(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937383
(24)【登録日】2021年9月1日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】熱特性を向上させた遠隔チューナモジュール
(51)【国際特許分類】
H04B 1/08 20060101AFI20210909BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20210909BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
H04B1/08 A
H01L23/34 A
H05K7/20 B
H05K7/20 F
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-556917(P2019-556917)
(86)(22)【出願日】2018年4月17日
(65)【公表番号】特表2020-518170(P2020-518170A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2018059736
(87)【国際公開番号】WO2018197260
(87)【国際公開日】20181101
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】102017108638.2
(32)【優先日】2017年4月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506076628
【氏名又は名称】ヒルシュマン カー コミュニケーション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hirschmann Car Communication GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】アダム,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ザオター,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ダオム,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァ,ダーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】アムラー,ラルフ
【審査官】
佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−194830(JP,A)
【文献】
特開2016−141174(JP,A)
【文献】
特開2009−223881(JP,A)
【文献】
特開2012−227399(JP,A)
【文献】
特開2009−141749(JP,A)
【文献】
特開2011−228816(JP,A)
【文献】
特開2009−100151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/08
H01L 23/34
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において高周波信号を移動受信するためのチューナ(1)であって、
前記チューナ(1)は、
- 第1のハウジング部(201)と少なくとも1つのさらなるハウジング部(202)とにより形成されている略箱状のハウジング(2)と、
- 前記ハウジング(2)の内部にその全体が収容されるプリント回路基板(4)と、を有し、
前記チューナ(1)の少なくとも1つのサブ機能を実現するための少なくとも1つの熱的に重要な電子部品(5)が、前記プリント回路基板(4)に配置され、
前記ハウジング部(201、202)の少なくとも1つの領域が、高い熱伝導率を有する熱伝導性材料から構成され、前記少なくとも1つの熱的に重要な電子部品(5)は前記領域に熱伝達するように接続されているとともに、
前記ハウジング(2)は、前記プリント回路基板(4)に向かって前記ハウジング(2)の底面から突出する少なくとも1つの平面状の突出部(8)を有し、
前記少なくとも1つの平面状の突出部(8)は、前記プリント回路基板(4)のサブ領域と接触するように配置され、前記サブ領域は前記少なくとも1つの熱的に重要な電子部品(5)が投影される前記プリント回路基板(4)における領域とは対応しない領域である、
ことを特徴とするチューナ。
【請求項2】
2つのハウジング部(201、202)が前記ハウジング(2)を形成し、両ハウジング部(201、202)は高い熱伝導率を有する熱伝導性材料から構成され、前記少なくとも1つの熱的に重要な電子部品(5)は前記2つのハウジング部(201、202)の少なくとも一方に熱伝達するように接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載のチューナ。
【請求項3】
前記チューナ(1)の設置場所で自由空間内を向く前記ハウジング(2)の外面が、熱放射材料から作られた被膜を少なくとも部分的に備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載のチューナ(1)。
【請求項4】
前記被膜は、高放射率の塗料、特に白色塗料、または陽極酸化により形成されていることを特徴とする、
請求項3に記載のチューナ(1)。
【請求項5】
前記プリント回路基板(4)は、前記少なくとも1つの突出部(8)を介して前記ハウジング(2)に熱結合されていることを特徴とする、
請求項1、2、3、または4に記載のチューナ(1)。
【請求項6】
前記ハウジング(2)は、前記プリント回路基板(4)の方向に突出する少なくとも1つのピン状の熱伝導要素(9)を有し、
前記少なくとも1つのピン状の熱伝導要素(9)は、前記プリント回路基板(4)に実質的に接合および/またはポジティブ接続されていることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載のチューナ(1)。
【請求項7】
前記プリント回路基板(4)の縁部領域が、前記少なくとも1つのピン状の熱伝導要素(9)によって、前記ハウジング(2)に実質的に接合および/またはポジティブ接続されていることを特徴とする、
請求項6に記載のチューナ(1)。
【請求項8】
高い熱伝導率を有する材料から作られた別個の熱伝導要素(3)が、前記ハウジング(2)内に配置され、
前記熱伝導要素(3)は、前記ハウジング(2)および前記少なくとも1つの熱的に重要な電子部品(5)に熱伝導するように接続されていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のチューナ(1)。
【請求項9】
前記略箱状のハウジング(2)の第一の側面には、前記チューナ(1)への電力供給および信号伝送のためのコネクタ(6)を接続するための第一の開口部が形成されており、
前記略箱状のハウジング(2)の第二の側面には、前記チューナ(1)のアンテナ端子用のコネクタ(7)を接続するための第二の開口部が形成されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のチューナ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの熱的に重要な電子部品(5)は、前記ハウジング(2)および/または前記別個の熱伝導要素(3)に、可撓性の熱伝導性材料を介して接続されていることを特徴とする、
請求項8に記載のチューナ(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(2)は、その外面に、前記チューナ(1)の設置場所の部品に熱伝達するように結合する熱伝導要素(11)を備えることを特徴とする、
請求項1から10のいずれか一項に記載のチューナ(1)。
【請求項12】
前記ハウジング(2)は少なくとも1つの突出するねじタブ(10)を有することを特徴とする、
請求項1から11のいずれか一項に記載のチューナ(1)。
【請求項13】
前記チューナ(1)をその意図した設置場所に固着するために、前記ねじタブ(10)の幅が、前記ねじタブ(10)が相互作用するねじの最大直径の少なくとも2倍であることを特徴とする、
請求項12に記載のチューナ(1)。
【請求項14】
高周波信号を受信するための少なくとも1つのアンテナと、請求項1から13のいずれか一項に記載のチューナ(1)とを有し、前記チューナ(1)は前記少なくとも1つのアンテナに取り付けられ、前記少なくとも1つのアンテナに隣接して配置されている、
車両の通信システム。
【請求項15】
請求項14に記載の通信システムを有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立請求項の前提部分の特徴による、車両において高周波信号を移動受信するためのチューナ、そのようなチューナを有する通信配置、およびそのような通信配置を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において高周波信号を移動受信するためのチューナが知られている。このようなチューナは、設置場所における意図した配置および固定のためのハウジングを有し、ハウジングは第1のハウジング部と少なくとも1つのさらなるハウジング部とにより形成され、少なくとも1つのプリント回路基板がハウジングに配置され、チューナの少なくとも1つのサブ機能を実現するための少なくとも1つの熱的に重要な電子部品が、少なくとも1つのプリント回路基板に配置される。当然、さらなる電子部品、プラグ接続部、機械部品などのチューナのさらなる部品が存在し、これらも熱的に重
要であってよいが、熱的に重
要である必要はない。車両内におけるチューナの意図した設置場所では、外部条件に応じて、特に日照または発熱によって非常に高い温度になり、このような非常に高い温度によってチューナの機能が低下し、またはさらには完全に故障するおそれがある。
機能低下または故障は、サブ機能またはチューナ全体のスイッチを切ることにより意図的に行われることがあるが、損傷および故障は高温により生じることもあり、最悪の場合には、チューナ全体の交換が必要になる。
【0003】
言い換えると、本発明は、1つまたは複数のアンテナの直近に装着される遠隔無線チューナモジュール(以下で、遠隔チューナモジュールまたは単にチューナとも称する)に関する。この場合のアンテナは、通常、車両の「外板」(例えば、フロントガラスアンテナ)内/上、車両の外側(例えば、ミラーアンテナ、ルーフアンテナ、スマートアンテナ)、または車体の真下(例えば、バンパもしくはいわゆるスマートバー)に位置する。
【0004】
ほとんどの構成空間は、いくつかの共通の技術的課題を有する。これらの課題はまず、使用可能な極小の構成空間、様々な受信アンテナの直近におけるデジタルおよびアナログRF信号の処理(EMC)、ならびに、日照および電子部品(IC)固有の発熱によりチューナのハウジング内部に生じる熱である。
【0005】
例として述べる構成空間、特にルーフの真下およびフロントガラスアンテナの領域においては、地域、季節、日照に応じて、最高で約105℃という極端な温度になる。動作中、または少なくとも限定的な動作中のチューナは、このような温度に耐えることができなければならない。この目的で現在使用可能な自動車業界のチューナモジュールは、主に−40℃〜+85℃の範囲に特定されているため、このような構成空間に合わせて設計されていないことは確実であり好ましくない。しかしながら、可能な最高環境温度に関して注目すべき、はるかに重要なICの技術的パラメータは、接合部温度である。これは、通常125℃であり、これを超えてはならない。したがって、チューナ設計の目的は、前記基本条件に対処することにある。
【0006】
EP0806851A2から、入力/出力ユニットを有する車両用無線受信システムが知られている。このシステムは、原則として、入力/出力ユニットから離れるように構成されたいくつかの受信ユニットを有する。受信ユニットは互いに接続され、デジタル信号の接続線を介して入力/出力ユニットに接続される。受信ユニットと関連するアンテナとは、互いに空間的に近接して配置される。さらに、この出願においては、アンテナを介して受信され、アンテナ線を介して無線受信機に供給されたアンテナ信号を復調し、チューナ部で品質を評価し、信号処理ユニットにおいて適合させ、増幅した状態で出力に伝えることが記載されている。また、無線受信システムは、入力/出力ユニットと、入力/出力ユニットから離れたいくつかの受信ユニットとを有する分散システムとして構成されることも記載されている。
受信ユニットの各々は、制御ユニット、チューナ部、デジタルインターフェースを有する信号処理ユニット、および信号処理ユニットに関連する少なくとも1つのアンテナを示す。この先行技術において、受信ユニットの分散配置により、うまく適切な位置に機能をもってくることが可能であることが説明されている。さらに、車両のダッシュボードの領域において、ユーザが広範囲のデバイスを操作する必要があるため、空間が常に大きく不足していることが記載されている。温度およびEMCに関する要件は、導入部で述べた構成空間においてアンテナに現在直接装着されている遠隔チューナの場合の何倍も大きく、この遠隔チューナでこの要件を扱うことは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、チューナ、そのようなチューナを有する通信配置、そのような通信配置を有する車両を、チューナの熱管理に関して改良し、故障を避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項の特徴により解決される。
【0009】
チューナに関し、本発明によれば、ハウジング部の少なくとも1つの領域が高い熱伝導率を有する熱伝導性材料から構成され、少なくとも1つの熱的に重要な電子部品がこの領域に熱伝達するように接続されることが想定される。したがって、動作中にそれ自体が高温を生じさせる、かつ/または周囲温度により熱的に重要な温度に晒される熱的に重要な電子部品を、少なくとも1つのハウジング部の少なくとも1つの熱伝導領域に的を絞って熱結合により結合して、臨界温度を低下させることが可能になり、これにより、熱が熱的に重要な部品からハウジング部の少なくとも1つの領域を介してチューナのハウジング外へ放散される。
この放散は、ハウジングのハウジング部のサブ領域のみを熱伝導性材料から構成するだけでなく、ハウジング部全体またはさらには少なくとも2つのハウジング部を熱伝導性材料(同一または異なる材料)から構成することによっても、さらに増加させることができる。考慮される高い熱伝導率を有する熱伝導性材料は、例えば、鋼物質、アルミニウムなどの軽量構成物質、また高い熱伝導率を有するプラスチックである。さらに、熱を熱的に重要な部品からハウジングを介して放散させるだけでなく、ハウジングから、例えば車体の一部などのさらなる要素に結合して放射することにより、熱放散をさらに増加させることができる。加えて、さらなる熱伝達方法が考えられ、以下でさらなる従属請求項に関連して説明する。
【0010】
本発明によれば、チューナおよびチューナを使用する無線システム(通信システム)の必要な信頼性、順応性、および性能が、機能または温度に応じて調整される機能の構成、機械的構造により、かつ求める構成空間に適したEMC対策を使用することにより、有利に達成される。
【0011】
チューナのハウジングの特に簡単な構造が、高い熱伝導率を有する熱伝導性材料から構成された2つのハウジング部がハウジングを正確に形成することにより、次いで、少なくとも1つの熱的に重要な電子部品が2つのハウジング部の少なくとも一方に熱伝達するように接続されることにより実現される。2つのハウジング部を同様に形成し、または互いに異なって形成して、少なくとも1つのプリント回路基板、好ましくは正確に1つのプリント回路基板を収容することができる。両ハウジングが同一部品であれば、特に簡単な構造および簡単な取付けを実現して、特にそのようなチューナの連続製造を安価にすることができる。
【0012】
本発明の発展において、ハウジング、特に一方または両方のハウジング部の外面が、チューナの設置場所で自由空間内を向いており、熱放射材料から作られた被膜を少なくとも部分的に備える。これにより、電子部品に直接または間接的に結合されたハウジングまたはハウジング部の一方を介して、熱的に重要な部品の熱を外部に放散させる、すなわち放射することができる。本発明の発展において、高放射率の塗料または陽極酸化により、被膜を形成する。ハウジング、特にハウジング部の製造後に、対応する領域、例えば面積の大きい下側または上側に塗料または陽極酸化(ハウジングが軽量構成物質から構成される場合)を施して、自由空間内への熱放射を実現することができる。
被膜の場合だけでなく、一般に、少なくとも1つのハウジング部を伝導率の高い物質から形成することは、電子部品からその方向に放射され伝達された熱が拡散して、広い面積にわたって放射することができるという好ましい効果を有する。塗料による被膜の場合、例えば、白色塗料が考慮される。これは放射率が高いからである。
【0013】
本発明の発展において、プリント回路基板はハウジングに熱結合される。これにより、特に電子部品の動作中の発熱または熱の発生によりハウジング内部で生じる熱が、プリント回路基板によって吸収され、ハウジングに伝達される。そこから、熱が、熱伝導率の高い材料から作られたハウジング部の広い面積にわたって拡散し、外部に放射され、そこから適切な方法でさらに伝達されて、ハウジングの内部領域を冷却する。
【0014】
プリント回路基板をハウジングに熱結合するために、発展において、ハウジングは、プリント回路基板の方向に突出する少なくとも1つの熱伝導要素、好ましくはいくつかの熱伝導要素を有し、この少なくとも1つの熱伝導要素は、プリント回路基板に実質的に接合および/またはポジティブ接続されることが想定される。この熱伝導要素は、例えば、突出する突起、固定ピンなどであってよい。プリント回路基板が、ハウジングまたはハウジング部に熱伝達するように実質的に接合またはポジティブ接続されて、プリント回路基板、したがって少なくとも1つの電子部品からの熱がハウジングを介して外部へ伝達され、そこで熱放射を行うことができることが重要である。
【0015】
プリント回路基板とハウジングとの熱結合は、本発明の発展においても行うことができ、これにより、プリント回路基板の縁部領域がハウジングに実質的に接合および/またはポジティブ接続される。これにより、プリント回路基板とハウジングとの熱伝達結合がさらに強化される。縁部領域の一部、好ましくは、プリント回路基板の周縁部領域全体も、熱結合について考慮される。
【0016】
本発明の発展において、ハウジングは、ハウジングの内側を向く少なくとも1つの平面状の高所(planar elevation)を有し、高所は少なくとも1つの熱的に重要な電子部品も位置する領域に位置している。これにより、ハウジング、より正確にはハウジング部を電子部品に的を絞って結合して、熱を電子部品から吸収し、平面状の高所にわたって拡散し、さらにハウジング部の外側に放射することができる。例えば固定ピンとして構成された前記熱伝導要素が別の位置にも存在して、プリント回路基板をハウジング部に機械的に、かつ熱伝達するように結合することができるが、平面状の高所は、熱的に重要な電子部品をプリント回路基板に配置する領域に正確に位置する。この平面状の高所の表面が電子部品の表面と全く同一の大きさであることが理想的であるが、これより小さくても大きくてもよい。
【0017】
本発明の発展において、少なくとも1つの熱的に重要な電子部品は、ハウジングおよび/または別個の熱伝導要素および/またはハウジングの平面状の高所に可撓性の熱伝導性材料を介して接続されている。可撓性の熱伝導性材料、例えば熱伝導パッド、熱伝導ゲル、熱伝導性接着剤などにより、熱的に重要な電子部品とハウジング、別個の熱伝導要素および/またはハウジングの平面状の高所との熱結合が大幅に強化され、それにより、電子部品からその周囲への熱の放散を大幅に増加させることができる。
【0018】
本発明の発展において、高い熱伝導率を有する材料から作られた別個の熱伝導要素は、ハウジング内に配置され、熱伝導要素は、ハウジングおよび少なくとも1つの熱的に重要な電子部品に熱伝導するように接続されている。この場合、プリント回路基板を使用して、または単独で使用して熱を放散させるのではなく、電子部品からハウジングまたはハウジング部の方向に熱を放散させるように適合され設計された別個の追加の熱伝導要素を使用する。さらに、ハウジング内のそのような別個の熱伝導要素は、さらなる熱吸収およびハウジングの内部容積から外部への熱放散を行う。
【0019】
本発明の発展において、ハウジングは、その外面に、チューナの設置場所の部品に熱伝達するように結合する熱伝導要素を備える。前記方法を使用して電子部品からハウジングの外面の方向に熱を移動させ、そこで拡散させているが、ハウジングの外面に装着された追加の熱伝導要素により、チューナからチューナの設置場所の部品の方向に熱をさらに放散させることができる。この方法により、チューナのハウジング内部の温度をさらに低下させる。この熱伝導要素は、平面に形成され、ハウジング部に接続される、例えば接着接合されることが好ましい。
これにより、熱伝導要素とハウジング部との間の空気の絶縁層が避けられるため、熱の連続伝達が保証される。熱伝導要素の平面の大きさは、ハウジング部の表面に一致する、すなわち、縁部を越えて突出しないことが好ましい。しかしながら、熱伝導要素の平面の大きさは、ハウジング部の平面の大きさより小さくても大きくてもよい。平面の熱伝導要素内の凹部、例えば打抜き部が可能である。例えば、熱伝導要素が配置される部品に熱伝達するための平面プレスにより、熱伝導要素は、表面がハウジング部から離れた方を向く状態で設置場所に配置される。平面プレスに加えて、またはこの代わりに、接着接合接続などの実質的な接合接続が考慮される。平面の熱伝導要素は、均一の厚さを有し、または厚さがその平面輪郭、ハウジング部の幾何形状、および/または設置場所の部品の幾何形状に一致する。
これは、ハウジング部の表面と部品の表面との間の、表面にまたがって見える間隙が設置場所で均一でない場合に特に必要である。これにより、ばらつき(例えば、公差または既存のばらつき、湾曲などによる)を補償して、ハウジング部を通して部品の方向へ、熱伝導要素を介して的を絞って熱を拡散させることにより、ハウジング内部からハウジング部を介してだけでなく、設置場所の部品も介して熱を放散させることができる。このために、平面の熱伝導要素は、連続して同一の厚さまたは異なる厚さであり、必要に応じて、異なる厚さの間隙に一致するために弾性変形可能である。
【0020】
本発明の発展において、ハウジングは少なくとも1つの突出するねじタブを有する。この突出するねじタブは、ハウジングの少なくとも1つのハウジング部により形成され、チューナのハウジングをその意図した設置場所にねじ接続により固着するために使用される。同時に、このねじ接続により電気接地接続を実現することができる。しかしながら、さらに重要なのは、前記ハウジング内部から放散させるハウジングからの熱が、ねじタブによりチューナが固定されている部品の方向に外部へ、突出するねじタブを介して冷却のためにさらに伝達されることである。
【0021】
本発明の発展において、チューナをその意図した設置場所に固着するために、ねじタブの幅は、ねじタブが相互作用するねじの最大直径の少なくとも2倍である。これにより、伝達された熱がさらに拡散するため、この熱を比較的大きい幅または比較的広い面積を介して意図した設置場所に放射することができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、前記チューナを車両の通信システムで使用することが想定される。この場合のチューナは、一方で、任意の所望のタイプの設計の少なくとも1つのアンテナに接続され、この少なくとも1つのアンテナを介して高周波信号を受信および/または送信することができる。特に、少なくとも1つのアンテナが受信する高周波信号は、チューナ内部で作成され、チューナのインターフェースを介して、さらなる処理に向けて発せられる。インターフェースは、任意のタイプの低周波アナログ信号および/またはデジタル信号を、下流の電子ユニットによるさらなる処理のためにこのインターフェースで供給するものであってよい。
【0023】
最後に、本発明によれば、前記通信配置を備えた車両が想定される。 以下で、図面を参照しながら本発明によるチューナの例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】上側ハウジング部と下側ハウジング部を有するチューナの斜視図である。
【
図2】上側ハウジング部と下側ハウジング部を有するチューナを、
図1とは異なる角度から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細に示すチューナが参照符号1で示され、このチューナはハウジング2を有する。この場合のハウジング2は、2つのハウジング部、すなわち上側ハウジング部201と下側ハウジング部202とから構成される。両ハウジング部201、202は、高い熱伝導率を有する材料から構成され、これらのハウジング部201、202を使用して、以下で説明する様々な方法により、熱をチューナ1のハウジング2の内部から拡散して外部に放射する。
【0026】
1つの方法は、チューナ1のハウジング2の内部にある別個の熱伝導要素3を使用することであり、この熱伝導要素3は、プリント回路基板4に配置された電子部品5を冷却するためのものである。このために、熱伝導要素3は、電子部品5に熱結合するように接続される。熱伝導要素3自体が、例えば、鋼板、アルミニウム板などの熱伝導性材料から構成されるため、熱伝導要素3は電子部品5の熱を吸収し、その熱を、例えば、プリント回路基板4および/またはハウジング部201、202の一方にさらに伝えて、電子部品5を冷却する。図による例示的な実施形態において、1つの電子部品5のみが存在するのではなく、いくつかの電子部品5を別個の熱伝導要素3に接続することも可能である。
【0027】
チューナ1の電力供給および信号伝送のためのプラグコネクタが、6で示される。さらに、チューナ1のアンテナ端子用のプラグコネクタ7が存在する。
【0028】
熱結合のために、ハウジング2の内側を向き、ここではハウジング部202から突出する平面状の高所8が存在する。これらの平面状の高所8は、電子部品5を位置させる位置に正確に存在することが好ましい。しかしながら、これらの内側を向いた面8を介して、電子部品5ではなくプリント回路基板4のサブ領域をハウジング2に熱結合することも考えられる。
【0029】
さらに、熱放散のために、この場合には下側ハウジング部202により形成される熱伝導要素9が存在する。これらの熱伝導要素9は、ハウジング2の内側を向く固定ピンとして構成され、固定ピンはプリント回路基板4の対応する開口と相互作用する。これは、プリント回路基板4を、対応する開口を介して、固定ピンとして構成された熱伝導要素9上に配置できることを意味する。その後、この熱伝導要素9とプリント回路基板4との、実質的な接合接続および/またはポジティブ接続が行われる。実質的な接合接続は、例えばはんだ付けにより行うことができる。ポジティブ接続に関しては、コーキング、グラウチング(grouting)などが考慮される。
【0030】
ハウジング2の内部から外部への熱の放散をさらに増加させるために、下側ハウジング部2の側壁の内側輪郭を、プリント回路基板4の一部の縁部領域、すなわちプリント回路基板4の外側輪郭に対応させて、プリント回路基板4の縁部領域の一部が、下側ハウジング部202の内側面に熱結合するよう当たるようにすることを考えることができる。
【0031】
チューナ1の要素の熱伝達結合のための前記方法は、例えば、熱伝導ゲル、熱伝導パッド、熱伝導性接着剤などの可撓性の熱伝導性材料を、互いに当たる領域の間に配置することによって補助することができる。
【0032】
チューナ1のハウジング2を意図した設置場所に固定するために、外方を向く少なくとも1つのねじタブ10が設けられる。このねじタブ10は、固定ねじ(図示せず)が貫通する開口を有し、チューナ1の設置場所の部品、例えば車体の一部に固定ねじをねじ込むことができる。このねじタブ10と、ねじタブ10と相互作用する固定ねじとを介して、恒久的な固定が行われるだけでなく、電気接地接続が行われ、特に、これにより、さらなる熱の伝達、熱の拡散、およびハウジング2の内部から車両部品への放射が行われる。
【0033】
さらなる熱の拡散、熱の伝達、および熱結合は、熱伝導要素11を通して行うことができる。この熱伝導要素11は、少なくとも1つのハウジング部(ここでは下側ハウジング部202)と車両部品(ここでは図示せず)との間に配置される。特に、例えば熱伝導パッドとして構成されたこの熱伝導要素11が平面状に形成される場合、熱の拡散、したがって結合、およびハウジング2から車両部品への熱の放射が広い面積にわたって行われる。例示的な実施形態に示す熱伝導要素11は、少なくとも2つの、例えば矩形の凹部を有する。これらの凹部は、電子部品5の熱結合のための、ハウジング2の内側を向く表面または高所8が位置する領域に配置される。これらの表面は、例えば高放射率の塗料または陽極酸化などの熱放射被膜を外側に備えるため、熱伝導要素11から窪んでいる。この場合、これらの表面8を熱伝導要素11で覆うことにより、外方への熱の放射に抗する。
【符号の説明】
【0034】
1 チューナ
2 ハウジング
201 上側ハウジング部
202 下側ハウジング部
3 熱伝導要素
4 プリント回路基板
5 電子部品
6 電力供給およびデジタル信号伝送用のプラグコネクタ
7 アンテナ端子用のプラグコネクタ
8 熱結合のための表面
9 熱伝導要素
10 ねじタブ
11 熱伝導要素