(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記孔部は、管路の工事箇所に接続され、中空状のバッグ本体内を前記作業領域とする管路工事用ノーブローバッグに設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の作業空間形成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の作業バッグは、その壁面に設けられた孔部の開口周縁に、作業員の腕の皮膚(裸腕)を「直接密着」させることで、その内部の気密性を確保するように構成されている(要約等参照)。
【0006】
そうすると、例えば、寒い環境下(例えば、冬の屋外)で、作業バッグを用いた作業をおこなうと、手や腕等が冷えてしまい、作業効率がいきおい低下してしまう、といった問題があった。
【0007】
このような問題は、作業員の手や腕を同時に覆うことが可能な手袋(長手袋)を着用することにより解決することができそうである。
【0008】
しかしながら、このような手袋を着用した状態で、作業バッグ内に手を挿入すると、手袋のうちの作業バッグの孔部と接触する部分において、手の挿入方向に沿って複数のしわ(隙間)が形成されてしまい、このしわを通じて、作業バッグ内に充満するガスが外部に漏出するおそれが生じる。
【0009】
この点、このような手袋を予め作業バッグの孔部に一体的に取り付けておくことも考えられるが、そうすると、暑い環境下(例えば、夏の屋外)で作業する場合においても、必然的に手袋を着用しなければならなくなるため、作業効率の低下といった、上述した問題とさして変わらない問題が生じてしまう。
【0010】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、その目的は、長手袋等の装着具を必要に応じて着用した場合であっても、作業領域内の気密性を確保することが可能な作業空間形成方法および作業空間形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、本発明にかかる作業空間形成方法によれば、壁面に設けられた孔部に人体の一部を挿入することによって作業領域としての閉空間を形成することが可能な作業空間形成方法であって、前記人体の一部を覆う筒状の覆い部が設けられた装着具を前記人体に着用する装着具着用工程と、前記装着具着用工程をおこなった後、前記覆い部を周方向に締め付ける環状のベルト部材を前記覆い部上に装着するベルト部材装着工程と、前記ベルト部材装着工程をおこなった後、前記孔部に前記人体の一部を挿入して前記ベルト部材の外周面を前記孔部の開口周縁に密着させるベルト部材密着工程と、を含む、ことにより解決される。
【0012】
また、上記課題は、本発明にかかる作業空間形成システムによれば、壁面に設けられた孔部に人体の一部を挿入することによって作業領域としての閉空間を形成することが可能な作業空間形成システムであって、前記人体の一部を覆う筒状の覆い部を有する装着具と、前記人体に着用された前記装着具の前記覆い部を周方向に締め付けるとともに、前記孔部に前記人体の一部が挿入された状態で前記孔部の開口周縁に密着する環状のベルト部材と、を備えることによっても解決することができる。
【0013】
なお、ここでいう「人体の一部」とは、作業員等の手部や腕部に限られず、それを「作業領域」の「孔部」に挿入することによって「閉空間」が形成されるものであれば、指部、脚部および胴部なども含む概念である。
【0014】
同様に、上記「装着具」とは、例えば、「人体の一部」が手部や腕部であれば、手袋(例えば、ゴム長手袋)が該当し、また、「人体の一部」が、脚部であれば、ズボン(例えば、ゴム長ズボン)等が該当する。
【0015】
また、上記「作業領域としての閉空間」とは、ガス管の工事に用いられる、いわゆるノーブローバッグの内部空間、空気清浄度が確保された容器等の内部空間、および、液体が貯留された槽等の内部空間などが該当する。
【0016】
上記構成では、作業員が、
(1)「装着具」(例えば、長手袋)を着用する、
(2)次に、「装着具」の「覆い部」(例えば、手袋の開口端部側の所定部位)を「ベルト部材」(例えば、帯状のゴムベルト)で締め付ける、
(3)その後、「人体の一部」を「孔部」に挿入して、「ベルト部材」の外周面を(「作業領域」の)「孔部」の開口周縁に密着させる、
といった手順を踏むことによって、作業領域としての閉空間が形成されるように構成されている。
【0017】
すなわち、上記構成では、「ベルト部材」の内周面側が「装着具」の「覆い部」に、また、その外周面側が「孔部」の開口周縁に、それぞれ、密着するように構成されているため、「装着具」と「ベルト部材」との間、および、「ベルト部材」と「孔部」との間の何れにおいても、隙間が生じることがほとんどない。
【0018】
このため、上記構成では、「装着具」を着用した状態で「作業領域」に「人体の一部」を挿入しても、これを着用しなかった場合と何らそん色なく、「作業領域」内の気密性を確保することが可能である。
【0019】
この点、上記構成を備えた本発明によれば、作業環境(例えば、温度)や、「作業領域」内における皮膚への影響(例えば、肌荒れ)などに応じて、「装着具」の着用の有無を選択することが可能なため、自由度に富んだものといえる。
【0020】
また、上記構成では、「装着具」として、市場に一般に市販されているものを用いることが可能なため、汎用性を有するものでもある。
【0021】
なお、上記作業空間形成方法にかかる発明においては、前記装着具着用工程をおこなう前に、前記人体の一部に対して環状の第2ベルト部材を装着する第2ベルト部材装着工程をさらに含み、前記装着具着用工程は、前記第2ベルト部材を覆うように前記装着具を前記人体に着用する工程を含み、前記ベルト部材装着工程は、前記第2ベルト部材との間で前記覆い部を挟み込むように前記ベルト部材を前記覆い部に装着する工程を含む、と好適である。この場合、上記前記ベルト部材の内周面および前記第2ベルト部材の外周面は、それぞれ、平面状に形成されている、とさらに好適である。
【0022】
また、上記作業空間形成方法にかかる発明においては、前記ベルト部材の外周面は、平面状に形成されている、と好適である。
【0023】
さらに、上記作業空間形成方法にかかる発明においては、前記ベルト部材は、径方向内側に向けて付勢力が付与されている、と好適である。
【0024】
また、前記孔部は、管路の工事箇所に接続され、中空状のバッグ本体内を前記作業領域とする管路工事用ノーブローバッグに設けられている、と好適である。
【0025】
なお、上記作業空間形成方法にかかる発明においては、上記構成と密接に関連する他の構成として、壁面に設けられた孔部に人体の一部を挿入することによって作業領域としての閉空間を形成することが可能な作業空間形成方法であって、前記人体の一部を挿入可能な筒状の覆い部が設けられた装着具における前記覆い部の開口端部側に気密性を保持した状態で硬質の筒状部材を取り付ける筒状部材取付工程と、前記筒状部材取付工程をおこなった後、前記筒状部材が取り付けられた前記装着具を前記人体に着用する装着具着用工程と、前記装着具着用工程をおこなった後、前記孔部に前記人体の一部を挿入して前記筒状部材の外周面を前記孔部の開口周縁に密着させる筒状部材密着工程と、を含む、ようにすることも可能である。
【0026】
同様に、上記作業空間形成システムにおいても、上記構成と密接に関連する他の構成として、壁面に設けられた孔部に人体の一部を挿入することによって作業領域としての閉空間を形成することが可能な作業空間形成システムであって、前記人体の一部を挿入可能な筒状の覆い部が設けられた装着具と、前記覆い部の開口端部に気密性を保持した状態で取り付けられ、前記人体の一部を挿入可能な筒状部材と、を備え、前記筒状部材は、前記装着具が着用された前記人体の一部が前記孔部に挿入された状態で前記孔部の開口周縁に密着する、ようにしてもよい。
【0027】
上記他の構成にかかる作業空間形成方法および作業空間形成システムにおいても、「筒状部材」の外周面が「孔部」の開口周縁に密着するように構成されているため、作業員が「装着具」を着用した状態で「作業領域」に「人体の一部」を挿入しても、「作業領域」内の気密性を確保することが可能である。
【0028】
なお、上記他の構成にかかる作業空間形成システムにおいては、前記孔部は、管路の工事箇所に接続され、中空状のバッグ本体内を前記作業領域とする管路工事用ノーブローバッグに設けられている、と好適である。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明にかかる作業空間形成方法および作業空間形成システムによれば、簡易な構成でありながらも、作業領域内の気密性を確保しつつ、必要に応じて人体の一部を寒さ等から保護することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかる作業空間形成システムの一例を示す説明図、
図2は
図1のII−II矢視断面図、
図3は本実施形態にかかる作業空間形成方法のフロー図、
図4は作業バッグの一例を示す説明図である。
【0032】
図1および
図2に示すように、本実施形態にかかる作業空間形成システム1は、作業バッグ10内の作業領域Sを気密性のある閉空間にするためのものであって、手袋2と、内側バンド3と、外側バンド4とを備えている。なお、上記作業空間形成システム1と、手袋2と、内側バンド3と、外側バンド4と、作業バッグ10とが、それぞれ、特許請求の範囲の「作業空間形成システム」と、「装着具」と、「第2ベルト部材」と、「ベルト部材」と、「管路工事用ノーブローバッグ」とに該当する。
【0033】
ここで、作業空間形成システム1について説明する前に、作業領域Sを有する作業バッグ10について
図1および
図4を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、作業領域Sを有する部材として、作業バッグ10を例にとって説明するが、人体の一部(例えば、手部や腕部)を挿入することによって閉空間が形成されるものであれば、他の部材や装置(例えば、空気の清浄度が確保された容器)であってもよい。
【0034】
図1および
図4に示すように、作業バッグ10は、流体(例えば、ガス)の流れを止めることなく、既設管路(例えば、ガス管)Pから分岐取出等する際に用いられる部材であって、円筒状のバッグ本体11と、管路側挿入部12と、作業員側挿入部13とを備えている。
【0035】
バッグ本体11は、例えば、透明の軟質塩化ビニルからなり、例えば、外径300mm・高さ450mmの大きさに形成されている。バッグ本体11の下底部11aおよび上底部11bには、これらの中心部に、それぞれ、直径100mm程度の孔が形成されている。
【0036】
管路側挿入部12は、例えば、直径200mmの円状の生ゴム板からなり、その中心部に直径50mm〜100mm程度の孔部12aが形成されている。同様に、作業員側挿入部13は、例えば、直径200mmの円状の生ゴム板からなり、その中心部に直径50mm程度の孔部13aが形成されている。なお、上記作業員側挿入部13の孔部13aが特許請求の範囲に記載の「孔部」に該当する。
【0037】
これら管路側挿入部12と作業員側挿入部13とは、バッグ本体11の下底部11aと上底部11bとのそれぞれに、接着剤等によって貼着されている。
【0038】
次に、このように構成された作業バッグ10の使用手順について、既設管路Pの分岐取り出しを例にとって説明する。
本実施形態にかかる作業バッグ10を用いた既設管路Pの分岐取り出しは、
(1)まず、既設管路Pの分岐取り出し位置に、穿孔装置20を取り付けるための台座21を取り付ける(
図4(a)参照)。
(2)次に、台座21に穿孔装置20を取り付けて穿孔する(
図4(b)参照)。
(3)その後、台座21の外周溝部21aに作業バッグ10の管路側挿入部12(孔部12a)をはめ込む(
図4(c)参照)。
(4)そして、作業バッグ10の作業員側挿入部13(孔部13a)に腕部Arを挿入した後、作業バッグ10内で、穿孔装置20を取り外すとともに、穿孔孔にプラグ25を取り付ける(
図4(d)参照)。
(5)次に、既設管路Pから、作業バッグ10を取り外した後、台座21を取り外す。
(6)その後、再度、既設管路Pに作業バッグ10を取り付けた後、作業員側挿入部13に腕部Arを挿入して、プラグ25を取り外すとともに穿孔孔に分岐継手(例えば、サービスチーズ、図示省略)を取り付ける。
といった手順を踏むことによりおこなわれる。
【0039】
このように、本実施形態では、既設管路Pに作業バッグ10を取り付けている状態で、作業員側挿入部13(孔部13a)に作業員Wの腕部Arを挿入することにより、作業バッグ10内に作業領域Sとしての閉空間(気密性を有する空間)が形成されるようになっている。
【0040】
次に、作業空間形成システム1を構成する手袋2について
図1および
図2を参照しつつ説明する。
図1および
図2に示すように、手袋2は、作業員Wの腕部Arを覆う筒状の覆い部2aを有し、着用した状態で作業員Wの手部Hnの全体および腕部Arの一部を覆うことが可能な大きさに形成されている。なお、上記覆い部2aが特許請求の範囲に記載の「覆い部」に該当する。
【0041】
また、手袋2は、通気性のない素材(非通気性の素材、例えば、天然ゴム等のゴム部材)により一体成形されたものであって、市場に一般に流通している市販品を採用することが可能である。なお、本実施形態では、非通気性の素材によって一体成形された手袋2を用いるが、少なくとも、外側バンド4が装着される部位(覆い部2a)が非通気性の素材で形成されていれば、作業領域S内の気密性を確保することができるため、その他の部位の素材については、適宜変更することが可能である。
【0042】
次に、内側バンド3および外側バンド4について説明する。
内側バンド3および外側バンド4は、何れも、ゴム部材(例えば、天然ゴム)により形成された幅広(例えば、2cm)のゴム輪であって、作業員Wの腕部Arに装着した状態で、腕部Arに対して適度な締付力を付与するものである。
【0043】
本実施形態において、内側バンド3および外側バンド4は、何れも内外周面が平面状に形成され、これらは、ほぼ同じ形状に形成されている。なお、本実施形態では、内側バンド3および外側バンド4の各内外周面を平面状に形成したが、少なくとも、作業バッグ10の孔部13aに接する外側バンド4の外周面が平面状に形成されていれば、その他の面(内側バンド3の内外周面および外側バンド4の内周面)の形状については、適宜変更することが可能である。
【0044】
詳しくは後述するが、本実施形態において、内側バンド3および外側バンド4は、作業員Wの腕部Arに装着された状態で、手袋2の覆い部2aを挟みこむように配置される。
【0045】
次に、このように構成された作業空間形成システム1の取付手順(作業空間形成方法)について
図1〜
図3を参照しつつ説明する。なお、以下においては、作業バッグ10が既設管路Pに取り付けられていることを前提として説明する(
図1参照)。
【0046】
図3に示すように、本実施形態にかかる作業空間形成方法は、内側バンド装着工程Aと、手袋着用工程Bと、外側バンド装着工程Cと、外側バンド密着工程Dとを備えている。なお、上記内側バンド装着工程Aと、手袋着用工程Bと、外側バンド装着工程Cと、外側バンド密着工程Dとが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「第2ベルト部材装着工程」と、「装着具着用工程」と、「ベルト部材装着工程」と、「ベルト部材密着工程」とに該当する。
【0047】
(内側バンド装着工程A)
まず、内側バンド装着工程Aについて説明する。
図1および
図2に示すように、内側バンド装着工程Aでは、作業員Wの腕部Arの適宜位置(本実施形態では「前腕の肘側」)に内側バンド3を装着する作業をおこなう。なお、内側バンド3は、作業員Wの腕部Arに直接装着(裸腕に直接装着)してもよく、また、下着等の衣類上に装着しても構わない。
本実施形態では、内側バンド3を作業員Wの腕部Arに装着した後、次工程である手袋着用工程Bがおこなわれる。
【0048】
(手袋着用工程B)
内側バンド装着工程Aの次工程である手袋着用工程Bでは、手袋2を作業員Wの手部Hnおよび腕部Arに着用する作業をおこなう。なお、この状態で、例えば、内側バンド3が手袋2の覆い部2aによって覆われない位置に装着されている場合には、内側バンド3を、手部Hn側(前腕側)にずらすなどして適正な位置(本実施形態では、「前腕の肘側」)に配置する。
本実施形態では、手袋2を内側バンド3上に着用した後、次工程である外側バンド装着工程Cがおこなわれる。
【0049】
(外側バンド装着工程C)
手袋着用工程Bの次工程である外側バンド装着工程Cでは、内側バンド3との間で手袋2の覆い部2aを挟み込むように、外側バンド4を手袋2の覆い部2a上に装着する作業をおこなう
これにより、内側バンド3の外周面上に位置する手袋2の覆い部2aが外側バンド4の内周面によって均等に押圧されるため、手袋2の挿入方向に沿って生じやすい「しわ」を、内側バンド3と外側バンドとの間で良好に圧縮することが可能である。このため、覆い部2aと外側バンド4との間に、手袋2の挿入方向に沿った「隙間」が形成されることがほとんどない。
本実施形態では、外側バンド4を手袋2の覆い部2a上に装着した後、次工程である外側バンド密着工程Dがおこなわれる。
【0050】
(外側バンド密着工程D)
外側バンド装着工程Cの次工程である外側バンド密着工程Dでは、手袋2が着用された作業員Wの腕部Arを作業バッグ10(作業員側挿入部13)の孔部13aに挿入して、当該孔部13aの開口周縁に外側バンド4の外周面を密着させる作業をおこなう。
【0051】
外側バンド4の外周面を作業バッグ10(作業員側挿入部13)の孔部13aの開口周縁に位置させた状態では、外側バンド4が板厚方向に適度に圧縮変形(弾性変形)しつつ、作業員側挿入部13の孔部13aも径方向外側に向けて拡径変形(弾性変形)することとなる。
【0052】
これにより、作業バッグ10の孔部13aが、外側バンド4によって気密性を有した状態で閉塞されるようになる。
その結果、作業バッグ10の内部空間にガスが充満していても、作業バッグ10の孔部13aと外側バンド4との間、および、外側バンド4と手袋2の覆い部2aとの間の何れからも、ガスが外部にほとんど漏出することがなく、安全に作業をおこなうことが可能となる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、外側バンド4の内周面によって手袋2の覆い部2aが均等に押圧されるうえ、外側バンド4の外周面と作業バッグ10の孔部13aの開口周縁とが密着されているため、覆い部2aと外側バンド4との間、および、外側バンド4と作業バッグ10との間の何れにおいても、隙間が生じることがほとんどない。
このため、本実施形態では、手袋2を着用した状態で作業をおこなったとしても、作業バッグ10内の気密性を確保することができる。
【0054】
また、本実施形態では、手袋2の覆い部2aが、平面状に形成された、外側バンド4の内周面と内側バンド3の外周面との間で挟み込まれた状態で圧縮されるため、これらの間に生じがちな「しわ」(隙間)をより低減することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、作業バッグ10の孔部13aに密着する外側バンド4の外周面が平面状に形成されているため、作業バッグ10内での作業中に腕部Ar(外側バンド4)が多少ずれたとしても、作業バッグ10の孔部13aと外側バンド4との間から作業バッグ10内に充満するガスが外部に漏出してしまうことを軽減することが可能である。
【0056】
なお、本実施形態では、内側バンド3および外側バンド4を人体に装着することによって、外側バンド4と装着具の一例である手袋2との間に隙間(しわ)が生じないように構成したが、内側バンド3を省略して、外側バンド4のみを装着するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、内側バンド3の外周面および外側バンド4の内周面の形状を、それぞれ、平面状に形成したが、これに限られず、これらが互いに嵌合するように、
図5のように、多角状に形成してもよく(「内側バンド103」および「外側バンド104」参照)、また、他の形状に形成することも可能である。
【0058】
さらに、本実施形態では、外側バンド4の外周面を平面状に形成したが、例えば、
図6に示すように、外側バンド204の外周面に、周方向に沿って凹む断面U字状の溝部204aを形成してもよい。このようにすれば、この溝部204aに作業バッグ10の孔部13aの開口周縁を嵌合させることが可能なため、作業バッグ10内のガスの外部への漏出を有効に防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、作業バッグ10の作業員側挿入部13および外側バンド4を弾性変形可能なゴム部材により形成したが、これに限られず、これらのうち何れか一方(例えば、外側バンド4)を弾性変形可能な部材(例えば、ゴム部材)により形成し、他方(例えば、作業員側挿入部13)を弾性変形不能な部材(例えば、硬質樹脂)で形成することも可能である。
【0060】
さらに、本実施形態では、手袋2と外側バンド4とを別体で形成したが、手袋2の覆い部2aに予め外側バンド4を取り付けるなどして、これらを一体的に形成することも可能である。
【0061】
また、本実施形態では、作業空間形成システム1として、手袋2に外側バンド4を取り付けたものを例示したが、例えば、
図7に示すような作業空間形成システム301とすることも可能である。
【0062】
以下、他の実施形態にかかる作業空間形成システム301について説明する。なお、上記作業空間形成システム1と同一の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、作業空間形成システム301は、上記作業空間形成システム1と同様に、作業バッグ10内の作業領域Sを閉空間にするためのものであって、手袋2と、硬質筒状部材303とを備えている。なお、上記硬質筒状部材303が特許請求の範囲に記載の「筒状部材」に該当する。
【0064】
硬質筒状部材303は、例えば、硬質塩化ビニル管からなり、作業員Wの腕部Arを挿入可能な内径形状(例えば、80mm〜100mm)を有している。この硬質筒状部材303は、その一端部が、覆い部2a(手袋2)の開口端部に挿入された状態で、この覆い部2aに気密性を有する粘着テープ(例えば、ビニルテープ)等で固定されている。
【0065】
また、硬質筒状部材303の他端側には、作業員Wの腕部Arを挿入可能なゴム輪304が嵌入された状態で取り付けられている。
このゴム輪304は、
(1)作業員Wが硬質筒状部材303を装着した際に腕部Arからずり落ちないようにするほか、
(2)作業領域S内へのガスの流入による作業バッグ13の膨張によって、作業員側挿入部13が硬質筒状部材303の他端側に向けて移動されても、それ以上の移動を規制、すなわち、硬質筒状部材303が作業領域S内に抜け落ちてしまわないようにする、
ためのものである。
【0066】
次に、このように構成された作業空間形成システム301の取付手順(作業空間形成方法)について
図7および
図8を参照しつつ説明する。
【0067】
図8に示すように、本実施形態にかかる作業空間形成方法は、筒状部材取付工程aと、手袋着用工程bと、筒状部材密着工程cとを備えている。なお、上記筒状部材取付工程aと、手袋着用工程bと、筒状部材密着工程cとが、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「筒状部材取付工程」と、「装着具着用工程」と、「筒状部材密着工程」とに該当する。
【0068】
(筒状部材取付工程a)
図7に示すように、筒状部材取付工程aは、上述したように、手袋2(覆い部2a)の開口端部に硬質筒状部材303の一端部を挿入し、その状態で、これらを粘着テープ等で固定する作業をおこなう。
本実施形態では、このような作業をおこなった後、次工程である手袋着用工程bがおこなわれる。
【0069】
(手袋着用工程b)
手袋着用工程bは、硬質筒状部材303が取り付けられた手袋2を作業員Wの手部Hnおよび腕部Arに着用する作業をおこなう。この状態で、硬質筒状部材303は、ゴム輪304によって、作業員Wの腕部Arからずり落ちることなく装着されるようになっている。
本実施形態では、このような作業をおこなった後、次工程である筒状部材密着工程cがおこなわれる。
【0070】
(筒状部材密着工程c)
筒状部材密着工程cでは、手袋2が着用された作業員Wの腕部Arを作業バッグ10(作業員側挿入部13)の孔部13aに挿入して、当該孔部13aの開口周縁に硬質筒状部材303の外周面を密着させる作業をおこなう。
【0071】
硬質筒状部材303の外周面を作業バッグ10(作業員側挿入部13)の孔部13aの開口周縁に位置させた状態では、孔部13aが径方向外側に向けて拡径変形(弾性変形)されるため、作業バッグ10の孔部13aが、硬質筒状部材303によって気密性を有した状態で閉塞される。
【0072】
以上のように、本他の実施形態においても、作業員Wが手袋2を着用した状態で作業領域Sに腕部Arを挿入しても、作業領域S内の気密性を確保することが可能である。
【0073】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により、本発明は限定されるものではない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実例および運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれることはもちろんであることを付け加えておく。