特許第6937231号(P6937231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937231
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】発電装置および発電方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/00 20060101AFI20210909BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20210909BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20210909BHJP
   F04F 5/10 20060101ALI20210909BHJP
   F04F 5/44 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   F01K25/00 G
   F01K25/10 D
   F01K9/00 A
   F01K25/10 J
   F04F5/10 A
   F04F5/10 C
   F04F5/44 D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-234264(P2017-234264)
(22)【出願日】2017年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-100291(P2019-100291A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰
(72)【発明者】
【氏名】小川 斗
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭明
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−036456(JP,A)
【文献】 特開2017−082624(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/195670(WO,A3)
【文献】 国際公開第2016/156800(WO,A3)
【文献】 特開2001−221015(JP,A)
【文献】 特開2015−047527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 25/00
F01K 25/10
F01K 9/00
F04F 5/10
F04F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共沸媒体からなる循環媒体を加熱する加熱器と、
前記加熱によって生じた気体と液体とを分離する気液分離器と、
前記気体でタービンを回転させて起電する発電機と、
前記タービンから導かれた気体および前記気液分離器から導かれた液体を前記循環媒体として再生する凝縮吸収器とを具備してなり、
前記凝縮吸収器から外部に導き出された前記循環媒体を、前記加熱器へ向かう前記循環媒体の経路の分岐部で前記循環媒体のうちの一部を分岐させ、この分岐された前記循環媒体を前記加熱器に導くことなく冷却器に導くバイパス経路、および冷却器、ならびに前記冷却器で冷却された後の前記循環媒体を前記凝縮吸収器へ戻す経路をさらに具備することを特徴とする、発電装置。
【請求項2】
前記気液分離器から導かれた液体が前記凝縮吸収器に直接導入される経路を有する、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記気液分離器から導かれた液体が前記冷却器に導入される経路を有する、請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記バイパス経路を経由して前記冷却器に導かれる液体と、前記気液分離器から前記冷却器に導かれる液体とが合流し、合流した液体が前記冷却器に導かれるように結合する合流部を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記合流部が、ジェットポンプである、請求項4に記載の発電装置。
【請求項6】
前記凝縮吸収器が、エジェクタおよびタンクを具備する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項7】
前記凝縮吸収器は、前記エジェクタにおけるガス吸引部下流に、さらにディフューザを具備してなり、このディフューザの先端の向きが流体の流れる方向に鉛直下向きとなっており、このディフューザの先端が前記タンク内の液位よりも下にある、請求項6に記載の発電装置。
【請求項8】
前記ディフューザの内部に、さらに撹拌促進部材を具備する、請求項7に記載の発電装置。
【請求項9】
前記凝縮吸収器は、内部に熱交換器を具備しないものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項10】
非共沸媒体からなる循環媒体を加熱する加熱工程(イ)と、
前記加熱によって生じた気体と液体とを分離する気液分離工程(ロ)と、
前記気体でタービンを回転させて起電する工程(ハ)と、
前記タービンから導かれた気体および前記気液分離工程(ロ)で生じた液体を凝縮吸収器において前記循環媒体として再生する工程(ニ)と、
前記凝縮吸収器から外部に導き出された前記循環媒体を、前記加熱工程(イ)を実施する加熱器へ向かう前記循環媒体の経路の分岐部で前記循環媒体のうちの一部を分岐させ、この分岐された前記循環媒体を前記加熱工程(イ)に付すことなく、バイパス経路を経て冷却器に導き、前記冷却器で冷却された後の前記循環媒体を前記凝縮吸収器へ戻す工程(ホ)とを含んでなり、
前記の循環媒体の循環によって連続的に発電を行なうことを特徴とする、発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電装置および発電方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
低温の排熱や温泉などを熱源として発電を行う装置構成としては、ペンタンなどの有機物や代替フロンを媒体として用いる有機ランキンサイクルと、例えば水にアンモニアを溶解させた非共沸媒体を用いるカリーナサイクルとを挙げることが出来る。
【0003】
このうち、非共沸媒体を用いた発電装置では、熱を加えて溶解しているガスを気化させる気化器において溶解したガスの放出とともに媒体の温度が上昇する特性があるため、放出されるガスの温度を熱源の温度に近づけやすく、そのため熱効率を高めやすいというメリットがある。しかし、その反面、ガスを放出した媒体をガス吸収器へ戻す必要があり、その際に媒体が保有している熱を、有効活用するため気化器への給液と熱交換するなどの工夫が必要となる。また、タービン等の膨張器下流での圧力を低く保つために、ガスの溶解についても工夫が必要である。その一例として、タービン下流のガスをエジェクタで吸引するというものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−36456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、従来の典型的な非共沸媒体発電装置の例を示すものである。
【0006】
この発電装置では、タンク1cよりガスを吸収した液(以下、リッチ液と呼ぶ)をポンプ8により加熱器2へ送っている。このリッチ液を加熱器2で加熱して、ガスを発生させた後、気液分離器3でガスとガスを放出した媒体(以下、リーン液と呼ぶ)とに分離する。このうち、ガスはタービン4等のガスの膨張を利用したエネルギー変換機により動力へ変換し、発電機5を駆動して電気エネルギーを得る。一方、気液分離器3で分離されたリーン液は凝縮吸収器1へ戻されるが、このリーン液はガスを放出したものの温度が高いため、その際に熱交換器7aによりリッチ液と熱交換して熱を有効利用する。ただし、熱交換には温度差が必要なため、熱交換器7aでは熱の全量をリッチ液に渡すことはできず、タンク1c内の温度までは低下できない。リーン液とはいえ、溶け込んだガスが一部残っていることから、タンク1c内の温度程度まで低下せずに低圧の吸収塔へリーン液を放出すると、溶け込んでいたガスが放出されて、吸収塔内の圧力が上昇してしまい、タービン4での膨張比を低下させてしまう。
【0007】
そのため、さらに冷温源を利用した熱交換器7bを設けてリーン液を冷却する必要がある。また、凝縮吸収器1内の冷却は、リーン液にガスを吸収させると溶解熱が発生することから、吸収塔内の圧力上昇を押させるため必要となる。
【0008】
このような構成とすると、熱交換器は7a、7b、および凝縮吸収器1内の熱交換器7cと3か所での熱交換器が必要となり、非共沸媒体を用いた発電装置の構成はかさばるものとなってしまい、コストが増大してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成かつコンパクト化が可能な非共沸媒体を用いた発電装置を得ることを目的とする。
【0010】
したがって、本発明の実施形態による発電装置は、
非共沸媒体からなる循環媒体を加熱する加熱器と、
前記加熱によって生じた気体と液体とを分離する気液分離器と、
前記気体でタービンを回転させて起電する発電機と、
前記タービンから導かれた気体および前記気液分離器から導かれた液体を前記循環媒体として再生する凝縮吸収器とを具備してなり、
前記凝縮吸収器から外部へ導きだされた前記循環媒体の一部を、前記加熱器に導くことなく、冷却器に導くバイパス経路および冷却器をさらに具備することを特徴とするもの、である。
【0011】
そして、本発明の実施形態による発電方法は、
非共沸媒体からなる循環媒体を加熱する工程と、
前記加熱によって生じた気体と液体とを分離する気液分離工程と、
前記気体でタービンを回転させて起電する工程と、
前記タービンから導かれた気体および前記気液分離工程で生じた液体を凝縮吸収器において前記循環媒体として再生する工程と、
前記凝縮吸収器から外部へ導きだされた前記循環媒体の一部を、前記加熱工程に付すことなく、バイパス経路を経て冷却器に導き冷却する工程とを含んでなり、
前記の循環媒体の循環によって連続的に発電を行なうことを特徴とするもの、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、簡易な構成かつコンパクト化が可能な非共沸媒体を用いた発電装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態による発電装置および発電方法の構成を示す概略図。
図2】実施形態による発電装置および発電方法の構成を示す概略図。
図3】実施形態による発電装置および発電方法の構成を示す概略図。
図4】実施形態による発電装置および発電方法の構成を示す概略図。
図5】実施形態による発電装置および発電方法の構成を示す概略図。
図6】実施形態による発電装置および発電方法の構成を示す概略図。
図7】従来の非共沸媒体発電装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る非共沸媒体を用いた発電装置の実施例について、図面を参照して説明する。なお、好ましい非共沸媒体としては、水−アンモニアの他、アミン水溶液−二酸化炭素が実用的な媒体として例示できるが、本特許はそれらに限定されるものではない。
【0015】
実施形態に係る発電方法および発電方法の好ましい幾つかの実施例について、図面を参照して説明する。
【0016】
<発電装置>
図1〜5は、本発明の実施形態による発電装置の好ましい具体例の概要について示すものである。
図1〜5に示される発電装置は、
非共沸媒体からなる循環媒体Xを加熱する加熱器2と、
前記加熱によって生じた気体X1と液体X2とを分離する気液分離器3と、
前記気体でタービン4を回転させて起電する発電機5と、
前記タービン4から導かれた気体X1および前記気液分離器3から導かれた液体X2を前記循環媒体Xとして再生する凝縮吸収器1を具備してなり、
前記凝縮吸収器から外部へ導きだされた前記循環媒体Xの一部を、前記加熱器2に導くことなく、冷却器6に導くバイパス経路L2および冷却器6をさらに具備してなるものである。
【0017】
図1〜5の実施形態において、凝縮吸収器1では、タービンから導かれた気体X1と、気液分離器3から導かれた液体X2および循環媒体X3とを接触させて、気体X1を、液体X2および循環媒体X3に吸収させると共に気体X1を凝縮させて循環媒体Xとして再生することが行われる。したがって、この循環媒体Xは、凝縮吸収器1内に存在するときならびに凝縮吸収器1から外部へ導きだされた直後は、ガス(即ち、主として気体X1に由来するもの)を豊富に溶解したものとなっており(以下、本明細書において、「ガスを豊富に溶解した循環媒体X」を「リッチ媒体」ということがある)、比較的低温(例えば、水−アンモニア系の非共沸媒体を循環媒体Xとして用いる場合は常温程度(通常、5〜40℃))のものである。
【0018】
凝縮吸収器1から外部に導きだされた循環媒体Xは、熱交換器7で加熱されたのち、加熱器2に導入される。この加熱器2では、外部から供給された熱によって、循環媒体Xの加熱が行われるようになっている。
【0019】
加熱された循環媒体Xは、気液分離器3に導入されて、比較的高温でありかつ高圧の気体X1と液体X2とに分離される。このうち、気体X1は、タービン4に導入されて膨張し、これを駆動する。この駆動エネルギーが発電機5を駆動することによって発電される。タービン4から排出された気体X1は、凝縮吸収器1に導かれる。
【0020】
一方、気液分離器3中の液体X2は、熱交換器7で熱を放出した後、凝縮吸収器1に導かれる。(以下、液体X2を、本明細書において「リーン媒体」ということがある。)
凝縮吸収器1では、前記の通りに、タービンから導かれた気体X1と、気液分離器3から導かれた液体X2および循環媒体X3とを接触させて、気体X1を、液体X2および循環媒体X3に吸収させると共に気体X1を凝縮させて循環媒体Xとして再生することが行われる。凝縮吸収器1で再生された循環媒体Xは、再び加熱器2に循環されて、前記と同様に、再び発電に利用される。
【0021】
図1図4に示される凝縮吸収器1は、吸収塔1aの上部に、気体X1、液体X2および循環媒体X3が導入され、これらの気体X1、液体X2および循環媒体X3が接触しつつ、吸収塔1aの内部を下降する際に、気体X1が液体X2および循環媒体X3に吸収させると共に気体X1が凝縮し、循環媒体Xとして再生される。この再生を効率よくかつ確実に行うために、吸収塔1aの内部には、充填材1bを充填することが好ましい。吸収塔1aで再生された循環媒体Xは、タンク1cに一時的に貯留され、凝縮吸収器1から取り出された後、加熱器2へ循環され、一部は循環媒体X3として冷却設備へ循環される。
【0022】
図5に示される凝縮吸収器1は、エジェクタ1dおよびタンク1cを具備するものである。エジェクタ1dの上部に導入された気体X1、液体X2および循環媒体X3が接触しつつエジェクタ1dの内部を下降する際に、気体X1を液体X2および循環媒体X3に吸収させると共に気体X1が凝縮して循環媒体Xとして再生される。再生された循環媒体Xは、タンク1cに一時的に貯留され、凝縮吸収器1から取り出された後、再び加熱器2へ循環され、一部は循環媒体X3として冷却設備へ循環される。
【0023】
本発明の実施形態による発電装置は、凝縮吸収器1から外部へ導きだされた循環媒体Xの一部である循環媒体X3を冷却器6に導くバイパス経路L2、および冷却器6を必須の構成として具備している。すなわち、凝縮吸収器1から外部へ導きだされた循環媒体Xの一部である循環媒体X3を、前記加熱器2に導くことなく、冷却器6に導いて、前記凝縮吸収器1へ循環させる冷却設備を具備している。ここで、「冷却設備」は、少なくとも1つの冷却器6と、循環媒体X3を循環させる手段(例えば、循環媒体X3の流通ラインL1〜L3や、必要に応じて、後述するポンプ8やジェットポンプ11など)を有することができる。
【0024】
特に、図1および図2に示される実施形態は、循環媒体X3の循環を、循環媒体Xを加熱器2へ導入するポンプ8を利用して行うものである。したがって、このような実施形態では、通常、ポンプ8以降に分岐部9を設けて、バイパス経路L2を経由して循環媒体X3が冷却器6に導かれるように構成される。
【0025】
また、図3図5に示される実施形態は、循環媒体X3の循環を、循環媒体Xを加熱器2へ導入するポンプ8を利用しないで行うものである。このようにポンプ8を利用しない場合には、循環媒体Xの循環経路とは別に、循環媒体X3の循環経路を設けることができる。このような場合、ポンプ8の駆動力を低減できるので、ポンプ8の小型化、駆動エネルギーの低減、装置運転コストの低減などを図ることができる。
【0026】
上記のように、本発明の実施形態による発電装置は、所定の凝縮吸収器1、加熱器2、気液分離器3、バイパス経路L2および冷却器6を必須とするが、循環媒体X、気体X1、液体X2、循環媒体X3を循環ないし流通させる流通ライン(例えば、流通ラインL1、L3〜L9等)ならびにポンプ8、後述するジェットポンプ11、その他等を、必要に応じて具備することができる。
【0027】
そして、図1図4に示される凝縮吸収器1は、凝吸収器1の内部に熱交換器を具備しない。
【0028】
<<第一の実施形態>>
本発明の第一の実施形態による発電装置を図1を用いて説明する。
【0029】
本実施形態は、凝縮吸収器1から加熱器2へ向かう循環媒体Xのラインを、分岐部9で分岐し、循環媒体Xの一部である循環媒体X3を、気液分離器3から導かれた液体X2と合流後(合流部10)、熱冷却器6に導き、冷却器6で冷却後、凝縮吸収器1へ戻るように構成されている。
【0030】
この第一の実施形態は、第一の実施形態は、バイパス経路L2を経て冷却器6に導かれる液体X3と、気液分離器3から冷却器6に導かれる液体X2とが合流し、合流した液体X3+X2が冷却器6に導かれるように結合する合流部10を有するものの一具体例に該当する。
【0031】
本実施形態では、冷却器6が、循環媒体X3および液体X2の冷却を行うことによって十分な熱交換が可能であるため、凝縮吸収器1内での熱交換器(図7中の7c)を削除することができる。このように構成された本実施形態においては、液体X2についても循環媒体X3との合流により温度を低下させることができるとともに、凝縮吸収器1内での冷却が不要なため、凝縮吸収器1の構成が簡素化されている。
【0032】
そして、本実施形態では、循環媒体X3を、より高温の液体X2と合流させて温度を高めてから、冷却器6に導入している。よって、冷却器6による冷却効果が高い。これにより、冷却器6が比較的小型のでも十分な冷却効果を得ることができる。
【0033】
<<第二の実施形態>>
本発明の第二の実施形態による発電装置を図2を用いて説明する。
【0034】
本実施形態は、凝縮吸収器1から加熱器2へ向かう循環媒体Xのラインを、分岐部9で分岐し、循環媒体Xの一部である循環媒体X3をバイパス経路L2を経て熱冷却器6に導き、冷却器6で冷却後、気液分離器3から導かれた液体X2と合流後(合流部10)、合流した液体X3+X2が凝縮吸収器1へ戻るように構成されている。
【0035】
この図2の実施形態は、気液分離器3から導かれた液体X2が凝縮吸収器1に直接導入される経路を有するもの、の一具体例に該当する。
【0036】
本実施形態では、冷却器6が、循環媒体X3の冷却を行うことによって十分な熱交換が可能であるため、凝縮吸収器1内の冷却を行うことができる。そして、このように構成された本実施形態においては、液体X2についても循環媒体X3との合流によって温度を低下させることができる。このことから、凝縮吸収器1内での冷却(図7中の7c)が不要なため、凝縮吸収器1の構成が簡素化されている。
【0037】
そして、この第二の実施形態は、前述の第一の実施形態よりも、ポンプ8の駆動力を低減できるので、ポンプ8の小型化、駆動エネルギーの低減、装置運転コストの低減などを図ることができる。
【0038】
<<第三の実施形態>>
本発明の第三の実施形態による発電装置を図3を用いて説明する。
【0039】
この第三の実施形態の実施形態は、循環媒体X3を、冷却器6に導き、気液分離器3から導かれた液体X2と合流後、凝縮吸収器1へ循環させる点については、前述の第二の実施形態と同様なものである。
【0040】
本実施形態では、冷却器6が、循環媒体X3の冷却を行うことで、凝縮吸収器1内の冷却を行うことができる。そして、このように構成された本実施形態においては、液体X2についても循環媒体X3との合流によって温度を低下させることができる。このことから、凝縮吸収器1内での冷却(図7中の7c)が不要なため、凝縮吸収器1の構成が簡素化されている。
【0041】
この第三の実施形態では、前記合流部にジェットポンプを配置し、液体X2をジェットポンプ11の駆動流体とし、循環媒体X3を被駆動流体としてジェットポンプ11に供給することによって、循環媒体X3が循環するように構成されている。よって、ポンプ8の助けなしに循環媒体X3の循環を行うことができる。したがって、この第三の実施形態は、前述の第一の実施形態および第二の実施形態よりも、ポンプ8の駆動力を低減できるので、ポンプ8の小型化、駆動エネルギーの低減、装置運転コストの低減などを図ることができる。
【0042】
<<第四の実施形態>>
本発明の第四の実施形態による発電装置を図4を用いて説明する。
【0043】
この図4の実施形態は、バイパス経路L2を経由して冷却器6に導かれる液体X3と、気液分離器3から冷却器6に導かれる液体X2とが合流し、合流した液体X3+X2が冷却器6に導かれるように結合する合流部10を有するものの一具体例に該当する。
【0044】
この第四の実施形態では、前記合流部にジェットポンプを配置し、液体X2をジェットポンプ11の駆動流体とし、循環媒体X3を被駆動流体としてジェットポンプ11に供給することによって、循環媒体X3が循環するように構成されている。よって、ポンプ8の助けなしに循環媒体X3の循環を行うことができる。したがって、この第四の実施形態は、前述の第一の実施形態および第二の実施形態よりも、ポンプ8の駆動力を低減できるので、ポンプ8の小型化、駆動エネルギーの低減、装置運転コストの低減などを図ることができる。
【0045】
本実施形態では、冷却器6が、循環媒体X3および液体X2の冷却を行うことで、凝縮吸収器1内での熱交換器(図7中の7c)を削除することができる。このように構成された本実施形態においては、液体X2についても循環媒体X3との合流により温度を低下させることができるとともに、凝縮吸収器1内での冷却(図7中の7c)が不要なため、凝縮吸収器1の構成が簡素化されている。
【0046】
そして、本実施形態では、循環媒体X3を、より高温の液体X2と合流させ、温度を高めてから、冷却器6に導入している。よって、冷却器6による冷却効果が高い。これにより、比較的小型の冷却器6でも十分な冷却効果を得ることができる。
【0047】
<<第五の実施形態>>
本発明の第五の実施形態による発電装置を図5を用いて説明する。
【0048】
本実施例は、図3に示される第三の実施形態による発電装置と、凝縮吸収器1の形態が異なる以外は、ほぼ同じ構成の発電装置である。すなわち、第三の実施形態では、凝縮吸収器1が充填材1bを内包した吸収塔1aとその下部にタンク1cを有するものであったが、この第五の実施形態では、凝縮吸収器1がエジェクタ1dとその下部にタンク1cを有するものとなっている。
【0049】
この第五の実施形態では、第三の実施形態と同様に、液体X2をジェットポンプ11の駆動流体とし、循環媒体X3を被駆動流体としてジェットポンプ11に供給することによって、循環媒体X3が循環するように構成されている。よって、ポンプ8の助けなしに循環媒体X3の循環を行うことができる。したがって、この第五の実施形態は、前述の第一の実施形態および第二の実施形態よりも、ポンプ8の駆動力を低減できるので、ポンプ8の小型化、駆動エネルギーの低減、装置運転コストの低減などを図ることができる。
【0050】
この第五の実施形態では、液体X2および循環媒体X3をエジェクタ1dの駆動流体とし、気体X1を被駆動流体としてエジェクタ1dに供給している。
【0051】
このように、第五の実施形態では、エジェクタ1dへ供給される駆動流体として、液体X2に更に循環媒体X3が増量されていることから、エジェクタ1dによる吸引力がより強力になっている。
【0052】
なお、図5には、エジェクタが1本のみ記載されているが、凝縮吸収器1には複数のエジェクタ1dを配置することができる。
【0053】
この実施形態のエジェクタ1dは、好ましくは、図6Aに示されるように、エジェクタ1dにおけるガス吸引部下流に、さらにディフューザ1eを具備してなるものが好ましく、そして、ディフューザ1eの先端の向きが流体の流れる方向に鉛直下向きとなっており、このディフューザ1eの先端がタンク1c内の循環媒体Xの液位よりも下になっていることが好ましい。エジェクタ1dの下流のディフューザ1eによって、更なる圧力低下がなされることにより、ガスの溶解ならびに凝縮吸収器1内の圧力低下の更なる促進ができ、これによって、発電効率の更なる向上を達成することができる。
【0054】
そして、ディフューザ1eの出口をタンク1c内の循環媒体X1の液位よりも低い位置に設けることにより、タンク1c内でのガス成分の発生を抑制し、ガス成分をタンク1c内の循環媒体Xの液中に長く留めることができる。仮に、ディフューザ1eの出口がタンク1c内の水位より高い位置にあると、タンク1c内でのガス成分の発生やエジェクタ1dないしディフューザ1eによる吸引力が低下することがある。
【0055】
図6Bは、さらに好ましい凝縮吸収器1を示すものである。図6Bの凝縮吸収器1は、図6Aに示されたディフューザ1eの内部に、さらに撹拌促進部材1fが配置されてなるものである。なお、図6Bには、具体的には、三層の撹拌促進部材1fが配置されたものが示されているが、この撹拌促進部材1fの内容や、層数、配置態様等は特に限定されることはない。
【0056】
本発明の第五の実施形態による発電装置では、冷却器6が、循環媒体X3の冷却を行うことで、凝縮吸収器1内の冷却を行うことができる。そして、このように構成された本実施形態においては、液体X2についても循環媒体X3との合流によって温度を低下させることができる。このことから、凝縮吸収器1内での冷却(図7中の7c)が不要なため、凝縮吸収器1の構成が簡素化されている。
【0057】
上記ならびに図6Aおよび図6Bによって詳述した、エジェクタ1d、ディフューザ1eあるいは撹拌促進部材1fを具備してなる凝縮吸収器1は、第一 〜 第四の実施形態における凝縮吸収器1の代わりに、上記各実施形態においても採用することができる。
【0058】
<発電方法>
実施形態による発電方法は、
非共沸媒体からなる循環媒体Xを加熱する工程と、
前記加熱によって生じた気体X1と液体X2とを分離する気液分離工程と、
前記気体でタービン4を回転させて起電する工程と、
前記タービン4から導かれた気体X1および前記気液分離工程で生じた液体X2を凝縮吸収器1において前記循環媒体Xとして再生する工程と、
前記凝縮吸収器1から外部へ導きだされた前記循環媒体Xの一部(循環媒体X3)を、前記加熱工程に付すことなく、バイパス経路L2を経て冷却器6に導き冷却する工程とを含んでなり、
前記の循環媒体の循環によって連続的に発電を行なうことを特徴とするもの、である。 前記の循環媒体Xの循環によって連続的に発電を行なうこと、を特徴とする。
【0059】
ここで、「非共沸媒体からなる循環媒体Xを加熱する工程」は、上記ならびに図1図6に記載された加熱器2において実施することができる。
【0060】
「前記加熱によって生じた気体X1と液体X2とを分離する気液分離工程」は、上記ならびに図1図6に記載された気液分離器3において実施することができる。
【0061】
「前記気体X1でタービン4を回転させて起電する工程」は、上記ならびに図1図6に記載されたタービン4および発電機5によって実施することができる。
【0062】
「前記タービン4から導かれた気体X1および前記気液分離器3から導かれた液体X2を凝縮吸収器1において前記循環媒体Xとして再生する工程」は、上記ならびに図1図6に記載された凝縮吸収器1において実施することができる。
【0063】
「前記凝縮吸収器1から外部へ導きだされた前記循環媒体Xの一部(循環媒体X3)を、前記加熱工程に付すことなく、バイパス経路L2を経て冷却器6に導き冷却する工程」は、上記ならびに図1図6に記載されたバイパス経路L2を経て冷却器6によって実施することができる。
【0064】
「前記の循環媒体Xの循環によって連続的に発電を行なうこと」ことは、非共沸媒体からなる循環媒体Xを採用し、必要に応じて、上記ならびに図1図6に記載されたポンプ8、ジェットポンプ11ならびに上記各装置等の間を接続する各流通ライン等を用いて実施することができる。
【0065】
したがって、実施形態による発電方法は、好ましくは、図1図6ならびに <発電装置> についての <<第一の実施形態>> 〜 <<第五の実施形態>> において詳述した各装置(例えば、分岐部9、合流部10、流通ラインL1、L3〜L9、吸収塔1a、充填材1b、タンク1c、エジェクタ1d、ディフューザ1e、撹拌促進部材1fなど)を、必要に応じて具備してなる発電装置において実施することができる。
【0066】
なお、本実施形態による発電方法は、上記の冷却工程で行われる「循環媒体X3の凝縮吸収器1への循環」を常に一定のレベルで行うもののみに限定されず、発電途中において、「循環媒体X3の凝縮吸収器1への循環」のレベルを変動させるもの、あるいは一時的に停止するものをも包含する。
【0067】
各実施形態による発電装置よれば、簡易かつコンパクトな冷却装置を付加することで、凝縮吸収器の内部を効率的に冷却できる。このことにより、凝縮吸収器ないしタービン出口の内部圧力を低下させることができる。
【0068】
また、実施形態による発電方法は、特定の冷却工程を実施することで、発電用タービンの能力を効果的に高めることができ、発電能力を高めることができる。
【0069】
各実施形態による発電装置および発電方法は、好ましくは、例えば、廃熱や温泉などを熱源とする温度差発電に利用することができ、比較的熱エネルギーが低い熱源であっても、従来よりも高い電気エネルギーを取得することが可能になる。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更あるいは付加等を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…凝縮吸収器、2…加熱器、3…気液分離器、4…タービン、5…発電機、6…冷却器、7…熱交換器、8…ポンプ、9…分岐部、10…合流部、11…ジェットポンプ、X…循環媒体、X1…気体、X2…液体、X3…循環媒体、L2…バイパス経路、L1、L2〜L9…流通ライン、1a…吸収塔、1b…充填材、1c…タンク、1d…エジェクタ、1e…ディフューザ、1f…撹拌促進部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7