(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937186
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】マルチロードセル式台秤およびマルチロードセル式台秤の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01G 23/01 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-153746(P2017-153746)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-32248(P2019-32248A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大崎 真治
(72)【発明者】
【氏名】大前 峰雄
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−073475(JP,A)
【文献】
特開2006−338552(JP,A)
【文献】
特開平08−178737(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/115666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 23/00−23/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロードセルユニットとこれらのロードセルユニットにより支持される載台とを有する秤本体と、
この秤本体に接続される指示計と、
を備えたマルチロードセル式台秤であって、
前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具は、載台と複数のロードセルユニットとを組み込んだ状態で生じる秤本体の個体差を補正するための秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶領域を備え、
前記秤本体調整データ記憶領域は、前記秤本体がクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に接続された際に前記秤本体において作成された前記秤本体調整データを記憶可能に構成されていること
を特徴とするマルチロードセル式台秤。
【請求項2】
前記秤本体調整データ記憶領域が、指示計にも設けられ、
前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具には、前記秤本体調整データを指示計の前記秤本体調整データ記憶領域に複写する複写部を有すること
を特徴とする請求項1に記載のマルチロードセル式台秤。
【請求項3】
指示計には操作入力部が設けられ、
指示計の操作入力部への操作により、秤本体調整データを修正可能に構成し、
前記複写部は、修正した秤本体調整データである修正秤本体調整データを指示計から秤本体に複写して記憶させる機能も有すること
を特徴とする請求項2に記載のマルチロードセル式台秤。
【請求項4】
秤本体と指示計とが接続された際、秤本体で記憶している秤本体調整データと指示計で記憶している登録済みの秤本体調整データとが異なっている場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体と指示計との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うこと
を特徴とする請求項3に記載のマルチロードセル式台秤。
【請求項5】
秤本体に搭載されている複数のロードセルユニットの各識別情報が指示計に複写可能に構成され、
秤本体と指示計とが接続された際、指示計で記憶している複数のロードセルユニットの各識別情報が秤本体の複数のロードセルユニットに対応していない場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体と指示計との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うこと
を特徴とする請求項3または4に記載のマルチロードセル式台秤。
【請求項6】
組み合わせ不正警告が行われた場合に、指示計の操作により、確認して秤本体調整データまたは修正秤本体調整データを指示計に複写して指示計の秤本体調整データまたは修正秤本体調整データを更新可能とされていること
を特徴とする請求項4または5に記載のマルチロードセル式台秤。
【請求項7】
秤本体に秤本体調整データ記憶領域が設けられ、
この秤本体調整データ記憶領域に記憶されている秤本体調整データを使用して、指示計で測定結果として表示する測定結果データを算出して出力する処理装置が、秤本体に設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のマルチロードセル式台秤。
【請求項8】
複数のロードセルユニットとこれらのロードセルユニットにより支持される載台とを有する秤本体と、この秤本体に接続される指示計と、を備えるマルチロードセル式台秤の製造方法であって、
複数のロードセルユニットにより載台を支持する状態に組み付けて秤本体を組み立てる秤本体組立工程と、
組み立てられた秤本体を指示計に接続せずにクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に接続した状態で、載台と複数のロードセルユニットとを組み込んだ状態で生じる秤本体の個体差を補正するための調整作業を行い、この調整作業で得た秤本体調整データを、前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に設けられた記憶手段に記憶する調整・記憶工程と、
調整・記憶工程を行った秤本体を指示計に接続して組み合わせる組合せ工程と、
を有する
マルチロードセル式台秤の製造方法。
【請求項9】
前記組合せ工程で秤本体を指示計に接続した際に、前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に設けられた記憶手段に記憶した秤本体調整データを指示計に複写すること
を特徴とする請求項8に記載のマルチロードセル式台秤の製造方法。
【請求項10】
指示計に設けられている操作入力部を操作して指示計に記憶されている秤本体調整データを修正し、前記操作入力部を操作して、修正した秤本体調整データである修正秤本体調整データを指示計から秤本体に複写して記憶させる
請求項9に記載のマルチロードセル式台秤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチロードセル式台秤およびマルチロードセル式台秤の製造方法に関する。
【0002】
特許文献1などに開示されているように、複数のロードセルユニットにより載台を支持するマルチロードセル式台秤はすでに知られている。
図10に示すように、このマルチロードセル式台秤は、複数のロードセルユニット101(例えば、4つのロードセルユニット101A〜101D)とこれらのロードセルユニット101(101A〜101D)により支持される1つの載台120とを有する秤本体110と、この秤本体110に接続される指示計150とを備えている。
【0003】
各ロードセルユニット101は、ストレインゲージが張り付けられた起歪体102と、前記ストレインゲージをブリッジ接続したブリッジ回路およびアンプなどからなる歪出力回路103と、この歪出力回路103からのアナログ出力をデジタル変換するA/D変換器104と、出力値補正用の温度センサ105と、当該ロードセルユニット101単体のデータを処理するとともに記憶部106aに記憶するロードセルCPU(ロードセル中央処理装置)106と、通信線140を介して指示計150と通信する通信部107などを有している。なお、各ロードセルCPU106の記憶部106aには、ロードセルユニット101単体の出力の値の偏差や起歪体102の構造などに起因するロードセルユニット101単体の個体差をなくすための調整データ(ロードセルユニット調整データ)がロードセルユニット調整データ記憶領域106aaに記憶されている。
【0004】
また、指示計150は、各ロードセルユニット101と通信する通信部151と、台秤全体のデータを処理するとともに記憶部155に記憶する主CPU(主中央処理装置)152と、表示部153と、操作入力部154などを有している。なお、主CPU152の記憶部155には、秤本体110の個体差(複数のロードセルユニット101(101A〜101D)により載台120を支持した状態での複数のロードセルユニット101(101A〜101D)間の出力値の差および秤本体110の構造に起因する秤本体110の個体差)がなくなるように補正するための秤本体調整データ(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの補正用データ)が、記憶部155に設けられた秤本体調整データ記憶領域155aに記憶されている。
【0005】
従来、この種のマルチロードセル式台秤は、以下のような手順で、製造部などにおいて組み立てて在庫している。すなわち、
図11に示すように、複数のロードセルユニット101(101A〜101D)により載台120を支持する状態に組み付けて秤本体110を組み立てる(S101)とともに、並行して、指示計150を組み立てて(S102)おく。この秤本体110や指示計150は複数種類のものがあり、秤本体110に対して、複数種類の指示計150の中から選択して指示計150が接続可能とされているため、秤本体110と指示計150とのそれぞれを、互いに接続していない状態で生産箇所などにおいて在庫(S103、S104)として保持している。
【0006】
そして、客先から注文を受けた受注段階(S105)で、注文を受けた機種の秤本体110と、注文を受けた機種の指示計150とを接続する(組み合わせる:S106)とともに、この後、載台120に複数の規定重量の分銅を載せ替える(複数の載置場所で順次載せ替える)などして、秤本体110の個体差がなくなるように補正するための秤本体調整データ(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの補正用データ)を得て、この秤本体調整データを指示計150の主CPU(中央処理装置)152に設けられている記憶部155の秤本体調整データ記憶領域155aに記憶させることで調整・記憶作業(S107)を終え、梱包(S108)、出荷(S109)している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−43183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のマルチロードセル式台秤では、
図11に示すように、客先から注文を受けた(S105)後に、注文を受けた機種の秤本体110と、注文を受けた機種の指示計150とを接続する(組み合わせる:S106)とともに、この後、載台120に複数の規定重量の分銅を載せ替える(複数の載置場所で順次載せ替える)などして、調整・記憶作業(S107)を行わなければならないため、受注してから出荷するまでの期間が長くなる。また、指示計150の調達が遅れた場合には、調整作業(S107)自体を行えない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するもので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができるマルチロードセル式台秤およびマルチロードセル式台秤の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明のマルチロードセル式台秤は、複数のロードセルユニットとこれらのロードセルユニットにより支持される載台とを有する秤本体と、この秤本体に接続される指示計と、を備えたマルチロードセル式台秤であって、
前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具は、載台と複数のロードセルユニットとを組み込んだ状態で生じる秤本体の個体差を補正するための秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶領域
を備え、前記秤本体調整データ記憶領域は、前記秤本体がクラウドサーバーまたは
前記指示計以外の治具
に接続された際に前記秤本体において作成された前記秤本体調整データを記憶可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、秤本体調整データ記憶領域が、前記秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に設けられているので、秤本体を、指示計に接続しなくても、前もって秤本体の調整・記憶作業(複数のロードセルユニットにより載台を支持した状態での複数のロードセルユニット間の出力値の差および秤本体の構造に起因する秤本体の個体差がなくなるように補正するための調整作業)を行って、秤本体の個体差がなくなるように補正するための調整データを秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に記憶させることができる。この結果、従来受注後に行っていた、分銅を載せ替えるなどして行う前記調整・記憶作業を、受注後に行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【0012】
また、この場合に、前記秤本体調整データ記憶領域を、指示計にも設け、
前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具には、前記秤本体調整データを指示計
の前記秤本体調整データ記憶領域に複写する複写部を有すると好適である。
【0013】
この構成によれば、秤本体に初めて指示計を接続する場合や指示計を交換する場合の何れの場合でも、指示計を秤本体に接続して、秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に記憶されている調整データを指示計に複写することで、秤本体の個体差に対応しているマルチロードセル式台秤として組み上げることが可能となる。また、前記複写部による複写機能を備えることで、接続する指示計として、調整データを指示計に設けられている記憶部に記憶させて処理する従来型の指示計を用いることも可能となる。
【0014】
また、指示計に操作入力部を設け、指示計の操作入力部への操作により、当該マルチロードセル式台秤の設置姿勢や設置環境に応じて調整データを修正可能に構成し、前記複写部は、修正した調整データである修正調整データを指示計から秤本体に複写して記憶させる機能も有するよう構成してもよい。
【0015】
この構成によれば、当該マルチロードセル式台秤を測定する現場に設置した後に、その設置姿勢や設置環境に応じて調整データ(調整データに対応するデータも含む)を修正した場合などに、この修正調整データを秤本体に複写して記憶させることができる。したがって、客先で指示計を交換する場合に、交換した指示計に、秤本体に記憶させた修正調整データを複写して記憶させることにより、マルチロードセル式台秤をその設置姿勢や設置環境に容易かつ迅速に対応させることができる。
【0016】
また、秤本体と指示計とが接続された際、秤本体で記憶している調整データと指示計で記憶している登録済みの調整データとが異なっている場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体と指示計との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うよう構成してもよい。この構成により、秤本体に、組み合わせが正しくない指示計を接続すると組み合わせ不正警告が発せられるため、組み合わせが正しくない指示計を接続してマルチロードセル式台秤としての精度が低下することを防止することができる。
【0017】
また、秤本体に搭載されている複数のロードセルユニットの各識別情報を指示計に複写可能に構成し、秤本体と指示計とが接続された際、指示計で記憶している複数のロードセルユニットの各識別情報が秤本体の複数のロードセルユニットに対応していない場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体と指示計との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うよう構成してもよい。この構成によっても、秤本体に、組み合わせが正しくない指示計を接続すると組み合わせ不正警告が発せられるため、組み合わせが正しくない指示計を接続してマルチロードセル式台秤としての精度が低下することを防止することができる。
【0018】
また、組み合わせ不正警告が行われた場合に、指示計の操作により、確認して秤本体の調整データまたは修正調整データを指示計に複写して指示計の調整データまたは修正調整データを更新可能としてもよく、この構成によれば、指示計を交換する場合に、新たな指示計を接続した際に、今まで接続していた指示計とは異なっていることを組み合わせ不正警告により認識しながら、新たな指示計に調整データや修正調整データを複写して更新することができる。
【0019】
また、秤本体に、秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶領域が設けられているとともに、秤本体に、秤本体調整データを使用して演算し、指示計で測定結果として表示する質量値のデータに対応する補正済データを出力する演算出力機能を有する処理装置が設けられていてもよい。
【0020】
また、本発明のマルチロードセル式台秤の製造方法は、複数のロードセルユニットとこれらのロードセルユニットにより支持される載台とを有する秤本体と、この秤本体に接続される指示計と、を備えるマルチロードセル式台秤の製造方法であって、複数のロードセルユニットにより載台を支持する状態に組み付けて秤本体を組み立てる秤本体組立工程と、組み立てられた秤本体を指示計に接続
せずにクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に接続した状態で、載台と複数のロードセルユニットとを組み込んだ状態で生じる秤本体の個体差を補正するための調整作業を行い、この調整作業で得た秤本体調整データを、
前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に設けられた記憶手段に記憶する調整・記憶工程と、調整・記憶工程を行った秤本体を指示計に接続して組み合わせる組合せ工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
この製造方法によれば、秤本体を、指示計に接続しなくても、前もって調整作業(複数のロードセルユニットにより載台を支持した状態での複数のロードセルユニット間の出力値の差および秤本体の構造に起因する秤本体の個体差がなくなるように補正するための調整作業)を行って、秤本体の個体差がなくなるように補正するための調整データを秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に記憶させることができる。この結果、従来受注後に行っていた、分銅を載せ替えるなどして行う前記調整作業を、受注後に行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【0022】
また、本発明のマルチロードセル式台秤の製造方法は、前記組合せ工程で秤本体を指示計に接続した際に、
前記秤本体またはクラウドサーバーまたは前記指示計以外の治具に設けられた記憶手段に記憶した秤本体調整データを指示計に複写することを特徴とする。
【0023】
この製造方法によれば、秤本体に初めて指示計を接続する場合や指示計を交換する場合の何れの場合でも、指示計を秤本体に接続して、秤本体またはクラウドサーバーに記憶されている調整データを指示計に複写することで、秤本体の個体差に対応しているマルチロードセル式台秤として組み上げることが可能となる。また、接続する指示計として、調整データを指示計に設けられている記憶部に記憶させて処理する従来型の指示計を用いることも可能となる。
【0024】
また、本発明のマルチロードセル式台秤の製造方法は、指示計に設けられている操作入力部を操作して指示計に記憶されている調整データを修正し、前記操作入力部を操作して、修正した調整データである修正調整データを指示計から秤本体に複写して記憶させることを特徴とする。
【0025】
この製造方法によれば、客先で指示計を交換する場合に、交換した指示計に、秤本体に記憶させた修正調整データを複写して記憶させることにより、マルチロードセル式台秤をその設置姿勢や設置環境に容易かつ迅速に対応させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数のロードセルユニットにより載台を支持する秤本体と、この秤本体に接続される指示計と、を備えたマルチロードセル式台秤において、載台と複数のロードセルユニットとを組み込んだ状態で生じる秤本体の個体差を補正するための調整データを記憶する調整データ記憶領域を、秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に設けることにより、秤本体を、指示計に接続しなくても、前もって調整作業を行って、秤本体の個体差がなくなるように補正するための調整データを秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に記憶させることができるので、従来受注後に行っていた、分銅を載せ替えるなどして行う前記調整作業を、受注後に行わなくても済み、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【0027】
また、前記調整データ記憶領域を指示計にも設け、指示計または秤本体に、秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に記憶されている調整データを指示計に複写する複写部を有するように構成することで、秤本体に初めて指示計を接続する場合や指示計を交換する場合の何れの場合でも、秤本体の個体差に対応しているマルチロードセル式台秤を容易かつ迅速に組み上げることができる。特に、従来の手法では、指示計を交換する場合には、調整作業を再度行わなければならなかったが、この構成によれば、前記調整作業を再度行わなくても済む。また、前記複写部による複写機能を備えることで、接続する指示計として、秤本体調整データを指示計に設けられている記憶部に記憶させて処理する従来型の指示計を用いることも可能となる。
【0028】
また、指示計の操作入力部への操作により、当該マルチロードセル式台秤の設置姿勢や設置環境に応じて秤本体調整データを修正可能に構成し、前記複写部は、修正した秤本体調整データである修正調整データを指示計から秤本体に複写して記憶させる機能も有するよう構成することで、客先で指示計を交換する場合でも、交換した指示計に、秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に記憶させた修正調整データを複写して記憶させることにより、マルチロードセル式台秤をその設置姿勢や設置環境に容易かつ迅速に対応させることができる。
【0029】
また、秤本体と指示計とが接続された際、秤本体で記憶している調整データと指示計で記憶している登録済みの調整データとが異なっている場合や、秤本体と指示計とが接続された際、指示計で記憶している複数のロードセルユニットの各識別情報が秤本体の複数のロードセルユニットに対応していない場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体と指示計との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うよう構成することで、秤本体に、組み合わせが正しくない指示計を接続すると組み合わせ不正警告が発せられるため、組み合わせが正しくない指示計を接続してマルチロードセル式台秤としての精度が低下することを防止することができて、マルチロードセル式台秤の信頼性が向上する。
【0030】
また、組み合わせ不正警告が行われた場合に、指示計の操作により、確認して秤本体の調整データまたは修正調整データを指示計に複写して指示計の秤本体調整データまたは修正秤本体調整データを更新可能とすることにより、指示計を交換する場合に、新たな指示計を接続した際に、今まで接続していた指示計とは異なっていることを組み合わせ不正警告により認識しながら、新たな指示計に秤本体調整データや修正秤本体調整データを複写して更新することができ、マルチロードセル式台秤の信頼性をさらに向上させることができる。
【0031】
また、秤本体に、秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶領域が設けられているとともに、秤本体に、秤本体調整データを使用して演算し、指示計で測定結果として表示する質量値のデータに対応する補正済データを出力する演算出力機能を有する処理装置が設けられていてもよい。
【0032】
また、マルチロードセル式台秤の製造方法として、複数のロードセルユニットにより載台を支持する状態に組み付けて秤本体を組み立てる秤本体組立工程と、組み立てられた秤本体を指示計に接続しない状態で、載台を支持する複数のロードセルユニット間の個体差に起因する秤本体の個体差を補正するための調整作業を行い、この調整作業で得た調整データを、秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に設けられた記憶手段に記憶する調整・記憶工程と、調整・記憶工程を行った秤本体を指示計に接続して組み合わせる組合せ工程と、を有することにより、従来受注後に行っていた、分銅を載せ替えるなどして行う前記調整・記憶作業を、受注後に行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【0033】
また、マルチロードセル式台秤の製造方法として、さらに、前記組合せ工程で秤本体を指示計に接続した際に、秤本体またはクラウドサーバーまたは指示計以外の治具に設けられた記憶手段に記憶した調整データを指示計に複写することにより、秤本体に初めて指示計を接続する場合や指示計を交換する場合の何れの場合でも、秤本体の個体差に対応しているマルチロードセル式台秤として組み上げることが可能となる。また、接続する指示計として、調整データを指示計に設けられている記憶部に記憶させて処理する従来型の指示計を用いることも可能となる。
【0034】
また、マルチロードセル式台秤の製造方法として、さらに、指示計に設けられている操作入力部を操作して指示計に記憶されている調整データを修正し、前記操作入力部を操作して、修正した調整データである修正調整データを指示計から秤本体に複写して記憶させることにより、当該マルチロードセル式台秤を測定する現場に設置した後に、その設置姿勢や設置環境に応じて調整データ(調整データに対応するデータも含む)を修正した場合などに、この修正調整データを秤本体に複写して記憶させることができる。したがって、客先で指示計を交換する場合に、交換した指示計に、秤本体に記憶させた修正調整データを複写して記憶させることにより、マルチロードセル式台秤をその設置姿勢や設置環境に容易かつ迅速に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施の形態に係るマルチロードセル式台秤のブロック図である。
【
図2】同マルチロードセル式台秤の製造工程を示す図である。
【
図3】同マルチロードセル式台秤の秤本体に治具を接続した状態を示すブロック図である。
【
図4】同マルチロードセル式台秤の指示計を交換する手順を示す図である。
【
図5】従来のマルチロードセル式台秤の指示計を交換する手順を示す図である。
【
図6】同マルチロードセル式台秤の指示計に治具を接続した状態を示すブロック図である。
【
図7】同マルチロードセル式台秤の指示計にクラウドサーバーを接続した状態を示すブロック図である。
【
図8】同マルチロードセル式台秤の変形例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態に係るマルチロードセル式台秤のブロック図である。
【
図10】従来のマルチロードセル式台秤のブロック図である。
【
図11】同従来のマルチロードセル式台秤の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態に係るマルチロードセル式台秤およびその製造方法を、図面に基づき説明する。
図1に簡略的に示すように、本発明の実施の形態に係るマルチロードセル式台秤は、複数のロードセルユニット10(例えば、4つのロードセルユニット10A〜10D)とこれらのロードセルユニット10(10A〜10D)により支持される1つの載台20とを有する秤本体30と、この秤本体30に接続される指示計50とを備えている。
【0037】
各ロードセルユニット10は、ストレインゲージが張り付けられた起歪体12と、前記ストレインゲージをブリッジ接続したブリッジ回路およびアンプなどからなる歪出力回路13と、この歪出力回路13からのアナログ出力をデジタル変換するA/D変換器14と、出力地補正用の温度センサ15と、記憶部16aなどを有し当該ロードセルユニット10単体のデータを処理するとともに記憶するロードセルCPU(ロードセル中央処理装置)16と、通信線40を介して指示計50と通信する通信部17などを有している。
【0038】
ここで、各ロードセルCPU16の記憶部16aには、ロードセルユニット10(10A〜10D)単体の出力の値の偏差や起歪体12の構造などに起因するロードセルユニット10単体の個体差をなくすためのロードセルユニット調整データがロードセルユニット調整データ記憶領域16aaに記憶されているが、これに加えて、各ロードセルCPU16の記憶部16aには、秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶領域16abが設けられている。
【0039】
すなわち、載台20と複数のロードセルユニット10(10A〜10D)とを組み込んだ状態で生じる秤本体30の個体差(複数のロードセルユニット10(10A〜10D)により載台20を支持した状態での複数のロードセルユニット10(10A〜10D)間の出力値の差および秤本体110の構造に起因する秤本体30の個体差)がなくなるように補正するための秤本体調整データ(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの補正用データ)を記憶する領域が、各ロードセルユニット10(10A〜10D)の記憶部16aに設けられており、この秤本体調整データ記憶領域16abに秤本体調整データを記憶可能とされている。
【0040】
また、指示計50は、各ロードセルユニット10と通信する通信部51と、台秤全体のデータを処理するとともに記憶部55に記憶する主CPU(主中央処理装置)52と、表示部53と、操作入力部54などを有している。なお、主CPU52の記憶部55にも、秤本体30の個体差(複数のロードセルユニット10(10A〜10D)により載台20を支持した状態での複数のロードセルユニット10(10A〜10D)間の出力値の差および秤本体30の構造に起因する秤本体30の個体差)がなくなるように補正するための前記秤本体調整データ(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの補正用データ)を記憶する秤本体調整データ記憶領域55aが設けられている。
【0041】
また、指示計50の主CPU52には、指示計50が秤本体30に接続された際に、ロードセルユニット10の記憶部16に記憶されたデータを当該主CPU52の記憶部55に複写したり、当該主CPU52の記憶部55に記憶されたデータをロードセルユニット10の記憶部16に複写したりすることができる複写部56が設けられている。
【0042】
次に、上記構成のマルチロードセル式台秤の製造方法(製造工程)について
図2を参照しながら説明する。まず、複数のロードセルユニット10(10A〜10D)により載台20を支持する状態に組み付けて秤本体30を組み立てる(S1:秤本体組立工程)とともに、並行して、指示計50を組み立てる(S2:指示計組立工程)。
【0043】
なお、図示しないが、この秤本体30の組立工程に先んじて、各ロードセルユニット10(10A〜10D)単体の組立作業(起歪体に歪出力回路13や、A/D変換器104、温度センサ105、ロードセルCPU(ロードセル中央処理装置)106などを組み付ける作業)が行われるとともに、ロードセルユニット10(10A〜10D)単体が組み上げた際に、予め、ロードセルユニット10(10A〜10D)単体の調整作業が行われる。そして、各ロードセルCPU106の記憶部16aに、ロードセルユニット10単体の出力の値の偏差や起歪体12の構造などに起因するロードセルユニット10単体の個体差をなくすための調整データ(ロードセルユニット調整データ)がロードセルユニット調整データ記憶領域16aaに記憶される。
【0044】
ここで、秤本体30や指示計50は複数種類のものがあり、秤本体30に対して、複数種類の指示計50の中から選択して指示計50が接続可能とされているため、指示計150については、秤本体30に接続していない状態で生産箇所などにおいて在庫(S4)として保持する。
【0045】
一方、秤本体30については、組み立てられた秤本体30を指示計50にまだ接続しない状態で、生産箇所などにおいて在庫(S5)として保持するが、このように、在庫(S5)として保持する前に、組み立てられた秤本体30を指示計50に接続しない状態で、載台20と複数のロードセルユニット10(10A〜10D)とを組み込んだ状態で生じる秤本体30の個体差を補正するための調整作業を行い、この調整作業で得た秤本体調整データを、秤本体に設けられた記憶手段に記憶する調整・記憶作業(調整・記憶工程S5)を行う。
【0046】
つまり、ロードセルユニット10(10A〜10D)単体を組み上げた後には、ロードセルユニット10単体の個体差をなくすためのロードセルユニット調整データがロードセルユニット調整データ記憶領域16aaに記憶され、ロードセルユニット10(10A〜10D)単体としてロードセルユニット10(10A〜10D)同士の出力差が出ないように調整される。しかし、これら複数のロードセルユニット10(10A〜10D)と載台20とを組み込んで、複数のロードセルユニット10(10A〜10D)により載台20を支持する状態に組み上げると、各ロードセルユニット10(10A〜10D)の秤本体30での組付状態や載台20に対する支持状態などが異なるとともに、秤本体30の構造に起因して、秤本体30の個体差が生じるため、この秤本体30の個体差がなくなるように補正する調整作業(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの調整作業)を行い、この調整作業で得た補正用データである秤本体調整データ(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの補正用データ)を、後述するように、調整・記憶用の治具60の秤本体調整データ記憶領域65aに記憶させ、この後、秤本体30の秤本体調整データ記憶領域16abに記憶させる。
【0047】
ここで、この調整・記憶作業を行う際には、
図3に示すように、秤本体30に、調整・記憶用の治具60(例えば、通信部61、操作入力部(キーボードなど)64や表示部63、CPU(中央処理装置)62、秤本体調整データ記憶領域65aを有する記憶部65、複写部66などを有するコンピュータなどの情報処理装置)が接続される。そして、載台20に複数の規定重量の分銅を載せ替える(複数の載置場所で順次載せ替える)などして、秤本体30の個体差がなくなるように補正する前記調整作業を行い、この調整作業で得た補正用データである秤本体調整データ(ゼロ点、スパン、四隅誤差、直線性誤差、ヒステリシスなどの補正用データ)を秤本体調整データ記憶領域16abに記憶させる。なお、調整・記憶作業が終わると、秤本体30から調整・記憶用の治具60が取り外され、秤本体30が単体で在庫(S5)として保持される。
【0048】
したがって、秤本体30が在庫(S5)として保持される際には、秤本体調整データが秤本体30に記憶されている状態で在庫する。なお、秤本体調整データは、各ロードセルユニット10(10A〜10D)のロードセルCPU16の記憶部16aに分けて記憶してもよいが、これに限るものではなく、特定のロードセルユニット10(10A〜10D)のロードセルCPU16の記憶部16aだけに設けてもよく、また、バックアップ用に、複数のロードセルユニット10(10A〜10D)のロードセルCPU16の記憶部16aに、同じ秤本体調整データを設けてもよい。また、秤本体調整データを、各ロードセルユニット10(10A〜10D)のロードセルCPU16の記憶部16aには記憶せず、秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶部(秤本体調整データ記憶領域)を別途に秤本体30内に設けて、この秤本体調整データ記憶部(秤本体調整データ記憶領域)に秤本体調整データを記憶させてもよい。
【0049】
この後、客先から注文を受けた受注段階(S6)で、注文を受けた機種の秤本体30と、注文を受けた機種の指示計50とを接続して組み合わせる(S7)。この際、指示計50の操作入力部64を操作するなどして、秤本体30に記憶されている秤本体調整データを指示計50の秤本体調整データ記憶領域55aに複写される(S8)。これにより、マルチロードセル式台秤として機能する完成製品が組み上げられ、この後、梱包(S9)、出荷(S10)される。
【0050】
この構成ならびに製造方法によれば、指示計50に秤本体調整データ記憶領域55aが設けられているだけでなく、秤本体30にも秤本体調整データ記憶領域16abが設けられているので、秤本体30を、指示計50に接続しなくても、前もって秤本体30の調整・記憶作業(複数のロードセルユニットにより載台を支持した状態での複数のロードセルユニット10(10A〜10D)間の出力値の差および秤本体30の構造に起因する秤本体の個体差がなくなるように補正するための調整作業)を行って、秤本体30の個体差がなくなるように補正するための調整データを秤本体30に記憶させることができる。この結果、従来受注後に行っていた、分銅を載せ替えるなどして行う調整・記憶作業S3を、受注後に行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【0051】
また、上記構成によれば、指示計50を交換する場合でも、
図4に示すように、交換した指示計50を秤本体30に接続して(S11)、秤本体30に記憶されている秤本体調整データを指示計50の秤本体調整データ記憶領域55aに複写する(S12)ことで、秤本体30の個体差に対応しているマルチロードセル式台秤を迅速に組み上げることが可能となる。なお、秤本体調整データを指示計50の秤本体調整データ記憶領域55aに複写した(S12)後には、指示計50が接続されたマルチロードセル式台秤が正常に機能するかどうか検査する(S13)ことが好ましい。
【0052】
すなわち、従来構成のマルチロードセル式台秤では、
図5、
図9に示すように、指示計150を交換する場合には、指示計150を交換した後に、載台120に複数の規定重量の分銅を載せ替える(複数の載置場所で順次載せ替える)などして、秤本体30の個体差がなくなるように補正する前記調整作業および秤本体調整データを指示計150の秤本体調整データ記憶領域155aに記憶させる作業が必要であった。あるいは、交換前の指示計150の操作入力部154を操作するなどして、補正データを表示部153に表示させるとともに、この補正データを人がメモするなどして記録し、この補正データを、交換した指示計150に操作入力部154を操作するなどして記憶部に記憶させる調整データ移植作業が必要であった。
【0053】
したがって、従来は、指示計150を交換する場合には、調整記憶作業が再度必要となったり、調整データ移植作業が必要となったりして、調整記憶作業を再度行う場合には多くの手間や時間が必要となり、また、調整データ移植作業を行う場合には、調整データや補正値を誤って入力したり、誤って消してしまったりするおそれがあり、信頼性が低下してしまう。これに対して、本発明の実施の形態によれば、調整記憶作業を再度行わなくても済むので、交換時の手間や時間を大幅に省くことができる。しかも、調整データや補正値を誤って入力したり、誤って消してしまったりすることがないので、良好な信頼性を維持することができる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、秤本体30と指示計50とが接続されていない出荷前の状態で、秤本体調整データを指示計150の秤本体調整データ記憶領域55aに記憶させる場合を述べたが、これに限るものではない。すなわち、秤本体30に秤本体調整データを記憶させずに(この場合には秤本体調整データ記憶領域16abを設けなくてもよい)、出荷する秤本体30と指示計50とが決まった場合に、秤本体30と指示計50とを接続する前に、
図6に示すように、前記した調整・記憶用の治具60を指示計50に接続し、予め調整・記憶用の治具60に記憶させた秤本体調整データを指示計50に複写させてもよい。なお、複写させる機能(複写部)は、指示計50と調整・記憶用の治具60との何れの側に設けてもよく、秤本体調整データを指示計50に複写できればよい。この構成によっても、秤本体30と指示計50とを接続した後に調整記憶作業を行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【0055】
また、これに代えて、
図7に示すように、秤本体調整データを第三者がアクセスできないクラウドサーバー70(クラウドサーバー70のCPU73の記憶部73に設けた秤本体調整データ記憶領域73a)に記憶させて、秤本体30と指示計50とを接続する前に、指示計50をクラウドサーバー70に接続し、予めクラウドサーバー70に記憶させた秤本体調整データを指示計50に複写させてもよい。この構成によっても、秤本体30と指示計50とを接続した後に調整記憶作業を行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。また、秤本体調整データがクラウドサーバー70に記憶されているので、記憶されているデータが消失することを最小限に抑えることができて、より信頼性が向上する。また、秤本体調整データがクラウドサーバー70に記憶されているので、秤本体30と指示計50とが異なる場所で在庫されていた場合でも、秤本体30と指示計50とを接続する前に、指示計50に、クラウドサーバー70に記憶されている秤本体調整データを複写させることも可能となる。
【0056】
また、前記治具60に前記複写機能を備えて、秤本体30に記憶した秤本体調整データを指示計50に複写することで、秤本体調整データを指示計150に設けられている記憶部155に記憶させて処理する従来型の指示計150を本構成の指示計50として用いることも可能となる。
【0057】
また、上記構成に加えて、指示計50の操作入力部54への操作により、秤本体調整データを修正可能に構成し、修正した秤本体調整データである修正秤本体調整データを指示計50から秤本体30の記憶部16aに複写して記憶させる機能も複写部56に有するように構成してもよい。すなわち、この場合には、
図8に示すように、指示計50の記憶部55および秤本体30の記憶部16aにおいて修正秤本体調整データを保持することが可能とされて(すなわち、修正秤本体調整データ記憶領域が設けられて)おり、修正秤本体調整データを指示計50の記憶部55から秤本体30の記憶部16aに複写して記憶させることができる。
【0058】
ここで、マルチロードセル式台秤は、秤本体30と指示計50とを組み合わせて製造した製造場所と、実際に製品を納品して実働させる現場とが、その設置姿勢や設置環境が異なるため、より高い精度を得るために、現場で載台20に複数の規定重量の分銅を載せ替えるなどして調整作業を行う場合がある。そして、この現場に適合した修正した秤本体調整データである修正秤本体調整データを指示計50の記憶部55に記憶することで、より精度の高い計量を行うことができるが、本実施の形態では、この修正秤本体調整データを指示計50の記憶部55から秤本体30の記憶部16aに複写して記憶させることができる。
【0059】
この構成ならびに方法によれば、客先で指示計50を交換する場合に、交換した指示計50に、秤本体30に記憶させた修正秤本体調整データを複写して記憶させることにより、分銅の載せ替えなどの調整作業を行うことなく、マルチロードセル式台秤をその設置姿勢や設置環境に容易かつ迅速に対応させることができて、指示計交換時の手間や時間を大幅に省くことができる。しかも、調整データや補正値を誤って入力したり、誤って消してしまったりすることがないので、良好な信頼性を維持することができる。
【0060】
なお、この際の複写機能は、指示計50に複写部56として設けると好適であるが、これに限るものではなく、治具60に複写部を設けるとともに、治具60を指示計50や秤本体30に接続して、修正秤本体調整データを指示計50と秤本体30との間で複写できるよう構成すればよい。また、修正秤本体調整データを、治具60の記憶部やクラウドサーバー70に記憶させてもよい。
【0061】
また、秤本体30と指示計50とが接続された際に、秤本体30で記憶している秤本体調整データと指示計50で記憶している登録済みの秤本体調整データとが異なっている場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体30と指示計50との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うよう構成してもよい。
【0062】
この構成によれば、秤本体30に、組み合わせが正しくない指示計50を接続すると組み合わせ不正警告が発せられるため、組み合わせが正しくない指示計50を接続してマルチロードセル式台秤としての精度が低下することを防止することができて、マルチロードセル式台秤の信頼性が向上する。
【0063】
また、秤本体30に搭載されている複数のロードセルユニットの各識別情報を指示計に複写可能に構成し、秤本体と指示計とが接続された際、指示計で記憶している複数のロードセルユニット10(10A〜10D)の各識別情報が秤本体30の複数のロードセルユニット10(10A〜10D)に対応していない場合に、当該マルチロードセル式台秤を起動しない、または、秤本体30と指示計50との組み合わせが正しくない恐れがあることを警告する組み合わせ不正警告を行うよう構成してもよい。
【0064】
この構成によっても、秤本体30に、組み合わせが正しくない指示計50を接続すると組み合わせ不正警告が発せられるため、組み合わせが正しくない指示計50を接続してマルチロードセル式台秤としての精度が低下することを防止することができる。
【0065】
また、組み合わせ不正警告が行われた場合に、指示計50の操作により、確認して秤本体30の調整データまたは修正調整データを指示計50に複写して指示計50の秤本体調整データまたは修正秤本体調整データを更新可能としてもよい。
【0066】
この構成によれば、指示計50を交換する場合に、新たな指示計50を接続した際に、今まで接続していた指示計50とは異なっていることを組み合わせ不正警告により認識しながら、新たな指示計50に秤本体調整データや修正秤本体調整データを複写して更新することができ、マルチロードセル式台秤の信頼性をさらに向上させることができる。
【0067】
また、上記実施の形態では、指示計50に秤本体調整データ記憶領域55aが設けられている場合を述べたが、これに限るものではなく、
図9に示すように、指示計50に秤本体調整データ記憶領域を設けずに、マルチロードセル式台秤の秤本体30のみに、秤本体調整データを記憶する秤本体調整データ記憶領域82を設け、秤本体30に、秤本体調整データを使用して、指示計50で測定結果として表示する測定結果データ(測定結果として表示する質量値のデータ)を算出(補正)して指示計50側に出力する記憶演算処理機能を有する(主)処理装置(台秤全体のデータを処理する処理装置としての主CPU)80を設けてもよい。なお、秤本体調整データ記憶領域82は、秤本体30の(主)処理装置80に設けると好適であるが、これに限るものではなく、ロードセルユニット10の記憶部16aなどに記憶するよう構成してもよい。
【0068】
この構成においては、マルチロードセル式台秤の全体のデータを処理管理する主処理装置80が秤本体30に設けられ、指示計50は、単に、秤本体30側からのデータを表示部53で表示(出力)したり、操作入力部54から入力したりする機能を有するだけである。
【0069】
この構成によっても、秤本体30に指示計50を接続していない状態でも、秤本体30側からのデータを表示したり入力したりする治具を接続することで、前もって秤本体30の調整・記憶作業(複数のロードセルユニット10により載台20を支持した状態での複数のロードセルユニット10間の出力値の差および秤本体30の構造に起因する秤本体30の個体差がなくなるように補正するための調整作業)を行って、秤本体30の個体差がなくなるように補正するための調整データを秤本体30に記憶させることができる。この結果、従来受注後に行っていた、分銅を載せ替えるなどして行う前記調整・記憶作業を、受注後に行わなくても済むので、受注してから出荷するまでの期間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0070】
10、10A〜10D ロードセルユニット
12 起歪体
13 歪出力回路
16 ロードセルCPU(ロードセル中央処理装置)
16a 記憶部
16aa ロードセルユニット調整データ記憶領域
16ab 秤本体調整データ記憶領域
17 通信部
20 載台
30 秤本体
50 指示計
51 通信部
52 主CPU(主中央処理装置)
53 表示部
54 操作入力部
55 記憶部
55a 秤本体調整データ記憶領域
56 複写部
60 治具
70 クラウドサーバー
80 (主)処理装置
82 秤本体調整データ記憶領域