(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。この第1の実施形態および後述する各実施形態は、例えば誘導電動機や発電機などの高電圧回転電機の鉄心の外周側のスロットに収納可能であって、楔によりスロットに固定可能である固定子コイルに関する。
【0012】
ここで、第1の実施形態の理解を容易とするために従来の固定子コイルについて説明する。
図1は、従来の固定子コイルの一例について模式的に示す図である。
図1(a)は、従来の固定子コイルのコイルエンド部を分離していない場合の模式図であり、
図1(b)は、従来の固定子コイルのコイルエンド部を分離した場合の模式図である。
【0013】
図1に示すように、従来の固定子コイルは、コイル直線部10がコイルエンド部12と一体になっており、その途中の電界集中部位(曲線部)に電界緩和層11が設置されている。この、一体となっている固定子コイルにおいて、電界緩和層11やコイルエンド部12は曲線をなすように加工されている。
【0014】
図2は、第1の実施形態における固定子コイルの、要素が互いに接続される前の形態の一例について模式的に示す図である。
図3は、第1の実施形態における固定子コイルの要素が互いに接続された後の形態の一例について模式的に示す図である。
第1の実施形態における固定子コイルは、例えば水車発電機やタービン発電機用の発電機コイルとして適用することができ、定格電圧は特に制限されない。
図2に示すように、第1の実施形態における固定子コイルのコイル直線部20は、従来の固定子コイルのコイル直線部10と同様の部材の一端部(コイルエンド部23側を向く端部)から、導体である銅の素線束24aを露出させた構造とする。この銅の素線束24aの端部は、固定子コイルの組立作業に至る前に、導電性を有する接続用部材である第1のアダプタ21の一端部(コイル直線部20側を向く端部)に電気的に接続することができる。つまり、第1の実施形態では、固定子コイルは、コイル直線部20に対してコイルエンド部23を分離可能、かつ電気的に接続可能な構造を有する。
【0015】
また、第1の実施形態における固定子コイルのコイルエンド部23の構造は、コイルエンド部23の一端部(コイル直線部20側を向く端部)からは銅の素線束24bを露出させた構造とする。この銅の素線束24bの端部は、固定子コイルの組立作業に至る前に、導電性を有する第2のアダプタ22の一端部(コイルエンド部23側を向く端部)に電気的に接続することができる。
【0016】
コイル直線部20の一端部から露出した銅の素線束24aと第1のアダプタ21の一端部との接続や、コイルエンド部23の一端部から露出した銅の素線束24bと第2のアダプタ22の一端部との接続の方式としては、例えば、ろう接(ろう付け、はんだ付け、接触通電加熱)、融接、および圧接などを用いることができる。なお、接続方式は特に限定されない。
【0017】
第1のアダプタ21の他端部と第2のアダプタ22の他端部(あわせて単にアダプタと称することがある)との電気的な接続には、例えばソケット(雌型端子)を用いることができる。
ソケットとしては、例えば、耐熱温度:150[℃]、通電定格電流値46[A]、接触抵抗180〜200[μΩ]のソケットなどを用いることができる。
また、第1のアダプタ21と第2のアダプタ22との間の接続を着脱式とする際には、一方のアダプタのソケットの内側に、金メッキや銀メッキなど通電性能を向上させるメッキを施したバネ(バネコネクタ)を封入し、ソケットに他方のアダプタの雄型端子を挿入したときに、この端子にバネが押し付けられて双方のアダプタが電気的に接触する構成とすることができる。なおメッキは、金メッキや銀メッキを代表的なものとして例示したが、これらのみに限られるものではない。
【0018】
第1のアダプタ21の他端部と第2のアダプタ22の他端部とを、例えば固定子コイルの組立現場での組立作業として電気的に接続することで、コイル直線部20とコイルエンド部23とを電気的に接続できる。
【0019】
また、コイル直線部20の一端部から露出した銅の素線束24aの周囲(コイル直線部20と第1のアダプタ21との接続部の周囲)に、
図3に示すように、電界集中を緩和するための電界緩和層34aを設けてもよい。同様に、コイルエンド部23の一端部から露出した銅の素線束24bの周囲(コイルエンド部23と第2のアダプタ22との接続部の周囲)に、電界緩和層34bを設けてもよい。
【0020】
電界緩和層の材料としては、非線形抵抗特性を有する材料が望ましい。
【0021】
この非線形抵抗特性を有する材料としては、例えば非線形抵抗特性を有する粒子を配合した塗料、注型樹脂などが挙げられる。
【0022】
非線形抵抗特性を有する粒子としては、例えばマイクロバリスタ(micro-varistor)、ZnO(酸化亜鉛)、SiC(炭化ケイ素)などが挙げられる。これらの粒子を、たとえばエポキシ樹脂に配合することで、非線形抵抗特性を有する電界緩和層をなすことができる。これらの粒子は、1種単独でも、2種類以上の組み合わせても使用することができる。
【0023】
図4は、第1の実施形態における固定子コイルの、要素が互いに接続される前の形態の一例について模式的に示す図である。
図5は、第1の実施形態における固定子コイルの要素が互いに接続された後の形態の一例について模式的に示す図である。
【0024】
図2、
図3に示した例では、アダプタを第1のアダプタ21と第2のアダプタ22との組み合わせとしたが、
図4、
図5に示すように、コイル直線部40とコイルエンド部42と電気的に接続するためのアダプタを、導電性を有する1つのアダプタ41のみとすることもできる。
【0025】
この場合、
図4に示すように、コイル直線部40は、従来のコイル直線部10と同様の部材の一端部(コイルエンド部42側を向く端部)から銅の素線束43aを露出させた構造とする。この銅の素線束43aの端部は、アダプタ41の一端部(コイル直線部40側を向く端部)に電気的に接続することができる。
【0026】
また、コイルエンド部42の構造は、コイルエンド部42の一端部(コイル直線部40側を向く端部)からは銅の素線束43bを露出させた構造とする。この銅の素線束43bの端部は、アダプタ41の他端部(コイルエンド部42側を向く端部)に電気的に接続することができる。
【0027】
つまり、1つのアダプタ41を介してコイル直線部40とコイルエンド部42とを電気的に接続することができる。
【0028】
また、コイル直線部40の一端部から露出した銅の素線束43aの周囲(コイル直線部40とアダプタ41との接続部の周囲)に、
図5に示すように、電界集中を緩和するための電界緩和層53aを設けてもよい。同様に、コイルエンド部42の一端部から露出した銅の素線束43bの周囲(コイルエンド部42とアダプタ41との接続部の周囲)に、電界緩和層53bを設けてもよい。
【0029】
次に、第1の実施形態における固定子コイルの製造方法について説明する。
【0030】
図6は、第1の実施形態におけるコイル直線部の一端部の面の形状の第1の例について模式的に示す図である。
【0031】
図6に示すように、固定子コイルのコイル直線部は、固着させた一定量の銅の素線(導体)60の周囲に、半導電性を有する内部コロナシールド61を積層し、次いで内部コロナシールド61の周囲に例えばテーピングマシンにより主絶縁層62を巻回し、加熱により硬化させた構成である。
【0032】
銅の素線60の製造方法としては、導体となる銅製の導線を用い、例えば、誘導線を所定の長さに切断した後、両端の絶縁被覆を取り除く。その後に導線を所定本数束ねて、レーベル転位(Roebel Transposition)の工程を経てコイルとする。次いでヒートプレスによりコイルを成型し、このコイルをインボリュート型に成型して固着することでコイル直線部の銅の素線60とする。
【0033】
内部コロナシールド61は、低抵抗の材料であればよく、例えばシリコーンテープ、およびポリエステル不織布テープなどでもよい。
【0034】
図7は、第1の実施形態におけるコイル直線部の一端部の面の形状の第2の例について模式的に示す図である。
【0035】
図7に示すように、固定子コイルのコイル直線部は、銅の素線60の周囲に、熱応力緩和層(熱応力緩和材料)63、内部コロナシールド61の順で積層し、次いで熱応力緩和層63の周囲に主絶縁層62を巻回し、加熱より硬化させた構成としてもよい。この熱応力緩和層63は、銅の素線60と内部コロナシールド61との間に設けてもよい。
【0036】
熱応力緩和材料としては、シート状材料、テープ状材料、塗料状材料(コーティング材料)などが挙げられる。このように熱応力緩和層を設けることで、この熱応力緩和層を挟む材料同士の剥離を防止することができる。熱応力緩和層を有する固定子コイルの詳細については、本出願人が出願した特願2015−183791号明細書に記載されている。
【0037】
そして、例えば
図2、
図3に示したように、コイル直線部20の一端部から露出した銅の素線束24aの端部と第1のアダプタ21の一端部とを電気的に接続し、コイルエンド部23の一端部から露出した銅の素線束24bの端部と第2のアダプタ22の一端部とを電気的に接続し、第1のアダプタ21の他端部と第2のアダプタ22の他端部とを電気的に接続する。
【0038】
そして最後に、コイル直線部20の一端部から露出した銅の素線束24aの周囲に電界緩和層34aを設け、コイルエンド部23の一端部から露出した銅の素線束24bの周囲に電界緩和層34bを設ける。
このようにして、第1の実施形態における固定子コイルを製造することができる。
【0039】
図8は、第1の実施形態における、複数のアダプタを介して、コイル直線部の一端部の面とコイルエンド部とを接続する形態の一例について模式的に示す図である。
図8に示すように、1つのコイル直線部70の一端部の面(露出する銅の素線束(図示せず))を複数のアダプタ71の一端部と電気的に接続し、複数のコイルエンド部72として用いる柔軟性のあるケーブルを、導電性を有する複数のアダプタ71の他端部と1対1で電気的に接続することができる。
【0040】
具体的には、まず、複数のアダプタ71の一端部を並べて、1つのコイル直線部70の一端部の面に電気的に接続する。そして、複数のコイルエンド部72の一端部から露出させた銅の素線束73を並べて、対応する各アダプタ71の他端部に電気的に接続する。これにより、1つのコイル直線部70と複数のコイルエンド部72とを電気的に接続することができる。
【0041】
上記のように、1つのコイル直線部70と複数のコイルエンド部72とを電気的に接続する構成とすることで、個々のコイルエンド部72を小型化することができるので、コイルエンド部の製作が容易となる。
【0042】
図9は、第1の実施形態における、固定子コイルのコイルエンド部23、42または72として用いるケーブルの断面の形状の一例について模式的に示す図である。
コイルエンド部として用いるケーブルとしては、高耐熱・高耐電圧であって柔軟性を有するケーブル、例えばCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)などを用いることができる。
【0043】
図9(a)に示すように、CVケーブルは、導体部81の外周に架橋ポリエチレンからなる絶縁被覆部82を備える。
図9(b)は、2芯のCVケーブルの断面の一例を示し、
図9(c)は、2芯のCVケーブルを2段に重ねた状態の断面の一例を示す。
上記のように、コイルエンド部として高耐熱・高耐電圧であって柔軟性を有するケーブルを用いることで、固定子コイルにおけるコイルエンド部の製造が容易となる。
【0044】
(作用)
本実施形態では、固定子コイルのコイル直線部20、40、または70として、従来の固定子コイルと同様のコイル直線部の一端部から銅の素線を露出させる。
コイルエンド部は、柔軟性を有するCVケーブルなどを使用する。
【0045】
コイル直線部とコイルエンド部のそれぞれにアダプタ21、22、41または71を電気的に接続し、組立現場でアダプタ同士を電気的に接続する。
最後に、コイル直線部とアダプタとの接続部の周囲、および、コイルエンド部とアダプタとの接続部の周囲に電界緩和層を設ける。
【0046】
(効果)
本実施形態では、上記の構成とすることで、複雑な形状を有するコイルエンド部を製番毎に製作する必要がなくなるため、固定子コイルの製造工程を大幅に短縮できる。
また、コイルエンド部に柔軟性のあるCVケーブルを用いることで、コイルエンド部の形状の自由度が増大する。
さらに、上記の構成とすることで、いわゆる上げコイルとしての作業が不要となり、作業性を大幅に向上させることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した部分と同様の部分の説明は省略する。
図10は、第2の実施形態における固定子コイルの要素が互いに接続された後の形態の一例について模式的に示す図である。
図10に示すように、第2の実施形態では、コイル直線部120aに対してコイルエンド部としてのフレキシブル部材(例えばフレキシブルかた巻き構造)123を分離可能、かつ電気的に接続可能な構造を有する。
【0048】
ただし、この第2の実施形態では、図示しない異なるスロットに収納されて長手方向が略平行である一対のコイル直線部120aとコイル直線部120bとが、各種アダプタとコイルエンド部を介して電気的に接続される。
具体的には、コイル直線部120a、第1のアダプタ121a、第2のアダプタ122a、フレキシブル部材123、第2のアダプタ122b、第1のアダプタ121b、コイル直線部120bの順で電気的に接続される。ここでは、フレキシブル部材は、コイルエンド部としての、導電性を有する部材である。また、このフレキシブル部材は、例えば人の力により曲げられる程度の柔軟性を有する、つまり弾性変形により屈曲可能な部材である。
【0049】
個々の接続について説明すると、コイル直線部120aの一端部と第1のアダプタ121aの一端部とが、第1の実施形態におけるコイル直線部20の一端部と第1のアダプタ21の接続形態と同様の形態で電気的に接続される。コイル直線部120bの一端部と第1のアダプタ121bの一端部との接続についても同様である。
【0050】
また、第2のアダプタ122aの一端部と、フレキシブル部材123の一端部とが、第1の実施形態における第2のアダプタ22とコイルエンド部23の接続形態と同様の形態で電気的に接続される。第2のアダプタ122bの一端部と、上記のフレキシブル部材123の他端部との接続についても同様である。
【0051】
つまり、第2の実施形態では、コイルエンド部としての、導電性を有するフレキシブル部材123は、コイル直線部120a側とコイル直線部120b側とに跨るように設けられる。
【0052】
そして、コイル直線部120a側では、第1のアダプタ121aの他端部と第2のアダプタ122aの他端部とを、例えば固定子コイルの組立現場での組立作業として電気的に接続することで、コイル直線部120aとコイルエンド部としてのフレキシブル部材123とを電気的に接続できる。
同様に、コイル直線部120b側では、第1のアダプタ121bの他端部と第2のアダプタ122bの他端部とを、上記の組立作業として電気的に接続することで、コイル直線部120bとコイルエンド部としてのフレキシブル部材123とを電気的に接続できる。
【0053】
第1のアダプタ121aの他端部と第2のアダプタ122aの他端部(あわせて単にアダプタと称することがある)との電気的な脱着には、例えばピンと、当該ピンを挿入可能なソケット(雄型雌型端子)からなる部材を用いることができる。第1のアダプタ121bと第2のアダプタ122bとの接続についても同様である。
ピンとソケットとしては、例えば、耐熱温度:150[℃]、通電定格電流値46[A]、接触抵抗180〜200[μΩ]のピンとソケットなどを用いることができる。
また、ソケットとピンとの間の接続を着脱式とする際には、ソケットの内側に銀メッキしたバネ(バネコネクタ)を封入し、このソケットにピンを挿入したときに、このピンにバネが押し付けられて、ソケットとピンが電気的に接触する構成とすることができる。
【0054】
図11は、第2の実施形態における固定子コイルの、アダプタの一例について模式的に示す図である。
図11に示すように、部材130の長手方向に沿った一端からみた半分を、第1のアダプタ121aの一端部の面に設けられた複数の空隙121a1のいずれかに挿入し、部材130の長手方向に沿った他端からみた半分を、例えば前述の第2のアダプタ122aの一端部の面に設けられた空隙に挿入することが可能である。この部材130は、ピン131と、当該ピン131を挿入可能なソケット132とからなる。なお、
図11に示すように、アダプタの一端部の面には複数の空隙が形成されており、これらの空隙に部材130をそれぞれ挿入してもよい。
このようにして、各アダプタを電気的に接続することができる。第1のアダプタ121bと第2のアダプタ122bとの電気的な接続や、第1の実施形態で説明した第1のアダプタ21と第2のアダプタ22との電気的な接続についても同様である。
また、
図11に示した例では、アダプタの一端部の面が円状である例について説明したが、例えば角状であってもよい。
【0055】
また、第1のアダプタ121a,121b、第2のアダプタ122a,122bには、このアダプタの外表面を包み込むように電界緩和層を設けることができる。このようにして、アダプタに電界緩和層の機能を付加することができる。
【0056】
次に、第2の実施形態における固定子コイルの製造方法について説明する。
図12は、第2の実施形態における、固定子コイルに取り付けられた印(mark)の一例について模式的に示す図である。
固定子コイルの製造方法について、コイル直線部(例えばコイル直線部120a)と、第1のアダプタ(例えば第1のアダプタ121a)と、第2のアダプタ(例えば第2のアダプタ122a)と、コイルエンド部(例えばフレキシブル部材123)とを電気的に接続する作業を、図示しない自動制御機器(例えばコンピューターにより自動で制御された、固定子コイルの組み立て機器)により行なうことが可能である。
この接続にあたり、
図12に示すように、コイル直線部120aにおける第1のアダプタ(例えば第1のアダプタ121a)との接続部分の近傍に、電気的な接続のための位置合わせの箇所を示した印140(例えば白色長方形状)のテープあるいはマーカーを、このコイル直線部120aを作製する際に、事前に貼付あるいは塗布しておく。第1のアダプタの一端部、他端部、第2のアダプタ(例えば第2のアダプタ122a)の一端部、他端部、コイルエンド部(例えばフレキシブル部材123)における第2のアダプタとの接続部分の近傍についても同様である。
【0057】
そして、自動制御機器は、上記の印を認識し、この認識した箇所に基づいて、自動制御により、コイル直線部、第1のアダプタ、第2のアダプタ、コイルエンド部の位置合わせを行って、これらのコイル直線部、第1のアダプタ、第2のアダプタ、コイルエンド部を電気的に接続する。
【0058】
(作用)
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したように、固定子コイルのコイル直線部として、従来の固定子コイルと同様のコイル直線部の一端部から銅の素線を露出させる。そして、第1の実施形態と異なり、コイルエンド部は、柔軟性を有するフレキシブル部材を使用する。
【0059】
コイル直線部と、コイルエンド部(柔軟性のあるフレキシブル部材)のそれぞれにアダプタを電気的に接続し、組立現場でアダプタ同士を接合する。
次に、コイル直線部とアダプタとの接続部の周囲、および、コイルエンド部とアダプタとの接続部の周囲に電界緩和層を設ける。
最後に、アダプタの外表面に電界緩和層を設ける。
【0060】
(効果)
第2の実施形態では、上記の構成とすることで、第1の実施形態と同様に、複雑な形状を有するコイルエンド部を製番毎に製作する必要がなくなるため、固定子コイルの製造工程を大幅に短縮できる。
また、コイルエンド部に柔軟性のあるフレキシブル部材を用いることで、第1の実施形態と比較して、コイルエンド部の形状の自由度が増大する。
さらに、上記の構成とすることで、第1の実施形態と同様に、いわゆる上げコイルとしての作業が不要となり、作業性を大幅に向上させることができる。
【0061】
また、自動制御により、コイル直線部、第1のアダプタ、第2のアダプタ、コイルエンド部を電気的に接続することで、人手による接続と比較して、固定子コイルの組み立て工程を短縮することが可能となる。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図13は、回転電機用のコイルの一部を模式的に示す図である。
図13(a)は、コイル201のコイル直線部211とコイルエンド部212との境界近傍を示す模式図であり、
図13(b)は、
図12に示したコイルのA−A´面に沿う矢視断面図である。
【0063】
図13(a)に示すように、コイル201のコイル直線部211がコイルエンド部212と一体になっており、コイル直線部211とコイルエンド部212との境界部分であ
る電界集中部位(曲線部)に電界緩和層213が設けられる。このコイル201において、コイルエンド部212や電界緩和層213は曲線をなすように加工されている。ただし
図13(a)では、これらを直線状に示している。
【0064】
また、
図13(b)に示すように、素線導体221と、当該素線導体221の周囲に設けられる素線絶縁物222とからなる素線202を束ねることでコイル201が形成される。また、素線202を束ねてなる素線束の周囲には主絶縁層203が設けられる。
【0065】
上記の、コイルの制作および収納の作業を容易にするために、例えばコイル直線部211とコイルエンド部212を別々に製造し、コイルの組立時にコイル直線部211の素線とコイルエンド部212の素線とを圧着や溶接により接合する方法を用いる。
【0066】
図14は、第3の実施形態におけるコイル直線部とコイルエンド部の接合の第1の例について模式的に示す図である。この
図14では、2列×8段の素線223で構成されたコイル直線部211と、同じく2列×8段の素線224で構成されたコイルエンド部212とが別々に形成された後に、コイル直線部211とコイルエンド部212とを各段各列でそれぞれ電気的に接合した接合部204の例を模式的に示す。
【0067】
接合部204の周囲には、当該接合部204によるコイル直線部211とコイルエンド部212の接合後に絶縁処理が施されるが、理解を容易にするため図示を省いている。また、
図14に示した例では、コイルの素線構成が2行×8列であるが、複数の素線が配列された構成であれば限られない。
【0068】
コイル直線部211の素線223とコイルエンド部212の素線224とは、相対する素線同士で、コイル201の長手方向(以下、単に長手方向と呼ぶことがある)の同一位置において接合部204により電気的に接合される。この接合された素線同士は電気的に接続される。ここで、同じ接合部204により接合される、コイル直線部211の素線223の素線数、およびコイルエンド部212の素線224の素線数はともに1本である。
【0069】
素線223と素線224の接合方法としては、例えば、ろう接(ろう付け、はんだ付け、接触通電加熱)、融接、および圧接などを用いることができ、通常は、素線の接合位置近傍の部分では素線絶縁物は除かれ、この部分は、素線の接合後に接合部も含めて絶縁がなされる。
【0070】
上記のような接合方法による接合箇所においては、素線の周りに接合部材が設けられ、また、この接合部材を囲むように主絶縁層が設けられる。このため、コイル直線部211とコイルエンド部212の接合箇所以外と比べると、コイル直線部211とコイルエンド部212の接合部204が膨らむことにより、コイルが所定寸法に収まらず、また、隣接するコイル間の隙間が狭まることで、隣接するコイル間の電界が高くなってしまう。
【0071】
そこで、第3の実施形態では、コイル直線部211とコイルエンド部212の接合部204の膨らみを抑制できる回転電機用のコイルについて説明する。
【0072】
図15は、第3の実施形態のコイル直線部211とコイルエンド部212の接合の第2の例について模式的に示す図である。
図15に示した構成のうち
図13,14に示した構成と重複する部分の説明は省略する。
この
図15では、2列×8段の素線223で構成されたコイル直線部211と、2列×8段の素線224で構成されたコイルエンド部212とが別々に形成された後に、コイル直線部211とコイルエンド部212とを接合部204により電気的に接合した構成について模式的に示す。
【0073】
第3の実施形態では、コイル直線部211の素線223に対し、コイルエンド部212の素線224が接合部204により接合される。この接合された素線同士は電気的に接続される。ここで、同じ接合部204により電気的に接合される、コイル直線部211の素線223の素線数、およびコイルエンド部212の素線224の素線数はともに1本である。
【0074】
図15に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223aと、コイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224aとの接合部204aを含み、コイル直線部211の素線223のうち1列目2段目の素線と、コイルエンド部212の素線224のうち1列目2段目の素線との接合部204bを含む。
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目1段目の素線と、コイルエンド部212の素線224のうち2列目1段目の素線との接合部204cを含み、コイル直線部211の素線223のうち2列目2段目の素線と、コイルエンド部212の素線224のうち2列目2段目の素線との接合部204dを含む。
【0075】
なお、
図15では、上記の2段目の素線が視認しやすいように、1段目で接合部204aを介して接合される素線および接合部204cを介して接合される素線を点線で示している。
【0076】
また、第3の実施形態では、ある素線にかかる接合部の位置と、この素線に隣接する素線にかかる接合部の位置とが長手方向で異なる構成である。
上記の、接合する素線が、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223aと、コイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224aであるときは、これらの素線にかかる接合部は接合部204aである。
そして、これらの素線に隣接する素線にかかる接合部は、接合部204b、接合部204c、接合部204dであり、接合部204aの位置と、接合部204bの位置と、接合部204cの位置と、接合部204dの位置は長手方向で互いに異なる。
【0077】
第3の実施形態における効果を説明する。
図15に示した構成では、コイル直線部211の素線とコイルエンド部212の素線との接合部204による膨らみによって、この素線と隣接する素線との間に隙間が発生する。本実施形態では、この隙間に対し、この素線に隣接する素線の接合部による膨らみが配置される構成であるので、隣接する素線間の隙間を狭くすることができる。これによりコイル全体の膨らみを抑制することができる。
【0078】
すなわち、第3の実施形態によれば、コイル直線部211の素線とコイルエンド部212の素線の接合箇所の膨らみを抑制することができ、コイルを所定寸法に収めることができるので、回転電機コイルの製作および収納にかかる作業を容易とすることができる。また、第3の実施形態では、ある素線にかかる接合部の位置と、この素線に隣接する素線にかかる接合部の位置とが長手方向で異なる構成であるため、隣接するコイル間の隙間が狭まってしまうことに起因する、コイル間の電界の増加を抑え、信頼性の高い回転電機を提供することができる。
【0079】
なお、この接合部の周りに施す絶縁処理は、隣接する接合部のうちの長手方向にずれた一方の接合部を省略する、もしくは、接合部の周りに絶縁テープを巻回する場合は巻回数を減らすなどして簡略化してもよい。このとき、隣接する素線には元々の素線の素線絶縁物が施されているので、素線間の絶縁
が保たれる。
【0080】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。以下の各実施形態において、第3の実施形態と重複する部分の説明は省略する
図16は、第4の実施形態のコイル直線部211とコイルエンド部212の接合の一例について模式的に示す図である。
この
図16では、
図15と同様に、2列×8段の素線223で構成されたコイル直線部211と、2列×8段の素線224で構成されたコイルエンド部212とが別々に形成された後に、コイル直線部211とコイルエンド部212を接合部204により電気的に接合した構成について模式的に示す。
【0081】
第4の実施形態では、コイル直線部211の素線223と、コイルエンド部212の素線224とが接合部204により電気的に接合される。各列各段のコイル直線部211の素線と各列各段のコイルエンド部212の素線は電気的に接続される。
図16に示した例では、1つの接合部204により接合される、コイル直線部211の素線223の素線数、およびコイルエンド部212の素線224の素線数はともに2本である。各素線の周囲は絶縁されているので、同じ接合部204により接合したコイル直線部211の素線223同士の絶縁、およびコイルエンド部212の素線224同士の絶縁は保たれる。
【0082】
図16に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223a、素線223のうち1列目2段目の素線223b、コイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224a、および素線224のうち1列目2段目の素線224bの接合部204aを含む。
【0083】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目3段目の素線、素線223のうち1列目4段目の素線、コイルエンド部212の素線224のうち1列目3段目の素線、および素線224のうち1列目4段目の素線の接合部204bを含む。
【0084】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目1段目の素線、素線223のうち2列目2段目の素線、コイルエンド部212の素線224のうち2列目1段目の素線、および素線224のうち2列目2段目の素線の接合部204cを含む。
【0085】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目3段目の素線、素線223のうち2列目4段目の素線、コイルエンド部212の素線224のうち2列目3段目の素線、および素線224のうち2列目4段目の素線の接合部204dを含む。
なお、
図16では、上記の3段目の素線が視認しやすいように、1段目の接合部204aを介して接合される素線、および、接合部204cを介して接合される素線を点線で示している。
【0086】
また、第4の実施形態では、ある列の複数段分の素線を素線ブロックとしたときの、ある素線ブロックにかかる接合部の位置と、この素線ブロックに隣接する素線ブロックにかかる接合部の位置とが長手方向で異なる構成である。
【0087】
上記の、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223aと、コイル直線部211の素線223のうち1列目2段目の素線223bとでなる素線ブロックをコイル直線部211の素線ブロックとし、コイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224aと、コイルエンド部212の素線224のうち1列目2段目の素線224bとでなる素線ブロックをコイルエンド部212の素線ブロックとしたときは、これらの素線ブロックにかかる接合部は接合部204aである。
そして、これらの素線ブロックに隣接する素線ブロックにかかる接合部は、接合部204b、接合部204c、接合部204dであり、接合部204aの位置と、接合部204bの位置と、接合部204cの位置と、接合部204dの位置は、長手方向で互いに異なる。
【0088】
なお、接合するコイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数は2本に限定されず、コイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数が同一かつ複数であればよく、例えば3本ずつでもよい。
【0089】
第4の実施形態における効果を説明する。この第4の実施形態では、第3の実施形態で説明した効果に加え、コイル直線部211の複数の素線でなる素線ブロックとコイルエンド部212の複数の素線でなる素線ブロックとを1つの接合部により接合するので、第3の実施形態と比較して、コイル全体の素線の列数および段数が同じ条件で接合部の数を減らすことができる効果がある。よって、第3の実施形態と比較して、コイル全体の膨らみをさらに抑制することができる。
【0090】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
図17は、第5の実施形態のコイル直線部211とコイルエンド部212の接合の一例について模式的に示す図である。
この
図17では、2列×8段の素線223で構成されたコイル直線部211と、2列×4段の素線224で構成されたコイルエンド部212とが別々に形成された後に、コイル直線部211の素線223とコイルエンド部212の素線224とを接合部204により電気的に接合した構成について模式的に示す。ここでは、コイルエンド部212の素線224の寸法は、コイル直線部211の素線223の2本分の寸法であるとする。
【0091】
コイル直線部211の素線のうちほとんどの部分は鉄心内に納められる。このため、コイル直線部211は、コイルエンド部212に比べて鎖交する磁束量が多く、渦電流損失が大きくなるため、コイル直線部211の素線は、コイルエンド部212の素線より細い素線であることが望ましい。第5の実施形態では、コイル直線部211とコイルエンド部212を別々に製作するため、それぞれの素線の段数を異ならしめることができる。
【0092】
第5の実施形態では、コイル直線部211の素線223とコイルエンド部212の素線224とが接合部204により電気的に接合される。各列各段のコイル直線部211の素線と各列各段のコイルエンド部212の素線は電気的に接続される。
図17に示した例では、1つの接合部204により接合される、コイル直線部211の素線223の素線数は2本であって、コイルエンド部212の素線224の素線数は1本である。
【0093】
図17に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223a、素線223のうち1列目2段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224aの接合部204aを含む。
【0094】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目3段目の素線、素線223のうち1列目4段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち1列目2段目の素線の接合部204bを含む。
【0095】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目1段目の素線、素線223のうち2列目2段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち2列目1段目の素線の接合部204cを含む。
【0096】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目3段目の素線、素線223のうち2列目4段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち2列目2段目の素線の接合部204dを含む。
【0097】
なお、
図17では、コイル直線部211の3段目の素線、および、コイルエンド部212の2段目の素線がそれぞれ視認しやすいように、接合部204aを介して接合される素線、および、接合部204cを介して接合される素線を点線で示している。
【0098】
また、第5の実施形態では、ある列の1段または複数段分の素線を素線ブロックとしたときの、ある素線ブロックにかかる接合部の位置と、この素線ブロックに隣接する素線ブロックにかかる接合部の位置とが長手方向で異なる構成である。
上記の、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223aと、コイル直線部211の素線223のうち1列目2段目の素線でなる素線ブロックをコイル直線部211の素線ブロックとし、コイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224aとでなる素線ブロックをコイルエンド部212の素線ブロックとしたときは、これらの素線ブロックにかかる接合部は接合部204aである。
【0099】
そして、これらの素線ブロックに隣接する素線ブロックにかかる接合部は、接合部204b、接合部204c、接合部204dであり、接合部204aの位置と、接合部204bの位置と、接合部204cの位置と、接合部204dの位置は、長手方向で互いに異なる。
【0100】
なお、接合するコイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数の比は2対1に限定されず、コイル直線部211の素線数がコイルエンド部212の素線数より多い素線数であれば、例えばコイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数の比が3対1でもよいし、3対2でもよい。
【0101】
第5の実施形態における効果を説明する。この第5の実施形態では、第3の実施形態における効果に加え、同じ接合部204により接合される、コイル直線部211の素線を、コイルエンド部212の素線より細い素線とする構成としたので、コイルに生じる渦電流損失を低減することができる効果がある。また、コイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数とを接合にあたって合わせる必要がないため、コイル製造の裕度が増加する。
【0102】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
図18は、第6の実施形態のコイル直線部211とコイルエンド部212の接合の一例について模式的に示す図である。
【0103】
この
図18では、2列×8段の素線223で構成されたコイル直線部211と2列×8段の素線224で構成されたコイルエンド部212とが別々に形成された後に、コイル直線部211の2本の素線とコイルエンド部212の2本の素線が1つの接合部204により電気的に接合され、これら接続された素線の素線導体は電気的に接続される。
【0104】
図18に示した例では、同じ接合部204により電気的に接合される、コイル直線部211の素線223の素線数、およびコイルエンド部212の素線224の素線数はともに2本である。
【0105】
なお、この素線数は複数であればよく、例えばコイル直線部211の素線223の素線数が3本で、コイルエンド部212の素線224の素線数が2本であってもよい。
【0106】
図18に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223a、素線223のうち1列目2段目の素線223b、コイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224a、および素線224のうち1列目2段目の素線224bの接合部204aを含む。
【0107】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目3段目の素線、素線223のうち1列目4段目の素線、コイルエンド部212の素線224のうち1列目3段目の素線、および素線224のうち1列目4段目の素線の接合部204bを含む。
【0108】
また、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目1段目の素線、素線223のうち2列目2段目の素線、コイルエンド部212の素線224のうち2列目1段目の素線、および素線224のうち2列目2段目の素線の接合部204cを含む。
【0109】
また、コイル直線部211の素線223の素線数、およびコイルエンド部212の素線224の素線数がともに1本であるときと比較して、接合部204による膨らみの箇所は、素線段数の8段分の半分の4段分に減じている。
【0110】
この第6の実施形態では、コイル直線部211の複数の素線とコイルエンド部212の複数の素線とを1つの接合部により接合するので、コイル直線部211の1つの素線とコイルエンド部212の1つの素線とを接合部により接合するときと比較して、コイル全体の素線の列数および段数が同じ条件で接合部の数を減らすことができるので、コイル全体の膨らみを抑制することができるので、コイルを所定寸法以下とすることができ、回転電機コイルの製作および収納にかかる作業を容易とすることができる。
【0111】
(第7の実施形態)
第7の実施形態について説明する。
図19は、第7の実施形態のコイル直線部211とコイルエンド部212の接合の一例について模式的に示す図である。
【0112】
この
図19では、2列×8段の素線223で構成されたコイル直線部211と2列×4段の素線224で構成されたコイルエンド部212が別々に形成された後に、コイル直線部211とコイルエンド部212を電気的に接合した接合部204について模式的に示す。
【0113】
コイル直線部211の素線のうちほとんどの部分は鉄心内に納められる。このため、コイル直線部211は、コイルエンド部212に比べて鎖交する磁束量が多く、渦電流損失が大きくなるため、コイル直線部211の素線は、コイルエンド部212の素線より細い素線であることが望ましい。第7の実施形態では、コイル直線部211とコイルエンド部212を別々に製作するため、それぞれの素線の段数を異ならしめることができる。
【0114】
第7の実施形態では、コイル直線部211の素線223とコイルエンド部212の素線224が1つの接合部により接合される。
図19に示した例では、同じ接合部204により接合される、コイル直線部211の素線223の素線数は2本であって、コイルエンド部212の素線224の素線数は1本である。
【0115】
図19に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目1段目の素線223a、素線223のうち1列目2段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち1列目1段目の素線224aの接合部204aを含む。
【0116】
図19に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち1列目3段目の素線、素線223のうち1列目4段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち1列目2段目の素線の接合部204bを含む。
【0117】
図19に示した例では、接合部204は、コイル直線部211の素線223のうち2列目1段目の素線、素線223のうち2列目2段目の素線、およびコイルエンド部212の素線224のうち2列目1段目の素線の接合部204cを含む。
【0118】
なお、接合するコイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数の比は2対1に限定されず、コイル直線部211の素線数がコイルエンド部212の素線数より多い素線数であれば、例えば3対1でもよいし、3対2でもよい。
【0119】
第7の実施形態における効果を説明する。この第7の実施形態では、第6の実施形態における効果に加え、同じ接合部204により接合される、コイル直線部211の素線を、コイルエンド部212の素線より細い素線とする構成としたので、コイルに生じる渦電流損失を低減することができる効果がある。また、コイル直線部211の素線数とコイルエンド部212の素線数とを接合にあたって合わせる必要がないため、コイル製造の裕度が増加する。
【0120】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。