【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本開示は、エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法を提供し、この装置は、
エアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、
加熱要素に電力を供給するための電源と、
を備え、上記方法は、加熱要素に供給される電力を、第1段階において加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が供給され、第2段階において加熱要素の温度が第1の温度よりも低い第2の温度に低下するように電力が供給され、第3段階において加熱要素の温度が第2の温度よりも高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む。
【0007】
本明細書で使用する「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基材と相互作用してエアロゾルを発生させる装置に関連する。エアロゾル形成基材は、例えば喫煙物品の一部などの、エアロゾル発生物品の一部とすることができる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基材と相互作用して、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接吸入できるエアロゾルを発生させる喫煙装置とすることができる。エアロゾル発生装置は、ホルダーとすることができる。
【0008】
本明細書で使用する「エアロゾル形成基材」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することが可能な基材に関連する。このような揮発性化合物は、エアロゾル形成基材を加熱することによって放出することができる。エアロゾル形成基材は、便宜上、エアロゾル発生物品又は喫煙物品の一部とすることができる。
【0009】
本明細書で使用する「エアロゾル発生物品」及び「喫煙物品」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することが可能なエアロゾル形成基材を含む物品を意味する。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接吸入できるエアロゾルを発生させる喫煙物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとすることができる。以下では、一般に「喫煙物品」という用語を使用する。喫煙物品は、タバコスティックとすることができ、或いはタバコスティックを含むことができる。
【0010】
通常、反復的又は連続的に基材を加熱することによってエアロゾルを発生させる既存のエアロゾル発生装置は、時間経過にわたって単一の一定温度を達成するように制御される。しかしながら、エアロゾル形成基材は加熱によって枯渇し、すなわち基材における主要エアロゾル成分の量が減少し、このことは、所与の温度のエアロゾル発生が減少することを意味する。さらに、エアロゾル形成基材の温度が定常状態に達すると、熱拡散効果が低下することによってエアロゾルの送達が減少する。この結果、加熱式喫煙装置の場合にはニコチンなどの、主要エアロゾル成分に関して測定したエアロゾルの送達が時間と共に減少する。加熱過程の最終段階中に加熱要素の温度を上昇させると、時間経過に伴うエアロゾル送達の減少を軽減又は防止することができる。
【0011】
本文脈では、連続的又は反復的加熱とは、通常は5秒よりも長く、場合によっては30秒よりも長い持続時間にわたって基材又は基材の一部を加熱してエアロゾルを発生させることを意味する。加熱式喫煙装置、又はユーザが吸煙を行って装置からエアロゾルを吸引する他の装置の文脈では、このことが、ユーザが装置の吸煙を行っているか否かに関わらず、ユーザによる複数回の吸煙を含む期間にわたってエアロゾルが連続的に発生するように基材を加熱することを意味する。本文脈では、基材の枯渇が重要な問題になる。このことは、ユーザによる吸煙毎に別個の基材又は基材の一部が加熱され、持続時間が約2〜3秒の長さである1回の吸煙よりも長く基材部分が加熱されない瞬間的加熱とは対照的である。
【0012】
本明細書では、「吸煙」という用語と「吸入」という用語を同義的に使用し、これらは、ユーザが口又は鼻を通じて自分の体内にエアロゾルを吸い込む動作を意味するものである。吸入は、エアロゾルがユーザの肺に吸い込まれた状況、さらにはエアロゾルがユーザの体から排出される前にユーザの口又は鼻腔のみに吸い込まれた状況を含む。
【0013】
第1、第2及び第3段階中に連続的にエアロゾルが発生するように、第1、第2及び第3の温度を選択する。第1、第2及び第3の温度は、基材内に存在するエアロゾル形成体の揮発温度に対応する温度範囲に基づいて決定されることが好ましい。例えば、エアロゾル形成体としてグリセリンを使用する場合には、摂氏290度〜320度以上の温度(すなわち、グリセリンの沸点よりも高い温度)を使用する。第2段階中には、温度が最低許容温度を下回らないことを確実にするための電力を加熱要素に供給することができる。
【0014】
第1段階では、加熱要素の温度を、エアロゾル形成基材からエアロゾルが発生する第1の温度に上昇させる。多くの装置、特に加熱式喫煙装置では、装置の作動後にできるだけ早く所望の成分を含むエアロゾルを発生させることが望ましい。加熱式喫煙装置の消費者体験を満足のいくものにするには、「最初の吸煙までの時間」が極めて重要と考えられる。消費者は、装置が作動してから最初の吸煙までに長い時間待つ必要があることを望まない。このため、第1段階では、加熱要素をできるだけ速く第1の温度に上昇させるための電力を加熱要素に供給することができる。第1の温度は、許容温度範囲内に収まるように選択することができるが、消費者への最初の送達として満足できる量のエアロゾルを発生させるために、最大許容温度の近くを選択することができる。装置の最初の動作時間中には、装置内の凝縮によってエアロゾルの送達が減少する。
【0015】
許容温度範囲は、エアロゾル形成基材に依存する。エアロゾル形成基材は、異なる温度において様々な範囲の揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基材から放出される揮発性化合物の中には、加熱過程を通じてしか形成されないものもある。各揮発性化合物は、固有の放出温度以上で放出される。最大動作温度をいくつかの揮発性化合物の放出温度未満に制御することにより、これらの揮発性化合物の成分の放出又は形成を回避することができる。最大動作温度は、通常の動作条件下では基材の燃焼が起きないことを確実にするように選択することもできる。
【0016】
許容温度範囲は、摂氏240度〜摂氏340度の下限と、摂氏340度〜摂氏400度の上限とを有することができ、好ましくは摂氏340度〜摂氏380度とすることができる。第1の温度は、摂氏340度〜摂氏400とすることができる。第2の温度は、摂氏240度〜摂氏340度、好ましくは摂氏270度〜摂氏340度とすることができ、第3の温度は、摂氏340度〜摂氏400度、好ましくは摂氏340度〜摂氏380度とすることができる。第1、第2及び第3の温度の最大動作温度は、いずれも従来の着火端部付きシガレットに存在する望ましくない化合物の燃焼温度又は約摂氏380度を超えないことが好ましい。
【0017】
第2段階及び第3段階では、加熱要素に供給される電力を制御するステップを、加熱要素の温度を許容温度範囲又は所望の温度範囲内に維持するように行うことが有利である。
【0018】
第1段階から第2段階にいつ遷移すべきか、同様に第2段階から第3段階にいつ遷移すべきかについての決定には多くの可能性がある。1つの実施形態では、第1段階、第2段階及び第3段階の各々が、所定の持続時間を有することができる。この実施形態では、装置の作動後の時間を使用して第2及び第3段階をいつ開始していつ終了するかを決定する。別の例では、加熱要素が第1の目標温度に達したらすぐに第1段階を終了することもできる。さらに別の例では、加熱要素が第1の目標温度に達した後の所定の時間に基づいて第1段階が終了する。別の例では、作動後に加熱要素に送達された総エネルギーに基づいて第1段階及び第2段階を終了することができる。さらに別の例では、装置を、例えば専用の流量センサを用いてユーザによる吸煙を検出するように構成することができ、所定の吸煙回数後に第1及び第2段階を終了することができる。これらの選択肢の組み合わせを用いて、いずれか2つの段階の遷移に適用できることが明らかであろう。加熱要素の動作段階が3つよりも多くの異なるものであってよいことも明らかであろう。
【0019】
第1段階が終了すると第2段階が開始し、加熱要素の温度が第1の温度よりも低い温度ではあるが許容温度範囲内の第2の温度に低下するように加熱要素への電力を制御する。この加熱要素の温度の低下が望ましい理由は、装置及び基材が温まると、所定の加熱要素の温度で凝縮が抑えられてエアロゾルの送達が増加するからである。第1段階後には、基材が燃焼する可能性を抑えるためにも加熱要素の温度を低下させることが望ましい。また、加熱要素の温度を低下させると、エアロゾル発生装置が消費するエネルギーの量も減少する。さらに、装置の動作中に加熱要素の温度を変化させることにより、時間変調型の温度勾配を基材に導入できるようになる。
【0020】
第3段階では、加熱要素の温度を上昇させる。第3段階中には、基材がますます枯渇するにつれて継続的に温度を高めることが望ましい。第3段階中に加熱要素の温度を上昇させることにより、基材の枯渇及び熱拡散の低下に起因するエアロゾル送達の減少が補償される。しかしながら、第3段階中における加熱要素の温度の上昇は、あらゆる所望の時間的プロファイルを有することができ、装置及び基材の形状、機材の組成、並びに第1及び第2段階の持続時間に依存することができる。加熱要素の温度は、第3段階全体を通じて許容範囲内に保たれることが望ましい。1つの実施形態では、加熱要素への電力を制御するステップが、第3段階中に加熱要素の温度を継続的に上昇させるように行われる。
【0021】
加熱要素への電力を制御するステップは、加熱要素の温度又は加熱要素の近くの温度を測定して測定温度を提供し、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較結果に基づいて、加熱要素に供給する電力を調整するステップを含むことができる。目標温度は、装置の作動後の第1、第2及び第3段階がもたらされる時間と共に変化することが好ましい。例えば、第1段階中には、目標温度を第1の目標温度とすることができ、第2段階中には、目標温度を第2の目標温度とすることができ、第3段階中には、目標温度を第3の目標温度とすることができ、第3の目標温度は時間と共に次第に上昇する。目標温度は、第1、第2及び第3の動作段階の制約範囲内であらゆる所望の時間的プロファイルを有するように選択できることが明らかであろう。
【0022】
加熱要素は、電気抵抗性加熱要素とすることができ、加熱要素に供給される電力を制御ステップは、加熱要素の電気抵抗を測定し、この測定した電気抵抗に依存して加熱要素に供給される電流を調整するステップを含むことができる。加熱要素の電気抵抗は加熱要素の温度を示し、従って測定された電気抵抗を目標電気抵抗と比較し、これに応じて供給電力を調整することができる。測定温度を目標温度に導くためには、PID制御ループを使用することができる。さらに、加熱要素の電気抵抗を検出する以外に、バイメタル板、熱電対又は専用サーミスタ、或いは加熱要素から電気的に分離された電気抵抗素子などの、温度を検知するための機構を使用することもできる。これらの選択的な温度検知機構は、加熱要素の電気抵抗をモニタすることによる温度測定に加えて、又はその代わりに使用することができる。例えば、加熱要素の温度が許容温度範囲を超えた時に加熱要素への電力を削減するための制御機構内で別個の温度検知機構を使用することができる。
【0023】
方法は、エアロゾル形成基材の特性を識別するステップをさらに含むことができる。その後、この識別された特性に依存して、電力を制御するステップを調整することができる。例えば、異なる基材には異なる目標温度を使用することができる。
【0024】
本発明の第2の態様では、電気作動式エアロゾル発生装置を提供し、この装置は、
エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された少なくとも1つの加熱要素と、
加熱要素に電力を供給するための電源と、
電源から少なくとも1つの加熱要素への電力の供給を制御するための電気回路と、
を備え、この電気回路は、加熱要素に供給される電力を、第1段階において加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇し、第2段階において加熱要素の温度が第1の温度未満に低下し、第3段階において加熱要素の温度が再び上昇し、第1、第2及び第3段階中に継続的に電力が供給されるように制御するよう構成される。
【0025】
各段階の持続時間及び各段階中の加熱要素の温度についての選択肢は、第1の態様に関連して説明した通りである。電気回路は、第1段階、第2段階及び第3段階の各々が一定の持続時間を有するように構成することができる。電気回路は、加熱要素に供給される電力を、第3段階中に加熱要素の温度が継続的に上昇するように制御するよう構成することができる。
【0026】
この回路は、加熱要素に電力を電流パルスとして供給するように構成することができる。そして、加熱要素に供給される電力は、電流のデューティサイクルを調整することによって調整することができる。このデューティサイクルは、パルス幅又はパルスの周波数、或いはこれらの両方を変更することによって調整することができる。或いは、この回路を、加熱要素に電力を連続DC信号として供給するように構成することもできる。
【0027】
電気回路は、加熱要素の温度又は加熱要素の近くの温度を測定して測定温度を提供するように構成された温度検知手段を含むことができるとともに、測定温度と目標温度の比較を行い、この比較に基づいて、加熱要素に供給される電力を調整するように構成することができる。目標温度は、電子メモリに記憶することができ、装置の作動後の第1、第2及び第3段階がもたらされる時間と共に変化することが好ましい。
【0028】
温度検知手段は、サーミスタなどの専用電気部品、又は加熱要素の電気抵抗に基づいて温度を測定するように構成された回路とすることができる。
【0029】
電気回路は、装置内のエアロゾル形成基材の特性を識別する手段と、電力制御命令及び対応するエアロゾル形成基材の特性のルックアップテーブルを保持するメモリとをさらに含むことができる。
【0030】
本発明の第1及び第2の態様では、いずれも加熱要素が電気抵抗材料を含むことができる。好適な電気抵抗材料としては、以下に限定されるわけではないが、ドープセラミック、(例えば二珪化モリブデンなどの)「導電性」セラミック、炭素、黒鉛、金属、金属合金、及びセラミック材料と金属材料から成る複合材料などの半導体が挙げられる。このような複合材料は、ドープセラミック又は非ドープセラミックを含むことができる。好適なドープセラミックの例としては、ドープ炭化珪素が挙げられる。好適な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、白金、金及び銀が挙げられる。好適な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有合金、コバルト含有合金、クロム含有合金、アルミニウム含有合金、チタン含有合金、ジルコニウム含有合金、ハフニウム含有合金、ニオブ含有合金、モリブデン含有合金、タンタル含有合金、タングステン含有合金、スズ含有合金、ガリウム含有合金、マンガン含有合金、金含有合金及び鉄含有合金、及びニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼、Timetal(登録商標)に基づく超合金、並びに鉄−マンガン−アルミニウム基合金が挙げられる。複合材料では、エネルギー伝達の動力学及び必要な外部的物理化学的特性に依存して、任意に電気抵抗材料を絶縁材料に埋め込み、又は絶縁材料で封入又は被膜することができ、或いはこの逆も可能である。
【0031】
本発明の第1及び第2の態様では、いずれもエアロゾル発生装置が、内部加熱要素又は外部加熱要素、或いはこれらの両方を含むことができ、この場合、「内部」及び「外部」はエアロゾル形成基材に関するものである。内部加熱要素は、あらゆる好適な形をとることができる。例えば、内部加熱要素は、加熱ブレードの形をとることができる。或いは、この内部ヒータは、異なる導電性部分を有するケーシング又は基材、或いは電気抵抗性金属チューブの形をとることもできる。或いは、内部加熱要素は、エアロゾル形成基材の中心を通る1又はそれ以上の加熱針又はロッドとすることもできる。他の選択肢としては、例えば、Ni−Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、又は合金ワイヤなどの加熱ワイヤ又はフィラメント、或いは加熱プレートが挙げられる。任意に、内部加熱要素は、剛性キャリア材料内又は剛性キャリア材料上に堆積させることもできる。このような1つの実施形態では、規定の温度−抵抗率関係を有する金属を用いて電気抵抗性加熱要素を形成することができる。このような例示的な装置では、セラミック材料などの好適な絶縁材料上のトラックとして金属を形成し、ガラスなどの別の絶縁材料に挟み込むことができる。このようにして形成したヒータを用いて、動作中に加熱要素の加熱と温度のモニタの両方を行うことができる。
【0032】
外部加熱要素は、あらゆる好適な形をとることができる。例えば、外部加熱要素は、ポリイミドなどの誘電体基板上の1又はそれ以上の可撓性加熱ホイルの形をとることができる。この可撓性ホイルは、基材受け入れキャビティの外周に適合するように成形することができる。或いは、外部加熱要素は、1又は複数の金属グリッド、フレキシブル回路基板、成形相互接続デバイス(MID)、セラミックヒータ、可撓性炭素繊維ヒータの形をとることもでき、或いはプラズマ蒸着などのコーティング技術を用いて好適な成形基板上に形成することもできる。外部加熱要素は、規定の温度−抵抗率関係を有する金属を用いて形成することもできる。このような例示的な装置では、この金属を2つの好適な絶縁材料の層間のトラックとして形成することができる。このようにして形成した外部加熱要素を用いて、動作中に外部加熱要素の加熱と温度のモニタの両方を行うことができる。
【0033】
内部又は外部加熱要素は、ヒートシンク、又は熱を吸収して蓄えた後に時間と共にエアロゾル形成基材に熱を放出できる材料を含む蓄熱体を含むことができる。ヒートシンクは、好適な金属又はセラミック材料などのあらゆる好適な材料で形成することができる。1つの実施形態では、この材料が高熱容量を有し(顕熱蓄熱材)、又は熱を吸収した後に高温相変化などの可逆過程を通じて熱を放出できる材料である。好適な顕熱蓄熱材としては、シリカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、鉱物類、アルミニウムや銀又は鉛などの金属又は合金、及び紙などのセルロース材料が挙げられる。可逆相変化を通じて熱を放出する他の好適な材料としては、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタレン、蝋、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物、又は合金が挙げられる。ヒートシンク又は蓄熱体は、エアロゾル形成基材と直接接触して、蓄えた熱を直接基材に伝達できるように構成することができる。或いは、ヒートシンク又は蓄熱体に蓄えられた熱は、金属チューブなどの熱導体を用いてエアロゾル形成基材に伝達することもできる。
【0034】
加熱要素は、熱伝導によってエアロゾル形成基材を加熱することが有利である。加熱要素は、基材、又は基材が堆積された担体と少なくとも部分的に接触することができる。或いは、内部又は外部加熱要素のいずれかからの熱を、熱伝導要素によって基材に伝導することもできる。
【0035】
本発明の第1及び第2の態様では、いずれも動作中にエアロゾル形成基材をエアロゾル発生装置に完全に収容することができる。この場合、ユーザは、エアロゾル発生装置のマウスピースを吹かすことができる。或いは、動作中、エアロゾル形成基材を含む喫煙物品をエアロゾル発生装置に部分的に収容することもできる。この場合、ユーザは、喫煙物品を直接吹かすことができる。加熱要素は、装置のキャビティ内に位置することができ、このキャビティは、使用時に加熱要素がエアロゾル形成基材内に存在するようにエアロゾル形成基材を受け入れるよう構成される。
【0036】
喫煙物品は、実質的に円筒形状とすることができる。喫煙物品は、実質的に細長とすることができる。喫煙物品は、長さと、この長さに対して実質的に垂直な外周とを有することができる。エアロゾル形成基材は、実質的に円筒形状とすることができる。エアロゾル形成基材は、実質的に細長とすることができる。エアロゾル形成基材も、長さと、この長さに対して実質的に垂直な外周とを有することができる。
【0037】
喫煙物品は、約30mm〜約100mmの全長を有することができる。喫煙物品は、約5mm〜約12mmの外径を有することができる。喫煙物品は、フィルタプラグを含むことができる。フィルタプラグは、喫煙物品の下流端に位置することができる。フィルタプラグは、セルロースアセテートフィルタプラグとすることができる。フィルタプラグは、1つの実施形態では長さが約7mmであるが、約5mm〜約10mmの長さを有することができる。
【0038】
1つの実施形態では、喫煙物品が、約45mmの全長を有する。喫煙物品は、約7.2mmの外径を有することができる。さらに、エアロゾル形成基材は、約10mmの長さを有することができる。或いは、エアロゾル形成基材は、約12mmの長さを有することができる。さらに、エアロゾル形成基材の直径は、約5mm〜約12mmとすることができる。喫煙物品は、外側紙ラッパを含むことができる。さらに、喫煙物品は、エアロゾル形成基材とフィルタプラグの間に分離距離を有することができる。この分離距離は、約18mmとすることができるが、約5mm〜約25mmであってよい。この分離距離は、エアロゾルが喫煙物品内を基材からフィルタプラグに通過する際にエアロゾルを冷却する熱交換器によって喫煙物品内で満たされることが好ましい。熱交換器は、例えば、皺寄せしたPLA材料などの高分子フィルタとすることができる。
【0039】
本発明の第1及び第2の態様では、いずれもエアロゾル形成基材を固体エアロゾル形成基材とすることができる。或いは、エアロゾル形成基材は、固体成分と液体成分の両方を含むこともできる。エアロゾル形成基材は、加熱時に基材から放出される揮発性タバコ香味化合物を含むタバコ含有材料を含むことができる。或いは、エアロゾル形成基材は、非タバコ材料を含むこともできる。エアロゾル形成基材は、エアロゾル形成体をさらに含むことができる。好適なエアロゾル形成体の例には、グリセリン及びプロピレングリコールがある。
【0040】
エアロゾル形成基材が固体エアロゾル形成基材である場合、固体エアロゾル形成基材は、例えば、ハーブ葉、タバコ葉、タバコ茎の断片、再構成タバコ、均質化タバコ、抽出タバコ、成型葉タバコ及び膨張タバコのうちの1つ又はそれ以上を含む粉末、顆粒、ペレット、小片、細糸、条片又はシートのうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。固体エアロゾル形成基材は、バラバラの形であっても、又は好適な容器又はカートリッジに入れて提供することもできる。任意に、固体エアロゾル形成基材は、基材の加熱時に放出される追加のタバコ又は非タバコ揮発性香味化合物を含むこともできる。固体エアロゾル形成基材は、追加のタバコ又は非タバコ揮発性香味化合物を含むカプセルを含むこともでき、このようなカプセルは、固体エアロゾル形成基材の加熱中に溶解することができる。
【0041】
本明細書で使用する均質化タバコとは、粒子状タバコを塊にすることによって形成される材料を意味する。均質化タバコは、シートの形をとることができる。均質化タバコ材料は、5乾燥重量%を上回るエアロゾル形成体含有量を有することができる。或いは、均質化タバコ材料は、5〜30乾燥重量%のエアロゾル形成体含有量を有することもできる。均質化タバコ材料のシートは、タバコ葉の葉身とタバコ葉の茎の一方又は両方をすり潰し又は別様に粉砕することによって得られる粒子状タバコを塊にすることによって形成することができる。これとは別に、又はこれに加えて、均質化タバコ材料のシートは、例えばタバコの処理、取り扱い及び出荷中に副産物として形成されるタバコくず、タバコ粉末及びその他の粒子状タバコのうちの1つ又はそれ以上を含むこともできる。均質化タバコ材料のシートは、粒子状タバコを塊にする支援となるように、タバコの内部を発生源とする1又はそれ以上の内因性バインダ、タバコの外部を発生源とする1又はそれ以上の外因性バインダ、又はこれらの組み合わせを含むことができ、またこれとは別に、又はこれに加えて、均質化タバコ材料のシートは、以下に限定されるわけではないが、タバコ及び非タバコ繊維、エアロゾル形成体、保湿剤、可塑剤、香味料、充填剤、水性及び非水性溶媒、並びにこれらの組み合わせを含む他の添加物を含むこともできる。
【0042】
任意に、固体エアロゾル形成基材は、熱的に安定した担体上に提供し、又はこの担体に埋め込むことができる。この担体は、粉末、顆粒、ペレット、小片、細糸、条片又はシートの形をとることができる。或いは、この担体は、その内面又は外面、或いはこれらの両方に固体基材の薄層が堆積した管状担体とすることもできる。このような管状担体は、例えば、用紙又は用紙状材料、不織性炭素繊維マット、低質量網目金属スクリーン又は有孔金属ホイル、或いは他のいずれかの熱的に安定した高分子マトリックスで形成することができる。
【0043】
固体エアロゾル形成基材は、例えば、シート、泡、ゲル又はスラリの形で担体の表面に堆積させることができる。固体エアロゾル形成基材は、担体の表面全体に堆積させることもでき、或いは使用中に不均一な香味送達が行われるように一定パターンで堆積させることもできる。
【0044】
以上、固体エアロゾル形成基材について言及したが、当業者には、他の実施形態では他の形のエアロゾル形成基材を使用できることが明らかであろう。例えば、エアロゾル形成基材は、液体エアロゾル形成基材であってもよい。液体エアロゾル形成基材を提供する場合、エアロゾル発生装置は、液体を保持する手段を有することが好ましい。例えば、液体エアロゾル形成基材は、容器内に保持することができる。これとは別に、又はこれに加えて、液体エアロゾル形成基材を多孔性担体材料に吸収させることもできる。多孔性担体材料は、例えば、発泡金属又はプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維又はセラミックなどのあらゆる好適な吸収プラグ又は吸収体から形成することができる。液体エアロゾル形成基材は、エアロゾル発生装置の使用前に多孔性担体材料内に保持することができ、或いは、液体エアロゾル形成基材材料を使用中又は使用直前に多孔性担体材料内に放出することもできる。例えば、液体エアロゾル形成基材は、カプセルに入れて提供することができる。カプセルの殻は、加熱時に溶解して、液体エアロゾル形成基材を多孔性担体材料内に放出することが好ましい。カプセルは、任意に液体と組み合わせて固体を含むこともできる。
【0045】
或いは、この担体は、タバコ成分が組み込まれた不織布又は繊維束とすることもできる。この不織布又は繊維束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維又はセルロース派生繊維を含むことができる。
【0046】
本発明の第1及び第2の態様では、いずれもエアロゾル発生装置が、加熱要素に電力を供給するための電源をさらに備えることができる。この電源は、例えばDC電圧源などのあらゆる好適な電源とすることができる。1つの実施形態では、電源がリチウムイオン電池である。或いは、電源は、ニッケル水素電池、ニッカド電池、又は、例えばリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池又はリチウムポリマー電池などのリチウムベースの電池とすることができる。
【0047】
本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様の方法を実行するように構成された、電気作動式エアロゾル発生装置のための電気回路を提供する。
【0048】
本発明の第4の態様では、電気作動式エアロゾル発生装置のためのプログラム可能な電気回路上で実行された時に、このプログラム可能な電気回路に本発明の第1の態様の方法を実行させるコンピュータプログラムを提供する。本発明の第5の態様では、本発明の第4の態様によるコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0049】
異なる態様を参照しながら本開示について説明したが、本開示の1つの態様に関連して説明した特徴を、本開示の他の態様にも適用できることが明らかであろう。
【0050】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態をほんの一例として詳細に説明する。