【実施例】
【0030】
<実施例及び比較例>
水酸基当量が160のヒマシ油系2官能ポリオール8重量部と水酸基当量が350のヒマシ油系3官能ポリオール20重量部と水酸基当量が350のビスフェノールA骨格を有する4官能ポリオール4重量部とアルキルスルホン酸エステル化合物としてメザモールを22重量部とフタル酸ジオクチルを6重量部とイオン交換水20重量部と着色トナー20重量部(水10重量部、顔料10重量部)から成るポリオールと希釈剤と水を含む主剤100重量部と、ポリイソシアネートとしてポリメリックMDI(ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート)であるルプラネートMB−5S(商品名、BASF INOACポリウレタン株式会社製、NCO重量%:31.4〜32.6%)を硬化剤100重量部とし、セメントとして白色ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)を使用し、骨材として球状有機微粒子としてガンツパールGM2001(ポリアクリル酸エステル樹脂の球状微粒子、粒径20μm、アイカ工業社製)を使用し、同水酸化アルミニウムとして、ハイジライトH−32(平均粒子径D
50:8μm、昭和電工社製)を使用し、同硅砂として粒径0.05〜0.2mmの東北硅砂8号を使用し、セメントと骨材の合計部数を150重量部として表1の配合にて、主剤部:硬化剤部:骨材部を100重量部:100重量部:150重量部で均一に混合したものを実施例1及び比較例1乃至比比較例6の水硬性ポリマーセメント組成物とした。実施例1及び比較例1乃至比較例6の水酸基1個当たりのNCO基数は6.5である。
【0031】
実施例1の主剤97重量部にベンズイミダゾール系化合物から成る防かび剤としてコートサイドD2(10%水懸濁液)3重量部を混合して全体として100重量部として実施例2の主剤100重量部とし、硬化剤と、骨材部は実施例1と同じとし、主剤:硬化剤:骨材部を100重量部:100重量部:150重量部で均一に混合したものを実施例1の水硬性ポリマーセメント組成物とした。実施例2の水酸基1個当たりのNCO基数は6.7である。
【0032】
水酸基当量が160の水酸基当量が350のヒマシ油系3官能ポリオール28重量部と水酸基当量が350のビスフェノールA骨格を有する4官能ポリオール6重量部とアルキルスルホン酸エステル化合物としてメザモールを25重量部とイオン交換水21重量部と着色トナー20重量部(水10重量部、顔料10重量部)から成るポリオールと希釈剤と水を含む主剤100重量部と、ポリイソシアネートとしてポリメリックMDI(ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート)であるルプラネートMB−5S(商品名、BASF INOACポリウレタン株式会社製、NCO重量%:31.4〜32.6%)を硬化剤100重量部とし、セメント及び骨材を実施例1と同様のものを使用し、セメントと骨材の合計部数を150重量部として表1の配合にて、主剤部:硬化剤部:骨材部を100重量部:100重量部:150重量部で均一に混合したものを比較例7の水硬性ポリマーセメント組成物とした。比較例7の水酸基1個当たりのNCO基数は7.9である。
【0033】
水酸基当量が160のヒマシ油系2官能ポリオール13重量部と水酸基当量が350のヒマシ油系3官能ポリオール15重量部と水酸基当量が350のビスフェノールA骨格を有する4官能ポリオール4重量部とアルキルスルホン酸エステル化合物としてメザモールを20重量部とフタル酸ジオクチルを9重量部とイオン交換水19重量部と着色トナー20重量部(水10重量部、顔料10重量部)から成るポリオールと希釈剤と水を含む主剤100重量部と、ポリイソシアネートとしてポリメリックMDI(ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート)であるルプラネートMB−5S(商品名、BASF INOACポリウレタン株式会社製、NCO重量%:31.4〜32.6%)を硬化剤100重量部とし、セメント及び骨材を実施例1と同様のものを使用し、セメントと骨材の合計部数を150重量部として表1の配合にて、主剤部:硬化剤部:骨材部を100重量部:100重量部:150重量部で均一に混合したものを比較例7の水硬性ポリマーセメント組成物とした。比較例8の水酸基1個当たりのNCO基数は5.7である。
【0035】
【表1】
【0036】
<評価項目及び評価方法>
【0037】
<骨材のかさ比重>
実施例及び比較例の骨材(球状有機微粒子と水酸化アルミニウムと硅砂を均一に混合したもの)をJISA6904 付属書3 粉末物性の測定 5.かさ比重、に準拠してかさ比重を測定した。
【0038】
<粘度及び揺変値>
23℃下において実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の混合物(混合直後)について、BM型粘度計(ローターNo4、回転数60rpm)にて粘度(Pa・s)を測定した。2.0Pa・s未満を○とし、2.0Pa・s以上を×と評価した。また、同BM型粘度計にてローターNo4、6rpmの粘度を測定し、6rpm時の粘度を60rpm時の粘度で除した値を揺変値とした。揺変値は1.0以上1.5未満を○と評価し、これ以外を×と評価した。
【0039】
<耐摩耗性>
23℃下にて7日養生後の実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の硬化物について、JISK 7204(プラスチック−摩耗輪による摩耗試験方法)に準拠し、摩耗輪(CS−17)、荷重9.8N、1000回転の摩耗量を測定した。100mg未満であれば耐摩耗性を有すると評価した。
【0040】
<圧縮強さ>
23℃下にて7日養生後の実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の硬化物について、JISK6911の規定に準じて圧縮強さ(N/mm
2)を測定した。試験体の大きさは13mm×13mm×25mmとした。圧縮強さが40N/mm
2超であれば十分な強度を有すると評価した。
【0041】
<耐熱性>
23℃にて7日養生後にさらに85℃熱水に7日間浸漬し、23℃に徐冷した実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の硬化物について、JISK6911の規定に準じて圧縮強さ(N/mm
2)を測定した。試験体の大きさは13mm×13mm×25mmとした。得られた圧縮強さの値を上記23℃7日養生後の圧縮強さにて除し保持率(%)を求めた。保持率90%超であれば耐熱性を有すると評価した。
【0042】
<耐衝撃性>
23℃下でJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて表示値5%以下)の表面に、均一に混合した実施例、比較例の水硬性ポリマーセメント組成物を厚さ約0.2mmにローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にて塗付して7日間養生し、中央部に高さ1mから1kgの鋼球を7回落下させ、塗膜に割れ、剥がれ等の異常のないものを○、割れ、剥がれ等の異常が生じたものを×と評価した。
【0043】
また、23℃下でJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて表示値5%以下)の表面に、均一に混合したポリオール、ポリイソシアネート、セメント、骨材及び水から成る下地用水硬性ポリマーセメント組成物 アイカピュールJJ−500(商品名、アイカ工業株式会社製、骨材含有率:75重量%、セメント含有率:7.5重量%)を厚さ約6mmに塗付し7日間養生硬化後、均一に混合した実施例、比較例の水硬性ポリマーセメント組成物を厚さ約0.2mmにローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にて塗付して7日間養生し、中央部に高さ1mから1kgの鋼球を30回落下させ、塗膜に割れ、剥がれ等の異常のないものを○、割れ、剥がれ等の異常が生じたものを×と評価した。
【0044】
<耐熱衝撃性>
JISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)を4分の1にカットして150mm×150mm×厚さ60mmの試験板とし、該試験板の表面に均一に混合した実施例、比較例の水硬性ポリマーセメント組成物を厚さ約0.2mmにローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にて塗付して7日間養生する。その後試験体中央部に95℃熱水を5分流下させ次に20℃の冷水を10分流下させることを1サイクルとして1200サイクル繰り返し、塗膜に剥がれ、浮き等異常が生じないものを○、異常が生じたものを×と評価した。
【0045】
また、JISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)を4分の1にカットして150mm×150mm×厚さ60mmの試験板とし、該の試験板の表面であって4面の木口より5mm内側に深さ10mm幅10mmの目地部を設ける。23℃下において該目地部に、均一に混合したポリオール、ポリイソシアネート、セメント、骨材及び水から成る下地用水硬性ポリマーセメント組成物 アイカピュールJJ−500(商品名、アイカ工業株式会社製、骨材含有率:75重量%、セメント含有率:7.5重量%)を充填しながら、厚さ約6mmに塗付し7日間養生硬化後、均一に混合した実施例、比較例の水硬性ポリマーセメント組成物を厚さ約0.2mmにローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にて塗付して7日間養生する。その後試験体中央部に95℃熱水を5分流下させ次に20℃の冷水を10分流下させることを1サイクルとして1500サイクル繰り返し、塗膜に剥がれ、浮き等異常が生じないものを○、異常が生じたものを×と評価した。
【0046】
<付着性>
23℃下でJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)の表面に、均一に混合した実施例、比較例の水硬性ポリマーセメント組成物を厚さ約0.2mmにローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にて塗付して7日間養生し、建研式接着力試験器により、40×40mm部分の水硬性ポリマーセメント組成物とコンクリート平板との付着強度(N/mm
2)を測定した。破壊状態は下地コンクリート100%凝集破壊を○と、それ以外を×と評価した。
【0047】
<ローラ刷毛作業性>
5℃、23℃、及び30℃にて実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の混合物(混合直後)を、ローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にてJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)上に厚さ約0.2mmに塗付し、全ての温度下において該ローラ刷毛にてスムーズに塗り拡げることができるものを○、そうでないものを×と評価した。
【0048】
<塗膜平滑性>
5℃、23℃、及び30℃にて実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の混合物(混合直後)を、ローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にてJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)上に厚さ約0.2mmに塗付し、全ての温度下において均一な塗膜となるものを○と、そうでないものを×と評価した。
【0049】
<下地隠蔽性>
5℃、23℃、及び30℃にて実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の混合物(混合直後)を、ローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にてJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)上に厚さ約0.2mmに塗付し、全ての温度下において下地の透けがないものを○と、部分的に下地の透けがあうものを△と、それ以外を×と評価した。
【0050】
<可使時間>
23℃にて実施例及び比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の混合物(混合直後)を、ローラ刷毛(ウーローラー毛丈10〜15mm、大塚刷毛社製)にてJISA5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)上に厚さ約0.2mmに塗付し、該ローラ刷毛にてスムーズに塗り拡げることができる時間を測定した。15分以上を○、そうでないものを×と評価した。
【0051】
<防カビ性>
23℃下にて7日養生後の実施例、比較例の水硬性ポリマーセメント組成物の硬化物について、95℃熱水を5分流下させ次に20℃の冷水を10分流下させることを1サイクルとした熱衝撃を100回と250回加え、その後の試験体について、JIS Z 2911 かび抵抗性試験方法(プラスチック製品の試験(方法A:乾式法)に準じ、シャーレ中の試験体(5cm×5cm)上に試験かび混合胞子を付着乾燥させた磁器素焼き板を置き、ガラス板を載せ蓋をする。26±2℃で4週間培養し、菌糸の発育の様子を観察し、以下によって評価した。A法培地は無機塩寒天培地であり、試験菌はAspergillus niger、Penicillium pinophilum、Paecilomyces variotii、Trichoderma virens、及びChaetomium globosumである。
0:肉眼及び顕微鏡下でかびの発育は認められない。
1:肉眼でかびの発育が認められ、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼でかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満。
3:肉眼でかびの発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上〜50%未満。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は全面積の50%以上。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
【0052】
<評価結果>
評価結果を表2に示す。
【0053】
【表2】