(54)【発明の名称】スケーリングファクタを用いてパワー出力/放出パラメータを調節するガスタービンにおける複合確率的制御、関連した制御システム、コンピュータプログラム製品、および方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのコントローラ(18)を有する少なくとも1つの計算装置(814)であって、パワー出力パラメータ及びNOxに関する放出パラメータに基づいて複数のガスタービン(10)からなる組の各ガスタービン(10)を調節するように構成された少なくとも1つの計算装置(814)を備えた計算システム(802)であって、
少なくとも1つの計算装置(814)が、
前記組の各ガスタービン(10)を、それぞれの測定された環境条件に基づいてそれぞれのベース負荷レベルへ指令し、
前記組の各ガスタービン(10)に対して、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれのパワー出力パラメータの実際の値が、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれのパワー出力パラメータの実際の値と前記組のパワー出力パラメータの公称値との差の割合に等しいパワー出力パラメータのスケール変換後の値と一致するように調整するように指令し、前記それぞれのパワー出力パラメータの実際の値の調整中に前記組の各ガスタービン(10)に関するそれぞれの放出パラメータの実際の値を測定し、かつ
前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの放出パラメータのスケール変換後の値に基づいて、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの動作パラメータの調整を行う
ように構成されており、
前記それぞれの放出パラメータのスケール変換後の値が、前記組の各ガスタービン(10)に関するそれぞれの放出パラメータの実際の値とそれぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値との差と放出スケールファクタとの積に等しく、それぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値及び放出スケールファクタが、前から存在する放出モデルに記憶されており、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの動作パラメータの調整が、放出パラメータに対してパワー出力パラメータをプロットしたグラフ空間内の第1の直線上に前記組の各ガスタービン(10)のデータ点を整列させ、前記第1の直線が前記グラフ空間の特性直線に直交し、前記特性直線が、前記組の各ガスタービンのベース負荷レベルにおける、前記組を構成する複数のガスタービン全体について放出パラメータに対してパワー出力パラメータをプロットしたときの平均特性直線である、計算システム(802)。
前記それぞれのベース負荷レベルが、前記それぞれの測定された環境条件でのパワー出力パラメータのベース負荷値及び放出パラメータのベース負荷値に関連し、前記割合がパワースケールファクタである、請求項1に記載の計算システム(802)。
前記組の各ガスタービン(10)を前記それぞれのベース負荷レベルへ指令することに応じて、前記組の各ガスタービン(10)が、前記組のパワー出力パラメータの公称値又は前記それぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値の少なくとも1つを達成しない、請求項1に記載の計算システム(802)。
前記少なくとも1つの計算装置(814)が、前記組の各ガスタービン(10)に関するそれぞれの放出パラメータの実際の値とそれぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値との差を、前記組の各ガスタービン(10)について前記第1の直線に沿ったそれぞれのパワー出力パラメータの値と前記組のパワー出力パラメータの公称値との差に変換するようにさらに構成されている、請求項1に記載の計算システム(802)。
前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの動作パラメータの調整が、前記組の各ガスタービン(10)のパワー出力パラメータが前記第1の直線に沿ったそれぞれのパワー出力パラメータの公称値に近づいて到達するように、前記第1の直線に沿ったそれぞれのパワー出力パラメータの値と前記組のパワー出力パラメータの公称値との差の一定の割合によって前記組の各ガスタービン(10)の動作パラメータを調整することを含む、請求項4に記載の計算システム(802)。
前記組の各ガスタービン(10)に対して、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれのパワー出力パラメータの実際の値が、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれのパワー出力パラメータの実際の値と前記組のパワー出力パラメータの公称値との差の割合に等しいパワー出力パラメータのスケール変換後の値と一致するように調整するように指令することによって、前記組の各ガスタービン(10)の放出パラメータを、前記それぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値に一致させることなく、前記それぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値に近づける、請求項1に記載の計算システム(802)。
少なくとも1つのコントローラ(18)を有する少なくとも1つの計算装置(814)を用いて行われる、パワー出力パラメータ及びNOxに関する放出パラメータに基づいて複数のガスタービン(10)からなる組の各ガスタービンを調節するためのコンピュータによって実施される方法であって、当該方法が、
前記組の各ガスタービン(10)を、それぞれの測定された環境条件に基づいてそれぞれのベース負荷レベルへ指令するステップと、
前記組の各ガスタービン(10)に対して、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれのパワー出力パラメータの実際の値が、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれのパワー出力パラメータの実際の値と前記組のパワー出力パラメータの公称値との差の割合に等しいパワー出力パラメータのスケール変換後の値と一致するように調整するように指令し、前記それぞれのパワー出力パラメータの実際の値の調整中に前記組の各ガスタービン(10)に関するそれぞれの放出パラメータの実際の値を測定するステップと、
前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの放出パラメータのスケール変換後の値に基づいて、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの動作パラメータの調整を行うステップと
を含んでおり、前記それぞれの放出パラメータのスケール変換後の値が、前記組の各ガスタービン(10)に関するそれぞれの放出パラメータの実際の値とそれぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値との差と放出スケールファクタとの積に等しく、それぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値及び放出スケールファクタが、前から存在する放出モデルに記憶されており、前記組の各ガスタービン(10)のそれぞれの動作パラメータの調整が、放出パラメータに対してパワー出力パラメータをプロットしたグラフ空間内の第1の直線上に前記組の各ガスタービン(10)のデータ点を整列させ、前記第1の直線が前記グラフ空間の特性直線に直交し、前記特性直線が、前記組の各ガスタービンのベース負荷レベルにおける、前記組を構成する複数のガスタービン全体について放出パラメータに対してパワー出力パラメータをプロットしたときの平均特性直線である、方法。
前記それぞれのベース負荷レベルが、前記それぞれの測定された環境条件でのパワー出力パラメータのベース負荷値及び放出パラメータのベース負荷値に関連し、前記割合がパワースケールファクタである、請求項7に記載の方法。
前記組の各ガスタービン(10)を前記それぞれのベース負荷レベルへ指令することに応じて、前記組の各ガスタービン(10)が、前記組のパワー出力パラメータの公称値又は前記それぞれの測定された環境条件での放出パラメータの公称値の少なくとも1つを達成しない、請求項8に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の図面は必ずしも原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様を単に示すことが意図されるものであり、したがって本発明の範囲の限定とみなされるべきでない。図面では、同じ番号の付与によって図面間で同じ要素を示す。
【0013】
上述したように、本明細書中に開示した主題は、調節/制御システムに関する。より詳細には、本明細書中に開示した主題は、ガスタービンのための調節/制御システムに関する。
【0014】
確率的制御は、測定した出力(メガワット(MW)単位)ならびにまとめてNO
x放出と呼ばれる単窒素酸化物NOおよびNO
2(一酸化窒素および二酸化窒素)に基づいてガスタービン(GT)の動作状態を設定するための方法論である。本明細書中に説明されるように、様々な実施形態は、測定誤差が存在する場合にGTの調節および制御を行う。従来の手法は、測定誤差が存在する場合に制御機構を計算し調節するように存在したが、従来の手法には、パワー出力およびNO
x測定値を特別に考慮してGT制御機能を考慮し調節するように設計されたものはなかった。
【0015】
本明細書中に使用されるとき、用語P50GTまたはP50機械は、平均(または公称)ガスタービンまたはフリートの同様の機械を指す。このP50の測定に関連したパラメータは理想と考えられ、実際のガスタービンにおいて達成されることはあるにしても滅多にない。本明細書中に使用される他の用語は、a)第1段ノズルの下流であるがタービン(例えば、GT)中の第1の回転バケットの上流における平均温度である入口温度(T4)、およびb)ガスタービンにおける燃焼温度であるが入口温度よりも高いT3.9を含み得る。当業界で知られているように、入口温度は測定することができないが、他の測定値および知れているパラメータから推測される。本明細書中に使用されるとき、用語「示された入口温度」は、制御装置、例えばGT構成要素を監視しおよび/または制御する制御システムの1つまたは複数の構成要素によって示される入口温度を指す。「示された」入口温度は、GT制御システムと接続された従来の検出/試験装置からの入口温度の最良の推定を表す。
【0016】
加えて、本明細書中に説明されるように、特定のガスタービンについての用語「ベース負荷」は、定格入口温度におけるガスタービンの最大出力を指し得る。さらに、本明細書中に説明されかつ当業界で知られているように、所与のガスタービンについてのベース負荷は、周囲の動作条件の変化に基づいて変化する。場合によっては、ベース負荷は、当業界において「フル速度フル負荷」とも呼ばれる。さらに、NO
xは燃料組成に敏感であることが理解されており、したがって、それは、(本明細書中に記載した調節プロセスを含む)ガスタービン内で実施される任意の調節プロセスにおいて説明される。
【0017】
さらに、本明細書中に説明されるように、用語「排気エネルギー」は、GT内に存在する排気ガス内に包含されるエネルギーを指し、これは、GTの排気区域(出口)における排気ガスの温度測定値および圧力測定値に基づいて決定することができる。この排気エネルギーは、GTを通じて流れる燃焼ガスの量に直接関連し、他の動作パラメータ、例えば、パワー出力に関連し得る。
【0018】
本明細書中に記載した様々な実施形態は、GTのパワー出力および放出パラメータを用いてGT(例えば、2つ以上のGTのフリート)の確率的制御を可能にする。様々な実施形態によれば、ある手法は、以下のプロセスを含むことができる。
【0019】
1)(例えば、フリート内の)1つまたは複数のガスタービンを、測定した環境条件に基づいて設計されたベース負荷(MW値、NO
x値、燃料流量値、排気エネルギー値)へ指令すること。本明細書中に説明されるように、理想的な状況において、GTは、理想的なシナリオにおいて、P50のパワー出力(公称パワー出力)値およびP50NO
x(放出)値を含むP50(公称)動作パラメータに集まるはずである。しかしながら、本明細書中に示されるように、これは、現実世界の動作では起こらない。
【0020】
2)1つまたは複数のGTにそのパワー出力(MW)をそれぞれのパワー出力(MW)と公称パワー出力(P50のパワー出力)の値との間の差の割合に等しいスケールドパワー出力値に一致させるように調整するように指令し、その調整中、実際のNO
x値を測定すること。実際のNO
x値の測定は、1つまたは複数のGTは、そのパワー出力を調整している間に、すなわち定常状態動作前に行われる。本明細書中に説明されるように、この実際のNO
x値は、パワー出力がスケールドパワー出力値に近づくように調整されている間に(生成された更新測定値を用いて)測定することができ、GTを所望の状態により近づけるために1つまたは複数のGTの動作条件を繰り返し改善するために使用される。スケールドパワー出力値は、ゼロより大きくかつ1以下の数字であり得るパワースケールファクタを用いて得ることができる。すなわち、各GTのパワー出力がいくらかの値(例えば、xMW)だけ公称パワー出力と異なる場合、このプロセスは、各GTにそのパワー出力をGTのパワー出力と公称出力した例えば0.7xとの間の差の割合に等しい値に一致させるように調整するように指令することを含む。本明細書中に示されるように、このプロセスは、各GTの実際のNO
x値をP50のNO
x値のより近くにするのを助ける可能性があるが、十分にこの目標を成功していない。さらに、このパワー出力調整は、その所望のレベルに対する上昇入口温度という別の問題に対処しない。
【0021】
3)測定した実際のNOx値(プロセス2)と、環境条件について予期されたP50のNO
x値と、放出スケールファクタ(例えば、パワースケールファクタと同様または異なるゼロと1以下の間の値)との間のその差(デルタNO
x)に基づいて各GTの動作条件を調整すること。様々な実施形態によれば、環境条件におけるP50のNO
x値および放出スケールファクタは、GTについての前から存在する放出モデル(プロセス1〜3の前に記憶されたGT特有のモデル)に記憶される。デルタNO
x値は、従来の手法を用いて各GTについての(GTの実際のパワー出力とP50のパワー出力レベルにおけるパワー出力との間の差を表す)デルタパワー出力(MW)値へ変換することができる。このプロセスでは、P50のパワー出力値から逸れる各GTは、放出スケールファクタにより調整された(デルタNO
x値から変換されるような)デルタパワー出力値の一定の割合によって調整された各GTの動作条件を有し、それがこのGTについてのデルタパワー出力(MW)に近づく(そして到達またはほぼ到達する)ようになっている。この調整は、このGTについてのP50のパワー出力/P50のNO
x特性にほぼ直交するパワー出力/NO
x空間内の線へ各GTを移動させる。様々な実施形態によれば、前から存在する放出モデルは、プロセスP1〜P3の前にまたはプロセスP1〜P3と同時に開発/改良することができるとともに、GTごとに測定されたMWおよびNO
x値に基づいて繰り返し改良することができる。
【0022】
4)(適宜)(プロセス(3)の後に)調整された動作条件に基づいてGTごとに前から存在する(例えば、すでに構築された)放出モデルを更新すること。このプロセスは、動作条件を放出モデルに組み込むこと(例えば、各GTに関連したコントローラに動作条件を組み込み、放出モデルを記憶すること)を含むことができ、放出モデルは、同様の条件の下で、または場合によってはベースライン(ベース負荷)条件として、デフォルトでこの動作条件に設定するようになっている。GTごとに前から存在する放出モデルは、(例えば、実験データから構築された)物理ベースまたは経験的なものであり得る。前から存在する放出モデルは、新しい(更新した)放出データを用いて調整することが可能であるように構築することができる。
【0023】
5)(適宜)各GT上で一組の動作条件(例えば、5つ以上の放出条件などの別個の動作条件)を実行し、続いてGTごとに更新パラメータを測定すること。場合によっては、一組の動作条件は、様々な予想される現実世界の条件(例えば、部分負荷運転、ベース負荷運転、シャットダウン、始動など)を含むことができ、1つまたは複数のモデル値(例えば、MW出力、NO
x放出、燃料流量など)にそれぞれ関連し得る。様々な実施形態では、更新パラメータは、更新した放出モデルに基づく更新した放出値を含む。
【0024】
6)(適宜)(測定した)更新した放出値と更新した前から存在する放出モデルとの間の差に基づいて更新した前から存在する放出モデルを改良すること。このプロセスは、測定した放出値と更新した放出モデルの間の何らかの差異を説明するために放出モデルを修正することを含むことができる。
【0025】
以下の明細書において、その一部を構成し、本教示を実施できる特定の例示の実施形態の図示によって示された添付図面の参照が行われる。これらの実施形態は、当業者が本教示を実施することを可能にするように十分詳細に説明され、本教示の範囲から逸脱することなく他の実施形態が利用されてもよく、変更が行われてもよいことを理解されたい。したがって、以下の説明は、例示に過ぎない。
【0026】
図1は、様々な実施形態による制御システム18を含むガスタービンエンジン(GT)10の概略図を示す。様々な実施形態では、ガスタービンエンジン10は、圧縮機12と、燃焼器14と、圧縮機12に駆動結合されたタービン16と、コンピュータ制御システムまたはコントローラ18とを備える。圧縮機12への入口ダクト20は、周囲空気、および場合によっては圧縮機12へ噴射した水を流す。ダクト20には、入口ダクト20を通じて圧縮機12の入口案内静翼(IGV:inlet guide vane)21の中に流れる周囲空気の圧力損失に寄与するダクト、フィルタ、スクリーン、または吸音デバイスを備えることができる。ガスタービンエンジン10からの燃焼ガスは、排気ダクト22を通じて向けられる。排気ダクト22は、ガスタービンエンジン10に背圧を引き起こす吸音材と放出制御デバイスとを備えることができる。入口圧力損失量および背圧は、入口ダクト20および排気ダクト22にコンポーネントを追加することにより、および/または塵または砂埃が詰まっている入口ダクト20および排気ダクト22のそれぞれの結果として経時的に変化し得る。様々な実施形態では、ガスタービンエンジン10は、電力を発生させる発電機24を駆動する。
【0027】
例えばフリート内に1つまたは複数のガスタービンエンジン(GT)を備えることができる一組のGTを測定、分析および/または制御する様々な実施形態が説明される。これらの手法は2つ以上のGTと同様に単一のGTに適用されることが理解される。本明細書中に使用されるとき、用語「セット」は、1つまたは複数を意味し得ることがさらに理解されよう。
【0028】
様々な実施形態では、複数の制御センサ26は、ガスタービンエンジン10の動作中に、ガスタービンエンジン10、発電機24、および/または周囲環境の様々な動作条件を検出する。多くの例では、複数の冗長な制御センサ26は、同じ動作条件を測定することができる。例えば、冗長な温度制御センサ26の群は、周囲温度、圧縮機排出温度、タービン排気ガス温度、および/またはガスタービンエンジン10を通るガス流(図示せず)の他の動作温度を監視することができる。同様に、他の冗長の圧力制御センサ26の群は、周囲圧力、圧縮機12における静的および動的な圧力レベル、タービン16の排気、および/またはガスタービンエンジン10の他のパラメータを監視することができる。制御センサ26には、限定するものではないが、流量センサ、圧力センサ、速度センサ、火炎検出器センサ、弁位置センサ、案内静翼角度センサ、および/またはガスタービンエンジン10の動作中に様々な動作パラメータを検出するのに使用することができる任意の他のデバイスが含まれ得る。
【0029】
本明細書中に使用されるとき、用語「パラメータ」は、ガスタービンエンジン10内の定位置における温度、圧力、および/またはガス流量などのガスタービンエンジン10の動作条件を定めるために使用することができる特性を指す。いくつかのパラメータは、測定されすなわち検出され直接知られ、一方、他のパラメータは、モデルによって計算されしたがって推定されおよび間接的に知られる。いくつかのパラメータは、最初にユーザによってコントローラ18へ入力され得る。測定、推定、またはユーザ入力されたパラメータは、ガスタービンエンジン10の所与の動作状態を表す。
【0030】
燃料制御システム28は、燃料供給源(図示せず)から燃焼器14への燃料流量、一次燃料ノズルと二次燃料ノズル(図示せず)の間で分割された量、および燃焼器14に流れ込む二次空気と混合される量を加減する。燃料制御システム28は、燃焼器14に使用するための燃料のタイプを選択することもできる。燃料制御システム28は、別個のユニットであってもよく、またはコントローラ18のコンポーネントであってもよい。
【0031】
コントローラ(制御システム)18は、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)と、少なくとも1つのメモリデバイス(図示せず)とを備えたコンピュータシステムとすることができき、これは、制御センサ26の入力および人間のオペレータからの指令に少なくとも基づいてガスタービンエンジン10の動作を制御する動作を実行する。例えば、コントローラは、ガスタービンエンジン10のモデルを含むことができる。コントローラ18によって実行される動作は、燃焼器14への燃料流量を加減すること等によってガスタービンエンジン10の動作を制御する動作パラメータの検出またはモデル化、動作境界のモデル化、動作境界モデルの適用、またはスケジューリングアルゴリズムの適用を含み得る。コントローラ18は、ガスタービンエンジン10の動作パラメータをガスタービンエンジン10によって使用される動作境界モデルまたはスケジューリングアルゴリズムと比較して限定するものではないが入口温度などの制御出力を生成する。コントローラ18によって生成された指令は、ガスタービンエンジン10上の燃料アクチュエータ27に燃料流量、燃料分割、および/または燃料供給源と燃焼器14の間を流れた燃料のタイプを選択的に加減させることができる。他の指令は、アクチュエータ29にIGV21の相対位置を調整させる、入口抽気熱を調整させる、またはガスタービンエンジン10に関する他の制御セッティングを作動させるように生成することができる。
【0032】
動作パラメータは、全体的に、ガスタービンエンジン10の定位置におけるかつ所与の動作状態における温度、圧力、およびガス流量などのガスタービンエンジン10の動作条件を示す。いくつかの動作パラメータは、測定されすなわち検出され直接知られ、一方、他のパラメータは、モデルによって推定されおよび間接的に知られる。推定またはモデル化される動作パラメータは、推定された動作パラメータとも呼ばれ得、例えば、限定するものではないが、入口温度および/または排気温度を含むことができる。動作境界モデルは、ガスタービンエンジン10の1つまたは複数の物理的境界によって定めることができ、したがって、各境界におけるガスタービンエンジン10の最適条件の代表であり得る。さらに、動作境界モデルは、任意の他の境界または動作条件から独立であり得る。スケジューリングアルゴリズムは、ガスタービンエンジン10に予め定められた限界内で動作させるようにタービン制御アクチュエータ27、29のための設定を決定するために使用することができる。典型的には、スケジューリングアルゴリズムは、最悪のシナリオから保護し、ある動作状態に基づいて固有の仮定を有する。境界制御はプロセスであり、これによってコントローラ18などのコントローラは、タービン制御アクチュエータ27、29を調整してガスタービンエンジン10を好ましい状態で動作させることができる。
【0033】
図2は、(
図1に示した)ガスタービンエンジン10の動作を制御するための(
図1に示した)コントローラ18とともに使用することができる制御アーキテクチャ200の一例の概略図を示す。より具体的には、様々な実施形態では、制御アーキテクチャ200は、コントローラ18に実装することができ、モデルベースの制御(MBC:model−based control)モジュール56を備える。MBCモジュール56は頑強で高忠実度のガスタービンエンジン10の物理学ベースのモデルである。MBCモジュール56は、測定状態を入力動作パラメータ48として受信する。そのようなパラメータ48は、限定するものではないが、周囲圧力および温度、燃料流量および温度、入口抽気熱、ならびに/または発電機パワー損失を含み得る。MBCモジュール56は、公称入口温度50(または公称動作状態428)を決定するために入力動作パラメータ48をガスタービンモデルへ適用する。MBCモジュール56は、本明細書中に記載されたように制御アーキテクチャ200およびガスタービンエンジン10の動作を可能にする任意のプラットフォームに実装することができる。
【0034】
さらに、様々な実施形態では、制御アーキテクチャ200は、ガスタービンエンジン10のいくつかの動作パラメータを推定する適応リアルタイムエンジンシミュレーション(ARES:adaptive real−time engine simulation)モジュール58を備える。例えば、一実施形態では、ARESモジュール58は、制御アルゴリズムに使用するために制御センサ26によって生成されるものように直接検出されない動作パラメータを推定する。ARESモジュール58は、推定した条件および測定した条件が比較できるように測定される動作パラメータを推定もする。比較を使用してガスタービンエンジン10の動作を中断することなくARESモジュール58を自動的に調節する。
【0035】
ARESモジュール58は、限定するものではないが、周囲圧力および温度、圧縮機入口案内静翼位置、燃料流量、入口抽気熱流量、発電機パワー損失、入口および排気ダクト圧力損失、および/または圧縮機入口温度などの入力動作パラメータ48を受信する。次いで、ARESモジュール58は、限定するものではないが、排気ガス温度62、圧縮機排出圧力、および/または圧縮機排出温度などの推定された動作パラメータ60を生成する。様々な実施形態では、ARESモジュール58は、例えば、計算された入口温度64などの出力を生成するために入力動作パラメータ48と組み合わせて推定された動作パラメータ60をガスタービンモデルへの入力として使用する。
【0036】
様々な実施形態では、コントローラ18は、計算された入口温度52を入力として受信する。コントローラ18は、比較器70を使用して計算された入口温度52を称入口温度50と比較し、それによって補正係数54を生成する。補正係数54は、補正入口温度66を生成するためにMBCモジュール56において公称入口温度50を調整するように使用される。コントローラ18は、比較器74を使用してARESモジュール58からの制御出力およびMBCモジュール56からの制御出力を比較し、それによって差の値を発生する。次いで、この差の値は、ARESモジュール58の制御モデルを連続的に調節しこれによってガスタービンエンジン10の制御改善を助けるのに使用するために、カルマンフィルタ利得行列(図示せず)に入力されて、コントローラ18へ供給される正規化された補正係数を生成する。代替実施形態では、コントローラ18は、排気温度補正係数68を入力として受信する。排気温度補正係数68は、ARESモジュール58内の排気温度62を調整するために使用することができる。
【0037】
図3は、コントローラ18によって使用されるガスタービンエンジンのモデルを用いて統計的に有意な個数の
図1のガスタービンエンジン10の動作状態の確率論的シミュレーションを示すグラフである。このグラフは、ガスタービンエンジン10のパワー出力対入口温度を示す。線300は、複数のデータ点308についての線形回帰モデルである。線302は、データ点308に対応する99%の予想間隔を示す。さらに、線304は、ガスタービンエンジン10の公称または設計入口温度50を示し、線306は、ガスタービンエンジン10の公称または設計パワー出力を示す。様々な実施形態では、
図3に示された確率論的シミュレーションは、80個のユニットの入口温度のおおよその分散を示す。この分散は、ガスタービンエンジン10のコンポーネント公差およびコントローラ18および制御センサ26の測定の不確実性に起因し得る。
【0038】
実際のガスタービンエンジン10の動作状態、例えば、入口温度および/または排気温度の変化を減少させるのを助けるガスタービンエンジン10を調節する手法が本明細書中に説明され、これは、ガスタービンエンジン10のパワー出力、放出、および寿命の変化の減少を助ける。本明細書中に説明した確率的制御手法は、取り付け中および様々な期間にガスタービンエンジン10を調節する離散的なプロセスとして実施することができ、あるいは予め定められた間隔で定期的におよび/またはガスタービンエンジン10の動作中連続的に実行するようにコントローラ18内に実装することができる。これらの手法は、前述したように入口温度は推定したパラメータであるのでガスタービン入口温度を直接測定しない。しかしながら、これらの確率的制御手法は、ガスタービンエンジン10の入口温度の強力なインジケータである直接測定したパラメータをもたらすことができ、ガスタービンエンジン10の入口温度について改善された制御を可能にする。
【0039】
図4は、様々な実施形態により行われる方法を例示する流れ図を示す。本明細書中に説明されるように、この方法は、コンピュータプログラム製品(例えば、非一時的なコンピュータプログラム製品)として実施された少なくとも1つの計算装置を用いて行う(例えば、実行する)ことができ、またはさもなければ以下のプロセスを含むことができる。
【0040】
プロセスP1:一組のGTの各GT10を、GT10ごとに測定した環境条件に基づいてベース負荷レベル(例えば、ターゲットを示した入口温度)へ指令する。本明細書中に示されるように、(ターゲットを示した入口温度に関する)ベース負荷は、測定した環境条件に対するパワー出力(MW)値および放出値に関連している。本明細書中にさらに示されるように、一組のGTの各GT10をベース負荷レベルへ指令することに応じて、各GT10は、公称パワー出力値(P50のパワー出力)または公称放出値(P50のNO
x)の少なくとも1つを達成しない。様々な実施形態によれば、一組のGTの各GT10を公称パワー出力値に一致させるようにそれぞれのパワー出力を調整するように指令するプロセスは、公称放出値に一致させることなくGT10ごとの実際の放出値をより公称放出値に近づける。
【0041】
プロセスP2:一組のGTの各GT10にそれぞれのパワー出力と公称パワー出力(P50のパワー出力)値との間の差の割合に等しいスケールドパワー出力値に一致させるようにそれぞれのパワー出力を調整するように指令し、それぞれのパワー出力の調整中に各GT10についての実際の放出値を測定する。実際の放出値の測定は、各GT10がそのパワー出力(例えば、スナップショットとして徐々にまたは繰り返し)を調整している間、すなわち定常状態動作前に行われる。本明細書中に説明されるように、この実際の放出値は、各GT10のパワー出力がスケールドパワー出力値に近づくように調整される間に(生成された更新測定値を用いて)測定することができ、(プロセスP3を参照して説明されるように)GT10を所望の状態により近くづけるように各GT10の動作条件を繰り返し改善するために使用される。スケールドパワー出力値は、ゼロより大きくかつ1未満の数字であり得るパワースケールファクタを用いて得ることができる。すなわち、各GTのパワー出力がいくらかの値(例えば、xMW)だけ公称パワー出力と異なる場合、このプロセスは、各GTにそのパワー出力をGTのパワー出力と公称出力した例えば0.6xまたは0.7xとの間の差の割合に等しい値に一致させるように調整するように指令することを含む。パワースケールファクタ(SMW)は、別個のMW/NO
x条件で動作させられるとき、どのようにGT10のフリートが実行するのか予測するために、1つまたは複数のモデリングプロセスを用いて生成することができる。様々な実施形態では、パワースケールファクタは、様々な条件の下で、特定のGT10の繰り返しの試験および/またはモデル化を用いて得ることができる。場合によっては、パワースケールファクタ(SMW)は、GT10のフリートについての所望の標準偏差に基づいて、例えば、1つまたは複数のモデルに基づいて選択され、パワースケールファクタは、GT10が公称GTのいくらかの標準偏差帯内のままであることを示す。様々な実施形態では、プロセスP2は、各GT10についてのそれぞれの測定した実際の放出値(過渡的状態中に、場合によっては繰り返し測地された)と公称放出値との間の差を各GT10についての環境条件値におけるそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差に変換することをさらに含むことができる。
【0042】
プロセスP3:それぞれの測定した実際の放出値と、環境条件における公称放出値と、放出スケールファクタ(例えば、パワースケールファクタと同様または異なるゼロと1との間の値)との間の差に基づいて一組のGTの各GT10の動作条件を調整すること。様々な実施形態によれば、環境条件におけるP50のNO
x値および放出スケールファクタは、GTについての前から存在する放出モデル840(
図9)(プロセス1〜3の前に記憶されたGT特有のモデル)に記憶される。様々な実施形態によれば、各GT10の動作条件を調整するプロセスは、放出スケールファクタにより調整されたそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGTの各GT10の動作条件を調整することを含み、各GT10のパワー出力がそれぞれの公称パワー出力値に近づく(そして場合によっては到達またはほぼ到達する)ようになっている。様々な実施形態によれば、放出スケールファクタ(例えば、0.7、0.8、0.9)によって調整されたそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGTの各GT10の動作条件を調整することにより、各GT10についての公称パワー出力/公称放出特性に直交するパワー出力対放出を表すグラフ空間内の線上へ各GT10を一直線に合わせる。プロセスP2中に得られる対応するGT10の実際の放出値の更新測定値に基づいて、プロセスP3を参照して説明したように、各GT10の動作条件の調整は、繰り返し(例えば、2回以上)行うことができることが理解される。すなわち、過渡的な状態(例えば、定常状態でない)の測定値を用いることは、MW/NO
x空間内のそのターゲット位置に各GT10をより近づけるために、動作条件の繰り返しの修正を可能にする。様々な実施形態によれば、前から存在する放出モデル840(
図9)は、プロセスP1〜P3の前にまたはプロセスP1〜P3と同時に開発/改良することができるとともに、GT10ごとに測定されたパワー出力および放出値に基づいて繰り返し改良することができる。
【0043】
(適宜、ファントムに示された)プロセスP4:(プロセス(3)の後に)調整された動作条件に基づいてGT10ごとに前から存在する(例えば、すでに構築された)放出モデル(モデル840、
図9)を更新すること。このプロセスは、動作条件を放出モデル840に組み込むこと(例えば、各GT10に関連したコントローラ18に動作条件を組み込み、放出モデル840を記憶すること)を含むことができ、放出モデル840は、同様の条件の下で、または場合によってはベースライン(ベース負荷)条件として、デフォルトでこの動作条件に設定するようになっている。様々な実施形態では、コントローラ18に組み込まれたARESモデルは、そのデフォルトの動作条件が更新した放出モデル840に一致させるように修正(設定)される。この場合、ARESモデルは、GT10ごとに動作条件を中心とする。場合によっては、前から存在する放出モデル840(またはNO
x モテ゛ル)が、以下の式によって定義される。
【0044】
NO
x モテ゛ル=β
0+β
1*NO
x P50 (式1)
ここで、β
0およびβ
1は、区間[0,1]によって定められた連続確率分布を表すベータ値であり、NO
x P50は、ターゲット放出値(P50放出値)である。本明細書に示されるように、GTごとに前から存在する放出モデルは、(例えば、実験データから構築された)物理ベースまたは経験的なものであり得る。前から存在する放出モデルは、新しい(更新した)放出データを用いて調整することが可能であるように構築することができる。
【0045】
(適宜、ファントムに示された)プロセスP5:各GT10上で一組の動作条件(例えば、5つ以上の放出条件などの別個の動作条件)を実行し、続いてGT10ごとに更新パラメータを測定すること。場合によっては、一組の動作条件は、様々な予想される現実世界の条件(例えば、部分負荷運転、ベース負荷運転、シャットダウン、始動など)を含むことができ、1つまたは複数のモデル値(例えば、MW出力、NO
x放出、燃料流量など)にそれぞれ関連し得る。様々な実施形態では、更新パラメータは、更新した放出モデルに基づく更新した放出値を含む。
【0046】
(適宜、ファントムに示された)プロセスP6:(差が存在する場合)(測定した)更新した放出値と更新した前から存在する放出モデル840との間の差に基づいて更新した前から存在する放出モデル840を改良すること。このプロセスは、測定した放出値と更新した放出モデル840の間の何らかの差異を説明するために放出モデル840を修正することを含むことができる。様々な実施形態では、前から存在する放出モデル840は、将来の調整/計算のために利用することができ、したがって、プロセスP4〜P6は、
図4のフィードバックフローの部分に示されるように、プロセスP1〜P3の将来の繰り返しに用いるためにこのモデル840を改良することができることが理解される。すなわち、プロセスP4〜P6は、プロセスP3における各GTの動作条件に必要とされる調節量を決定するために使用される前から存在する放出モデル840を更新することができる。
【0047】
図5〜
図7は、(GT10と同様の)GTのセット(複数)を表すデータセットの一例を参照して、
図4に説明したプロセスについてのパワー出力対放出(NO
x)のグラフを介してのグラフを示す。
図5〜
図6に示された全てのデータ点は、示された入口温度におけるパワー出力対放出(NO
x)を示し、ここで「示された」入口温度は、GT10のコントローラによって表示されるまたはさもなければ出力される入口温度である。すなわち、「示された」入口温度は、必ずしも実際の入口温度ではないが(本明細書中に説明されるように、これは正確に測定することができない)、代わりに、入口温度は、GT10のコントローラ(および関連した装置)によって推定される。
【0048】
例えば
図5中のこの例に示されるように、線GLの中心点は、一組のGTの平均口温度(T4)の関数である。平均焼温度(T3.9)は、平均入口温度の関数であり、平均入口温度よりも大きい。平均入口温度が増加するにつれて、それは平均燃焼温度となり、より大きいパワー出力/NO
x値へ線GLがずれることを意味し、一方、残りは線RLに直交しており、これはベース負荷におけるセットの平均GTについてのパワー出力/NO
x特性を定めることに本明細書中で留意されたい。2本の線は、BL境界線GLと名付けられ、一組のGTの間の統計的変化を平均線RLから2つのシグマ(Σ)へ定める。発明者は、線RLに直交する所与の線に沿って測定するとき、線BLは線RLから実際の入口温度(T4)において+/−10度のスパンを示すことを実験的な試験を通じて発見した。
図6は、RL(パワー出力/NO
x特性)および線BLに直交する線に沿って、GTのフリートについてのパワー出力/NO
x値の別個の例で平均T4(入口温度)についてのインジケータの追加を伴って
図5のグラフを示す。この例における平均T4(B)および平均T4(P)は、それぞれT4=2,410度FおよびT4=2,430度Fにおけるフリートの例を示す。
図6は、線PLも示し、この線PLは、パワー出力/NO
x特徴線と直交する入口温度(T4)「スイープ(sweep)」または変化に沿った単一のGTの一例である。PLは、変化する入口温度(T4)によってパワー出力/NO
xがどのように変化するのかを示す。
【0049】
図7は、それぞれの測定した実際の放出値と環境条件における公称放出値と間の差に基づくプロセスP3(
図4)、すなわち、一組のGTにおける各GTの動作条件の調整の3次元グラフを示す。すなわち、
図7に示されるように、(適用された放出スケールファクタに従って変倍された)入口温度(T4)空間を横切るGL平面(
図5〜
図6)によって定義されたGL平面は、一組のGTが入口温度(T4)空間内で動作する場合のモデルを示す。すなわち、実際の入口温度(T4)は、一組のGTにおける各GTについて直接測定することができないが、GL平面は、一組のGT内のGTの入口温度の最も正確なモデルを表す。様々な実施形態によれば、プロセスP3は、そのそれぞれの測定した実際の放出値(NO
x値)と各GTについての公称(平均)放出値(NO
x値)との間の差に基づいて各GTの動作条件を調整することを含む。すなわち、様々な実施形態によれば、各GTの動作条件は、そのパワー出力/NO
x値が2次元空間内のGL(
図5〜
図6)および3次元空間内のGL平面(
図7)に交差するように調整される。公称(P50)パワー出力/NOx線とGL平面の交差は、所望の平均の実際の入口温度(P4)の最も正確なモデルを表し、各GT10をこのGL平面に近づけるように調節することによって、入口温度の変化がフリートにわたって減少し、フリートの寿命を増加させる。
【0050】
GL(およびGL平面)は、ガスタービンの設計および建設の仕方の特性であり、パワー出力/NO
x空間において、その中心は、フリート内の特定のタイプのGT10についてのP50のパワー出力とP50のNO
xの交差である。2次元空間(例えば、BL間の空間、
図5〜
図6)内のGLの長さは、所与のタイプのGTについてのGTからGTのハードウェアの変化(例えば、同じ仕様書の2つの機械の製造の物理的ばらつき)によって定められる。このGT10についてのパワー出力/NO
x値をGL(およびGL平面)と一直線に合わせるためにGT10の動作条件を変えることによって、実際の入口温度(T4)の変化は最小にされる。
【0051】
様々な実施形態によれば、
図5〜
図7に示されたグラフは、GT10の動作状態の変化(Δ動作状態)とともに実際の入口温度の変化(ΔT
4)についての解を与える式1〜式4から得ることができる。図示のように、式1〜式4は以下の通りである。
【0052】
【数1】
ここで、ステップ1=プロセスP1、ステップ2=プロセスP2、ステップ3=プロセスP3、変数1=GT10上の外部センサ(例えば、メガワット出力)から測定することができる第1の性能変数、変数2=GT10上の外部センサから測定することができる(数1とは異なるが独立していない)第2の性能変数(例えば、放出)(例えば、排気温度、排気ガス流量など)、S
V1=変数1についてのスケールファクタ(例えば、MWスケールファクタ)、S
V2=変数2についてのスケールファクタ(例えば、NO
xスケールファクタ)である。以下表1に示されるように、スケールファクタの例は、実際の入口温度、放出、メガワット出力などを操作するように様々な実施形態により選ぶことができる。本明細書中に示されるように、用語「ステップ1」、「ステップ2」、および「ステップ3」は、それぞれプロセスP1、P2、およびP3を指すために使用することができる。
【0053】
【表1】
表1のスケールファクタの例から明らかであるように、MWについてのスケールファクタ(ステップ2、またはプロセスP2)およびNO
x(ステップ3、またはプロセスP3)は、特定のGT10またはGT10のフリートについて所望の成果を高めるために、実験によるデータおよび/またはモデルベースのデータに従って選択することができる。例えば、目的がMWまたはNO
xの変化を最小にすることである場合、スケールファクタは、「最小MW」または「NO
x最小」の交差が選択されるように選ぶことができる。(NO
xスケールファクタを増加させる)「最小MW」の箱から右への移動は、MWおよび燃料の変化をNOxおよびT4の変化と交換する。「バランスのとれた変化」と名付けられた帯は、4次元MW/NO
x/T4/燃料空間の最小領域を表す(
図7)。1つのGT10の場合、NOxのスケールファクタが(X+2CY)であるところでT4の変化が最小である。そのような最小が生じる値は、GTの燃焼器(例えば、乾燥した低NO
x燃焼器)のNO
x対T4の特性の関数である。2つのスケールファクタ(MWスケールファクタおよびNO
xスケールファクタ)が適用される場合、(Y−Z)のMWスケールファクタは、前に開示した(非変倍の)手法とほぼ同等であり得る変化を与える。しかしながら、この例の表に見られるように、MWスケールファクタとしてY+XとNO
xスケールファクタとして(X+3CY)の組み合わせは、GT10のフリートについてT4の最小変化を与える。
【0054】
様々な実施形態によれば、本明細書中に示された式1〜式4は、測定された過渡的な放出(プロセスP2)と環境条件における公称放出値との間の差に基づいてプロセスP1〜P3を繰り返し行うことを説明するために修正されてもよい。すなわち、各GT10がそのターゲットパワー出力値および/または放出値に近づくとき、その現在の値(過渡的なMWおよび/または過渡的なNO
x値)とターゲット値(例えば、P50MW、P50のNO
x)との間の差は、誤差信号としての式の形態で表すことができる(例えば、誤差信号=所望の状態
3−現在の状態
1であり、ただし、数字の指標はプロセスP1〜P3に相関する)。誤差信号がゼロに近づくとき、実際のGT10の動作条件とそのターゲットの動作条件との間の差は減少する(ただし、ゼロ誤差信号が望ましい)。
【0055】
図8は、本明細書中に記載されたように、プロセスP1〜P3を受けるGT(例えば、GT10)についての誤差信号対MWの推移の一例の例示的グラフを示す。P1によって強調表示されたデータ点は、低い(相対的)パワー出力(MW)に関連したより高い誤差信号を示し、P2によって強調表示されたデータ点は、パワー出力(MW)を増大させることによって少なくとも一部生成されたこの高い誤差信号におけるいくらかの補正を示す。しかしながら、この例では、プロセスP2は、GT10のパワー出力をあまりに大きく増大させ、結果として比較的高い負の誤差信号値になる。しかしながら、データ点P2からデータ点P3への遷移は、望ましくない(例えば、低いまたは高い)誤差信号からゼロ誤差信号に向かう漸進的移動を可能にする本開示の様々な特徴を強調表示する。すなわち、本明細書中に説明したプロセスP2で得られる過渡的な放出値を用いて、GT10についての誤差信号は、所望のレベル(例えば、0.0の許容可能な公差内)に到達するまで徐々に減少する。
図8のこの例の描写は、本開示の様々な態様により、GT10がその関連した誤差信号を最小にするように調整することができる一例を示しており、他の調整(例えば、より大きい負の誤差信号からより小さい正の信号へ、さらにより小さい負の誤差信号の調整)が可能であることが理解される。本明細書中の様々な実施形態により説明されるように、過渡的な測定値を利用してプロセスP2からP3へGT10を徐々に調整することを示すために、
図8のグラフは誤差信号対放出(NO
x)について同様に示すことができと理解される。
【0056】
図9は、少なくとも1つの計算装置814を介してGT10と結合されたコントローラ(制御システム18)を説明する例示的な環境802を示す。本明細書中に説明されるように、制御システム18は、ガスタービンエンジン(GT)の制御に使用される任意の従来の制御システムコンポーネントを含むことができる。例えば、制御システム18は、GT10内の1つまたは複数のコンポーネントを作動させるために電気的コンポーネントおよび/または電気機械的コンポーネントを含むことができる。制御システム18は、プロセッサ、メモリ、入出力、バス等などの従来のコンピュータ化されたサブコンポーネントを含むことができる。制御システム18は、外部ソース(例えば、少なくとも1つの計算装置814)からの動作条件に基づいて機能を実行するように構成(例えば、プログラム)することができ、および/またはGT10のパラメータに基づいて事前にプログラムされた(符号化された)指令を含むことができる。
【0057】
システム802は、制御システム18およびGT10と(例えば、有線および/または無線で)接続された少なくとも1つの計算装置814を含むこともできる。様々な実施形態では、計算装置814は、例えば本明細書中に記載されたように流量計、温度センサ等などの複数の従来のセンサを介して、GT10と動作可能に接続される。計算装置814は、例えば、従来の有線手段および/または無線手段を介して制御システム18と通信可能に接続することができる。制御システム18は、様々な実施形態による動作中にGT10を監視するように構成されている。
【0058】
さらに、ユーザ836と通信する計算装置814が示されている。例えば、ユーザ836は、プログラマまたはオペレータであり得る。これらのコンポーネントと計算装置814の間の交信は、本出願の他のところで説明される。
【0059】
本明細書中に示されるように、本明細書中に説明したプロセスのうちの1つまたは複数は、本明細書中に記載されたように、例えば、計算装置814などの少なくとも1つの計算装置によって実行することができる。他の場合には、これらのプロセスのうちの1つまたは複数は、コンピュータによって実施される方法に従って実施することができる。さらに他の実施形態では、これらのプロセスのうちの1つまたは複数は、少なくとも1つの計算装置(例えば、計算装置814)上でコンピュータプログラムコード(例えば、制御システム18)を実行し、少なくとも1つの計算装置に本明細書中に説明した手法に従ってプロセスを実施させる、例えば少なくとも1つのGT10を調節させることによって実施することができる。
【0060】
さらに詳細には、処理部122(例えば、1つまたは複数のプロセッサ)と、記憶部124(例えば、記憶階層)と、入出力(I/O)部126(例えば、1つまたは複数のI/Oインターフェースおよび/またはデバイス)と、通信経路128とを備えた計算装置814が示されている。一実施形態では、処理部122は、記憶部124に少なくとも一部具体化される制御システム18などのプログラムコードを実行する。プログラムコードを実行している間、処理部122は、データを処理することができ、この結果としてさらなる処理のために記憶部124および/またはI/O部126からデータを読み込むおよび/またはそこへ書き込むことができる。経路128は、計算装置814内の各部間に通信リンクを与える。I/O部126は1つまたは複数のヒューマンI/Oデバイスまたは記憶デバイスを備えることができ、これによってユーザ836は計算装置814と交信することを可能にしおよび/または1つまたは複数の通信デバイスはユーザ136および/またはCS138が任意のタイプの通信リンクを用いて計算装置814と通信することを可能にする。この点で、制御システム18は、人間および/またはシステムが制御システム18と交信することを可能にするインターフェースのセット(例えば、グラフィカルユーザインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース、および/またはそのようなもの)を管理することができる。
【0061】
いずれにしても、計算装置814は、そこにインストールされたプログラムコード実行することができる1つまたは複数の汎用コンピュータ製品(例えば、計算装置)を備えることができる。本明細書中に使用されるとき、「プログラムコード」は、情報処理能力を有する計算装置に特定の機能を直接または以下の(a)別の言語、コード、または表記法への変換、(b)異なる材料形態における再現、および/または(c)解凍の任意の組み合わせの後に実行させる何らかの言語、コードまたは表記法における任意の指令の集合を意味することが理解される。この点で、制御システム18は、システムソフトウェアおよび/またはアプリケーションソフトウェアの任意の組み合わせとして具体化することができる。いずれにしても、計算装置814の技術的効果は、本明細書中の様々な実施形態による少なくとも1つのGT10を調節することである。
【0062】
さらに、制御システムは、モジュール132のセットを用いて実装することができる。この場合には、モジュール132は、制御システム18によって使用されるタスクのセットを計算装置814が実行することを可能にすることができるとともに、制御システム18の他の部分から離れて別個に展開および/または実施することができる。制御システム18は、特殊用途の機械/ハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えたモジュール132を含むことができる。それにもかかわらず、2つ以上のモジュールおよび/またはシステムは、そのそれぞれのハードウェアおよび/またはソフトウェアの一部/全部を共有することができることが理解される。さらに、本明細書中に説明した機能の一部は実施されなくてもよく、またはさらなる機能が計算装置814の一部として含まれてもよいことが理解される。
【0063】
計算装置814が複数の計算装置を備えるとき、各計算装置は、そこに具体化された制御システム18の一部(例えば、1つまたは複数のモジュール132)だけを有することができる。しかしながら、計算装置814および制御システム18は本明細書中に説明したプロセスを実行することができる様々な可能性のある同等のコンピュータシステムを代表するものに過ぎないことが理解される。この点で、他の実施形態では、計算装置814および制御システム18によって与えられる機能は、汎用および/または専用のハードウェアとプログラムコードの任意の組み合わせまたはプログラムコードのない汎用および/または専用のハードウェアを備える1つまたは複数の計算装置によって少なくとも一部実行することができる。各実施形態において、ハードウェアおよびプログラムコードは、含まれていれば、それぞれ標準的なエンジニアリング技法およびプログラミング技法を用いて作製することができる。
【0064】
それにもかかわらず、計算装置814が複数の計算装置を備えるとき、計算装置は、任意のタイプの通信リンクを介して通信することができる。さらに、本明細書中に説明したプロセスを実行する間、計算装置814は、任意のタイプの通信リンクを用いて1つまたは複数の他のコンピュータシステムと通信することができる。いずれにしても、通信リンクは、様々なタイプの有線リンクおよび/または無線リンクの任意の組み合わせを備えることができ、1つまたは複数のタイプのネットワークの任意の組み合わせを備えることができ、および/または様々なタイプの伝送技法およびプロトコルの組み合わせを利用することができる。
【0065】
本明細書中に述べられるように、制御システム18は、計算装置814が少なくとも1つのGT10を制御および/または調節することを可能にする。制御システム18は、本明細書中に説明した1つまたは複数の動作を実行するための論理を含むことができる。一実施形態では、制御システム18は、上述の機能を実行するための論理を含むことができる。構造上、論理は、本明細書中に説明した機能を実行できるフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他の特殊用途の機械構造などの様々な形態のいずれかをとることができる。論理は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアなどの様々な形態のいずれかをとってもよい。しかしながら、例示のために、本明細書中に含まれた制御システム18および論理は、特殊用途の機械として本明細書中に説明される。本明細書から理解されように、上述の各機能を含むように論理は示されるが、添付の特許請求の範囲に挙げられた本発明の教示に従って全ての機能が必要というわけではない。
【0066】
様々な実施形態では、制御システム18は、本明細書中に記載されたように1つまたは複数のGT10の動作パラメータを監視するように構成することができる。さらに、制御システム18は、本明細書中に説明した制御機能および/または調節機能を実現するために、動作パラメータを修正するように1つまたは複数のGT10を指令するように構成される。
【0067】
本明細書中に図示し説明した流れ図では、図示されていないが、他のプロセスが実行されてもよく、プロセスの順序は様々な実施形態により並べ替えられてもよいことが理解される。さらに、中間プロセスが、1つまたは複数の説明したプロセスの間に実行されてもよい。本明細書中に図示し説明したプロセスの流れは、様々な実施形態の限定と解釈されるべきでない。
【0068】
いずれの場合でも、例えば、制御システム18を含む本発明の様々な実施形態の技術的効果は、本明細書中に記載されたように、1つまたは複数のGT10を制御および/または調節することである。
【0069】
様々な実施形態では、互いに「結合される」と説明された構成要素は、1つまたは複数のインターフェースに沿って接合することができる。いくつかの実施形態では、これらのインターフェースは、別個のコンポーネント同士の間に接合を備えることができ、他の場合には、これらのインターフェースは、固体でおよび/または集積的に形成された相互接続を含むことができる。すなわち、場合によっては、互いに「結合」されたコンポーネントは、単一の連続部材を定めるように同時に形成されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、コンポーネントに結合されたこれらは、別個の部材として形成されてもよく、後で知られているプロセス(例えば、締結、超音波溶接、接着)を通じて接合されてもよい。
【0070】
要素または層は、別の要素または層の「上」にある、「と係合される」、「と接続される」、または「と結合される」と呼ばれるとき、要素または層は、他の要素または層の直接上にあって、それと直接係合されても、それと直接接続されても、またはそれと直接結合されてもよく、あるいは要素または層の介在が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素または層の「直接上にある」、「と直接係合される」、「と直接接続される」、または「と直接結合される」と呼ばれるとき、介在する要素または層の存在がない可能性がある。要素間の関係を説明するのに使用される他の単語(例えば、「間に」と「直接間に」、「隣接して」と「直接隣接して」など)は、同様のやり方で解釈されるべきである。本明細書中に使用されるとき、用語「および/または」は、関連して挙げられた項目の1つまたは複数の組み合わせのいずれかまたは全てを含む。
【0071】
本明細書中に使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本開示の限定であることが意図されない。本明細書中に使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他のものを明らかに示すのでない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える、含む(comprises)」および/または「備える、含む(comprising)」は、本明細書に使用されるとき、挙げた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外しないことをさらに理解されよう。
【0072】
本明細書は、例を用いて本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実行するなど本発明を当業者が実施することも可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者が思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言からわずかに異なる均等な構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0073】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
一組のガスタービン(GT)(10)を調節するように構成された少なくとも1つの計算装置(814)を備えたシステム(802)であって、
少なくとも1つの計算装置(814)は、
前記一組のGT(10)の各GT(10)を、GT(10)ごとに測定した環境条件に基づいてベース負荷レベルへ指令することと、
前記一組のGT(10)の各GT(10)にそれぞれのパワー出力を前記それぞれのパワー出力と公称パワー出力値との間の差の割合に等しいスケールドパワー出力値に一致させるように調整するように指令し、前記それぞれのパワー出力の前記調整中にGT(10)ごとの実際の放出値を測定することと、
それぞれの測定した前記実際の放出値と前記環境条件における公称放出値と放出スケールファクタとの間の差に基づいて前記一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することであって、前記環境条件における前記公称放出値および前記放出スケールファクタは、前記GT(10)についての前から存在する放出モデルに記憶される、前記一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することと
を含む動作を行うことによって一組のガスタービン(GT)(10)を調節するように構成されている、システム(802)。
[実施態様2]
ベース負荷レベルは、測定した環境条件に対するパワー出力値および放出値に関連し、スケールドパワー出力値は、パワースケールファクタを用いて得られる、実施態様1に記載のシステム(802)。
[実施態様3]
一組のGT(10)の各GT(10)をベース負荷レベルへ指令することに応じて、各GT(10)は、公称パワー出力値または公称放出値の少なくとも1つを達成しない、実施態様1に記載のシステム(802)。
[実施態様4]
少なくとも1つの計算装置(814)は、各GT(10)についてのそれぞれの測定した実際の放出値と公称放出値との間の差を各GT(10)についての環境条件値におけるそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差に変換するようにさらに構成される、実施態様1に記載のシステム(802)。
[実施態様5]
各GT(10)の動作条件を調整することは、各GT(10)のパワー出力がそれぞれの公称パワー出力値に近づきそして到達するようにそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することを含む、実施態様4に記載のシステム(802)。
[実施態様6]
それぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することによって、各GT(10)についての公称パワー出力/公称放出特性に直交するパワー出力対放出を表すグラフ空間内の線(300、302、304、306)に各GT(10)を一直線に合わせる、実施態様5に記載のシステム(802)。
[実施態様7]
一組のGT(10)の各GT(10)を公称パワー出力値に一致させるようにそれぞれのパワー出力を調整するように指令することによって、公称放出値に一致させることなくGT(10)ごとの実際の放出値を公称放出値により近づける、実施態様1に記載のシステム(802)。
[実施態様8]
少なくとも1つの計算装置(814)によって実行されるときに、前記少なくとも1つの計算装置(814)に一組のガスタービン(GT)(10)を調節させるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品であって、このプログラムコードは、
前記一組のGT(10)の各GT(10)を、GT(10)ごとに測定した環境条件に基づいてベース負荷レベルへ指令することと、
一組のGT(10)の各GT(10)にそれぞれのパワー出力を前記それぞれのパワー出力と公称パワー出力値との間の差の割合に等しいスケールドパワー出力値に一致させるように調整するように指令し、前記それぞれのパワー出力の前記調整中にGT(10)ごとの実際の放出値を測定することと、
前記それぞれの測定した実際の放出値と前記環境条件における公称放出値と放出スケールファクタとの間の差に基づいて前記一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することであって、前記環境条件における前記公称放出値および前記放出スケールファクタは、前記GT(10)についての前から存在する放出モデルに記憶される、前記一組のGTの各GTの動作条件を調整することと
を含む動作を行うことによって少なくとも1つの計算装置(814)に一組のガスタービン(GT)を調節させる、コンピュータプログラム製品。
[実施態様9]
ベース負荷レベルは、測定した環境条件に対するパワー出力値および放出値に関連し、スケールドパワー出力値は、パワースケールファクタを用いて得られる、実施態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施態様10]
一組のGT(10)の各GT(10)をベース負荷レベルへ指令することに応じて、各GT(10)は、公称パワー出力値または公称放出値の少なくとも1つを達成しない、実施態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施態様11]
実行されるときに、少なくとも1つの計算装置(814)に各GT(10)についてのそれぞれの測定した実際の放出値と公称放出値との間の差を各GT(10)についての環境条件値におけるそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差に変換させる、実施態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施態様12]
各GT(10)の動作条件を調整することは、各GT(10)のパワー出力がそれぞれの公称パワー出力値に近づきそして到達するようにそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することを含む、実施態様11に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施態様13]
それぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することによって、各GT(10)についての公称パワー出力/公称放出特性に直交するパワー出力対放出を表すグラフ空間内の線(300、302、304、306)に各GT(10)を一直線に合わせる、実施態様12に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施態様14]
一組のGT(10)の各GT(10)を公称パワー出力値に一致させるようにそれぞれのパワー出力を調整するように指令することによって、公称放出値に一致させることなくGT(10)ごとの実際の放出値を公称放出値により近づける、実施態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施態様15]
少なくとも1つの計算装置(814)を用いて行われる一組のガスタービン(GT)(10)を調節するコンピュータによって実施される方法であって、
前記一組のGT(10)の各GT(10)を、GT(10)ごとに測定した環境条件に基づいてベース負荷レベルへ指令するステップと、
前記一組のGT(10)の各GT(10)にそれぞれのパワー出力を前記それぞれのパワー出力と公称パワー出力値との間の差の割合に等しいスケールドパワー出力値に一致させるように調整するように指令し、前記それぞれのパワー出力の調整中にGT(10)ごとの実際の放出値を測定するステップと、
前記それぞれの測定した実際の放出値と前記環境条件における公称放出値と放出スケールファクタとの間の差に基づいて前記一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整するステップであって、前記環境条件における前記公称放出値および前記放出スケールファクタは、前記GT(10)についての前から存在する放出モデルに記憶される、前記一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整するステップと
を含む方法。
[実施態様16]
ベース負荷レベルは、測定した環境条件に対するパワー出力値および放出値に関連し、スケールドパワー出力値は、パワースケールファクタを用いて得られる、実施態様15に記載の方法。
[実施態様17]
一組のGT(10)の各GT(10)をベース負荷レベルへ指令することに応じて、各GT(10)は、公称パワー出力値または公称放出値の少なくとも1つを達成しない、実施態様16に記載の方法。
[実施態様18]
各GT(10)についてのそれぞれの測定した実際の放出値と公称放出値との間の差を各GTについての環境条件値におけるそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差に変換するステップをさらに含む、実施態様17に記載の方法。
[実施態様19]
各GT(10)の動作条件を調整するステップは、各GT(10)のパワー出力がそれぞれの公称パワー出力値に近づきそして到達するようにそれぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することを含み、
それぞれのパワー出力値と公称パワー出力値との間の差の一定の割合によって一組のGT(10)の各GT(10)の動作条件を調整することによって、各GT(10)についての公称パワー出力/公称放出特性に直交するパワー出力対放出を表すグラフ空間内の線(300、302、304、306)に各GT(10)を一直線に合わせる、
実施態様18に記載の方法。
[実施態様20]
一組のGT(10)の各GT(10)を公称パワー出力値に一致させるようにそれぞれのパワー出力を調整するように指令することによって、公称放出値に一致させることなくGT(10)ごとの実際の放出値を公称放出値により近づける、実施態様15に記載の方法。