(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は車両のテールゲートを示す正面図を、
図2は
図1のテールゲートを側方から見た側面図を、
図3はタッチセンサユニットの一部を示す斜視図を、
図4は
図3のA矢視図を、
図5は
図3のB−B線に沿う断面図を、
図6はケーブルセンサを単体で示す斜視図を、
図7はケーブルセンサの先端側を拡大した斜視図を、
図8はセンサブラケットを単体で示す斜視図をそれぞれ示している。
【0019】
図1および
図2に示される車両10は、所謂ハッチバックタイプの車両であり、当該車両10の後方側には、大きな荷物を車室内に出し入れし得る開口部11が形成されている。開口部11は、車両10の天井部の後方側に設けられたヒンジ(図示せず)を中心に回動される開閉体としてのテールゲート12により、
図2の実線矢印および破線矢印のように開閉される。
【0020】
また、本実施の形態に係る車両10には、パワーテールゲート装置13が搭載されている。パワーテールゲート装置13は、テールゲート12を開閉させる減速機付きのアクチュエータ(ACT)13aと、操作スイッチ(図示せず)の操作信号に基づいてアクチュエータ13aを制御するコントローラ(ECU)13bと、障害物BLの接触を検出する一対のタッチセンサユニット(センサユニット)20と、を備えている。
【0021】
図1に示されるように、タッチセンサユニット20は、固定対象物であるテールゲート12の車幅方向両側(図中左右側)にそれぞれ設けられている。より具体的には、一対のタッチセンサユニット20は、テールゲート12の車幅方向両側のドア枠の湾曲形状に沿わせて配置されている。つまり、一対のタッチセンサユニット20は、ドア枠の湾曲形状に倣って湾曲状態とされ、当該湾曲状態のもとで、テールゲート12にそれぞれ固定されている。
【0022】
これにより、開口部11とテールゲート12との間において、障害物BLがタッチセンサユニット20に接触されると、当該タッチセンサユニット20を形成するケーブルセンサ30(
図3参照)が直ぐに弾性変形される。
【0023】
そして、一対のタッチセンサユニット20は、それぞれコントローラ13bに電気的に接続され、ケーブルセンサ30の弾性変形時に発生する検出信号は、コントローラ13bに入力される。コントローラ13bは、タッチセンサユニット20からの検出信号の入力に基づき、操作スイッチの操作に依らず閉駆動されているテールゲート12を開駆動させるか、または閉駆動されているテールゲート12をその場で停止させる。これにより、障害物BLの挟み込みが未然に防止される。
【0024】
ここで、
図7に示されるように、ケーブルセンサ30には一対の電極31b,31cが設けられ、その先端側(図中右側)には抵抗Rが電気的に接続されている。これにより、ケーブルセンサ30が弾性変形されていない状態では、一対の電極31b,31cは互いに接触されず、コントローラ13bには、抵抗Rの抵抗値が入力される。つまり、コントローラ13bは、抵抗Rの抵抗値が入力されている場合には、障害物BLの挟み込みが無いと判断して、テールゲート12の閉駆動を継続して実行する。
【0025】
これに対し、タッチセンサユニット20に障害物BLが接触して、ケーブルセンサ30が弾性変形されると、一対の電極31b,31cが互いに接触されて短絡される。すると、コントローラ13bには、抵抗Rを介さない抵抗値(無限大)が入力されるようになる。これにより、コントローラ13bは抵抗値の変化を検出して、当該抵抗値の変化をトリガにテールゲート12を開駆動させるか、またはテールゲート12をその場で停止させる制御を実行する。
【0026】
図3ないし
図8に示されるように、タッチセンサユニット20は、長尺の紐状に形成され、かつ障害物BL(
図2参照)の接触により弾性変形されるケーブルセンサ30と、当該ケーブルセンサ30をテールゲート12(
図1参照)に固定するためのセンサブラケット40と、を備えている。ここで、
図3および
図4では、ケーブルセンサ30を判り易くするために、当該ケーブルセンサ30に網掛けを施している。
【0027】
図5に示されるように、ケーブルセンサ30は、センサ本体31と、当該センサ本体31を保持するセンサホルダ32と、を備えている。また、
図6に示されるように、ケーブルセンサ30の基端側には、一対の電極31b,31cの基端側が配置され、これらの電極31b,31cの基端部分には、コントローラ13b(
図1および
図2参照)のメス型コネクタ(図示せず)に装着されるオス型コネクタ30aが設けられている。
【0028】
図5に示されるように、センサ本体31は、可撓性を有する絶縁ゴム材等よりなる絶縁チューブ(中空の電極保持部)31aを備えている。絶縁チューブ31aは外力の付加により弾性変形され、絶縁チューブ31aの径方向内側(内部)には、一対の電極31b,31cが互いに非接触の状態で螺旋状に保持されている。これらの電極31b,31cは、可撓性を有する導電ゴム等よりなる導電チューブ31dを備え、その内部には複数の銅線を束ねてなる導電線31eが設けられている。
【0029】
そして、
図5に示されるように、絶縁チューブ31aの内径寸法は、一対の電極31b,31cの直径寸法の約3倍の大きさとなっている。言い換えれば、絶縁チューブ31aの軸心を中心に互いに対向する一対の電極31b,31cの間には、電極が約1本入る程度の微小な隙間Sが形成されている。
【0030】
このように、絶縁チューブ31aの内部には、一対の電極31b,31cが径方向に対向配置されるとともに長手方向に螺旋状に固定され、かつ一対の電極31b,31c間には、電極が約1本入る程度の微小な隙間Sが確保されている。これにより、センサ本体31のどの部分が障害物BL(
図2参照)により弾性変形されたとしても、略同じ条件(押圧力)で一対の電極31b,31cは互いに接触して短絡される。
【0031】
ここで、テールゲート12に用いられるタッチセンサユニット20では、絶縁チューブ31aの直径寸法は約5.0mm程度となっている。したがって、タッチセンサユニット20のテールゲート12に対する取り回しや、検出感度を考慮すると、直径寸法が1.0mm程度の一対の電極31b,31cを、絶縁チューブ31aの内部に螺旋状に設けるのが望ましい。
【0032】
例えば、本実施の形態では、センサ本体31を半径が4.0mmの小径の支柱に巻き掛けた場合でも、一対の電極31b,31cは互いに短絡されなかった。これに対し、比較例として、例えば同じ絶縁チューブの内部に4本の同じ電極を平行に設けたものでは、センサ本体を半径が7.5mmの大径の支柱に巻き掛けた場合でも各電極は短絡された。
【0033】
このように、本実施の形態、つまり、絶縁チューブ31aの内部に一対の電極31b,31cを螺旋状に設けたものにおいては、鋭角から鈍角までの比較的広い角度範囲で湾曲されたドア枠を有するテールゲート12に対して、対応可能となっている。
【0034】
図3ないし
図7に示されるように、センサホルダ32は、可撓性を有する絶縁ゴム材を押し出し成形等することで長尺に形成され、内部にセンサ本体31が収容された中空のセンサ保持筒32aと、センサブラケット40のセンサ固定部41(
図5参照)に固定される土台部32bと、を備えている。なお、
図5に示される破線は、センサ保持筒32aと土台部32bとの境界部分を示している。
【0035】
センサホルダ32の長手方向と交差する方向、つまりセンサホルダ32の短手方向に沿うセンサ保持筒32aの断面形状は、略円形形状に形成されている。また、センサ保持筒32aの肉厚は、絶縁チューブ31aの肉厚と同等の肉厚となっている。すなわち、センサ保持筒32aにおいても、外力の付加(障害物BLの接触)により容易に弾性変形可能となっている。
【0036】
したがって、絶縁チューブ31aに保持された一対の電極31b,31cは、センサ保持筒32aおよび絶縁チューブ31aの弾性変形により互いに容易に接触(短絡)され、よって、センサ本体31の十分な検出性能(感度)が確保されている。
【0037】
土台部32bは、センサ保持筒32aに対して、その長手方向に沿うようにして一体に設けられている。土台部32bは、センサ保持筒32aをセンサ固定部41に固定する機能を有しており、センサ保持筒32aおよび絶縁チューブ31aは、土台部32bを介してセンサ固定部41に固定されている。
【0038】
また、土台部32bは、センサホルダ32の短手方向に沿う断面形状が、略台形形状に形成され、土台部32bの底面32cには、センサホルダ32(ケーブルセンサ30)をセンサ固定部41に固定(接着)するための両面テープ(接着部材)32dが貼付されている。つまり、両面テープ32dは、センサホルダ32の長手方向と交差する方向(短手方向)に沿うセンサホルダ32とセンサ固定部41との間に配置されている。これにより、センサホルダ32およびセンサ固定部41の両者は、両面テープ32dにより互いに強固に接着される。
【0039】
さらに、センサ保持筒32aおよび土台部32bは、一対の傾斜面TPにより互いに滑らかに連結されている。このように、センサ保持筒32aと土台部32bとの間に傾斜面TPを設けることで、センサ保持筒32aと土台部32bとの間に応力が集中して亀裂等が生じるのを抑えている。これにより、センサホルダ32の耐久性を向上させている。
【0040】
このように、センサホルダ32は、その長手方向と交差する方向(短手方向)に沿う断面形状が非円形となっている。これにより、センサ保持筒32aおよび絶縁チューブ31aの弾性変形を容易にしつつ、土台部32bの剛性を十分に高めて、両面テープ32dによるセンサ固定部41に対する固定強度を向上させている。
【0041】
図7に示されるように、センサホルダ32の端末(ケーブルセンサ30の先端側)には、端末部としてのモールド樹脂部32eが一体に設けられている。モールド樹脂部32eは、センサホルダ32の一部を構成しており、絶縁チューブ31a(
図5参照)の端部および一対の電極31b,31c(
図5参照)の端部を覆っている。さらには、モールド樹脂部32eの内部には、絶縁体よりなるセパレータSPと、1つの抵抗Rと、2つのかしめ部材SWとが設けられている。
【0042】
このように、モールド樹脂部32eは、絶縁チューブ31aの端部,一対の電極31b,31cの端部,セパレータSP,抵抗R,一対のかしめ部材SWが、それぞれ外部に露出されるのを防止して、これらの構成部品を保護する機能を備えている。
【0043】
ここで、抵抗Rの両端部には、長尺接続部P1と短尺接続部P2とが設けられている。そして、長尺接続部P1を短尺接続部P2に対して180度折り返すことで、長尺接続部P1および短尺接続部P2は、一対の電極31b,31cの導電線31eに対して、一対のかしめ部材SWによりそれぞれ電気的に接続されている。このように、一対の電極31b,31cの端部は、抵抗Rを介して互いに電気的に接続されている。
【0044】
なお、一対のかしめ部材SWは、電工ペンチ等のかしめ治具(図示せず)によりかしめられるもので、これにより抵抗Rは、一対の電極31b,31cのそれぞれの導電線31eに強固に電気的に接続される。また、一対のかしめ部材SWは、セパレータSPを中心にその両側に対称となるようにそれぞれ配置され、当該セパレータSPの部分において互いに短絡されることが防止されている。
【0045】
そして、モールド樹脂部32eは、セパレータSPや抵抗R等が組み付けられたセンサホルダ32の端部を金型(図示せず)にセットして、当該金型内に溶融されたゴム材料等を射出することで形成される。すなわち、セパレータSPや抵抗R等の構成部品は、モールド樹脂部32eの内部にインサート成形により埋設されている。
【0046】
ここで、モールド樹脂部32eは、センサホルダ32と同じゴム材料により形成され、十分な柔軟性を有している。ただし、例えば、モールド樹脂部32eの内部に埋設されたセパレータSPや抵抗R等をより確実に保護すべく、センサホルダ32よりも高い硬度のゴム材料で形成することもできる。
【0047】
図3ないし
図5および
図8に示されるように、センサブラケット40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで、複数の湾曲部分を備えた略板状に形成されている。具体的には、複数の湾曲部分は、テールゲート12(
図1参照)のドア枠の湾曲形状に倣って設けられる。このように、センサブラケット40はプラスチック製であり、センサブラケット40の硬度の方が、ケーブルセンサ30の硬度よりも高くなっている。なお、
図3ないし
図5および
図8では、センサブラケット40における1つの湾曲部分のみを示している。
【0048】
センサブラケット40は、センサ固定部41および車体固定部42を備えている。センサ固定部41および車体固定部42は何れも略平板状に形成され、センサブラケット40をテールゲート12(
図1参照)に固定した状態で、センサ固定部41は車室外側に配置され、車体固定部42は車室内側に配置される。ここで、車体固定部42は、テールゲート12に固定される部分であり、当該車体固定部42は、複数のボルト(図示せず)によりテールゲート12に固定される。
【0049】
これに対し、センサ固定部41は、ケーブルセンサ30(
図6参照)が固定される部分であり、センサ固定部41の表面には、ケーブルセンサ30に設けられた両面テープ32d(
図6参照)が貼付される貼付面41a(
図8の網掛部分)が設けられている。この貼付面41aは、両面テープ32dの接着強度を高めるべく、センサブラケット40の他の部分に比して、その表面が平滑化されている。よって、ケーブルセンサ30をセンサ固定部41に対して十分な強度で固定することができる。
【0050】
また、
図5に示されるように、センサ固定部41と車体固定部42との間には、傾斜壁部43が設けられている。これにより、センサ固定部41と車体固定部42との間には、高さ寸法H1の段差部DSが形成されている。このように、センサ固定部41および車体固定部42との間に高さ寸法H1の高低差を付けることで、ケーブルセンサ30をテールゲート12におけるドア枠の外縁部近傍に設置できるようにしている。
【0051】
さらに、
図5に示されるように、ケーブルセンサ30を両面テープ32dで貼付面41aに貼付した状態で、センサ保持筒32a(センサ本体31)は、車体固定部42よりもその上方に突出されている。具体的には、両面テープ32dの厚み寸法と、土台部32bの最も薄い部分の厚み寸法と、を足した高さ寸法H2は、段差部DSの高さ寸法H1の高さ寸法よりも大きくなっている(H2>H1)。これにより、絶縁チューブ31aに保持された一対の電極31b,31cが、車体固定部42よりもその上方に配置され、ひいては障害物BL(
図2参照)の挟み込み検知の感度が十分に確保される。
【0052】
また、傾斜壁部43は、貼付面41aの垂線に対して傾斜角度α°(約12度)で傾斜されている。具体的には、傾斜壁部43は、センサ固定部41から車体固定部42に向けて急峻な登り坂形状となっている。これにより、
図5の矢印Mに示されるように、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40の上方から臨ませて、ケーブルセンサ30をセンサ固定部41に容易に固定可能となっている。すなわち、傾斜壁部43は、二点鎖線で示された固定前の状態にあるケーブルセンサ30を、実線で示された正規の固定位置に位置決めする(案内する)機能を備えている。
【0053】
図4および
図8に示されるように、センサブラケット40は、少なくとも第1直線部(直線部)40aおよび第2直線部(直線部)40b(2つ)と、湾曲部40c(1つ)とを備えており、湾曲部40cは、第1直線部40aと第2直線部40bとの間に設けられている。また、
図4に示されるように、湾曲部40cは、ケーブルセンサ30の一部を湾曲状態(曲げられた状態)で保持し、第1,第2直線部40a,40bは、ケーブルセンサ30の延在方向に沿う湾曲部40cの両側において、ケーブルセンサ30を真直状態(真っ直ぐな状態)で保持するようになっている。ここで、
図4および
図8における符号BD(一点鎖線)は、第1直線部40aと湾曲部40cとの境界線および第2直線部40bと湾曲部40cとの境界線をそれぞれ示している。
【0054】
第1直線部40aおよび第2直線部40bには、ケーブルセンサ30の土台部32b(
図4参照)がそれぞれ押し付けられる第1の反力受止部(反力受止部)40a1,40b1が一体に設けられている。これらの第1の反力受止部40a1,40b1は、それぞれセンサ固定部41の幅方向(
図8中上下方向)に沿う車体固定部42側とは反対側(
図8中下側)に設けられている。すなわち、第1の反力受止部40a1,40b1は、
図4に示されるように、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向外側(車室外側)に配置されている。
【0055】
そして、第1の反力受止部40a1,40b1は、その基端側がセンサ固定部41に一体に連結され、先端側がセンサ固定部41の厚み方向に突出されている。具体的には、第1の反力受止部40a1,40b1は、貼付面41a(
図8参照)からセンサ固定部41の厚み方向に所定の高さで突出され、かつ略平板状の壁部となっている。
【0056】
ここで、第1の反力受止部40a1,40b1の突出高さH3は、段差部DSの高さ寸法H1(
図5参照)よりも若干低い高さ寸法となっている(H3<H1)。これにより、ケーブルセンサ30をセンサ固定部41に容易に固定可能としつつ、ケーブルセンサ30による障害物BL(
図1参照)の挟み込み検知の前に、障害物BLが第1の反力受止部40a1,40b1に接触されるのを防止している。
【0057】
また、第1の反力受止部40a1,40b1は、第1,第2直線部40a,40bの長手方向に沿う湾曲部40c寄りの部分、つまり境界線BDの近傍にそれぞれ配置されている。そして、ケーブルセンサ30の長手方向に沿う第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法はL1に設定され、この長さ寸法L1は、ケーブルセンサ30が第1の反力受止部40a1,40b1に対して反力F1(
図4参照)で押し付けられたときに、ケーブルセンサ30の土台部32bが弾性変形されない程度の長さ寸法となっている。
【0058】
すなわち、第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法L1が短いと、土台部32bに第1の反力受止部40a1,40b1が食い込むことがあり、この場合にはケーブルセンサ30を早期に傷めてしまう虞がある。したがって、第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法L1は、土台部32bに食い込まない程度(土台部32bが弾性変形されない程度)の長さ寸法に設定するのが望ましい。その一方で、第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法L1を長くし過ぎると、センサブラケット40の重量が嵩むという問題を生じ得る。これらの相反する不具合があることから、第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法L1は、ケーブルセンサ30を形成するセンサホルダ32の硬度(柔軟性)に応じて、許容範囲でなるべく短く設定するのが望ましい。
【0059】
そして、
図3および
図4に示されるように、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に固定した状態において、第1の反力受止部40a1,40b1の内側、つまり第1の反力受止部40a1,40b1の傾斜壁部43側(車室内側)には、湾曲部40cに倣って弾性変形されたケーブルセンサ30からの反力F1が付加されることになる。言い換えれば、第1の反力受止部40a1,40b1のそれぞれには、ケーブルセンサ30が真っ直ぐに戻ろうとする復元力(反力F1)が掛かることになる。
【0060】
この場合、両面テープ32dの接着力が大きいほど反力F1は小さくて済むが、例えば、経時変化等で両面テープ32dの接着力が低下した場合には、反力F1は大きくなってしまう。いずれにしても、本実施の形態では、ケーブルセンサ30からの反力F1は、第1の反力受止部40a1,40b1のそれぞれによって受け止められる。したがって、上述のような両面テープ32dの接着力の大小に関わらず、ケーブルセンサ30がセンサブラケット40に対して脱落したり弛んだりすること等が、効果的に抑えられる。
【0061】
特に、ケーブルセンサ30が真っ直ぐに戻ろうとする復元力(反力F1)は、ケーブルセンサ30の湾曲部分の近傍で最も大きくなる。そのため、本実施の形態においては、上述したように、第1,第2直線部40a,40bの長手方向に沿う湾曲部40c寄りの部分に、第1の反力受止部40a1,40b1を配置している。
【0062】
図8に示されるように、湾曲部40cの長手方向に沿う略中央部には、ケーブルセンサ30の土台部32b(
図4参照)が押し付けられる1つの第2の反力受止部(反力受止部)40c1が一体に設けられている。第2の反力受止部40c1は、センサ固定部41の幅方向(
図8中上下方向)に沿う車体固定部42側(
図8中上側)に設けられている。すなわち、第2の反力受止部40c1は、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向内側(車室内側,
図3参照)に配置されている。
【0063】
具体的には、第2の反力受止部40c1は、傾斜壁部43から湾曲部40cの径方向外側に向けて、微小高さで突出されている。そして、第2の反力受止部40c1は、その断面形状が略半円形状に形成され、その先端部分において、湾曲状態とされた土台部32bの径方向内側を、略円弧面で支持するようになっている(
図3参照)。
【0064】
ここで、第2の反力受止部40c1の突出高さH4は、
図5に示されるように、第1直線部40aの部分(第2直線部40bの部分も同様)において、ケーブルセンサ30と傾斜壁部43との間にクリアランスCを形成し得る突出高さとなっている。これにより、ケーブルセンサ30を、2つの第1の反力受止部40a1,40b1および1つの第2の反力受止部40c1により容易に湾曲させることができ、かつ当該状態のもとでセンサ固定部41に容易に固定可能となっている。
【0065】
また、ケーブルセンサ30の長手方向に沿う第2の反力受止部40c1の長さ寸法L2は、ケーブルセンサ30の長手方向に沿う第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法L1よりも短くなっている(L2<L1)。これにより、第2の反力受止部40c1を、湾曲したセンサ固定部41の径方向内側(車室内側)に容易に配置しつつ、第2の反力受止部40c1を基準にして、ケーブルセンサ30を湾曲させ易くしている。
【0066】
ここで、2つの第1の反力受止部40a1,40b1および1つの第2の反力受止部40c1は、それぞれケーブルセンサ30の湾曲具合(湾曲半径)を決定するものである。すなわち、例えば、第2の反力受止部40c1を第1の反力受止部40a1,40b1のそれぞれに近付けつつ、第1の反力受止部40a1,40b1を互いに近付けることで、ケーブルセンサ30の湾曲半径を小さくすることができる。
【0067】
そして、
図3に示されるように、ケーブルセンサ30をセンサブラケット40に固定した状態において、第2の反力受止部40c1の先端側、つまり第2の反力受止部40c1の車室外側には、湾曲部40cに倣って弾性変形されたケーブルセンサ30からの反力F2が付加されることになる。言い換えれば、第2の反力受止部40c1には、ケーブルセンサ30が真っ直ぐに戻ろうとする復元力(反力F2)が掛かることになる。
【0068】
この場合、両面テープ32dの接着力が大きいほど反力F2は小さくて済むが、例えば、経時変化などで両面テープ32dの接着力が低下した場合には、反力F2は大きくなってしまう。いずれにしても、本実施の形態では、ケーブルセンサ30からの反力F2は、第2の反力受止部40c1によって受け止められる。したがって、上述のような両面テープ32dの接着力の大小に関わらず、ケーブルセンサ30がセンサブラケット40に対して脱落したり弛んだりすること等が、効果的に抑えられる。
【0069】
特に、ケーブルセンサ30が真っ直ぐに戻ろうとする復元力(反力F2)は、ケーブルセンサ30の湾曲部分の中心部分で最も大きくなる。そのため、本実施の形態では、上述したように、湾曲部40cの長手方向に沿う略中央部に、第2の反力受止部40c1を配置している。
【0070】
なお、土台部32bは、第2の反力受止部40c1の先端部分の略円弧面で支持されるため、第2の反力受止部40c1が土台部32bに食い込むことは略無い。また、第2の反力受止部40c1の長さ寸法L2は、ケーブルセンサ30を形成するセンサホルダ32の硬度(柔軟性)に応じて、許容範囲(土台部32bに食い込ませない範囲)でなるべく短く設定するのが望ましい。
【0071】
以上詳述したように、実施の形態1によれば、センサブラケット40に、湾曲状態で保持されたケーブルセンサ30からの反力F1,F2を受ける第1,第2の反力受止部40a1,40b1,40c1が設けられているので、センサブラケット40に接着されたケーブルセンサ30が真っ直ぐになろうとしても、その反力F1,F2(復元力)は第1,第2の反力受止部40a1,40b1,40c1により受け止められる。
【0072】
これにより、ケーブルセンサ30は、センサブラケット40上において湾曲状態で保持され、ひいてはセンサブラケット40に対するケーブルセンサ30の固定構造を簡素化しつつ、両面テープ32dの剥がれを長期に亘り抑えることが可能となる。
【0073】
この場合、センサブラケット40に、湾曲状態で保持されたケーブルセンサ30の一部を湾曲状態で保持する湾曲部40cと、ケーブルセンサ30の延在方向に沿う湾曲部40cの両側において、ケーブルセンサ30を真直状態で保持する第1,第2直線部40a,40bと、を設け、第1,第2直線部40a,40bに、湾曲部40cに倣って弾性変形されたケーブルセンサ30からの反力F1を受ける第1の反力受止部40a1,40b1を設けることができる。また、湾曲部40cに、当該湾曲部40cに倣って弾性変形されたケーブルセンサ30からの反力F2を受ける第2の反力受止部40c1を設けることができる。よって、これによっても、センサブラケット40の湾曲部40cに対するケーブルセンサ30の固定構造を簡素化しつつ、両面テープ32dの剥がれを長期に亘り抑えることが可能となる。
【0074】
さらに、実施の形態1によれば、第1の反力受止部40a1,40b1は、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向外側に配置され、第2の反力受止部40c1は、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向内側に配置されている。これにより、ケーブルセンサ30のセンサブラケット40への装着時において、ケーブルセンサ30を容易に湾曲させることができる。
【0075】
また、実施の形態1によれば、ケーブルセンサ30の長手方向に沿う第1の反力受止部40a1,40b1の長さ寸法L1の方が、ケーブルセンサ30の長手方向に沿う第2の反力受止部40c1の長さ寸法L2よりも長くなっている(L1>L2)。これにより、センサブラケット40を大型化させること無く、第2の反力受止部40c1を、湾曲したセンサ固定部41の径方向内側(車室内側)に容易に配置しつつ、第2の反力受止部40c1を基準にして、ケーブルセンサ30を湾曲させ易くできる。
【0076】
さらに、実施の形態1によれば、ケーブルセンサ30には、一対の電極31b,31cを互いに非接触状態で保持する絶縁チューブ31aが設けられ、一対の電極31b,31cは、障害物BLの接触により互いに接触状態になる。これにより、比較的簡単に得られる非接触状態および接触状態を示す信号を用いて、コントローラ13bにより容易かつ素早く障害物BLの接触を検知させることができる。
【0077】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0078】
図9は実施の形態2のタッチセンサユニットの一部を示す斜視図を示している。
【0079】
図9に示されるように、実施の形態2のタッチセンサユニット(センサユニット)50では、実施の形態1のタッチセンサユニット20(
図5参照)に比して、センサブラケット51の形状のみが異なっている。具体的には、センサブラケット51は、複数の湾曲部分(
図9では3つのみ示す)を備えた単純な略平板状に形成されている。すなわち、センサブラケット51は段差部DS(
図5参照)を備えておらず、センサ固定部52(車室外側)と同一平面上に車体固定部53(車室内側)が設けられている。
【0080】
そして、センサブラケット51には、第1,第2,第3湾曲部(湾曲部)51a,51b,51c(3つ)と、直線部51d,51e,51f,51g(4つ)と、が設けられている。第1湾曲部51aは一対の直線部51d,51eの間に設けられ、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向内側は車室外側となっている。また、第2湾曲部51bは一対の直線部51e,51fの間に設けられ、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向内側は車室内側となっている。さらに、第3湾曲部51cは一対の直線部51f,51gの間に設けられ、湾曲状態とされたケーブルセンサ30の径方向内側は車室外側となっている。つまり、第1,第3湾曲部51a,51cはそれぞれ同じ向きに湾曲され、第2湾曲部51bのみが逆向きに湾曲されている。
【0081】
そして、一対の直線部51d,51eの第1湾曲部51a寄り(境界線BD1の近傍)には、第1の反力受止部(反力受止部)51d1,51e1が設けられ、これらの第1の反力受止部51d1,51e1は、それぞれセンサ固定部52の幅方向に沿う車体固定部53側(車室内側)に配置されている。これに対し、第1湾曲部51aの長手方向に沿う略中央部には、第2の反力受止部(反力受止部)51a1が一体に設けられ、この第2の反力受止部51a1は、センサ固定部52の幅方向に沿う車体固定部53側とは反対側(車室外側)に配置されている。
【0082】
また、一対の直線部51e,51fの第2湾曲部51b寄り(境界線BD2の近傍)には、第1の反力受止部(反力受止部)51e2,51f1が設けられ、これらの第1の反力受止部51e2,51f1は、それぞれセンサ固定部52の幅方向に沿う車体固定部53側とは反対側(車室外側)に配置されている。これに対し、第2湾曲部51bの長手方向に沿う略中央部には、第2の反力受止部(反力受止部)51b1が一体に設けられ、この第2の反力受止部51b1は、センサ固定部52の幅方向に沿う車体固定部53側(車室内側)に配置されている。
【0083】
さらに、一対の直線部51f,51gの第3湾曲部51c寄り(境界線BD3の近傍)には、第1の反力受止部(反力受止部)51f2,51g1が設けられ、これらの第1の反力受止部51f2,51g1は、それぞれセンサ固定部52の幅方向に沿う車体固定部53側(車室内側)に配置されている。これに対し、第3湾曲部51cの長手方向に沿う略中央部には、第2の反力受止部(反力受止部)51c1が一体に設けられ、この第2の反力受止部51c1は、センサ固定部52の幅方向に沿う車体固定部53側とは反対側(車室外側)に配置されている。
【0084】
以上のように形成された実施の形態2においても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態2と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0086】
図10は実施の形態3のタッチセンサユニットの一部を示す斜視図を示している。
【0087】
図10に示されるように、実施の形態3のタッチセンサユニット(センサユニット)60では、実施の形態2のタッチセンサユニット50(
図9参照)に比して、センサブラケット61の形状のみが異なっている。具体的には、
図9に示されるように、実施の形態2のセンサブラケット51は、ケーブルセンサ30の取り回しに応じて蛇行した形状、具体的には、車体固定部53の幅寸法がセンサブラケット51の長手方向全域に亘って同じ幅寸法となっていた。これに対し、実施の形態3のセンサブラケット61では、ケーブルセンサ30の車室内側に、比較的面積が大きい幅広の車体固定部62が設けられている。
【0088】
このように、実施の形態2のセンサブラケット51とは異なり、規則的では無く変則的な形状のセンサブラケット61であっても、ケーブルセンサ30を湾曲状態で保持する領域AR2,AR4,AR6の部分が、それぞれ第1,第2,第3湾曲部51a,51b,51c(3つ)となっている。また、ケーブルセンサ30を真直状態で保持する領域AR1,AR3,AR5,AR7の部分が、直線部51d,51e,51f,51g(4つ)となっている。
【0089】
以上のように形成された実施の形態3においても、実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。上記各実施の形態では、湾曲部40c,51a,51b,51cと直線部40a,40b,51d,51e,51f,51gとを境界線BD,BD1,BD2,BD3で区切り、湾曲部40c,51a,51b,51cに、第2の反力受止部40c1,51a1,51b1,51c1をそれぞれ設け、直線部40a,40b,51d,51e,51f,51gに、第1の反力受止部40a1,40b1,51d1,51e1,51e2,51f1,51f2,51g1をそれぞれ設けたものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1の反力受止部を、湾曲部が設けられる領域に食い込むようにして設けることもできる。すなわち、ケーブルセンサ30が真っ直ぐに戻ろうとする反力F1を受ける適切な位置に、第1の反力受止部を設ければ良い。
【0091】
また、上記各実施の形態では、本発明における接着部材として、両面テープ32dを採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、硬化前に流動性を備えた接着剤を採用することもできる。
【0092】
さらに、上記各実施の形態では、絶縁チューブ31aの内部に一対の電極31b,31cを螺旋状に固定したものを示したが、本発明はこれに限らず、電極の太さや必要とされる検出性能等に応じて、4本や6本等の電極を螺旋状に設けたり平行に設けたりしても良い。
【0093】
また、上記各実施の形態では、絶縁チューブ31aの内部に一対の電極31b,31cを螺旋状に固定したセンサ本体31を用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、センサ本体に、長尺の紐状に形成された静電容量センサを用いることもできる。この場合、静電容量センサを保持するセンサホルダは、導電性を有する弾性材料、例えば、リモコンの接点材料に用いられる導電ゴム等で形成するようにする。これにより、人間が近接しているのを検出することが可能となる。
【0094】
さらに、上記各実施の形態では、タッチセンサユニット20,50,60を、車両10のテールゲート12に固定した場合を示したが、本発明はこれに限らず、車両のサンルーフや車両の側方にあるスライドドアに固定しても良いし、車両の車体側に固定することもできる。さらには、車両10への適用に限らず、建物の出入り口を開閉するための自動ドア装置等にも適用することができる。
【0095】
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。