特許第6937271号(P6937271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937271
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   B65D75/62 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-118954(P2018-118954)
(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公開番号】特開2019-218131(P2019-218131A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129057
【氏名又は名称】株式会社カナエ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西宮 雅矢
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−217094(JP,A)
【文献】 特開2017−105516(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0074333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートによって構成された収容部を有する包装体であって、
前記シートは、開封し易いように加工された開封補助線を備え、
前記開封補助線は、中央側に向かって突出するように曲がっている曲部を複数有し、
前記開封補助線の隣り合う曲部の端縁部同士は、直線部によって接続されている、
包装体。
【請求項2】
前記シートは、前記開封補助線を、互いに対向する位置にそれぞれ備える、
請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
開封方向上流側における前記曲部と前記直線部とのなす角度は、20°以上50°以下である、
請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記曲部は、中央側先端部の曲率半径が0mm以上11.5mm以下である、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
前記曲部は、前記開封補助線の10cm当たり3個以上配されている、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートによって構成された収容部を有する包装体であって、前記シートが、表面に、開封補助線を有する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装体として、シートによって構成された収容部を有する包装体であって、前記シートが、表面に、開封補助線を有するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された包装体では、該包装体を開封する際の開封起点となる切込みが前記シートの一端縁側に形成されている。
また、上記包装体では、前記シートは、表面に、前記切込みの形成位置から外側に離れた位置で、開封方向(切込みの形成方向)に沿って延びるサブガイド線と、一端側が前記サブガイド線に接続され、他端側が前記切込みに向かって傾斜して延び、かつ開封方向に対して互いに間隔を空けて配される複数のガイド線と、を有する開封補助線を備えている。
そして、上記包装体では、前記切込みの終端側に、前記切込みに最も近い位置の前記ガイド線の他端側が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−24481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような包装体では、前記収容部から被収容物を取出す際に、前記切込みの始端側から開封を開始し、前記ガイド線及び前記サブガイド線を経由させて、前記切込みが形成された一端縁側から他端縁側に向けて包装体を開封する。
【0006】
しかしながら、上記のような包装体では、前記ガイド線は、開裂し易いように加工されていることから、前記ガイド線及に沿って前記包装体を開封しているときに、開封速度は比較的速くなる。そのため、前記ガイド線から前記サブガイド線への開封の移行を十分に行うことができず、前記サブガイド線から外側に外れた位置で開封が継続されることがあった。このような場合には、前記切込みが形成された一端縁側から他端縁側への開封の途中位置において、前記包装体の一部が切り取られた状態で開封が終了することがあった。このような場合、前記被収容物を取出す開口を十分な大きさとすることができなかった。
【0007】
このような問題点に鑑み、本発明は、被収容物を収容部から取出す際に、被収容物を収容部から取出す開口を十分な大きさとすることができる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装体は、
シートによって構成された収容部を有する包装体であって、
前記シートは、開封し易いように加工された開封補助線を備え、
前記開封補助線は、中央側に向かって曲がっている曲部を有する。
【0009】
斯かる構成によれば、前記開封補助線は、中央部に向かって曲がっている曲部を有するので、開封者が、前記開封補助部を経由させて前記包装体を開封するときに、前記曲部が開封の抵抗となる。その結果、前記曲部において、前記包装体の開封速度を落とすことができるので、前記開封補助線から外側に外れた位置で、開封が継続されることを抑制することができる。
これにより、前記包装体の開封の途中位置において、前記包装体の一部が切り取られた状態で開封が終了することを抑制することができるので、前記収容部から被収容物を取出す開口を十分な大きさとすることができる。
【0010】
また、上記包装体においては、
前記シートは、前記開封補助線を、互いに対向する位置にそれぞれ備えていてもよい。
【0011】
斯かる構成によれば、前記シートは、前記開封補助線を、互いに対向する位置にそれぞれ備えているので、前記シートの互いに対向するそれぞれの側において、開封位置の位置ずれをそれぞれ抑制することができる。その結果、前記シートの一方側のみに前記開封補助線が備えられている場合に比べて、開封位置が前記易開封部から位置ずれすることをより十分に抑制することができる。
これにより、前記収容部から被収容物を取出す開口をより十分な大きさとすることができる。
【0012】
また、上記包装体においては、
前記開封補助線は、前記曲部を複数有し、
前記開封補助線の隣り合う曲部の端縁部同士は、直線部によって接続されていてもよい。
【0013】
斯かる構成によれば、前記開封補助線は、前記曲部を複数有し、前記開封補助線の隣り合う曲部の端縁部同士は、直線部によって接続されているので、隣り合う前記曲部同士の間にあるシートを、前記直線部に沿って開封することができる。そのため、開封位置が前記開封補助線から位置ずれすることをより十分に抑制することができる。
これにより、前記収容部から被収容物を取出す開口をより十分な大きさとすることができる。
【0014】
また、上記包装体においては、
開封方向上流側における前記曲部と前記直線部とのなす角度は、20°以上50°以下であってもよい。
【0015】
斯かる構成によれば、開封方向上流側における前記曲部と前記直線部とのなす角度は、20°以上50°以下であるので、前記曲部によって適度な開封の抵抗を付与することができる。その結果、前記曲部によって前記包装体の開封速度を適度な速度に調節することができるので、前記包装体を比較的容易に開封することができるとともに、前記収容部から被収容物を取出す開口を十分な大きさとすることができる。
【0016】
また、上記包装体においては、
前記曲部は、中央側先端部の曲率半径が0mm以上11.5mm以下であってもよい。
【0017】
斯かる構成によれば、前記曲部は、中央側先端部の曲率半径が0mm以上11.5mm以下であるので、前記曲部によって適度な開封の抵抗を付与することができる。その結果、前記曲部によって前記包装体の開封速度を適度な速度に調節することができるので、前記包装体を比較的容易に開封することができるとともに、前記収容部から被収容物を取出す開口を十分な大きさとすることができる。
【0018】
また、上記包装体においては、
前記曲部は、前記開封補助線の10cm当たり3個以上配されていてもよい。
【0019】
斯かる構成によれば、前記曲部は、前記開封補助線の10cm当たり3個以上配されているので、前記包装体の開封時に、適度な開封の抵抗を付与することができる。その結果、前記包装体の開封速度を適度な速度に調節することができるので、前記包装体を比較的容易に開封することができるとともに、前記収容部から被収容物を取出す開口を十分な大きさとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、被収容物を取出す際に、被収容物を収容部から取出す開口を十分な大きさとすることができる包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る包装体の構成を示す斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る包装体の構成を上側から示した平面図。
図3】本発明の一実施形態に係る包装体の構成を下側から示した平面図。
図4】本発明の一実施形態に係る包装体の一開封状態を上側から示した平面図。
図5】本発明の一実施形態に係る包装体の一開封状態を下側から示した平面図。
図6】本発明の一実施形態に係る包装体の開封初期の状態を上側から示した平面図。
図7】本発明の一実施形態に係る包装体の開封途中の状態を上側から示した平面図。
図8】本発明の一実施形態に係る包装体の開封途中の状態を下側から示した平面図。
図9】本発明の一実施形態に係る包装体の他の開封状態を上側から示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る包装体について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
本発明の一実施形態に係る包装体1は、図1〜3に示したように、樹脂シートを含むシートを筒状体10に成形し、該筒状体10の両開放端側をヒートシールなどで封止することにより構成されたガゼット型の包装体である。
【0024】
樹脂シートを含むシートとしては、樹脂シートを含む複数枚のシートを積層してなる積層シートが挙げられる。積層シートとしては、例えば、樹脂シートを含む3層構造の積層シートや樹脂シートを含む4層構造の積層シートが挙げられる。3層構造の積層シートとしては、例えば、アルミシートの一方面に樹脂シートたるポリエステルシートを配し、アルミシートの他方面に樹脂シートたるポリエチレンシートを配したものが挙げられる。4層構造の積層シートとしては、アルミシートの一方面に樹脂シートたるポリエチレンシートを配し、アルミシートの他方面に樹脂シートたるポリエチレンシート及び樹脂シートたるポリエステルシートをこの順に配したものが挙げられる。本実施形態では、筒状体10は、上記のような3層構造の積層シートを用いて、ポリエステルシートが外層となるように成形されている。
【0025】
本実施形態に係る包装体1では、筒状体10は、シートの互いに向かい合う端縁側同士を重ねた状態で、重なり部分をシールすることにより成形されている。筒状体10におけるシール部分は、図3に示したように、背シール部20となっている。また、図3に示したように、背シール部20は、筒状体10の長手方向に沿って延びている。
なお、以下では、背シール部20が形成されている側を下側とし、これと反対側を上側とし、背シール部20が延びる方向と直交する方向(筒状体10の短手方向)の一端側(図1における紙面手前側)を右側とし、背シール部20が延びる方向と直交する方向の他端側を左側として説明する。
また、以下の説明では、短手方向中心部を通って長手方向一端側から他端側へと延びる中心線Cから、左右に向かう方向を外側とし、短手方向両端側から中心線Cに向かう方向を内側とする。
【0026】
本実施形態に係る包装体1では、筒状体10における被収容物30を収容可能な部分が収容部11となっている。本実施形態に係る包装体1では、筒状体10の両開放端側(筒状体10の長手方向の両端縁側)を封止することにより、第1封止部12及び第2封止部13が形成されている。
【0027】
本実施形態に係る包装体1では、錠剤などをポケットに収容したPTPシートを複数枚重ねたPTPシートの積層体が、被収容物30として収容部11に収容されている。
【0028】
図1図3に示したように、本実施形態に係る包装体1では、シートは、収容部11、第1封止部12及び第2封止部13の位置に、開封補助線11aを備えている。すなわち、開封補助線11aは、包装体1の一端縁から他端縁まで延びている。このように、開封補助線11aが、長手方向において、包装体1の一端縁から他端縁まで延びていることから、第1封止部12側または第2封止部13側のいずれの側からも、包装体1を開封することができる。また、開封補助線11aに沿った開封を比較的容易に行うことができる。開封補助線11aは、他の部位よりも開裂がし易いように加工された線である。本実施形態では、シートは、外表面に、開封補助線11aを備えている。開封補助線11aは、背シール部20が延びる方向(筒状体10の長手方向)に沿って延びている。このように、開封補助線11aは、シートの外表面において、背シール部20が延びる方向に沿っていることから、本実施形態に係る包装体1では、背シール部20が延びる方向が開封方向となっている。包装体1では、シートは、開封補助線11aを、互いに対向する位置にそれぞれ備えている。本実施形態では、シートは、互いに対向する2つの外表面(上側及び下側の外表面)の対向する位置に、開封補助線11aをそれぞれ有している。これにより、上側及び下側の表面において、開封補助線11aからの開封位置の位置ずれをそれぞれ抑制することができる。本実施形態では、筒状体10は、上記のような3層構造の積層フィルムを用いて、ポリエステルシートが外層となるように成形されていることから、開封補助線11aは、外層であるポリエステルシートに形成されている。開封補助線11aとしては、レーザによって形成されるハーフカット線やミシン目などが挙げられる。
【0029】
開封補助線11aは、包装体1の中央側(内側)に向かって曲がっている曲部11a1を有する。本実施形態に係る包装体1では、開封補助線11aは、曲部11a1を複数有する。また、開封補助線11aは、中心線Cより外側(図1においては右側)に配されている。
【0030】
一般に、ガゼット型の包装体1の開封時に開封者が加える力は、相対的に、筒状体10の外側に向かう力の成分が大きくなることが多い。しかしながら、本実施形態に係る包装体1では、開封補助線11aは、中心線C側に向かって曲がっている曲部11a1を有する、すなわち、筒状体10の内側に向かって曲がっている曲部11a1を有することから、曲部11a1は、開封時における抵抗となる。そのため、曲部11a1において、包装体1の開封速度を落とすことができる。その結果、開封補助線11aから外れた位置(具体的には、開封補助線11aの外側)で、開封が継続されることを抑制することができる。
【0031】
本実施形態では、隣り合う曲部11a1同士の間にあるシートを開封し易くするために、開封補助線11aの隣り合う曲部11a1の端縁部11a1a同士は、開封方向(背シール部20が延びる方向)に延びる直線部11a2よって接続されている
【0032】
本実施形態では、開封補助線11aは、3本備えられている。これら開封補助線11aは、各開封補助線11aにおける曲部11a1の位置が互いに重なる位置となるように、しかも背シール部20が延びる方向と直交する方向(左右方向(筒状体10の短手方向))に間隔を空けて配されている。
【0033】
開封方向上流側における曲部11a1と直線部11a2とのなす角度は、20°以上50°以下となっていてもよい。すなわち、開封方向上流側の直線部11a2と曲部11a1とが端縁部を介してなす角度は、直線部11a2の延長方向に対して内側に20°以上50°以下となっていてもよい。本実施形態では、開封方向上流側における曲部11a1と直線部11a2のなす角度は、30°となっている。
【0034】
曲部11a1は、中央側先端部(中心線C側の先端部)の曲率半径が0mm以上11.5mm以下であってもよい。本実施形態では、上記のように、本実施形態では、複数の曲部11a1は、中央側先端部の曲率半径が2mmとなっている。
【0035】
ここで、曲部11a1の中央側先端部の曲率半径の値を大きくするにつれて、曲部11a1の中央側先端部は先鋭な形状からなだらかな形状になる。曲部11a1の中央側先端部がなだらかな形状になると、曲部11a1に沿った開封がし易くなると考えられる。そのため、曲部11a1と直線部11a2とのなす角度が比較的大きい場合であっても、曲部11a1の中央側先端部の曲率半径の値を大きくすることにより(例えば、曲部11a1と直線部11a2とのなす角度が50°の場合に、曲部11a1の中央側先端部の曲率半径を11.5mmとすることにより)、開封補助線11aに沿って開封し易くなると考えられる。
【0036】
また、曲部11a1によって適度な開封の抵抗を付与するために、曲部11a1は、開封補助線11aの10cm当たり3個以上配されていてもよい。本実施形態では、曲部11a1は、図1〜3に示したように、開封補助線11aの10cm当たり5個配されている。
【0037】
第1封止部12は、収容部11と接続されていない端縁12a側に、包装体1を開封するときの起点となる開封起点12bを有している。開封起点12bは、端縁12a側に、周期的に複数個配されている。そのため、包装体1を開封するときには、これらいずれかの開封起点12bを起点とすることができる。
【0038】
本実施形態では、上記のように、曲部11a1は中心線Cに向かって曲がっていることから、曲部11a1の形状は、第2封止部13側からの開封を阻害する形状となっていない。そのため、第2封止部13側からも包装体1を開封することができる。このことから、第2封止部13側からも開封できるように、第2封止部13も、第1封止部12と同様に、収容部11と接続されていない端縁13a側に、包装体1を開封するときの起点となる開封起点13bを有している。開封起点13bも、収容部11と接続されていない端縁13a側に、周期的に複数個配されている。そのため、包装体1を開封するときには、これらいずれかの開封起点13bを起点とすることもできる。
【0039】
本実施形態に係る包装体1では、3本の開封補助線11aの内のいずれかの開封補助線11aに沿って開封が行われる。本実施形態に係る包装体1では、好ましくは、図4及び5に示したように、3本の開封補助線11aの内の最も中心線Cに近い側にある開封補助線11aに沿って、包装体1の開封が行われる。開封補助線11aに沿った開封が行われることにより、被収容物30たるPTPシートの積層体を取出すための開口14が形成されることとなる。
また、本実施形態に係る包装体1では、上記のように、開封補助線11aが3本備えられていることから、中心線Cに最も近い開封補助線11aに沿った開封を行っているときに、例えば、図9に示したように、開封位置が中心線Cに最も近い開封補助線11aから外側に位置ずれした場合であっても、開封者にさらに外側に形成された開封補助線11aに沿わせた開封を行わせることができる。そのため、包装体1の開封の途中位置において、包装体1の一部が切り取られた状態で開封が終了することをより十分に抑制することができる。
【0040】
上記のごとく構成された包装体1は、例えば、樹脂シートを含むシートの互いに向かい合う端縁側同士を重ね合せた状態で、重なり部分をシールして背シール部20を有する筒状体10に成形し、筒状体10内に被収容物30たるPTPシートの積層体を収容した状態で、筒状体10における、背シール部20が延びる方向の両端縁側をヒートシールなどでシールし、背シール部20が延びる方向に沿って、シートの互いに対向する対向する位置に開封補助線11aをそれぞれ形成することにより得ることができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る包装体1の開封例について、図4図8を参照しながら説明する。以下では、3本の開封補助線11aの内、最も中心線Cに近い側にある開封補助線11aに沿って、第1封止部12側から包装体1を開封する例について説明する。
【0042】
本実施形態に係る包装体1の開封に際しては、好ましくは、第1封止部12の開封起点12bの内、最も中心線C側の開封補助線11aに最も近い側の開封起点12bから、包装体1の開封を開始する。詳しくは、最も中心線C側の開封補助線11aに最も近い側の開封起点12bから、開封方向(背シール部20が延びる方向)に力を加えて、開封を開始する。
【0043】
包装体1の開封位置を、最も中心線C側の開封補助線11aまで到達させ、図6及び7に示したように、最も中心線C側の開封補助線11aに沿って、包装体1の開封を継続する。
上記のように、本実施形態に係る包装体1では、開封補助線11aは、中心線Cに向かって曲がっている曲部11a1を有していることから、曲部11a1は開封時の抵抗となる。その結果、曲部11a1において、包装体1の開封速度を落とすことができるので、開封補助線11aに沿った開封が継続される。
なお、本実施形態に係る包装体1では、シートは、開封補助線11aを、互いに対向する対向する位置(上側及び下側の外表面)にそれぞれ備えていることから、図8に示したように、包装体1の下側においても、上側と同様に、最も中心線C側の開封補助線11aに沿って、包装体1の開封が継続される。
【0044】
包装体1の第2封止部13側まで開封を継続させることにより、図4及び5に示したように、被収容物30たるPTPシートの積層体を取出すのに十分な大きさを有する開口14を形成する。
包装体1の開封者は、このように十分な大きさを有する開口14から、被収容物30たるPTPシートの積層体を取出すことができる。
【0045】
本発明に係る包装体は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る包装体は、上記した作用効果により限定されるものでもない。本発明に係る包装体は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
上記実施形態では、シートが、収容部11、第1封止部12及び第2封止部13の上側及び下側の外表面に、開封補助線11aを備える例について説明したが、開封補助線11aを備える例はこれに限られるものではない。シートは、少なくとも、収容部11の上側または下側のいずれか一方の外表面に、開封補助線11aを備えていればよい。
【0047】
上記実施形態では、開封補助線11aが3本備えられる例について説明したが、開封補助線11aの数はこれに限られるものではない。開封補助線11aは1本であってもよいし、3本より多くてもよい。
【0048】
上記実施形態では、3本の開封補助線11aが、各開封補助線11aにおける曲部11a1の位置が互いに重なる位置となるように、しかも背シール部20が延びる方向と直交する方向(左右方向(筒状体10の短手方向))に間隔を空けて配される例について説明したが、3本の開封補助線11aが配される例はこれに限られるものではない。3本の開封補助線11aは、各開封補助線11aにおける曲部11a1の位置が互いに重ならない位置となるように、しかも背シール部20が延びる方向と直交する方向に間隔を空けて配されていてもよい。
【0049】
上記実施形態では、曲部11a1が、曲部11a1と直線部11a2とのなす角度が30°であり、かつ中央側先端部の曲率半径が2mmである例について説明したが、曲部11a1の形状はこれに限られるものではない。曲部11a1は、中心線Cに向かって三角形状をなすように曲がっていてもよい。曲部11a1は、中心線Cに向かって円弧をなすように曲がっていてもよい。曲部11a1は、中心線Cに向かって台形をなすように曲がっていてもよい。あるいは、曲部11a1は、上記各形状の曲部を組み合わせたものであってもよい。
【0050】
上記実施形態では、被収容物30をPTPシートの積層体とする例について説明したが、被収容物30は、PTPシートの積層体に限られるものではない。1枚のPTPシートを被収容物30としてもよい。あるいは、PTPシート以外のものを被収容物30としてもよい。
【0051】
上記実施形態では、シートが、開封補助線11aを外表面に備える例について説明したが、シートが、開封補助線11aを備える例はこれに限られない。シートは、開封補助線11aを内表面に備えていてもよい。
【0052】
以下に、試験例を挙げて、本発明についてさらに具体的に説明する。
【0053】
(開封補助線の形状の影響)
比較的タイトに被収容物を収容したガゼット型の包装体におけるシートの上側及び下側の外表面に、以下のように開封補助線を形成した。開封補助線は、レーザによって形成されるハーフカット線とした。

・サンプル1:直線状の開封補助線を、ガゼット型の包装体の開封方向に沿うように、しかも開封方向に直交する方向に間隔を空けて、3本形成。
・サンプル2:中央側に向かって曲がっている曲部を複数有し、かつ隣り合う曲部同士が直線部で接続された開封補助線(以下、曲部を有する開封補助線という)を、ガゼット型の包装体の開封方向に沿うように、しかも開封方向に直交する方向に間隔を空けて、3本形成。

なお、サンプル2においては、開封方向上流側における曲部と直線部とのなす角度を30°とし、曲部の中央側先端部の曲率半径をR2とした。R2とは、曲率半径Rが2mmであることを意味している。
また、サンプル2では、曲部は、開封補助線の10cm当たりに5個配されていた。
サンプル1及び2に係るガゼット型の包装体の5検体について、開封性を確認した。その結果を以下の表1に示す。以下において、開封数とは、ガゼット型の包装体を一端縁側から他端縁側まで開封するときに、開封途中位置でガゼット型の包装体の一部が切り取られずに開封できたものの個数を意味する。
【0054】
【表1】
【0055】
開封補助線が3本の直線からなるサンプル1に係るガゼット型の包装体は、5検体中3検体が開封途中位置でガゼット型の包装体の一部が切り取られずに開封できたことが確認された。これに対し、曲部を有する開封補助線が形成されたサンプル2に係るガゼット型の包装体は、5検体とも開封途中位置でガゼット型の包装体の一部が切り取られずに開封できたことが確認された。
【0056】
(曲部と直線部とのなす角度の影響)
開封方向上流側における曲部と直線部とのなす角度が、以下の値となるように、曲部を有する開封補助線を形成した。また、以下の各サンプルにおいて曲部の中央側先端部の曲率半径をR2とした。なお、曲部を有する開封補助線は、サンプル2と同様に3本形成した。

・サンプル3:20°
・サンプル4:40°
・サンプル5:50°

なお、サンプル3〜5では、曲部は、開封補助線の10cm当たり5個配されていた。
サンプル3〜5に係るガゼット型の包装体の5検体について、開封性を確認した。その結果を以下の表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
角度を20°としたサンプル3に係るガゼット型の包装体、及び角度を40°としたサンプル4に係るガゼット型の包装体は、5検体とも開封途中位置でガゼット型の包装体の一部が切り取られずに開封できたことが確認された。また、角度を50°としたサンプル5に係るガゼット型の包装体は、5検体中4検体が開封途中位置でガゼット型の包装体の一部が切り取られずに開封できたことが確認された。
【0059】
(曲率半径Rの影響)
中央側先端部の曲率半径Rが以下の値となる曲部を有する開封補助線を形成した。以下の各サンプルにおいては、開封補助線は、サンプル1と同様に3本ずつ形成した。以下の各サンプルにおいては、開封方向上流側における曲部と直線部とのなす角度を30°とした。
以下のサンプルにおいて、R0、R1、R7.5及びR11.5は、それぞれ、曲率半径Rが0mm、1mm、7.5mm及び11.5mmであることを意味している。

・サンプル6:R0
・サンプル7:R1
・サンプル8:R7.5
・サンプル9:R11.5

なお、サンプル6〜9では、曲部は、開封補助線の10cm当たり5個配されていた。
サンプル6〜9に係るガゼット型の包装体の5検体について、開封性を確認した。その結果を以下の表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
サンプル6〜9に係るガゼット型の包装体は、5検体とも開封途中位置でガゼット型の包装体の一部が切り取られずに開封できることが確認できた。
【符号の説明】
【0062】
1 包装体、
10 筒状体、11 収容部、12 第1封止部、13 第2封止部、14 開口、
11a 開封補助線、11a1 曲部、11a1a 端縁部、11a2 直線部、
12a 端縁、12b 開封起点、13a 端縁、13b 開封起点、
20 背シール部、
30 被収容物、
C 中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9