(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937314
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】ブロー成形プラスチック容器のための装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/48 20060101AFI20210909BHJP
B29C 49/28 20060101ALI20210909BHJP
B29C 33/10 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
B29C49/48
B29C49/28
B29C33/10
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-544544(P2018-544544)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公表番号】特表2019-506316(P2019-506316A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2017054235
(87)【国際公開番号】WO2017144615
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2020年1月28日
(31)【優先権主張番号】102016000018800
(32)【優先日】2016年2月24日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516023722
【氏名又は名称】サクミ・イモラ・ソシエタ・コーペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI IMOLA S.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パッリネッロ,フィオレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ロッソ,アレッサンドロ
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−077834(JP,A)
【文献】
特開平07−323471(JP,A)
【文献】
特開平04−347622(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0287242(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第105189084(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/48
B29C 49/28
B29C 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形プラスチック容器のための装置であって、プラスチック容器を形成するための少なくとも1つの成形キャビティを規定する少なくとも1つのブロー成形ステーションを備え、前記ブロー成形ステーションは、2つの側方体と、前記ブロー成形ステーションによって規定される各形成キャビティに対する底部(1)とを備え、前記底部(1)は、それぞれの前記形成キャビティの延伸軸(100)の周りに延在する環状部分を規定する、前記底部の外側本体(2)と、少なくとも部分的に前記環状部分の内側に収容されることができる内部本体(3)と、前記内部本体(3)の外側面(3a)と前記環状部分の内面(2b)との間に、前記延伸軸(100)のまわりに延在し、第1の空気排出手段に接続される少なくとも1つの空気排出口(4)と、を備え、前記内部本体(3)は、前記延伸軸(100)に沿って前記環状部分に対して、指示に応じて調整可能に移動可能であることを特徴とする、ブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項2】
前記排出口(4)は、前記延伸軸(100)のまわりに延在する閉ループ内の連続する延伸部を有することを特徴とする、請求項1に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項3】
前記環状部分の前記内面(2b)は、実質的に円筒形の延伸部を有し、前記第1の空気排出手段は、前記環状部分の前記内面(2b)において開口する複数の第1の排出チャネル(7)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項4】
前記第1の排出チャネル(7)は、前記延伸軸(100)に対して径方向に実質的に延在し、互いに角度的に離間されていることを特徴とする、請求項3に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項5】
前記外側本体(2)は、前記キャビティの側方領域(11)および前記側方領域(11)と連続して配置される前記キャビティの底部領域(12)を規定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項6】
前記内部本体(3)の位置を前記延伸軸(100)に沿って前記環状部分に対して調整するための操縦体を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項7】
前記底部(1)は、複数の径方向隆起(6)を規定することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項8】
前記径方向隆起(6)は、それぞれ前記外側本体(2)上に規定される第1の隆起部(6a)および前記内部本体(3)上に規定される第2の隆起部(6b)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項9】
前記底部(1)は、第2の空気排出チャネル(5)を規定することを特徴とする、請求項8に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【請求項10】
前記第2の空気排出チャネル(5)は、前記外側本体(2)上に規定され、前記第1の隆起部(6a)の縁部に近接して開口することを特徴とする、請求項9に記載のブロー成形プラスチック容器のための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形プラスチック容器のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的に、そのようなブロー成形プラスチック容器ための装置は、容器を形成するために、1つまたは複数の成形キャビティを規定するブロー成形ステーションを備える。
【0003】
特に、ブロー成形ステーションは、2つの側方体、およびブロー成形ステーションによって規定される各形成キャビティに対するそれぞれの底部を備える。
【0004】
予備成形または複数の予備成形が供給されることができ、ブロー成形された容器が排出されることができる開状態から、容器を取得するために予備成形のブロー成形が実施される閉状態の、形成ステーションの遷移を可能とするために、少なくとも1つの側方体は、底部はそのままで、循環する開閉手段を用いて指示に応じて移動可能である。
【0005】
ブロー成形動作中に、空気が容器の正しい形成を妨げるので、この空気を型から排出することが必要である。
【0006】
そのような排出は、通常、型へと続く空気排出ダクトを提供することによって達成される。
【0007】
そのような解決策は、概念的に有効な一方で、いくつかの欠点を有する。
特に、空気の排出の有効性および速度は、排出ダクトの穴の面積の和に対応するいわゆる合計排気断面積に比例する。
【0008】
この理由のため多くの数の排出ダクトを有することが好ましいが、構造上の理由のため冷却回路を遮断することなくそれらが必要とされる場所にそれらを位置決めることは、常に可能とは限らない。
【0009】
成形の品質を妥協することなく合計排気断面積を増加させるために、Comepの名前で仏国特許出願第2947755号において1つの解決策が提示されており、これは、底部を2つの部分で提供することを要する。
【0010】
特に、2つの部分は、径方向に延在する複数のくぼみを規定し互いに角度的に離間された環状の外側本体、および対応するくぼみを係合するように設計される複数の相補的形状の突出された部分を有する内部本体を備える。
【0011】
内部本体は、そのため、1つまたは複数の空気排出ダクトに接続される、底部の軸の周りに延在する環状の排出口が2つの本体間に設けられるように、外側本体に対して固定される。
【0012】
そのような解決策は、概念的には有効なものの、いくつかの欠点を有する。
まず、設計段階において、成形されるべき容器の形状の関数として、内部本体と外側本体との間の対応する最適な位置決めが検討されることを要するということに留意すべきである。
【0013】
このことは、取得されるべき容器の内部容量をわずかにでも削減または増加させることが必要となった場合に、底部がさらに再設計されることを要するので、上述の解決策の使用の柔軟性をかなり低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、著しく簡便でより実用的に使用されるブロー成形プラスチック容器のための装置を提供することによって、上述の問題を解決し欠点を克服することである。
【0015】
この目的において、本発明の目的は、ブロー成形動作中に空気を極めて効果的に排出することを可能とするブロー成形プラスチック容器のための装置を利用可能とすることである。
【0016】
本発明の別の目的は、底部を再設計または再配置することなく、取得されるべき容器の内部容量を削減または増加させることを可能とするブロー成形プラスチック容器のための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下で明らかになるであろうこの目的およびこれらおよび他の目的は、請求項1に係るブロー成形プラスチック容器のための装置によって達成される。
【0018】
本発明のさらなる特性および利点は、添付図面において非限定的例として図示される、本発明に係るブロー成形プラスチック容器のための装置のいくつかの好ましいが非排他的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】中央本体が外側本体に対して3つの異なる位置に配置された、本発明に係る底部の断面図である。
【
図3】中央本体が外側本体に対して3つの異なる位置に配置された、本発明に係る底部の断面図である。
【
図4】中央本体が外側本体に対して3つの異なる位置に配置された、本発明に係る底部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下で図示される実施形態では、特定の例との関係において示される個々の特性は、実際には、他の実施形態において存在する他の異なる特性と交換されてもよい。
【0021】
図を参照して、本発明は、ブロー成形プラスチック容器のための装置に関する。
装置は、プラスチック容器を形成するための少なくとも1つの成形キャビティを規定する、少なくとも1つのブロー成形ステーションを備える。
【0022】
ブロー成形ステーションは、2つの側方体と、ブロー成形ステーションによって規定される各形成キャビティに対する底部1とを備える。
【0023】
便利には、側方体のうちの少なくとも1つは、底部はそのままで、循環的な開閉手段を用いて指示に応じて移動可能であり、これにより予備成形または複数の予備成形が供給されることができ、かつブロー成形された容器が排出されることができる開状態から、予備成形から容器を取得するためにブロー成形が実施される閉状態の、形成ステーションの遷移を可能とする。
【0024】
本発明によれば、底部1は、それぞれの形成キャビティの延伸軸100のまわりに延在する環状部分を規定する底部の外側本体2と、内部本体3とを備える。
【0025】
内部本体3は、環状部分の内側に少なくとも部分的に収容されることができる。
内部本体3の外側面3aおよび環状部分の内面2bとの間に少なくとも1つの空気排出口4が存在し、これは、延伸軸100の周りに延在し、第1の空気排出手段に接続される。
【0026】
さらに、内部本体3は、延伸軸100に沿って環状部分に対して、指示に応じて調整可能に移動可能である。
【0027】
排出口4の存在は、明らかに合計排気表面を増加させることを可能とし、このため明らかに成形のために必要な圧力を減少させる。
【0028】
内部本体3の位置を外側本体2に対して調整する可能性は、さらに、キャビティの(そのため容器の)容量および任意にまた合計排気表面を調整することを可能とする。
【0029】
好ましくは、排出口4は、延伸軸100の周りに延在する、閉ループ内の連続する延伸部を有する。
【0030】
便利には、環状部分の内面2bは、実質的に円筒形の延伸部を有する。
有利には、第1の空気排出手段は、環状部分の内面2bにおいて開口する、複数の第1の排出チャネル7を備える。
【0031】
第1の排出チャネル7は、延伸軸100に対して実質的に径方向に延在し、互いに角度的に離間される。
【0032】
便利には、外側本体2は、収容キャビティの側方領域11および側方領域11に連続して配置されたキャビティの底部領域12を規定する。
【0033】
好ましくは、底部1は、延伸軸100に沿って環状部分に対して内部本体3の位置を調整するための操縦体に関連付けられる。
【0034】
便利には、底部1は、容器の底部の花弁状形状を得ることを可能とするために適合される複数の径方向隆起6を規定する。
【0035】
径方向隆起6は、それぞれ、外側本体2上に規定される第1の隆起部6a、および内部本体3上に規定される第2の隆起部6bを備える。
【0036】
好ましくは、底部1は、第2の空気排出チャネル5を規定する。
図に示された実施形態を参照して、第2の空気排出チャネル5は、外側本体2上に規定され、第1の隆起部6aの縁部へと近接して続く。
【0037】
実際には、本発明は、全ての実施形態において設定された目的および複数の目的を十分に達成することができるということが見出された。
【0038】
本発明は、このため数多くの変更および変形を受けるが、その全てが添付された特許請求の範囲内にあるものと考えられる。
【0039】
実際には、特定の用途、寸法および形状と互換性があれば、用いられる材料は、要件に応じて任意であってもよい。
【0040】
さらに、全ての詳細は、他の技術的に均等な要素によって置換されてもよい。
本出願が優先権を主張する伊国特許出願第102016000018800号(UB2016A001012)における開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
任意の請求項に記載された技術的特徴に参照符号が続く場合、これらの参照符号は、特許請求の範囲の明瞭度を増加させるという唯一の目的のために含まれており、したがって、そのような参照符号は、そのような参照符号によって識別される各要素の解釈にいかなる限定的影響を及ぼさない。