特許第6937268号(P6937268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937268
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】蓄電素子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20210909BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20210909BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20210909BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20210909BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20210909BHJP
【FI】
   H01M50/503
   H01G11/10
   H01G11/76
   H01M50/55 101
   H01M50/557
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-112961(P2018-112961)
(22)【出願日】2018年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-216040(P2019-216040A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2020年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 暢之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄介
(72)【発明者】
【氏名】濱本 勇
【審査官】 藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−129125(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0064544(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0272520(US,A1)
【文献】 国際公開第2017/208804(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/064888(WO,A1)
【文献】 特開2015−099759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/503
H01G 11/10
H01G 11/76
H01M 50/55
H01M 50/557
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ電極を上方に向けて配置された第一蓄電素子および第二蓄電素子と、前記電極同士を接続したバスバーとを備える蓄電素子モジュールであって、
前記第一蓄電素子は、前記第一蓄電素子の電極から上方に突出した位置決めボスを備え、
前記バスバーは、上下方向に貫通し前記位置決めボスが挿通された貫通孔と、下方に突出して前記第一蓄電素子の電極に載置された支持突部とを備え、
前記支持突部と前記第一蓄電素子の電極との間には、これらを電気的に接続する接合部が設けられ、
前記接合部および前記位置決めボスは、上方から見て一直線に並んでいる蓄電素子モジュール。
【請求項2】
前記支持突部は、前記位置決めボスと一直線に並ぶ突出端部を備え、
前記電極は、前記突出端部が載置された被載置部を備え、
前記接合部は、前記突出端部と前記被載置部とによって構成されている請求項1に記載の蓄電素子モジュール。
【請求項3】
前記突出端部は直線形状をなしており、前記支持突部の上面側には側方からみてV字状に凹みその溝底部が直線形状をなすV字溝部が設けられ、前記突出端部と前記溝底部は上下方向において重畳している請求項2に記載の蓄電素子モジュール。
【請求項4】
前記支持突部は球冠形状をなしており、前記支持突部の上面側には前記支持突部と同軸の球冠形状をなす球冠凹部が設けられている請求項2に記載の蓄電素子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、蓄電素子モジュールに関し、詳しくは、蓄電素子間の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を備えてなる蓄電素子モジュールとして、例えば特許文献1のものが知られている。この電池モジュールにおいては、複数の電池パックはそれぞれ上面が平坦な電極面とされた電極端子を備え、バスバーは板材から形成された略長方形状をなしている。複数の電池パックは、隣り合う電極端子が異なる極性となるように並べられ、電極端子が形成されている面には配線モジュールが取り付けられている。配線モジュール内に配置されたバスバーと電極端子とは、バスバーと電極端子とが重ねられた部分にレーザー溶接を行うことで、電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−100248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの技術では、各電極端子とバスバーとが面接触することを前提としているため、隣り合う電池パックにおいて電極端子が形成されている面同士の高さ位置が寸法公差等により異なる場合、バスバーを各電極端子に対して無理に面接触させて接合する必要がある。この結果、バスバーが塑性変形してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示された技術に係る蓄電素子モジュールは、それぞれ電極を上方に向けて配置された第一蓄電素子および第二蓄電素子と、前記電極同士を接続したバスバーとを備える蓄電素子モジュールであって、前記第一蓄電素子は、前記第一蓄電素子の電極から上方に突出した位置決めボスを備え、前記バスバーは、上下方向に貫通し前記位置決めボスが挿通された貫通孔と、下方に突出して前記第一蓄電素子の電極に載置された支持突部とを備え、前記支持突部と前記第一蓄電素子の電極との間には、これらを電気的に接続する接合部が設けられ、前記接合部および前記位置決めボスは、上方から見て一直線に並んでいる。
【0006】
この構成によれば、貫通孔に位置決めボスを挿通させ、支持突部を電極に載置することで、バスバーを位置決めボスに対して位置決めすることができる。この際、バスバーは支持突部によって自重のみで傾き、一対の電極に接触するから、当該電極と第二蓄電素子の電極との間に高さ方向のずれがある場合にも、そのずれを吸収してバスバーを傾斜させて載置することができる。この結果、バスバーに塑性変形を生じさせることなく、バスバーの耐久性を確保することができる。また、接合部は上方から見て位置決めボスと一直線に並ぶように形成すればよいから、位置決めボスを基準として接合部を形成すべき位置を決定することができる。
【0007】
本明細書に開示された技術に係る実施態様として、次の構成が好ましい。
【0008】
(1)前記支持突部は、前記位置決めボスと一直線に並ぶ突出端部を備え、前記電極は、前記突出端部が載置された被載置部を備え、前記接合部は、前記突出端部と前記被載置部とによって構成されている。
【0009】
この構成によれば、接合部を形成する際に、位置決めボスを基準として突出端部と被載置部の位置を特定し、これをもって接合部を形成すべき部位とすることができる。
【0010】
(2)前記突出端部は直線形状をなしており、前記支持突部の上面側には側方からみてV字状に凹み、その溝底部が直線形状をなすV字溝部が設けられ、前記突出端部と前記溝底部は、上下方向において重畳している。
【0011】
この構成によれば、溝底部を上方から検出することで突出端部の位置を上方から特定し、接合部を形成すべき部位を線状に特定することができるから、接合作業を行うべき領域を狭めることができる。また、突出端部が下方に突出するようにバスバーを折り曲げるだけでV字溝部と支持突部とを形成することができるから、加工コストを抑えることができる。
【0012】
(3)前記支持突部は球冠形状をなしており、前記支持突部の上面側には前記支持突部と同軸の球冠形状をなす球冠凹部が設けられている。
【0013】
この構成によれば、支持突部の最下点の位置が突出端部となり、突出端部の位置と球冠凹部の最下点の位置とが上下方向に必ず一致するから、上面側の最下点の位置をもって突出端部の位置とすることができる。これにより、接合作業を行う領域を特定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示された技術に係る蓄電素子モジュールによれば、バスバーの耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1の蓄電素子モジュールを示す斜視図
図2】蓄電素子を示す斜視図
図3】蓄電素子モジュールを示す側面図
図4】バスバーを示す斜視図
図5】バスバーを示す上面図
図6】バスバーを示す側面図
図7】蓄電素子モジュールを示す上面図
図8図7のA−A線における断面図
図9】実施形態2のバスバーを示す斜視図
図10】バスバーを示す側面図
図11】蓄電素子モジュールを示す背面図
図12】蓄電素子モジュールを示す上面図
図13】蓄電素子モジュールを示す側面図
図14】実施形態3の蓄電素子モジュールを示す側面図
図15】蓄電素子モジュールを示す斜視図
図16】蓄電素子モジュールを示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1を、図1から図8によって説明する。
【0017】
本実施形態は、車両などに搭載されて使用される蓄電素子モジュール1であって、図1に示すように、複数(本実施形態では2つ)の蓄電素子10,110と、蓄電素子10,110を互いに接続したバスバー30とによって構成されている。以下においては、図7における左右方向を前後方向とし、同図における上下方向を左右方向とし、上下方向は図1を基準として説明する。また、各部材の寸法については、左右方向における寸法を幅ということがある。
【0018】
複数の蓄電素子10,110のうち、第一蓄電素子10は、図2に示すように、前後に扁平な直方体形状の素子本体11と、素子本体11の上面に設けられた電極12とを備えている。電極12の上面12Aは、平坦面とされている。以下において、電極12の上面12Aを電極面12Aという。
【0019】
第一蓄電素子10には、バスバー30を電極12に対して位置決めするための位置決めボス20が設けられている。位置決めボス20は導電性の金属材料から形成され、電極12から上方に突出している。位置決めボス20は、上方からみて円形状をなす基端20Bと、基端20Bと同心の円形状をなす上端20Dとを有し、基端20Bから上端20Dに向かって僅かに先細りとなる円錐台形状とされている。第二蓄電素子110の構成は、電極12の極性が第一蓄電素子10の電極12と異なる他は第一蓄電素子10と同様であるため、説明を省略する。
【0020】
第一蓄電素子10および第二蓄電素子110は、図示しないモジュールケース内において、図1に示すように、互いに電極面12A同士を前後方向に並べて配置されている。ここで、第一蓄電素子10の電極面12Aと第二蓄電素子110の電極面12Aには、第一蓄電素子10、第二蓄電素子110、およびモジュールケースの寸法公差に起因する位置公差があるため、両電極面12A,12Aは互いに対して異なる高さ位置に配置される場合がある。本実施形態においては、図3に示すように、第一蓄電素子10の電極面12Aが第二蓄電素子110の電極面12Aに対して相対的に下方に位置ずれしているものとし、かつこれらの位置公差が上下それぞれの方向に最大であるものとして説明する。
【0021】
バスバー30は、銅やアルミ等の導電性の金属材料から形成され、図4および図5に示すように、上方からみて長方形の板状をなしている。バスバー30には、前後一対の貫通孔40が板面に対して垂直に貫通形成されている。
【0022】
各貫通孔40は、詳しくは、図5に示すように、前後方向に長い長孔形状をなしており、その孔縁41は、端部側円弧部41Fと、中心側円弧部41Bと、端部側円弧部41Fの左右後端と中心側円弧部41Bの左右前端同士をそれぞれ連結する左右一対の直線孔縁部41Sとによって構成されている。各直線孔縁部41Sは直線形状をなし、互いに対して平行に延びている。一対の直線孔縁部41Sの左右方向における離間距離(言い換えれば、貫通孔40の最大幅)は、位置決めボス20の基端20Bにおける直径より僅かに大きいか、または同径に設定されている。
【0023】
バスバー30は、図4に示すように、前後方向における中央部分が平坦な連結部31とされるとともに、それよりも前側および後側がそれぞれ、側方から見て浅いV字形状をなすように折り曲げられた形状の折り曲げ部50とされている。
【0024】
各折り曲げ部50の上面側は、下方に凹んだV字溝部51となっている。V字溝部51の溝底部51Aは、各直線孔縁部41Sの前後方向における中心からそれぞれバスバー30の左右各側端30Sに亘り、左右方向に直線状に延びている。折り曲げ部50の下面側は、下方に突出した突条形状の支持突部52となっている。支持突部52の上端20Dは、左右に延びる直線形状をなしている。バスバー30が中央部を水平にした水平姿勢とされたとき、V字溝部51の溝底部51Aと支持突部52の突出端部52Aとは、図6に示すように、上下方向において重畳している。
【0025】
バスバー30が一対の蓄電素子10,110同士を接続した状態においては、図3に示すように、各貫通孔40にそれぞれ位置決めボス20が挿通されるとともに、各支持突部52が各電極面12A上に載置されている。これにより、バスバー30は、各電極12に対して位置決めされている。なお、端部側円弧部41Fおよび中心側円弧部41Bの円弧形状、ならびに直線孔縁部41Sの長さは、第一蓄電素子10と第二蓄電素子110との上下方向における位置公差が最小となった場合および最大となった場合のいずれにおいても、両円弧部41F,41Bが位置決めボス20の外周面20Rに干渉しないように設定されている。これにより、各貫通孔40の孔縁41は、図7に示すように、前後方向においては端部側円弧部41Fおよび中心側円弧部41Bが位置決めボス20の外周面20Rから離間し、左右方向においては外周面20Rから僅かに離間している。
【0026】
このとき、第一蓄電素子10の電極12および第二蓄電素子110の電極面12Aが述の通り異なる高さ位置に配置されているため、各電極面12Aに載置されたバスバー30は、図3に示すように、後方に向かって下方に傾斜した姿勢となっている。支持突部52のバスバー30からの突出寸法は、図3に示すように、バスバー30の傾斜角度が最大とされたときにも、バスバー30が第一蓄電素子10および第二蓄電素子110の各素子本体11および各電極12に干渉しない程度の高さ位置に配置されるように設定されている。
【0027】
なお、上述においては各蓄電素子10,110が互いに対して高さ方向において位置ずれして配置された場合を説明したが、本実施形態においては位置決めボス20は円錐台形状とされるとともに各貫通孔40は互いとの並び方向に長い長孔形状とされているから、各蓄電素子10,110の左右方向および前後方向における位置ずれも吸収することができる。
【0028】
図7および図8に示すように、孔縁41の各直線孔縁部41Sと、位置決めボス20の外周面20Rとの間には、これらを電気的に接続する一対の補助接合部60が形成されている。すなわち、一対の補助接合部60は、位置決めボス20を通って左右に延びる直線上に、位置決めボス20を介して並んでいる。本実施形態においては、補助接合部60は各直線孔縁部41Sと位置決めボス20の外周面20Rとの界面が、レーザー溶接によって溶解されることで形成されている。
【0029】
一方、電極面12Aと、当該電極面12Aに載置された一対の支持突部52の上端20Dとの間には、図8に示すように、これらを電気的に接続する一対の接合部70が形成されている。すなわち、一対の接合部70は、各位置決めボス20を通って左右に延びる直線上に、当該位置決めボス20を介して並んでいる。本実施形態においては、接合部70は、電極面12Aのうち突出端部52Aが載置された被載置部12Bと支持突部52の突出端部52Aとの界面が、レーザー溶接によって溶接されることで形成されている。
【0030】
次に、接合部70の形成手順を例示する。まず、図示しないモジュールケースに収容された第一蓄電素子10および第二蓄電素子110の各電極面12A上に、バスバー30を配置する。この際、各貫通孔40に各位置決めボス20を挿通させると、バスバー30は、図3に示すように、自重で後方に向かって下降するように傾く。これにより、各電極面12A同士の高さのずれが吸収され、各支持突部52の突出端部52Aは、左右方向における全長に亘って各電極面12Aに接触した状態で、各電極面12A上に載置される。
【0031】
次に、支持突部52の突出端部52Aの位置を特定する。この際、まず、図示しない検出手段により、上方から位置決めボス20の上端20Dの存在領域を検出する。そして、当該上端20Dの存在領域をバスバーの幅寸法に相当する範囲まで左右に拡張した領域を、突出端部52Aが存在する可能性のある存在可能領域として定義する。そして、存在可能領域内において、V字溝部51の溝底部51Aの位置を検出する。そして、この位置を突出端部52Aの位置として特定し、この位置を通って左右に延びる領域を、レーザー照射範囲として決定する。
【0032】
このとき、各電極面12Aの高さが異なる場合には、支持突部52は側方から見てその軸線52Xが電極面12Aに対する垂直線12Xよりも僅かに後方に向かって僅かに倒れた姿勢(図3参照)となっているから、突出端部52Aの前後方向における位置と溝底部51Aの前後方向における位置とは、厳密には僅かな誤差が生じる。この誤差を考慮して、レーザー照射範囲には前後方向において若干の幅を持たせることが望ましい。
【0033】
そして、レーザー照射範囲内を、図示しないレーザー光スポットで上方から左右方向に直線状に走査する。この際、各支持突部52の突出端部52Aは前述の通り、バスバー30の自重によって左右方向における全長に亘って各電極面12Aに接触しているから、突出端部52Aを無理やり各電極面12Aに押し付ける必要がない。したがって、接合部70を形成する際に、バスバー30を塑性変形させてしまう懸念がない。
【0034】
これにより、図8に示すように、支持突部52の突出端部52Aと電極面12Aの被載置部12Bとの界面が溶接され、各電極12とバスバー30との間において、一対の接合部70が、位置決めボス20を介して左右に一直線に並んで形成される。
【0035】
なお、レーザー照射範囲において直線孔縁部41Sと位置決めボス20の外周面20Rとの離間距離がレーザー溶接可能な範囲内である場合には、これらの界面も同時に溶接されて補助接合部60が形成される。この場合は、図8に示すように、補助接合部60と接合部70とが左右方向に一直線に並んで形成される。
【0036】
本実施形態の構成によれば、それぞれ電極12を上方に向けて配置された第一蓄電素子10および第二蓄電素子110と前記電極12同士を接続したバスバー30とを備える蓄電素子モジュール1であって、前記第一蓄電素子10は、前記第一蓄電素子10の電極12から上方に突出した位置決めボス20を備え、前記バスバー30は、上下方向に貫通し前記位置決めボス20が挿通された貫通孔40と、下方に突出して前記第一蓄電素子10の電極12に載置された支持突部52とを備え、前記支持突部52と前記第一蓄電素子10の電極12との間には、これらを電気的に接続する接合部70が設けられ、前記接合部70および前記位置決めボス20は、上方から見て一直線に並んでいる。
【0037】
この構成によれば、貫通孔40に位置決めボス20を挿通させ、支持突部52を電極12に載置することで、バスバー30を位置決めボス20に対して位置決めすることができる。この際、バスバー30は支持突部52によって自重のみで傾き、一対の電極12に接触するから、当該電極12と第二蓄電素子110の電極12との間に高さ方向のずれがある場合にも、そのずれを吸収してバスバー30を傾斜させて載置することができる。この結果、バスバー30に塑性変形を生じさせることなく、バスバー30の耐久性を確保することができる。また、接合部70は上方から見て位置決めボス20と一直線に並ぶように形成すればよいから、位置決めボス20を基準として接合部70を形成すべき位置を決定することができる。
【0038】
前記支持突部52は、前記位置決めボス20と一直線に並ぶ突出端部52Aを備え、前記電極12は、前記突出端部52Aが載置された被載置部12Bを備え、前記接合部70は、前記突出端部52Aと前記被載置部12Bとによって構成されている。
【0039】
この構成によれば、接合部70を形成する際に、位置決めボス20を基準として突出端部52Aと被載置部12Bの位置を特定し、これをもって接合部70を形成すべき部位とすることができる。
【0040】
前記突出端部52Aは直線形状をなしており、前記支持突部52の上面側には側方からみてV字状に凹み、その溝底部51Aが直線形状をなすV字溝部51が設けられ、前記突出端部52Aと前記溝底部51Aは、上下方向において重畳している。
【0041】
この構成によれば、溝底部51Aを上方から検出することで突出端部52Aの位置2051Aを上方から特定し、接合部70を形成すべき部位を線状に特定することができるから、接合作業を行うべき領域を狭めることができる。また、突出端部52Aが下方に突出するようにバスバー30を折り曲げるだけでV字溝部51と支持突部52とを形成することができるから、加工コストを抑えることができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図9から図13によって説明する。本実施形態の蓄電素子モジュール1001は、実施形態1のバスバー30の構成を変更しバスバー1030としたものである。実施形態1と対応する構成については、実施形態1の符号に1000を足した符号を用いるものとする。実施形態1と同じ構成、作用、および効果についてはその説明を省略するものとし、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0043】
詳しくは、本実施形態のバスバー1030は、図9から図11に示すように、実施形態1のバスバー30における折り曲げ部50に代えて、各貫通孔40の両側方に各貫通孔40を介して左右に並んで設けられた一対のエンボス部1050を備えている。各エンボス部1050において、下面側は下方に球冠形状に突出する支持突部1052となっており、上面側は下方に凹んだ球冠凹部1051となっている。各球冠凹部1051は、図10に示すように、支持突部1052と同軸の球冠形状をなしている。
【0044】
バスバー1030が一対の蓄電素子10,110間を接続した状態においては、図11および図12に示すように、左右一対の支持突部1052は、位置決めボス20の両側において、突出端部1052Aを電極面12Aに接触させて電極面12A上に載置されている。一対の接合部1070は、当該位置決めボス20を介し、当該位置決めボス20とともに一直線に並んでいる。
【0045】
このとき、図13に示すように、バスバー30は両電極面12A上において後方に向かって下方に傾斜した姿勢となっており、エンボス部1050は、図13に示すように、エンボス部1050の下面における中心点P1よりも前後方向にずれた位置が最下点の位置(すなわち突出端部1052A)となって、電極面12Aと接している。すなわち本実施形態においては、突出端部1052Aは、各電極面12A上におけるバスバー1030の傾きに対応して中心点P1を中心として前後に移動可能となっている。
【0046】
接合部1070を形成する際は、上方から計測して球冠凹部1051の最下点の位置を検出し、これをエンボス底部1051A(図13参照)として特定する。そして、エンボス底部1051Aを中心とする小円をなす領域をレーザー照射範囲として決定する。そして、上方からレーザー光スポットでレーザー照射範囲内をスポット照射することで、図12および図13に示すように、小円形状の接合部1070が形成される。この際、球冠凹部1051は支持突部1052と同軸の球冠形状とされているから、突出端部1052Aの位置と球冠凹部の最下点の位置(エンボス底部1051A)の位置とは上下方向に必ず一致する。したがって、これらの位置ずれを考慮してレーザー照射範囲を広くする必要がない。
【0047】
この構成によれば、支持突部1052の突出端部1052Aは小円形状となるから、より狭い領域をレーザー照射範囲として特定することができる。また、支持突部1052の突出端部1052Aとエンボス底部1051Aとが上下方向において重畳するから、レーザー照射範囲内にレーザーをスポット照射することで、確実に接合部1070を形成することができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図14から図16によって説明する。本実施形態の蓄電素子モジュール2001は、実施形態1のバスバー30の構成を変更しバスバー2030としたものであって、実施形態1と対応する構成については、実施形態1の符号に2000を足した符号を用いるものとする。実施形態1と同じ構成、作用、および効果についてはその説明を省略するものとし、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0049】
本実施形態のバスバー2030においては、支持突部2052は、図14に示すように、側方から見て下方に突出した円弧形状をなしている。また、支持突部2052の上面側には、側面から見て支持突部2052と同軸の円弧をなすように下方に向かって凹んだ円弧凹部2051が設けられている。
【0050】
この構成によれば、実施形態2と同様、支持突部2052の突出端部2052Aはバスバー2030の傾きに対応して支持突部2052の前後方向における中心線L1を中心に前後に移動し、かつ円弧凹部2051の最下点の位置2051Aとは上下方向において必ず一致する。したがって、これらの位置ずれを考慮してレーザー照射範囲を前後方向に広くする必要がない。
【0051】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような形態で実施することが可能である。
【0052】
(1)上記実施形態においては位置決めボス20が基端20Bから上端20Dに向かって僅かに先細りとなる円錐台形状としたが、位置決めボスの形状はこれに限らず、例えば基端から突出端に亘って直径の等しい円柱形状としてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態においては各蓄電素子10,110の電極12に位置決めボス20が設けられ、バスバー30は一対の貫通孔40を備える構成としたが、各蓄電素子の一方にのみ位置決めボスが設けられ、バスバーは貫通孔を一つのみ備える構成としてもよい。この場合も、上述のように支持突部の突出端部の位置を上方から検出するか、または位置決めボスを基準として、接合部を形成する位置を決定することができる。
【0054】
(3)上記実施形態においては、支持突部52の突出端部52Aと電極面12Aの被載置部12Bとの界面をレーザー溶接によって溶接することで接合部を形成するものとしたが、接合部の形態はこれに限らず、例えば銀ろうやはんだなどの接合材料を突出端部と被載置部との間に配し、ろう付けすることで接合部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,1001、2001:蓄電素子モジュール
10:第一蓄電素子
12:電極
12B:被載置部
20:位置決めボス
30,1030,2030:バスバー
40:貫通孔
51:V字溝部
51A:溝底部
52、1052、2052:支持突部
52A、1052,2052:突出端部
70,1070、2070:接合部
110:第二蓄電素子
1051:球冠凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16