【実施例】
【0015】
実施例においては、流路構成部材を構成する既設の流体管1の所定箇所を筐体2内にて切断し、その切断箇所にバタフライ弁10(制流体)を不断流状態で設置して制流装置を構成するまでの一連の流れを
図1から
図17を参照して説明する。ここで本実施例の制流装置とは、バタフライ弁10(制流体)と筐体2とから主として構成される。
【0016】
図1に示されるように、地中に埋設された流体管1の所定箇所の周囲を掘削し、上方に開口する分岐部2a(開口部)を有する2分割構造の筐体2を密封状に囲繞する。尚、流体管1内の流体は、例えば、上水や工業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。更に尚、筐体2は、本実施例では2分割構造であるが、他の複数分割構造であってもよく、分割筐体同士の接合は、溶接若しくはパッキンを介しボルトにより取付けても構わない。
【0017】
流体管1は、ダクタイル鋳鉄管であって、断面視略円形状に形成されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0018】
また、流体管1に筐体2を密封状に取付ける際には、筐体2の下方にコンクリート基礎9,9を形成し、筐体2周辺の重量を支持して流体管1の折れ曲がり等を防止する。尚、筐体2や後述する切断機5及びバタフライ弁10の重量を支持できるものであれば、コンクリート基礎9,9に限られず、ジャッキなどを用いてもよい。
【0019】
次いで、筐体2の分岐部2a(開口部)に分岐部2aの開口を閉塞可能な作業弁4を取付ける工程について説明する。先ず、
図1に示されるように、作業弁4を構成する弁箱41を上方から図示しないクレーンに吊支されるフックを備えた吊り具C及びワイヤWにより吊持して分岐部2aのフランジ2b上に載置し、フランジ2b上で弁箱41の位置調整をしながらフランジ2bと弁箱41とを図示しないボルトナットで固定する。なお、本実施例で使用されるクレーンは、例えば移動式のラフテレーンクレーンが好適であり、言うまでもなくその吊上能力に応じて大型化し、後述する各部材の中で最も重量の大きい部材を吊り上げ可能な仕様が、旋回半径における許容吊り上げ荷重を検討しながら選択されるものである。またクレーンの設置面積は、アウトリガー等を含めると、流体管1の掘削面積よりも広い面積を要する場合が多い。
【0020】
この弁箱41は、上下方向に貫通する略筒状を成し、一方の側方に設けられた開口部41aから略水平方向に延びるスライド溝41bが形成されており、スライド溝41bの奥側(開口部41aと反対側)には、弁座部41cが形成されている。尚、フランジ2bと弁箱41との間には、図示しないOリングが圧接されるため、分岐部2aと弁箱41とが密封状に接続される。
【0021】
次に、作業弁4を構成する弁体42、弁蓋43及び弁棒44をユニット化した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して弁箱41の開口部41aの側方まで下降させる。そして、この吊持状態で弁箱41の側方に弁蓋43を図示しないボルトナット等により固定する(
図2参照)。
【0022】
また、弁蓋43と弁箱41との間には、パッキン(図示略)が周方向に亘って圧接されるため、弁蓋43と弁箱41との間の密封性を確保できる。尚、パッキンは弁蓋43側に設けられた凹溝に圧入されていてもよいし、弁箱41側に設けられた凹溝に圧入されていてもよい。
【0023】
尚、本実施例では、弁蓋43と弁箱41とがボルトナットにより固定される形態を例示したが、これに限られず、例えば、万力などの別の固定手段により固定されてもよいし、溶接などで固着されていてもよい。
【0024】
次に、作業弁4の上方に流体管1を切断するための切断機5を設置する工程について説明する。
図2に示されるように、先ず、上下方向に貫通する取付フランジ筒51を吊り具C及びワイヤWにより吊持して弁箱41の上方まで下降させ、弁箱41の上方に取付フランジ筒51を図示しないボルトナット等により固定する。また、取付フランジ筒51と弁箱41との間には、図示しないOリングが圧接されるため、弁箱41と取付フランジ筒51とが密封状に接続される。
【0025】
次に、取付フランジ筒51に対してカッタ52を仮設置する。詳しくは、カッタ52の上方に取付フランジ筒51の蓋体53を接続した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して取付フランジ筒51の上方まで下降させる。カッタ52は、周端に切断刃を備えた円筒部材52aと、この円筒部材52aに同軸に配設され穿孔刃よりも先方に突出したセンタードリル52bと、からなり、円筒部材52aとセンタードリル52bとは固定されている。また、円筒部材52aとセンタードリル52bとの上方には、上端に環状突部54aが形成されたアダプタ54が相対回転不能に取付けられている。
【0026】
また、蓋体53は、中心部に上下方向に貫通する貫通孔53aが形成されており、貫通孔53aにアダプタ54が挿通されている。また、蓋体53は、貫通孔53aの内周面から外径方向に凹設される凹部53bが周方向に複数形成されており、凹部53bには、貫通孔53aの径方向に進退可能な固定冶具55が配設されている。固定冶具55が貫通孔53aの内径方向に突出し、アダプタ54の環状突部54aの下面に係止することで、カッタ52と蓋体53とが一体化されている。
【0027】
次いで、取付フランジ筒51の上方に蓋体53を載置するとともに、この状態で取付フランジ筒51と蓋体53との位置合わせを行い、図示しないボルトナット等により固定する。このとき、カッタ52は、取付フランジ筒51の内部に収容されることとなる。
【0028】
また、取付フランジ筒51と蓋体53との間には、パッキン(図示略)が周方向に亘って圧接されるため、取付フランジ筒51と蓋体53との間の密封性を確保できる。尚、パッキンは、蓋体53側に設けられた凹溝に圧入されてもよいし、取付フランジ筒51側に設けられた凹溝に圧入されていてもよい。
【0029】
次に、切断機5の駆動機構8(駆動部)をカッタ52に接続する。先ず、駆動機構8の構造について説明する。
【0030】
図3に示されるように、駆動機構8は、軸部材81と、軸部材81を把持若しくは把持解除可能な把持部材82と、把持部材82を軸部材81の軸方向の範囲内で進退移動させる進退部材83と、進退部材83よりも下方の位置で軸部材81を移動規制若しくは規制解除可能な規制部材84と、進退部材83及び規制部材84が取付けられる基部材85と、から主に構成されている。
【0031】
基部材85には、上方に立設する支柱部が複数設けられており、進退部材83は、支柱部に沿って上下方向にスライド移動可能に取付けられている。すなわち、軸部材81を把持部材82により把持し、その状態で進退部材83を支柱部に沿って移動させることにより、軸部材81を上下方向にスライドさせることができるようになっている。
【0032】
また、基部材85の下方には、軸部材81を挿通可能な筒状のケース部86が設けられている。ケース部86の下端縁には略水平方向に延びる延出片部86aが形成されている。
【0033】
また、進退部材83の一部には、回転モータ87が固設されており、回転モータ87によって軸部材81を把持した状態の把持部材82に対して回転力を付与することによって軸部材81に回転を伝えることができるとともに、軸部材81が回転することにより、カッタ52を回転させることができるようになっている。尚、軸部材81は、複数用意することで、軸方向に継ぎ足して軸方向の長さを長くできるようになっており、このような継ぎ足し構造のため、重量と高さを軽減することができる。
【0034】
このように構成された駆動機構8をカッタ52と接続する際には、蓋体53の下部フランジ53dの周方向に支持機構7を複数配置しておき、軸部材81を予め所定長さ下方に進行させ、軸部材81の下端部がケース部86よりも下方に突出した状態とし、吊り具C及びワイヤWにより駆動機構8を吊り下げ、ケース部86の延出片部86aを支持機構7上に載置する。次いで、支持機構7により形成されるケース部86と蓋体53の上部フランジ53cとの隙間から作業者がアクセスして、軸部材81とアダプタ54とをボルトナットN1により接続する。そして、固定冶具55を凹部53b内に退避させる。ここで延出片部86aは必ずしも必要なものではなく、例えば下部フランジ53dと駆動機構8との間に支持機構を載置してもよい。また下部フランジ53dではなく地面に載置しても構わない。
【0035】
尚、支持機構7は、構造強度の高い筒状のベース部72に対してロッド部71が上下に進退するように構成されており、ベース部72は、蓋体53の上部フランジ53cよりも低い位置に上端部が配設されている。ここで支持機構は前記した支持機構7に限られず、例えば油圧ジャッキやその他のジャッキを用いてもよいし、スペーサを使用してもよい。
【0036】
続いて、ロッド部71をベース部72内に退避させることにより駆動機構8を下降させるとともに、ケース部86を蓋体53の上部フランジ53cに載置させ、図示しないボルトナットによりケース部86と蓋体53とを固定する。これにより、取付フランジ筒51、カッタ52、蓋体53、アダプタ54及び駆動機構8により切断機5が構成され、筐体2、作業弁4及び切断機5により切断装置が構成される。この際、センタードリル52bが弁体42と接触しないように調整されるのは言うまでもない。
【0037】
ベース部72は、蓋体53の上部フランジ53cよりも低い位置に上端部が配設されているため、ケース部86が蓋体53の上部フランジ53cに載置された状態にあっては、支持機構7に駆動機構8の重量がかからず、支持機構7を簡便に取外すことができる。尚、本実施例では、支持機構7により駆動機構8を下降させる形態を例示したが、安全性を高めるために吊り具C及びワイヤWにより緩く吊持しながら支持機構7により駆動機構8を下降させてもよいし、支持機構7を用いずクレーンにより駆動機構8を下降させてもよい。このようにすることで、クレーンにかかる荷重を減らし、クレーンへの負荷を軽減できる。
【0038】
また、ケース部86と蓋体53とを固定したときには、パッキン(図示略)がケース部86と蓋体53の上部フランジ53cとの間で圧接されるため、ケース部86と蓋体53との間の密封性を確保できる。尚、パッキンは、ケース部86の下面に形成された環状溝に圧入されていてもよいし、蓋体53の上部フランジ53c側に設けられた環状溝に圧入されていてもよい。
【0039】
次に、
図4に示されるように、作業弁4の弁体42を退避させて分岐部2aを開放するとともに、上述した切断機5を用いて軸部材81’を連結しながらカッタ52を進行させながら流体管1を不断流状態で切断する。この際、必ずしも別の軸部材81’を連結するとは限らず、予め所定長さの軸部材81を用いて、切断を完了してもよい。
【0040】
尚、筐体2の底部には、下方に凹むように凹部2e(被嵌合部)が形成されており、カッタ52により流体管1を切断した際には、円筒部材52aの下端よりも下方に突出するセンタードリル52bが凹部2e内に離間状態で収容されるようになっているため、センタードリル52bが筐体2を不測に損傷する虞を防止できる。
【0041】
更に尚、凹部2eの底板2f(
図17参照)は、流体を外部に排出可能なドレン15が開閉可能な弁とともに取付けられているため、カッタ52により流体管1を切断する際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出できる。またこの底板2fは、筐体2に対して着脱可能となっているため、凹部2e内のメンテナンスが簡便である。
【0042】
また、図示しないが、カッタ52により流体管1が切断されると、流体管1が切断されることにより形成された切片がカッタ52内に保持された状態となる。そして、カッタ52を切片とともに取付フランジ筒51の内部に引き上げ、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞することで、流体管1の切断作業が完了する。
【0043】
尚、特に図示しないが、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態のまま、先ず、駆動機構8を蓋体53から取外し、蓋体53とカッタ52とを切片とともに取付フランジ筒51から取外し、取付フランジ筒51を作業弁4から取外すことで、切断機5の撤去作業が完了する。このように、切断機5を構成する各部材を別々にクレーンにより運搬できるため、切断機5の撤去作業時におけるクレーンへの負荷を軽減できる。
【0044】
次に、流体管1を切断した箇所に不断流状態でバタフライ弁10を設置する工程について説明する。
図5に示されるように、先ず、作業弁4の弁体42により分岐部2aを閉塞した状態のまま、上下方向に貫通する円筒部材61を吊り具C及びワイヤWにより吊持して作業弁4の上方まで下降させ、作業弁4の上方に円筒部材61を図示しないボルトナット等により固定する。また、円筒部材61と作業弁4(弁箱41)との間には、図示しないOリングが圧接されるため、円筒部材61と作業弁4とが密封状に接続される。
【0045】
次に、円筒部材61に対してバタフライ弁10を仮設置する。
図5に示されるように、バタフライ弁10を円筒部材61に仮設置する際には、先ず、バタフライ弁10の本体部を構成する仕切壁11、開閉軸12及び弁体13を一体化した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して円筒部材61内に収容される位置まで下降させ、仕切壁11、開閉軸12及び弁体13を円筒部材61に保持する。このとき、弁体13は、管軸方向と略平行(仕切壁11の開口を開放した状態)となるように配置する。
【0046】
詳しくは、
図6に示されるように、円筒部材61の上部には、該円筒部材61の軸方向に向けて直交するように貫通する貫通部61aが周方向に4箇所等配されている。この貫通部61aのうち、流体管1の管軸X(
図6(a)参照)と直交する方向を向く貫通部61a’,61a’に係止部材62,62を挿入する。この係止部材62,62は、その挿入方向の先端に平面視略コ字状の嵌合部62aを有するとともに、嵌合部62aの上端に切欠部62bを有しており、この嵌合部62aが仕切壁11の側端部を外嵌し、且つ切欠部62b上に、仕切壁11の上部に側方に向け突設された突部11nが載置された状態で係止されるため、仕切壁11、開閉軸12及び弁体13が円筒部材61に保持されることとなる。このように、流体管1の管軸Xと直交する方向に延設された仕切壁11に近い貫通部61a’,61a’に係止部材62,62を挿入するため、係止部材62,62の延長を短くでき、耐荷重性を高めることができる。また係止部材62の嵌合部62aの反対側には上方に突出した凸部があり、本体部の位置を決める指標となるとともに貫通部61aの端部に当接させて耐荷重性を更に高めている。係止部材62は例えば油圧ジャッキ若しくはネジ機構治具などで駆動することが好ましく、貫通部61aに反力を取って駆動させることが好ましい。
【0047】
図7に示されるように、仕切壁11には、ほぼ中央部に設けられる開口11aと、上部から開口11aに向けて開閉軸12を挿入可能な貫通孔11dを有する上方凸部11bと、弁体13の下方に設けられる軸部13a(
図17参照)を挿入可能な孔部を有する下方凸部11c(嵌合部)と、仕切壁11の両側面から側方に突出して上下方向に延びる側方突条部11e,11eと、側方突条部11e,11eに連続し且つ仕切壁11の底面から下方に突出する下方突条部11fと、が設けられている。
【0048】
側方突条部11e,11eには、長手方向に沿って凹状の溝部11g,11gが形成されている。この側方突条部11e,11eの上端部には、後述する第1シール部材S1の接続部24が嵌合可能な凹部11jが形成されている。なお上記した突部11nは側方突条部11eを前後に挟む位置に設けられている。また、下方突条部11fは、下方凸部11cの周囲を囲うように中央部が大きくなっており、該中央部において下方凸部11cを囲う環状の部分と、該環状の部分の側方から溝部11g,11gに連続する部分と、から構成される溝部11hが形成されている。
【0049】
また、仕切壁11の上面には、バタフライ弁10の蓋体部を構成する上蓋部14を接続するための複数のネジ孔11kと、複数のネジ孔11kが形成された領域を囲うように形成される溝部11mと、が設けられている。ネジ孔11kは、仕切壁11の上面における上方凸部11bの周辺部分と、上方凸部11bの周辺部分から両側に延びる側方部分と、に亘って形成されている。溝部11mには、後述する第3シール部材S3が取付けられる。
【0050】
次に、第1シール部材S1の構造について説明する。
図8に示されるように、第1シール部材S1は、NBR、SBR、CRを含むゴム、エラストマー、樹脂等の弾性部材から構成されており、下方凸部11cを挿通可能な環状部21と、環状部21から側方に延びる第1辺部22,22と、第1辺部22,22の側方端から上方に延びる第2辺部23,23と、第2辺部23,23から向かい合う方向(内方)に膨出する接続部24,24と、を備える。第2辺部23,23は、下方に向けて漸次互いに近づくようにテーパ状に延設されている。また接続部24は、上面側に凹部24Aが形成されており、凹部24Aの側壁は、下方に向けて先細りするようにテーパ面に形成されており、断面視略台形状を成す。尚、側壁は両側にあってもよいし、若しくは片側としてもよく、片側の場合、断面視略L形状となる。
【0051】
環状部21は、仕切壁11の溝部11hにおける下方凸部11cを囲う環状の部分に圧入され、第1辺部22,22は、溝部11hにおける環状の部分の側方から溝部11g,11gに連続する部分に圧入されるようになっている。第2辺部23,23は、仕切壁11の溝部11g,11gに圧入され、接続部24,24は、側方突条部11e,11eの上端部に設けられる凹部11j,11jに圧入されるようになっている。
【0052】
尚、本実施例では、第1シール部材S1における環状部21、第1辺部22,22、第2辺部23,23、接続部24,24が、仕切壁11における溝部11h、溝部11g,11g、凹部11j,11jに圧入される形態を例示したが、これに限られず、例えば、接着剤などにより接着されていてもよい。
【0053】
次に、第3シール部材S3の構造について説明する。
図9に示されるように、第3シール部材S3は、NBR、SBR、CRを含むゴム、エラストマー、樹脂等の弾性部材から構成されており、2つの曲辺部31,31と、曲辺部31,31の両側方に連結して延びる直辺部32,32,…と、両端の直辺部32,32同士を連結する接続部33,33と、を備え全体として無端状に形成されており、曲辺部31,31、直辺部32,32,…、接続部33,33により囲まれた部分が囲繞部として機能する。
【0054】
曲辺部31,31は、仕切壁11の溝部11mにおける上方凸部11bの周辺部分に圧入され、直辺部32,32,…及び接続部33,33は、溝部11mにおける上方凸部11bの周辺部分から両側に延びる側方部分に圧入されるようになっている。仕切壁11に第1シール部材S1及び第3シール部材S3が取付けられた状態にあっては、第1シール部材S1の接続部24,24と第3シール部材S3の接続部33,33とが密封状に接触するようになっている(
図13参照)。
【0055】
尚、本実施例では、第3シール部材S3における曲辺部31,31、直辺部32,32,…、接続部33,33が、仕切壁11における溝部11mに圧入される形態を例示したが、これに限られず、例えば、接着剤などにより接着されていてもよい。
【0056】
次いで、
図10に示されるように、上蓋部14を吊り具C及びワイヤWにより吊持して開閉軸12を挿通させた状態で仕切壁11の上部に載置する。このときには、円筒部材61に設けられた貫通部61aのうち、流体管1の管軸X(
図6(a)参照)の方向を向く貫通部61a,61aに係止部材62,62を新たに挿入する。これにより、係止部材62,62と仕切壁11の上に上蓋部14が係止されることとなり、上蓋部14が安定して円筒部材61に保持されることとなる。また上述と同様に、係止部材62の外径側には上方に突出した凸部があり、上蓋部14の位置を決める指標となるとともに貫通部61aの端部に当接させて耐荷重性を更に高めている。係止部材62は例えば油圧ジャッキ若しくはネジ機構治具などで駆動することが好ましく、貫通部61aに反力を取って駆動させることが好ましい。
【0057】
また、仕切壁11の上部に上蓋部14を吊り降ろす際には、所定の冶具Jの基部から下方に延びる複数の棒状部の一方を上蓋部14の位置決め孔14d(
図11(a)参照)に取り付けておき、上蓋部14を吊り降ろすとともに円筒部材61の孔部(図示略)に冶具Jの他方の棒状部を挿通して位置合わせすることにより、上蓋部14の周方向の位置を、円筒部材61に保持される仕切壁11に対して適正に位置決めしながら吊り降ろすことができる。
【0058】
図11に示されるように、上蓋部14は、上面視略円形状を成し、上蓋部14の周面に上下に離間して設けられる凸条部14a,14bと、凸条部14a,14bの間に形成される凹溝14cと、上蓋部14の上面の周縁部に設けられる複数の位置決め孔14dと、仕切壁11のネジ孔11kと対応する複数の孔14eと、開閉軸12を挿通可能な開口部14fと、を備えている。
【0059】
凸条部14a,14bのうち、上方側に配設される凸条部14aの上面は、外径側に向けて下方に傾斜する傾斜面14gとなっている。また、凸条部14a,14bのうち、下方側に配設される凸条部14bは、周方向において対向する2箇所に切欠凹部14hが形成されており、切欠凹部14hの一部は、連通部14jを介して凹溝14cに連通している。
【0060】
次に、第2シール部材S2の構造について説明する。
図12に示されるように、第2シール部材S2は、NBR、SBR、CRを含むゴム、エラストマー、樹脂等の弾性部材から構成されており、略円形状の環状部91と、環状部91の対向する2箇所に設けられる接続部92,92と、を備えている。接続部92は、下方に向けて先細りするように下方に突出する断面視略台形状の凸部92Aを有している。接続部92は、連結部92aを介して環状部91の下方側に配設されているとともに、他方の接続部92に向けて(内径側に)膨出している。なお、凸部92Aの正面視で下外側に切欠きが形成されているが、当該切欠きはなくてもよい。
【0061】
環状部91は、上蓋部14の凹溝14cに圧入され、連結部92aは、連通部14jに圧入され、接続部92,92は、切欠凹部14hに圧入されるようになっている。また、第2シール部材S2を上蓋部14に取付けた状態にあっては、凸部92Aが凸条部14bよりも下方に突出するようになっている(
図13参照)。
【0062】
尚、本実施例では、第2シール部材S2における環状部91、連結部92a、接続部92,92が、上蓋部14における凹溝14c、連通部14j、切欠凹部14hに圧入される形態を例示したが、これに限られず、例えば、接着剤などにより接着されていてもよい。
【0063】
前述のように、仕切壁11の上部に上蓋部14を吊り降ろすと、
図13に示されるように、第2シール部材S2の凸部92Aが第1シール部材S1の凹部24A内に凹凸嵌合するようになり、第1シール部材S1の接続部24と、第2シール部材S2の接続部92と、が密封状に接触する。尚、凸部92Aと凹部24Aとのテーパ面同士でガイドされるため、上蓋部14を下方に吊り降ろすと同時に平面方向に位置決めがされ、第1シール部材S1の接続部24と、第2シール部材S2の接続部92とを高い精度で凹凸嵌合させることができる。
【0064】
また、第3シール部材S3は、仕切壁11と上蓋部14との分割面間に圧接される。そして、仕切壁11のネジ孔11kと上蓋部14の孔14eとに図示しないボルトなどの連結部材を螺挿することにより上蓋部14と仕切壁11との分割面間で第3シール部材S3がさらに圧接されることで密封状に接続され、
図14に示されるように、バタフライ弁10が構成される。前記連結部材は、上蓋部14と仕切壁11との分割面間で第3シール部材S3により密封状に囲繞される。なお、第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3の接続部の嵌合は凹凸嵌合でもよいし、平面同士を接続してもよい。
【0065】
尚、本実施例では、一体化した仕切壁11、開閉軸12及び弁体13に対して上蓋部14を固定することでバタフライ弁10を円筒部材61上で構成する形態を例示したが、仕切壁11、開閉軸12、弁体13、上蓋部14をそれぞれ順番に別々に設置することでバタフライ弁10を構成してもよい。また、仕切壁11と弁体13を一体化し、開閉軸12と上蓋部14を一体化し、それらを組み立てることでバタフライ弁10を構成してもよい。つまり、少なくとも上蓋部14が他の部材(本体部)から分割されており、且つそれらを組み立てることでバタフライ弁10が構成される形態であれば自由に変更することができる。
【0066】
また、バタフライ弁10は、弁体13の弁翼部に充水孔を有し、弁体13を小開度にすることで、充水孔により下流側に流体を少量ずつ制御しながら安全に通過させることができる充水型バタフライ弁であることが好ましい。このようにすることで、従来の弁の上流側及び下流側を連通するバイパス管をなくし、筐体の小型化・簡略化が図れる。尚、もちろん充水型以外の弁も適用可能である。
【0067】
次に、
図14に示されるように、上下方向に貫通する取付フランジ筒63を吊り具C及びワイヤWにより吊持して円筒部材61の上方まで下降させ、円筒部材61の上方に取付フランジ筒63を図示しないボルトナット等により固定する。
【0068】
また、円筒部材61と取付フランジ筒63との間には、環状のパッキン(図示略)が圧接されているため、円筒部材61と取付フランジ筒63との間の密封性を確保できる。尚、パッキンは取付フランジ筒63の下面に形成された環状溝に圧入されていてもよいし、円筒部材61側に設けられる環状溝に圧入されていてもよい。
【0069】
次に、取付フランジ筒63に対してバタフライ弁10と接続される弁吊金具64を仮設置する。詳しくは、弁吊金具64の上方に取付フランジ筒63の蓋体65を接続した状態で吊り具C及びワイヤWにより吊持して取付フランジ筒63の上方まで下降させる。弁吊金具64は、略水平方向を向く取付面部64aと、取付面部64aの略中心から上方に延びる筒状の軸部64bと、を備えている。また、軸部64bの上端部には、アダプタ66が接続されている。
【0070】
また、蓋体65は、中心部に上下方向に貫通する貫通孔65aが形成されており、貫通孔65aにアダプタ66が挿通されている。また、蓋体65は、貫通孔65aの内周面から外径方向に凹設される凹部65bが周方向に複数形成されており、凹部65bには、貫通孔65aの径方向に進退可能な固定冶具67が配設されている。固定冶具67が貫通孔65aの内径方向に突出し、アダプタ66の環状突部66aの下面に係止することで、弁吊金具64と蓋体65とが一体化されている。
【0071】
取付フランジ筒63の上端に蓋体65を載置した状態で取付フランジ筒63と蓋体65との位置合わせを行い、図示しないボルトナット等により固定する。その後、支持機構7を蓋体65の下部フランジ65dに設置する。
【0072】
尚、取付フランジ筒63と蓋体65との間には、パッキンが周方向に亘って圧接されるため、取付フランジ筒63と蓋体65との間の密封性を確保できる。尚、パッキンは、蓋体65側に設けられた凹溝に圧入されていてもよいし、取付フランジ筒63側に設けられた凹溝に圧入されていてもよい。
【0073】
次に、駆動機構8を弁吊金具64に接続する。尚、駆動機構8は、流体管1の切断作業時に用いたものと同一のものを使用している。また、駆動機構8と弁吊金具64との接続は、前述した流体管1の切断作業時において、駆動機構8とカッタ52と接続と同一であるため、その説明を省略する。
【0074】
次いで、特に図示しないが、駆動機構8により弁吊金具64を下降させ、弁吊金具64の取付面部64aとバタフライ弁10の上蓋部14とを図示しないボルトナットにより接続する。この際、バタフライ弁10の下端部が弁体42と接触しないように調整されるのは言うまでもない。その後、駆動機構8により流体管1の切断された箇所にバタフライ弁10を挿入する。
【0075】
図10,
図17に示されるように、筐体2の側部内壁面には、他の部位よりも筐体2の内側に突出する側壁段部2c,2cが互いに対向するように形成されている。この側壁段部2cは、上記した第1シール部材S1の側部(第2辺部23,23)と同様に、下方に向けて漸次互いに近づくようにテーパ状に延設されている。よって
図15に示されるように、バタフライ弁10が筐体2内に挿入される際には、第1シール部材S1の側部(第2辺部23,23)が側壁段部2cに近接した離間状態で筐体2内に挿入され、バタフライ弁10が筐体2内に設置されると同時に、第2辺部23,23が側壁段部2cに圧接される。
【0076】
また、バタフライ弁10が筐体2内に所定の深度挿入された際には、バタフライ弁10の第1シール部材S1の底部(環状部21、第1辺部22,22)が筐体2の底部内壁面に形成される底壁段部2d(
図17参照)に圧接されるとともに、下方凸部11cが筐体2の凹部2eに遊嵌されるようになっている。これにより、挿入作業時にバタフライ弁10が筐体2に対して大きく傾くこと防止できる。また、バタフライ弁10が筐体2内に所定の深度挿入された際には、第2シール部材S2の外周面(環状部91)が分岐部2aの内壁面の全周に亘って圧接される。
【0077】
次いで、筐体2の分岐部2aの周方向に複数設けられた径方向に進退自在な押えネジN2を分岐部2aの内径方向に進行させる。これにより、押えネジN2が上蓋部14を上方から押さえるように係止して、バタフライ弁10が分岐部2aから抜け出すことが防止される。尚、押えネジN2の先端部は先細りするテーパ形状となっており、押えネジN2の先端部が上蓋部14の傾斜面14gに摺接するため、上蓋部14の多少の傾きを矯正することができる。
【0078】
このように、押えネジN2が上蓋部14を上方から押さえることにより、駆動機構8、弁吊金具64、蓋体65、取付フランジ筒63、円筒部材61、及び作業弁4を筐体2から取外すことができるようになる。
【0079】
前述したように、バタフライ弁10は、筐体2への挿入時に下方凸部11cが筐体2の凹部2eに遊嵌されるようになっているため、バタフライ弁10が筐体2に対して大きく傾くことを防止できるが、下方凸部11cと凹部2eとの間には隙間が形成されるため、駆動機構8による挿入精度や流体圧、流速による影響等により、筐体2に対する適正角度よりも若干傾いてしまう虞がある。例えば、
図15に示されるように、バタフライ弁10が図面左側から右側に向けて流れる流体の影響により、該バタフライ弁10の設置の際の自由端側である下端部(下方凸部11c側)が下流側(図面右側)に傾く場合がある。本実施例の制流装置にあっては、バタフライ弁10が適正角度よりも傾いた場合でもバタフライ弁10の筐体2に対する傾きを微調整できるようになっている。
【0080】
具体的には、
図16に示されるように、バタフライ弁10を筐体2に設置した後、押えネジN2を内方に螺挿して上蓋部14を押さえ、駆動機構8、弁吊金具64、蓋体65、取付フランジ筒63、円筒部材61、及び作業弁4を筐体2から取外す。その後、筐体2の凹部2eにおける管軸Xと同一方向の両壁部を貫通するように設けられたネジ孔2g,2gのうち、下流側(図面右側)のネジ孔2g内に退避した押圧ネジN3を外部から操作して下方凸部11cを上流側(図面左側)に押圧し、筐体2に対するバタフライ弁10の傾きが適正となるまで調整する。このとき、第2シール部材S2を支点とし、且つ第1シール部材S1の底部が平坦な底壁段部2d上を滑りながらバタフライ弁10の角度が調整される。尚、バタフライ弁10は、仕切壁11が筐体2の底面に対し垂直且つ管軸方向に直交する位置に調整されると好ましい。
【0081】
その後、上流側(図面左側)のネジ孔2gに螺挿される押圧ネジN3を外部から操作して進行させ、下方凸部11cを上流側と下流側の押圧ネジN3,N3により狭持する。すなわち、押圧ネジN3,N3は、バタフライ弁10の筐体2に対する傾きを微調整するだけでなく、流体圧により仕切壁11が傾倒することを防止する機能を有する。
【0082】
また、下方凸部11cを上流側と下流側の押圧ネジN3,N3により狭持する際には、押圧ネジN3,N3の先端N31,N31を下方凸部11cに食い込ませてもよい。これによれば、下方凸部11cの周面に、押圧ネジN3,N3が係止される係止凹部11p,11pが形成されるため、流体の水圧によりバタフライ弁10が下方凸部11cの軸を中心として回転することを防止できる。尚、押圧ネジN3,N3の先端の形状は、本実施例では平坦面であるが、これに限らず、例えば先鋭形状でも構わない。
【0083】
次いで、分岐部2aのフランジ2bに対して、上面視環状の蓋部材16を固定する。蓋部材16は、下方に環状に突出する突出片16aが設けられており、突出片16aが上蓋部14の上面を上方から押圧するため、押えネジN2とともにバタフライ弁10が分岐部2aから抜け出すことを防止する。これにより、バタフライ弁10の筐体2への設置が完了する。また、不断流状態での切断や弁設置などの際に全ての窓部や貫通部、作業孔などには蓋を密封状に取り付けるのは言うまでもない。
【0084】
以上、説明したように、本実施例の制流装置は、筐体2に制流体としてのバタフライ弁10が設置されることにより構成されるものであって、仕切壁11(本体部の一部)の挿入方向の先端側に嵌合部としての下方凸部11cが設けられるとともに、筐体2の内底部に、バタフライ弁10が筐体2内に挿入された状態で下方凸部11cが嵌合する被嵌合部としての凹部2eが設けられ、下方凸部11cと凹部2eとの間に、筐体2に対するバタフライ弁10の傾きを調整して位置合わせを行う位置調整部としての押圧ネジN3が設けられている。これによれば、仕切壁11の下方凸部11cが筐体2内の凹部2eに嵌合された状態のバタフライ弁10の挿入深度にて、この挿入深度に影響を与えることなく押圧ネジN3によりバタフライ弁10の傾きを調整して筐体2に対し位置合わせできるため、筐体2内に精度よく設置されたバタフライ弁10の密封性を安定的に高めることができる。
【0085】
換言すれば、下方凸部11cと凹部2eとを挿入方向に嵌合させた状態でバタフライ弁10の挿入深度を調整する深度調整工程と、深度調整工程で調整された挿入深度にて、筐体2に対するバタフライ弁10の傾きを調整して位置合わせを行う位置合わせ工程と、を行うことができるため、筐体2内に精度よくバタフライ弁10を設置できる。
【0086】
また、押圧ネジN3によりバタフライ弁10の傾きを調整する際には、バタフライ弁10が筐体2内に挿入された状態にて分岐部2aの内壁面を密封する第2シール部材S2を支点としてバタフライ弁10の傾きが調整されるため、バタフライ弁10の傾き調整の際に、傾き調整の支点となる第2シール部材S2がほとんど動くことが無く、傾き調整しても密封性を維持できる。
【0087】
また、押圧ネジN3は、凹部2eにおける管軸Xと同一方向の両壁部に設けられ下方凸部11cを流体管1の管軸Xの方向に押圧する。すなわち、バタフライ弁10が流体管1内の流体の影響を最も受けやすい管軸Xの方向に下方凸部11cを押圧できるため、精度よく傾き調整ができる。また調整後においても、バタフライ弁10に対し管内流体の圧力が下流側に向けて作用するが、特にバタフライ弁10の下流側の押圧ネジN3が下方凸部11cを支持しているため、バタフライ弁10の傾きが長期に亘り防止される。尚、本実施例では、押圧ネジN3が凹部2eの両壁部に設けられる形態を例示したが、押圧ネジN3は、少なくとも、流体管1内の流体の下流側に設けられ、該下流側から下方凸部11cを上流側に向けて押圧できればよい。
【0088】
また、押圧ネジN3は、下方凸部11cの回転を防止する回転防止部として、押圧ネジN3,N3の先端N31,N31を下方凸部11cに食い込ませることにより、下方凸部11cに押圧ネジN3,N3が係止される係止凹部11p,11pが形成されるため、バタフライ弁10の位置調整とともにバタフライ弁10が回転することを防止できる。尚、係止凹部11p,11pは、予め設けられていてもよい。
【0089】
また、筐体2の内底部に、凹部2eに連なり第1シール部材S1の底部が密接する平坦なシール座面としての底壁段部2dが形成されており、押圧ネジN3によりバタフライ弁10の傾きを調整する際には、第1シール部材S1の底部が平坦な底壁段部2d上を滑りながら容易にバタフライ弁10の角度が調整できるばかりか、第1シール部材S1に捻じれ等が生じることなく密封性を維持できる。言い換えれば、底壁段部2dに凹凸が形成されないので、バタフライ弁10の角度調整や第1シール部材S1の密封性に影響を与えない。
【0090】
また、凹部2eに、筐体2内を開閉可能なドレン15が設けられている。詳しくは、凹部2eの底板2fには、ドレン15が着脱可能に取付けられる取付孔15aが形成されている。バタフライ弁10が適正に筐体2に設置された際には、第1シール部材S1の底部と底壁段部2dとが密封状に圧接されるため、凹部2e内に流体が入り込まないようになる。すなわち、取付孔15aを開放し、取付孔15aから流体が漏れ出すか否かにより、位置調整されたバタフライ弁10の密封性能を確認することができる。尚、バタフライ弁10の密封性能を確認した後には、キャップなどにより取付孔15aを密封状に栓をする。さらに尚、ドレン15を取外さなくても、ドレン15の弁を開放することによりバタフライ弁10の密封性能を確認することができることは言うまでもない。
【0091】
尚、本実施例では、下方凸部11cの上流側及び下流側に押圧ネジN3を1つずつ設けた形態を例示したが、押圧ネジN3は下方凸部11cの周辺に複数設けられていてもよい。これによれば、下方凸部11cを複数の方向から押圧できるため、傾き調整の自由度が高い。さらに尚、下方凸部11cは、略円筒状に形成されることに限られず、平面視矩形状などに形成されていてもよい。
【0092】
また、前記実施例では、筐体2に対するバタフライ弁10の傾きを調整して位置合わせを行う位置調整部として押圧ネジN3を用いる形態を例示したが、
図18に示されるように、筐体2の凹部2eにおける管軸Xと同一方向の両壁部を貫通するように設けられた貫通孔2h,2hを介して、凹部2eと下方凸部11cとの間に充填される充填材17であってもよい(変形例1)。この場合、充填材17を下流側(図面右側)の貫通孔2hから充填することにより、充填材17の圧力により筐体2に対するバタフライ弁10の傾きが調整される。また、傾き調整後には、充填材17を両側の貫通孔2h,2hから筐体2に対するバタフライ弁10の傾きが適正な状態が保たれる。また凹部2eの内周面、充填材17の表面、及び下方凸部11cの外周面を回転防止部として、これらの面同士の互いの摩擦により、バタフライ弁10が回転することを防止できる。
【0093】
また、位置調整部の別の変形例として、
図19に示されるように、凹部2eと下方凸部11cとの間に挿入される金属板等から構成されるスペーサ18,18であってもよい(変形例2)。このスペーサ18,18は、バタフライ弁10を筐体2内に所定の深度挿入した後に、凹部2eの底板2fを筐体2から取外し、下方側から凹部2eと下方凸部11cとの間に挿入される。厚みの異なるスペーサ18を複数種類用意しておき、凹部2eと下方凸部11cとの間に所定の厚みを有するスペーサ18を適宜挿入することでバタフライ弁10の傾きを調整できる。尚、スペーサ18は、底板2fに対して固定されており、底板2fを筐体2に固定することで、凹部2eと下方凸部11cとの間に挿入されるものであってもよい。
【0094】
また、前記実施例では、制流体としてバタフライ弁10を用いる形態を例示したが、下方凸部11c(嵌合部)、凹部2e(被嵌合部)、及び押圧ネジN3(位置調整部)を有していれば、例えば、
図20に示されるように、流体管1内の流路を開閉する仕切弁100に変更してもよい(変形例3)。この仕切弁100は、仕切壁101、開閉軸102、弁体103及び上蓋部104が一体的に形成されている。仕切壁101には、流体管1の管軸方向に貫通する開口を有し、弁体103は、開閉軸102の操作により仕切壁101の前記開口を閉塞する位置と、開放する位置との間で上下に移動可能となっている。
【0095】
次に変形例4の駆動機構8の取付け手順について説明する。尚、ここでは、カッタ52と駆動機構8とを接続する態様を例に挙げ説明する。
【0096】
図21(a)に示されるように、駆動機構8をカッタ52と接続する際には、先ず、蓋体53の上部フランジ53cの周方向にジャッキ70を複数配置しておき、吊り具C及びワイヤWにより駆動機構8を吊り下げ、ケース部86をジャッキ70上に載置する。次いで、ジャッキ70により形成されるケース部86と蓋体53の上部フランジ53cとの隙間から作業者がアクセスして、軸部材81とアダプタ54とを接続する。
【0097】
次いで、
図21(b)に示されるように、把持部材82により軸部材81を把持するとともに、規制部材84による軸部材81の把持を解除する。そして、進退部材83と基部材85との間に設けられる伸縮可能なシリンダ88を収縮させ、規制部材84、基部材85、ケース部86を上昇させる。これにより、ケース部86がジャッキ70から上方へ離間するため、ジャッキ70を上部フランジ53cから取外すことができる。
【0098】
ジャッキ70を上部フランジ53cから取外した後、
図21(c)に示されるように、シリンダ88を伸長させることで、ケース部86を上部フランジ53cに載置し図示しないボルトナットにより固定する。その後、
図21(d)に示されるように、シリンダ88を再度収縮させ、軸部材81、アダプタ54、カッタ52を上昇させ、固定冶具55を凹部53b内に退避させる。尚、このとき、クレーンにより吊りながら駆動機構8とカッタ52と接続してもよい。
【0099】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0100】
例えば、前記実施例では、制流体としてバタフライ弁10を用いる形態を例示したが、本発明はこれに限られず、例えば、制流体は、仕切弁、プラグ、または切換弁等であってもよい。また例えば前記実施例では、作業弁4を複数の分割体から構成され、これらの分割体を順に吊上げる態様を例示したが、これに限らず作業弁を一体に吊上げまたは一体に構成してもよい。
【0101】
また、前記実施例では、バタフライ弁10が本体部である仕切壁11、開閉軸12及び弁体13と、蓋体部である上蓋部14とからなる分割構造であったが、これに限られず、仕切壁11、開閉軸12及び弁体13を更に分割構造としてもよいし、各部材が一体化された構造であってもよい。
【0102】
また、前記実施例では、制流体の嵌合部が下方凸部11cであり、筐体の被嵌合部が凹部2eである形態を例示したが、これに限られず、互いに凹凸嵌合可能であればよく、制流体の嵌合部が凹形状を成し、筐体の被嵌合部が凸形状を成していてもよい。