(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域との間に設けられ、前記第2の半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第2導電型の第6の半導体領域を、更に備える請求項1記載の半導体装置。
前記第5の半導体領域と前記第2の半導体領域との間に設けられ、前記第2の半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第2導電型の第7の半導体領域を、更に備える請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
前記第1の半導体領域と前記第2の半導体領域との間に設けられ、前記第2の半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第2導電型の第6の半導体領域を、更に備える請求項5記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
また、以下の説明において、n
+、n、n
−及び、p
+、p、p
−の表記を用いる場合がある。この表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、n
+はnよりもn型不純物濃度が相対的に高く、n
−はnよりもn型不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p
+はpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、p
−はpよりもp型不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n
+型、n
−型を単にn型、p
+型、p
−型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像、又は、SCM像とAFM(Atomic Force Microscope)像との合成画像から求めることが可能である。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体層と、半導体層の中に設けられた第1導電型の第1の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第1の半導体領域と第1の面との間に位置する第2導電型の第2の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第2の半導体領域と第1の面との間に位置し、第1の半導体領域よりも第1導電型不純物濃度の低い第1導電型の第3の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第3の半導体領域と第1の面との間に位置し、第2の半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第2導電型の第4の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第1の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第3の半導体領域との間に第2の半導体領域を挟む第1導電型の第5の半導体領域と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第3の半導体領域と第4の半導体領域に電気的に接続された第1の電極と、半導体層の第2の面の側に設けられ、前記第1の半導体領域と電気的に接続された第2の電極と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第2の半導体領域と第5の半導体領域とを電気的に接続する導電層と、を備える。
【0013】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0014】
第1の実施形態の半導体装置は、ESD保護ダイオード100である。ESD保護ダイオード100はサイリスタ構造を含む。
【0015】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0016】
ESD保護ダイオード100は、半導体層10、カソード電極12(第1の電極)、アノード電極14(第2の電極)、配線層16(導電層)、保護絶縁層18を備える。
【0017】
半導体層10の中には、n
+型の基板領域20(第1の半導体領域)、p
−型のアノード領域22(第2の半導体領域)、n型のカソード領域24(第3の半導体領域)、p
+型の第1のコンタクト領域26(第4の半導体領域)、n
+型の第2のコンタクト領域28、n型の接続領域30(第5の半導体領域)、p
+型の第3のコンタクト領域32、n
+型の第4のコンタクト領域34、p型の第1のバリア領域36(第6の半導体領域)、p型の第2のバリア領域38(第7の半導体領域)が設けられる。
【0018】
半導体層10は、第1の面(
図1中のP1)と第2の面(
図1中のP2)を有する。第1の面P1は半導体層10の表面、第2の面P2は半導体層10の裏面である。
【0019】
半導体層10は、例えば、シリコン(Si)の単結晶である。第1の面P1は、例えば、シリコンの(001)面である。
【0020】
n
+型の基板領域20は、n型不純物を含む不純物領域である。基板領域20は、第2の面P2に接して設けられる。
【0021】
基板領域20は、n型不純物として、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、又は、アンチモン(Sb)を含む。基板領域20のn型不純物濃度は、例えば、5×10
19cm
−3以上5×10
21cm
−3以下である。
【0022】
基板領域20の第1の面P1から第2の面P2に向かう方向の厚さは、例えば、50μm以上150μm以下である。
【0023】
p
−型のアノード領域22は、基板領域20と第1の面P1との間に位置する。アノード領域22の一部は、第1の面P1に接する。
【0024】
アノード領域22は、p型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。アノード領域22のp型不純物濃度は、例えば、5×10
12cm
−3以上1×10
14cm
−3以下である。
【0025】
アノード領域22の第1の面P1から第2の面P2に向かう方向の厚さは、例えば、5μm以上20μm以下である。
【0026】
アノード領域22は、例えば、基板領域20の上にエピタキシャル成長法によって形成されたエピタキシャル層である。
【0027】
n型のカソード領域24は、アノード領域22と第1の面P1との間に位置する。カソード領域24の一部は、第1の面P1に接する。
【0028】
カソード領域24は、n型不純物として、例えば、リン(P)、又は、ヒ素(As)を含む。カソード領域24のn型不純物濃度は、基板領域20のn型不純物濃度よりも低い。カソード領域24のn型不純物濃度は、例えば、5×10
15cm
−3以上1×10
19cm
−3以下である。
【0029】
p
+型の第1のコンタクト領域26は、カソード領域24と第1の面P1との間に位置する。第1のコンタクト領域26の一部は、第1の面P1に接する。
【0030】
第1のコンタクト領域26は、p型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。第1のコンタクト領域26のp型不純物濃度は、アノード領域22のp型不純物濃度よりも高い。第1のコンタクト領域26のp型不純物濃度は、例えば、5×10
19cm
−3以上5×10
21cm
−3以下である。
【0031】
n
+型の第2のコンタクト領域28は、カソード領域24と第1の面P1との間に位置する。第2のコンタクト領域28の一部は、第1の面P1に接する。
【0032】
第2のコンタクト領域28は、n型不純物として、例えば、リン(P)、又は、ヒ素(As)を含む。第2のコンタクト領域28のn型不純物濃度は、カソード領域24のn型不純物濃度よりも高い。第2のコンタクト領域28のn型不純物濃度は、例えば、5×10
19cm
−3以上5×10
21cm
−3以下である。
【0033】
n型の接続領域30は、基板領域20と第1の面P1との間に位置する。接続領域30は、基板領域20に接する。接続領域30の一部は、第1の面P1に接する。接続領域30は、カソード領域24との間にアノード領域22を挟む。
【0034】
接続領域30は、n型不純物として、例えば、リン(P)、又は、ヒ素(As)を含む。接続領域30のn型不純物濃度は、基板領域20のn型不純物濃度よりも低い。接続領域30のn型不純物濃度は、例えば、5×10
16cm
−3以上5×10
19cm
−3以下である。
【0035】
接続領域30は、例えば、半導体層10にn型不純物をイオン注入することにより形成される。
【0036】
p
+型の第3のコンタクト領域32は、アノード領域22と第1の面P1との間に位置する。第3のコンタクト領域32は、第1の面P1に接する。
【0037】
第3のコンタクト領域32は、p型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。第3のコンタクト領域32のp型不純物濃度は、アノード領域22のp型不純物濃度よりも高い。第3のコンタクト領域32のp型不純物濃度は、例えば、5×10
19cm
−3以上5×10
21cm
−3以下である。
【0038】
n
+型の第4のコンタクト領域34は、接続領域30と第1の面P1との間に位置する。第4のコンタクト領域34は、第1の面P1に接する。
【0039】
第4のコンタクト領域34は、n型不純物として、例えば、リン(P)、又は、ヒ素(As)を含む。第4のコンタクト領域34のn型不純物濃度は、接続領域30のn型不純物濃度よりも高い。第4のコンタクト領域34のn型不純物濃度は、例えば、5×10
19cm
−3以上5×10
21cm
−3以下である。
【0040】
p型の第1のバリア領域36は、基板領域20とp
−型のアノード領域22との間に設けられる。第1のバリア領域36は、基板領域20に接する。第1のバリア領域36は、p
−型のアノード領域22に接する。
【0041】
第1のバリア領域36は、p型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。第1のバリア領域36のp型不純物濃度は、アノード領域22のp型不純物濃度よりも高い。第1のバリア領域36のp型不純物濃度は、例えば、5×10
14cm
−3以上5×10
18cm
−3以下である。
【0042】
p型の第2のバリア領域38は、接続領域30とアノード領域22との間に設けられる。第2のバリア領域38は、接続領域30に接する。第2のバリア領域38は、アノード領域22に接する。第2のバリア領域38は、基板領域20と第1の面P1との間に位置する。
【0043】
第2のバリア領域38は、p型不純物として、例えば、ボロン(B)を含む。第2のバリア領域38のp型不純物濃度は、アノード領域22のp型不純物濃度よりも高い。第2のバリア領域38のp型不純物濃度は、例えば、5×10
14cm
−3以上5×10
18cm
−3以下である。
【0044】
保護絶縁層18は、半導体層10の第1の面P1の上に設けられる。保護絶縁層18は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0045】
カソード電極12は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。カソード電極12は、半導体層10の第1の面P1の上に設けられる。
【0046】
カソード電極12は、カソード領域24、第1のコンタクト領域26、及び、第2のコンタクト領域28に電気的に接続される。カソード電極12は、第1のコンタクト領域26、及び、第2のコンタクト領域28に接する。
【0047】
カソード電極12は、例えば、金属である。カソード電極12は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金を含む。カソード電極12の半導体層10に接する部分には、例えば、バリアメタル層が設けられる。バリアメタル層は、例えば、チタン、窒化チタン、又は、窒化タングステンを含む。
【0048】
アノード電極14は、半導体層10の第2の面P2の側に設けられる。アノード電極14は、半導体層10の第2の面P2に接する。
【0049】
アノード電極14は、基板領域20に電気的に接続される。アノード電極14は、基板領域20に接する。
【0050】
アノード電極14は、例えば、金属である。アノード電極14は、例えば、金、銀、又は、スズ合金を含む。
【0051】
配線層16は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。配線層16は、アノード領域22と接続領域30とを電気的に接続する。配線層16は、例えば、第3のコンタクト領域32に接する。配線層16は、例えば、第4のコンタクト領域34に接する。
【0052】
配線層16は、例えば、金属である。配線層16は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金を含む。配線層16の半導体層10に接する部分には、例えば、バリアメタル層が設けられる。バリアメタル層は、例えば、チタン、窒化チタン、又は、窒化タングステンを含む。
【0053】
第1の実施形態のESD保護ダイオード100は、p
+型の第1のコンタクト領域26、n型のカソード領域24、p
−型のアノード領域22、及び、n
+型の基板領域20で形成されるpnpn型のサイリスタ構造を有する。
【0054】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0055】
ESD保護ダイオードは、例えば、保護対象デバイスにつながる信号線と、グラウンドとの間に接続される。ESDが信号線に印加された場合に、サージ電流の大部分がESD保護ダイオードを介してグラウンドに流れ、サージ電流の一部が残留電流として保護対象デバイスに流れる。
【0056】
保護対象デバイスの微細化が進み、保護対象デバイスに流れる残留電流を更に低減することが要求されている。残留電流を低減するためには、ESD保護ダイオードのクランプ電圧及びダイナミック抵抗を低減することが必要となる。
【0057】
クランプ電圧の低減のために、例えば、ESD保護ダイオードに、低い電圧までスナップバックするサイリスタ構造が適用される。例えば、第1の面P1と第2の面P2とを有する半導体層10の、第1の面P1の側、すなわち半導体層の表面にn型不純物領域とp型不純物領域を形成する。これにより、pnpn型のサイリスタ構造を設ける。この場合、ESD保護ダイオードは、カソード電極とアノード電極の両方が半導体層の表面に設けられた横型デバイスとなる。
【0058】
横型デバイスの場合、カソード電極とアノード電極との間の電流経路が半導体層の表面近傍に限定される。したがって、ESD保護ダイオードのダイナミック抵抗を低減することが困難である。
【0059】
横型デバイスの場合、例えば、カソード電極及びアノード電極を櫛型電極にすることで、電流経路を広くすることが考えられる。しかしながら、限られたチップ面積の中で、櫛型電極を形成するには、微細加工が要求され、チップコストが増大するおそれがある。
【0060】
また、横型デバイスのパッケージには、例えば、表面にカソード電極とアノード電極が設けられた横型デバイスを実装しやすいChipLGAが適用される。ChipLGAでは、パッケージサイズとチップサイズが等しくなる。
【0061】
電子機器などへの実装を容易にする観点から、パッケージサイズには所定の大きさが要求される。ChipLGAの場合には、仮に、チップサイズを小さくすることが可能であったとしても、パッケージサイズに対する要請からチップサイズを小さくできない事態が生じ得る。この場合、チップコストの低減が困難となる。
【0062】
図2は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。
図2は、第1の実施形態のESD保護ダイオード100にサージ電流が流れている際の、電流経路の模式図である。図中の実線片矢印が電流を示す。
【0063】
ESD保護ダイオード100は、半導体層10の表面にカソード電極12、裏面にアノード電極14を設けた縦型デバイスである。縦型デバイスにすることにより、半導体層10の内部を広く電流経路として用いることが可能となる。したがって、ESD保護ダイオード100のダイナミック抵抗の低減が可能となる。
【0064】
また、ESD保護ダイオード100は、縦型デバイスとすることで、パッケージにモールドパッケージを適用することが容易となる。チップの裏面のアノード電極14をリードフレーム上に接着し、チップの表面のカソード電極12にワイヤボンディングを行うことで、ESD保護ダイオード100をモールドパッケージに実装する。
【0065】
モールドパッケージへの実装が容易になることで、パッケージサイズに起因するチップサイズ縮小に対する制約がなくなる。したがって、チップサイズを縮小し、チップコストを低減することが可能となる。
【0066】
また、ESD保護ダイオード100は、アノード領域22と接続領域30とを電気的に接続する配線層16を、半導体層10の表面側に設ける。したがって、半導体層10の裏面側にはパターンを形成する必要がない。したがって、製造が容易となり、チップコストの低減が可能となる。
【0067】
ESD保護ダイオード100は、p型の第1のバリア領域36を、n
+型の基板領域20とp
−型のアノード領域22との間に備えることが好ましい。第1のバリア領域36を設けることで、サージ電流が流れていない状態でのリーク電流が抑制される。
【0068】
また、ESD保護ダイオード100は、p型の第2のバリア領域38を、n型の接続領域30とp
−型のアノード領域22との間に備えることが好ましい。第2のバリア領域38を設けることで、サージ電流が流れていない状態でのリーク電流が抑制される。
【0069】
以上、第1の実施形態によれば、ダイナミック抵抗の低減が可能なESD保護ダイオードが実現できる。また、チップコストの低減が可能なESD保護ダイオードが実現できる。また、リーク電流の抑制されたESD保護ダイオードが実現できる。
【0070】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体層と、半導体層の中に設けられた第1導電型の第1の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第1の半導体領域と前記第1の面との間に位置する第2導電型の第2の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第2の半導体領域と第1の面との間に位置し、第1の半導体領域よりも第1導電型不純物濃度の低い第1導電型の第3の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第3の半導体領域と第1の面との間に位置し、第2の半導体領域よりも第2導電型不純物濃度の高い第2導電型の第4の半導体領域と、半導体層の中に設けられ、第1の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第1の半導体領域に接する導電体と、導電体と半導体層との間に設けられた絶縁層と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第3の半導体領域と第4の半導体領域に電気的に接続された第1の電極と、半導体層の第2の面の側に設けられ、第1の半導体領域と電気的に接続された第2の電極と、半導体層の第1の面の側に設けられ、第2の半導体領域と前記導電体とを電気的に接続する導電層と、を備える。
【0071】
第2の実施形態の半導体装置は、第1の半導体領域と第1の面との間に設けられ、第1の半導体領域に接する導電体と、導電体と半導体層との間に設けられた絶縁層と、を備える点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については、記述を省略する場合がある。
【0072】
図3は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0073】
第2の実施形態の半導体装置は、ESD保護ダイオード200である。ESD保護ダイオード200はサイリスタ構造を含む。
【0074】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0075】
ESD保護ダイオード200は、半導体層10、カソード電極12(第1の電極)、アノード電極14(第2の電極)、配線層16(導電層)、保護絶縁層18を備える。
【0076】
半導体層10の中には、n
+型の基板領域20(第1の半導体領域)、p
−型のアノード領域22(第2の半導体領域)、n型のカソード領域24(第3の半導体領域)、p
+型の第1のコンタクト領域26(第4の半導体領域)、n
+型の第2のコンタクト領域28、p
+型の第3のコンタクト領域32、p型の第1のバリア領域36(第6の半導体領域)、埋め込み接続層40(導電体)、絶縁層42が設けられる。
【0077】
埋め込み接続層40は、基板領域20と第1の面P1との間に設けられる。埋め込み接続層40は、基板領域20に接する。埋め込み接続層40は、例えば、アノード領域22を貫通する。
【0078】
埋め込み接続層40は、導電体である。埋め込み接続層40は、例えば、金属、又は、導電性不純物を含む半導体である。埋め込み接続層40は、例えば、タングステン、又は、窒化チタンを含む。埋め込み接続層40は、例えば、n型不純物又はp型不純物を含む多結晶シリコンを含む。
【0079】
絶縁層42は、埋め込み接続層40と半導体層10との間に設けられる。絶縁層42は、埋め込み接続層40を囲んで設けられる。絶縁層42は、例えば、埋め込み接続層40とアノード領域22との間、埋め込み接続層40と第1のバリア領域36との間に設けられる。
【0080】
絶縁層42は、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン、又は、窒化シリコンを含む。
【0081】
埋め込み接続層40及び絶縁層42は、例えば、以下の方法で製造可能である。
【0082】
まず、半導体層10に第1の面P1から基板領域20に達するトレンチを、公知のリソグラフィ法及び反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いて形成する。次に、公知の化学気相成長法(CVD法)及び反応性イオンエッチング法を用いて、トレンチの内壁に絶縁層42を形成する。次に、公知の化学気相成長法を用いて、トレンチの中を埋め込み接続層40で埋め込む。例えば、化学機械研磨法(CMP法)により、埋め込み接続層40の表面を平坦化する。
【0083】
配線層16は、半導体層10の第1の面P1の側に設けられる。配線層16は、アノード領域22と埋め込み接続層40とを電気的に接続する。配線層16は、例えば、第3のコンタクト領域32に接する。配線層16は、例えば、埋め込み接続層40に接する。
【0084】
配線層16は、例えば、金属である。配線層16は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金を含む。配線層16の半導体層10や埋め込み接続層40に接する部分には、例えば、バリアメタル層が設けられる。バリアメタル層は、例えば、チタン、窒化チタン、又は、窒化タングステンを含む。
【0085】
ESD保護ダイオード200は、基板領域20とアノード領域22を、抵抗の低い埋め込み接続層40を用いて接続する。したがって、ESD保護ダイオード200に、アノード電極14からカソード電極12に向かって順方向電流を流す場合、大電流を流すことが可能となる。
【0086】
例えば、2個のESD保護ダイオード200のアノード電極14をそれぞれ接続し、双方向のESD保護デバイスを構成する場合がある。この場合、ダイナミック抵抗を低減するためには、ESD保護ダイオード200に順方向電流が流れる場合の抵抗も低減することが必要となる。
【0087】
第2の実施形態のESD保護ダイオード200を2個繋げることにより、ダイナミック抵抗が低減された双方向のESD保護デバイスを実現することが可能となる。
【0088】
以上、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、ダイナミック抵抗の低減が可能なESD保護ダイオードが実現できる。また、チップコストの低減が可能なESD保護ダイオードが実現できる。また、リーク電流の抑制されたESD保護ダイオードが実現できる。更に、ダイナミック抵抗が低減された双方向のESD保護デバイスを実現することが可能となる。
【0089】
第1及び第2の実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合を例に説明したが、第1導電型をp型、第2導電型をn型とすることも可能である。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。