(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多官能オリゴマーは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、および、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のモデル材用樹脂組成物。
前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、25重量部以上である、請求項1〜3のいずれか一つに記載のモデル材用樹脂組成物。
インクジェット光造形法により光造形品を製造する方法であって、請求項1〜4のいずれか一つに記載のモデル材用樹脂組成物を光硬化させてモデル材を得るとともに、サポート材用樹脂組成物を光硬化させてサポート材を得る工程(I)と、前記サポート材を除去する工程(II)と、を有する、光造形品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光硬化性樹脂組成物を用いて造形される、ゴムのような柔軟性を有する光造形品は、ある程度曲げると割れるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れることがない光造形品を得るためのモデル材用樹脂組成物、および、該モデル材用樹脂組成物を用いて造形される光造形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題について種々検討を行ったところ、単官能モノマーとして所定の(メタ)アクリレートモノマーと、オリゴマーとして多官能オリゴマーとを含み、かつ、その含有量を所定の範囲にすることにより、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品が、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れないことを見出した。
【0009】
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕インクジェット光造形法によりモデル材を造形するために使用され、かつ、光硬化成分として単官能モノマー(A)とオリゴマー(B)とを含有するモデル材用樹脂組成物であって、
樹脂組成物全体100重量部に対して、
前記(A)成分として、20〜90重量部の下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーを含み、かつ、
前記(B)成分として、5重量部以上の多官能オリゴマーを含み、
さらに、光硬化成分として多官能モノマー(C)を含まないか、または、樹脂組成物全体100重量部に対して、15重量部以下含有する、モデル材用樹脂組成物。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。
【0014】
前記モデル材用樹脂組成物は、単官能モノマー(A)として、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーを20〜90重量部含有する。前記一般式(1)および前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、硬化物の柔軟性を向上させる。前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が20重量部未満であると、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品が、曲げた際に割れやすくなる。また、前記モデル材用樹脂組成物とサポート材用樹脂組成物とを用いて光造形品を造形する際、前記モデル材用樹脂組成物と前記サポート材用樹脂組成物との界面でブリーディングが起こりやすくなる。一方、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が90重量部を超えると、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品の表面硬化性が低下する。また、モデル材用樹脂組成物の粘性が増加することにより、前記光造形品の表面タックが大きくなる。その結果、前記光造形品は、形状を維持できなくなる。
【0015】
前記モデル材用樹脂組成物は、オリゴマー(B)として、5重量部以上の多官能オリゴマーを含有する。多官能オリゴマーは、硬化物の柔軟性を向上させる成分である。多官能オリゴマーの含有量が5重量部未満であると、前記光造形品の柔軟性が劣り、かつ、表面タックを抑えられない。
【0016】
前記モデル材用樹脂組成物は、多官能モノマー(C)を含まないか、または、樹脂組成物全体100重量部に対して、15重量部以下含有する。そのため、前記光造形品は、表面タックを抑えることができる。しかしながら、前記(C)成分の含有量が15重量部を超えると、三次元的架橋が多くなるため、前記光造形品は柔軟性を失う。その結果、前記光造形品は、曲げた際に割れやすくなる。したがって、前記(C)成分が含有される場合、その含有量は、15重量部以下とする。
【0017】
従来のモデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品は、モノマー成分の含有量が多いため、柔軟性を高めようとすると、表面タックが大きくなるという問題があった。しかしながら、前記〔1〕に記載のモデル材用樹脂組成物は、反応性および硬化性に優れるオリゴマー(B)を含有するため、前記光造形品の表面タックを抑えることができる。
【0018】
〔2〕前記多官能オリゴマーは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、および、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される1種以上である、前記〔1〕に記載のモデル材用樹脂組成物。
【0019】
前記多官能オリゴマーがウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、および、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される1種以上であると、前記光造形品は、曲げても、より割れにくくなる。
【0020】
〔3〕前記(B)成分は、ヒドロキシル基またはアミノ基を有し、
前記光硬化成分の総量における前記ヒドロキシル基および前記アミノ基の合計モル分率は、5.0%未満である、前記〔1〕または〔2〕に記載のモデル材用樹脂組成物。
【0021】
前記合計モル分率が5.0%未満であると、前記光造形品は、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れにくくなる。一方、前記合計モル分率が5.0%以上であると、前記(B)成分同士の凝集力が高くなるため、前記光造形品を曲げた際、局所的に応力が作用する曲げ部分にひび割れが発生しやすくなる。
【0022】
〔4〕前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、25重量部以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか一つに記載のモデル材用樹脂組成物。
【0023】
前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が25重量部以上であると、前記モデル材用樹脂組成物とサポート材用樹脂組成物とを用いて光造形品を造形する際、前記モデル材用樹脂組成物と前記サポート材用樹脂組成物との界面でブリーディングがより起こりにくくなる。
【0024】
〔5〕インクジェット光造形法により光造形品を製造する方法であって、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一つに記載のモデル材用樹脂組成物を光硬化させてモデル材を得るとともに、サポート材用樹脂組成物を光硬化させてサポート材を得る工程(I)と、前記サポート材を除去する工程(II)と、を有する、光造形品の製造方法。
【0025】
前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一つに記載のモデル材用樹脂組成物を用いることにより、曲げても割れにくい光造形品を好適に製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れることがない光造形品を得るためのモデル材用樹脂組成物、および、該モデル材用樹脂組成物を用いて造形される光造形品の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態ともいう)について詳しく説明する。本発明は、以下の内容に限定されるものではない。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称であり、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味するものである。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」についても同様である。
【0029】
1.モデル材用樹脂組成物
本実施形態に係るモデル材用樹脂組成物は、インクジェット光造形法によりモデル材を造形するために使用され、かつ、光硬化成分として単官能モノマー(A)とオリゴマー(B)とを含有し、樹脂組成物全体100重量部に対して、前記(A)成分として、20〜90重量部の下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーを含み、かつ、前記(B)成分として、5重量部以上の多官能オリゴマーを含み、さらに、光硬化成分として多官能モノマー(C)を含まないか、または、樹脂組成物全体100重量部に対して、15重量部以下含有する。
【0032】
式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。
【0033】
<単官能モノマー(A)>
単官能モノマー(A)は、エネルギー線により硬化する特性を有する光硬化成分であり、前記モデル材用樹脂組成物に必ず含有される。前記(A)成分は、樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜90重量部の前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーを含む。前記一般式(1)および前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、硬化物の柔軟性を向上させる成分である。
【0034】
前記一般式(1)および(2)中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。炭素原子数1〜3の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0035】
前記一般式(1)および(2)で表わされる(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分子量が低く、かつ、モデル材用樹脂組成物を低粘度に維持する観点から、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートであることが好ましい。
【0036】
前記一般式(1)および(2)で表わされる(メタ)アクリレートモノマー以外の前記(A)成分としては、例えば、炭素原子数4〜30の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等〕、炭素原子数6〜20の脂環含有(メタ)アクリレート〔例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等〕、炭素原子数5〜20の複素環含有(メタ)アクリレート〔例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート等〕等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して20〜90重量部である。前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が20重量部未満であると、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品が、曲げた際に割れやすくなる。また、前記モデル材用樹脂組成物とサポート材用樹脂組成物とを用いて光造形品を造形する際、前記モデル材用樹脂組成物と前記サポート材用樹脂組成物との界面でブリーディングが起こりやすくなる。一方、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が90重量部を超えると、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品の表面硬化性が低下する。また、モデル材用樹脂組成物の粘性が増加することにより、前記光造形品の表面タックが大きくなる。その結果、前記光造形品は、形状を維持できなくなる。前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、25重量部以上であることが好ましく、75重量部以下であることが好ましい。なお、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーが2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(メタ)アクリレートモノマーの含有量の合計として定める。
【0038】
<オリゴマー(B)>
オリゴマー(B)は、エネルギー線により硬化する特性を有する光硬化成分であり、前記モデル材用樹脂組成物に必ず含有される。前記(B)成分は、5重量部以上の多官能オリゴマーを含む。
【0039】
前記多官能オリゴマーは、前記光造形品を曲げても、より割れにくくする観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、および、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーから選択される1種以上であることが好ましい。これらの中でも、材料選択の幅が広く、様々な特性を有する材料を選択できる観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであることがより好ましい。
【0040】
前記多官能オリゴマーの含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、5重量部以上である。前記多官能オリゴマーの含有量が5重量部未満であると、前記光造形品の柔軟性が劣り、かつ、表面タックを抑えられない。一方、前記多官能オリゴマーの含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましい。前記多官能オリゴマーの含有量が30重量部を超えると、モデル材用樹脂組成物を低粘度に維持できない場合がある。前記多官能オリゴマーの含有量は、10重量部以上であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましい。なお、前記多官能オリゴマーが2種以上含まれる場合、前記含有量は、各多官能オリゴマーの含有量の合計として定める。
【0041】
前記(B)成分は、ヒドロキシル基またはアミノ基を有することが好ましい。なお、ヒドロキシル基とは、アルコール性ヒドロキシル基だけでなく、カルボキシル基等も含まれる。また、アミノ基とは、通常のアミノ基だけでなく、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合等も含まれる。
【0042】
前記(B)成分は、前記光硬化成分の総量における前記ヒドロキシル基および前記アミノ基の合計モル分率が5.0%未満であることが好ましい。前記合計モル分率が5.0%未満であると、前記光造形品は、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れにくくなる。一方、前記合計モル分率が5.0%以上であると、前記(B)成分同士の凝集力が高くなるため、前記光造形品を曲げた際、局所的に応力が作用する曲げ部分にひび割れが発生しやすくなる。前記合計モル分率は、4.8%以下であることがより好ましい。また、前記合計モル分率は、曲げても割れにくくする観点から、0.5%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。
【0043】
なお、本明細書中において「オリゴマー」とは、重量平均分子量Mwが1,000〜10,000のものをいう。より好ましくは、重量平均分子量Mwの下限値が1,000を超えるものをいう。重量平均分子量Mwは、GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0044】
<多官能モノマー(C)>
多官能モノマー(C)は、エネルギー線により硬化する特性を有する光硬化成分であり、前記モデル材用樹脂組成物に含まれていてもよい。
【0045】
前記(C)成分としては、例えば、炭素原子数10〜25の直鎖または分岐のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート〔例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等〕、炭素数10〜30の脂環含有ジ(メタ)アクリレート〔例えば、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等〕等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モデル材用樹脂組成物を低粘度に維持し、かつ、光造形品の硬化性を向上させる観点から、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、または、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0046】
前記モデル材用樹脂組成物に前記(C)成分が含まれる場合、その含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、15重量部以下である。そのため、前記光造形品は、表面タックを抑えることができる。しかしながら、前記(C)成分の含有量が15重量部を超えると、三次元的架橋が多くなるため、前記光造形品は柔軟性を失う。その結果、前記光造形品は、曲げた際に割れやすくなる。前記(C)成分の含有量は、5重量部以下であることが好ましい。一方、前記(C)成分の含有量は、2重量部以上であることが好ましい。前記(C)成分の含有量が2重量部未満であると、光造形品の表面タックを抑えられない場合がある。なお、前記(C)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(C)成分の含有量の合計として定める。
【0047】
モデル材用樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、光重合開始剤、保存安定化剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
【0048】
光重合開始剤は、紫外線、近紫外線または可視光領域の波長の光を照射するとラジカル反応を促進する化合物であれば、特に限定されない。前記成分としては、例えば、炭素原子数14〜18のベンゾイン化合物〔例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等〕、炭素原子数8〜18のアセトフェノン化合物〔例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等〕、炭素原子数14〜19のアントラキノン化合物〔例えば、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等〕、炭素原子数13〜17のチオキサントン化合物〔例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等〕、炭素原子数16〜17のケタール化合物〔例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等〕、炭素原子数13〜21のベンゾフェノン化合物〔例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等〕、炭素原子数22〜28のアシルフォスフィンオキサイド化合物〔例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド〕、これらの化合物の混合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる光造形品が黄変しにくいという耐光性の観点から、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドであることが好ましい。また、入手可能なアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、例えば、BASF社製のDAROCURE TPO等が挙げられる。
【0049】
前記光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、3〜15重量部である。前記光重合開始剤の含有量が3重量部未満であると、未反応の重合成分が増加するため、光造形品の硬化性が充分でない場合がある。一方、前記光重合開始剤の含有量が15重量部を超えると、未反応の光重合開始剤が残存し、光造形品が黄変する場合がある。なお、前記光重合開始剤が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各光重合開始剤の含有量の合計として定める。
【0050】
保存安定化剤は、樹脂組成物の保存安定性を高めることができる。また、熱エネルギーにより重合性化合物が重合することで生じるヘッド詰まりを防止することができる。これらの効果を得るため、前記保存安定化剤の含有量は、樹脂組成物全体100重量部に対して、0.05〜3.0重量部であることが好ましい。
【0051】
前記保存安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的には、ハイドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、IRGASTAB UV-10、IRGASTAB UV-22、FIRSTCURE ST−1(ALBEMARLE社製)、t−ブチルカテコール、ピロガロール、BASF社製のTINUVIN 111 FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 292、TINUVIN XP40、TINUVIN XP60、TINUVIN 400等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記保存安定化剤が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各前記保存安定化剤の含有量の合計として定める。
【0052】
本実施形態に係るモデル材用樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、例えば、前記(A)および(B)成分、ならびに、必要により、前記(C)成分、および、その他の添加剤を、混合攪拌装置等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
【0053】
このようにして製造された本実施形態に係るモデル材用樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、25℃における粘度が、3mPa・s以上、110mPa・s以下であることが好ましく、100mPa・s以下であることがより好ましい。なお、モデル材用樹脂組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行うことができる。
【0054】
2.サポート材用樹脂組成物
インクジェット光造形法において、中空形状などの複雑な形状を有する光造形品を造形する場合には、本実施形態に係るモデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られるモデル材を支えるために、該モデル材とサポート材とを組み合わせて、光造形品を造形してもよい。サポート材は、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られる。モデル材を作成した後は、サポート材を、物理的に剥離することにより、または、有機溶媒もしくは水に溶解させることにより、除去することができる。
【0055】
サポート材用樹脂組成物は、例えば、水溶性単官能エチレン性不飽和単量体、ならびに、オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコールを含有する。
【0056】
<水溶性単官能エチレン性不飽和単量体>
水溶性単官能エチレン性不飽和単量体は、エネルギー線により硬化する特性を有する分子内にエチレン性二重結合を1個有する水溶性の重合性モノマーである。水溶性単官能エチレン性不飽和単量体としては、例えば、炭素原子数5〜15の水酸基含有(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等〕、Mn200〜1,000の水酸基含有(メタ)アクリレート〔ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(炭素原子数1〜4)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(炭素原子数1〜4)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、PEG−PPGブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等〕、炭素原子数3〜15の(メタ)アクリルアミド誘導体〔(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等〕、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
水溶性単官能エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用樹脂組成物の硬化性を向上させ、かつ、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られるサポート材をすばやく水に溶解させる観点から、樹脂組成物全体100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましく、25重量部以上であることがより好ましい。また、50重量部以下であることが好ましく、45重量部以下であることがより好ましい。なお、水溶性単官能エチレン性不飽和単量体が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各水溶性単官能エチレン性不飽和単量体の含有量の合計として定める。
【0058】
<オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコール>
オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコールは、活性水素化合物に少なくともエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドが付加したものである。前記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。活性水素化合物としては、1〜4価アルコール、アミン化合物等が挙げられる。これらの中でも、2価アルコールまたは水であることが好ましい。
【0059】
前記ポリアルキレングリコールの含有量は、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られるサポート材の水への溶解性を高める観点から、樹脂組成物全体100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましく、25重量部以上であることがより好ましい。また、49重量部以下であることが好ましく、45重量部以下であることがより好ましい。なお、前記ポリアルキレングリコールが2種以上含まれる場合、前記含有量は、各ポリアルキレングリコールの含有量の合計として定める。
【0060】
前記ポリアルキレングリコールの数平均分子量Mnは、100〜5,000であることが好ましい。前記ポリアルキレングリコールのMnが前記範囲内であると、光硬化前の前記ポリアルキレングリコールと相溶し、かつ、光硬化後の前記ポリアルキレングリコールと相溶しない。その結果、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られるサポート材の自立性を高め、かつ、該サポート材の水への溶解性を高めることができる。前記ポリアルキレングリコールのMnは、200〜3,000であることがより好ましく、400〜2,000であることがさらに好ましい。
【0061】
サポート材用樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、光硬化剤、水溶性有機溶剤、酸化防止剤、着色剤、顔料分散剤、保存安定化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
【0062】
前記サポート材用樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、前記水溶性単官能エチレン性不飽和単量体、前記ポリアルキレングリコール、および、必要により、その他の添加剤を、混合攪拌装置等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
【0063】
このようにして製造されたサポート材用樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、25℃における粘度が、100mPa・s以下であることが好ましい。なお、サポート材用樹脂組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行うことができる。
【0064】
3.光造形品およびその製造方法
光造形品は、インクジェット光造形法により、本実施形態に係るモデル材用樹脂組成物を光硬化させてモデル材を得るとともに、サポート材用樹脂組成物を光硬化させてサポート材を得る工程(I)と、前記サポート材を除去する工程(II)とを経て製造される。前記工程(I)および前記工程(II)は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により行われる。
【0065】
<工程(I)>
図1は、本実施形態に係る光造形品の製造方法における工程(I)を模式的に示す図である。
図1に示すように、三次元造形装置1は、インクジェットヘッドモジュール2および造形テーブル3を含む。インクジェットヘッドモジュール2は、モデル材用樹脂組成物4aを充填したモデル材用インクジェットヘッド21と、サポート材用樹脂組成物5aを充填したサポート材用インクジェットヘッド22と、ローラー23と、光源24とを有する。
【0066】
まず、インクジェットヘッドモジュール2を
図1中の造形テーブル3に対して相対的に、X方向およびY方向に走査させるとともに、モデル材用インクジェットヘッド21からモデル材用樹脂組成物4aを吐出させ、かつ、サポート材用インクジェットヘッド22からサポート材用樹脂組成物を吐出させることにより、モデル材用樹脂組成物とサポート材用樹脂組成物5aとからなる樹脂組成物層を形成する。そして、前記樹脂組成物層の上面を平滑にするために、ローラー23を用いて、余分なモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物を除去する。そして、これらの樹脂組成物に、光源24を用いて光を照射することにより、造形テーブル3上に、モデル材4およびサポート材5からなる硬化層を形成する。
【0067】
次に、造形テーブル3を、前記硬化層の厚み分だけ、
図1中のZ方向に降下させる。その後、上述と同様の方法で、前記硬化層の上にさらにモデル材4およびサポート材5からなる硬化層を形成する。これらの工程を繰返し行うことにより、モデル材4およびサポート材5からなる硬化物6を作製する。
【0068】
樹脂組成物を硬化させる光としては、例えば、遠赤外線、赤外線、可視光線、近紫外線、紫外線等が挙げられる。これらの中でも、硬化作業の容易性および効率性の観点から、近紫外線または紫外線であることが好ましい。
【0069】
光源24としては、ランプ方式、LED方式等が挙げられる。これらの中でも、設備を小型化することができ、かつ、消費電力が小さいという観点から、LED方式であることが好ましい。
【0070】
<工程(II)>
図2は、本実施形態に係る光造形品の製造方法における工程(II)を模式的に示す図である。工程(I)で作製したモデル材4およびサポート材5からなる硬化物6は、容器7に入れた溶媒8中に浸漬させる。これにより、
図2に示すように、サポート材5を溶媒8に溶解させて、除去することができる。
【0071】
サポート材を溶解させる溶媒8としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、井戸水等が挙げられる。これらの中でも、不純物が比較的少なく、かつ、安価に入手できるという観点から、イオン交換水であることが好ましい。
【0072】
以上の工程により得られた光造形品は、本実施形態に係るモデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られる。よって、該光造形品は、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れることがない。
【0073】
以下、本実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0074】
(モデル材用樹脂組成物の製造)
表1に示す配合で、(A)〜(C)成分、および、光重合開始剤を、混合攪拌装置を用いて均一に混合し、実施例1〜14および比較例1〜5のモデル材用樹脂組成物を製造した。そして、これらのモデル材用樹脂組成物を用いて、以下の評価を行った。
【0075】
【表1】
【0076】
V#200:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(大阪有機化学工業社製)
MEDOL−10:(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート[大阪有機化学工業社製]
SR420:3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート[サトーマー社製]
SR217:t−ブチルシクロヘキシルアクリレート[サトーマー社製]
SR440:イソオクチルアクリレート[サトーマー社製]
Ebe230:ウレタンアクリレートオリゴマー[Ebe230(エチレン性二重結合/1分子:2個)、Mw=5000、ダイセル・オルネクス社製]
CN966J75:ウレタンアクリレートオリゴマー[CN966J75(エチレン性二重結合/1分子:2個)、Mw=3000、水素結合成分/1分子:4個(イソボルニルアクリレート(25%)で希釈されたウレタンアクリレート(75%)、アルケマ社製]
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート[SR306(エチレン性二重結合/1分子:2個)、アルケマ社製]
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド[DAROCURE TPO、BASF社製]
【0077】
(粘度の測定)
実施例1〜14および比較例1〜5のモデル材用樹脂組成物の粘度は、R100型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃、コーン回転数5rpmの条件下で測定した。結果を表2に示す。
【0078】
(サンプル作製)
シリコンゴムシート(厚さ:3mm、アズワン社製)を76mm×52mmの長方形に切り取った後、該長方形の中心部分から、56mm×32mmの長方形をくり抜くことにより、長方形の枠を作製した。該長方形の枠を、56mm×32mmのガラス板(S9224、松浪硝子工業社製)の上に圧着して貼り付けることにより、型を作製した。前記型の枠内に、実施例1〜14および比較例1〜5のモデル材用樹脂組成物をそれぞれ5.5g流し入れ、紫外線照射装置(メタルハライドランプ、照射光量:500mJ/cm
2)を用いて照射した。さらに、室温まで充分に冷却した後、硬化物を型から外すことにより、実施例1〜14および比較例1〜5の評価用サンプルを作製した。前記評価用サンプルを用いて、以下の曲げ性および表面タックの評価を行った。
【0079】
(曲げ性の評価)
実施例1〜14および比較例1〜5の評価用サンプルを、φ5mmの丸棒に巻きつけた。そして、下記の評価基準により、曲げ性を評価した。なお、比較例5の評価用サンプルは、形状が維持できなかったため、曲げ性の評価を行わなかった。
○:巻きつけて30秒以上経過しても、割れが発生しなかった。
△:巻きつけた直後は割れが発生しないが、巻きつけて30秒後には割れが発生した。
×:巻きつけた際に、割れが発生した。
【0080】
(表面タックの評価)
実施例1〜14および比較例1〜5の評価用サンプルに指を押し付け、下記の基準により、表面タックを評価した。
○:タック感が無く、指を押し付けても指紋跡がほとんど残らない。
△:ややタック感があり、指を押し付けると指紋跡が残る。
×:タック感があり、指を押し付けると指の跡が残る。
【0081】
(ブリーディングの評価)
まず、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(A4300、東洋紡社製、100mm×150mm×厚さ188μm)上に、実施例1〜14および比較例1〜5のモデル材用樹脂組成物と、下記に示す組成のサポート材用樹脂組成物とを、マイクロピペットを用いて、各0.02mL滴下した。この際、モデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、それぞれの液滴の中心部同士の距離が10mmであり、かつ、それぞれの液滴は独立していた。その後、それぞれの液滴は徐々に濡れ広がり、約10秒後にそれぞれの液滴が結合した。この際、それぞれの液滴の界面の状態を上方から目視により観察し、下記の基準においてブリーディングを評価した。結果を表2に示す。
○:モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面が上面視で直線状になり、ブリーディングを起こさなかった。
△:モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、わずかなにじみが生じた。
×:モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、にじみが生じた。
【0082】
前記サポート材用樹脂組成物は、25重量部のACMOと、45重量部のPPG−1000と、21.6重量部のMTGと、8重量部のTPOと、0.1重量部のTEGO−Rad2100と、0.3重量部のH−TEMPOとを含有する。
ACMO:アクリロイルモルフォリン[ACMO(エチレン性二重結合/1分子:1個)、KJケミカルズ社製]
PPG−1000:ポリプロピレングリコール[ユニオールD1000(分子量1000)、日油社製]
MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル[MTG、日本乳化剤社製]
TEGO−Rad2100:ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコンアクリレート[TEGO−Rad2100、エボニック デグサ ジャパン社製]
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド[DAROCURE TPO、BASF社製]
H-TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル[HYDROXY−TEMPO、エボニック デグサ ジャパン社製]
【0083】
【表2】
【0084】
表2の結果から分かるように、本発明の要件をすべて満たす実施例1〜14のモデル材用樹脂組成物およびその硬化物は、粘度、曲げ性、表面タックおよびブリーディングの評価がすべて良好であった。すなわち、実施例1〜14のモデル材用樹脂組成物の硬化物は、柔軟性を有し、かつ、曲げても割れることがない。
【0085】
一方、比較例1および2のモデル材用樹脂組成物は、単官能モノマー(A)として、前記一般式(1)または(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーを含まない。また、比較例3のモデル材用樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が20重量部未満である。そのため、比較例1〜3の評価用サンプルは、巻きつけた直後は割れが発生しないが、巻きつけて30秒後には割れが発生した。また、比較例1〜3のモデル材用樹脂組成物とサポート材用樹脂組成物との界面では、ブリーディングが起こった。さらに、比較例3の評価用サンプルは、表面タックが大きかった。
【0086】
比較例4のモデル材用樹脂組成物は、多官能モノマー(C)の含有量が15重量部を超える。そのため、比較例4の評価用サンプルは、巻きつけた際に、割れが発生した。
【0087】
比較例5のモデル材用樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートモノマーの含有量が90重量部を超え、かつ、多官能オリゴマーの含有量が5重量部未満である。そのため、比較例5の評価用サンプルは、表面タックが大きすぎて、形状を維持できなかった。