特許第6937244号(P6937244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6937244メタリック調の被覆を有するワイヤレス電気充電式装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937244
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】メタリック調の被覆を有するワイヤレス電気充電式装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20210909BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210909BHJP
   C23C 14/08 20060101ALI20210909BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   H04M1/02 C
   B32B7/023
   C23C14/08 N
   H05K5/02 J
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-553991(P2017-553991)
(86)(22)【出願日】2016年4月14日
(65)【公表番号】特表2018-512826(P2018-512826A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】EP2016058228
(87)【国際公開番号】WO2016166212
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年4月12日
(31)【優先権主張番号】62/147,649
(32)【優先日】2015年4月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051691
【氏名又は名称】エリコン・サーフェス・ソリューションズ・アクチェンゲゼルシャフト,プフェフィコーン
【氏名又は名称原語表記】OERLIKON SURFACE SOLUTIONS AG, PFAEFFIKON
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,リュディガー
【審査官】 加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031988(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0045538(US,A1)
【文献】 特表2014−517979(JP,A)
【文献】 特開2008−275737(JP,A)
【文献】 特開2009−090639(JP,A)
【文献】 特開2011−251406(JP,A)
【文献】 特開2013−146050(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102605325(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
B32B 7/023
C23C 14/08
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的にコードレスで再充電可能な端末装置または前記端末装置のための送信機として使用可能な電子部品を少なくとも含む電子デバイスであって、前記電子デバイスは、110〜205kHzの周波数範囲における前記電子部品と外部電子部品との間の電磁相互作用を可能にするプラスチック表面を有し、前記プラスチック表面がメタリックな外観の被覆を有することを特徴とし、前記被覆は、少なくとも1つの半導体材料または少なくとも1つの誘電体を含む少なくとも1つのメタリック調層を含み、
前記メタリック調の被覆のCIELAB空間における色値は20<L<98、−10<a<10、−10<b<10の値の範囲内であり、
前記メタリック調の被覆の表面は前記部品の内部からバックライトを当てられることにより異なる色の光効果を示す、電子デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのメタリック調層は、1つ以上の半導体材料で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのメタリック調層は、1つ以上の誘電体で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記被覆は2つ以上のメタリック調の交互に堆積された層を含む多層構造として形成されており、前記層のうちの少なくとも1つは、1つ以上の半導体材料、およびその上または下に位置する1つ以上の誘電体から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記半導体材料を含む層のうちの少なくとも1つは、シリコンを半導体材料として、好ましくはシリコンを主成分として含み、さらに好ましくは、シリコンから構成されていることを特徴とする、請求項1〜2および4のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記誘電体を含む層のうちの少なくとも1つは、二酸化ケイ素を前記誘電体として、好ましくは二酸化ケイ素を主成分として含み、さらに好ましくは、二酸化ケイ素から構成されていることを特徴とする、請求項1、3、および4のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記メタリック調層の層厚または前記メタリック調層の全層厚は5〜200nmの間であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記被覆は、前記プラスチック表面と前記少なくとも1つのメタリック調層との間に少なくとも1つのUV硬化ラッカーを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記被覆は環境からの保護のために前記被覆を仕上げるためのトップコートとして少なくとも1つのラッカーを含み、前記ラッカーはUV硬化または半透明色の二液型ポリウレタンラッカーであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記電子デバイスはQi規格に準拠するコードレス再充電式装置であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項以上に記載の電子デバイスを製造するための方法であって、前記方法は、
前記電子デバイスのプラスチック表面を提供するステップと、
PVD法によってメタリック調層を堆積することによってメタリックカラーの印象を生成するステップとを含み、前記メタリック調層は、少なくとも1つの半導体材料または誘電体を含む、方法。
【請求項12】
前記メタリック調層を堆積する前に、主にUV放射によって、UV硬化ラッカーを層として前記プラスチック表面に塗布し、前記UV硬化ラッカー層を硬化するステップ、および/または
UV硬化ラッカーまたは半透明色の二液型ポリウレタンラッカーをトップコートとして前記メタリック調層に塗布するステップ、および
主にUV放射によって前記トップコートを硬化するステップ、
を含む、請求項11に記載の電子デバイスを製造するための方法。
【請求項13】
前記被覆された表面の色を、多層構造の形態の少なくとも1つの半導体層と少なくとも1つの誘電体層との組合せによって、調整することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記被覆された表面の色を、前記被覆、前記メタリック調層、または前記多層構造の層厚を適合させることによって調整することを特徴とする、請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタリック調の被覆を有するコードレス電気再充電式装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置の例として、携帯電話またはタブレットを挙げることができる。携帯電話に誘導受信機を取り付けることは今日では可能であり、かつ、既に一般的になっており、それらは、Qi規格に従ってワイヤレスで再充電可能である。そのような受信機が携帯電話に組み込まれていない場合、携帯電話の電気接続部に接続可能な後付けのアダプタを使用できる。
【0003】
そのような誘導受信機を取り付けられた装置またはこれらの装置のアキュムレータは、電気接続部を介して充電するための通常の充電装置に取って代わり得る、対応する誘導充電装置によって充電可能になる。これにより、ある程度の快適性がもたらされる。なぜなら、充電のために、携帯電話を電源に接続された誘導充電器の充電トレーに置かなければならないからである。
【0004】
現在では、とりわけ携帯電話およびタブレットの分野ではデザインが中心的な役割を担うため、デザインによって購入の選択がなされる場合がある。このため、特に高品質のブランドの場合は、メタリックな外観が使用されることが多い。
【0005】
プラスチック表面の金属被覆はこのような場合において公知の技術であるが、これには、金属被覆がその表面において導電性を有しているので誘導性を帯び、そのため、ケーブルが不要の充電が可能にならないという、重大な欠点がある。特に、おそらくこれが、主に高品質のブランド商品を製造している携帯電話および/またはタブレットメーカーの中には、Qi規格に従ってロード可能な装置を販売していないところがある理由であろう。
【0006】
したがって、次のような問題が生じる。一方では、メタリックな光沢のあるプラスチック表面が必要とされ、他方では、これらの表面はそれらの下に位置する充電装置を遮蔽するようなことがあってはならない。メタリックな表面は光沢度および色調(CIELAB値)の双方によって特徴付けられるという点において、特に難題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、上述の問題を克服、または少なくとも緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、この目的は、誘導充電装置が備えられた装置の装飾面が好ましくは厚さが1nm〜100nmの間の薄い半導体層で被覆されることで達成される。シリコンは、この目的に特に好適である。この被覆は、たとえば、物理蒸着法(PVD)によって行なうことができる。厚さ、それゆえに好ましい層は、マグネトロンスパッタリング法によって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図12層構造についての色値L、aおよびbを、それぞれの全層厚の関数として示す図である。「点線」:PVDによって製造されたコーティング、「平坦線」:PVDおよびトップコート(TC)によって製造されたコーティング、「一点鎖線」は、電着されたクロム層(金属)の基準物である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、例によって以下でより詳細に説明される。
本発明の第1の実施形態によると、35nmの厚さ(すなわち、1nm〜100nmの厚さ範囲)のシリコン層が、環境から電子部品を保護するプラスチック筐体の表面に半導体層として形成される。生成されるであろう表面構造を平滑にするために、まず、プライマー(UVアクリルラッカー)を表面に塗布する。マグネトロンスパッタリングによってSi層を形成した後に、この例ではカバー層(UVアクリルラッカー)を、この例では、薄いSi層をさらに保護するために、塗布する。その結果、帯青〜帯黄色のメタリックのチラチラ光る表面になる。シリコンの導電率は低いため、誘導充電装置は、電気的にまたは容量的に絶縁されていない。
【0011】
他の色を加えるために、たとえば、カバー層を半透明に着色することも可能である。
本発明の第2の実施形態によると、半導体層は層システムとして形成される。これは、半導体、たとえばSiと、誘電体、たとえばSiOとを有する交互層システムとして使用可能である。この場合も、Si層の全厚は、10nm〜100nmの間の範囲であるべきである。現在では、電磁放射のスペクトルの可視域において望ましい伝播および反射特徴を得るために、熟練した作業者は、光学薄膜用の高性能最適化プログラムを利用可能である。したがって、より詳細な実施形態はここでは省略する。
【0012】
本発明の第3の実施形態によると、ゲルマニウムが被覆の半導体材料として用いられる。この被覆を、10nm〜100nmの厚さを有する1つの薄い単一層として、または、たとえばSiOなどの1つ以上の誘電体を有する層間システムとして設計することもできる。特に、GeをSiと組み合わせて所望の効果を得ることもできる。
【0013】
これらの3つの実施形態は、ここではプライマーを用いて説明される。PVD層と基板との間に配置されるそのようなラッカー層は、下地と呼び得る。表面の質によっては、下地はなくてもよい。
【0014】
上述の発明によると、今では、たとえば、メタリックの外観を有し、かつ、ワイヤレスで、たとえば、装置と一体化された誘電受信機によって充電可能な携帯電話および/またはタブレットを製造することが可能である。また、本発明は上述の後付けのアダプタに関し、これらのアダプタに、問題なくメタリックな外観を与えることができる。
【0015】
本発明に係る概念は、主に、電気およびコードレス再充電式端末装置、特に、携帯電話、MP3プレーヤ、ボイスレコーダ、外部記憶媒体など、ならびにその周辺機器、特に、関連のある充電スタンド、後付けアダプタ、ホルダなどの分野で応用されている。しかしながら、本発明は、民間部門の消費財に応用が広がっているだけでなく、医療技術部門または自動車部門までその応用が意図されている。
【0016】
2008年以降、一般に、ワイヤレスエネルギ伝送は「Qi規格」という用語の下で組統合されてきた。コードレス充電装置の機能は、基本的に2つの方法で実施可能である。一方が放射線フリーエネルギ伝送であり、他方が放射線伝送である。エネルギ伝送の第1の可能な方法では、一方のコイルが「送信機」内に設置され、他方のコイルが「受信機」内に設置された、2つのコイルの磁気誘導による結合が使用される。この伝送能力は、送信機と受信機との間の距離が短い場合にのみ好適であり、それぞれ、「磁気共鳴結合」および「磁気駆動型結合」という用語でも説明可能である。結合は110〜205kHzの周波数範囲においてQi規格に従って行なわれるため、「長波長域」と分類される。もう一方の種類の伝送では、電磁波またはレーザービームの伝送が用いられ、放射を電気エネルギに変換可能な、特別な「受信装置」が必要になる。
【0017】
プラスチック表面の外観のデザインに関して、今日では、一連の異なるプロセスが知られている。当業者は、とりわけ電気めっき、またはPVD法でもプラスチック製品上にメタリックな表面を製造することが可能であると認識している。したがって、これらの方法についてさらに説明することはない。
【0018】
また、メタリックな単層または多層システムが特別な用途では使用できないことが当業者に知られている。なぜなら、金属層および/または金属含有層の金属特性によって、たとえば、充電スタンドの誘導コイルなどの外部電磁場電源との間で電磁相互作用が全く発生しない、あるいはわずかしか発生しないからである。
【0019】
上述の問題を解決するために、すなわち、本質的に、メタリック調の表面を得るためにプラスチック部品の表面仕上げを改善するために、表面導電率の不利な特性を避けなければならず、それによって、発明者は安易に公知の技術に頼ることができなかった。
【0020】
しかしながら、発明者にとって驚いたことに、公衆衛生および自動車部品上のメタリックな表面のデザインに関して主に知られている方法は、上述の目的の解決策のために修正された形態で使用可能であると発見された。WO2014170004で十分に説明されている方法の原理が、本発明に係る概念を実施するために使用されてきた。
【0021】
したがって、上述の問題点、特に導電率は、電気的に絶縁されたまたは半導性の材料、すなわち、基本的に非金属の材料をPVD層に使用することによって、大部分は回避可能である。さらに、驚くべきことに、本発明に係るメタリック調の被覆は基本的に、Qi規格で使用されるような約110〜205kHzの周波数範囲における誘導結合、すなわち、電磁相互作用を妨げないことが分かった。上述の3つの基本的な例示的な実施形態で説明したように、半導体材料、すなわち、シリコンおよびゲルマニウムに加えて、1つ以上の半導体の組合せ、または1つ以上の半導体と1つ以上の誘電体、たとえば、二酸化ケイ素との組合せを、光学的な外観を最適化するために使用可能である。
【0022】
別の実施形態では、メタリック調の被覆を、2つ以上のメタリック調の交互に堆積された層を含む多層構造として形成可能であり、それらの層のうちの少なくとも1つは、1つ以上の半導体材料と、1つ以上の誘電体からなる、半導体材料の上または下に位置する層とから構成されている。
【0023】
今では、適切な材料の選択および組合せによる効果的なプロセスに加えて、環境に優しいだけでなく短時間で多量の被覆を可能にする、構成要素の形状に適合させたプロセスパラメータを、ユーザは利用できる。プラスチック表面を被覆するとき、被覆温度が約85度よりも低くなるように注意が払われ、その結果、この方法は温度に敏感なプラスチック製品に特に好適となっている。
【0024】
本発明はプラスチック部品に対して試験され、驚くべきことに、いかなる色空間、たとえば、CIELAB色空間においても色値の可能性を示した。とりわけ、半導体と誘電体のそれぞれの組合せ、多層構造としてのそれらの組合せ、特にそれらの層厚の選択によって、これは調整可能である。図1は、本発明に係る2層構造についての色値L、aおよびbを、それぞれの全層厚の関数として示す。パラメータκはここでは堆積に使用される被覆電流と被覆時間の積を示すため、層厚を間接的に反映しているだけである。しかしながら、これは、本発明の層の色測定値の定性的な過程に何ら影響を有さない。比較のために、PVDを用いずにまたは光学的なトップコート(PVD+TC)を用いてプラスチック表面に堆積されたシリコン層は、PVD法による基準物に対してプロットされている。この基準物は、電着されたクロム金属層(メタリック)から構成されており、その色値は、PVD層を考慮すると、層厚にわたって一定であると示されている。シリコン層の本発明に従った使用により、クロム金属層の光学的な外観にきわめて正確に近くなることは、十分に明らかである。基板材料と光学的にアクティブなPVD層との間でのUV硬化ラッカー層の任意の使用はこの時点で説明されるが、配色に影響を及ぼさないため、さらに説明することはない。これとは対照的に、トップコート(TC)と呼ばれる、UV硬化ラッカー混合物から構成されることが好ましい被覆層の塗布は、有利なことに、所望の光沢度の最適化に効果を有し得る。代替として、このトップコートを二液型ポリウレタン(PU)ラッカー層から構成することができ、これによって、半透明に染色可能になるという利点がある。そのようなトップコートの使用によっても、色の多様性が増大する。
【0025】
このように、さまざまなメタリックカラー効果を比較的簡単に得ることができる。シルバーを思わせるメタリックカラーに加えて、他のメタリックカラーの例としては、ゴールドまたは銅が挙げられる。本発明に係る概念の範囲内において、メタリックシルバーカラーが電子部品のプラスチック筐体用の上述のPVD層を使用するために用いられる。したがって、CIELAB色空間では、好ましい使用範囲は20<L<98、−10<a<10、−10<b<10であり、特に好ましくは、40<L<90、−5<a<5、−5<b<5である。しかしながら、これを本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0026】
メタリック調層の本発明に係る全層厚は、5〜200nmの範囲、好ましくは10〜100nmの範囲であり、110〜205kHzの周波数範囲における電子部品と外部電子部品との間の電磁相互作用が可能になることが分かった。このメタリック調層は、1つ以上の半導体もしくは1つ以上の誘電体からなる個々の層、または2つ以上のメタリック調の交互に堆積された層から構成される多層構造を含み、これらの層のうちの少なくとも1つは、1つ以上の半導体材料、およびその上または下に位置する、1つ以上の誘電体からなる層で構成される。
【0027】
特に薄い層は、電子部品の筐体上での使用に好適であるという利点もさらに有している。たとえば、層厚が小さいと、メタリック調の表面に部品内部からバックライトを当てることが可能になる。これは、たとえば、移動無線装置およびそれらの充電スタンドが異なる色の光効果によって装置の充電状態を示すために使用可能である。加えて、たとえば、薄いPVD層のターゲットのレーザーアブレーションによって、バックライトを当てることにより特別なレタリングおよびロゴなどをより魅力的にできる可能性がある。また、層厚が比較的小さいと、混じり気はないがわずかに厚い金属層と比較して、被覆されたプラスチック表面の柔軟性に対して好ましい効果がある。さらに、電子デバイスはそれらのユーザの肌と直接接触することがあるため、ある程度の被覆の耐食性および無毒性が必要であり、これらは有利なことに、本発明において得ることができる。
【0028】
したがって、上述の問題を解決するための本発明に係る手法には、従来技術と比べて次のように際立った利点がある。
【0029】
・「Qi規格」に従って使用可能な電子デバイスのメタリック調の表面の生産
・連続生産について比較的容易に得られるメタリックの外観を有する表面の生産のための、ラッカー被覆、UV硬化、およびPVDプロセス
・下にある電子部品に対するメタリック調の表面の電気的および/または磁気的干渉の回避
・メタリックな外観に関する色デザインの多様性
・比較的実現容易な、所望の光沢度の設定
・たとえば電気めっきと比較した場合の、PVDプロセスの高い環境適合性
・プロセス温度が低いことによる、一般に使用される多くの材料の表面の改善
・高耐食性
・薄い非導電性層の使用による、可撓性構造
・シンボルおよびロゴなどの導入の可能性
・正確および/または広範に被覆にバックライトを当てる可能性
要約すると、説明される電子デバイスは、電気的にワイヤレス充電可能な端末装置として、またはそのような端末装置のための送信装置として使用可能な少なくとも1つの電子部品を含む。この電子デバイスは、110〜205kHzの周波数範囲における電子部品と外部電子部品との間の電磁相互作用を可能にするプラスチック表面を有しており、プラスチック表面がメタリックの外観を有することを特徴とする。被覆は、メタリックの外観を有し、少なくとも1つの半導体材料または少なくとも1つの誘電体を含む、少なくとも1つの層を含む。
【0030】
加えて、メタリック調層を有する電子デバイスを製造するための方法が提示され、この方法は、次のステップを含む。
【0031】
・電子デバイスのプラスチック表面を提供するステップ
・PVD法でメタリック調層を堆積することによってメタリックカラーの印象を生成するステップであり、メタリック調層は少なくとも半導体材料または誘電体を含む、ステップ
好ましい実施形態では、メタリック調層を有する電子デバイスを製造するための方法は、さらに次のステップを含む。
【0032】
・電子デバイスのプラスチック表面を提供するステップ
・上述のようにメタリック調層を堆積する前に、主にUV放射によってUV硬化ラッカーを層としてプラスチック表面に塗布し、UV硬化ラッカー層を硬化するステップ
および/または
・UV硬化ラッカーをトップコートとしてメタリック調層上に塗布するステップ
・主にUV放射によってトップコートを硬化するステップ
図1