特許第6937459号(P6937459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6937459ペットドライルームおよびこれに用いられるトレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937459
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】ペットドライルームおよびこれに用いられるトレイ
(51)【国際特許分類】
   A01K 13/00 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   A01K13/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-516363(P2020-516363)
(86)(22)【出願日】2018年6月8日
(65)【公表番号】特表2020-520681(P2020-520681A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】KR2018006510
(87)【国際公開番号】WO2019017591
(87)【国際公開日】20190124
【審査請求日】2019年11月25日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0090566
(32)【優先日】2017年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521302892
【氏名又は名称】ヴームテック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヒョン ギュ
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−046705(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0142807(KR,A)
【文献】 米国特許第04559903(US,A)
【文献】 特開平11−346589(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166426(JP,U)
【文献】 特開2015−057044(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3108761(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−1672185(KR,B1)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0398311(KR,Y1)
【文献】 特開2015−216892(JP,A)
【文献】 実開昭60−028387(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットを収容する収容空間が形成された本体と、本体の前面に連結され、前記収容空間を密閉または開放するためのドアと、前記収容空間内に空気を噴射し循環させるためにモータファン流路ノズルおよびヒータを含んでなる空気循環モジュールとを備えたペットドライルームにおいて、
収容空間の底面に設けられる排便板兼用空気噴射トレイの噴射孔、および収容空間の側面と後面に形成されたノズルから噴射された空気が、収容空間の天井面の前方側に位置した第1吸入口に吸入されるようにし、前記収容空間内の空気が、前方の上方に流れるようにし、
函体からなるトレイ本体部と、トレイ本体部の上側に装着され、多数の噴射孔を備えた踏み板部と、前記踏み板部より高い位置に配置され、収容空間の後面に形成された第1排出口に接続され、前記トレイ本体部内に空気を供給する接続部とを備え、前記トレイ本体部、前記踏み板部及び前記接続部が互いに分離可能な排便板兼用空気噴射トレイを収容空間の底面に設け、
前記収容空間の側面に形成されたノズルは、前記側面を前方部と後方部とに分けた時、前記前方部の送風量が前記後方部の送風量より多くなり、前記後方部の上部側より下部側で送風量が多くなるように、配置されていることを特徴とするペットドライルーム。
【請求項2】
第1、第2吸入口および第2排出口は、取替または洗浄可能なフィルタを備えることを特徴とする請求項1に記載のペットドライルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットドライルームおよびこれに用いられるトレイに関し、より詳細には、犬や猫などのようなペットを洗った後に毛を乾燥させたり、または散歩などの野外活動後に強い風でペットの毛に付いた各種異物を効率的に除去するためのペットドライルームおよびこれに用いられるトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、独身世帯の増加、人口の高齢化などに伴い、ペットとの交感による情緒的慰安を得るために犬や猫のようなペットを飼う世帯が増加している。
【0003】
アパートのみならず、一戸建て住宅の場合にも、室内でペットと一緒に生活する場合が多いが、この時、ペットの汚れた毛や異物は人間の健康にも深刻な影響を及ぼしうることから、ペットの衛生清潔に格別の注意を払わなければならない。
【0004】
ペットの清潔を維持するためには、ペットショップ(Pet Shop)にペットを洗ってくれることを依頼したり、個人が直接ペットを洗ったりするが、洗った後に毛をよく乾燥させなければ風邪や皮膚病の原因となる。
【0005】
乾燥のために一般のヘアードライヤーや据置台に据え置かれたペット用ドライヤーを用いると、乾燥過程で抜けた毛を捕集することができず、乾燥に時間が長くかかるという欠点がある。
【0006】
このような問題を解決するために、ペットを収容して毛を乾かすことが可能なペットドライルームが開発されて普及されている。
【0007】
大韓民国公開特許第2008−0068977号には、図1のように、ペットが収容された収容空間1の内部壁面に沿って温風が下方に移動した後、毛を乾燥させながら上方に移動するペット用乾燥器が開示されている。しかし、この構成によれば、結局、収容空間内の空気の流れ方向および強度を直接的に制御できないので、ペットの姿勢、毛の長さによる制御などが不可能で乾燥効率が非常に低い問題点がある。
【0008】
大韓民国登録特許第1609559号には、図2のように、乾燥効率を高めるために、底面2および側面3から温風が供給可能なドライルーム機能を備えたペット用カバンが開示されている。底面2と側面3から温風が供給される場合、乾燥効率には優れているが、カバンの形態を備えたものであるため、大型ペット用への使用に好適でなく、また、底面2をなす壁体がメッシュ網で充填されていて、空気の流れを弱くし、カバン内でペットが排便活動をする場合、底壁体およびカバンが汚れる問題点がある。
【0009】
大韓民国登録特許第1672185号には、図3のように、ペットの姿勢などを考慮して、収容空間の天井面と側面から温風が供給されるようにノズル4を配置したペット用乾燥器が開示されている。前方上部領域から最も多い温風が供給され、後方に空気が流れる形態の流動が発生するようになっている。この場合、ペットの頭が位置する前方上部領域が高温乾燥して、長時間使用の場合、ペットの呼吸器に有害な影響を及ぼしうる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、ペットの側面および後面を通して収容空間内に空気を吐出した後、天井面の前方側から空気を収容室外に排出させることにより、ペットの毛を立てて乾燥させることで乾燥効率を高めることを目的とする。
【0011】
また、底面から温風を噴射させることでペットが座ったり伏せた姿勢でも腹や尻部分がよく乾燥するようにし、底面が濡れた毛から流れ落ちる水やペットの小便などによって汚れないようにすることを他の目的とする。
【0012】
本発明は、空気循環モジュールの故障を防止することで製品の耐久性を向上させる一方、周辺の空気を清潔に維持できるようにして清潔な使用雰囲気を確保することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するためになされた本発明のペットドライルームは、
ペットを収容する収容空間が形成された本体と、本体の前面に連結され、前記収容空間を密閉または開放するためのドアと、前記収容空間内に空気を噴射し循環させるためにモータ/ファン/流路/ノズル/ヒータを含んでなる空気循環モジュールとを備えたペットドライルームにおいて、
収容空間の底面に設けられる排便板兼用空気噴射トレイの噴射孔、および収容空間の側面と後面に形成されたノズルから噴射された空気が、収容空間の天井面の前方側に位置した第1吸入口に吸入されることを特徴とする。
【0014】
前記排便板兼用空気噴射トレイは、函体からなるトレイ本体部と、トレイ本体部の上側に装着され、多数の噴射孔を備えた踏み板部と、前記踏み板部より高い位置に配置され、収容空間の後面に形成された第1排出口に接続され、前記トレイ本体部内に空気を供給する接続部とを含んでなることが好ましい。
【0015】
空気循環モジュールに外部空気を供給する第2吸入口は、ペットドライルームの外面の上側に位置し、収容空間内の空気を外部に排出するための第2排出口は、ドアに設けられることが好ましい。
【0016】
第1、第2吸入口および第2排出口は、取替または洗浄可能なフィルタを備えることが好ましい。
【0017】
側面のノズルは、ドア側を向くペットの形状に沿って配置し、側面と後面のノズルは、収容空間をなす側面壁体および後面壁体とそれぞれ一体に形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ペットの毛並み方向と反対方向に流動を起こして乾燥させることにより乾燥効率が高まり、乾燥後、ペットの容姿が美麗になる効果を得ることができる。また、底面から温風を噴射可能でペットが座ったり伏せた姿勢でも腹や尻部分がよく乾燥するだけでなく、乾燥時間の間に収容空間内でペットが排便活動をしても収容空間内を清潔に維持することができる効果がある。
【0019】
また、本発明によれば、吸入口および排出口のフィルタによってペットの毛または異物を濾過可能で空気循環モジュールの故障を防止する一方、周辺の空気を清潔に維持することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来の技術を説明するための図。
図2】従来の技術を説明するための図。
図3】従来の技術を説明するための図。
図4】本発明の一実施形態のペットドライルームの斜視図。
図5】本発明の一実施形態のペットドライルームの斜視図。
図6】本発明の一実施形態の排便板兼用空気噴射トレイを示す図。
図7】側面ノズルの配置を示す図。
図8】本発明の一実施形態における空気循環形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施例により図面を参照してより詳細に説明する。
【0022】
図4図5は、本発明の一実施形態のペットドライルームの外観を示す斜視図である。
【0023】
ペットドライルームは、ペットを収容する収容空間1が形成された本体10と、本体10の前面に連結され、前記収容空間1を密閉または開放するためのドア20とを含んでなる。本体10の前面の上部には、収容空間1内に外部空気を供給するための第2吸入口42と、収容空間1内に供給される空気の量、温度、時間などを調節するための制御パネル11とが備えられている。
【0024】
収容空間1は、底面2、側面3、後面5、天井面6によって取り囲まれた空間からなり、側面3と後面5には収容空間内に空気を噴射するノズル4が配置されており、天井面6の前方部には収容空間内の空気を吸入する第1吸入口41が配置されている。底面2には排便板兼用空気噴射トレイ30が装着される。
【0025】
図6に示されるような排便板兼用空気噴射トレイ30は、トレイ本体部31と、ペットが乗るためのもので、トレイ本体部31の上側に装着される多数の噴射孔34を備えた踏み板部32と、前記踏み板部32より上側に配置され、収容空間の後面5の第1排出口51と接続してトレイ本体部31の内部に空気を供給する接続部33とからなる。接続部33に流入する空気は、トレイ本体部31を通過した後、踏み板部32の噴射孔34を通して収容空間1内に噴射される。
【0026】
トレイ本体部31は、収容空間1内のペットの濡れた毛から流れ落ちる水や小便を収容できるように函体からなる。踏み板部32と接続部33は、トレイ本体部31に挟まれる形態などで分離可能に組み立てられる方が洗浄を容易にする。接続部33は、踏み板部32より上側に配置されなければならない理由は、トレイ本体部31の水や小便が第1排出口51に流れ込まないようにするためである。
【0027】
収容空間1内にペットを収容すると、ペットは、その特性上、透明窓21が具備されたドア20を向いて座ったり立ったりする。
【0028】
図7のように、側面3のノズル4は、ドア20側を向くペットの形状に沿って配置されている。すなわち、側面を前方部と後方部とに分けた時、前方部の送風量が後方部の送風量より多いようにノズルを配置し、後方部の上部側より下部側で送風量が多いようにノズルを配置する。このようなノズルの配置によってペットのボディに空気を噴射できるようになるので、乾燥および洗浄効果が高まり、必要のない部分のノズルを閉鎖または調節する必要がないことから、側面3とノズル4を単一体に製作することが可能になり、製作費用を低減することができる。
【0029】
図8は、空気循環モジュールによってペットドライルームに形成される流動を示すものである(側面のノズルによる流動は図示せず)。
【0030】
モータ61とファン62は、収容空間1の上側に位置し、収容空間1内に空気を排出または吸入する流動を発生させ、ヒータ63は、収容空間1内に供給される空気を加熱する役割を果たす。流路は、収容空間をなす壁体とペットドライルームの外壁をなす壁体との間に形成され、ノズル4は、収容空間1の側面3と後面5にそれぞれ形成される。先に説明した排便板兼用空気噴射トレイ30の噴射孔34および前記ノズル4を通して収容空間1内に空気が噴射される。
【0031】
ペットの濡れた毛を乾かす場合には熱風が供給されなければならないが、埃や異物を叩き落とすための場合には、空気を敢えて加熱しなくても構わない。
【0032】
ペットドライルームの外面の上側に配置され、外部空気が吸入される第2吸入口42、および収容空間1の天井面6の前方側に配置され、収容空間1内の空気が吸入される第1吸入口41に吸入された空気は、モータ61とファン62によって流路に沿って移動した後、側面3と後面5のノズル4と排便板兼用空気噴射トレイ30の噴射孔34を通して収容空間1内に噴射される。ノズル4と噴射孔34を通して噴射された空気は、ペットの毛を乾かしてから、収容空間1の天井面6の前方側に配置された第1吸入口41に流入する。
【0033】
収容空間1内のこのような空気の流動、すなわち、後方から前方に、そして下方から上方に流れる空気の流動は、前方のドアを向いているペットの毛並み方向と逆方向の流れであるので、毛の深くに熱風が供給され、効果的な乾燥が可能になる。また、前方の上部に位置するペットの頭部側を流れる空気は、ペットのボディに沿って除湿された水分が含まれているので、ペットの呼吸器を乾燥させることもなくなるのである。
【0034】
収容空間1内を流れる空気中の一部は、ドア20の下端に設けられた第2排出口52を通して外部に噴出される。
【0035】
外部空気の流入または外部への空気の排出は、必要に応じて遮断することもできるが、これは、第2吸入口42および/または第2排出口52を閉鎖することによって行われる。
【0036】
外部からペットドライルームへの異物の流入を防止し、収容空間1内の毛や異物がモータやファン、または外部に流出するのを防止するために、第1、第2吸入口41、42および第2排出口52には取替または洗浄可能なフィルタを備えている。外部空気が供給される第2吸入口42には、アロマの香りや酸素を発生させるカートリッジ(図示せず)をさらに設けると、閉鎖された収容空間内のペットがより安定感を得ることができる。
【0037】
また、収容空間1内にはLED照明を設けることでペットをより良く観察できるようにすることも好ましく、遠赤外線を照射可能にすれば、ペットの皮膚内の血液循環を促進させて毛髪の管理に役立てることができる。

図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図7
図8