特許第6937210号(P6937210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937210
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】廃棄物処理システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/04 20060101AFI20210909BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20210909BHJP
   B02C 23/04 20060101ALI20210909BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20210909BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   A62C3/04
   A62C3/00 D
   B02C23/04
   B09B3/00 Z
   B09B5/00 ZZAB
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-190556(P2017-190556)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-63722(P2019-63722A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】山根 哲
(72)【発明者】
【氏名】千葉 信之
(72)【発明者】
【氏名】川西 憲一
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−191272(JP,A)
【文献】 特開2002−166191(JP,A)
【文献】 特開2015−006649(JP,A)
【文献】 米国特許第04972998(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00−99/00
B02C 23/00
B09B 1/00− 5/00
B09C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物に対して物理的な力を加える機能設備と、前記機能設備に対して廃棄物を供給するコンベア装置及び/又は前記機能設備から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置を有する廃棄物処理システムにおいて、
少なくとも一台の前記コンベア装置には、搬送されている廃棄物の燃焼を検知する火災検知センサーと、前記廃棄物の燃焼を停止させる消火動作を行う消火設備があり、
前記火災検知センサーが燃焼を検知すると前記コンベア装置を走行させた状態で消火設備を起動して消火動作を行うものであり、
前記火災検知センサーが燃焼を検知した後、一定時間の間及び/又は一定距離の間、前記コンベア装置を走行させた後、当該コンベア装置を停止することを特徴とする廃棄物処理システム。
【請求項2】
廃棄物に対して物理的な力を加える機能設備と、前記機能設備に対して廃棄物を供給するコンベア装置及び/又は前記機能設備から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置を有する廃棄物処理システムにおいて、
少なくとも一台の前記コンベア装置には、搬送されている廃棄物の燃焼を検知する火災検知センサーと、前記廃棄物の燃焼を停止させる消火動作を行う消火設備があり、
前記火災検知センサーが燃焼を検知すると前記コンベア装置を走行させた状態で消火設備を起動して消火動作を行うものであり、
前記火災検知センサーが燃焼を検知した場合には、当該コンベア装置の走行速度を低下させることを特徴とする廃棄物処理システム
【請求項3】
複数のコンベア装置を有し、いずれかのコンベア装置に載置された廃棄物が燃焼した場合には、他のいずれかのコンベア装置も走行速度を低下させることを特徴とする請求項に記載の廃棄物処理システム。
【請求項4】
機能設備として破砕機を有し、破砕機から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置に火災検知センサーと、消火設備が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の廃棄物処理システム。
【請求項5】
消火設備は、水、消火性ガス、消火剤の少なくともいずれかを放出するノズルを複数個有し、当該ノズルは複数のノズル群に分かれており、各ノズル群がコンベア装置の搬送路に対して距離をおいた位置に設置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
コンベア装置は、コンベアベルトを搬送路とするベルトコンベアであり、前記コンベアベルトには、廃棄物の滑りを阻止する滑り防止部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の廃棄物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミや粗大ゴミ等の一般家庭や商店から出るゴミや、解体した家屋や工場から出る産業廃棄物を処理する廃棄物処理システムに関するものであり、特に廃棄物が燃えた場合に備えてコンベア装置に消火設備が設置された廃棄物処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭から排出される一般ゴミや、産業廃棄物は、最終的には焼却されたり、埋め立てられることとなる。
廃棄物は、焼却される前に、適当な大きさに破砕される場合が多い。また可燃物と不燃物を分離したり、金属を除去するといった分別作業が行われる。
廃棄物の破砕や分別は、中間処理工場と称される工場で実施される。
中間処理工場では、ジョークラッシャや回転刃を有する破砕機や、トロンメル等の分別機が設置され、これらの装置の間が複数のコンベア装置で繋がれた廃棄物処理システムが構築されている。
【0003】
そして家庭ゴミや産業廃棄物が破砕機に投入されて適当な大きさに粉砕され、粉砕後の廃棄物がコンベア装置で分別機等に搬送されて分別される。
ここでコンベア装置上で、搬送中の廃棄物が燃えだす場合がある。特に破砕機で破砕された後の廃棄物が発火して燃えだす場合が多い。
特許文献1には、コンベア装置の上に放水ノズルが設置された廃棄物処理システムが開示されている。特許文献1に開示された廃棄物処理システムでは、廃棄物が発火すると、全ての設備を停止し、放水ノズルから放水して消火する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−240295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の廃棄物処理システムでは、コンベア装置上の廃棄物が発火すると、当該コンベア装置が停止し、コンベア装置上に配置された放水ノズルから放水される。
放水ノズルからの放水は、廃棄物に対して一定の方向からかけられることとなる。そのため従来技術の廃棄物処理システムでは、廃棄物の全てに対して均等に水が掛からない場合がある。
即ち放水ノズルと燃えだした廃棄物の間に、何らかの物が存在する場合には、その物の陰となって燃えた廃棄物に水が掛からない場合がある。
特にベルトコンベア装置においては、廃棄物が滑り落ちることを防止するための仕切りや桟がコンベアベルトに設けられているものがある。
この種のコンベアベルトを採用している場合、ノズルからの放水が前記した仕切りや桟に遮られ、燃えている廃棄物に到達しない場合がある。
【0006】
また従来技術の廃棄物処理システムでは、コンベア装置の全搬送路の上に放水ノズルを敷きつめる必要があり、放水ノズルの個数が多いという不満がある。
【0007】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、コンベア装置上で廃棄物が発火した場合に、発火した廃棄物が何かの物陰に隠れることが少なく、コンベア装置上で発火した廃棄物に水等の消火部材が行き渡り、且つノズルの必要個数も少ない廃棄物処理システムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための発明は、廃棄物に対して物理的な力を加える機能設備と、前記機能設備に対して廃棄物を供給するコンベア装置及び/又は前記機能設備から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置を有する廃棄物処理システムにおいて、少なくとも一台の前記コンベア装置には、搬送されている廃棄物の燃焼を検知する火災検知センサーと、前記廃棄物の燃焼を停止させる消火動作を行う消火設備があり、前記火災検知センサーが燃焼を検知すると前記コンベア装置を走行させた状態で消火設備を起動して消火動作を行うことを特徴とする廃棄物処理システムである。
請求項1に記載の発明は廃棄物に対して物理的な力を加える機能設備と、前記機能設備に対して廃棄物を供給するコンベア装置及び/又は前記機能設備から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置を有する廃棄物処理システムにおいて、少なくとも一台の前記コンベア装置には、搬送されている廃棄物の燃焼を検知する火災検知センサーと、前記廃棄物の燃焼を停止させる消火動作を行う消火設備があり、前記火災検知センサーが燃焼を検知すると前記コンベア装置を走行させた状態で消火設備を起動して消火動作を行うものであり、前記火災検知センサーが燃焼を検知した後、一定時間の間及び/又は一定距離の間、前記コンベア装置を走行させた後、当該コンベア装置を停止することを特徴とする廃棄物処理システムである。
請求項2に記載の発明は、廃棄物に対して物理的な力を加える機能設備と、前記機能設備に対して廃棄物を供給するコンベア装置及び/又は前記機能設備から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置を有する廃棄物処理システムにおいて、少なくとも一台の前記コンベア装置には、搬送されている廃棄物の燃焼を検知する火災検知センサーと、前記廃棄物の燃焼を停止させる消火動作を行う消火設備があり、前記火災検知センサーが燃焼を検知すると前記コンベア装置を走行させた状態で消火設備を起動して消火動作を行うものであり、前記火災検知センサーが燃焼を検知した場合には、当該コンベア装置の走行速度を低下させることを特徴とする廃棄物処理システムである。
【0009】
機能設備の例としては、破砕機やふるい装置等があげられる。
本発明の廃棄物処理システムでは、コンベア装置を走行させた状態で消火設備を起動して消火動作を行う。そのため放水ノズル等と廃棄物との相対位置や角度が変化し、燃えている廃棄物が物陰に隠れたままとなりにくい。
即ち火災発生時に放水ノズル等と発火した廃棄物の間に何らかの障害物があったとしても、コンベア装置が走行する内に、放水ノズル等と発火部分の相対位置が変化し、放水ノズル等が見て障害物の位置が廃棄物よりも後方の位置となる場合がある。そのため各廃棄物にもれなく水が掛かり、消火される。
【0010】
機能設備として破砕機を有し、破砕機から排出された廃棄物を搬送するコンベア装置に火災検知センサーと、消火設備が設けられていることが望ましい(請求項)。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記火災検知センサーが燃焼を検知した後、一定時間の間及び/又は一定距離の間、前記コンベア装置を走行させた後、当該コンベア装置を停止することを特徴のひとつとしている
【0012】
本発明によると、火がついた廃棄物の移動距離が制限され、仮に燃え残りがあったとしても類焼や延焼が生じにくい。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記火災検知センサーが燃焼を検知した場合には、当該コンベア装置の走行速度を低下させることを特徴のひとつとしている
【0014】
本発明によると、火災が発生した際にコンベア装置の走行速度を低下させるので、廃棄物が放水等を受ける時間が長くなる。そのため確実な消火が期待できる。
【0015】
請求項に記載の発明は、複数のコンベア装置を有し、いずれかのコンベア装置に載置された廃棄物が燃焼した場合には、他のいずれかのコンベア装置も走行速度を低下させることを特徴とする請求項に記載の廃棄物処理システムである。
【0016】
本発明によると、いずれかのコンベア装置に載置された廃棄物が燃えた場合には、他のいずれかのコンベア装置も走行速度を低下させる。走行速度は低下するものの、コンベア装置自体は駆動を維持しているので、廃棄物が特定の場所に過度に滞ることを防止することができる。
また廃棄物の移動距離が制限され、仮に燃え残りがあったとしても類焼や延焼が生じにくい。
【0017】
請求項に記載の発明は、消火設備は、水、消火性ガス、消火剤の少なくともいずれかを放出するノズルを複数個有し、当該ノズルは複数のノズル群に分かれており、各ノズル群がコンベア装置の搬送路に対して距離をおいた位置に設置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の廃棄物処理システムである。
【0018】
本発明によると、コンベア装置の全域にノズルを分布させる場合に比べて、ノズルの個数が少なくて足る。
【0019】
請求項に記載の発明は、コンベア装置は、コンベアベルトを搬送路とするベルトコンベアであり、前記コンベアベルトには、廃棄物の滑りを阻止する滑り防止部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の廃棄物処理システムである。
【0020】
本発明によると、仮にコンベア装置が傾斜姿勢であったとしても、廃棄物のずれ落ちが少ない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の廃棄物処理システムによると、コンベア装置上で廃棄物が発火した場合に、コンベア装置上で発火した廃棄物に水等の消火部材を行き渡らせることができ、より確実に消火を行うことができる。また本発明の廃棄物処理システムによると、ノズルの必要個数も少ない廃棄物処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態の廃棄物処理システムの概要を示す説明図である。
図2図1の廃棄物処理システムで採用する破砕機・磁力選別機間コンベア装置の概念図である。
図3】(a)(b)はコンベア装置の断面図である。
図4】(a)(b)(c)(d)は、コンベア装置の動作を説明する説明図である。
図5図1の廃棄物処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の廃棄物処理システム1は、廃棄物の中間処理を行うものであり、廃棄物を細かく粉砕し、さらに分別を行うシステムである。
廃棄物処理システム1の構成は、図1の通りであり、破砕工程を行う破砕部2と、破砕された廃棄物を分別する分別部3がある。また本実施形態の廃棄物処理システム1では、破砕部2と、分別部3の間に破砕機・磁力選別機間コンベア装置40があり、破砕部2で破砕された廃棄物が破砕機・磁力選別機間コンベア装置40によって分別部3に搬送される。
破砕部2は、2台の破砕機5,6を有している。前段の破砕機5は、廃棄物を大割りする装置であり、低速回転する回転刃8を有している。以下破砕機5を第一破砕機5と称する。
後段の破砕機6は、高速で回転する回転刃(図示せず)を有し、第一破砕機5で破砕された廃棄物をさらに細かく破砕する装置である。以下破砕機6を第二破砕機6と称する。
【0024】
破砕部2には、第一破砕機5に対して廃棄物を供給する廃棄物供給コンベア10と、第一破砕機5で破砕された廃棄物を第二破砕機6に搬送する破砕機間コンベア11を有している。
【0025】
分別部3は、破砕部2で破砕された廃棄物から有用金属たる鉄とアルミニウムをより分け、鉄、アルミニウム、その他の一般廃棄物に分別して、所定の貯留場所等に廃棄物を集める機能を有するものである。
分別部3は、鉄を分離する磁力選別機12と、アルミニウムをより分けるアルミ選別機13及び風力選別機15を有している。さらに廃棄物の大きさを揃え、過度に大きいものをより分けるふるい装置16を有している。ふるい装置16は、トロンメルである。
【0026】
廃棄物の貯留場所は、一般廃棄物搬出部20、鉄類一時貯留部21、一般廃棄物一時貯留部22、アルミ類一時貯留部23に分かれている。一般廃棄物搬出部20には、廃棄物貯留排出装置27が設置されている。
また各機器や貯留部に廃棄物を輸送するコンベア装置30,31,32やホッパー25,26が備えられている。
【0027】
即ち破砕部2で破砕された廃棄物は、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40によって磁力選別機12に搬送される。そして磁力選別機12によって鉄類とその他の廃棄物が分離され、鉄類は、鉄類落下ホッパー25から下部の第一鉄類搬送コンベア30aに落下し、さらに第二鉄類搬送コンベア30bを経由して鉄類一時貯留部21に搬送される。
【0028】
磁力選別機12によって鉄類が除かれた廃棄物は、一般廃棄物落下ホッパー26からふるい装置16に入り、一定の大きさ以下に揃えられる。即ち一定の大きさ以下の廃棄物は、ふるい装置16を通過して下部の風力選別機15に入る。
一方、ふるい装置16を通過することができずに残った大きな廃棄物は、図示しないコンベア装置で破砕部2に戻される。
【0029】
ふるい装置16を通過して風力選別機15に入った廃棄物は、さらにアルミ選別機13に投入され、アルミニウム類が分離される。
分離されたアルミニウム類は、アルミ類搬送コンベア31によってアルミ類一時貯留部23に搬送される。
【0030】
アルミニウムが除かれた一般廃棄物は、一般廃棄物搬送コンベア32に投入される。一般廃棄物搬送コンベア32は、正方向と逆方向に搬送方向を切り換えることができるものであり、一般廃棄物搬送コンベア32を正方向に駆動すると、廃棄物は一般廃棄物搬出部20に搬送され、廃棄物貯留排出装置27に投入された後、トラック28に積み込まれ、最終処理施設に送られる。
一般廃棄物搬送コンベア32を逆方向に駆動すると、廃棄物は一般廃棄物一時貯留部22に搬送される。
【0031】
本実施形態の廃棄物処理システム1では、各装置に消火設備が配置されている。本本実施形態の廃棄物処理システム1では、特に破砕機・磁力選別機間コンベア装置40に特徴的な消火設備57が配備されている。以下、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40の構成と、消火設備57について説明する。
破砕機・磁力選別機間コンベア装置40は、第二破砕機6から排出された廃棄物を高い位置に設置された磁力選別機12に投入するものであり、傾斜姿勢に設置されている。
破砕機・磁力選別機間コンベア装置40は、ベルトコンベアであり、図2の様に駆動プーリ41と従動プーリ42の間にコンベアベルト43が懸架されたものである。
【0032】
コンベアベルト43の下には、図3(a)又は図3(b)の様なコロ46が設置されており、コンベアベルト43は断面形状が凹状に変形されている。
またコンベアベルト43には、一定間隔に仕切り状や桟状の滑り防止部45が設けられている。そのため破砕機・磁力選別機間コンベア装置40は傾斜姿勢で設置されているが、図4の様に廃棄物60は滑り防止部45で引っ掛かり、滑り落ちることはない。
破砕機・磁力選別機間コンベア装置40の搬送路48は、ドーム47で覆われており、廃棄物60が飛散することが防がれている。
【0033】
消火設備57は、燃焼物に水をかけて消火するものであり、図示しない給水源と、複数の放水ノズル50を有している。放水ノズル50は、ドーム47に設置され、搬送路48に向かって垂直方向に放水可能な方向に設置されている。ただし放水ノズル50から放出された水は、一定の角度で拡散する。
放水ノズル50は、複数設置されており、当該放水ノズル50は、図2の様に複数の群に分かれ、複数の放水エリア58を構成している。
図2は、実施形態を概念的に表現するものであるため、各群に放水ノズル50が2個ずつ配されているが、実際には各群に属する放水ノズル50は2個以外(1又は3個以上)てもよい。また放水ノズル50は、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40の幅方向に1列又は複数列に並べられていてもよい。ノズル群に属する放水ノズル50の数は限定されるものではなく、1個であってもよい。図4では、理解を容易にするために放水エリア58の放水ノズル50を一個だけ図示している。
【0034】
本実施形態では、複数の放水ノズル50が3群に分かれて設置されている。即ち下部ノズル群51、中部ノズル群52、高部ノズル群53に分かれて放水ノズル50が設置されている。前記した様に放水ノズル50から放出された水は、一定の角度で拡散する。そのため各ノズル群51,52,53の下にそれぞれ放水エリア58a,58b,58cがある。3か所の放水エリア58a,58b,58cは一定の距離だけ離れており、重複しない。なお放水エリア58a,58b,58cが重複してもよい。
また搬送路48の基端部には、火災検知センサー55が設置されている。火災検知センサー55は、温度や光によって火炎を検知するものである。火災検知センサー55は、発煙を検知するものであってもよい。
【0035】
次に、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40と消火設備57の動作について図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
破砕機・磁力選別機間コンベア装置40は、図示しないモータによって駆動プーリ41を回転し、コンベアベルト43を走行させて第二破砕機6から排出された廃棄物60を高い位置に設置された磁力選別機12に搬送する。
通常の搬送時の搬送スピードは、例えば60m/min程度の中速又は高速である。
破砕機・磁力選別機間コンベア装置40が運転されている間、火災検知センサー55は、常時、搬送路48上の廃棄物60に火炎が発生していないかを監視している(ステップ1)。
そして廃棄物60が燃えだして、火炎が生じると、ステップ2に移行し、警報を出して作業員に火炎の発生を知らせる。続いてステップ3に移行し、ノズル群51,52,53の放水ノズル50から一斉に放水を開始する。
【0036】
変形例として、火災検知センサー55を複数設け、検知した火災検知センサー55に近い位置の放水ノズル50から放水を開始してもよく、検知した火災検知センサー55の近傍及びそれよりも下流側に配置された放水ノズル50からのみ放水を行ってもよい。
例えば各放水エリア58a,58b,58cに対応する火災検知センサー55を設け、検知した火災検知センサー55に対応する放水エリア58とそれよりも下流側の放水エリア58から放水を行ってもよい。
【0037】
そしてステップ4に移行し、タイマの計時を開始する。
またステップ5に移行し、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40を減速する。即ち本実施形態では、火炎が発生しても破砕機・磁力選別機間コンベア装置40を停止することなく、走行させる。但し走行速度は大幅に低下させる。
好ましくは、通常時の20分の1から5分の1程度の速度に減速する。最も望ましい走行速度は、通常時の15分の1から8分の1程度である。
【0038】
また前記したタイマーの設定時間は、火災検知センサー55の検知位置近傍の廃棄物が、3群に分かれたノズル群51,52,53の全ての下を通過し終える時間である。ただし、火災検知センサー55の検知位置近傍の廃棄物60が、次工程たる磁力選別機12に投入されることは好ましくないので、前記した時間は、火災検知センサー55の検知位置近傍の廃棄物60が、3群に分かれたノズル群51,52,53の全ての下を通過し、且つ搬送路48の末端までの間で停止する時間である。
たとえば、図2の様に、搬送路48の基端部に火災検知センサー55が設置されているならば、火災検知センサー55の近傍にあった、廃棄物60が、ノズル群51,52,53の下を順に通過し、高部ノズル群53の前方に至るまでの時間である。
【0039】
そしてステップ6でタイマーの計時が満了したことが確認されると、ステップ7に移行し、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40を停止させる。
【0040】
ステップ7で、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40を停止させるまでの間、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40はゆっくりと走行し、搬送路上の廃棄物60は各放水エリア58に入って各放水ノズル50から放水を受ける。
例えば図4(a)の様に放水エリア58bに入った廃棄物60は、中部ノズル群52の放水ノズル50から放水を受ける。
前記した様にコンベアベルト43には、一定間隔をおいて仕切り状や桟状の滑り防止部45が設けられている。仮に図4の様に、中部ノズル群52の近傍にある滑り防止部45を45A、45B、45C、45Dとする。また滑り防止部45A、45Bに挟まれた領域を領域62abとし、滑り防止部45B、45Cに挟まれた領域を領域62bcとし、滑り防止部45C、45Dに挟まれた領域を領域62cdとする。
【0041】
放水が開始された段階では、滑り防止部45Bと滑り防止部45Cの間の領域62bcで保持された廃棄物60bcは、放水エリア58b内にあり、中部ノズル群52によって水が掛けられるが、これに隣接する領域62cdは、放水エリア58b内であるにも係わらず、滑り防止部45Cが防御壁となって水が遮られ、廃棄物60cdには水が掛からない。即ち領域62cdは、中部ノズル群52に対して滑り防止部45Cの陰に隠れ、廃棄物60cdには水が掛からない。
【0042】
しかしながら、本実施形態では、放水を行いつつ、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40をゆっくりと走行させるので、図4(b)、図4(c)、図4(d)の様に、滑り防止部45Bと放水ノズル50との相対位置関係が変化し、図4(d)に至っては、滑り防止部45Bの後方から放水が行われる。そのため、先の時間帯で滑り防止部45Bの陰に隠れて放水が届かなかった領域に水が掛かり、発生した火炎が鎮火する。
【0043】
前記したステップ2で警報が発せられているので、作業者は、火炎が発生した破砕機・磁力選別機間コンベア装置40の近傍に出向き、火炎の状況を確認することとなる。そして鎮火が確認されると、図示しない放水停止スイッチを操作し、放水を停止する(ステップ8)。
その後、作業者によって図示しない起動スイッチが操作され、それがステップ9で確認されると、ステップ10に移行し、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40が起動される。
【0044】
ステップ2の火炎発生確認から、ステップ10のコンベア起動までの間、周辺の機器は、一部を停止し、一部を通常運転し、一部を低速運転することが望ましい。
例えば、火炎が発生した機器の上流側の機器については停止し、新たな廃棄物60が火災が発生した機器に供給されない様にすることが望ましい。
例えば破砕機・磁力選別機間コンベア装置40で火炎の発生が認められた場合には、上流側の破砕部2に属する設備を全て停止する。
【0045】
また破砕機・磁力選別機間コンベア装置40の下流側については、廃棄物が滞ることを防ぐために、駆動を維持させることが望ましい。火炎が発生した機器の下流に隣接する機器については、残り火のある廃棄物60が移動する可能性があるので、延焼や類焼を防止するため、低速で運転することが望ましい。
【0046】
上記した実施形態は、破砕機・磁力選別機間コンベア装置40を例に説明したが、他のコンベア装置にも同様の消火設備57を設置することが望ましい。
特に、本実施形態で説明した破砕機・磁力選別機間コンベア装置40は、第二破砕機6で細かく破砕された直後の廃棄物を搬送するものであり、火花等によって火災が発生する頻度が高いので、本実施形態の消火設備57を採用すること推奨される。
同様の理由から破砕機間コンベア11にも本実施形態の消火設備57を採用することが推奨される。
【0047】
上記した実施形態では、コンベア装置としてベルトコンベアを採用したが、他の機構のコンベアであってもよい。例えばチェーンコンベアやバケットコンベアを使用してもよい。
【0048】
上記した実施形態では、火災検知センサー55が火炎を検知してから、一定時間の間、コンベア装置40を動作させた後に停止した。前記した一定時間は、火災検知センサー55の検知位置近傍の廃棄物60が、3群に分かれたノズル群51,52,53の全ての下を通過し終える時間に設定したが、本発明はこの時間に限定されるものではない。ただし、火炎を検知してからコンベア装置を停止するまでの時間は、火災検知センサー55の検知位置近傍の廃棄物60が、複数の放水エリア58を通過して停止する時間であることが推奨される。
【0049】
また時間を区切ってコンベア装置を駆動させる方法に代わって、コンベア装置の走行距離を演算等で求め、一定距離だけ走行させた後、停止させてもよい。
例えばコンベア装置を駆動するモータの回転数をエンコーダ等で検知し、火災検知センサー55が火炎を検知して後、一定の回転数だけモータを回転させた後、モータを停止してもよい。
【0050】
以上説明した実施形態では、放水によって消火する消火設備57を採用したが、二酸化炭素等の消火性のガスを利用するものや、粉末の消化剤を採用するもの、ミストを利用するものを採用してもよい。
【0051】
以上説明した実施形態では、放水ノズル50複数の群に分けて設置したが、放水ノズル50の配置レイアウトはこの構成に限定されるものではなく、放水ノズル50を一様に分散させて配置するレイアウトを採用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 廃棄物処理システム
2 破砕部
3 分別部
5 第一破砕機
6 第二破砕機
11 破砕機間コンベア
40 破砕機・磁力選別機間コンベア装置
45 滑り防止部
48 搬送路
50 放水ノズル
51 下部ノズル群
52 中部ノズル群
53 高部ノズル群
55 火災検知センサー
57 消化設備
図1
図2
図3
図4
図5