向における石灰化の分布の範囲の大きさについて、予め複数の閾値を段階的に設定し、閾値ごとに、適切な太さの穿刺針230を対応付けておく。そして、導出機能134cは、穿刺経路と直交する方向における石灰化の分布の範囲の大きさと各閾値とを比較することで、複数の穿刺針230の中から適切な太さの穿刺針230を選択する。
【0069】
そして、例えば、図8に示すように、導出機能134cは、穿刺針230に関する情報を表示するための領域320に、複数の穿刺針230を示す情報を表示し、さらに、その中で、選択した穿刺針230を示す情報320aを識別可能に表示する。これにより、操作者に対して、予め用意された穿刺針230の中から、導出された穿刺経路で穿刺を行う場合に推奨される穿刺針230を提示することができるようになる。
【0070】
その後、導出機能134cは、表示した複数の穿刺針230の中からいずれか一つの穿刺針230を選択する操作を操作者から受け付ける。なお、このとき、例えば、導出機能134cは、操作者によって選択された穿刺針230の太さに応じて、穿刺経路及び穿刺深さを示すグラフィック311の太さを動的に変更してもよい。
【0071】
さらに、導出機能134cは、穿刺針230によって検体が採取される領域を予測し、当該領域の位置及び大きさを示す情報を穿刺経路と関連付けて表示する。
【0072】
例えば、図8に示すように、導出機能134cは、穿刺経路及び穿刺深さを示すグラフィック311に重畳させて、穿刺針230によって検体が採取される領域の範囲を示すグラフィック316を表示する。この場合には、例えば、複数の穿刺針230について、それぞれによって検体が採取される領域の位置及び大きさを示す情報を予め記憶回路133に記憶させておく。そして、導出機能134cは、推定した太さの穿刺針230、又は、操作者によって選択された穿刺針230について、記憶回路133を参照して、対応する領域の位置及び大きさを取得し、グラフィック311を表示させる際の位置及び大きさを決定する。
【0073】
ここで、例えば、導出機能134cは、穿刺で用いられる穿刺針230が最終的に決定された時点で、当該穿刺針230に関する領域の情報を表示する。または、例えば、導出機能134cは、操作者によって穿刺針230が選択されるたびに、選択された穿刺針230に関する領域の情報を動的に表示してもよい。
【0074】
そして、導出機能134cは、操作者から受け付けた操作に応じて、穿刺経路を修正する。
【0075】
例えば、導出機能134cは、操作画面300を介して、穿刺経路及び穿刺深さを示すグラフィック311の位置を変更する操作を操作者から受け付け、受け付けた操作に応じて、設定済みの穿刺経路を修正する。これにより、操作者が、穿刺経路及び穿刺深さを適宜に調整することが可能になる。
【0076】
制御機能134dは、導出機能134cによって導出された穿刺経路に基づいて、穿刺アダプタ200を制御する。
【0077】
具体的には、制御機能134dは、操作画面300を介して、穿刺を実行する指示を操作者から受け付ける。そして、制御機能134dは、穿刺を実行する指示を操作者から受け付けた場合には、その時点で設定されている穿刺経路(導出機能134cによって導出された穿刺経路、又は、操作者によって修正された穿刺経路)に基づいて、当該穿刺経路で穿刺を行うように穿刺アダプタ200を制御する。このとき、例えば、制御機能134dは、穿刺経路の位置や方向を示す情報を穿刺アダプタ200に入力することによって、穿刺アダプタ200を制御する。
【0078】
以上、処理回路134が有する各処理機能について説明した。ここで、図1に示す例では、処理回路134が有する処理機能がそれぞれ単一の処理回路によって実現されることとしたが、実施形態はこれに限られない。処理回路134が有する処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0079】
また、処理回路134が有する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路133に記憶される。処理回路134は、各プログラムを記憶回路133から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路134は、図1に示した各処理機能を有することとなる。
【0080】
図10は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置100による穿刺支援の処理手順を示すフローチャートである。例えば、図10に示すように、本実施形態では、まず、収集機能134aが、被検者の乳房Bの三次元画像データを収集する(ステップS101)。ここで、ステップS101は、例えば、処理回路134が収集機能134aに対応する所定のプログラムを記憶回路133から読み出して実行することにより実現される。
【0081】
続いて、検出機能134bが、収集機能134aによって収集された三次元画像データから石灰化を検出する(ステップS102)。ここで、ステップS102は、例えば、処理回路134が検出機能134bに対応する所定のプログラムを記憶回路133から読み出して実行することにより実現される。
【0082】
続いて、導出機能134cが、検出機能134bによって検出された石灰化の三次元的な分布の直線性を解析し(ステップS103)、穿刺経路及び穿刺深さを導出する(ステップS104)。その後、導出機能134cは、穿刺経路に関する情報をディスプレイ132に表示する(ステップS105)。ここで、ステップS103〜S105は、例えば、処理回路134が導出機能134cに対応する所定のプログラムを記憶回路133から読み出して実行することにより実現される。
【0083】
そして、制御機能134dが、穿刺を実行する指示を操作者から受け付けた場合に(ステップS106,Yes)、その時点で設定されている穿刺経路で穿刺が行われるように、穿刺アダプタ200を制御する(ステップS107)。ここで、ステップS106及びS107は、例えば、処理回路134が制御機能134dに対応する所定のプログラムを記憶回路133から読み出して実行することにより実現される。
【0084】
上述したように、本実施形態では、石灰化の三次元的な分布の直線性を解析した解析結果に基づいて、乳房に穿刺針を刺入する穿刺経路が導出されるので、より多くの石灰化を含むように、穿刺経路を設定することができる。したがって、本実施形態によれば、より確実に病変部を含む検体を採取することができるようになる。また、この結果、再生検を減らすことが可能になる。
【0085】
なお、上述した第1の実施形態は、処理回路134が有する各処理機能の一部を適宜に変更して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した第1の実施形態に係る変形例を他の実施形態として説明する。
【0086】
(第2の実施形態)
例えば、上述した実施形態では、導出機能134cが一つの穿刺経路を導出する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0087】
前述したように、乳房Bの穿刺を行う際の穿刺の方向(穿刺針230を刺入する方向)としては、乳房Bに対して、上側から下側へ向かう方向、右側から左側へ向かう方向、左側から右側へ向かう方向、前側から奥側へ向かう方向があり得る。そこで、例えば、第2の実施形態として、導出機能134cは、これらの複数の方向それぞれについて、穿刺経路を導出してもよい。
【0088】
この場合には、例えば、導出機能134cは、乳房Bに対して上側から下側へ向かう方向については、石灰化の分布から導出された回帰直線に最も近く、かつ、重心Gを通り、かつ、アクセス孔220aを通る経路を穿刺経路として導出する。また、例えば、導出機能134cは、乳房Bに対して右側から左側へ向かう方向については、石灰化の分布から導出された回帰直線に最も近く、かつ、重心Gを通り、かつ、乳房Bに対して右側からアクセスする経路を穿刺経路として導出する。また、例えば、導出機能134cは、乳房Bに対して左側から右側へ向かう方向については、石灰化の分布から導出された回帰直線に最も近く、かつ、重心Gを通り、かつ、乳房Bに対して左側からアクセスする経路を穿刺経路として導出する。また、例えば、導出機能134cは、乳房Bに対して前側から奥側へ向かう方向については、石灰化の分布から導出された回帰直線に最も近く、かつ、重心Gを通り、かつ、乳房Bに対して前側からアクセスする経路を穿刺経路として導出する。なお、本実施形態でも、導出機能134cは、第1の実施形態と同様に、穿刺の方向に応じて、装置上や検査上の制限を考慮して、穿刺経路や穿刺深さを導出する。
【0089】
また、導出機能134cは、導出した複数の穿刺経路それぞれについて、穿刺経路に関する情報を表示するための領域310に、穿刺経路及び穿刺深さを示すグラフィック311を表示する。ここで、導出機能134cは、複数のグラフィック311を同時に表示してもよいし、操作者による操作に応じて切り替えて表示してもよい。そして、導出機能134cは、表示した複数の穿刺経路の中から一つの穿刺経路を選択する操作を操作者から受け付け、選択された穿刺経路を、穿刺アダプタ200に入力する穿刺経路として設定する。
【0090】
なお、例えば、導出機能134cは、予め、穿刺を行う方向を指定する操作を操作者から受け付けるようにしてもよい。その場合には、導出機能134cは、操作者から受け付けた穿刺の方向について、穿刺経路を導出する。さらに、例えば、導出機能134cは、穿刺を行う方向の指定を省略できるようにしてもよい。その場合には、導出機能134cは、操作者から穿刺の方向が指定された場合には、指定された方向について穿刺経路を導出し、操作者から穿刺の方向が指定されなかった場合には、複数の方向について穿刺経路を導出する。
【0091】
前述したように、穿刺が行われる際の被検者の姿勢としては、座位や側臥位、腹臥位等があり得るが、被検者の姿勢によって、穿刺針230を刺入しやすい穿刺経路は異なると考えられる。これについて、本実施形態によれば、導出機能134cが、複数の方向について穿刺経路を導出することによって、被検者の姿勢等に応じて、より適切な穿刺経路を設定できるようになる。
【0092】
(第3の実施形態)
また、上述した第1の実施形態では、導出機能134cが、石灰化の三次元的な分布の重心の位置、及び、穿刺針230における開口部230aの位置に基づいて、穿刺針230を刺入する穿刺深さを導出する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0093】
例えば、第3の実施形態として、導出機能134cは、乳房Bに対して関心領域を指定する操作を操作者から受け付け、当該関心領域の位置、及び、穿刺針230における開口部230aの位置に基づいて、穿刺針230を刺入する穿刺深さを導出してもよい。
【0094】
この場合には、例えば、導出機能134cは、穿刺針230が有する開口部230aの軸方向における中心の位置と、操作者によって指定された関心領域の中心点の位置とが一致するように、穿刺針230の穿刺深さを導出する。なお、本実施形態でも、導出機能134cは、第1の実施形態と同様に、穿刺の方向に応じて、装置上や検査上の制限を考慮して、穿刺経路及び穿刺深さを導出する。
【0095】
なお、本実施形態では、導出機能134cは、石灰化の分布の重心Gを導出しなくてもよいし、第1の実施形態と同様に導出してもよい。石灰化の分布の重心Gを導出する場合には、導出機能134cは、まず、第1の実施形態と同様に、導出した重心Gに基づいて穿刺経路及び穿刺深さを導出する。その後、導出機能134cは、導出した重心Gを関心領域として、当該関心領域の位置を変更する操作を操作者から受け付ける。そして、導出機能134cは、関心領域の位置が変更された場合には、変更後の関心領域の位置に基づいて、穿刺経路及び穿刺深さを導出し直す。
【0096】
(第4の実施形態)
また、上述した第1の実施形態では、導出機能134cが、穿刺経路に関する情報をコンソール装置130のディスプレイ132に表示する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。
【0097】
例えば、第4の実施形態として、穿刺アダプタ200がディスプレイを有していてもよい。この場合には、導出機能134cは、穿刺経路に関する情報を穿刺アダプタ200のディスプレイに表示してもよい。このように、穿刺経路に関する情報を穿刺アダプタ200のディスプレイに表示することによって、操作者が、乳房Bにより近い位置で穿刺経路を確認できるようになり、乳房Bと穿刺経路との位置関係をより容易に把握できるようになる。
【0098】
なお、上述した実施形態において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路133にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0099】
なお、プロセッサによって実行されるプログラムは、例えば、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)−ROM、FD(Flexible Disk)、CD−R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、後述する各機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0100】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、より確実に病変部を含む検体を採取することができる。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0102】
100 マンモグラフィ装置
130 コンソール装置
134 処理回路
134a 収集機能
134b 検出機能
134c 導出機能
134d 制御機能
200 穿刺アダプタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10