(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
形成された最終ポリマーの最後の60重量%(T2)と形成された最終ポリマーの最初の40重量%(T1)との間の重合温度の差(T2−T1)が、58℃以上である、請求項1または2に記載のプロセス。
前記エチレンが、第1の反応部(1)、ならびに2つ以上の後続反応部である区域n及び区域n+1または区域n+2に供給され(式中、n>1である)、前記エチレンが、新しいエチレン及び再循環されたエチレンを含み、次の比率:
a)反応部nに関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」対「反応部n(RZn)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rnが、(Rn=RZ1/RZn)が1以下である、
b)反応部n+1に関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」対「反応部n+1(RZn+1)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rn+1が、1以下の(Rn+1=RZ1/RZn+1)である、
c)反応部n+2に関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」対「反応部n+2(RZn+2)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rn+2が、(Rn+2=RZ1/RZn+2)が1以下である、のうちの少なくとも2つを満たし、
「前記重合プロセスに供給されるエチレンの総量」が、少なくとも1つの新しいエチレン流及び少なくとも1つの再循環されたエチレン流から得られる、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
前記第1のエチレン供給物が、少なくとも1つのCTAを含み、前記第1のエチレン供給物における前記CTA系の活性が、各後続のエチレン供給物における前記CTA系の活性以上である、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
前記重合が、少なくとも1つの管状反応器中で行われ、前記反応器への各エチレン供給物は、二次圧縮器システムの第2圧縮段階からの1つ以上の吐出し流から発生する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
各エチレン供給物が、前記二次圧縮器システムの前記第2圧縮段階からの1つ以上のプランジャから発生した吐出し流を受容し、各エチレン供給物が、同じモル量のエチレン系供給構成成分を含む、請求項6または請求項7のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0007】
高ポリマー生成量を伴う減圧レベルで、大幅に狭い分子量分布を有するエチレン系ポリマーを提供する新しい重合プロセスが発見された。重合プロセスに良好な経済状況をもたらす、広い及び狭いMWDポリマーが一定のポリマー生成量で生成され得ることも発見された。二次圧縮器システムの第2圧縮段階のプランジャの吐出し物が、ポリマー生成物の分子量分布の範囲を増加させるために、反応部にわたってエチレン供給流を等しくまたは異なって分配するように配置され得ることが発見された。加えて、新しいエチレンを反応器の側方に分配することにより、及び/または新しいCTAを反応器の前方に分配することにより、狭いMWD生成物及びプロセス機能が更に増強され得ることも発見された。
【0008】
上述のように、少なくとも1つのフリーラジカルの存在下で、エチレン系ポリマーを形成するプロセスが提供され、該プロセスは、
少なくとも1つのフリーラジカル開始剤の存在下で、かつ少なくとも3つの反応部及び少なくとも2つのエチレン供給流を含む反応器構成において、エチレンを含む混合物を重合することを少なくとも含み、
第1の反応部の注入口圧力は、3200バール以下であり、第1の反応部に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの量は、重合に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの総モルに基づいて、40モル%〜80モル%であり、
形成された最初の40重量%ポリマーの平均重合温度(APT
40重量%)(形成されたポリマーの総量に基づく)は、200℃以下である。
【0009】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも3つのエチレン供給流を含む。
【0010】
一実施形態では、反応器構成は、2つのエチレン供給流のみを含む。
【0011】
本発明は、少なくとも1つのフリーラジカルの存在下で、エチレン系ポリマーを形成するプロセスを提供し、該プロセスは、
少なくとも1つのフリーラジカル開始剤の存在下で、かつ少なくとも4つの反応部及び少なくとも3つのエチレン供給流を含む反応器構成において、エチレンを含む混合物を重合することを少なくとも含み、
第1の反応部の注入口圧力は、3200バール以下であり、第1の反応部に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの量は、重合に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの総モルに基づいて、20モル%〜70モル%であり、
形成された最初の40重量%ポリマーの平均重合温度(APT
40重量%)(形成されたポリマーの総量に基づく)は、200℃以下である。
【0012】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも4つのエチレン供給流を含む。
【0013】
一実施形態では、反応器構成は、3つのエチレン供給流のみを含む。
【0014】
本発明のプロセスは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0015】
一実施形態では、各反応部の最高温度は、反応部1を除き、>271℃、または>272℃、または>274℃、または>276℃、または>278℃、または>280℃である。一実施形態では、各反応部の最高温度は、反応部1及び反応部2を除き、>271℃、または>272℃、または>274℃、または>276℃、または>278℃、または>280℃である。一実施形態では、各反応部の最高温度は、反応部1、反応部2、及び反応部3を除き、>271℃、または>272℃、または>274℃、または>276℃、または>278℃、または>280℃である。一実施形態では、各反応部の最高温度は、<340℃、または<330℃、または<320℃である。
【0016】
一実施形態では、第1の反応部に供給されるモノマー及びCTA(複数可)の合計量は、重合に供給されるモノマー及びCTA(複数可)の合計量の20〜40モル%である。一実施形態では、第1の反応部に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの量は、重合に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの総モルに基づいて、45モル%〜75モル%または40〜70モル%である。一実施形態では、第1の反応部に供給されるモノマー及びCTA(複数可)の合計量は、重合に供給されるモノマー及びCTA(複数可)の合計量の20〜60モル%、または20〜50モル%、または20〜45モル%である。
【0017】
一実施形態では、形成された「最初の40重量%ポリマーの平均重合温度(形成されたポリマーの総量に基づく)は、200℃以下、または≦199℃、または≦198℃、または≦197℃、または≦196℃、または≦195℃である。
【0018】
一実施形態では、最初の「総ポリマーの40重量%は、ポリマー加重平均重合温度T1で形成され」、残りの「総ポリマーの60重量%は、T2のポリマー加重平均重合温度で形成され」、(T2−T1)は、≧58℃、または≧59℃、または≧60℃、または≧61℃、または≧62℃、または≧63℃、または≧64℃、または≧65℃である。
【0019】
一実施形態では、エチレン転化は、≧28%、または≧29%、または≧30%、または≧31%である。
【0020】
一実施形態では、エチレンは、第1の反応部(1)、ならびに2つ以上の後続反応部である区域n及び区域n+1または区域n+2に供給され(式中、n>1である)、エチレンは、新しいエチレン及び再循環されたエチレンを含み、次の比率:
a)反応部nに関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」対「反応部n(RZn)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rnが、0〜1の(Rn=RZ1/RZn)である、
b)反応部n+1に関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」対「反応部(RZn+1)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rn+1が、0〜1の(Rn+1=RZ1/RZn+1)である、
c)反応部n+2に関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」対「反応部(RZn+2)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rn+2が、0〜1の(Rn+2=RZ1/RZn+2)である、のうちの少なくとも2つを満たし、
「重合プロセスに供給されるエチレンの総量」は、少なくとも1つの新しいエチレン流及び少なくとも1つの再循環されたエチレン流から得られる。
【0021】
一実施形態では、エチレンは、第1(1)及び1つの後続の反応部に供給され、次の条件:
a)反応器への第1のエチレン系供給流は新しいエチレンを含まない、
b)後続の反応器部へのエチレン系供給物は新しいエチレンを含む、を満たす。
【0022】
一実施形態では、エチレンは、第1の反応部(1)及び2つの後続の反応部に供給され、次の条件:
a)第1の反応部は新しいエチレンを受容しない、
b)後続の反応部への第1のエチレン系供給物は新しいエチレンを含まない、
c)後続の反応部への第2のエチレン系供給物は新しいエチレンを含む、を満たす。
【0023】
一実施形態では、エチレンは、第1の反応部(1)及び3つの後続の反応部に供給され、次の条件:
a)第1の反応部は新しいエチレンを受容しない、
b)第2の反応部は新しいエチレンをエチレン受容しない、
c)第3のエチレン系供給流は、任意に新しいエチレンを含む、
d)第4のエチレン系供給流は、新しいエチレンを含む、を満たす。
【0024】
一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に添加される新しい総CTAの0〜100モル%を含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、各後続のエチレン供給物におけるCTA系の活性以上である。
【0025】
一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に添加される新しいCTAの総量の20〜100モル%、または25〜100モル%、または30〜100モル%、または35〜100モル%、または40〜100モル%、または45〜100モル%、または50〜100モル%を含む。更なる実施形態では、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、各後続のエチレン供給物におけるCTA系の活性以上である。一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に供給されるCTAの総量の20〜100モル%、または25〜100モル%、または30〜100モル%、または40〜100モル%、または45〜100モル%、または50〜100モル%を含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、各後続のエチレン供給物におけるCTA系の活性以上である。一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に添加される新しいCTAの総量の20〜100モル%、または25〜100モル%、または30〜100モル%、または40〜100モル%、または45〜100モル%、または50〜100モル%を含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、第2のエチレン供給物におけるCTA系の活性と等しい。
【0026】
一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に添加される新しいCTAの総量の20〜100モル%、または25〜100モル%、または30〜100モル%、または40〜100モル%、または45〜100モル%、または50〜100モル%を含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、第2のエチレン供給物におけるCTA系の活性よりも大きい。
【0027】
一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に添加されるCTAの総量の20〜100モル%、または25〜100モル%、または30〜100モル%、または40〜100モル%、または45〜100モル%、または50〜100モル%を含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、第3のエチレン供給物におけるCTA系の活性と等しい。一実施形態では、第1のエチレン供給流は、重合に添加されるCTAの総量の20〜100モル%、または25〜100モル%、または30〜100モル%、または40〜100モル%、または45〜100モル%、または50〜100モル%を含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、第3のエチレン供給物におけるCTA系の活性よりも大きい。
【0028】
一実施形態では、第1のエチレン供給物は、少なくとも1つのCTAを含み、第1のエチレン供給物におけるCTA系の活性は、各後続のエチレン供給物におけるCTA系の活性以上である。
【0029】
本発明のプロセスは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0030】
一実施形態では、二次圧縮器システムは、第2圧縮段階で操作する3、6、9、12、15、または18のプランジャを備える。一実施形態では、二次圧縮器システムは、第2圧縮段階で操作する4、8、10、14、16、または20のプランジャを備える。一実施形態では、2つのプランジャの吐出し物は、各供給流のために組み合わせられる。一実施形態では、2つのプランジャまたは2つのプランジャの倍数の吐出し物は、各供給流のために組み合わせられる。
【0031】
一実施形態では、プランジャの吐出し物は、i)エチレン系供給流にわたって一定の分配に配置され、任意に、2つ以上の吐出し物がこの一定の分配に組み合わされるか、またはii)重合中に制御されるかのいずれかであり、任意に、2つ以上の吐出し物が組み合わされ、1つ以上のエチレン系供給流として使用される。更なる実施形態では、選択肢として、ii)吐出し物は、1つ以上の絞り弁及び/またはスプリッタ弁を使用して制御される。
【0032】
一実施形態では、1つ以上の絞り弁及び/またはスプリッタ弁は、1つ以上のプランジャ吐出し物の流量を反応器に導くために使用される。
【0033】
一実施形態では、二次圧縮器システムからの吐出し流は、3つのエチレン供給流に分割され、各流れは、同じモル量のエチレン系構成成分を有する。
【0034】
一実施形態では、反応器への総エチレン系供給流量は、1時間当たり40〜350トン、または1時間当たり50〜300トン、または1時間当たり60〜250トンである。一実施形態では、反応器への総エチレン系供給流量は、1時間当たり30〜400トン、または1時間当たり50〜400トン、または1時間当たり75〜400トン、または1時間当たり10〜400トンである。
【0035】
一実施形態では、本発明は、反応器注入口圧力及び転化レベルを維持しながら、ポリマーの特性、特に、ピーク温度、開始及び再開温度、CTA及び新しいエチレンの分配、複数の反応部へのエチレン系供給流のようなプロセス条件による溶融弾性G’及び溶融強度などのレオロジー特性を制御するためのプロセスを提供する。溶融弾性、溶融強度、及び/または他のレオロジー特性は各々、MWDの指標であるか、または逆にMWDによって影響を受ける。
【0036】
一実施形態では、本発明は、エチレン系ポリマーを形成するための高圧重合プロセスを提供し、本プロセスは、少なくとも次の:
(A)少なくとも2つの反応部である第1の反応部(反応部1)及びi反応部(i≧2である反応部i)、(B)少なくとも2つのエチレン供給流(各供給流は、高圧重合プロセスに供給される総補給エチレンのパーセンテージを含み、第1のエチレン供給流は反応部1に送られ、第2のエチレン供給流は反応部iに送られる)、ならびに(C)第1の反応部(複数可)を非常に低いピーク温度(複数可)で操作することを含む反応器構成を使用する、エチレンを含む反応混合物を重合するステップを含む。
【0037】
本発明のプロセスは、本明細書に記載の通り、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0038】
一実施形態では、重合温度(余熱器部分を除く、反応器の温度)が180℃以下であるとき、冷却媒体温度は、180℃以上、または好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上、最も好ましくは195℃以上である。一実施形態では、重合温度が190℃以下であるとき、冷却媒体温度は、180℃以上、または好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上、最も好ましくは195℃以上である。一実施形態では、重合温度が200℃以下であるとき、冷却媒体温度は、180℃以上、または好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上、最も好ましくは195℃以上である。
【0039】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を含む。一実施形態では、重合は、複数の、または少なくとも3つの反応部を備える1つの反応器内で行われる。一実施形態では、重合は、少なくとも3つの反応部、反応部1及び反応部i(i≧2)を備え、反応部iが反応部1の下流にある反応器構成で行われる。ある実施形態では、iは、2〜5、または2〜4である。一実施形態では、i=2である。
【0040】
一実施形態では、反応器構成における唯一の反応器は管状反応器である。
【0041】
一実施形態では、第1の反応部は、管状反応部である。一実施形態では、各反応部は、管状反応部である。
【0042】
一実施形態では、第1の反応部は、オートクレーブ反応部である。
【0043】
一実施形態では、iは、3、または4、または5、または10、または20以上である。
【0044】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの一次圧縮器と、少なくとも1つのブースタ(二次)圧縮器とを備える。
【0045】
一実施形態では、プロセスは、1つの一次圧縮器のみを備える。
【0046】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0047】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。
【0048】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、少なくとも1つのコモノマーを含むエチレン系インターポリマーである。
【0049】
一実施形態では、プロセスは、2、または3、または4、または5、または6以上のエチレン供給流を含む。一実施形態では、第1及び第2のエチレン供給流は各々、プロセス重合に供給される総エチレンの1〜100モルパーセント(モル%)、または5〜95モル%、または10〜90モル%、または20〜80モル%、または30〜70モル%、または35〜65モル%、または40〜60モル%、または45〜55モル%を含む。
【0050】
一実施形態では、第1の反応部に供給されるエチレンは、重合に供給される総エチレンの少なくとも10モルパーセントである。一実施形態では、第1の反応部に供給されるエチレンは、重合に供給される総エチレンの10〜90モルパーセント、または20〜80モルパーセント、または25〜75モルパーセント、または30〜70モルパーセント、または40〜60モルパーセントである。一実施形態では、エチレン系供給流は、少なくとも3つの反応部に供給され、第1の反応部に供給されるエチレン系供給流は、重合に供給される総エチレンの25〜50モル%、または30〜45モル%、または30〜40モル%、または32〜38モル%である。
【0051】
一実施形態では、補給エチレンは、エチレン生成/分画プロセス起源の1つ以上の残留化合物以外の連鎖移動剤を含まない。
【0052】
一実施形態では、新しい(補給)新しいエチレンの総量は、全反応部に分配される。一実施形態では、補給エチレンは、反応部i(i=>1)にのみ分配される。一実施形態では、新しい(補給)CTAの総量は、第1の反応部にのみ分配される。一実施形態では、新しい(補給)CTAの総量は、エチレン系供給流量を受容する全ての反応部に分配される。
【0053】
一実施形態では、各反応部への各供給物は、同じCTA系を含む。更なる実施形態では、各供給物のCTA系は、単一のCTAを含む。
【0054】
一実施形態では、反応部における重合条件の各々は、独立して、<400℃、または<380℃、または<360℃、または<340℃、または<320℃のピーク温度、そして1000MPa未満、または500MPa未満、または400MPa未満、または350MPa未満の注入部圧力を含む。
【0055】
一実施形態では、反応部1における最高重合温度は、<260℃、または<255℃、または<250℃、または<248℃、または<246℃、または<244℃、または<242℃、または<240℃である。一実施形態では、反応部1及び2における最高重合温度は、<260℃、または<255℃、または<250℃、または<248℃、または<246℃、または<244℃、または<242℃、または<240℃である。一実施形態では、反応部1、2、及び3における最高重合温度は、<260℃、または<255℃、または<250℃、または<248℃、または<246℃、または<244℃、または<242℃、または<240℃である。
【0056】
一実施形態では、新しいCTAは、第1の反応部に分配されない。一実施形態では、新しい総CTAの0〜100%が、第1の反応部に分配される。
【0057】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各管状反応器は、1つ以上の冷却部を有する。一実施形態では、反応部iの平均プロセス速度は、10〜20m/秒、または12〜20m/秒、または12〜18m/秒である。一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各管状反応器は、1つ以上の熱伝達部を有する。一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各管状反応器は、複数の熱伝達部を装備し、熱はプロセス側と熱伝達媒体との間で交換される。
【0058】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各反応器に対する冷却及び/または加熱は、反応器を囲む複数の冷却部において、並流モード及び/または向流モードで操作する加圧型液体水により提供される。一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各反応に対する加熱は、加圧蒸気により提供される。
【0059】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各反応器に対する冷却及び/または加熱は、反応器を囲む複数の冷却部において、並流モード及び/または向流モードで操作する液体熱伝達流体(例えば、シリコン油及び/またはポリグリコール(例えば、DOWTHERM流体))により提供される。
【0060】
一実施形態では、反応器アセンブリに使用される高圧反応器管は、典型的に、ジャケットを装備し、このジャケットを流れる熱伝達媒体の助けを借りて熱伝達を可能にする。一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各管状反応器は、複数のジャケットを装備し、各ジャケットは、1つの注入口と、1つの出口とを有し、2つ以上のジャケットのそれぞれの注入口及び出口は、互いに直列に接続されて、1つの熱伝達部を形成する。更なる実施形態では、熱伝達部の注入口の温度は均一であり、各注入口の温度は、20〜240℃である。別の実施形態では、熱伝達部の少なくとも2つの注入口の温度は均一であり、各注入口の温度は、20〜240℃である。別の実施形態では、熱伝達部の各注入口の温度は、他の熱伝達部の注入口の温度とは異なり、各注入口の温度は、20〜240℃である。
【0061】
一実施形態では、反応器構成は、少なくとも1つの管状反応器を備え、各管状反応器は、複数のジャケットを装備し、各ジャケットは、1つの注入口と、1つの出口とを有し、複数のジャケットの注入口及び出口は、互いに直列に接続されて、1つの熱伝達部を形成する。更なる実施形態では、熱伝達部の注入口の温度は均一であり、各注入口の温度は、20〜240℃である。別の実施形態では、熱伝達部の少なくとも2つの注入口の温度は均一であり、各注入口の温度は、20〜240℃である。別の実施形態では、熱伝達部の各注入口の温度は、他の熱伝達部の注入口の温度とは異なり、各注入口の温度は、20〜240℃である。
【0062】
一実施形態では、二次圧縮器システムの最大吐出し圧力は、≦3100バール、または≦3000バール、または≦2900バール、または2800バール、または≦2700バール、または≦2600バール、または≦2500バール、または≦2500バール、または≦2400バール、または2300バールに制限される。
【0063】
一実施形態では、二次圧縮器システムの処理量は、最大吐出し圧力で操作されるときの二次圧縮器システムの設計負荷を満たすように最大化される。一実施形態では、二次圧縮器システムの処理量は、最大吐出し圧力で操作されるときの二次圧縮器システムのドライブの最大負荷(機械的または電気的)を満たすように最大化される。
【0064】
一実施形態では、二次圧縮器システムの処理量は、最大吐出し圧力で操作されるときの二次圧縮器の設計負荷及び/または二次圧縮器システムのドライブの最大負荷(機械的または電気的)を満たすために、プランジャ及び/またはシリンダの大きさを最大化することによって最大化される。
【0065】
一実施形態では、2つ以上のプランジャ吐出し物を組み合わせて1つの反応器供給物を形成し、これらのプランジャは位相が異なる。かかる配置は、圧縮器吐出し物ライン及び反応器供給物ラインにおける流量変動及び圧力脈動の減少を可能にする。一実施形態では、2、3、または4つのプランジャからの吐出し物が1つのエチレン系反応器供給物に合わせられ、これらの吐出し物は互いに位相が異なる。一実施形態では、2、または3、または4つのプランジャの倍数からの吐出し物が1つの反応器供給物に合わせられ、各倍数における吐出し物は位相が異なる。一実施形態では、2つ以上のプランジャからの吐出し物が1つのエチレン系反応器供給物に合わせられ、これらの吐出し物は互いに位相が異なる。一実施形態では、2以上のプランジャの倍数からの吐出し物が1つの反応器供給物に合わせられ、各倍数における吐出し物は互いに位相が異なる。
【0066】
一実施形態では、混合物は、アルデヒド、アルカン、アセテート、ケトン、アルコール、エステル、メルカプタン、ホスフィン、ホスゲン、アルファ−オレフィン、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのCTAを更に含む。一実施形態では、混合物は、アルデヒド、アルカン、ケトン、アルコール、エステル、アルファ−オレフィン、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのCTAを更に含む。
【0067】
一実施形態では、反応器構成への総エチレン系供給流量は、1時間当たり30〜400トン、または1時間当たり50〜400トン、または1時間当たり75〜400トン、または1時間当たり100〜400トンである。一実施形態では、反応器構成への総エチレン系供給流量は、1時間当たり40〜350トン、または1時間当たり50〜300トンである。
【0068】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.10〜20.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0069】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン及び1つ以上のコモノマー、及び好ましくは1つのコモノマーを含む。コモノマーには、α−オレフィン、アクリレート、メタクリレート、及び無水物(それぞれが、典型的に20個以下の炭素原子を有する)が挙げられるが、これらに限定されない。合わせたモノマーとCTA官能基を有するα−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子を有し得るか、または代替例において、α−オレフィンコモノマーは、3〜8個の炭素原子を有し得る。例となるα−オレフィンコモノマーには、プロピレン、1ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び4メチル−1−ペンテン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、α−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。
【0070】
開始剤
フリーラジカル開始剤が一般に、本発明のエチレン系ポリマーを生成するために使用される。フリーラジカル開始剤は、本明細書において使用する場合、化学的手法及び/または放射手法によって発生したフリーラジカルを指す。例となるフリーラジカル開始剤には、これらに限定されないが、環状ペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、及びペルオキシケタールを含む有機ペルオキシドを含む。好ましい開始剤は、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセテート、及びt−ブチルペルオキシ−2−ヘキサノエート、またはこれらの混合物である。更に、酸素は、開始剤として使用することができる。一実施形態では、これらの有機ペルオキシド開始剤は、重合可能なモノマーの重量に基づいて、0.001〜0.2重量%の量で使用される。ペルオキシド開始剤は、ある特定の時間間隔におけるそれらの半減期温度によって、特徴付けし、分類することができる。例えば、0.1時間半減期温度は、0.1時間(または6分間)に開始剤が50%のラジカルに解離される温度を示す。
【0071】
AkzoNobelは、それらの小冊子「Initiators and Reactor Additives for Thermo−plastics」において、それらの市販の有機ペルオキシド開始剤の0.1、1.0、及び10時間半減期温度を示す。高圧反応器システムにおける5分未満の、及び個別の反応器部における2分未満の典型的な滞留時間により、0.1時間半減期温度が、有機ペルオキシド開始剤の分類及び選択に関連している。有機ペルオキシドは、以下のクラスに分類することができる:クラス1:70〜120℃の0.1時間半減期温度を有する低温開始剤。これらのペルオキシドは典型的に、開始のために使用される。クラス2:120〜150℃の0.1時間半減期温度を有する中温開始剤。クラス3:150℃を上回る0.1時間半減期温度を有する高温開始剤。酸素は、中間有機ヒドロペルオキシドの形成の間ずっと働くと考えられ、典型的に180℃から始まる温度で分解し、したがって酸素は、高温開始剤(クラス3)とみなすことができる。
【0072】
有機ペルオキシドは、多くの場合、最低温度の開始剤クラスによって温度発達を始める、及び/または速めるために、低い及び高い温度の開始剤の混合物に適用されるが、それぞれ、オートクレーブ反応部の最大区域温度及び管状反応器部の最大ピーク温度である制御温度は、最高温度の開始剤クラスによって制御及び決定される。
【0073】
したがって、反応部の温度制御は、各区域に供給される最高温度クラスの開始剤のモル合計の関数であり、更に、適用されるより高温のペルオキシドが重合ラジカルに解離する、または重合ラジカルを発生する効率の影響を受ける場合がある。溶媒で希釈され、反応部iに注入される可能性がある単一または複数の開始剤の混合物は、反応部iの開始系と呼ばれる。一実施形態では、酸素が単独で、または他の開始剤と組み合わせて、高温開始剤として使用される。一実施形態では、開始剤の使用及び効率は、有効な重合ラジカルを形成するための、いわゆるかご効果または可能性の影響を受ける。
【0074】
一実施形態では、開始剤は、少なくとも1つの反応部に添加され、開始剤は、255℃を超える、好ましくは260℃を超える1秒間半減期温度を有する。更なる実施形態では、かかる開始剤は、320℃〜350℃のピーク重合温度で使用される。更なる実施形態では、開始剤は、環構造に組み込まれた少なくとも1つのペルオキシド基を含む。かかる開始剤の例には、TRIGONOX301(3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン)及びTRIGONOX311(3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン)(共にAkzo Nobelから入手可能)、ならびにHMCH−4−AL(3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトロキソナン)(United Initiatorsから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。国際公開第WO02/14379号及び同第WO01/68723号も参照されたい。
【0075】
一実施形態では、反応器の第1の注入口で測定される重合圧力は、1000バール〜4000バール、または1400〜3600バール、または1800〜3200バールである。
【0076】
最終物品加工ステップ及び最終用途に応じて、異なる製品品質目標が、各製品等級に対して設定される。メルトインデックス、密度、及び溶融弾性は、製品品質及び生産される製品の一貫性を示す、及び測定するための主要パラメータである。メルトインデックスは、平均分子量を反映し、CTA系のレベル及び寄与を変動させることによって調節及び/または制御することができる。短鎖分岐(SCB)レベルは、製品密度に対する指標であり、この密度は典型的に、ある特定の範囲、例えば、0.924±0.010g/cm
3で変動してもよい。長鎖分岐(LCBf)レベルは、分子量分布、またその結果として粘弾特性、例えば溶融強度に強く影響を与え、これは、吹込及び流延膜、発泡体、押出コーティングなどの用途に重要である。SCB及びLCBレベルのような特性は、適用される重合温度及び圧力レベルの影響を強く受ける。更に、LCBレベルは、反応器システムにおけるポリマーレベルプロファイルの影響も受ける。
【0077】
添加剤
本発明の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤には、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、加工助剤、煙抑制剤、粘度調整剤、及び粘着防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー組成物は、例えば、本発明のポリマーの重量に基づいて10%未満の合わせた重量の1つ以上の添加剤を含み得る。一実施形態では、本発明のポリマーは、1つ以上の安定剤、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1076、及びIRGAFOS168などの酸化防止剤で処理される。一般に、ポリマーは、押出または他の溶融プロセスの前に、1つ以上の安定剤で処理される。
【0078】
本発明の組成物は、本発明のエチレン系ポリマーに加えて、少なくとも1つの他のポリマーを更に含み得る。本発明のポリマーと他のポリマーとのブレンド及び混合物が、調製され得る。本発明のポリマーとブレンドするのに好適なポリマーには、天然及び合成ポリマーが挙げられる。ブレンドのための例となるポリマーには、プロピレン系ポリマー(共に、衝撃変性ポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、及びランダムプロピレン/エチレンコポリマー)、複数の反応器のPE(米国特許第6,545,088号(Kolthammerら)、同第6,538,070号(Cardwellら)、同第6,566,446号(Parikhら)、同第5,844,045号(Kolthammerら)、同第5,869,575号(Kolthammerら)、及び同第6,448,341号(Kolthammerら)に開示される生成物などの、不均質に分岐したPE及び均質に分岐したPEの「反応器中」組成物)を含む、高圧フリーラジカルLDPE、不均質に分岐したLLDPE(典型的にチーグラーナッタ触媒作用を介する)、均質に分岐した線状または実質的に線状のPE(典型的にメタロセン触媒作用を含むシングルサイトを介する)を含む様々な種類のエチレン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、衝撃変性ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー及びそれらの水素化誘導体(SBS及びSEBS)、ならびに熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。他のエチレン系ポリマーには、オレフィンプラストマーと、エラストマー(例えば、AFFINITYプラストマー及びENGAGEエラストマー(The Dow Chemical Company)、ならびにEXACT(ExxonMobil Chemical Co.)の商標名称の下で入手可能なポリマー)などの、均質のポリマーが挙げられる。プロピレン系コポリマー(例えば、VERSIFYプラストマー及びエラストマー(The Dow Chemical Company)、ならびにVISTAMAXX(ExxonMobil Chemical Co.)の商標名称の下で入手可能なポリマーもまた、本発明のポリマーを含むブレンド中の構成成分として有用であり得る。
【0079】
用途
本発明のポリマー、ポリマーブレンド、及び組成物は、様々な基材上への押出コーティング;単層膜及び多層膜;吹込成形、射出成形、またはロト成形物品などの成形物品;コーティング;繊維;ならびに織物または不織布を含む有用な物品を生成するための、種々の従来の熱可塑性成形加工プロセスで使用され得る。本発明のポリマーは、限定されないが、透明及び/または収縮性膜、照合収縮膜、流延伸縮性膜、サイレージ膜、伸縮性覆い、密閉剤、及びおむつの裏面シートを含む種々の膜に使用され得る。他の好適な用途には、ワイヤ及びケーブル、ガスケット及びプロファイル、接着剤、履物の構成要素、ならびに自動車内装部品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本発明は、本発明のプロセスにより作製されたエチレン系ポリマーも提供する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン系インターポリマーである。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、LDPEである。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cm
3の密度を有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.1〜1000g/10分のメルトインデックスを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cm
3の密度及び0.1〜1000g/10分のメルトインデックスを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cm
3の密度及び0.1〜100g/10分のメルトインデックスを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cm
3の密度及び0.1〜50g/10分のメルトインデックスを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cm
3の密度及び0.1〜20g/10分のメルトインデックスを有する。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/cm
3の密度及び0.2〜20g/10分のメルトインデックスを有する。本発明のポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0081】
本発明は、本発明のエチレン系ポリマーを含む組成物も提供する。一実施形態では、組成物は、別のエチレン系ポリマーを更に含む。本発明は、本発明の組成物を形成した少なくとも1つの構成成分を含む物品を提供する。一実施形態では、物品は押出コーティング樹脂である。別の実施形態では、物品は膜である。別の実施形態では、物品は、金属ワイヤの周りの絶縁材料及び/または保護層である。別の実施形態では、物品は発泡体である。本発明の物品は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0082】
一実施形態では、Z
1/Z
iは、1よりも大きいように制御される。一実施形態では、Z
1/Z
iは、1未満であるように制御される。一実施形態では、Z
1/Z
iは、0.2〜2.0、または0.3〜1.8、または0.4〜1.6、または0.5〜1.5であるように制御される。
【0083】
一実施形態では、二次圧縮器システムの処理量は、最大吐出し圧力で操作されるときの二次圧縮器システムの設計負荷を満たすように最大化される。一実施形態では、二次圧縮器システムの処理量は、最大吐出し圧力で操作されるときの二次圧縮器システムのドライブの最大負荷(機械的または電気的)を満たすように最大化される。一実施形態では、二次圧縮器システムの処理量は、最大吐出し圧力で操作されるときの二次圧縮器の設計負荷及び/または二次圧縮器システムのドライブの最大負荷(機械的または電気的)を満たすために、プランジャ及び/またはシリンダの大きさを最大化することによって最大化される。
【0084】
定義
それに反して述べられないか、文脈から含意されるか、または当該技術分野において慣例ではない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本出願の出願日付けで最新である。
【0085】
「エチレン供給流」または「エチレン系供給」または「エチレン系供給流」または「エチレン供給」という用語は、本明細書において使用する場合、反応部への供給流を指し、供給流の構成成分の全てのモル量に基づいて過半量のエチレンを含む。任意に、更なる連鎖移動剤、コモノマー、他のプロセス構成成分(潤滑油、溶媒などのようなもの)及び/または不純物(例えば、開始剤分解生成物である)のうちの1つが、供給流中に存在し得る。
【0086】
「総エチレン系供給流量」という用語は、本明細書において使用する場合、反応器構成に供給された全てのエチレン系供給流量の合計を指す。
【0087】
本明細書において使用する場合、「エチレン系供給物構成成分」という用語は、反応部への注入口において反応部に添加される、エチレン(新しい及び/または再循環された)、及び任意にCTA(新しい及び/または再循環された)、溶媒(新しい及び/または再循環された)、コモノマー(複数可)(新しい及び/または再循環された)、ならびに/または他の構成成分(例えば、新しい及び/もしくは再循環された潤滑油(複数可)、酸化防止剤(複数可)、エタン、メタン、ならびに/または開始剤解離生成物を含むが、これらに限定されない)を指す。一実施形態では、エチレン系供給物構成成分は、エチレン(新しい及び/または再循環された)、及び任意にCTA(新しい及び/または再循環された)、溶媒(新しい及び/または再循環された)、コモノマー(複数可)(新しい及び/または再循環された)、ならびに/または、新しい及び/もしくは再循環された潤滑油(複数可)、酸化防止剤(複数可)、エタン、メタン、ならびに/または開始剤解離生成物から選択される他の構成成分を含む。別の実施形態では、エチレン系供給物構成成分は、エチレン(新しい及び/または再循環された)、及び任意にCTA(新しい及び/または再循環された)、溶媒(新しい及び/または再循環された)、コモノマー(複数可)(新しい及び/または再循環された)、ならびに/または新しい及び/もしくは再循環された潤滑油(複数可)、酸化防止剤(複数可)、エタン、メタン、開始剤(例えば、酸素)、ならびに/または開始剤解離生成物から選択される他の構成成分を含む。
【0088】
「LCB含量」という用語は、1000個の炭素(総炭素)当たりの長鎖分岐のレベルを指す。LCB含量は、エチレン及び任意に存在するコモノマーの「ポリマーへの移動」、ならびに「伝搬」の速度の助けを借りて計算される。C=C二重結合を含むコモノマーは、それらの二重結合基におけるそれらの2個の炭素による1000C当たりのLCBレベルの計算で表される。LCB含量は、最終ポリマー(最終生成物LCBf)、反応器に沿って進行しているポリマー形成(累積LCBf)、または反応器の局所重合条件の関数としての局所的に形成されたポリマー(局所LCBf)のレベルとして得ることができる。
【0089】
「エチレン転化」または「エチレン転化レベル」という用語は、本明細書において使用する場合、生成された最終ポリマーに組み込まれる、反応器に供給されるエチレンの重量分率を指す。
【0090】
「組成物」という用語は、本明細書において使用する場合、組成物ならびに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0091】
「ポリマー」という用語は、同じまたは異なる種類のモノマーかに関わらず、モノマーを重合することによって調製される化合物を指す。ポリマーという一般名称は、したがって、以下に定義される通り、(微量の不純物が、ポリマー構造内に組み込まれ得るという理解のもとで、1種類のモノマーから調製されるポリマーを指す)ホモポリマーという用語、及び「インターポリマー」という用語を、包含する。微量の不純物が、ポリマー内に、及び/またはポリマー内部に組み込まれてもよい。微量の不純物は、連鎖移動活性を示す、開始剤残渣及び他の構成成分、例えば、潤滑油、溶媒などを含み得る。
【0092】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。「インターポリマー」という一般名称には、(2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指す)コポリマー、及び2つを超える異なる種類のモノマーから調製されるポリマーが含まれる。
【0093】
「エチレン系ポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づいて過半量の重合エチレン、及び任意に、少なくとも1つのコモノマーを含むポリマーを指す。
【0094】
「エチレン系インターポリマー」という用語は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含み、少なくとも1つのコモノマーを含むインターポリマーを指す。
【0095】
「エチレン系コポリマー」という用語は、コポリマーの重量に基づいて過半量の重合エチレン、唯一のモノマーの種類としてのコモノマーを含むコポリマーを指す。
【0096】
本明細書で使用される「長鎖分岐頻度(LCBf)」という用語は、ポリエチレンに転化される1000個のC原子(または500個のエチレン単位)当たりの長鎖分岐をもたらす、後述される、ポリマーステップへの移動に関連する比率を指す。一般的にLCBfは、全ポリマーの平均数である。この比率は、NMRによって決定するか、またはシミュレーションによって計算することができる。本明細書で使用される数は、シミュレーションによって得られる。シミュレーションによって得られるLCBfは、ポリマー反応R
LCB速度及び伝搬速度R
pに対する移動の比率であり、組み込まれた1000個の炭素原子に組み込まれた1つのエチレン単位を転化するために、この比率に500を乗じる。R
LCB=k
LCB*[Rad]*[Pol]及びR
p=k
p*[Rad]*[エチレン]。R
LCB/R
pの比率は、転化される1エチレン単位当たりのLCB形成の頻度のみを示すだろう。全ポリマーの総LCBfを得るために、比率は、使用される反応器の温度、圧力、ならびに転化プロファイル上で積分しなければならない。これは一般的に、CiTのPrediciのようなシミュレーションソフトウェア、または類似プログラムにおいて行われ、これらは微分方程式を解くことができる。
【0097】
「高圧重合プロセス」という用語は、本明細書において使用する場合、少なくとも1000バール(100MPa)の高圧(注入口圧力)で実施されるフリーラジカル重合プロセスを指す。
【0098】
「注入口流」または「反応部注入口流」という用語は、本明細書において使用する場合、反応部の注入口での総質量流量または総モル流量を指し、前の反応部から移動した質量流量またはモル流量+任意のエチレン系供給流+任意にCTA供給流+任意に単独で、または別の供給流と一緒に供給される任意に開始剤供給流からなる。「支流」または「側部供給流」という用語は、本明細書において使用する場合、連続反応部への、エチレン系供給流、CTA系供給流、及び/または開始剤系を指す。
【0099】
本明細書において使用する場合、「反応器システム」という用語は、ポリマーを重合及び単離するために使用される装置を指す。かかる装置には、1つ以上の反応器、反応器予熱器(複数可)、モノマー−反応器冷却装置(複数可)、二次圧縮器(複数可)(またはハイパー圧縮器(複数可))、一次圧縮器(複数可)、及び/またはブースタ圧縮器(複数可)が挙げられるが、これらに限定されない。「反応器構成」という用語は、本明細書において使用する場合、ポリマーを重合するために使用される1つ以上の反応器、及び任意に1つ以上の反応器予熱器を指す。そのような反応器には、オートクレーブ反応器(複数可)、管状反応器(複数可)、ならびにオートクレーブ反応器及び管状反応器の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
「注入口圧力」または「反応器注入口圧力」という用語は、本明細書において使用する場合、第1の反応部の第1の注入口における圧力レベルを指す。
【0101】
「反応部」という用語は、本明細書において使用する場合、重合反応が、フリーラジカル、またはフリーラジカルに解離するか、及び/もしくはフリーラジカルを発生する構成成分の添加によって開始または再開される反応器部を指す。一般的に、反応媒体は、反応器の周りのジャケットを通して流れる熱伝達媒体によって加熱及び/または冷却される。反応部は、新しい及び/もしくは再循環されたエチレン、ならびに/またはフリーラジカルもしくはフリーラジカルに解離する、及び/もしくはフリーラジカルを発生する構成成分の添加から始まることもある。「第1の反応部」という用語は、本明細書において使用する場合、重合が、ラジカル及び/またはラジカルに解離する、及び/もしくはラジカルを発生する構成成分の添加によって開始される第1の反応器部を指す。第1の反応部は、ラジカル、ならびに/またはラジカルに解離する、及び/もしくはラジカルを発生する構成成分、更に任意に、新しい及び/または再循環されたエチレン及び/またはコモノマー(複数可)の新たな供給が存在する点で終了する。
【0102】
「反応部の最高温度」または「ピーク温度」という語句は、本明細書において使用する場合、反応部において、例えば、オートクレーブ反応部(典型的に最大区域温度と述べられる)、管状反応部(典型的にピーク温度と述べられる)において測定される最高温度を指す。
【0103】
「反応部iの平均重合温度」という語句は、本明細書において使用する場合、反応部iの再開及びピーク温度の平均を指す。「形成された最初の40重量%ポリマーの平均重合温度」という語句は、本明細書において使用する場合、ポリマーの最終量の初期の40重量%が生成される反応器部分にわたる平均重合温度を指す。「形成された最後の60重量%ポリマーの平均重合温度」という語句は、本明細書において使用する場合、総ポリマーの最後の60重量%が生成される反応器部分の平均重合温度を指す。この部分は、最終ポリマーの最初の40%が生成される反応器部分の終わりから始まる。
【0104】
「ハイパー圧縮器注入口圧力」という用語は、本明細書において使用する場合、ハイパー圧縮器システムの吸引側における圧力を指す。
【0105】
「二次圧縮器システム」という用語は、本明細書において使用する場合、2つの圧縮段階、つまり、第1圧縮段階及び第2圧縮段階でガス状供給物を圧縮するために使用される1つ以上の圧縮器+任意の冷却器を指し、典型的に、エチレン系供給流が二次圧縮器システムの吸引圧力から第1圧縮段階の吐出し圧力に圧縮され、第2圧縮段階で、二次圧縮器システムの最終吐出し圧力に更に圧縮される。二次圧縮段階の注入口と組み合わせて第1圧縮段階の出口+任意の冷却器(複数可)も二次圧縮器システムの「段間」と呼ばれる。典型的に、第1圧縮段階は、100〜350バールの範囲の吸引圧力から、800〜1600バールの範囲の段間圧力に圧縮する。典型的に、第2圧縮段階は、上述の段間圧力から、2000〜3600バールの範囲の最終吐出し圧力に圧縮する。
【0106】
「プランジャ」という用語は、本明細書において使用する場合、二次圧縮器システムの吸引圧力から段間圧力に、または二次圧縮器システムの段間圧力から最終吐出し圧力にガス状供給物(例えば、エチレン系供給物)を圧縮する、シリンダアセンブリ内の往復与圧装置を指す。典型的に、プランジャ及びシリンダアセンブリの大きさは二次圧縮器システムの圧縮段階(第1または第2)内で均一であるが、二次圧縮器システムの第1及び第2圧縮段階で異なる。各プランジャはシリンダアセンブリの内部に収容される。
【0107】
「脈動」という用語は、圧縮器の駆動シャフトの各回転中のプランジャアセンブリの充填及び送達段階を含む、往復操作によって生じるプランジャの吐出しにおける不均一な流量状態を指す。不均一な流量パターンは、吐出し系における様々な圧力低下を生じさせ、したがって、圧縮器吐出し物及びエチレン系供給流の圧力条件を変動させる。2つ以上のプランジャ吐出し物が組み合わされる場合、1つのエチレン系反応器供給流を形成するために使用された異なるプランジャの吐出し物によって生じた流量パターンが重複せず、したがって、最小及び最大流量、ならびに反応器への供給ラインにおける圧力変動における差を最小限に抑えることを確実にするように注意がなされるべきである。好ましくは、流量パターンは、互いに相補的である(または位相が異なる)。好ましくは、1つのエチレン系反応器供給流に合わせられるプランジャは、位相が異なり、かつ/またはエチレン系反応器供給流に合わせられた3または4つのプランジャの組み合わせの倍数であるべきである。
【0108】
二次圧縮器システムの「許容最大負荷」という用語は、圧縮器フレーム、及び/またはシリンダ、プランジャ、ならびに接続及び駆動シャフトアセンブリに関連する構成要素に適用され得る最大機械力(負荷)を指す。「許容最大負荷」は、最も弱い構成要素により決定される。最大負荷は、構成要素の製造設計圧力、ならびに操作中の慣性力により決定される。
【0109】
二次圧縮器システムの「最大電気負荷」という用語は、モーターの製造設計に基づいて、圧縮器を駆動する電気モーターが連続操作において送達することができる最大電力を指す。
【0110】
「スプリッタ弁」という用語は、二次圧縮器システムから、及び2つ以上の反応器部への供給流量(例えば、エチレン系供給流)の分配を制御する装置を指す。「絞り弁」という用語は、ラインを通る流量を増加または減少させるために使用することができる制御弁を指す。
【0111】
二次圧縮器またはハイパー圧縮器は、例えば、各々が一次から流入する、a)HPR(高圧再循環)から流入するエチレン系構成成分、及び/またはb)エチレン系構成成分のうちの少なくとも1つを、各々、その注入口圧力において反応器への供給に必要とされる圧力レベルにまで供給流を圧縮する装置である。この圧縮は、1つまたは複数の圧縮段階で行うことができ、中間冷却と組み合わせることができる。ハイパーは、往復プランジャ圧縮器を備え、単一または複数の圧縮器フレーム(複数可)で構成され得る。
【0112】
「二次圧縮器処理量」という用語は、本明細書において使用する場合、供給物構成成分、例えば、圧縮され、反応器構成に供給されるエチレン系供給物構成成分の正味量を指す。二次処理量は、吸引側における、供給物構成成分、例えば、エチレン系構成成分の圧縮体積及び密度の関数である。二次圧縮器の吸引側における圧力及び温度条件は、圧縮されるべき供給物構成成分、例えばエチレン系構成成分の密度を画定する。「吐出し流」という用語は、本明細書において使用する場合、圧縮器(例えば、二次圧縮器)の吐出しから流出する流れを指す。
【0113】
「新しい」という用語は、エチレン系供給物構成成分(すなわち、「新しいエチレン」、「新しいCTA」)を参照して本明細書で使用するとき、外部の供給源(複数可)から提供され、再循環源(複数可)から内部で提供されない反応物質を指す。例えば、ある実施形態では、新しいエチレンは、プロセス及びポリマー中の残留エチレンから、重合によって消費された、及び/または例えば、エチレンパージを通じて失ったエチレンを補うのに必要な「補給エチレン」として使用される。「再循環された」という用語は、反応物質を参照して本明細書で使用するとき(すなわち、「再循環エチレン」、「再循環CTA」)、高圧分離器(複数可)及び/または低圧分離器(複数可)でポリマーから分離され、反応器に戻される/圧縮される未反応反応物質を指す。
【0114】
「供給」、「供給流量」、または「供給流」という用語は、本明細書において使用する場合、注入口において反応部に添加される新しい及び/または再循環された構成成分(例えば、エチレン、開始剤、CTA、及び/または溶媒)を指す。
【0115】
「モル分率」という用語は、本明細書において使用する場合、混合物中の1つの構成成分対混合物の構成成分の総モルのモル比を指す。モル分率は、モル量またはモル流量の比率を計算することによって決定することができる。「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル分率」という語句は、本明細書において使用する場合、第1の反応部に供給される(前方流を介して)新しいエチレンのモル量を、第1の反応部に供給される(前方流を介して)エチレン+任意のコモノマー(複数可)+任意のCTA(複数可)のモル量で除したものを指す。「第nの反応部(RZn)に供給される新しいエチレンのモル分率」という語句は、本明細書において使用する場合、第nの反応部に供給される(支流を介して)新しいエチレンのモル量を、第nの反応部に供給される(支流を介して)エチレン+任意のコモノマー(複数可)+任意のCTA(複数可)のモル量で除したものを指す。
【0116】
「CTA系」という用語は、一般的にメルトインデックスを制御するために重合プロセスに添加される単一のCTA、またはCTAの混合物を含む。CTA系は、水素原子を、ラジカルを含む成長ポリマー分子に移動することができ、それによりCTA分子にラジカルが形成される構成成分を含み、それは次いで、新たなポリマー鎖を開始することができる。CTAは、テロゲンまたはテロマーとしても既知である。「CTA活性」または「連鎖移動活性係数(Cs値)」という用語は、本明細書において使用する場合、「連鎖移動の速度」と「エチレン伝搬の速度」との比率を指す。以下の実験セクションに提供されるMortimerの参照文献を参照されたい。
【0117】
「Z1/Zi」という用語は、本明細書において使用する場合、以下のように決定される。「反応器部i中のCTA
jの反応器部モル濃度([CTA]
ji)は、「反応器部k=1からk=iに供給されたそのCTA(前の反応部からの移動を除く)の総モル量」を、反応器部1からiに供給されたエチレン(前の反応部からの移動を除く)の総モル量」で除したものと定義される(i≧1であることに留意する)。この関係は、下の方程式ACに示される。
【0121】
は、「第kの反応器部(式中、k=1〜i)に新しく注入された第jのCTAのモル量」であり、
【0123】
は、第kの反応器部(式中、k=1〜i)に新しく注入されたエチレンのモル量」である。
【0124】
「反応器部I(Zi)におけるCTA(系)の移動活性」は、「反応器部中の各CTAの反応器部モル濃度の合計」を、その連鎖移動活性定数(Cs)で乗じたものと定義される。方程式BCを参照されたい。連鎖移動活性定数(Cs)は、参照圧力(1360atm)及び参照温度(130℃)での反応速度の比率Ks/Kpである。この関係は下の方程式BCに示され、式中、n
compiは、反応器部i中のCTAの総数である。i≧1及びn
compi≧1であることに留意する。
【0126】
「Rn=RZ1/RZn」という用語は、本明細書において使用する場合、反応部nに関して、「第1の反応部(RZ1)に供給された新しいエチレンのモル分率」対「反応部n(RZn)に供給された新しいエチレンのモル分率」の比率を指す。
【0127】
エチレンホモポリマーの重合に関して、RZ1及びRZn値は、次のように決定される。下の方程式AE及びBEを参照されたい。
【0129】
式中、n
fresh,eth,1は、反応部1に供給された新しいエチレン(一次から)のモル流量[mol/時間]であり、
n
fresh,eth,nは、反応部nに供給された新しいエチレン(一次から)のモル流量[mol/時間]であり、
n
eth,1は、反応部1に供給されたHPR再循環からのエチレンのモル流量[mol/時間]であり、
n
eth,は、反応nに供給されたHPRからのエチレンのモル流量[mol/時間]である。
【0130】
方程式AE及び方程式BEは、本明細書において使用する場合、RZ1及びRZnを計算するために、反応器への全体的なエチレン系供給流の60mol%が高圧再循環(HPR)流量からであると仮定する。エチレン系供給流の残りの40mol%は、新しいエチレン及び低圧再循環(LPR)流量を含む一次からである。新しいエチレンは、33.3mol%であり、これは、転化され、パージ流量により失ったエチレンを含む。よって、低圧再循環(LPR)流量は、6.7mol%であり、これは、LPR及び二次圧縮器グランド漏れからのエチレンを含む。
【0131】
「開始剤系」という用語は、各々一般的に、重合プロセスに添加される溶媒(例えば、炭化水素溶媒)中に溶解される、単一の開始剤、または開始剤の混合物を含む。「注入位置」という用語は、本明細書において使用する場合、(重合プロセスで使用される)装置の注入口の場所を指し、そこで供給流が装置に追加される。「供給条件」という用語は、本明細書において使用する場合、反応器に供給される構成成分、例えば、エチレン、CTA、開始剤、及び/またはコモノマー(複数可)のモルでの流量を指す。「最高出口温度」または「下げる前の温度」という用語は、本明細書において使用する場合、最後の反応部の終わりでの最高温度を指す。
【0132】
「反応iにおけるプロセス速度」という用語は、本明細書において使用する場合、プロセスまたはエチレン系構成成分の体積流量を、反応部で使用される反応器管の横断面積で除したものであり、次のように計算される:
【0136】
は、反応部iに供給された総構成成分(モノマー、コモノマー、CTA、不純物などを含む)の体積流量であり、反応iに供給された総質量流量を流量の密度で除することにより計算され、d
i[m]は、反応器部iの内管径である。「反応部iにおける平均プロセス速度」という用語は、反応部iの長さで平均化したプロセス速度を指す。
【0137】
試験方法
メルトインデックス−メルトインデックス、またはI2をASTM D1238(190℃/2.16kgの条件)に従って測定し、10分間当たりのグラムでの溶出量を報告する。ASTM D1238(190℃/10kgの条件)に従ってI10を測定し、10分間当たりのグラムでの溶出量を報告する。
【0138】
分岐の13C NMR
試料調製:弛緩剤として0.025M Cr(AcAc)
3を含むおよそ2.7gのテトラクロロエタンーd2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を、Norell 1001−7 10mm NMR管中の0.25gの試料に添加することにより、各ポリマー試料を13C NMRのために調製する。加熱ブロック及びヒートガンを使用して、管及びその内容物を150℃に加熱することにより、試料を溶解及び均質化する。
【0139】
データ取得パラメータ:Bruker Dual DUL高温CryoProbeを装備したBruker 400MHzスペクトロメーターを使用して、データを収集する。データファイル当たり1280〜2560のトランジェント、6秒パルス繰返し遅延、90度のフリップ角、及び120℃の試料温度でのインバースゲートデカップリングを使用して、データを取得する。全ての測定は、ロックモードで、非回転試料で行われる。データを取得する前に7分間、試料を熱的に平衡化する。
13C NMR化学シフトは、30.0ppmのEEEトリアッドを内部基準にする。
【0140】
LDPEは、多くの種類の分岐、例えば、1,3−ジエチル、第四級炭素(gemジエチル)上のエチル分岐、C4、C5以上を含み、ブテンまたはプロピレンが使用される場合、単離されたC2分岐(ブテンから)またはC1(メチル、プロピレンから)分岐が観察される。全ての分岐レベルは、下の表Aに示されるように、約40ppm〜5ppmのスペクトルを積分し、整数値を1000に設定し、その後、各分岐の種類に関連するピークを積分することにより決定される。次に、ピーク積分は、ポリマー中の1000C当たりの各分岐の種類の数を表す。表Aの最後の列は、各積分範囲に関連する炭素を記載する。LDPEにおけるC6+分岐の直接測定を表示し、長い分岐は「鎖端部」と区別されない。この値は、LLDPE、HDPE、及び他の線状ポリマーとは異なって定義される分岐レベルを表す。全ての鎖または6個以上の炭素の分岐の端部から3番目の炭素を表す32.2ppmピークが使用される。長鎖分岐機構によりC6+分岐の数を得るために、測定されたC6+の数は、LDPE分子における主骨格の両端基の存在、及び炭素数が≧8のアルファ−オレフィンの使用の可能性について補正されなければならない。
【0142】
実験
CP1〜CP3、CP1.1、及びCP1.2に使用されたフロースキーム
図1は、管状反応器を備えるシミュレーション高圧重合プラント構成の一般化したフロースキームを示し、ハイパー圧縮器からの全ての構成成分は、「全前方ガス」反応器構成を表す反応器の第1(前方)の反応部に送られる。流れ(1)は、一次によって、ブースタの出口と一緒に流れ(2)へと圧縮される新しいエチレン補給である。流れ(2)は、高圧再循環流(18)と流れ(3)に組み合わされ、二次圧縮器システム(ハイパー)の注入口に送られる。二次圧縮器システムは、エチレン供給流を十分なレベルに加圧し、高圧管状反応器(反応器)に供給する。この反応器構成においてCTA系補給(新しい)供給を描写する流れ(4)は、ハイパーの注入口(複数可)、段間、または出口に供給され得る。CTA系は、単一または複数のいずれかの構成成分からなってもよく、異なる組成物を含み得る。流れ(6)は、潜在的なコモノマー供給物を表す。コモノマー流れ(6)は、二次圧縮器システムの注入口(複数可)、段間(複数可)、出口(複数可)に、及び/または反応部内に直接、供給され得る。二次圧縮器システムの吐出し温度は、典型的に、60〜100℃の範囲である。第1の反応部へのエチレン供給物は、典型的に、130〜180℃の温度に予熱されるが、側部供給のエチレンは、二次圧縮器システムの吐出し温度で反応器に供給されるか、または反応器への供給前に冷却される。
【0143】
反応器内で、各反応部の注入口で注入及び/または活性化されるフリーラジカル開始系(複数可)の助けを借りて、重合は開始される。各反応部内の最高温度は、各反応部の開始時に、開始系の濃度及び/または供給量を調整することによって設定点で制御される。反応の終了及び複数の冷却ステップを適用させた後、反応混合物を(10)で減圧及び/または冷却し、高圧分離器(HPS)内で分離する。HPSは、反応混合物を、少量のワックス及び/または同伴ポリマーを含むエチレンが豊富な流れ(15)と、ポリマーが豊富な流れ(11)とに分離し、これは、さらなる分離のためにLPSに送られる。エチレン流(15)を冷却し、流れ(17)中で洗浄する。流れ(16)は、不純物及び/または不活性成分を除去するためのパージ流である。LPSで分離されるポリマーは、(12)で更に処理される。LPSで除去されたエチレンは、ブースタに供給され、ここで圧縮中に、溶媒、潤滑油、及び他の構成成分などの凝縮物質が、流れ(14)を通して回収及び除去される。ブースタの出口を、補給エチレン流(1)と合わせ、一次圧縮器によって更に圧縮する。
【0144】
CP4〜CP6及びIP5.1のフロースキーム
図2は、管状反応器を備えるシミュレーシ高圧重合プラント構成の一般化したフロースキームを示す。流れ(1)は、一次によって、ブースタの出口と一緒に流れ(2)へと圧縮される新しいエチレン補給である。一次圧縮器の流れ(2)は、高圧再循環流量(17)と組み合わされて、流れ(18)を形成する。流れ(18)は、流れ(4)及び流れ(19)に分けられる。流れ(19)は流れ(5)となる。流れ(4)及び(5)は、二次圧縮器システムに送られる。コモノマー(流れ6及び7)及び補給CTA(流れ4及び5)は、流れ(4)及び(5)に注入される。二次圧縮器からの吐出し流(9)は、第1(前方)の反応部に送られるが、流れ(8)は、支流としてライン(20)を通って第2の反応部の注入口に送られる。流れ(6)及び/または流れ(7)は、CTA系補給(新しい)供給を描写する。任意に、コモノマー(複数可)は、流れ(6)及び/または(7)を通して供給され得る。CTA補給流(6)及び/または(7)は、二次圧縮器システムの注入口(複数可)、段間(複数可)、出口(複数可)、及び/または反応部の注入口(複数可)に供給され得る。スキームの残りの部分は、
図1の説明に記載される。
【0145】
IP5.2及びIP5.3に使用されたフロースキーム
図3は、エチレンが反応器の前方(流れ9)及び側方(流れ20)に送られる高圧重合を示す。
図3において、一次圧縮器から流入する流れ(2)の新しいエチレンは流れ(4)に送られる。全ての他の残りの流れは、上記の
図2の説明に記載される。
【0146】
CP7〜CP9及びIP8.1のフロースキーム
図4は、エチレンが反応器の前方(流れ9)及び2つの側方注入口(流れ(20)及び流れ(21))に送られる高圧重合を示す。全ての他の残りの流れは、上記の
図2の説明に記載される。
【0147】
IP8.2及びIP10.2のフロースキーム
図5は、管状反応器を備えるシミュレーシ高圧重合反応器システムの一般化したフロースキームを示し、ハイパー圧縮器からの全ての構成成分は、反応器への3つのエチレン系供給流に分割される。流れ(1)は、一次圧縮器によって、ブースタ圧縮器の出口と一緒に流れ(2)へと圧縮される新しいエチレン補給である。流れ(2)は(19)に送られる。流れ(19)は、流れ(19a)に送られ、(19)からの残りのエチレンは、ライン(3a)を通って(19b)に送られる。高圧再循環流(18)は、流れ(19c)に向けられ、(18)からの残りのエチレンは、ライン(3b)を通ってライン(19b)に送られる。流れ(19c)、(19b)、及び(19a)は、二次圧縮器システムによって、反応器の注入口圧力に圧縮され、それぞれ、9、20、及び21を通って第1、第2、及び第3の反応部の注入口に送られる。この反応器構成においてCTA系補給(新しい)供給を描写する流れ(4)は、二次圧縮器システムの圧縮流(19c)の注入口(複数可)、段間、または出口にも供給され得る。CTA系は、単一または複数のいずれかの構成成分からなってもよく、異なる組成物を含み得る。
【0148】
流れ(6)及び流れ(7)は、二次圧縮器システムの注入口(複数可)、段間(複数可)、出口(複数可)にも供給され得る任意のコモノマー供給物を表す。任意に、流れ(4)及び(6)も、(19b)及び/または(19a)に向けられてもよい。二次圧縮器システムの吐出し温度は、典型的に、60〜100℃である。第1の反応部へのエチレン供給物は、典型的に、130〜180℃の温度に予熱されるが、反応器への側部供給に供給されるエチレンは、二次圧縮器システムの吐出し温度で供給されるか、または反応器への供給前に冷却される。反応器システムの全ての他の残りの部分は、
図1に関して上述される。
【0149】
CP10〜CP12、IP10.1、IP11.1、及びIP12.1のフロースキーム
CP10、CP11、CP12、IP10.1、IP11.1、及びIP12.1に使用されたプロセスフロー図を
図6に示す。それは、管状反応器を備えるシミュレーシ高圧重合反応器システムの一般化したフロースキームであり、3つ全てのエチレン系供給流は、分割され、二次圧縮器システム上で分離された状態が保たれる。流れ(1)は、一次圧縮器によって、ブースタ圧縮器の出口と一緒に流れ(2)へと圧縮される新しい(補給)エチレンである。流れ(2)は、高圧再循環からの流れ(17)と組み合わされて、流れ(18)を形成する。新しいCTA系(流れ4)及び任意のコモノマー(流れ5)が流れ(18)に添加されて、流れ(19)を作製してもよい。その後、流れ(19)が流れ(19a)、流れ(19b)、及び流れ(19c)に分割され、この流れ(19a)は、圧縮後に反応器の前方に送られるが、流れ(19b)及び流れ(19c)は、ライン(20)及びライン(21)を通って反応器の側方に送られる。反応器システムの全ての他の残りの部分は、
図2に関して上述される。
【0150】
重合シミュレーション
適用される反応スキーム及び速度での重合シミュレーションモデルは、Gotoらによって記載されている(Goto et al;Journal of Applied Polymer Science:Applied Polymer Symposium,36,21−40,1981(Title:Computer model for commercial high pressure poly−ethylene reactor based on elementary reaction rates obtained experimentally))。他の反応器及び製品のモデル化フレームワークは、Aspen Tech−nology,Inc.Burlington,Massachusetts,USAのASPEN PLUS、及びDr.Wulkow Computing in Technology GmbH(CiT),Rastede,GermanyのPREDICIを通じて入手可能である。これらのモデルフレームワークによって予期されるプロセス及び製品の応答は、反応器パラメータ、適用される反応スキーム、及び速度パラメータによって決定される。適用する反応スキーム及び速度パラメータは、以下に記載される。
【0151】
重合シミュレーションは、上述のGoto,LDPEシミュレーションモデルにより達成された。Gotoらによって使用された速度データは、次の参照文献:K.Yamamoto,M.Sugimoto;Rate constant for long chain−chain branch formation in free−radical polymerization of ethylene;J.Macromol.Science−Chem.,A13(8),pp.1067−1080(1979)に記載されるように、様々な温度、圧力、及びポリマー濃度で行われた、高圧フリーラジカルポリエチレン重合実験から得られた。素反応ステップは、Gotoらによって次のように記載されている:i)エチレンの伝搬、ii)ラジカルの停止、iii)バックバイティングまたはSCB形成、iv)ポリマーの移動またはLCB形成、v)ビニル形成をもたらす第二級ラジカルのベータ脱離、及びvi)ビニリデン形成をもたらす第三級ラジカルのベータ脱離。
【0152】
主反応に対する速度データは、表1に示され、表中、k
oは、前指数または頻度因子であり、Eaは、温度依存を反映する活性化エネルギーであり、ΔVは、圧力依存を反映する活性化体積である。全ての速度定数は、ko、Ea、及びΔV値がバックバイティングの値であり、これらが、圧力及び温度条件の関数として、高圧ポリエチレン中のメチル分岐(C13NMR技法によって分析される)をより反映するために最適化されたことを除いて、Gotoらからである。
【0154】
高圧(注入口圧力≧100MPa)のフリーラジカル重合において、分岐は、次の主反応により形成することができる:a)エチル及びブチル分岐をもたらす分子内反応であるバックバイティング反応、b)アルファ−オレフィンをポリマー分子内に組み込む反応(かかるアルファ−オレフィンは連鎖移動剤として使用される(例えば、プロピレン、1−ブテンなど))、c)ポリマー分岐が停止される前のエチレン挿入の数に依存する炭素長を有するポリマー分岐をもたらすポリマーへの移動を伴う反応。例えば、分子間水素移動は、成長ポリマー分子の停止、及び「死」または不活性ポリマー分子の再活性化をもたらす。ポリマーへの移動を伴う反応に関して(上記の「c」)、理論的には、この反応は、最大1000個及びそれ以上の炭素のエチル及びブチル分岐に変化する分岐長をもたらし得る。この反応によるエチル及びブチル分岐の形成は、非常に低く小さなレベル、典型的に、1000個の炭素当たり0.1未満で生じるのみである。長鎖分岐は、分子間水素移動から形成され(上記の「c」)、最終ポリマーの分子量分布の拡大をもたらす。上記の「b」の反応に関して、アルファ−オレフィンの組み込みは、最終ポリマーの分子量分布の拡大をもたらさない。13C NMRは、C6以上と定義される長鎖分岐(LCB)のレベルを測定するために使用することができるが、NMRスペクトルに対する補正は、より高いアルファ−オレフィンの存在を伴って、または伴わずに作製されたポリマー試料のスペクトルを比較することによって、8個以上の炭素数を有する任意のアルファ−オレフィン(CTA)の存在に関して行われ得る。Gotoら及びYamamotoらによって開発された速度は、温度、圧力、及びポリマー濃度(組み込まれたエチレン単位として表される)などのプロセス条件の関係、分子間水素移動(「ポリマーへの移動」)の速度パラメータ、及び最終ポリマーの分子量分布に対する分子間水素移動のレベルの影響に焦点を当てている。長鎖分岐速度は、温度、圧力、及びポリマー濃度(組み込まれたエチレンの数として表される)の関数である。長鎖分岐頻度は、長鎖分岐速度対エチレン及び/またはコモノマーの伝搬の比率の関数である。表1は、長鎖分岐が伝搬速度よりも高い活性化エネルギーを有し、したがって、長鎖分岐頻度がより高い重合温度によって促進されることを示す。
【0155】
選択されたCTAの速度データが、表2に示される。速度定数は、Mortimerにより決定されたCs値(ks/kp)上の速度定数(以下の参照文献を参照されたい)、及びGotoらによって示されている通りのエチレン伝搬速度(表1を参照されたい)の助けを借りて計算された。
【0157】
そのCTA官能基のそばのプロピレンはコモノマーとしても作用し、追加のメチル分岐をもたらす。これらの追加のメチル分岐は、典型的に、ポリマーの密度を0.001〜0.004g/cc低下させる。更に、コモノマー活性は、反応器周期当たりの全体的な消費レベルを増加させ、これにより、より多くのプロピレンがCTAならびにコモノマーとして消費を補うために添加されなければならない。
【0158】
参照文献:
一般:G.Luft,Chem.−Ing.−Tech.,Hochdruck−Polyaethylen,Vol.51(1979)Nr.10,pages 960−969。Peroxide efficiency: T.van der Molen et al,Ing.Chim.Ital,“Light−off”temperature and consumption of 16 initiators in LDPE production,Vol.18,N.1−2,Feb 1982,pages 7−15。連鎖移動活性及びコモノマー反応性スキームデータは、次に記載されている:P.Ehrlich,G.A.Mortimer,Fundamentals of the free radical polymerization of ethylene,Adv.Polymer Sci.,Vol.7,386−448(1970)、G.Mortimer,Journal of Polymer Science:Part A−1;Chain transfer in ethylene polymerization;Vol.4,p881−900(1966)、G.Mortimer,Journal of Polymer Science:Part A−1,Chain transfer in ethylene polymerization.Part IV.Additional study at 1360 atm and 130°C;Vol.8,p1513−1523(1970)、G.Mortimer,Journal of Polymer Science:Part A−1,Chain transfer in ethylene polymerization.Part V.The effect of temperature;Vol.8,p1535−1542(1970)、G.Mortimer,Journal of Polymer Science: Part A−1,Chain transfer in ethylene polymerization Part V.The effect of pressure,Vol.8,p.1543−1548(1970)、及びG. Mortimer,Journal of Polymer Science:Part A−1,Chain transfer in ethylene polymerization VII.Very reactive and depleteable transfer agents,Vol.10,p163−168(1972)。S.Goto et al;Journal of Applied Polymer Science:Applied Polymer Symposium,36,21−40,1981(Computer model for commercial high pressure polyethylene reactor based on elementary reaction rates obtained experimentally)のLDPEシミュレーションモデルを参照されたい。
【0159】
開始剤系
表3は、温度及び圧力が、活性化エネルギー(Ea)及び活性化体積(ΔV)を介して、伝搬速度及びラジカル停止速度に著しい影響を有することを示す。ペルオキシド効率は、比率
【0161】
の影響を受け、そのため、温度及び/または圧力レベルの上昇とともに増加し、温度及び/または圧力レベルの低下とともに減少する。例えば、Theo van der Molenら(上述の参照文献を参照されたい)は、その論文「Light−off temperature and consumption of 16 initiators in LDPE production」において、高圧LDPE反応器において、ある特定の温度水準に達するまでの開始剤の消費は、操作圧力の影響を強く受けることを示す。このため、開始剤系の量を増加させずに操作圧力を低下させることは、所与の反応器システムに対してより低い最大区域またはピーク温度(複数可)及びより低いモノマー転化レベルをもたらし、逆もまた同様である。
【0163】
管状反応器シミュレーションの詳細
表4及び表5は、本発明及び比較重合の反応器構成及びプロセス条件を示す。メルトインデックスを制御するためにシミュレーションに使用されたCTAの種類は、プロピオンアルデヒド(PA)、プロピレン、及びイソ−ブタンである。PAは10%の転化を伴う0.33の活性(Cs)を有し、プロピレンは、CTA及びコモノマー官能基の両方を有するため(1360atm及び130℃で、Mortimerにより測定される)、0.0122のCs及び20%の仮定転化を有する。シミュレーションに使用されたポリマーのメルトインデックスは、1g/10分及び10g/10分であり、より広いMI範囲に容易に拡大することができる。60メートルトン/時間のエチレン系処理量を用いて(CP2及びCP3の35Mt/時間を除く、データはJP05034422から得た)、320MPa(3200バール)以下の反応器注入口圧力で操作する高圧管状反応器に関して重合をシミュレーションする。ハイパー圧縮器から流入するエチレン系流量は、100/0/0/0(CP1〜CP3、CP1.1、及びCP1.2)、または50/50/0/0(CP4〜CP6、IP5.1、IP5.2、及びIP5.3)、または25/25/50/0(CP7〜CP9、IP8.1、及びIP8.2)、及び33/33/33/0(CP10、CP11、CP12、IP10.1、IP10.2、IP11.1、及びIP12.1)で分割され、これはエチレン系流が完全に前方に送られたか、または反応器の前方及び側方の両方にわたって部分的に分配され得ることを示す。管状反応器構成は、4つ以上の反応部の全長最大数千メートルを構成する。本発明において、反応器長さは、反応器構成により、1300〜1500メートルである。反応器管の内径は、第1の反応部に関しては27mm〜54mmであり、反応器の残りの部分に関しては38mm〜54mmである。反応器の寸法は、約12〜14m/秒の良好なプロセス速度を維持するように選択される。反応器にわたる圧力低下は、全てのシミュレーションに関して約500バールである。全てのシミュレーションにおいて、支流は、反応器に供給される前に40℃に冷却された。
【0164】
複数の単一開始剤の混合物を含む開始剤系は、複数の反応部を創出するように異なる場所で反応器に注入され、このようにして、4つのピーク温度プロファイルを創出し、全体の転化を高める。各ペルオキシドの半減期時間は、表3に列記される。典型的に、Tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPO)及びジ−tert−ブチルペルオキシド(DTBP)の混合物が使用されたが、低い開始及び/または再開温度では、Tert−ブチルペルオキシピバレート(TBPIV)が添加されるか、またはより低いピーク温度(270℃以下)の場合には、DTBPはTert−ブチルペルアセテート(TBPA)に置き換えられた。
【0165】
反応部の冷却または加熱のための水温度は、向流モードで155℃の注入口温度で操作される。代替的に、水温度は、他の一様なまたは一様でない設定で操作されてもよい。冷却部は並流及び/または向流モードで操作され得る。シミュレーションは、150℃の第1の反応部の注入口温度で行われた。
【0166】
形成された最初の40重量%(APT
40%)ポリマー及び形成された最終ポリマーの最後の60重量%(APT
60%)の平均重合温度(APT)の導出
40重量%のポリマー形成が「Tp,Z3,a」によって示される反応器長さL
3,aの反応部3内で達せられると仮定する(
図7を参照されたい)。最終ポリマーの最初の40重量%となるポリマーの量は、(方程式1)において計算される。
M
P40%=0.4×M
生成された総ポリマー[kg/時間] (方程式1)。
【0167】
ポリマー形成のこの量は、第1または第2または第3の反応部のいずれかにおいて達せられ得る。下の計算例において、最終ポリマーの最初の40重量%は、第3の反応部で形成される。
【0168】
反応部3は、Z3,a及びZ3,bと呼ばれる2つの別個の反応部と考えられる。Z3,aは、それぞれ、T
re−int,Z3及びT
P,Z3,aの再開及びピーク温度を有する。その後、T
p,Z3,aは、反応部Z3,bの再開温度となる。
【0169】
プロセスシミュレーションの生成量は、40重量%ポリマー形成点となる正確な温度を明らかにしないが、前のまたは後の場所での温度は得られる。40%ポリマー形成点となる温度は、下の計算に従い、前の及び後のデータ点から計算される。
【0170】
T
p,Z3,aの計算(形成された40重量%ポリマーでの重合温度)
【0172】
(方程式1を支持する実証に関しては
図7を参照されたい)、式中、
【0175】
は、40重量%ポリマー形成より下(前)及び上(後)のポリマー形態の重量%である(
図7において、ちょうど「Tp,3,a」またはL3,aの左側及び右側の場所)。データ点は、プロセスシミュレーション結果から直接得られる。
【0180】
に対応するT
p,Z3,aの左側及び右側の温度[℃]である。反応器長さ(L)での累積生成量は、「M
P,
L」で示される。「L」は、第1の反応部の第1の注入口から反応器の関心の場所までの反応器長さとして定義される。反応部(Zi)の生成量は、「M
P,Zi」で示され、ここで、「i」は、反応部の数を示す。反応部iの終わりでの累積生成量は、「M
P,
L,Zi」で示される。反応部Z3,a及びZ3,bで生成されたポリマーの量は、次の方程式により計算される。
M
P,Z3,a=M
P40%−M
P,Z1−M
P,Z2[kg/時間] (方程式3)、
M
P,Z3,b=M
P,Z3−M
P,Z3,a [kg/時間] (方程式4)。次の反応部(例えば、反応部(i+1)と同様に、次の方程式が適用される。
M
P,Z4=M
P,L4−M
P,Z3,b [kg/時間] (方程式5)、式中、MP,Z1、MP,Z2、MP,Z3、MP,Z3,a、MP,Z3,b、MP,Z4は、それぞれ、反応部1、2、3、3a、3b、及び4で形成されたポリマーの量[kg/時間]である。各反応部(または反応部i)の平均重合温度は、再開及びピーク温度の平均温度である。
【0182】
式中、iは、第1、第2、第3、または第4の反応部である。APT
40%及びAPT
60%は、次の(方程式7)及び(方程式8)において計算される。
【0184】
ΔAPT
(60−40)%=APT
60%−APT
40% [kg/時間] (方程式9)、式中、M
P,Zi,aは、反応部Zi,aにおいて生成されたポリマーの量である。
M
P40%=0.4×M
生成された総ポリマー [kg/時間] (方程式10)。IP8.1に関するAPT
40%、APT
60%、及びΔAPT
(60−40)%の計算の例。
【0185】
プロセスシミュレーション結果は、最終ポリマーの40重量%が反応部3で形成されることを示す。最終ポリマーの約38.8重量%が206℃の温度で形成された。最終ポリマーの約41.8重量%が217℃の温度で形成された。形成されたポリマーの最初の40%の温度は、
【0187】
であり、
M
P40%=0.4×M
P(生成された総ポリマー)=0.4×19128=7651[kg/時間]。反応部Z1において形成されたポリマーの量は、1494[kg/時間]である。反応部(1+2)において形成されたポリマーの量、またはM
P,L, Z2(
図7の反応部2の終わりに形成された累積ポリマーの量)は、4399[kg/時間]である。反応部(1+2+3)において形成されたポリマーまたは反応器の場所L3での累積ポリマー(M
P,L,
Z3)の量は、14388[kg/時間]である。反応部4の終わり(またはこの場合、反応器の終わり)のポリマー形成量は、19128[kg/時間]である。
【0188】
したがって、各関連の反応部分区域において形成されるポリマーの計算量は、次の通りである:M
P,Z3,a=M
P40%−M
P,L,Z2=7651−4399=3253 [kg/時間]、
M
P,Z3,b=M
P,L,Z3−M
P,Z3,a−M
P,L,Z2=14388−3253−4399=6737 [kg/時間]、
M
P,Z4=M
P,L,Z4−M
P,L,Z3=19128−14388=4740[kg/時間]。各反応部の平均重合温度APT
40重量%、APT
60重量%、及びΔAPT
(60−40)%は、次の通りである:
【0190】
正規化された分子量分布(MWD)
分子量分布((dw/dlogM)とlogMとの間の関係を表す)は、重合設計、プロセス開発、改善、及び操作に使用される重要なパラメータである。それは、所望の生成物特性を提供する、生成されるポリマーの種類(狭いまたは広いMWD)を決定するために必要である。正規化されたMWDデータは、ポリマーポピュレーションバランス方程式の解により重合速度(本研究におけるGoto速度)からMWDを構築するために、PREDICIの市販のソフトウェアパッケージ(Dr.M.Wulkow,Computing in Technology,GmbH,Pater−Klbe−Straβe 7,D−26180 Rastede,Germanyにライセンスされる)を使用することによって得ることができる。PREDICIのために必要な入力は、使用されたGoto速度、ならびにモノマー及び/またはコモノマー、開始剤及びCTA流量、温度及び圧力プロファイル、ならびに経過時間であり、これらの全てはプロセスシミュレーションから得ることができる。PREDICIソフトウェアパッケージは、正規化されたMWDデータを生成するために使用することができる。
【0191】
この研究において、各ポリマーのMWDが計算され、その後、(方程式11)に従い、CP1(100/0/0/0)のMWDで正規化された。CP1のシミュレーションされたMWD値は、5.71である。
【0193】
管状反応器の比較重合:CP1、CP1.1、CP1.2、CP2、及びCP3
比較ポリマーCP1、CP1.1、CP1.2、CP2、及びCP3のシミュレーションは、反応器構成100/0/0/0(エチレン系供給流が完全に第1の反応部に送られる)に対して行われた。反応器の内管径は、54mmのものであり、全反応器長さにわたって13.6m/秒の平均プロセス速度をもたらす。CP1、CP1.1、CP1.2のシミュレーションにおいて、反応器注入口圧力及び全体的な転化レベルは、それぞれ、2800バール及び31.9%に維持される。転化レベルは、CP1.1及びCP1.2に示されるように、最後のピーク温度を調整することによって標的レベルに維持される。ほぼ全てのシミュレーションは1g/10分のメルトインデックスを有する生成物に関して行われたが、シミュレーション及び傾向は、異なるメルトインデックス及びCTA種類に容易に拡大することができる。100/0/0/0反応器構成のシミュレーションにおいて、補給及び再循環の全てのCTAは、第1の反応部に供給される。更なる詳細は、表4及び表5に見出すことができる。
【0194】
CP1において、エチレンは、4つの反応部において、290、290、290、及び290℃の高いピーク温度で重合され、最終生成物において、3.13/1000CのLCB含量をもたらす。生成された最初の40%ポリマーの温度(APT
40%)及び最後の60%ポリマー(APT
40%)は、231℃及び272℃であり、42℃のΔAPT
(60−40)%に対応する。
【0195】
正規化された分子量分布(MWD)は、100%である、つまり
【0197】
CP1のMWDは、表6に報告される正規化されたMWD値を計算するために使用される。CP1.1のAPT
40重量%は、CP1よりも非常に低く(つまり、204℃対231℃)、したがって、ΔAPT
(60−40)%は、42℃から77℃に増加する。全体的なLCBレベルが増加し、わずかに広いMWD(103%対100%)をもたらす。APT
40重量%を下げることによって、MWDは狭化されない。同様の結果が、240℃/240℃/318℃/318℃のピーク温度が適用されるCP1.2において観察され、CP1.1の実施例にあるような、同様のAPT
40重量%が得られる。
【0198】
JP05034422に記載される反応器構成及びプロセス条件を使用する更なるシミュレーションが実施され、CP2及びCP3に示される(表4及び5を参照されたい)。これら2つのシミュレーションを使用して、2400バールの低い反応器注入口圧力で狭いMWDポリマーを作製する。より低い第1のピーク温度(CP2において230℃)操作は、反応部において等しい温度で操作する(CP3を参照されたい)よりも高いAPT
40%、高いAPT
60%、高い最終LCBf、ならびに高い転化レベルをもたらすことを示す。これらのシミュレーションの転化レベルは、それぞれ、23.0及び22.6%であることに留意する。
【0199】
管状反応器の比較重合:CP4、CP5、及びCP6
CP4〜CP6は、反応部にわたって50/50/0/0のエチレン供給分配を有する高圧反応器構成を示す。シミュレーションは、1MIを有する生成物に関して、及びCs=0.33を有するCTAを使用して行われた。CP4、CP5、及びCP6において、一次圧縮器から流入する新しいエチレン、及びHPRから流入する再循環さされたエチレンは、両反応器供給流にわたって等しく分配され、反応器に沿って等しいCTA(Z1/Zi=1)供給濃度をもたらす。
【0200】
CP4において、290、290、290、及び290℃のピーク温度、ならびに3200バールの反応器注入口圧力が適用され、104%の正規化されたMWD及び31.9%の転化レベルがもたらされる。反応器注入口圧力を2800バールのレベルに下げることにより、正規化されたMWDは、119%に増加するが、転化レベルを31.9%に維持する(CP5を参照されたい)。CP6は、どのくらいピーク温度が下げられなければならないかを示す、つまり、CP4にあるような、類似する正規化されたMWDレベルに達するために、282、282、282、及び282℃に下げられなければならない。また、LCBf及びAPTに関して、他の特性は、CP4と類似するレベルに留まる(より低い全体的な転化を除く(30.7%対31.9%))。
【0201】
管状反応器の比較重合:CP7〜CP12。
比較CP7〜CP9のプロセス条件及び生成物特性は、25/25/50/0対50/50/0/0のエチレン供給物分配を除き、CP4〜CP6の比較例と非常に類似する。CP7〜CP9において、一次圧縮器から流入する新しいエチレン、及びHPR及びCTA(補給及び再循環)から流入する再循環されたエチレンは、反応器供給流に案分して分配され、反応器に沿って等しいCTA供給濃度をもたらす。更に、CP10〜CP12の実施例は、33/33/33/0反応器構成において等しいエチレン系供給流分配を使用するシミュレーションポリマーのプロセス条件及び特性を示す。反応部へのこの等しい流量分配は、二次圧縮器の第2圧縮段階において3、6、9、12、15などのプランジャを備える二次圧縮器システムに適している。シミュレーションポリマー特性を表6に示す。プロセス条件の詳細情報は、表4及び表5に見出すことができる。
【0207】
本発明の重合IP5.1、IP5.2、IP5.3、IP8.1、IP8.2、IP10.1、IP10.2、IP11.1、及びIP12.1
本発明のポリマーは、異なる反応器構成及び操作条件、ならびに他の重要なプロセスパラメータ、例えば、新しいエチレン及び/または新しいCTA分配を使用してシミュレーションされた(更なる詳細は表4及び表5を参照されたい)。IP5.1、IP5.2、及びIP5.3は、第1のピーク温度を240℃に下げたが、残りのピーク温度は、転化レベルを31.9%に維持するために増加して、2800バールの圧力レベルで実施された。IP5.1において、正規化されたMWDは、第1のピーク温度を下げることにより、119%から102%(IP5.1対CP5)に減少する。CP6において、IP5.1で達成されるように、正規化されたMWDにおいて同様の減少が、ピーク温度を282、282、282、及び282℃に下げることにより得られ、これにより、転化レベルは30.7%に低減される。IP5.1の実施例は、CP6と同じ正規化されたMWDをもたらすが、大幅に高い転化レベル(31.9%対30.7%)でそれをもたらすことに留意することが重要である。更に、反応器の側方への新しいエチレン分配及び/または第1の反応部への新しいCTAの分配を適用することにより、IP5.1の102%と比較して、正規化されたMWDが、それぞれ、83%(IP5.2)及び80%(IP5.3)に更に減少されるが、転化は予想外に31.9%に維持される。シミュレーションポリマーの特性は表6に示される。意外にも、IP5.1、IP5.2、及びIP5.3は各々、各最終ポリマーにおいて最終LCBレベルが類似するにも関わらず、CP5と比較して、より低い正規化されたMWDを示す。更に、APT
40重量%及びΔAPT
(60−40)%レベルは、それぞれ、CP5の対応するレベルよりも大幅に低い及び高い。
【0208】
反応器の側方への2つの異なるエチレン供給流を伴うIP8.1、IP8.2、IP10.1、及びIP10.2に関して、類似する作用が得られた。例えば、IP8.1及びIP8.2は、25/25/50/0エチレン系供給流構成を使用するが、IP10.1及びIP10.2は、33/33/33/0反応器構成を使用する。シミュレーションは、最初の2つのピーク温度として240℃を使用して行われ、最後2つのピーク温度を増加させることにより31.9%の転化を維持する。可能なMWD範囲に対する25/25/50/0及び33/33/33/0反応器構成の影響は、
図8に示されるように、50/50/0/0構成(IP5.1〜IP5.3)の影響よりも更に顕著である(より広い範囲の可能なMWD値)。CTA及びコモノマー活性の両方を有するCTAの種類の影響は、CP11及びIP11.1において研究された。例えば、CTAとして使用されたプロピレンは、コモノマーとしても作用し、よって、生成されたポリマーにおける通常のSCBレベルに加えて、メチル基を創出し、これは、次いで、最終ポリマー密度を低下させる。表7は、メチル及びSCBレベルに対するCTAとしてプロピレンを使用する影響を示す。
【0210】
更なるシミュレーションCP12及びIP12.1は、LCBf、MWD、及びAPT
40重量%などのポリマー特性に対するより高いMI(I2)の影響を研究するために行われた。表6に示されるように、両ポリマーは同じメルトインデックス(10MI)及び類似するLCBf値を有するが、本発明の重合IP12.1は、CP12の116%の正規化されたMWDと比較して、非常に低い89%の正規化されたMWDを有する。これらの結果は、本発明のプロセスが様々なメルトインデックス値の、及び低い正規化されたMWD値を有するポリマーを生成するために使用され得ることを示す。a)第1の反応部により少ないエチレンを送る、b)反応器の側方での供給流の流量及び/もしくは数を増加させる、ならびに/またはc)操作条件を変えることにより、形成された最初の40重量%ポリマーの所望の平均重合温度(APT
40重量%)と組み合わせて各々が管状反応器構成のMWD機能を拡大するために使用され得ると結論付けることができる。
【0211】
生成物特性(正規化されたMWD、LCBf、APT
40重量%、ΔAPT
(60−40)%により表される)に対するエチレン系スプリット比(反応器の前方に送られたエチレンのパーセンテージ)及びプロセス条件(圧力、温度、CTA系の選択、ならびに新しいエチレン及び/または新しいCTAの分配)の影響が検証された。次のことを発見した:(i)APT
40重量%を下げ、ΔAPT
(60−40)%を増加させることにより、全体的なエチレン系供給流が前方反応部及び側方反応部(複数可)に分割される反応器構成の狭いMWD機能を改善する、(ii)本発明の重合は、一定の転化レベルで、前方反応部及び側方反応部(複数可)にわたって全体的なエチレン系供給流の分配を使用する反応器構成で、狭いMWD生成物の生成を可能にする、(iii)一定の転化レベルで、第1及び/または第2のピーク温度を下げ、注入口圧力レベルを維持することにより、正規化されたMWDが狭化される、(iv)異なる反応器条件を適用することにより、例えば、(a)狭いMWD生成物の生成のための本発明のAPT
40重量%の適用及びΔAPT
(60−40)条件の増加、(b)高圧、ならびに低い第1及び/または第2ピーク温度、(c)差別化した新しいエチレン及び新しいCTA分配、(a)と(b)及び/または(c)との組み合わせは、プロセスの狭いMWD機能を拡大する。
【0212】
複数(≧2)のエチレン供給流を用いたLDPEの生成、及び異なる操作条件の適用(
第1、第2、または第3の反応部における低いピーク温度(複数可)を含む)により、一
定の及び/または高い転化レベルで狭いMWDポリマーを生成することが可能となること
が発見された。更に、第1、第2、または第3の反応部において、低いピーク温度(複数
可)を適用する、及び主に反応器の側方に新しいエチレンを分配する、ならびに/または
主に第1及び/もしくは第2の反応部に新しいCTAを分配し、CTA系のCs値を選択
することにより、狭いMWDポリマーが高い転化レベル及び低い操作圧力で生成され得る
ことが意外にも発見された。意外にも、最も狭いMWDポリマーが、全体的なエチレン系
供給物の30〜40モル%が前方反応部に送られる一方で、残りのエチレン系供給物が2
つ以上の反応部に分割される反応器構成で作製され得ることが分かった。より低い反応器
注入口圧力で狭いMWDポリマーを生成する機能は、エネルギー消費に関して、二次圧縮
器システムの最適化、またはプランジャの大きさを拡張する、及び/もしくはシリンダの
大きさを維持することによる、同じエネルギー消費に対する処理量の増加を可能にする。
好ましいエチレン系供給物分配は、二次圧縮器システムの第2圧縮段階のプランジャ(複
数可)の1つ以上の吐出し物を組み合わせ、組み合わせた流れを必要な反応器供給流に送
ることにより達成することができる。絞り弁及びまたはスプリッタ弁の使用は、必要な流
量分配を達成するための別の方法である。
本発明は次の実施態様を含む。
[請求項1]
エチレン系ポリマーを形成するプロセスであって、
少なくとも1つのフリーラジカル開始剤の存在下で、かつ少なくとも3つの反応部及び
少なくとも2つのエチレン供給流を含む反応器構成において、エチレンを含む混合物を重
合することを少なくとも含み、
前記第1の反応部の注入口圧力が、3200バール以下であり、前記第1の反応部に供
給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの量
が、前記重合に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ
以上のCTAの総モルに基づいて、40モル%〜80モル%であり、
形成された最初の40重量%ポリマーの平均重合温度(APT40重量%)(形成され
たポリマーの総量に基づく)が、200℃以下である、プロセス。
[請求項2]
エチレン系ポリマーを形成するプロセスであって、
少なくとも1つのフリーラジカル開始剤の存在下で、かつ少なくとも4つの反応部及び
少なくとも3つのエチレン供給流を含む反応器構成において、エチレンを含む混合物を重
合することを少なくとも含み、
前記第1の反応部の注入口圧力が、3200バール以下であり、前記第1の反応部に供
給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ以上のCTAの量
が、前記重合に供給されるエチレン、及び任意に1つ以上のコモノマー、及び任意に1つ
以上のCTAの総モルに基づいて、20モル%〜70モル%であり、
形成された最初の40重量%ポリマーの平均重合温度(APT40重量%)(形成され
たポリマーの総量に基づく)が、200℃以下である、プロセス。
[請求項3]
形成された最終ポリマーの最後の60重量%(T2)と形成された最終ポリマーの最初
の40重量%(T1)との間の重合温度の差(T2−T1)が、58℃以上である、請求
項1または2に記載のプロセス。
[請求項4]
前記エチレンが、第1の反応部(1)、ならびに2つ以上の後続反応部である区域n及
び区域n+1または区域n+2に供給され(式中、n>1である)、前記エチレンが、新
しいエチレン及び再循環されたエチレンを含み、次の比率:
a)反応部nに関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンのモル
分率」対「反応部n(RZn)に供給される新しいエチレンのモル分率」の比率Rnが、
(Rn=RZ1/RZn)が1以下である、
b)反応部n+1に関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンの
モル分率」対「反応部n+1(RZn+1)に供給される新しいエチレンのモル分率」の
比率Rn+1が、1以下の(Rn+1=RZ1/RZn+1)である、
c)反応部n+2に関して、「第1の反応部(RZ1)に供給される新しいエチレンの
モル分率」対「反応部n+2(RZn+2)に供給される新しいエチレンのモル分率」の
比率Rn+2が、(Rn+2=RZ1/RZn+2)が1以下である、のうちの少なくと
も2つを満たし、
「前記重合プロセスに供給されるエチレンの総量」が、少なくとも1つの新しいエチレ
ン流及び少なくとも1つの再循環されたエチレン流から得られる、先行請求項のいずれか
1項に記載のプロセス。
[請求項5]
前記第1のエチレン供給物が、少なくとも1つのCTAを含み、前記第1のエチレン供
給物における前記CTA系の活性が、各後続のエチレン供給物における前記CTA系の活
性以上である、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
[請求項6]
前記重合が、少なくとも1つの管状反応器中で行われ、前記反応器への各エチレン供給
物は、二次圧縮器システムの第2圧縮段階からの1つ以上の吐出し流から発生する、先行
請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
[請求項7]
前記二次圧縮器システムの前記第2圧縮段階からの前記吐出し流が、少なくとも2つの
反応器部供給流内に組み込まれる、請求項6に記載のプロセス。
[請求項8]
各エチレン供給物が、前記二次圧縮器システムの前記第2圧縮段階からの1つ以上のプ
ランジャから発生した吐出し流を受容し、各エチレン供給物が、同じモル量のエチレン系
供給構成成分を含む、請求項6または請求項7のいずれか1項に記載のプロセス。
[請求項9]
前記第1の反応部に供給される前記エチレン系供給流が、前記重合に供給される総エチ
レンの30〜40モル%である、請求項2〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
[請求項10]
前記エチレン系ポリマーが、LDPEである、先行請求項のいずれか1項に記載のプロ
セス。