特許第6937355号(P6937355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6937355ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及び、ひび割れ解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937355
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及び、ひび割れ解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20210909BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   E01C23/01
   G08G1/00 J
【請求項の数】24
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2019-226653(P2019-226653)
(22)【出願日】2019年12月16日
(62)【分割の表示】特願2018-1520(P2018-1520)の分割
【原出願日】2016年7月21日
(65)【公開番号】特開2020-56303(P2020-56303A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-144224(P2015-144224)
(32)【優先日】2015年7月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-234332(P2015-234332)
(32)【優先日】2015年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 信行
(72)【発明者】
【氏名】山崎 恭彦
(72)【発明者】
【氏名】安波 真悟
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−079889(JP,A)
【文献】 特開2008−046065(JP,A)
【文献】 特開2015−007341(JP,A)
【文献】 特開2006−112127(JP,A)
【文献】 特開2007−249103(JP,A)
【文献】 特開2013−139671(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0274930(US,A1)
【文献】 特開2014−089078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/01
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを前記撮影画像毎に対応付けて取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得するカメラ情報取得部と、
前記撮影画像取得部から取得した撮影画像及び位置情報、及び前記カメラ情報取得部から取得した前記カメラ情報をもとに、前記撮影画像毎に映っている路面上の白線、電柱、標識、ガードレールの何れかである構造物、又は建屋や樹木の何れかである背景により位置を補正して撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れ検出処理と、を行うひび割れ検出部と、
前記ひび割れ検出部で生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出するひび割れ率算出部と、
を備えるひび割れ解析装置。
【請求項2】
路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを対応付けて取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得するカメラ情報取得部と、
前記位置情報で特定される起点となる位置を基準として、前記起点から終点までに撮影された複数の前記撮影画像のフレーム間距離の累積値により移動距離を算出し、前記撮影画像取得部から取得した撮影画像及び位置情報、及び前記カメラ情報取得部から取得した前記カメラ情報とをもとに、撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れ検出処理とを行うひび割れ検出部と、
前記ひび割れ検出部で生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出するひび割れ率算出部と、
を備えるひび割れ解析装置。
【請求項3】
前記ひび割れ解析装置は、
前記撮影画像の撮影対象となる路線を複数に分割した区間毎に、区間番号、路線起点から区間起点までの距離、路線起点から区間終点までの距離、及び前記路面の属性を対応付けた区間属性情報を取得する区間属性情報入力部をさらに備え
前記ひび割れ検出部は、前記区間属性情報で示される路線の区間の起点において、前記区間の起点の直前に撮像された撮影画像から、前記区間の終点の直前までの撮影画像までを、当該区間の撮像画像として対応付けて処理する
請求項1又は2に記載のひび割れ解析装置。
【請求項4】
前記区間属性情報入力部から入力する前記区間属性情報は、前記ひび割れの解析処理の要否の情報をさらに含み、前記路面の属性が道路である区間が前記ひび割れの解析処理を行う区間として設定され、前記路面の属性が道路以外である区間が前記ひび割れの解析処理を行わない区間として設定される、
請求項3に記載のひび割れ解析装置。
【請求項5】
前記ひび割れ検出部は、
撮影対象となる路線始点から路線終点が含まれる前記区間において、正しくひび割れ率が算出されたことを検証するための検証データを生成して検証する、
請求項3に記載のひび割れ解析装置。
【請求項6】
前記ひび割れ検出部は
ひび割れ率を算出するためのオルソ画像、少なくとも路線起点に対応付けられたオルソ画像と、路線終点に対応付けられたオルソ画像を含んでいることを検出し、
前記撮影画像のフレーム間距離の積算値が、前記区間属性情報で示される区間距離に達すると、路線区間の終点に達したと判断する、
請求項5に記載のひび割れ解析装置。
【請求項7】
前記ひび割れ検出部は、
ある撮影画像が撮影されてから次の撮影画像が撮影されるまでのフレーム間距離の累積値を記録した前記検証データを生成し、当該累積値と、撮影対象となる路線起点から背路線終点までの距離と比較することで、検証を行う、
請求項5に記載のひび割れ解析装置。
【請求項8】
前記ひび割れ検出部は、撮影対象となる路線において対応付けられた前記撮影画像の累積枚数を記録した検証データを生成し、撮影対象となる路線起点から路線終点までに撮影されるべき枚数と比較することで検証を行う、
請求項5に記載のひび割れ解析装置。
【請求項9】
前記ひび割れ検出部のひび割れ検出処理では、
前記撮影画像に撮像されている影の影響を抑制するために、前記撮影画像の輝度を微分処理して、輝度の変化が閾値より大きい部分又は輝度で示される形状が所定の長さのひび形状である部分をひび割れと判断する、
請求項1又は2に記載のひび割れ解析装置。
【請求項10】
前記ひび割れ検出部のひび割れ検出処理において、
前記微分処理の前記閾値は、天候に応じて変更可能である、
請求項9に記載のひび割れ解析装置。
【請求項11】
前記ひび割れ検出部のひび割れ検出処理において、
前記微分処理の前記閾値は、前記撮影画像又は利用者の設定に応じて変更可能である、
請求項9に記載のひび割れ解析装置。
【請求項12】
前記ひび割れ解析装置は、ひび割れ解析の解析結果を表示するための表示制御部をさらに備え、
前記ひび割れ検出部は、検出した前記路面のひび割れの形状を示すひび割れ形状データを、オルソ画像に変換された前記撮影画像に重畳したひび割れ重畳画像のオルソ画像を生成し、前記ひび割れ重畳画像のオルソ画像に対して所定の面積の区画に区切る処理を行い、
前記ひび割れ算出部は、前記所定の面積の区画毎に、ひびの本数を算出し、
前記表示制御部は、
前記区画毎に、前記区画毎のひび割れの本数に基づいて算出される前記所定の区間のひび割れ率を対応付けた態様で表示する表示データを作成する、
請求項1又は2に記載のひび割れ解析装置。
【請求項13】
前記表示制御部で作成される表示データは、
前記撮影画像取得部によって取得された前記撮影画像が表示される撮像画像表示領域と、
前記撮影画像に前記ひび割れ形状データを重畳したひび割れ重畳画像が表示されるひび割れ重畳画像表示領域と、
前記ひび割れ重畳画像のオルソ画像をマス目で区切り、ひび割れ率が算出されたマス目毎に前記ひび割れ率に応じてマス目を色付けした結果が順次表示されるカウント中ひび割れ分布表示領域と、
前記カウント中ひび割れ分布表示領域において表示された所定の長さ分の結果がまとめて表示される最終ひび割れ分布領域表示領域と、
が表示するための表示データであり、
前記表示制御部は、前記最終ひび割れ分布領域表示領域に前記所定の長さ分の結果が表示されると、前記カウント中ひび割れ分布表示領域の表示を消去して、ひび割れ率が算出されていない新たな画像領域の解析状況の表示を行うための表示データを作成する、
請求項12に記載のひび割れ解析装置。
【請求項14】
前記ひび割れ検出部は、前記路面における車線の幅を検出し、
前記表示制御部は、マス目で区切ったオルソ画像に、検出された前記車線の幅を表示させた表示データを作成する、
請求項12に記載のひび割れ解析装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、
少なくても解析対象の道路の一部を含む地図に、前記区間毎に算出された前記ひび割れ率に応じた表示態様で表示する情報を重畳して表示するための表示データを作成する、
請求項12に記載のひび割れ解析装置。
【請求項16】
前記表示制御部は、
前記ひび割れ重畳画像は、同じ場所で異なる日時に撮影された撮影画像を対比させて表示するための表示データを作成する、
請求項12に記載のひび割れ解析装置。
【請求項17】
前記表示制御部で作成された前記表示データを、帳票として出力する出力部を、さらに備える、
請求項12に記載のひび割れ解析装置。
【請求項18】
前記帳票は、点検区間の全区間の位置と、区間毎に算出されたひび割れ率とをそれぞれ対応付けて一覧表示する帳票である、
請求項17に記載のひび割れ解析装置。
【請求項19】
前記帳票は、所定区間のひび割れ率の平均と、前記所定区間の前記ひび割れ重畳画像のオルソ画像と、前記所定区間におけるマス目毎のひび割れ率の分布を示す帳票である、
請求項17に記載のひび割れ解析装置。
【請求項20】
前記ひび割れ解析装置は、
前記撮影画像の撮影対象となる路線を複数に分割した区間毎に区間番号、路線の起点から区間の起点までの距離、及び路線の起点から区間の終点までの距離を、及び前記路面の属性を対応付けた区間属性情報と取得する区間属性情報入力部をさらに備え、
前記ひび割れ検出部は、前記撮影画像取得部から取込んだ位置情報と区間情報入力部から入力された起点の位置情報を対比させることで起点の通過を判断し、起点通過後の前記撮影画像をオルソ画像に変換し、変換した前記オルソ画像に対して所定面積の区画に区切る処理を行い、前記区画毎にひび割れを検出する処理を行い、前記区画の距離を加算することで終点まで到達したかを判断することで、前記起点から前記終点までに取得された全ての撮影画像に対して区画毎に実行し、
前記ひび割れ率算出部は、前記ひび割れ検出部により予め定められた区間分の処理が終了した後に、当該区間のひび割れ率の算出処理を、複数の区間に対して繰り返し行うことで、複数の区間を含む路線全体のひび割れ率を算出する、
請求項1又は2に記載のひび割れ解析装置。
【請求項21】
路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを前記撮影画像毎に対応付けて取得する撮影画像取得ステップと、
前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得するカメラ情報取得ステップと、
前記撮影画像取得ステップにおいて取得した撮影画像及び位置情報、及び前記カメラ情報取得ステップにおいて取得した前記カメラ情報とをもとに、前記撮影画像毎に映っている路面上の白線、電柱、標識、ガードレールの何れかである構造物、又は建屋や樹木の何れかである背景により位置を補正して撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れを検出処理とを行うひび割れ検出ステップと、
前記ひび割れ検出ステップにおいて生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出するひび割れ率算出ステップと、
を有するひび割れ解析方法。
【請求項22】
路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを対応付けて取得する撮影画像取得ステップと、
前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得するカメラ情報取得ステップと、
前記位置情報で特定される起点となる位置を基準として、前記起点から終点までに撮影された複数の前記撮影画像のフレーム間距離の累積値により移動距離を算出し、前記撮影画像取得ステップにおいて取得した撮影画像及び位置情報と、前記カメラ情報取得ステップにおいて取得した前記カメラ情報とをもとに、撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れ検出処理とを行うひび割れ検出ステップと、
前記ひび割れ検出ステップにおいて生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出するひび割れ率算出ステップと、
を有するひび割れ解析方法。
【請求項23】
路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを前記撮影画像毎に対応付けて取得する撮影画像取得ステップと、
前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得するカメラ情報取得ステップと、
前記撮影画像取得ステップにおいて取得した撮影画像及び位置情報、及び前記カメラ情報取得ステップにおいて取得した前記カメラ情報とをもとに、撮影画像毎に映っている路面上の白線、電柱、標識、ガードレールの何れかである構造物、又は建屋や樹木の何れかである背景により位置を補正して撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れ検出処理とを行うひび割れ検出ステップと、
前記ひび割れ検出ステップにおいて生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出するひび割れ率算出ステップと、
をコンピュータに実行させるためのひび割れ解析プログラム。
【請求項24】
路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを対応付けて取得する撮影画像取得ステップと、
前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得するカメラ情報取得ステップと、
前記位置情報で特定される起点となる位置を基準として、前記起点から終点までに撮影された複数の前記撮影画像のフレーム間距離の累積値により移動距離を算出し、前記撮影画像取得ステップにおいて取得した撮影画像及び位置情報と、前記カメラ情報取得ステップにおいて取得した前記カメラ情報とをもとに、撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れ検出処理とを行うひび割れ検出ステップと、
前記ひび割れ検出ステップにおいて生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出するひび割れ率算出ステップと、
をコンピュータに実行させるためのひび割れ解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及び、ひび割れ解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路標識の状況、道路の穴、落下物等の道路の状況を管理する管理者が車載カメラで撮影された画像(撮影画像)を目視して、道路の状況の管理をする道路状況の管理方法がある。
しかし、従来の道路状況の管理方法では、アスファルト舗装道路の路面性状における主要な評価指標(「舗装調査・試験法便覧(日本道路協会)」より)である「ひび割れ率」の算出を含む舗装ひび割れの解析処理には、舗装のひび割れを判断できる技術者が撮影画像から目視でひび割れ本数を確認してひび割れ率を算出するという人的作業を行っていた。従って、長距離にわたる路線のひび割れの解析処理では目視で確認すべき撮影画像の量が膨大になり、ひび割れの解析処理の効率化を図ることが困難になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/108052号
【特許文献2】特開2012−184624号公報
【特許文献3】特開2008−015653号公報
【特許文献4】特開2010−176705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及び、ひび割れ解析プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のひび割れ解析装置は、撮影画像取得部と、カメラ情報取得部と、ひび割れ検出部と、ひび割れ率算出部とを持つ。撮影画像取得部は、路面を所定の俯角で撮影することによって得られる撮影画像と、前記撮影画像が撮影された位置に関する位置情報とを前記撮影画像毎に対応付けて取得する。カメラ情報取得部は、前記撮影画像を撮影したカメラに関するカメラ情報を取得する。ひび割れ検出部は、前記撮影画像取得部から取得した撮影画像及び位置情報、及び前記カメラ情報取得部から取得した前記カメラ情報をもとに、前記撮影画像毎に映っている路面上の白線、電柱、標識、ガードレールの何れかである構造物、又は建屋や樹木の何れかである背景により位置を補正して撮影画像間の位置合わせ処理を行うことによってオルソ画像を生成するオルソ画像生成処理と、オルソ画像に変換された前記撮影画像から前記路面のひび割れを検出するひび割れ検出処理とを行う。ひび割れ率算出部は、記ひび割れ検出部で生成した前記オルソ画像と、前記撮影画像から検出した前記路面のひび割れとに基づいて、所定の距離で区切った区間毎にひび割れ率を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の概略構成を示す図。
図2】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態の路線の区間属性情報の一例を示す図。
図4】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作の一例を示すフローチャート。
図5】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の解析処理の一例を示す図。
図6】第1の実施形態のひび割れ重畳画像とひび割れ率の算出結果の一例を示す図。
図7】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が出力する帳票の一例を示す図。
図8】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が出力する帳票の他の一例を示す図。
図9】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が作成する地理情報を用いた表示データの一例を示す図。
図10】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が生成する複数のひび割れ重畳画像を含む画面データの一例を示す図。
図11】第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が算出するひび割れ率の変化の一例を示す図。
図12】第3の実施形態の舗装ひび割れ解析システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図13】第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作の一例を示すフローチャート。
図14】第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の編集処理の一例を示す図。
図15】第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の編集処理の一例を示す図。
図16】第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が出力する帳票の一例を示す図。
図17】第2の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作の一例を示すフローチャート。
図18】第4の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の編集処理の一例を示す図。
図19】第5の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の編集処理の一例を示す図。
図20】実施形態の路線区間とフレーム間距離で撮影されるフレーム画像の関係を説明する図。
図21】第6の実施形態の舗装ひび割れ解析システムの機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のひび割れ解析装置、ひび割れ解析方法、及び、ひび割れ解析プログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
先ず、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の概略を説明する。
図1(A)は、舗装ひび割れ解析装置1に入力される入力情報と、舗装ひび割れ解析装置1から出力される出力情報の概略を示している。
図において、入力情報は、例えば、車載カメラによって路面を撮影した撮影画像のデータ、路面を撮影する路線の区間属性情報、撮影画像を撮影したカメラの位置情報(位置データ)、車載カメラの向き、車載カメラの路面からの高さ、車載カメラ機種等の情報、及び解析作業を行なう解析作業者の情報等である。これらの入力情報に基づいて、ひび割れ解析システムで解析を行い、出力情報として、撮像された画像に舗装のひび割れの形状を示す画像が入った舗装ひび割れ入り画像(「ひび割れ重畳画像」ともいう。)、撮影画像に基づき算出される路面における舗装ひび割れの面積比を表すひび割れ率、ひび割れ率を算出した路面が正しい点検対象であることを検証するための検証データ、点検結果を示す帳票、画面表示等を出力する。なお、入力情報及び出力情報の詳細は後述する。
【0009】
舗装ひび割れ解析装置1に入力される入力情報、又は舗装ひび割れ解析装置1から出力される出力情報は、図1(A)に示したものに限定されず、例えば、入力情報を取得するための設定情報、ひび割れ率等の処理をするための処理情報、画面表示の表示内容を変更するための設定情報、出力される帳票の内容を変更するための設定情報等を含んでいてもよい。また、図1等において舗装ひび割れ解析装置1は、単独の装置として図示して説明するが、舗装ひび割れ解析装置1は、複数の装置によって構成されるシステムであってもよい。
【0010】
次に、車載カメラと車載カメラで撮影された路面映像を説明する。
図1(B)は、車載カメラの配置の一例を示す図であり、図1(C)は、車載カメラで撮影された路面映像の一例を示す図である。
【0011】
図1(B)において、車両20のルーフには、車載カメラ21とGPS受信機22が搭載されている。車載カメラ21は、車両20の進行方向に対して後ろ向きに配置されている。
なお、車載カメラ21は、撮影する路面の範囲に合せて、路面に対する俯角、路面からの高さ及び車両20の進行方向に対する撮影方向の偏角(水平方向の首振り角度)等のカメラの向きを調整して固定される。例えば、2車線の路線の片側を走行して1車線分の路面を撮影する場合と、2車線分の路面を撮影する場合とでは、カメラの向き(主に偏角)を変更する必要がある。
GPS受信機22は、車両20のルーフにおいて車載カメラ21の近傍に配置されて、GPS衛星から位置データを取得する。GPS受信機22は、方位や加速度を測定してもよい。方位や加速度を測定することで、車両20の進行方向や進行速度を推測することができるので、例えばトンネル内や山間部においてGPS衛星からの電波を捕捉できず位置データを取得できない場合であっても、位置データを取得することが可能となる。
なお、車両20には図示しない路面を照射するライトを搭載してもよい。日中は太陽光によって路面に樹木や構造物の影ができるため、影の影響を少なくする画像処理が必要になり、画像処理によって舗装のひび割れの検出精度が低下する場合がある。ライトで路面を照射することにより、太陽光による影響の無い夜間に路面を撮影してひび割れの検出精度を向上させることが可能となる。また、ライトで路面を照射することにより、日中であっても太陽光の影の影響を少なくしてひび割れの検出精度を向上させることが可能となる。
【0012】
図1(C)において、車載カメラで撮影された路面映像は、走行中の片側の車線の路面を撮影するようにカメラの向きを調整して撮影されたものである。すなわち、図1(C)において、車両が片側車線の中央を走行したときに、大凡、図示左端に中央線(センターライン)が撮影されるようにカメラの向きを調整する。また、図1(C)図時右端に車両の進行方向左側の車線外側線が撮影されるようにカメラの向きを調整する。カメラの向きを撮影範囲に合せることにより、必要十分な路面の範囲の撮影画像を取得することができる。図1(C)は、路面を斜め上から俯瞰した映像とともに、背景が撮影されている。路面とともに背景を撮影することにより、撮影された背景の一致によって撮影位置を特定することが容易となる。
【0013】
<第1の実施形態>
次に、本実施形態の構成について、説明する。
図2は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2において、舗装ひび割れ解析装置1は、入力部101、登録部102、入力情報取得部103、解析作業者登録部104、入力情報記憶部105、舗装ひび割れ検出部106、ひび割れ率算出部107、点検結果データ記憶部108、点検結果出力部109、帳票作成・出力部110、表示制御部111、及び表示部112を持つ。
【0014】
入力部101は、撮影画像取得部1011、区間属性情報入力部1012、及び位置データ取得部1013を持つ。
撮影画像取得部1011は、車載カメラ21により路面を撮影した撮影画像のデータを取得する。撮影画像取得部1011と車載カメラ21の接続は、有線による接続でも、無線による接続のどちらでもよい。例えば、車載された舗装ひび割れ解析装置1の撮影画像取得部1011に車載カメラを有線接続してもよい。また、車載された無線装置を介して車外に設置された舗装ひび割れ解析装置1の撮影画像取得部1011に車載カメラを無線接続するようにしてもよい。
また、撮影画像取得部1011に取得される撮影画像のデータは、現在車載カメラで撮影されているデータであってもよい。また、撮影画像取得部1011に取得される撮影画像のデータは、過去に車載カメラで撮影されて録画された撮影画像のデータであってもよい。
【0015】
区間属性情報入力部1012は、路面を撮影する路線の区間属性情報を取得する。区間属性情報は、路面を撮影する路線の区間毎に定められた属性の情報である。属性の情報とは、例えば、「道路」、「橋梁」、「トンネル」等の情報である。区間属性情報には、路線名、区間番号、区間の起点、区間の終点等の情報が含まれていてもよい。なお、路線の区間属性情報の詳細は図3を用いて後述する。
各路線は、起点からの距離に対応した区間に区切られており、区間毎に区間の属性(区間属性)が定められる。区間属性情報は、予め区間属性情報入力部1012から取得される。路線の区間属性情報は、図示しないPC等において作成することができる。区間属性情報入力部1012は、作成された区間属性情報を、ネットワークを介して接続されたPC等から取得したり、又は記録媒体を介して取得したりするようにしてもよい。取得された区間属性情報は、撮影画像取得部1011から取得される撮影画像の集計処理等に用いられる。なお、区間属性情報に基づく集計処理の詳細は図7等を用いて後述する。また、本実施形態では、区間属性情報を取得できる場合を例示するが、区間属性情報を取得できない場合には、画像データの先頭を路線の始点、画像データの最後尾を終点とし、路線全体を一区間として解析処理してもよい。また、解析処理を区間属性情報に基づき実施する代わりに、例えば100m間隔等、等間隔に解析処理を実施してもよい。
【0016】
位置データ取得部1013は、撮影画像取得部1011から取得される撮影画像を撮影したカメラの位置データを取得する。位置データ(位置情報)は、例えば、カメラと共に車載されるGPS(Global Positioning System)の利用者受信機(GPS受信機)から取得される経緯度情報である。位置データには、経緯度の情報に加えて、高度、速度、日時等の情報を含んでいてもよい。位置データは、GPS衛星からの電波が届きにくい山間部やトンネル内においては、カメラを搭載した車両の速度の情報や加速度の情報を用いて補正されてもよい。
【0017】
入力部101は、撮影画像取得部1011が取得した撮影画像のデータ、区間属性情報入力部1012が取得した路線の区間属性情報、及び位置データ取得部1013が取得した位置データを取得し、入力情報取得部103に出力する。
【0018】
登録部102は、カメラ向き入力部1021、カメラ高さ入力部1022、カメラ機種情報等入力部1023及び解析作業者情報入力部1024を持つ。
カメラ向き入力部1021は、車載カメラの向きの情報を取得する。車載カメラの向きは、路面に対するカメラの俯角、カメラを積んだ車両の進行方向に対する撮影方向の偏角等である。カメラ高さ入力部1022は、車載カメラの路面からの高さの情報を取得する。なお、俯角とは、カメラと同じ高さの水平面から下にある物を撮影するときのカメラから撮影物方向の視線と、水平面とが成す角度である。水平方向の俯角は0°である。カメラから真下の方向の俯角は90°である。また、カメラ機種情報等入力部1023は、カメラ機種情報等の情報を取得する。カメラ機種情報等の情報には、例えば、カメラの型式、カメラのレンズの焦点距離、撮影する画像サイズ等の情報を含んでいてもよい。解析作業者情報入力部1024は、舗装ひび割れ解析装置1において解析作業を行なう解析作業者の情報を取得する。解析作業者の情報は、例えば解析作業者の氏名、ID(identification)等である。
【0019】
登録部102は、カメラ向き入力部1021から向きの情報を取得する。登録部102は、カメラ高さ入力部1022から高さの情報を取得する。また、登録部102は、カメラ機種情報等入力部1023からカメラ機種情報を取得する。また、登録部102は、解析作業者情報入力部1024から解析作業者の情報を取得する。登録部102は、取得した向きの情報、高さの情報、カメラ機種情報又は解析作業者の情報等の登録情報を解析作業者登録部104に登録する。
【0020】
入力情報取得部103は、入力部101が入力情報を取得したか否かを判断する。入力情報取得部103は、入力部101が入力情報を取得したときには、入力部101から取得した入力情報を、入力情報記憶部105に記憶する。
解析作業者登録部104は、登録部102が登録情報を取得したか否かを判断する。解析作業者登録部104は、登録部102が登録情報を取得したときには、取得した登録情報を入力情報記憶部105に記憶する。
なお、本実施形態では、入力部101と登録部102を分けて、それぞれの情報を取得する場合を説明したが、入力部101と登録部102を一つの機能として実装するようにしてもよい。
【0021】
入力情報記憶部105は、入力情報取得部103が取得した入力情報と、解析作業者登録部104が取得した登録情報を記憶する。入力情報記憶部105には、例えば、ハードディスクドライブ等の記憶装置を用いることができる。入力情報記憶部105は、入力情報取得部103が取得した撮影画像のデータを、位置データ取得部1013が取得した位置データに対応付けて記憶する。すなわち、入力情報記憶部105は、撮影画像取得部1011が取得した撮影画像のデータを、撮影時の位置データに対応付けて記憶する。位置データは、例えば撮影画像の静止画ファイルフォーマットに撮影条件として記録されてもよい。
取得された撮影画像が動画である場合には、動画は複数の静止画に変換されて、変換されたそれぞれの静止画の静止画ファイルフォーマットに位置データを記録してもよい。撮影画像の動画から静止画への変換は、例えば入力情報取得部103が実行してもよい。動画を静止画に変換する際には、数フレーム毎に1つの静止画を生成する所謂コマ落としを行ってもよい。
また、位置データの対応付けは静止画に対してではなく、動画に対して行ってもよい。位置データの対応付けを動画に対して行なうには、例えば、動画の記録に同期させて位置データを対応付けて逐次記録するようにしてもよい。撮影画像に位置データを対応付けて記憶させることにより、取得された撮影画像の撮影位置を特定することが可能になる。撮影画像の撮影位置を特定することにより、例えば、同じ撮影位置において異なる日時で撮影された撮影画像同士を比較することが容易になる。
【0022】
なお、GPS等を用いて取得した位置データには測定誤差が含まれる場合がある。測定誤差がある場合、複数の撮影画像の位置データが同じであっても、実際の撮影位置は撮影画像によって異なることになる。同じ撮影位置で撮影した複数の撮影画像を比較するためには、位置データが略同一である撮影画像の中から実際の撮影位置が同じである撮影画像を抽出して比較するようにしてもよい。
実際の撮影位置が同じである撮影画像の抽出は、例えば、撮影画像に含まれる路面に設置された構造物又は背景の一致に基づき判定することができる。路面に設置された構造物とは、例えば、中央線、車線外側線若しくは横断歩道等の白線、電柱、標識又はガードレール等である。また、背景とは、路面と同時に撮影される建屋、樹木等である。本実施形態では、車載するカメラに所定の俯角を設けることにより、撮影画像に路面と同時に撮影される構造物や背景(構造物等)を含ませている。撮影画像に含まれる構造物等の一致を判定することにより、複数の撮影画像の中から撮影位置が一致した撮影画像を特定することができる。撮影位置が一致した撮影画像の位置データに基づき、他の撮影画像の位置データを補正することができる。また、位置データの補正は、GPS受信機によって測定される走行中の加速度、方位等の情報から行なうようにしてもよい。
【0023】
また、撮影画像には、撮影画像が撮影された撮影日時を対応させて記憶させてもよい。上述のとおり、撮影日時は位置データの一部として記憶することができる。撮影画像に撮影された撮影日時を対応させて記憶することにより、同じ撮影位置において異なる日時で撮影された複数の撮影画像を、撮影日時を指定して比較することが容易になる。
【0024】
舗装ひび割れ検出部106は、入力情報記憶部105に記憶された撮影画像から舗装のひび割れを検出してひび割れ形状データを生成する。舗装のひび割れとは、舗装表面に発生したアスファルトのひび割れであり、ひび割れ形状データとは、ひび割れの形状を示すデータである。ひび割れ形状データのデータ形式は、ひび割れの形状を画像で表したラスタデータ、又はひび割れの形状を数値で表したベクタデータのいずれを用いてもよい。ひび割れの形状は、ひび割れの長さ、ひび割れの位置、ひび割れの幅、ひび割れの深さ等で表される。
【0025】
また、ひび割れの形状には、ひび割れの方向を示すものを含んでもよい。ひび割れの方向とは、例えば、車両の進行方向に対する角度である。車両の進行方向に対する角度は、車両の進行方向を0°として−90°〜90°の範囲で表すようにしてもよい。ひび割れの方向は、所定の長さのひび割れを直線近似したものであってもよい。また、ひび割れの形状は、直線状、曲線状、複数の直線又は曲線が分岐する枝状、ひび割れによって多角形状等を構成する形状(本実施形態では、「亀甲状」という。但し、6角形には限定されない。)を表すものであってもよい。
【0026】
舗装ひび割れ検出部106は、ひび割れの形状を検出することにより、舗装ひび割れの評価をより詳細にすることができる。一般に、直線状のひび割れよりも亀甲状のひび割れの方が、劣化が進行しているといえる。
【0027】
ひび割れ形状データは、ラスタデータを用いてひび割れの形状を表現するものであってもよい。また、ひび割れ形状データは、ベクタデータを用いてひび割れの形状を数値で表現するものであってもよい。ひび割れ形状データは、ひび割れの幅、深さ等の形状を線分の太さや色を変えて表現してもよい。
【0028】
なお、舗装ひび割れ検出部106は、例えば、路面の輝度情報を基に舗装のひび割れを検出することができる。
【0029】
舗装ひび割れ検出部106は、検出したひび割れ形状データを撮影画像取得部1011から取得された撮影画像に重畳したひび割れ重畳画像(舗装ひび割れ入り画像)を生成する画像生成部を持つ。
【0030】
舗装ひび割れ検出部106は、検出したひび割れ形状データをひび割れ率算出部107に出力する。舗装ひび割れ検出部106は、ひび割れ率算出部107に出力するひび割れ形状データとして、例えば、ひび割れの形状を示すベクタデータを用いる。ひび割れの形状を路面上の座標データとして含むベクタデータを用いることにより、ひび割れ率算出部107において、後述するマス目の範囲におけるひび割れの本数のカウントが容易になる。
【0031】
また、オルソ画像は、複数のフレーム画像において作成された画像を重ね合わせて作成されてもよい。例えば、舗装ひび割れ検出部106は、露出を変えて撮影された複数のフレーム画像に基づきオルソ画像を生成して合成することにより、ダイナミックレンジの広いオルソ画像を生成することができる。また、舗装ひび割れ検出部106は、撮影位置が異なる複数のフレーム画像に基づきオルソ画像を生成するようにしてもよい。撮影位置が異なる複数のフレーム画像に基づきオルソ画像を生成することにより、例えば車両に対する振動等によってフレーム画像にブレ等の撮影トラブルが発生した場合でも、撮影に成功したフレーム画像に基づきオルソ画像を生成することが可能となる。
【0032】
また、舗装ひび割れ検出部106は、検出したひび割れ形状データと生成したひび割れ重畳画像を、点検結果データ記憶部108に記憶する。点検結果データ記憶部108に記憶させるひび割れ重畳画像は、所定の圧縮方式によってデータ量を圧縮したものであってもよい。
【0033】
ひび割れ率算出部107は、舗装ひび割れ検出部106から取得されたひび割れ形状データに基づき、ひび割れ率を算出する。ひび割れ率算出部107は、算出したひび割れ率を点検結果データ記憶部108に記憶する。
【0034】
ひび割れ率とは、真上から見た路面上に1辺が0.5mのマス目(メッシュ)を想定し、マス目の中に存在するひびの本数に基づき、舗装ひび割れの面積を算出するものである。例えば、マス目の中にひびが2本以上ある場合は、0.25m2(100%)であると算出する。同様に、マス目の中にひびが1本の場合は、0.15m2(60%)、マス目の中にひびが0本の場合は、0m2(0%)と算出する。すなわち、ひび割れ率は次式で表される。
ひび割れ率(%)=100×(ひび割れの面積)/(調査区間の面積)
【0035】
なお、本実施形態では、マス目は、ひび割れ率算出部107が位置データ取得部1013から取得された位置データに基づき設定するものとする。また、調査区間の面積は、例えば1つのマス目(0.25m2)であってもよく、所定の道路の距離(例えば、13m、100m、路線全区間の距離等)における路面の面積であってもよい。本実施形態では、マス目毎、および路線の区間(12.5m、100m)毎の平均値としてひび割れ率を算出した場合を例示して後述する。
【0036】
ひび割れ率算出部107は、算出したひび割れ率を点検結果データ記憶部108に記憶する。また、ひび割れ率算出部107は、ひび割れ率の算出に用いたマス目毎のひびの本数を点検結果データ記憶部108にマス目の位置データとともに記憶する。
【0037】
点検結果出力部109は、点検結果データ記憶部108に記憶されたひび割れ重畳画像を舗装ひび割れ解析装置1の外部の装置に出力する。外部の装置とは、例えば図示しない他のコンピュータシステム、記録メディアにデータを記憶する記憶装置等である。点検結果出力部109は、ひび割れ重畳画像を、例えば、フレーム画像又はオルソ画像として舗装ひび割れ解析装置の外部の装置に出力する。
【0038】
フレーム画像とは、路面を斜めから見た撮影画像の1フレーム毎の画像である。本実施形態において路面の撮影画像は車載カメラによって車両の後方を撮影することにより取得される。オルソ画像は、路面を真上から見たときの画像であって、フレーム画像を元画像として変換される。フレーム画像は路面を真上から見たときのオルソ画像にされる元画像として使用される。また、フレーム画像は車載カメラの撮影画角に基づき所定の範囲を含むため、フレーム画像に含まれる背景や道路上の構造物等によって撮影場所の特定に用いることができる。フレーム画像が撮影場所を特定するのに適していることを利用して、フレーム画像を、ひび割れ率を算出した路面が正しい点検対象であることを検証するための検証データとして利用することが可能となる。
【0039】
ひび割れ重畳画像のフレーム画像とは、フレーム画像にひび割れ形状データを重畳したものである。フレーム画像にひび割れ形状データを重畳することにより、撮影場所と舗装ひび割れの状況とを対応して視認しやすくなる。なお、検証データには、フレーム画像の代わりに、又はフレーム画像と併せてひび割れ重畳画像を使用してもよい。
【0040】
また、ひび割れ重畳画像のオルソ画像とは、路面を真上から見た撮影画像のオルソ画像1フレーム毎にひび割れ形状データを重畳したものである。ひび割れ重畳画像は、ビデオデータを1フレーム毎又は数フレーム毎にキャプチャして生成された静止画像のオルソ画像にひび割れデータを重畳することにより生成することができる。点検結果出力部109は、静止画像のひび割れ重畳画像を連続して出力することにより、ひび割れ重畳画像を動画のように再生させることが可能となる。
【0041】
ひび割れ形状データとは、ひび割れの形状を示すベクタデータ又はラスタデータである。ひび割れ形状データは、視認しやすい様に所定の色で色付けされて所定の太さの線分で表現されてもよい。なお、ひび割れ形状データは後述する編集機能を用いることによってひび割れ形状データを追加、削除又は変更等する修正(編集)ができるようにしてもよい。
【0042】
また、点検結果出力部109は、点検結果データ記憶部108に記憶されたひび割れデータを、点検結果出力部109と同様に舗装ひび割れ解析装置1の外部の装置に出力する。点検結果出力部109は、ひび割れデータとひび割れ重畳画像に対応付けて出力する。ひび割れ重畳画像とひび割れデータとを対応させて出力することにより、例えば他のコンピュータにステムにおいて、ひび割れデータとひび割れ重畳画像とを対応付けて表示することが可能となる。なお、ひび割れ重畳画像とひび割れデータとを対応させる表示とは、例えば、ひび割れ重畳画像にひび割れデータを重畳した表示、ひび割れ重畳画像とひび割れデータを並列させた表示である。
【0043】
また、点検結果出力部109は、ひび割れ率算出部107において算出されて点検結果データ記憶部108に記憶されたひび割れ率を出力する。点検結果出力部109は、例えば、マス目毎のひび割れ率、及び路線の区間毎に算出されたひび割れ率(平均値)を出力する。なお、点検結果出力部109は、路線の区間毎のひび割れ率の平均値の代わりに、平均前のひび割れ率のデータ、所定の区間内におけるひび割れ率の最大値等を出力するようにしてもよい。また、点検結果出力部109は、ひび割れ重畳画像と併せて対応する区間のひび割れ率を出力するようにしてもよい。
【0044】
また、点検結果出力部109は、検証データを出力する。検証データとは、ひび割れ率を算出した路面が正しい点検対象であることを検証するためのデータである。例えば、路線の起点と終点が指定され、起点から終点までの路面が点検対象である場合、検証データは、起点から終点までの間の全ての路面について舗装ひび割れを点検したことを後日検証するためのデータである。検証データとして、例えば撮影された全ての画像(フレーム画像又はオルソ画像)を用いることができる。
【0045】
点検結果出力部109が出力する、ひび割れ重畳画像、ひび割れ率、又は検証データ等の出力情報の出力のタイミングは任意である、点検結果出力部109は、例えば、所定の区間のひび割れ重畳画像等のデータが点検結果データ記憶部108に記憶されたときに出力情報を出力するようにしてもよい。また、点検結果出力部109は、利用者の明示的な操作に基づき出力情報を出力するようにしてもよい。
【0046】
帳票作成・出力部110は、点検結果データ記憶部108に記憶されたひび割れデータに基づき、所定の帳票を作成して舗装ひび割れ解析装置1の外部又は表示制御部111に出力する。所定の帳票の詳細は、図7及び図8を用いて後述する。帳票作成・出力部110は、ひび割れデータとともにひび割れ重畳画像を含めて所定の帳票を作成するようにしてもよい。帳票にひび割れ重畳画像を含めることにより、路面の性状をより詳細に表現することが可能となる。帳票作成・出力部110は、作成した帳票を、画像データとして出力するが、所定のファイル形式の文章ファイルとして出力してもよい。また、帳票作成・出力部110は、表示制御部111に対して作成した帳票を出力する。
【0047】
また、帳票作成・出力部110は、出力する帳票に上述した検証データを含めることができる。検証データを帳票として出力することにより、出力する帳票の点検結果について検証が可能となる。なお、検証データは、舗装ひび割れ解析装置1を用いて舗装ひび割れ検出のサービスを提供するときの課金データとして利用するようにしてもよい。例えば、フレーム間距離の累積値又はフレーム画像の枚数に対して所定の単価を掛けた料金を自動的に計算するようにして検証データを課金データとして利用する。検証データに基づく課金を実施することにより、サービスに対する課金の内容が理解しやすくなる。
【0048】
表示制御部111は、ひび割れ重畳画像、ひび割れ率等の点検結果に基づき表示用の画面データを生成して表示部112に出力する。表示制御部111は、表示用画像として、例えば、点検結果データ記憶部108に記憶されたひび割れ重畳画像を含む画面データを生成する。
【0049】
表示制御部111は、撮影日時の異なる複数のひび割れ重畳画像から撮影日時の異なる複数のひび割れ重畳画像同士を比較可能な画面データを生成する。比較の対象となる複数のひび割れ重畳画像は、位置データが略同一であって、同一の撮影位置(多少の誤差を含んでいてもよい)から撮影された撮影画像に基づき生成されたものである。画面データは、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を利用したデータ(GIS画面データ)を含むものであってもよい。
【0050】
表示部112は、表示制御部111から入力された画面データを画面表示する。表示部112は、例えば、液晶表示装置である。表示する画面データは、例えば、図9を用いて後述するような地図情報を含んでいてもよい。
【0051】
次に、図1で説明した区間属性情報入力部1012から取得される路線の区間属性情報の詳細を説明する。
図3は、路線の区間属性情報を入力するときのPC等の情報入力装置の画面を例示している。
【0052】
図3において、路線の区間属性情報は、「路線名」、「測定日」、「天候」、「区間番号」、「距離標」、「起点」の「経度」及び「緯度」、「終点」の「経度」及び「緯度」、「属性」、並びに「処理要否」の情報を持っている。
「路線名」は、道路に付けられた名称である。「測定日」は、路面映像を撮影した日である。「天候」は路面映像を撮影したときの天候である。「区間番号」は、路線を所定の区間で区切った区間の番号である。「距離標」は、路線の起点(0m)からの、各区間の起点と終点の距離を示している。「起点」の「経度」及び「緯度」、並びに「終点」の「経度」及び「緯度」は、起点と終点の経緯度情報である。
「属性」は、その区間の属性(区間属性)を示している。属性は、「道路」、「橋梁」、「トンネル」等である。属性が異なる場合、必要な点検項目や点検結果の報告方法が異なる場合がある。本実施形態における区間は、路線を所定の距離毎に区切ったものである。例えば、区間番号が1及び2の区間は、路線を100m毎に区切った区間である。また、属性が「橋梁」や「トンネル」の区間は「道路」とは異なる区間としている。例えば、区間番号が4の区間は、属性が「橋梁」であり、起点が220m、終点が320mであり、起点0mから100m毎に区切られた属性が「道路」の区間とは区切り方を異にしている。同様に、区間番号が7の区間は、属性が「トンネル」であり、起点が430m、終点が580mである。
【0053】
「処理要否」は、ひび割れの解析処理の要否を区間毎に設定するものである。本実施形態においてひび割れの解析処理を行なうのは、属性が「道路」である区間のみとする。すなわち、図3に示した路線の区間属性情報は、区間番号が1、2、3、5、6、8等の属性が「道路」である区間毎に、ひび割れ率を算出すべきことを示している。区間毎のひび割れ率は、距離標で示された起点と終点の間の距離における平均値で求めることができる。
【0054】
次に、図1で説明した、路線区間とフレーム間距離で撮影されるフレーム画像の関係を説明する。図20は、実施形態の路線区間とフレーム間距離で撮影されるフレーム画像の関係を説明する図である。
【0055】
図20において、路面の解析対象は、路線の起点と路線の終点の間であって路線距離Aの距離を有する区間であるものとする。すなわち、検証データは、路線の起点と路線の終点が含まれる路線距離Aの路面において正しく解析されたことが検証できるものである必要がある。路線距離Aは、区間1から区間Nまでの連続した区間で分割されている。区間1は、区間1起点から区間1終点まで区間である。区間1終点は、区間2起点となる。
【0056】
車載カメラで後方を撮影しながら走行する車両は、路線起点の手前から路線終点の先までを走行する。車両に搭載された車載カメラはフレーム間距離B毎にフレーム画像を撮影する。図20に図示の菱形表示は、撮影されたフレーム画像を示している。実線のフレーム画像は、ひび割れ率を算出するオルソ画像に変換されるフレーム画像を示している。また、破線のフレーム画像は、ひび割れ率を算出しないフレーム画像を示している。
ひび割れ率を算出するオルソ画像に変換されるフレーム画像は、フレーム1〜フレームmのm枚であるものとする。
【0057】
解析対象の起点と終点を含む路線距離Aを解析対象とする場合、ひび割れ率を算出するオルソ画像は、少なくとも路線起点を含んでおり、かつ少なくとも路線終点を含んでいる必要がある。本実施形態では、路線起点を含むフレーム画像の取得を路線起点の手前から開始して、路線終点を含むフレーム画像の取得を路線終点の先まで続けることにより、路線距離Aの全部分における解析を行うことが可能になる。例えば、区間1のオルソ画像は、路線起点より手前のフレーム1を含む。また、区間Nのオルソ画像は、路線終点より先のフレームmを含む。区間1と区間Nの中間にある区間である、例えば、区間2においては、区間2のオルソ画像は区間2内のフレーム画像を含んでいる。従って、区間1と区間Nにおいてオルソ画像に変換されるフレーム画像は、その中間にある区間におけるオルソ画像に変換されるフレーム画像より1枚多くなる。このようにフレーム画像を取得することにより、解析対象の路線の全部分における解析が可能になる。
【0058】
ここで、オルソ画像による解析距離をCとすると、解析距離Cは、フレーム間距離Bの累積値である。フレーム間距離Bは一定であっても、一定でなくてもよい。ここで、解析距離Cが路線距離Aより大きい場合、少なくとも路線距離Aより長い区間において路面のひび割れ解析がされたことを示すことができる。すなわち、フレーム間距離Bを累積したフレーム間距離の累積値Cは検証データとして利用することができる。なお、フレーム間距離が一定である場合、フレーム画像の枚数も検証データとして利用することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、道路を100m毎に区切って、橋梁やトンネルに隣接する区間においては100mに満たない区間が生じる場合を説明した。しかし、区間の設定方法は任意であり、例えば、図3における区間番号3の区間の距離(起点〜終点までの距離)20mを区間番号2に区間に組み入れて、区間番号2の距離を120mとするように設定してもよい。また、道路の区切りを100mとする代わりに50m毎として設定してもよい。また、橋梁やトンネルをひび割れの解析処理の対象として設定してもよい。
【0060】
<変形例>
検証データとして、上述のように撮影された全ての画像(フレーム画像又はオルソ画像)を用いることができるが、撮影された全ての画像はデータ量が大きくなりデータの取扱いが不便となる。そこで、本実施形態においては、検証データとして、以下の2つのデータを用いることにより、簡易的な検証を可能にする場合を変形例として示す。
【0061】
<検証データとしてフレーム間距離の累積値を用いる>
フレーム間距離とは、1のフレーム画像が撮影されてから次のフレーム画像が撮影されるまでの距離方向の長さである。フレーム画像には、背景等が撮影されるため、フレーム間距離毎に撮影されたフレーム画像は、連続した区間において撮影されたものであることを容易に確認することができる。フレーム画像は、オルソ画像に変換されてひび割れ率の算出等に用いられる。従って、所定のフレーム間距離を定めて、フレーム間距離ごとにフレーム画像を撮影して記録することにより、フレーム画像に含まれる路面のひび割れ率を算出したことを推認することが可能となる。フレーム間距離を累積した累積値を記録して起点から終点までの距離との比較をすることにより、起点から終点までの距離においてひび割れ率を算出した路面が正しい点検対象であることを簡易的に検証することが可能となる。
【0062】
<検証データとして、フレーム間距離で撮影されたフレーム画像の枚数を用いる>
所定のフレーム間距離を定めて、フレーム間距離ごとにフレーム画像を撮影してひび割れ率を算出し、フレーム間距離を累積した累積値を記録する代わりに、撮影されたフレーム画像の枚数を記録することによって、起点から終点までの距離において撮影されるべきフレーム画像の枚数と実際に撮影されたフレーム画像の枚数とを比較することが可能となる。フレーム間距離で撮影されたフレーム画像の枚数を検証データとして用いることにより、ひび割れ率を算出した路面が正しい点検対象であることを簡易的に検証することが可能となる。
【0063】
次に、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作を説明する。
図4は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0064】
図4において、入力情報取得部103は、入力部101から入力される入力情報があるか否かを判断する(ステップS11)。入力情報は、例えば、撮影画像取得部1011から取得される撮影画像のデータ、区間属性情報入力部1012から取得される路線の区間属性情報、及び位置データ取得部1013から取得される位置データである。
入力情報がないと判断された場合(ステップS11;NO)、図4のフローチャートに示す処理を終了する(エンド)。なお、終了された処理は、再び開始(スタート)されて、ステップS11の処理が実行される。
一方、入力情報があると判断された場合(ステップS11;YES)、入力情報取得部103は、入力情報を入力情報記憶部105に登録(記憶)する(ステップS12)。
【0065】
ステップS12の処理が実行された後、解析作業者登録部104は、登録部102から入力される登録情報があるか否かを判断する(ステップS13)。登録情報は、例えば、カメラ向き入力部1021から取得される向きの情報、カメラ高さ入力部1022から取得される高さの情報、及びカメラ機種情報等入力部1023から取得されるカメラ機種情報である。
登録情報がないと判断された場合(ステップS13;NO)、図4のフローチャートに示す処理を終了する(エンド)。なお、終了された処理は、再び開始(スタート)されて、ステップS13の処理が実行される。
一方、登録情報があると判断された場合(ステップS13;YES)、解析作業者登録部104は、登録情報を入力情報記憶部105に登録(記憶)する(ステップS14)。
【0066】
ステップS14の処理が実行された後、舗装ひび割れ検出部106は、撮影画像取得部1011から入力されて入力情報記憶部105に記憶された撮影画像のデータに基づき、舗装ひび割れを検出する(ステップS15)。舗装ひび割れ検出部106は、撮影画像の輝度情報を微分処理することにより、輝度の変化の大きい部分を舗装のひび割れと判断することができる。例えば、樹木の影は輝度の変化が少ないため、舗装のひび割れと判断しない。また、舗装ひび割れ検出部106は、微分処理された輝度情報の形状が所定の長さのひび形状であるか否かで舗装のひび割れを判断することができる。例えば、路面の汚れ、落ち葉等の落下物、電線等の構造物の影は、その形状から舗装のひび割れではないと判断することができる。
【0067】
また、舗装ひび割れ検出部106は、路面の状態に応じて舗装ひび割れを検出するための処理方法やパラメータ等の設定を変更するようにしてもよい。例えば、上述の通り、撮影画像における影の有無はひび割れの検出に影響を与えるため、舗装ひび割れ検出部106は、路面を撮影したときの天候、照度等の情報を取得して、取得した情報に応じた処理を行うようにしてもよい。天候としては、例えば、晴れ、曇り、雨等を設定できる。天候が晴れである場合、樹木等によって影ができる可能性が高くなる。また、天候が曇りの場合、路面の凹凸のコントラストが低くなる場合がある。また、天候が雨の場合、路面が光線を反射しやすくなるため、光線の反射によって路面の形状が検出しにくくなる場合がある。また、路面上の積雪、落ち葉等の落下物、堆積土砂の有無によって舗装ひび割れの検出が困難になる場合がある。舗装ひび割れ検出部106は、路面上の積雪等の有無に応じて舗装ひび割れを検出するための処理方法やパラメータ等の設定を変更するようにしてもよい。
【0068】
舗装ひび割れ検出部106の路面の状態に応じた処理方法やパラメータ等の設定の変更は、撮影画像から自動的に行うようにしてもよい。また、舗装ひび割れ検出部106の路面の状態に応じた設定の変更は、利用者による設定によって行うようにしてもよい。舗装ひび割れ検出部106の設定は、例えば登録部102から取得されて入力情報記憶部105に記憶しておき、舗装ひび割れ検出部106が使用するようにしてもよい。
【0069】
舗装ひび割れ検出部106は、ひび割れ率算出部107にひび割れ形状データを出力する前に、撮影画像を正射影変換する。車載カメラは、上述のとおり、路面に対して所定の俯角で配置されるため、撮影画像は路面を斜めから見た画像となる。舗装ひび割れ検出部106は、撮影画像を正射影変換することにより、撮影画像は路面を真上から見たオルソ画像(Ortho Image)に変換する。ひび割れ率算出部107に出力されるひび割れ形状データは、路面を真上から見たときのひびの形状を示すものである。舗装ひび割れ検出部106は、検出したひび割れが路面のどの位置あったかを示す位置データをひび割れ形状データとともにひび割れ率算出部107に出力する。ひび割れ率算出部107に出力する位置データは、位置データ取得部1013から取得されたカメラの位置データに基づき算出することができる。
【0070】
舗装ひび割れ検出部106は、撮影画像をオルソ画像に変換するときに、撮影画像の全部又は一部を変換対象とすることができる。舗装ひび割れ検出部106は、例えば、車載カメラから取得した撮影画像の1フレーム分のフレーム画像(静止画)を正射影変換することによってフレーム画像全体をオルソ画像に変換することができる。
【0071】
また、舗装ひび割れ検出部106は、フレーム画像の中で俯角の大きい部分を順次オルソ画像に変換してもよい。車載カメラは所定の画角において車両後方を撮影するため、撮影画像の上部は俯角の小さい水平方向に近い方向を撮影した画像となる。一方、撮影画像の下部は俯角の大きい路面を真上の方向に近い方向から撮影した画像となる。俯角の大きい部分は、車載カメラから路面までの距離が俯角の小さい部分に比べて短くなるため、フレーム画像においてより高い解像度の路面の画像を含むことになる。舗装ひび割れ検出部106は、連続して取得するフレーム画像の中の俯角の大きい下部(撮影画像手前側の路面)の1マス分、又は数マス分を順次オルソ画像に変換し、変換したオルソ画像を繋ぎわせることにより、連続したオルソ画像を生成することが可能となる。フレーム画像の中で俯角の大きい部分を順次オルソ画像に変換することにより、舗装ひび割れの鮮明な画像を含むオルソ画像を生成することが可能となる。
【0072】
なお、オルソ画像の変換方法は、舗装ひび割れ検出部106の処理能力、車載カメラの性能、気象等の撮影条件、車両の車速等によって調整できるようにしてもよい。例えば、これらの条件によって、フレーム画像からオルソ画像に変換するときのコントラスト調整、明度調整等の前処理の方法、フレーム画像の中のオルソ画像に変換する範囲、生成するオルソ画像の解像度等を調整してもよい。
【0073】
舗装ひび割れ検出部106は、検出した舗装ひび割れを撮影画像に重畳したひび割れ重畳画像を作成(生成)する(ステップS16)。舗装ひび割れ検出部106は、ひび割れ形状データにおいて、ひび割れの形状を色付けした線分で表現する。ひび割れの形状を表す線分の色や線分の太さは、ひび割れの形状により、又は設定により変更できるようにしてもよい。ひび割れ形状データは、ひび割れの形状を示すベクタデータ又はラスタデータであるため、ひび割れ重畳画像は、撮影画像とひび割れの形状を示すラスタデータの組み合わせ、又は撮影画像とひび割れの形状を示すベクタデータの組み合わせであってもよい。ひび割れの形状を示すベクタデータは、ひび割れ重畳画像を表示するときに画像化(ラスタライズ)されて撮影画像と重畳することができる。
なお、ひび割れ重畳画像を生成する画像生成部は、舗装ひび割れ検出部106が持つ場合を説明したが、舗装ひび割れ検出部106以外の機能部で実現するようにしてもよい。
また、本実施形態では、舗装(アスファルト)のひび割れを示すひび割れ重畳画像を生成する場合を説明したが、例えば、コンクリート等、他の材料のひび割れ重畳画像を生成するものであってもよい。
【0074】
ステップS16の処理が実行された後、ひび割れ率算出部107は、舗装ひび割れ検出部106で検出された舗装ひび割れに基づき、0.5mメッシュに含まれる舗装ひび割れの本数をカウントし(ステップS17)、ひび割れ率を算出する(ステップS18)。ひび割れ率は、上述のとおり、マス目の中にひびが2本以上ある場合は100%、マス目の中にひびが1本の場合は60%、マス目の中にひびが0本の場合は0%と算出される。ひび割れ率算出部107は、ひび割れの本数とひび割れ率をひび割れデータとして点検結果データ記憶部108に記憶する。
【0075】
マス目毎のひびの本数は、CSV(Comma-Separated Values又はCharacter-Separated Values)形式のデータ(CSVデータ)等の行と列を表現できるデータ形式で記憶される。例えば、CSVデータを用いる場合、CSVデータの1行又は1列がマス目毎の大きさ(0.5mメッシュ)に対応するため、マス目の位置データはCSVデータの行数又は列数によって表現される。ひび割れ率又はひびの本数は、例えば表示部112に表示される色分けやアイコン等によって表現されてもよい。
本実施形態では、ひび割れ率、ひびの本数、又はそれらを表現した色分け等を「ひび割れデータ」というものとする。ひび割れデータには、ひび割れ率又はひび割れ本数の数値、ひび割れ率又はひび割れ本数の数値に基づく色分け、マークの形状等を含むものとする。例えば、「ひび割れデータを表示する」という場合、ひび割れ率又はひび割れ本数の数値を表示する場合と、ひび割れ率又はひび割れ本数の数値に基づく色やマークを表示する場合を含む。ひび割れデータはマス目毎に設定されるが、例えば所定の範囲のマス目のひび割れデータに対して、平均値等を算出したものをひび割れデータとしてもよい。
本実施形態では、行と列を表現できるデータ形式としてCSVデータを用いる場合を説明したが、行と列を表現できるデータ形式はCSVデータに限定されるものではなく、例えば表計算アプリケーションで用いられるデータ形式であってもよい。
【0076】
ステップS18の処理が実行された後、帳票作成・出力部110は、帳票を作成する(ステップS19)。作成される帳票は、複数の種類の中から利用者が選択するようにしてもよい。また、帳票に入力される情報を利用者が選択又は修正できるようにしてもよい。
【0077】
ステップS19の処理が実行された後、表示制御部111は、表示部112に点検結果を示す画面を表示する(ステップS20)。表示部112に表示する点検結果は、例えば、ひび割れ重畳画像、ひび割れ率、又はそれらのデータに基づきステップS19において作成された帳票である。
ステップS20の処理が実行された後、図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0078】
次に、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の解析処理を説明する。
図5は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の解析処理の一例を示す図である。図5は、舗装ひび割れ解析装置がひび割れ重畳画像を生成し、ひび割れ率を算出している様子を示している。舗装ひび割れ解析装置は、車載カメラ21から取得される撮影画像に基づき、撮影と同時進行でひび割れ重畳画像を生成しながらひび割れ率を算出していることを示している。図5は、表示部112に表示される表示画面の一例である。
【0079】
図5において、表示部112は、撮影画像1121、ひび割れ重畳画像1122、所定の範囲においてカウント中のひび割れ本数の分布(カウント中ひび割れ分布)1123、ひび割れ率1124、及び所定の範囲においてカウントが完了した最終的なひび割れ本数の分布(最終ひび割れ分布)1125の各データを表示する。
【0080】
撮影画像1121は、車載カメラ21によって撮影された走行中の片側車線を撮影した撮影画像を表示したものである。すなわち、図5において表示するひび割れ重畳画像やひび割れ率は、走行中の片側車線についての分析結果を示す。撮影画像1121に表示される撮影画像は、車両20の走行にともなって、画像が図5図示上方(車両の後方)に流れていく。撮影画像1121は、車載カメラ21によって撮影された元画像に対して所定の範囲で切り出された(トリミングされた)画像であってもよい。
【0081】
ひび割れ重畳画像1122は、撮影画像1121に表示された撮影画像に対して、舗装ひび割れを重畳した画像を表示したものである。ひび割れ重畳画像1122に図示している路面上のひび割れは、視認しやすい様に所定の色で色付けされて所定の太さの線分で表現されたひび割れ形状データである。ひび割れ重畳画像1122は、車両の走行により上方に画像が流れる撮影画像に合せて新たに検出された舗装ひび割れを重畳していく。
【0082】
カウント中ひび割れ分布1123及び最終ひび割れ分布1125は、ひび割れ重畳画像1122をオルソ画像に変換したものに、0.5mメッシュのマス目を重畳し、マス目毎にひび割れの本数のカウント結果を表示したものである。
カウント中ひび割れ分布1123は、図示左側から右側に向けてひび割れの本数のカウントが進行していることを示している。カウント中ひび割れ分布1123の道路の幅方向を示す図示左右方向(以下、「幅方向」という。)は、ひび割れ重畳画像1122の道路の距離方向を示す図示上下方向(以下、「距離方向」という。)に対応している。すなわち、車両20が進行すると、ひび割れ重畳画像1122は下から上に向けて画像が流れていく。それに対して、カウント中ひび割れ分布1123のひび割れ分布の図は、左から右に向けてカウント結果が表示されたマス目が増えていく様子を示している。図5では左から7マスまでひび割れのカウント結果が表示されたことを示している(次に8マス目のカウント結果が表示される)。カウント中ひび割れ分布1123のマス目の表示が一番右の13マス目まで達すると、路面長6.5mの範囲のひび割れのカウントが終了する。13マス目まで達したカウント中ひび割れ分布1123の表示は、最終ひび割れ分布1125に移動して表示される。最終ひび割れ分布1125に表示が移動すると、カウント中ひび割れ分布1123の表示は消去されて、再び左端から次の範囲の路面のひび割れのカウント結果を示すマス目が表示されていく。
【0083】
カウント中ひび割れ分布1123及び最終ひび割れ分布1125に図示するハッチングは、ひび割れのカウント数を色分けして表示していることを示している。すなわち、マス目にハッチングがない部分は、その範囲にひび割れがカウントされなかった部分であり、マス目は緑色で表示される。すなわち、緑で表示されたマス目はひび割れ率0%である。マス目に薄いハッチングがされた部分は、ひび割れが1本カントされた部分であり、マス目は黄色で表示される。すなわち、黄色で表示されたマス目はひび割れ率60%である。さらに、マス目に濃いハッチングがされた部分は、ひび割れが2本以上カントされた部分であり、マス目は赤色で表示される。すなわち、赤色で表示されたマス目はひび割れ率100%である。
【0084】
なお、カウント中ひび割れ分布1123及び最終ひび割れ分布1125の距離方向は、マス目が7個分であり、すなわち走行中の車線幅は約3.5mであることを示している。道路の幅方向に合せて表示されるマス目の数が増減されようにしてもよい。
また、色分けされて表示されたマス目毎のひび割れのカウント結果は、例えばCSVデータとして点検結果データ記憶部108に記憶される。車線幅3.5m×路面長6.5mの道路のカウント結果は7列13行のCSVデータとして記憶される。
【0085】
ひび割れ率1124は、算出されたひび割れ率を数値とグラフで表示する。ひび割れ率1124に表示するひび割れ率は、例えば、カウント中ひび割れ分布1123に表示されたマス目毎の値である。また、ひび割れ率1124に表示するひび割れ率は、所定の範囲のマス目の平均値であってもよい。所定の範囲とは、例えば、道路の幅方向のマス目の範囲(0.5m×3.5m)、または車両の進行方向10mのマス目の範囲(10m×3.5m)であってもよい。ひび割れ率1124を表示することにより、利用者は、ひび割れ率の時間的な変化を容易に視認することができる。なお、ひび割れ率1124で表示するひび割れ率の変化は、例えば、音程の高低としてスピーカー等を介して音で出力するようにしてもよい。
なお、図5で説明したひび割れ重畳画像、ひび割れ分布又は表示部112の表示画面は、適宜、点検結果データ記憶部108に記憶される。
【0086】
次に、ひび割れ重畳画像とひび割れ率の算出結果を説明する。
図6は、第1の実施形態の、(A)ひび割れ重畳画像と、(B)ひび割れ率の算出結果の一例を示す図である。
【0087】
図6(A)は、図5で説明したひび割れ重畳画像の一例である。図6(A)は、走行中の片側車線のひび割れを検出するための撮影画像であるが、反対車線のひび割れも同時に検出している。車載カメラ21は、所定の俯角で路面を撮影するため、撮影画像には、検査対象の路面に加えて、撮影画像からの解析対象ではない車線や背景が写る場合がある。従って、撮影画像をそのまま正射影変換した場合、オルソ画像に余計な範囲の画像を含むことになる。そこで、舗装ひび割れ検出部106は、撮影画像に含まれる目標物の画像に基づきオルソ画像に変換する範囲を決定するようにしてもよい。図6では、撮影画像に含まれる白線に基づき、オルソ画像に変換する範囲を決定する場合を例示している。
【0088】
図6(A)に示す撮影画像には、中央線aと車線外側線bが写っている。舗装ひび割れ検出部106は、中央線aと車線外側線bを認識することにより、車線の幅を検出してひび割れ率を算出する路面の範囲を決定することができる。
【0089】
なお、車線の幅の検出は、撮影画像を微分処理することにより、中央線a及び車線外側線bの白線を検出し、検出された白線とカメラの位置データから白線間の距離を算出することができる。また、舗装ひび割れ検出部106は、図3で示した路線の区間属性情報に基づき車線の幅を認識するようにしてもよい。検査対象の路線によっては中央線や車線外側線の白線が存在しない場合がある。路線の区間属性情報を用いることによって、車線の幅を検出するための情報が少ない場合であっても車線の幅を設定することが可能となる。また、路線の一部で白線が不鮮明である区間、又は白線が存在しない区間であって車線の幅を検出できない場合において、区間属性情報で設定された車線の幅を用いるようにしてもよい。
【0090】
図6(B)は、車線の幅に基づき生成されたオルソ画像を示す。図6(B)には、図6(A)と同じ中央線aと車線外側線bが含まれている。図6(B)は、車線の幅に応じたオルソ画像にひび割れ率を示すマス目が重畳されることを示している。なお、図6(B)には、図5のひび割れ分布で示したひび割れの画像が表示されていない。オルソ画像にひび割れの画像を重畳するか否かは、設定を変更できるようにしてもよい。
【0091】
<帳票の説明>
次に、帳票作成・出力部110が作成する帳票を説明する。
図7は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が出力する帳票の一例を示す図である。
図7に示す帳票は、帳票のフォーマットが予め定められており、従来人的作業で作成されていたものである。舗装ひび割れ解析装置は、ひび割れ率等の検査結果に基づき帳票を作成・出力することにより、帳票作成の作業を省力化することができる。
【0092】
図7において、「平均ひび割れ(%)」の記載項目には、検査対象の路線全区間におけるひび割れ率の平均値を算出した結果が入力される。
「区間」の「起点」と「終点」の記載項目には、図3で説明した、路線の区間属性情報の「距離標」のデータが入力される。なお、図7は、図示する区間に属性が橋梁やトンネルの区間が存在しない場合を例示している。
「位置情報」の記載項目には、路線の区間属性情報の「距離標」のデータに基づき、位置データ取得部1013が取得した位置データが入力される。なお、GPSの測定データには誤差が含まれる場合があるため、帳票に入力する位置データは補正されたものであってもよい。位置データの補正は、上述のように方位や加速度によって行なうことができる。また、車両は常に道路上を走行するため、地図上に示される位置データの位置が道路上に存在するように補正するようにしてもよい。
「区間距離」と「点検年月」の記載項目は、路線の区間属性情報のデータをそのまま入力することができる。
なお、図7に示した帳票作成・出力部110が作成した帳票は、所定の文書フォーマットで出力することができる。また、作成された帳票は、表示制御部111を介して表示部112から画面表示してもよい。
【0093】
また、図8は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が出力する帳票の他の一例を示す図である。
図8において、「ひび割れ %」の記載項目は、所定の区間におけるひび割れ率の平均値が入力される。図8は、起点0mからの距離が100m〜200mの区間における平均のひび割れ率が算出されて取得される。さらに100m〜200mの区間における代表的なひび割れ重畳画像とマス目毎のひび割れ率の分布が入力される。
【0094】
なお、図8に示した帳票作成・出力部110が作成した帳票も、所定の文書フォーマットで出力することができる。また、作成された帳票は、表示制御部111を介して表示部112から画面表示してもよい。
【0095】
<地理情報を用いた表示例>
次に、舗装ひび割れ解析装置が作成する地理情報を用いた表示データを説明する。
図9は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が作成する地理情報を用いた表示データの一例を示す図である。図9において、用いられる地理情報は、地図情報である。
【0096】
ひび割れ率算出部107は、位置データ取得部1013が取得した位置データに対応付けて図5又は図6等で説明した所定区間のひび割れ率を算出し、点検結果データ記憶部108に記憶する。表示制御部111は、点検結果データ記憶部108に記憶されたひび割れ率と位置データに基づき、ひび割れ率の測定位置を所定の形状(色を含む)の線分にして、地図情報に重畳して表示する。地図情報に重ね合された線分は、区間のひび割れ率に応じて色分け表示される。例えば、図9に示す起点Aから終点Bまでの路線において、線分はひび割れ率に応じた4色で表示されているものとする。太線で表されるひび割れ率が50%以上の線分は第1の色で表示されるものとする。破線で表されるひび割れ率が30%〜49%の線分は第2の色で表示されるものとする。点線で表されるひび割れ率が290%以下の線分は第3の色で表示されるものとする。また、細線で表されるひび割れ率を算出しないその他の線分は第4の色で表示されるものとする。
地図情報等の地図情報にひび割れ率を表す線分を重畳して表示することにより、路線全区間におけるひび割れ率の分布の把握が容易になる。
【0097】
なお、地理情報には、例えば航空写真の情報等を用いてもよい。地理情報は、例えば点検結果データ記憶部108に予め記憶しておくこともできる。地理情報は利用者が選択して表示できるようにしてもよい。また、ひび割れ率を示す線分の色や太さは任意に設定できるようにしてもよい。
【0098】
また、図9は、路線の全区間が表示できる縮尺で地図を表示する場合を例示したが、地図は拡大又は縮小ができるものとする。ひび割れ率の表示は、表示する地図の縮尺に応じて表示範囲を変更するようにしてもよい。ひび割れ率を示す表示色の色分けは、区間の平均値であっても、所定距離数毎であってもよい。例えば、地図の縮尺が1/25,000の場合、1km毎にひび割れ率に応じた色分けをしてもよい。また、地図の縮尺が1/6、250の場合、100m毎にひび割れ率に応じた色分けをしてもよい。また、地図の縮尺を1/2,500にした場合、13m毎にひび割れ率に応じた色分けをしてもよい。
また、地図の縮尺を切り替えたときに、表示された区間の中でひび割れ率が大きい部分(部分には、「区間」又は「連続した数区間」を含む)の表示色を切り替えるようにしてもよい。
【0099】
また、図9に表示されたひび割れ率を表す線分の1点を指定すると、その地点における詳細な情報が表示されるようにしてもよい。例えば、地図上で1点を指定したときに指定した地点におけるひび割れ重畳画像を表示するようにしてもよい。舗装ひび割れ解析装置は、縮尺を変更したときに、小縮尺の地図においては路線全体を俯瞰することができる。また、舗装ひび割れ解析装置は、0.5mメッシュのマス目毎にひび割れ率を測定して位置データとともに記憶するので、大縮尺の地図においてはマス目単位までの詳細な情報を表示することができる。
【0100】
<第1の実施形態における応用例:過去の状況との比較>
本実施形態においては、表示制御部111が複数のひび割れ重畳画像を比較可能に並べて表示する画面データを生成する場合を例示するが、複数のひび割れ重畳画像の比較可能な表示方法はこれに限定されない。例えば、表示制御部111は、撮影日時の異なる複数のひび割れ重畳画像を同じ表示位置に切り替えて表示するようにしてもよい。例えば、表示制御部111は、3年前に撮影されたひび割れ重畳画像と、最近撮影されたひび割れ重畳画像とを2つ並べて表示する画面データを生成することができる。
【0101】
表示の切換えは利用者が所定の操作によって行なうようにしてもよい。表示制御部111は、ひび割れ重畳画像を切り替えることにより、表示部112の同じ画面位置におけるひび割れ形状データの比較を容易にすることができる。例えば、表示制御部111は、表示するひび割れ重畳画像の撮影日時を切り替えるようにしてもよい。表示する撮影日時は2つの時期に限定されず、例えば、表示制御部111は、5年前、3年前、最近の3つの撮影日時のひび割れ重畳画像を表示してもよい。過去の画像と最近の画像を比較して表示することにより、利用者は路面性状の経時的な変化(例えば、経年変化)を視認することが可能となる。
【0102】
また、表示制御部111は、複数のひび割れ重畳画像のひび割れ形状データの差分を表示するようにしてもよい。表示制御部111は、差分を表示することにより、ひび割れ形状データの変化の視認を容易にすることができる。
【0103】
また、表示制御部111は、過去の画像と最近の画像から過去の画像と最近の画像を比較可能な画像を生成し、生成した画像を表示する画面データを生成してもよい。
【0104】
次に、舗装ひび割れ解析装置が生成する複数のひび割れ重畳画像を含む画面データの表示を説明する。図10は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が生成する複数のひび割れ重畳画像を含む画面データの一例を示す図である。図10に示す画面データは、表示制御部111が作成し、表示部112が表示することができる。
【0105】
図10において、図示左側の図は、前回の点検を実施した2012年のひび割れ重畳画像である。一方、図10図示右側の図は、今回の点検を実施した2015年のひび割れ重畳画像である。点検日時の異なる複数のひび割れ重畳画像を比較する画像を生成して表示することにより、利用者は路面の経時的な劣化状況を容易に把握することができる。
【0106】
なお、図10は、2つのひび割れ重畳画像を比較する場合を例示したが、比較するひび割れ重畳画像の数は2つに限定されるものではない。例えば、5年分の5つのひび割れ重畳画像を比較可能に表示するようにしてもよい。
【0107】
また、比較する複数のひび割れ重畳画像は、並べて表示する以外に、表示部112の画面の同じ表示位置に順番に表示するようにしてもよい。表示部112の画面の同じ表示位置に順番に表示することにより、利用者は変化のあった部分を動画のように視認することができる。また、比較する複数のひび割れ重畳画像の差分を表示するようにしてもよい。例えば、基準となるひび割れ重畳画像に対する年度毎のひび割れの差分を順次表示することにより、利用者は、ひび割れの成長過程を視認することができる。
【0108】
次に、舗装ひび割れ解析装置が算出するひび割れ率の変化の表示を説明する。図11は、第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が算出するひび割れ率の変化の一例を示す図である。
図11において、表示部112の表示画面には、区間番号1の区間を8つの範囲に区切った100m毎のひび割れ率が表示される。例えば、図11に図示する「0」の範囲は、起点である0m〜100mの範囲を示す。
図11図示上段は、前回の点検結果における区間毎のひび割れ率を示し、下段は今回の点検結果における区間毎のひび割れ率を示す。例えば、「0」と「100」の範囲においては、前回の点検結果に比べて今回の点検結果のひび割れ率が改善している。ひび割れ率の改善は、上記範囲において路面の補修が行われたことを示している。一方、「0」、「100」、「600」、及び「700」の範囲においては、前回の点検結果に比べて今回の点検結果のひび割れ率が悪化している。すなわち、図11に示すひび割れ率の変化の表示においては、路面の性状の劣化を経時的に把握できるとともに、路面の補修状況も把握することが可能となる。図11は、前回の点検結果と今回の点検結果を表示する場合を示したが、例えば、複数の年度における点検結果を同時に表示するようにしてもよい。年度毎のひび割れ率の変化を同時に表示した場合、利用者は年度毎の路面の劣化と補修の進行状況を把握することが可能となる。
なお、ひび割れ率の表示の範囲は、設定によって変えるようにしてもよい。例えば、複数の区間におけるひび割れ率を表示するようにしてもよい。
【0109】
<第2の実施形態>
次に、図4で説明した第1の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作における他の一例を第2の実施形態として説明する。
図17は、第2の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作の一例を示すフローチャートである。図17における処理は、図4で説明した、ステップS15の舗装ひび割れ検出処理からステップS18のひび割れ率算出処理を予め定められた区間の起点から終点までを含む路線について行うものである。なお、図17において、図4と同じ処理については同じ符号を付して説明を一部省略する。図17における処理は、図4と同様に舗装ひび割れ解析装置1の各機能で実行されるが、処理の実行は図4で説明した各機能に限定されるものではない。以下の説明では、図17における処理は舗装ひび割れ解析装置1が実行するものとして説明する。
【0110】
図17において、舗装ひび割れ解析装置1は、ステップS11からステップS14の処理において、図4で説明した処理と同様の処理を行う。すなわち、舗装ひび割れ解析装置1の入力情報取得部103は、入力部101から入力される入力情報があるか否かを判断し(ステップS11)、入力情報があると判断された場合(ステップS11;YES)、入力情報を入力情報記憶部105に登録(記憶)する(ステップS12)。解析作業者登録部104は、登録部102から入力される登録情報があるか否かを判断し(ステップS13)、登録情報があると判断された場合(ステップS13;YES)、登録情報を入力情報記憶部105に登録する(ステップS14)。一方、舗装ひび割れ解析装置1は、入力情報がないと判断された場合(ステップS11:NO)、又は登録情報がないと判断された場合(ステップS13:NO)、図4のフローチャートに示す処理を終了する(エンド)。
【0111】
ステップS14の処理が実行された後、舗装ひび割れ解析装置1は、撮影画像取得部1011から入力されて入力情報記憶部105に記憶されたフレーム画像を取得する(ステップS151)。図17においては、フレーム間距離毎に取得した1枚のフレーム画像から、そのフレーム画像に含まれる部分の路面のオルソ画像を生成する場合を説明する。従って、ステップS151におけるフレーム画像を取得する処理は、フレーム間距離毎に実行される。
【0112】
ステップS151の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、撮影位置が起点を通過したか否かを判断する(ステップS152)。本実施形態においては、少なくとも路線の起点から終点の路面を含む区間においてひび割れの解析を行うことが必要である。ステップS152の処理において実行する撮影位置が起点を通過したか否かの判断は、起点の路面についてひび割れの解析をすることができるか否かを判断するものとする。
起点の路面についてひび割れの解析ができるとは、少なくとも起点の路面画像に対してオルソ画像が生成されてひび割れ解析が行われることである。従って、撮影位置が起点を通過したと判断したときには、起点より手前の路面からひび割れ解析が開始されるようにしてもよい。
撮影位置が起点を通過したか否かの判断は、例えば、図2で説明した区間属性情報入力部1012から取得された起点の経緯度の位置情報と、車両に搭載されたGPSから位置情報を比較することにより行うことができる。車両に搭載された車載カメラは、所定の画角で路面を撮影しているため、車両に搭載されたGPSの位置情報から車載カメラで撮影される路面の位置を判断することができる。また、撮影位置が起点を通過したか否かの判断は、撮影画像に含まれる距離標、道路工事撮影用黒板等の目標物を画像認識することによって判断してもよい。また、撮影位置が起点を通過したか否かの判断は、利用者による手動操作がされたか否かによって判断されてもよい。利用者は、車両に搭乗して、車両が起点を通過したのを確認して手動操作を行っても、撮影画像を後日確認しながら手動操作を行ってもよい。
【0113】
撮影位置が起点を通過していないと判断した場合(ステップS152:NO)、舗装ひび割れ解析装置1は、ステップS151の処理を繰り返し実行し、撮影位置が起点を通過するのを待機する。
【0114】
一方、撮影位置が起点を通過したと判断した場合(ステップS155:YES)、舗装ひび割れ解析装置1は、フレーム画像をオルソ画像に変換する(ステップS153)。オルソ画像の変換は、ステップS151の処理において取得されたフレーム画像の中の所定の部分に対して実行される。例えば、舗装ひび割れ解析装置1は、フレーム画像に含まれるフレーム間距離分の路面の画像をオルソ画像に変換する。オルソ画像の変換は、距離方向における所定のマス目分実行される。例えば、舗装ひび割れ検出部106は、距離方向においてマス目1つの0.5m分、又はマス目2つの1m分のオルソ画像を生成してもよい。但し、変換するオルソ画像のマス目の大きさは任意に設定できるようにしてもよい。例えば、マス目の大きさを幅方向に1フィート(0.3048m)、距離方向に2フィートの矩形(長方形)に設定してよい。また、マス目の大きさは、測定する区間や路面の状況に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0115】
ステップS153の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、作成したオルソ画像に対するマス目を設定する(ステップS154)。マス目はひび割れ率を算出する範囲を定めるものであり、本実施形態では。マス目が0.5mメッシュである場合を例示している。例えば、ステップS153において0.5mメッシュのオルソ画像が生成された場合、舗装ひび割れ解析装置1は、生成されたオルソ画像を囲う一辺0.5mの正方形のマス目を設定する。
ステップS154の処理において設定するマス目の表示態様は予め設定しておくことができる。マス目の表示態様は、例えば、マス目の線の色、線の太さ、線の種類(実線、破線、点線、二重線等)、線の透過率等である。マス目の表示態様には、マス目の表示又は非表示の設定を含んでいてもよい。また、マス目の表示態様は、測定する区間や路面の状況に応じて適宜変更するようにしてもよい。例えば、図18において後述する所定の抽出表示の条件に合致するときに、舗装ひび割れ解析装置1は、条件に合致するマス目の表示態様を他のマス目の表示態様と変更するようにしてもよい。なお、抽出表示の具体的な条件については、図18において例示する。
【0116】
ステップS154の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、作成したオルソ画像のマス目の距離を加算する(ステップS155)。マス目の距離を加算することによって、フレーム間距離において作成されたマス目の距離方向の累積値を得ることができる。例えば、ステップS154においてオルソ画像に対して設定されたマス目が距離方向において0.5mの場合、ステップS155の処理において0.5mの距離が累積値に加算される。
【0117】
ステップS155の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、図4における処理と同様に、オルソ画像に含まれる舗装ひび割れを検出して、検出した舗装ひび割れを撮影画像に重畳したひび割れ重畳画像を生成する(ステップS16)。ステップS153の処理おいて、距離方向に1つ分(0.5m)のマス目のオルソ画像を生成した場合、舗装ひび割れ検出部106は、1つ分のマス目のオルソ画像に対してひび割れ重畳画像を作成する。
【0118】
ステップS16の処理を実行した後舗装ひび割れ解析装置1は、舗装ひび割れ検出部106で検出された舗装ひび割れに基づき、マス目に含まれる舗装ひび割れの本数をカウントする(ステップS17)。
【0119】
ステップS17の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、ステップS151の処理と同様に、撮影画像取得部1011から入力されて入力情報記憶部105に記憶されたフレーム画像を取得する(ステップS156)。
【0120】
ステップS156の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、ステップS155の処理において加算したマス目の距離方向の累積値が区間距離に達したか否かを判断する(ステップS157)。マス目の距離方向の累積値が区間距離に達していないと判断した場合(ステップS157:NO)、舗装ひび割れ解析装置1は、ステップS153の処理に戻り、ステップS153〜ステップS157の処理を繰り返す。
【0121】
一方、マス目の距離方向の累積値が区間距離に達したと判断した場合(ステップS157:YES)、舗装ひび割れ解析装置1は、撮影位置が終点を通過したか否かを判断する(ステップS158)。撮影位置が終点を通過したか否かの判断は、起点を通過したか否かの判断と同様に、区間属性情報入力部1012から取得された終点の経緯度の情報と、車両に搭載されたGPSから位置情報を比較することにより行うことができる。また、舗装ひび割れ解析装置1は、撮影画像に含まれる距離標等の目標物等の画像認識、又は利用者による手動操作によって撮影位置が終点を通過したか否かを判断してもよい。
【0122】
なお、撮影位置が終点を通過したと判断した場合におけるステップS156の処理において取得されたフレーム画像には、終点より先の位置の路面の画像が含まれるようにする。例えば、撮影位置が終点を通過したと判断する位置を終点の位置よりフレーム間距離だけ先の位置とすることにより、フレーム画像から生成したオルソ画像に終点の路面が含まれるようにすることができる。
【0123】
撮影位置が終点を通過していないと判断した場合(ステップS158:NO)、舗装ひび割れ解析装置1は、累積して加算されたマス目距離をクリアする(ステップS159)。ステップS159の処理が実行された後、ステップS153の処理で次のフレーム画像が取得される。
【0124】
一方、撮影位置が終点を通過したと判断した場合(ステップS158:YES)、舗装ひび割れ解析装置1は、ひび割れ率を算出する(ステップS18)。舗装ひび割れ解析装置1は、カウントしたひび割れの本数と算出したひび割れ率をひび割れデータとして、点検結果データ記憶部108に記憶してもよい。
【0125】
ステップS18の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、検証データを記録する(ステップS160)。検証データは、上述の通り、ひび割れ率を算出した路面が正しい点検対象であることを検証するためのデータである。ステップS160の処理においては、例えば、ひび割れ率を算出したオルソ画像、ひび割れ率を算出したオルソ画像の枚数、又はひび割れ率を算出したオルソ画像の距離方向の累積距離等を記録することによって、フレーム間距離毎に撮影されたフレーム画像に含まれるオルソ画像に対して確かに点検が実施されたことを検証することが可能となる。
オルソ画像毎の検証データを記録することにより、フレーム間距離の累積値、又はフレーム間距離で撮影されたフレーム画像の枚数を検証データとして用いる場合の基礎データとして利用してもよい。例えば、オルソ画像の距離の累積値がフレーム間距離に到達したときにフレーム間距離の累積値を加算するようにしてもよい。また、オルソ画像の距離の累積値がフレーム間距離に到達したときにフレーム間距離で撮影されたフレーム画像の枚数を加算するようにしてもよい。
【0126】
ステップS160の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、帳票を作成する(ステップS19)。作成される帳票には、上述した検証データを含めることができる。すなわち、帳票には、フレーム間距離の累積値、フレーム間距離で撮影されたフレーム画像の枚数、ひび割れ率を算出したオルソ画像の画像データ、ひび割れ率を算出したオルソ画像の枚数、又はひび割れ率を算出したオルソ画像の距離方向の累積距離等の検証データを含ませてもよい。なお、帳票には、上記のような検証データそのものを含ませてもよく、また、検証データが保管された場所を示すURL(Uniform Resource Locator)等のネットワーク上の所在を表す情報(例えば、二次元コード等)を含ませてもよい。
【0127】
ステップS19の処理を実行した後、舗装ひび割れ解析装置1は、表示部112に点検結果を示す画面を表示する(ステップS20)。表示部112に表示する点検結果は、例えば、ひび割れ重畳画像、ひび割れ率、又はそれらのデータに基づきステップS19において作成された帳票である。すなわち、表示制御部111は、表示部112に検証データを表示するようにしてもよい。ステップS20の処理が実行された後、図17のフローチャートに示す処理を終了する。
【0128】
なお、ステップS156におけるフレーム画像を取得する処理は、フレーム画像において車載カメラからの俯角が大きい部分から取得するのが望ましい。車載カメラからの俯角が大きい部分の方が俯角が小さい部分に比べて路面の解像度が高くなるため、俯角が大きい部分に基づきオルソ画像を生成することによりオルソ画像の解像度が向上して舗装ひび割れの検出精度を向上させることができる。また、区間距離を測定するためのフレーム画像とオルソ画像を生成するためのフレーム画像は異なる頻度で取得するようにしてもよい。
また、フレーム画像は、車載カメラで撮影した動画を静止画にしたものであり、例えば1秒間に30フレーム撮影される動画の1フレーム分の画像である。例えば、車両の振動等によって取得したフレーム画像に不具合が発生した場合、ステップS156の処理においては、前後のフレーム画像を代替して取得してもよい。
【0129】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態として、判定されたひび割れ率に対し、修正機能を有する実施形態を説明する。
図12は、第3の実施形態のひび割れ解析システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0130】
図12において、ひび割れ解析システム(ひび割れ解析装置)は、舗装ひび割れ解析装置1及び舗装ひび割れ解析装置2を持つ。舗装ひび割れ解析装置1は、図1で説明した舗装ひび割れ解析装置1に対してさらに出力部113を持つ。なお、舗装ひび割れ解析装置1の機能の中で舗装ひび割れ解析装置1と同一の機能については同一の符号を付している。
【0131】
出力部113は、点検結果データ記憶部108に記憶されたデータを、ネットワーク3を介して舗装ひび割れ解析装置2に出力する。出力部113は、例えば舗装ひび割れ解析装置2からのデータ取得要求に対して要求されたデータを出力するWebサーバであってもよい。出力部113から出力されるデータは、点検結果データ記憶部108に記憶されたデータであって、例えば、オルソ画像に変換された撮影画像、ひび割れ重畳画像、ひび割れ形状データ(ひび割れの形状を示すベクタデータ又はラスタデータ)、又はひび割れデータ(ひび割れ率、ひび割れ本数等)である。出力部113から出力されるデータの種類は、舗装ひび割れ解析装置2からの要求に応じて決定されるようにしてもよい。
出力部113は、ネットワーク3と有線で接続されるものであっても無線で接続されるものであってもよい。また、出力部113は、舗装ひび割れ解析装置2からデータを受信する機能を持っていてもよい。
【0132】
なお、出力部113から出力されるデータは、点検結果出力部109から記録メディアに出力するようにしてもよい。例えば、ネットワーク3を介して出力部113からデータを取得出来ない舗装ひび割れ解析装置2に対しては、出力部113からデータを取得する代わりに記録メディアによって点検結果データ記憶部108に記憶されたデータを提供するようにすることができる。記録メディアとは、例えば、ハードディスクドライブ、メモリーカード、光ディスク等である。出力部113は、図示しない記録メディアの記録部を持つ。
【0133】
舗装ひび割れ解析装置2は、入力部201、登録部202、入力情報取得部203、編集作業者登録部204、入力情報記憶部205、舗装ひび割れ情報反映部206、ひび割れ率算出部207、編集結果データ記憶部208、点検結果出力部209、帳票作成・出力部210、表示制御部211、及び表示部212を持つ。なお、舗装ひび割れ解析装置2が持つ上記機能の中で、ひび割れ率算出部207、点検結果出力部209、帳票作成・出力部210、表示制御部211、及び表示部212については、舗装ひび割れ解析装置1の点検結果出力部109、帳票作成・出力部110、表示制御部111、及び表示部112とそれぞれの機能と同様であるため、説明の一部を省略する。
【0134】
入力部201は、ネットワークデータ入力部2011及びメディアデータ入力部2012を持つ。
【0135】
ネットワークデータ入力部2011は、ネットワーク3を介して舗装ひび割れ解析装置1の出力部113から、オルソ画像に変換された撮影画像の画像、ひび割れ重畳画像、ひび割れ形状データ(ラスタデータ、ベクタデータ等)又はひび割れデータ(ひび割れ率、ひび割れ本数等)等の入力情報を取得する。ネットワークデータ入力部2011は、ネットワーク3と有線で接続されるものであっても無線で接続されるものであってもよい。
【0136】
メディアデータ入力部2012は、記録メディアから舗装ひび割れ解析装置1のオルソ画像に変換された撮影画像、ひび割れ重畳画像の画像データ、ひび割れ形状データ、又はひび割れデータ等の入力情報を取得する。メディアデータ入力部2012は、図示しない記録メディアの読取部を持つ。
【0137】
なお、図12では、入力部201は、ネットワークデータ入力部2011及びメディアデータ入力部2012を持つ場合を示したが、入力部201は、ネットワークデータ入力部2011又はメディアデータ入力部2012のいずれか一方を持ってもよい。例えば、ネットワーク接続環境が有る場所に舗装ひび割れ解析装置2を設置する場合、少なくともネットワークデータ入力部2011を持つことにより、入力部201はネットワーク3を介してオンラインで入力情報を取得することができる。また、ネットワーク接続環境がない場所に舗装ひび割れ解析装置2を設置する場合、少なくともメディアデータ入力部2012を持つことにより、入力部201は記録メディアを介して入力情報を取得することができる。
【0138】
登録部202は、編集作業者情報入力部2021を持つ。編集作業者情報入力部2021は、編集作業者の情報を取得する。編集作業者は舗装ひび割れ解析装置2の利用者であって、舗装ひび割れ解析装置2において編集作業を行なう者である。編集作業者の情報は、例えば編集作業者の氏名、ID等である。登録部202は、編集作業者情報入力部2021が取得した編集作業者の情報を編集作業者登録部204に登録する。
【0139】
入力情報取得部203は、入力部201から取得した入力情報を、入力情報記憶部205に記憶する。編集作業者登録部204は、登録部102が取得した編集作業者情報を入力情報記憶部205に記憶する。なお、入力部201と登録部202を一つの機能として実装するようにしてもよい。
【0140】
入力情報記憶部205は、入力情報取得部203が取得した入力情報と、編集作業者登録部204が取得した編集作業者情報を記憶する。入力情報記憶部205には、例えば、ハードディスクドライブ等の記憶装置を用いることができる。入力情報記憶部205は、入力情報取得部203が取得した、オルソ画像に変換された撮影画像、ひび割れ形状データ又はひび割れ重畳画像、若しくはひび割れデータを記憶する。
【0141】
編集部213は、入力情報記憶部205に記憶された入力情報(オルソ画像に変換された撮影画像、ひび割れ重畳画像、ひび割れ形状データ、又はひび割れデータ)を読み出して、図示しない表示装置の表示部に編集画面を表示する。編集画面は、表示部212に表示するようにしてもよい。編集部213は、編集画面に、少なくとも撮影画像の画像とひび割れデータを表示して、利用者に対してひび割れデータを編集可能にするひび割れデータ編集部として機能する。ひび割れデータは上述の通り、マス目毎の、ひび割れ率、ひび割れ本数又はそれらを表現した色分け等であり、編集部213は、例えばマス目毎にひび割れ本数を表現した色分けを表示して、利用者がマス目毎に色分けを変更することによりひび割れデータを編集できるようにする。編集部213は、ひび割れデータに対する編集結果である編集情報を取得して入力情報記憶部205に記憶する。編集部213は、入力情報記憶部205に記憶された編集情報に基づき編集画面を変更する。
なお、本実施形態においてひび割れデータの編集とは、ひび割れデータを変更する場合に加えて、ひび割れデータを変更しないで確認だけする場合を含む。従って、後述する編集処理において、ひび割れデータが編集済みであるとは、編集作業者がひび割れデータを確認済みであることを示す。
【0142】
また、編集部213は、編集画面に、ひび割れ形状データを表示して、利用者に対してひび割れ形状データを編集可能にするひび割れ形状データ編集部として機能する。ひび割れ形状データは、上述の通り、ひび割れの形状を示すベクタデータ又はラスタデータである。編集部213は、編集画面に撮影画像とひび割れデータとを対比可能に表示して、ひび割れ形状データの追加、削除又は変更等の編集を可能にする。ひび割れ形状データを編集するための編集画面の詳細については後述する。
【0143】
舗装ひび割れ情報反映部206は、入力情報記憶部205に記憶された編集情報を、元のひび割れデータに反映させてひび割れデータを更新する。ひび割れデータの更新は、CSVデータの値を更新することによって行なうことができる。例えば、車線幅が3.5mでマス目の幅が0.5mであった場合、CSVデータの所定の行は7つの値を持つことになる。元のひび割れデータの所定の行が、(0,0,0,1,2,1,0)であった場合、舗装ひび割れ情報反映部206は、その行を(0,0,1,2,2,1,0)とすることによりひび割れデータを更新することができる。
舗装ひび割れ情報反映部206は、更新したひび割れデータを、入力情報記憶部に記憶されたオルソ画像に変換された撮影画像又はひび割れ重畳画像の画像データとともに編集結果データ記憶部208に記憶する。ひび割れデータの更新は、ひび割れデータが変更されず同一の値を示す編集情報を反映するものであってもよい。
なお、本実施形態では、舗装ひび割れ情報反映部206が編集情報を元のひび割れデータに反映させてひび割れデータを更新する場合を説明したが、例えば編集部213がひび割れデータを更新するようにしてもよい。
【0144】
ひび割れ率算出部207は、入力情報記憶部205に記憶された入力情報に基づき、ひび割れ率算出部107と同様にひび割れ率を算出する。ひび割れ率算出部207は、算出したひび割れ率を編集結果データ記憶部208に記憶する。
【0145】
なお、図12においては、第3の実施形態のひび割れ解析システムは舗装ひび割れ解析装置1及び舗装ひび割れ解析装置2を持つ場合を例示した。しかし、ひび割れ解析システムは舗装ひび割れ解析装置1と舗装ひび割れ解析装置2の機能を一つの装置で実施するものであってもよい。すなわち、図12においては、舗装ひび割れ解析装置1のオルソ画像に変換された撮影画像、ひび割れ重畳画像、ひび割れ形状データ、又はひび割れデータ等の入力情報は、ネットワーク3又は記録メディアを介して舗装ひび割れ解析装置1から舗装ひび割れ解析装置2に受け渡される場合を示したが、舗装ひび割れ解析装置1と舗装ひび割れ解析装置2を一つの装置で実施することにより入力情報は同じ装置内で受け渡される。舗装ひび割れ解析装置1と舗装ひび割れ解析装置2を一つの装置で実施することにより、ひび割れの検出処理と編集処理を同じ装置において実施することができる。
舗装ひび割れ解析装置1と舗装ひび割れ解析装置2を一つの装置で実施する場合、それぞれの装置における機能を統一して同じ機能ブロックで実装してもよい。例えば、入力部101と入力部201を同じ機能ブロックで実装する。同様に登録部102と登録部202、入力情報取得部103と入力情報取得部203、入力情報記憶部105と入力情報記憶部205等を同じ機能ブロックで実装することができる。舗装ひび割れ解析装置1と舗装ひび割れ解析装置2の機能を同じ機能ブロックで実装することにより、舗装ひび割れ解析システムの構成を簡略化してコストを削減することができる。
【0146】
次に、図12で説明した舗装ひび割れ解析装置2の動作を説明する。
図13は、第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0147】
図13において、入力情報取得部203は、入力部201から入力される入力情報があるか否かを判断する(ステップS31)。入力情報は、舗装ひび割れ解析装置1から取得されて、入力部201から入力情報取得部203に入力される。
入力情報がないと判断された場合(ステップS31;NO)、図13のフローチャートに示す処理を終了する(エンド)。なお、終了された処理は、再び開始(スタート)されて、ステップS31の処理が実行される。
一方、入力情報があると判断された場合(ステップS31;YES)、入力情報取得部203は、入力情報を入力情報記憶部205に登録(記憶)する(ステップS32)。
【0148】
ステップS32の処理が実行された後、編集作業者登録部204は、登録部202から入力される編集作業者の登録情報があるか否かを判断する(ステップS33)。
登録情報がないと判断された場合(ステップS33;NO)、図13のフローチャートに示す処理を終了する(エンド)。なお、終了された処理は、再び開始(スタート)されて、ステップS13の処理が実行される。
一方、登録情報があると判断された場合(ステップS33;YES)、編集作業者登録部204は、登録情報を入力情報記憶部205に登録(記憶)する(ステップS34)。
【0149】
ステップS34の処理が実行された後、編集部213は、編集を実行するか否かを判断する(ステップS35)。編集を実行するか否かの判断は、編集部213が表示部212等に表示する画面表示から利用者の操作が行われたか否かによってすることができる。以下の説明では、編集部は編集画面等の表示を表示部212にするものとする。
編集部213は、編集を実行すると判断したときには(ステップS35;YES)、編集画面を表示部212に表示する(ステップS36)。編集画面は、利用者に対してひび割れデータを変更可能に表示するものである。
ステップS36の処理が実行された後、編集部213は、編集結果(編集情報)を入力情報記憶部205に記憶(登録)する(ステップS37)。編集部213は、入力情報記憶部205に記憶した編集結果を編集画面に表示することにより、利用者に対してひび割れデータが変更されたことを報知することができる。編集部213は、編集結果と併せて、編集作業者登録部204に登録されている編集作業者の情報と編集結果を記憶した日時の情報を入力情報記憶部205に記憶する。
【0150】
ステップS37の処理が実行された後、舗装ひび割れ情報反映部206は、編集結果に基づきひび割れデータを変更して編集結果データ記憶部208に記憶する。
【0151】
ステップS16の処理が実行された後、ひび割れ率算出部207は、変更された舗装ひび割れの本数をカウントし(ステップS39)、ひび割れ率を算出する(ステップS40)。ひび割れ率の算出方法は、上述したひび割れ率算出部107における方法と同様である。
【0152】
ステップS40の処理が実行された後、帳票作成・出力部210は、帳票作成・出力部110と同様に、帳票を作成する(ステップS41)。帳票作成・出力部210は、編集部213で編集した編集結果を反映した帳票を作成する。帳票の作成(再作成を含んでいてもよい。)は、ひび割れ率が算出されたときに自動的に実行されてもよく、また、利用者の手動的な操作によって実行されてもよい。作成される帳票は、複数の種類の中から利用者が選択するようにしてもよい。また、帳票に入力される情報を利用者が選択又は修正できるようにしてもよい。なお、ステップS41で作成される帳票は、図15を用いて後述する。
【0153】
ステップS41の処理が実行された後、表示制御部211は、表示部212に編集結果が反映された点検結果を示す画面を表示する(ステップS42)。編集結果が反映された点検結果の表示(再表示)は、帳票の作成と同様に、ひび割れ率が算出されたときに自動的に実行されてもよく、また、利用者の手動的な操作によって実行されてもよい。
ステップS42の処理が実行された後、図13のフローチャートに示す処理を終了する。
【0154】
次に、舗装ひび割れ解析装置2における編集処理を説明する。
図14及び図15は、第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の編集処理の一例を示す図である。
【0155】
図14において、表示部212は、編集処理において表示されるひび割れ編集TOP画面を表示している。ひび割れ編集TOP画面は、例えば図示しない表示画面から利用者が編集開始の指示を入力したときに表示される。ひび割れ編集TOP画面において、表示部212は、路線の区間属性情報2121、及び区間編集情報2122を表示する。
【0156】
区間属性情報2121は、「路線名」、「測定日」及び「天候」の情報を持っている。区間編集情報2122は、「区間番号」、「区間」、「編集ステータス」、「編集日時」及び「編集者」の情報を持っている。「路線名」、「測定日」、「天候」及び「区間番号」は、図5と同様であるので説明を省略する。
【0157】
「区間」は、路線を100m毎に区切った道路の区間である、なお、図13は、図示する全て区間の属性が「道路」である場合を示し、属性が「橋梁」及び「トンネル」である区間を含まないものとする。
「区間」で表示される下線が引かれた文字列は、文字列がハイパーリンクであることを示している。「区間」毎の文字列を利用者がマウス等で選択した場合、選択した区間に対応したリンク先の編集画面が表示される。例えば、「0m〜100m」の文字列を選択した場合、「0m〜100m」の区間に対応した編集画面が表示される。なお、ハイパーリンクの文字列は、例えば「区間番号」等の文字列であってもよい。
【0158】
「編集ステータス」は、編集作業者によってその区間のひび割れデータが編集(更新)されたか否かの編集状況を示す情報である。「編集ステータス」の「済」の表示は、その区間のひび割れデータが編集済みであることを示している。また、「未」の表示は、その区間のひび割れデータが未編集であることを示している。
なお、編集状況の表示は、その区間に「済」及び「未」のような文字による表示をする以外に、例えば、編集済みの区間の表示色を変更したり、編集済みの区間に所定のマークを付与したりするものであってもよい。
【0159】
「編集日時」は、その区間の編集処理が完了した日時である。「編集者」は、編集処理を行なった編集作業者名である。「編集日時」及び「編集者」の情報は、編集ステータスが済である場合に表示される付帯情報である。なお、本実施形態では、その区間において最後に編集処理を行なった編集日時及編集作業者を表示する場合を示したが、例えば編集処理を複数回数実施した場合、編集処理毎の編集日時及編集作業者を記録して表示するようにしてもよい。
【0160】
図15は、図14の区間のハイパーリンクを選択したときに表示部212に表示される編集処理の表示画面を示している。
編集画面2000は、初期状態2001、編集中2002、及び選択箇所2003の編集表示部を持つ。
【0161】
初期状態2001は、図6(B)と同様に、撮影画像のオルソ画像にひび割れ率を示す色分けされたマス目を重畳した表示である。編集作業者は、図示しないマウスやキーボードを用いて、初期状態2001の画像を距離方向にスクロールさせることができる。
初期状態2001の図示上端の(0.0)の表示は、区間の起点を表している。編集作業者は、初期状態2001の画像をスクロールすることにより、区間の起点から終点の100mの中の任意の範囲の撮影画像を表示することができる。
【0162】
初期状態2001の図示左上には道路の中央線(白線)が写っている。また、初期状態2001の図示右下には、道路に設置された点検口と点検口の周囲を補修した補修材による施工跡が写っている。補修材の図示左上のマス目に示された枠は、このマス目が編集済であることを示している。
【0163】
初期状態2001の表示画面上部には、枠非表示a、ひび非表示b、編集済非表示c、及び信頼度非表示dの選択ボタンを持つ。それぞれの選択ボタンは、例えばマウスのクリックで選択状態を変更することができる。
【0164】
枠非表示aは、初期状態2001の撮影画像にマス目を重畳して表示するか否かを選択するための選択ボタンである。図15は、マス目が重畳表示されている場合を示す。マス目は、ひび割れ率を示す色の表示を含んでいる。図15において、マス目にハッチングがない部分は、その範囲にひび割れがカウントされなかったひび割れ率0%の部分であり、表示画面には緑色が表示する。マス目に薄いハッチングがされた部分は、ひび割れが1本カウントされたひび割れ率60%の部分であり、マス目には黄色が表示される。また、マス目に濃いハッチングがされた部分は、ひび割れが2本以上カントされたひび割れ率100%の部分であり、マス目には赤色が示される。編集作業者は、枠非表示aを選択する毎に、マス目の色の表示と非表示を切換えることができる。
【0165】
ひび非表示bは、初期状態2001の撮影画像にひび割れ形状データを重畳して表示するか否かを選択するための選択ボタンである。ひび割れ形状データは、表示画面上で編集作業者が視認しやすい様に所定の色で色付けされて所定の太さの線分で表現される。図15は、ひび割れ形状データが表示されていない場合を示している。編集作業者は、ひび非表示bを選択する毎に、ひび割れ形状データの表示と非表示を切換えることができる。
【0166】
編集済非表示cは、初期状態2001の撮影画像に編集済であることを示す枠線を重畳して表示するか否かを選択するための選択ボタンである。編集済であることを示す枠線は、表示画面上で編集作業者が視認しやすい様に所定の色で色付けされてマス目を囲む所定の太さの枠線で表現される。図15は、編集済であることを示す枠線が表示されている場合を示している。編集作業者は編集済非表示cを選択する毎に、編集済であることを示す枠線の表示と非表示を切換えることができる。
【0167】
信頼度非表示dは、初期状態2001の撮影画像に信頼度の表示を重畳して表示するか否かを選択するための選択ボタンである。信頼度の表示とは、図1において説明した舗装ひび割れ検出部で検出されたひび割れの検出に対する信頼度を表示したものである。信頼度の判定方法は任意である。
【0168】
例えば、本実施形態では、マス目毎に検出したひび割れの本数を、0本、1本又は2本以上の3段階で分類分けしているが、ひび割れと認識するか否かは検出されたひび割れの長さ、太さ、コントラスト等の所定のパラメータが予め定められた閾値の範囲内であるか否かで決定することができる。ひび割れ本数の検出結果が同じ本数であった場合であっても、所定のパラメータが閾値近傍であるときはそのマス目の検出の信頼度は低くなると判断することができる。一方、所定のパラメータが閾値から離れているときにはそのマス目の検出の信頼度は高くなると判断することができる。
【0169】
また、撮影画像に樹木の影等が写りこみ樹木の影を除去する画像処理をした場合、撮影画像に含まれるひび割れの画像もその画像処理により影響を受けて検出の精度が低下する。影を除去する画像処理等をしたマス目については信頼度が低くなると判断することができる。
【0170】
信頼度は、例えばマス目の色を緑、黄色及び赤以外の色で表示したり、マス目に所定のマークを付けたりすることで初期状態2001に表示することができる。編集作業者は信頼度が低いと表示されたマス目について編集作業を実施することにより作業の効率化を図ることができる。図15は、信頼度を示す表示がされていない場合を示している。編集作業者は信頼度非表示dを選択する毎に、信頼度の表示の表示と非表示を切換えることができる。
【0171】
編集中2002は、初期状態2001と同様に、撮影画像のオルソ画像にひび割れ率を示す色分けされたマス目を重畳した重畳画像の表示である。編集中2002は、初期状態2001に対応して距離方向にスクロールさせることができる。例えば、初期状態2001をスクロールしたときには、編集中2002が自動的にスクロールされて、初期状態2001における撮影画像の表示範囲と編集中2002における撮影画像の表示範囲とが同じになるように表示される。編集中2002をクロールしたときにも、初期状態2001が自動的にスクロールされて、撮影画像の表示範囲が同じになる。初期状態2001と編集中2002の撮影画像の表示範囲を同じにすることにより、初期状態と編集中のマス目毎のひび割れデータの比較が容易になる。
【0172】
編集作業者は、編集中2002の表示に中から変更したいマス目をマウス又はキーボードの矢印キーで選択する。選択されたマス目には枠線が表示される。編集作業者は、枠線が表示されたマス目をマウスでクリックする毎に、表示画面に表示されるマス目の色を緑→黄色→赤→緑と変化させることができる。図15は、枠線で示されたマス目が初期状態の黄色から赤色に変更されたことを示している。マス目毎にひび割れ率を変更できるようにすることにより、ひび割れ率の編集を容易にすることが可能となる。
【0173】
編集中2002の表示画面下部には、保存h、初期状態に戻すi、及びキャンセルjの選択ボタンを持つ。それぞれの選択ボタンは、例えばマウスのクリックで選択することができる。
【0174】
保存hは、編集中2002で編集したひび割れ率の編集結果を保存するための選択ボタンである。保存hを選択すると編集中2002で変更したマス目毎のひび割れ率が確定し、編集結果が入力情報記憶部205に保存される。保存hを選択すると図15の編集処理の表示画面の表示が図14のひび割れ編集TOP画面に切換わり、区間編集情報2122のおいて編集作業をした区間の編集ステータスが「済」となり、編集日時と編集者が表示される。
なお、編集中2002でマス目のひび割れ率を変更しないで保存hを選択したときにおいても、区間編集情報2122の編集ステータスは「済」となり、その区間のひび割れ率を編集作業者が確認済みであることを示すことができる。
【0175】
初期状態に戻すiは、編集中2002で編集したひび割れ率の編集結果を初期状態に戻す選択ボタンである。ひび割れ率はマス目毎に編集していくため、編集中2002においては、複数のマス目の編集結果が表示されている。初期状態に戻すiを選択することにより、複数のマス目の編集結果を一度に初期状態に戻すことができる。但し、初期状態に戻すiは、所定のマス目のみを初期状態に戻すものであってもよい。所定のマス目とは、例えば複数のマス目を編集した場合の初期状態に戻されていない最新のマス目である。初期状態に戻すiを複数回選択することにより、複数回の編集結果を1マス目毎に初期状態に戻すことができる。また、所定のマス目は、選択された範囲に含まれる複数のマス目であってもよい。所定の範囲のマス目を小機状態に戻すことにより、編集作業のやり直しを容易にすることができる。
【0176】
キャンセルjは、編集作業を終了して図14に示すひび割れ編集TOP画面に戻す選択ボタンである。キャンセルjを選択したときには、編集中2002における編集結果は保存されず破棄される。
なお、保存h、初期状態に戻すi又はキャンセルjの選択ボタンを選択したときには、操作を確認するためのダイアログを表示して誤操作を防止するようにしてもよい。
【0177】
選択箇所2003は、編集中2002で選択したマス目の撮影画像を拡大した表示である。撮影画像を拡大表示することにより、編集作業者は初期状態2001で表示されたひび割れ率の検出結果の妥当性を判断することができる。選択箇所2003には、撮影画像にひび割れ形状データを表示してもよい。ひび割れ形状データを表示することにより、編集作業者は舗装ひび割れ検出部106がどの画像をひび割れと判断したかを確認することができる。
選択箇所2003は、編集中2002で選択したマス目を中心とした9マス分の撮影画像を表示する。選択箇所2003に表示される枠線Zは編集中2002で選択したマス目を示している。
【0178】
選択箇所2003の表示画面下部には、倍率e、明暗f、及び濃淡gのスライドバーを持つ。それぞれのスライドバーは、例えばマウスでドラッグすることにより設定を変更することができる。
【0179】
倍率eは、選択箇所2003に表示する撮影画像の倍率を変更するスライドバーである。倍率eのスライドバーを、右に移動させると選択箇所に表示される撮影画像が拡大され、左に移動させると選択箇所に表示される撮影画像が縮小される。撮影画像が拡大又は縮小されると、選択箇所2003に表示された枠線Zの大きさも拡大又は縮小される。枠線Zを表示することにより、編集作業者は、撮影画像を拡大又は縮小した場合であっても編集中2002で選択したマス目の範囲を確認することができる。
【0180】
明暗fは、選択箇所2003に表示する撮影画像の明度(明るさ)を調整するスライドバーである。濃淡gは、選択箇所2003に表示する撮影画像の濃度(コントラスト)を調整するスライドバーである。撮影画像の表示の明度と濃度を調整することにより、編集作業者は、撮影画像に含まれるひび割れを見やすくすることができる。なお、本実施形態では撮影画像の表示の明度と濃度を調整可能な場合を示したが、撮影画像の表示の調整はこれらに限定されない。例えば、撮影画像のネガ・ポジを反転させる表示の調整ができるようにしてもよい。また、撮影画像に対してエッジを強調する微分処理を施した画像を表示するようにしてもよい。
【0181】
なお、図15においては、初期状態2001と編集中2002と選択箇所2003の画像を表示した編集画面2000を説明したが、編集画面2000の表示は図15に限定されるものではない。
【0182】
例えば、同じ区間において過去に撮影された撮影画像とそれに基づくひび割れデータを編集画面2000に併せて表示するようにしてもよい。舗装ひび割れは経年変化によって徐々に大きくなり、マス目毎のひび割れ本数が増加する。過去の撮影画像と今回(初期状態)の撮影画像を比較した場合、補修がされていない場合には過去のひび割れ率に対して今回のひび割れ率は低くなることは殆どない。編集画面2000に過去のひび割れデータを今回のひび割れデータに対応させて表示することにより、今回のひび割れ検出において誤検出された箇所を発見しやすくなる。編集作業者は過去のひび割れデータより今回のひび割れデータが好転している箇所を集中的に確認することにより編集作業の効率を向上させることができる。
【0183】
また、編集画面2000に、過去に編集したマス目を識別可能に表示するようにしてもよい。ひび割れの検出は、路面の凹凸、路面に写った樹木等の影により検出精度に影響を受ける。過去にひび割れの誤検出を修正した路面上の所定の位置においては、次の測定において再度ひび割れを誤検出する可能性が高い。編集画面2000に、過去に編集したマス目を識別可能に表示することにより、誤検出されやすい箇所を集中的に確認することができるので編集作業の効率を向上させることができる。過去に編集したマス目には、例えば過去の編集後のひび割れ率を平均したひび割れデータを表示してもよい。
【0184】
次に、帳票作成・出力部210が作成する帳票を説明する。
図16は、第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置が出力する帳票の一例を示す図である。
図16に示す帳票作成・出力部210が作成する帳票は、図7を用いて説明した帳票作成・出力部110が作成する帳票とほぼ同じ記載項目を持つ。帳票作成・出力部210が作成する帳票は、それぞれの区間において記載されるひび割れ率が編集作業によって編集された結果であるか否かを識別する表示(編集済表示)を持つ点において帳票作成・出力部110が作成する帳票と異なる。編集済表示は、例えばひび割れ率の数字の右側に記載される(※)印である。編集済表示は、ひび割れ率のフォントを変更する、編集済表示の記載項目を新たに設けて記載する等、他の方法によって表示してもよい。帳票に編集済表示を記載することにより、その区間のひび割れ率が編集作業者によって確認されたものであることを示すことができる。なお、帳票を出力するときに編集済表示を記載するか否かを設定できるようにしてもよい。
【0185】
なお、図12に示した舗装ひび割れ解析装置2は、図16で示した帳票の他、図8を用いて説明した帳票、図9を用いて説明した地理情報を用いた表示データ、図10を用いて説明した複数のひび割れ重畳画像を含む画面データ、及び図11を用いて説明したひび割れ率の変化の算出結果について舗装ひび割れ解析装置1と同様に生成する。すなわち、舗装ひび割れ解析装置2における点検結果出力部209、帳票作成・出力部210、表示制御部211及び表示部212の機能は、舗装ひび割れ解析装置1における点検結果出力部109、帳票作成・出力部110、表示制御部111及び表示部112の機能に準ずるものであり、舗装ひび割れ解析装置2の機能としての説明を省略する。
【0186】
<第4の実施形態>
次に、第3の実施形態における編集処理の他の一例を第4の実施形態として説明する。
図18は、第4の実施形態の舗装ひび割れ解析装置の編集処理の一例を示す図である。なお、図18において、図15と同じ機能は同じ符号を付して説明を一部省略する。
図18は、図14の区間のハイパーリンクを選択したときに表示部212に表示される編集処理の表示画面の他の一例を示している。編集画面2000は、図15と同様に初期状態2001、編集中2002、及び選択箇所2003の編集表示部を持つ。
【0187】
編集画面2000は、表示画面上部に、図15で説明した、枠非表示a、ひび非表示b、編集済非表示c、及び信頼度非表示dの選択ボタンを持つ。編集画面2000は、さらに、枠透過率a1、解析対象外k1、マス目追加k2、及びマス目削除k3の選択ボタンを持つ。それぞれの選択ボタンは、例えばマウスのクリックで選択状態を変更することができる。
【0188】
枠透過率a1は、初期状態2001の撮影画像に重畳するマス目の線の透過率を設定するための選択ボタンである。枠透過率は、透明(透過率100%)〜不透明(透過率0%)の間で設定できるものとする。なお、枠透過率a1は、透過率の設定以外に、例えば、マス目の線の種類(実線、破線、点線、二重線等)、マス目の色、マス目の線の太さ等のマス目の表示態様を設定するものであってもよい。
また、枠透過率a1は、路面の画像の明るさ、コントラスト、色調等によって透過率を変更するものであってもよい。また、枠透過率a1は、編集を行うマス目について透過率等を変更するものであってもよい。
【0189】
解析対象外k1は、マス目を解析の対象外として設定するための選択ボタンである。解析の対象外に設定するとは、設定したマス目をひび割れ率の算出の対象外とすることである。
撮影される路面上には、積雪、落ち葉等の落下物、堆積土砂、構造物の影等が存在する場合がある。また、路面を撮影する車両の走行状態によっては解析対象以外の路面が撮影される場合がある。さらに、車載カメラへの振動等によって撮影画像が乱れる場合ある。これらの撮影画像は、舗装ひび割れの誤検出の原因となる場合があるため、ひび割れ率を算出するときの解析対象外とすることが望ましい。
解析対象外k1を押下することによって、選択対象外に設定するマス目を選択することができる。マス目の選択は、例えば、対象外としたいマス目をクリックしたり、範囲で指定したりすることで行う。対象外として設定されたマス目は、マス目の色や形状を変更することによって識別できるようにしてもよい。
【0190】
マス目追加k2は、解析対象のマス目を追加するための選択ボタンである。本実施形態では、フレーム画像から生成されるオルソ画像は、幅方向に一定値である場合を例示している。しかし、実際の道路は区間の途中で広くなったり狭くなったりして道幅が変動する。解析対象の道路の幅を広くしたいときに、マス目追加k2を押下することによって編集中2002に対してマス目を追加することができる。
追加部分2004は、マス目追加k2によってマス目が追加されたことを示している。追加するマス目の指定方法は、解析対象外k1の操作と同様に、マス目のクリック等によって行うことができる。例えば、狭い範囲においてマス目を追加する場合、追加する位置にマウスを合せてクリック又はドラッグすることより、マス目毎又はドラッグした範囲のマス目を追加できるようにする。
また、ある程度の距離において道幅が広くなる場合、マウス等によって指定した位置より先の部分について幅方向のマス目を追加するようにしてもよい。また、マス目の追加又は削除は、道路幅を自動的に検出することによって自動的に変更されるようにしてもよい。道路幅は、例えば、中央線と側線を検出することによって自動的に検出するようにしてもよい。また、道路幅は、アスファルトを検出することによって自動的に検出するようにしてもよい。また、マス目の追加は、ゼブラゾーン等車両が走行しない撮影部分を含めるように設定してもよい。
なお、追加可能なオルソ画像は、撮影されたフレーム画像に含まれる路面の範囲によって異なる。路面を撮影するときの車載カメラの方向や画角は、区間の道幅の状態によって適宜調整してもよい。また、追加される部分のオルソ画像の生成は、編集中2002に最初に表示される部分と同時に予め行ってもよく、また、追加される部分が指定されてからフレーム画像から新たに生成されてもよい。追加されるオルソ画像を予め生成しておいた場合、マス目が追加されたときにオルソ画像の表示範囲を変更することにより迅速な表示が可能となる。一方、追加される部分が指定されてからフレーム画像を生成する場合、オルソ画像の表示までに時間を要することになるが、予め用意するオルソ画像の量を少なくできるため、オルソ画像を保存するためのデータ量を削減することが可能となる。
【0191】
マス目削除k3は、マス目追加k2によって追加された解析対象のマス目を削除するための選択ボタンである。マス目削除k3を押下することによって編集中2002に対して追加したマス目を削除することができる、削除するマス目の指定方法は、解析対象外k1の操作と同様に、マス目のクリック等によって行うことができる。なお、マス目削除k3は、解析対象外k1によって機能を代替してもよい。
【0192】
編集画面2000は、抽出表示mの設定画面を含む。
抽出表示とは、所定の条件において抽出されたマス目であることを、マス目の表示態様(色、形状等)を変更することによって初期状態2001又は編集中2002に表示するための設定画面である。抽出表示mは、「ひび割れ率xx%以上」、「周囲との変化」、「前回との変化」、「影」、「路面濡れ」、「積雪」の項目のチェックボックスを有する。また、それぞれの項目には、その項目を設定するための設定ボタンを有する。チェックボックスが選択されたときに、選択された項目の条件において抽出されたマス目の表示態様が変更される。抽出表示mにおいて設定される項目は、舗装ひび割れ解析において注意すべき条件である。抽出されたマス目の表示態様を変更を表示することにより利用者に対して注意すべき部分を視認しやすくすることができる。
【0193】
「ひび割れ率xx%以上」は、設定された範囲におけるひび割れ率が設定値「xx」%以上になった場合にマス目の表示を変更するための項目である。ひび割れ率が高い部分は補修の必要な部分を示している。利用者は、ひび割れ率が高い部分を目視することによって補修の要否を判断することができる。「xx」の数値は設定ボタンによって任意の数値に設定できるものとする。ひび割れ率を抽出するための範囲は、例えば、編集中2002に表示される範囲である。ひび割れ率を抽出するための範囲は、距離方向に連続した10マス、隣接した10マス等に設定できるものであってもよい。
【0194】
「周囲との変化」は、ひび割れ率が周囲に対して変化している部分を抽出するための項目である。例えば、ひび割れ率が高い区間において、一部だけひび割れ率が周囲に比べて低い部分があったとき、または、ひび割れ率が低い区間において、一部だけひび割れ率が周囲に比べて高い部分があったときには、誤検出、撮影の失敗等が発生している場合がある。「周囲との変化」を表示することにより、利用者に対して注意すべき路面の部分を報知することができる。なお、「変化」したか否かの設定は設定ボタンによって任意に設定することができる。例えば、前回とのひび割れ率の差異を設定し、設定した差異以上のひび割れ率の変化があった場合に抽出するようにしてもよい。
【0195】
「前回との変化」は、ひび割れ率が前回の測定に対して変化している部分を抽出するための項目である。例えば、前回の測定とひび割れ率が変化している場合、路面が局所的に破損していたり、補修がされていたり、撮影が失敗していたりする場合がある。「前回との変化」を表示することにより、利用者に対して注意すべき路面の部分を報知することができる。なお、「変化」の割合は、「周囲との変化」と同様に、設定ボタンによって任意に設定できるようにしてもよい。また、ひび割れ率の変化を比較する範囲を任意に設定できるようにしてもよい。
【0196】
「影」、「路面濡れ」及び「積雪」は、上述の通り、路面のひび割れ測定に影響する路面状態を検知するための項目である。路面上の影、路面の濡れ及び積雪の有無は、撮影された画像に対して所定の画像処理を行うことで検出することができる。これらの項目が抽出された部分について利用者に注意を与えることにより、ひび割れの検出状態の確認を容易にすることができる。なお、これらの項目の検出においても、それぞれの設定ボタンによって抽出条件を設定することができる。例えば、画像に対する微分処理の設定、過去に撮影された画像の特徴の設定等を設定するようにしてもよい。
【0197】
<第5の実施形態>
次に、ひび割れ形状データを編集する処理を説明する。
図19は、第3の実施形態の舗装ひび割れ解析装置のひび割れ形状データ編集処理の一例を第5の実施形態として示す図である。
【0198】
図19において、編集画面2100は、撮影画像2101及び編集中2102の編集表示部を持つ。また、編集画面2100は、「鉛筆」、「消しゴム」の選択アイコンを有する。また、編集画面2100は、「画像の拡大・縮小」のスライダを有する。また、編集画面2100は、「ひび割れ再計算」、「ひび割れ率マス目表示」、「保存」、「初期状態に戻す」、及び「キャンセル」のボタンを有する。
【0199】
撮影画像2101は、撮影画像のオルソ画像を表示する。撮影画像2101の図示左端の(4.2m)及び(16.2m)の表示は、区間の起点からの距離を表している。編集作業者は、撮影画像2101の画像を距離方向にスクロールすることにより、区間の起点から終点の中の任意の範囲の撮影画像を表示することができる。また、撮影画像2101は幅方向のスクロールを行うことができる。
【0200】
撮影画像2101の図示左側には道路の中央線が写っている。また、図示右側には道路の側線が写っている。本実施形態においてひび割れ率の算出は、中央線と側線に挟まれた車線において行われるものとする。また、撮影画像2101には、図示する舗装ひび割れaの画像が表示されている。舗装ひび割れaは、撮影されたそのままの画像であり、図示する破線部分はひび割れの幅が狭いことを示している。
【0201】
編集中2102には、撮影画像に対して、検出された舗装ひび割れのひび割れ形状データb1が重畳されて表示されている。ひび割れ形状データb1は、舗装ひび割れaの一部のみが検出されて表示されたものである。舗装ひび割れaの破線で示した幅が狭い部分については検出されていないものとする。ひび割れ形状データb2は、「鉛筆」の選択アイコンによって描画されて追加された部分を示している。
【0202】
「鉛筆」の選択アイコンは、編集中2102にひび割れ形状データを描画して追加するためのラジオボタンを有する。「鉛筆」のラジオボタンを選択することにより、編集中2102に鉛筆アイコンcが表示され、利用者の操作によってひび割れ形状データを描画することができる。また、「消しゴム」の選択アイコンは、撮影画像から検出されたひび割れ形状データ(例えば、ひび割れ形状データb1)、及び「鉛筆」によって編集中2102に描画されたひび割れ形状データ(例えば、ひび割れ形状データb2)を消去するためのラジオボタンを有する。「消しゴム」のラジオボタンを選択することにより、編集中2102に図示しない消しゴムのアイコンが表示され、利用者の操作によって表示されているひび割れ形状データを消去することができる。
【0203】
「鉛筆」又は「消しゴム」によってひび割れ形状データを追加又は削除する編集を行うことにより、検出されなかったひび割れ形状データ、誤検出されたひび割れ形状データの編集(修正)を行うことができる。編集されたひび割れ形状データb2は、検出されたひび割れ形状データb1と表示態様(色、形状等)が異なるようにしてもよい。また、編集されたひび割れ形状データは、「初期状態に戻す」又は図示しない「Undo」の操作によって元に戻すようにしてもよい。
【0204】
「画像の拡大・縮小」のスライダは、撮影画像2101及び編集中2102の編集表示部に表示される画像を拡大又は縮小するための操作部である。利用者は、スライダを左右に移動させることによって画像を縮小又は拡大表示させることができる。なお、画像の拡大、縮小、スクロールは、キーボードやマウスの所定の操作によって行うようにしてもよい。
【0205】
「ひび割れ再計算」は、「鉛筆」等によって編集したひび割れ形状データに基づくひび割れ率を再計算するためのボタンである。ボタンの「Auto」の表示は、「鉛筆」等によってひび割れ形状データを編集する度に自動的にひび割れ率が再計算される状態であることを示している。ひび割れ率の再計算は、利用者による手動操作によって行うようにしてもよい。
図19では、再計算されるひび割れ率として、路線での平均値、区間平均値を表示する場合を例示している。ひび割れ率の算出範囲は、例えば、編集中2102に表示されている範囲、又は利用者によって指定された特定の部分としてもよい。再計算されたひび割れ率を表示することにより、利用者はひび割れ形状データの編集がひび割れ率に与える影響を容易に確認することが可能となる。
【0206】
「ひび割れ率マス目表示」は、図15等で説明した、ひび割れ率を表す形状のマス目を撮影画像2101又は編集中2102に重畳するためのボタンである。ひび割れ率を表す形状のマス目を表示することにより、ひび割れ形状データの編集が部分的なひび割れ率に与える影響を容易に確認することが可能となる。
【0207】
「保存」は、編集中2102で編集したひび割れ形状データの編集結果を保存するためのボタンである。保存を押下すると編集中2102で編集したひび割れ形状データが確定し、編集結果が入力情報記憶部205に保存される。
【0208】
「初期状態に戻す」は、編集中2102で編集したひび割れ形状データの編集結果を初期状態に戻すボタンである。「初期状態に戻す」を押下することにより、編集結果を一度に初期状態に戻すことができる。但し、「初期状態に戻す」は、編集中2102に表示されている部分についてのみ初期状態に戻すものであってもよい。
【0209】
「キャンセル」は、編集作業を終了するボタンである。キャンセルが押下されたときには、編集中2102における編集結果は保存されず破棄される。
なお、保存、初期状態に戻す又はキャンセルのボタンを選択したときには、操作を確認するためのダイアログを表示して誤操作を防止するようにしてもよい。
【0210】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。
図21は、第6の実施形態の舗装ひび割れ解析システムの機能構成を示すブロック図である。
【0211】
図21において、ひび割れ解析システムは、舗装ひび割れ解析装置1及び舗装ひび割れ解析装置2を持つ。図21の舗装ひび割れ解析装置1及び舗装ひび割れ解析装置2の機能の中で図12で説明した同一の機能については同一の符号を付して一部説明を省略する。
【0212】
図21において、舗装ひび割れ解析装置1は、図12の舗装ひび割れ解析装置1に対して、さらに入力部114を持つ。舗装ひび割れ解析装置2は、図12の舗装ひび割れ解析装置2に対して、さらに出力部220を持つ。
入力部114は、ネットワーク3又は記録メディアを介して出力部220から出力されるデータを取得する。例えば、出力部220は、図19で説明した、編集画面2100で編集されたひび割れ形状データを出力する。編集されたひび割れ形状データは、入力部114から舗装ひび割れ解析装置1に取得されて、ひび割れ率算出部107において処理をすることができる。例えば、ひび割れ率算出部107の機能がひび割れ率算出部207の機能に対して高機能である場合、ひび割れ解析システムは、入力部114と出力部220を持つことによって、舗装ひび割れ解析装置2で編集されたひび割れ形状データをひび割れ率算出部107で処理することが可能となる。
図12においては、舗装ひび割れ解析装置2の各機能は、舗装ひび割れ解析装置1の機能と同様であるものとして説明したが、舗装ひび割れ解析装置2から出力されるデータを舗装ひび割れ解析装置1で処理することにより、舗装ひび割れ解析装置2の機能を簡素化することが可能となる。
【0213】
また、舗装ひび割れ解析装置2は、図12の舗装ひび割れ解析装置2が持つ、点検結果出力部109、帳票作成・出力部110、表示制御部111、及び表示部112の機能を有していない。すなわち、舗装ひび割れ解析装置2は、図21に図示する機能構成において動作可能な実施形態を示している。舗装ひび割れ解析装置2の機能を簡素化することにより、舗装ひび割れ解析装置2のコストを低減させることが可能となる。
【0214】
なお、舗装ひび割れ解析装置1及び舗装ひび割れ解析装置2は、図12又は図21の構成に限定されるものではない。例えば、舗装ひび割れ解析装置2は、ひび割れ率又はひび割れ形状データを編集する編集操作のみを行う機能を持つものであってもよい。舗装ひび割れ解析装置2が編集操作のみを行う機能を持つ場合とは、例えば、舗装ひび割れ解析装置2がWebブラウザの機能を持つ場合である。舗装ひび割れ解析装置1は、Webサーバ機能を持ち、ネットワーク3を介して接続されるWebブラウザに対して編集用のUIを提供して編集を可能にすることができる。編集に使用されない画像データやひび割れデータを舗装ひび割れ解析装置2側に送信する必要がないため、データ送受信の負荷を軽減するとともに、舗装ひび割れ解析装置2のコストを低減させることができる。
【0215】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、ひび割れ解析装置は、撮影画像取得部と、ひび割れ検出部と、ひび割れ率算出部とを持つことにより、舗装ひび割れの解析処理の効率化を図ることができる。
【0216】
なお、本実施形態においては、ひび割れ解析処理において、0.5mメッシュのマス目において、ひび割れが2本以上ある場合は100%、ひび割れが1本の場合は60%、ひび割れが0本の場合は0%としてひび割れ率を算出する方法を例示したが、ひび割れ解析処理には他の方法を用いてもよい。例えば、ひび割れの幅、深さ、方向、形状(直線状、曲線状、多角形状等)等の路面状態に応じてひび割れに対する評価を判断する解析処理を行ってもよい。同じひび割れの本数(ひび割れ率)であっても、ひび割れの幅等が異なると舗装の補修の必要性が異なる場合がある。また、ひび割れ率の算出方法自体についても、上記計算方法以外の方法を適用するようにしてもよい。ひび割れ率の算出方法は、所定の基準によって定められているが、基準の変更に応じてひび割れ率の算出方法を変更したひび割れ解析処理を適用してもよい。ひび割れ解析処理の方法は、ひび割れ率算出部107の設定情報(処理アルゴリズム、処理パラメータ等の処理方法を設定する情報)として、例えば図1の登録部102から取得して入力情報記憶部105に記憶しておいてもよい。
【0217】
また、上述した舗装ひび割れ解析装置は、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPU(Central Processing Unit)が実行することで実現してもよい。
ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体のことをいう。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置を含む。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
また、舗装ひび割れ解析装置1及び舗装ひび割れ解析装置2の各機能部は、ソフトウェア機能部であるものとしたが、舗装ひび割れ解析装置1の機能の一部又は全部は、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
【0218】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0219】
1…舗装ひび割れ解析装置,101…入力部,102…登録部,103…入力情報取得部,104…解析作業者登録部,105…入力情報記憶部,106…舗装ひび割れ検出部,107…ひび割れ率算出部,108…点検結果データ記憶部,109…点検結果出力部,110…帳票作成・出力部,111…表示制御部,112…表示部,201…入力部,202…登録部,203…入力情報取得部,204…編集作業者登録部,205…入力情報記憶部,206…舗装ひび割れ情報反映部、207…ひび割れ率算出部,208…編集結果データ記憶部,209…点検結果出力部,210…帳票作成・出力部,211…表示制御部,212…表示部
図1
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