(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体集積回路及び受信機を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(実施形態)
実施形態にかかる半導体集積回路1は、例えば、CDR(Clock Data Recovery)回路である。半導体集積回路1は、多値振幅変調信号φDIを受けて、多値振幅変調信号φDIからクロックφCKを再生し、再生されたクロックφCKを用いてデータφDOを再生する。半導体集積回路1は、クロックφCK及びデータφDOをそれぞれ出力する。このとき、クロックφCKを適正に再生させることが望まれる。
【0009】
具体的には、
図1に示すように、半導体集積回路1は、クロック再生回路2及びデータ再生回路3を含む。
図1は、半導体集積回路1の構成を示すブロック図である。クロック再生回路2は、多値振幅変調信号φDIを受けてクロックφCKを再生する。クロック再生回路2は、クロックφCKをデータ再生回路3へ供給するとともに半導体集積回路1の内部回路(
図11参照)へ出力する。データ再生回路3は、クロック再生回路2で再生されたクロックφCKに同期して、多値振幅変調信号φDIに応じた信号からデータφDOを再生する。データ再生回路3は、データφDOを半導体集積回路1の内部回路へ出力する。
【0010】
発振回路20は、注入同期型の発振回路であり、エッジタイミングを示すパルスを受けると、注入同期現象によりパルスの波形全体に同期した発振動作を行うようになる。等価的に、発振回路20は、パルスのピークに同期した発振動作を行うものとみなすことができる。
【0011】
ここで、クロック再生回路2において、発振回路20の前段にエッジ検出回路を設け、多値振幅変調信号φDIの波形のエッジをエッジ検出回路で検出し、検出されたエッジタイミングを示すパルスをエッジ検出回路で生成して発振回路20へ供給する構成を考える。この場合、エッジタイミングが適正に検出されない可能性があるため、発振回路20が適正に発振できない可能性がある。
【0012】
例えば、多値振幅変調信号φDIが4値のパルス振幅変調(PAM4:Pulse Amplitude Modulation 4)の信号である場合、多値振幅変調信号φDIは、4つの信号レベルLV1〜LV4を取り得る(
図4(a)参照)。信号レベル(第1の信号レベル)LV1は、ビットパターン“00”を表す。信号レベル(第3の信号レベル)LV2は、ビットパターン“01”を表す。信号レベル(第4の信号レベル)LV3は、ビットパターン“10”を表す。信号レベル(第2の信号レベル)LV4は、ビットパターン“11”を表す。
【0013】
エッジ検出回路が多値振幅変調信号φDIと1つの閾値とを比較して波形のエッジを検出する場合、エッジタイミングを検出できなかったり(例えば、12種類のデータ遷移のうちの4種類のデータ遷移が検出できない)、検出されるエッジタイミングが適正なタイミングからずれてばらついたりしやすい。
【0014】
例えば、エッジ検出回路が用いる1つの閾値がVth2である場合、信号レベルLV1から信号レベルLV2への遷移におけるエッジタイミングが検出されにくい(
図4(a)参照)。信号レベルLV1から信号レベルLV3への遷移におけるエッジタイミングが適正なタイミングt10から遅い側にずれたタイミングt12として検出されやすい(
図5(a)参照)。信号レベルLV2から信号レベルLV1への遷移におけるエッジタイミングが検出されにくい(
図7(a)参照)。信号レベルLV2から信号レベルLV4への遷移におけるエッジタイミングが適正なタイミングt50から早い側にずれたタイミングt52として検出されやすい(
図9(a)参照)。
【0015】
エッジタイミングが適正に検出されず発振回路20へ供給されるパルス波形が適正でないと、発振回路20が適正に発振できない可能性がある。例えば、検出できないデータ遷移により半導体集積回路(CDR)1の帯域が低下しやすく、検出されるエッジタイミングのばらつきにより半導体集積回路(CDR)1のジッタ耐性(Jitter Tolerance)が劣化しやすい。
【0016】
そこで、本実施形態では、クロック再生回路2において、多値振幅変調信号と複数の閾値との比較を行った複数の比較結果に応じた複数のパルスを生成し、それらを合成したパルスを発振回路20へ供給するように構成することで、発振回路20の発振動作の適正化を図る。
【0017】
具体的には、
図1に示すように、クロック再生回路2は、発振回路20に加えて、合成パルス生成回路10を有する。nを任意の2以上の整数とすると、合成パルス生成回路10は、多値振幅変調信号φDIと複数の閾値とを比較して複数の比較結果φDR[1]〜φDR[n]を生成する。合成パルス生成回路10は、複数の比較結果φDR[1]〜φDR[n]をデータ再生回路3へ供給するとともに、複数の比較結果φDR[1]〜φDR[n]に応じた複数のパルスを生成し、生成された複数のパルスの合成パルスφSPを生成する。合成パルス生成回路10は、合成パルスφSPを発振回路20へ供給する。発振回路20は、注入同期型の発振回路であり、合成パルスφSPに同期して発振しクロックφCKを生成する。発振回路20は、クロックφCKをデータ再生回路3へ供給するとともに内部回路(
図11参照)へ供給する。
【0018】
データ再生回路3は、クロック再生回路2で再生されたクロックφCKに同期して、複数の比較結果φDR[1]〜φDR[n]からデータφDO[1:n]を再生する。データ再生回路3は、データφDO[1:n]を内部回路へ出力する。
【0019】
多値振幅変調信号φDIが(n+1)値のパルス振幅変調(PAM n+1)の信号である場合、合成パルス生成回路10は、n個の比較パルスジェネレータ及び合成回路を有する。n個の比較パルスジェネレータは、多値振幅変調信号φDIとn個の閾値とを比較してn個の比較結果φDR[1:n](=φDR[1]〜φDR[n])を生成しデータ再生回路3へ供給する。n個の比較パルスジェネレータは、n個の比較結果φDR[1]〜φDR[n]に応じたn個のパルスφP[1]〜φP[n]を生成し合成回路へ供給する。合成回路は、n個のパルスφP[1]〜φP[n]の合成パルスφSPを生成して発振回路20へ供給する。
【0020】
例えば、多値振幅変調信号φDIがPAM4(n=3)の信号である場合、半導体集積回路1は、
図2及び
図3に示すように構成される。
図2は、半導体集積回路1の構成を示すブロック図である。
図3は、半導体集積回路1の構成を示す回路図である。
【0021】
合成パルス生成回路10は、比較パルスジェネレータ(第1の比較パルスジェネレータ)11、比較パルスジェネレータ(第2の比較パルスジェネレータ)12、比較パルスジェネレータ(第3の比較パルスジェネレータ)13、及び合成回路14を有する。
【0022】
比較パルスジェネレータ11は、多値振幅変調信号φDIのレベルと閾値レベル(第1の閾値レベル)Vth1とを比較してパルス(第1のパルス)φP[1]を生成する。閾値レベルVth1は、信号レベル(第1の信号レベル)LV1と閾値レベル(第2の閾値レベル)Vth2の間のレベルを有し、信号レベル(第1の信号レベル)LV1及び信号レベル(第3の信号レベル)LV2の間のレベルを有する(
図4(a)参照)。
【0023】
例えば、比較パルスジェネレータ11は、コンパレータ(第1のコンパレータ)11a及びパルスジェネレータ(第1のパルスジェネレータ)11bを有する。コンパレータ11aは、反転入力端子で多値振幅変調信号φDIを受け、非反転入力端子で参照電圧Vref1(例えば、Vref1=R/(R+2R+2R+R)×VDD)を受ける。コンパレータ11aは、多値振幅変調信号φDI及び参照電圧Vref1を比較し、比較結果φDR[1]をパルスジェネレータ11b及びデータ再生回路3へ供給する。パルスジェネレータ11bは、遅延回路11b1及びOR回路11b2を有し、比較結果φDR[1]の信号と比較結果φDR[1]を遅延回路11b1で遅延させた信号とのOR演算を行い、演算結果をパルスφP[1]として合成回路14へ供給する。
【0024】
比較パルスジェネレータ12は、多値振幅変調信号φDIのレベルと閾値レベル(第2の閾値レベル)Vth2とを比較してパルス(第2のパルス)φP[2]を生成する。閾値レベルVth2は、信号レベル(第1の信号レベル)LV1と信号レベル(第2の信号レベル)LV4の間のレベルを有し、信号レベル(第3の信号レベル)LV2と信号レベル(第4の信号レベル)LV3の間のレベルを有する。
【0025】
例えば、比較パルスジェネレータ12は、コンパレータ(第2のコンパレータ)12a及びパルスジェネレータ(第2のパルスジェネレータ)12bを有する。コンパレータ12aは、反転入力端子で多値振幅変調信号φDIを受け、非反転入力端子で参照電圧Vref2(例えば、Vref2=(R+2R)/(R+2R+2R+R)×VDD)を受ける。コンパレータ12aは、多値振幅変調信号φDI及び参照電圧Vref2を比較し、比較結果φDR[2]をパルスジェネレータ12b及びデータ再生回路3へ供給する。パルスジェネレータ12bは、遅延回路12b1及びOR回路12b2を有し、比較結果φDR[2]の信号と比較結果φDR[2]を遅延回路12b1で遅延させた信号とのOR演算を行い、演算結果をパルスφP[2]として合成回路14へ供給する。
【0026】
比較パルスジェネレータ13は、多値振幅変調信号φDIのレベルと閾値レベル(第3の閾値レベル)Vth3とを比較してパルス(第3のパルス)φP[3]を生成する。閾値レベルVth3は、閾値レベル(第2の閾値レベル)Vth2と信号レベル(第2の信号レベル)LV4の間のレベルを有し、信号レベル(第4の信号レベル)LV3と信号レベル(第2の信号レベル)LV4の間のレベルを有する。
【0027】
例えば、比較パルスジェネレータ13は、コンパレータ(第3のコンパレータ)13a及びパルスジェネレータ(第3のパルスジェネレータ)13bを有する。コンパレータ13aは、反転入力端子で多値振幅変調信号φDIを受け、非反転入力端子で参照電圧Vref3(例えば、Vref3=(R+2R+2R)/(R+2R+2R+R)×VDD)を受ける。コンパレータ13aは、多値振幅変調信号φDI及び参照電圧Vref3を比較し、比較結果φDR[3]をパルスジェネレータ13b及びデータ再生回路3へ供給する。パルスジェネレータ13bは、遅延回路13b1及びOR回路13b2を有し、比較結果φDR[3]の信号と比較結果φDR[3]を遅延回路13b1で遅延させた信号とのOR演算を行い、演算結果をパルスφP[3]として合成回路14へ供給する。
【0028】
合成回路14は、3個のパルスφP[1]〜φP[3]の合成パルスφSPを生成する。例えば、合成回路14は、3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて合成パルスφSPを生成する。合成回路14は、合成パルスφSPを発振回路20へ供給する。
【0029】
例えば、合成回路14は、トランジスタ141〜143、抵抗素子144、電流源145〜147を有する。抵抗素子144は、接地電位とノードNとの間に電気的に挿入されている。トランジスタ141及び電流源145の直列接続とトランジスタ142及び電流源146の直列接続とトランジスタ143及び電流源147の直列接続とは、ノードNに対して互いに並列に接続されているとともに、それぞれノードNと電源電位VDDとの間に電気的に挿入されている。これにより、ノードNには、3個のパルスφP[1]〜φP[3]の電圧を足し合わせた電圧が現れ得るので、3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて合成パルスφSPがノードNから発振回路20へ出力され得る。
【0030】
発振回路20は、位相比較器21、フィルタ22、電圧制御発振器(VCO)23、及び分周器24を有する。
【0031】
位相比較器21は、基準パルスを受けるとともに分周器24から内部クロックを受け、基準パルス及び内部クロックの位相を比較し、比較結果に応じた位相誤差信号をフィルタ22へ供給する。フィルタ22は、VCO23の発振周波数を制御するための制御信号を位相誤差信号に応じた値で生成してVCO23へ供給する。VCO23は、制御信号をフィルタ22から受けるとともに、合成パルスφSPを合成パルス生成回路10から受ける。VCO23は、注入同期現象により合成パルスφSPのピークタイミングに同期するように、制御信号に応じた発振周波数で発振動作を行う。
【0032】
例えば、VCO23は、加算器231、インバータ232〜234、可変容量素子235〜237を有する。インバータ232〜234のうち最終段のインバータ234の出力が加算器231に接続され、加算器231及びインバータ232〜234がリングオシレータを構成している。可変容量素子235〜237の容量値がフィルタ22からの制御電圧により変わることでインバータ232〜234のドライブ能力が制御され、リングオシレータの発振周波数が制御され得る。また、加算器231へ合成パルス生成回路10から合成パルスφSPが供給されるので、リングオシレータは、注入同期現象により合成パルスφSPのピークタイミングに同期した発振動作を行うようになる。
【0033】
VCO23は、発振動作で生成したパルスをクロックφCKとしてデータ生成回路3及び内部回路(
図11参照)へ出力するとともに分周器24へ供給する。分周器24は、クロックφCKを分周して内部クロックを生成し位相比較器21へ戻す。
【0034】
次に、半導体集積回路1における合成パルスφSPの生成動作について
図4〜
図9を用いて説明する。
図4〜
図9は、半導体集積回路1の動作を示す波形図である。
図4〜
図9では、多値振幅変調信号φDIがPAM4(n=3)の信号である場合における半導体集積回路1の動作を例示している。
【0035】
図4は、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV1から信号レベルLV2へ上昇する方向に遷移する場合を示している。
図4(a)に示すように、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV1から信号レベルLV2へ近づいて上昇していきタイミングt0で閾値レベルVth1を超える。これに応じて、
図4(d)に示すように、パルスφP[1]がタイミングt0近傍にピークを有する波形になる。このとき、
図4(c)、
図4(b)に示すように、パルスφP[2],φP[3]は平坦な波形である。これにより、
図4(e)に示すように、例えば3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、タイミングt0近傍にピークを有する波形になる。
【0036】
タイミングt0は、信号レベルLV1から信号レベルLV2へ上昇方向に遷移する開始タイミングt1と完了タイミングt2とに対して略中央のタイミングになっている。
【0037】
図5は、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV1から信号レベルLV3へ上昇する方向に遷移する場合を示している。
図5(a)に示すように、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV1から信号レベルLV2へ近づいて上昇していきタイミングt11で閾値レベルVth1を超える。これに応じて、
図5(d)に示すように、パルスφP[1]がタイミングt11近傍にピークを有する波形になる。多値振幅変調信号φDIがさらに信号レベルLV3へ近づいて上昇していきタイミングt12で閾値レベルVth2を超える。これに応じて、
図5(c)に示すように、パルスφP[2]がタイミングt12近傍にピークを有する波形になる。このとき、
図5(b)に示すように、パルスφP[3]は平坦な波形である。これにより、
図5(e)に示すように、例えば3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、タイミングt10近傍にピークを有する波形になる。
【0038】
タイミングt10は、信号レベルLV1から信号レベルLV3へ上昇方向に遷移する開始タイミングt13と完了タイミングt14とに対して略中央のタイミングになっている。
【0039】
図6は、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV1から信号レベルLV4へ上昇する方向に遷移する場合を示している。
図6(a)に示すように、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV1から信号レベルLV2へ近づいて上昇していきタイミングt21で閾値レベルVth1を超える。これに応じて、
図6(d)に示すように、パルスφP[1]がタイミングt21近傍にピークを有する波形になる。多値振幅変調信号φDIがさらに信号レベルLV3へ近づいて上昇していきタイミングt20で閾値レベルVth2を超える。これに応じて、
図6(c)に示すように、パルスφP[2]がタイミングt20近傍にピークを有する波形になる。多値振幅変調信号φDIがさらに信号レベルLV4へ近づいて上昇していきタイミングt23で閾値レベルVth3を超える。これに応じて、
図6(b)に示すように、パルスφP[3]がタイミングt23近傍にピークを有する波形になる。これにより、
図6(e)に示すように、例えば3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、タイミングt20近傍にピークを有する波形になる。
【0040】
タイミングt20は、信号レベルLV1から信号レベルLV4へ上昇方向に遷移する開始タイミングt24と完了タイミングt25とに対して略中央のタイミングになっている。
【0041】
図7は、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV2から信号レベルLV1へ下降する方向に遷移する場合を示している。
図7(a)に示すように、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV2から信号レベルLV1へ近づいて下降していきタイミングt30で閾値レベルVth1を下回る。これに応じて、
図7(d)に示すように、パルスφP[1]がタイミングt30近傍にピークを有する波形になる。このとき、
図7(c)、
図7(b)に示すように、パルスφP[2],φP[3]は平坦な波形である。これにより、
図7(e)に示すように、例えば3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、タイミングt30近傍にピークを有する波形になる。
【0042】
タイミングt30は、信号レベルLV2から信号レベルLV1へ下降方向に遷移する開始タイミングt31と完了タイミングt32とに対して略中央のタイミングになっている。
【0043】
図8は、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV2から信号レベルLV3へ上昇する方向に遷移する場合を示している。
図8(a)に示すように、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV2から信号レベルLV3へ近づいて上昇していきタイミングt40で閾値レベルVth2を超える。これに応じて、
図8(c)に示すように、パルスφP[2]がタイミングt40近傍にピークを有する波形になる。このとき、
図8(d)、
図8(b)に示すように、パルスφP[1],φP[3]は平坦な波形である。これにより、
図8(e)に示すように、例えば3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、タイミングt40近傍にピークを有する波形になる。
【0044】
タイミングt40は、信号レベルLV2から信号レベルLV3へ上昇方向に遷移する開始タイミングt41と完了タイミングt42とに対して略中央のタイミングになっている。
【0045】
図9は、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV2から信号レベルLV4へ上昇する方向に遷移する場合を示している。
図9(a)に示すように、多値振幅変調信号φDIが信号レベルLV2から信号レベルLV3へ近づいて上昇していきタイミングt52で閾値レベルVth2を超える。これに応じて、
図9(c)に示すように、パルスφP[2]がタイミングt52近傍にピークを有する波形になる。多値振幅変調信号φDIがさらに信号レベルLV4へ近づいて上昇していきタイミングt53で閾値レベルVth3を超える。これに応じて、
図9(b)に示すように、パルスφP[3]がタイミングt53近傍にピークを有する波形になる。このとき、
図5(d)に示すように、パルスφP[1]は平坦な波形である。これにより、
図9(e)に示すように、例えば3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、タイミングt50近傍にピークを有する波形になる。
【0046】
タイミングt50は、信号レベルLV2から信号レベルLV4へ上昇方向に遷移する開始タイミングt54と完了タイミングt55とに対して略中央のタイミングになっている。
【0047】
図4〜
図9に示されるように、3個のパルスφP[1]〜φP[3]を足し合わせて得られる合成パルスφSPは、データ遷移に関わらずほぼ理想タイミングに頂上を持つ波形になり得る。また、検出できるデータ遷移は12個中12個とすることができる。すなわち、検出できないデータ遷移を低減できるので、
図10に示すように帯域を拡張できる。また、検出されるエッジタイミングのばらつきを抑制できるので、
図10に示すようにジッタ耐性(Jitter Tolerance)を改善できる。
【0048】
なお、
図10は、ジッタ周波数とジッタ耐性との関係(特性)を示す図であり、多値振幅変調信号φDIと1つの閾値とを比較して波形のエッジを検出して得られるパルスに同期して発振回路20が発信する場合の特性を破線で示し、本実施形態の特性を実線で示している。例えば、帯域に関して、実線で示される本実施形態の特性は、破線で示される特性の1.5倍拡張できる。ジッタ耐性に関して、実線で示される本実施形態の特性は、破線で示される特性に比べて、ジッタを70〜90%削減できジッタ耐性を向上できる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、クロック再生回路2において、多値振幅変調信号と複数の閾値との比較を行った複数の比較結果に応じた複数のパルスを生成し、それらを合成したパルスを発振回路20へ供給するように構成する。これにより、発振回路20の発振動作を適正化できる。
【0050】
なお、本実施形態における半導体集積回路1は、例えば
図11に示すようなデータ受信機200に適用可能である。
図11は、半導体集積回路1が適用されたデータ受信機200の構成を示すブロック図である。データ送信機100及びデータ受信機200は、有線伝送路300を介して通信可能に接続されている。データ送信機100は、データに多値振幅変調をかけた多値振幅変調信号を有線伝送路300経由でデータ受信機200へ送信する。データ受信機200は、レシーバ201、イコライザ202、半導体集積回路1、及び内部回路203を有する。レシーバ201は、多値振幅変調信号をデータ送信機100から有線伝送路300経由で受信してイコライザ202へ供給する。イコライザ202は、多値振幅変調信号を等化して半導体集積回路1で処理可能な多値振幅変調信号φDIを生成する。半導体集積回路1は、多値振幅変調信号φDIを受けて、多値振幅変調信号φDIからクロックφCKを再生し、再生されたクロックφCKを用いてデータφDOを再生する。半導体集積回路1は、クロックφCK及びデータφDOをそれぞれ内部回路203へ出力する。内部回路203は、クロックφCK及びデータφDOを用いて所定の動作を行うことができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。