(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突起部の頂面の径方向に対する傾きは、前記突起部が設けられた前記一方の端側壁部の径方向に対する傾きよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のボトル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した突起部によっては、パネル隣接部位の剛性を向上させてパネル隣接部位の変形を抑制できるものの、パネル隣接部位が変形した場合には、パネル隣接部位が塑性変形して復元しない、または、パネル隣接部位が弾性変形する場合であってもパネル隣接部位に十分な復元力が作用せず、パネル隣接部位の形状を復元させにくい虞があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて、ボトルに強い外力が作用する場合であっても胴部の変形を抑制でき、かつ、胴部が変形した場合であっても胴部の変形を弾性変形としやすく胴部の形状の復元が容易なボトルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のボトルの一つの態様は、筒状の胴部に、その径方向の内側に向けて窪むパネル部が周方向に間隔をあけて複数形成されたボトルであって、前記パネル部は、前記パネル部における径方向の内側に位置するパネル底壁部と、前記パネル底壁部の外周縁から径方向の外側に向けて延びるパネル側壁部と、を備え、前記パネル側壁部は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次前記ボトルの側面視で前記パネル底壁部の外側に向けて延び、前記複数のパネル部の少なくとも1つにおいて、前記パネル側壁部のうち、ボトル軸方向の両端部に位置して周方向に延びる端側壁部の少なくとも一方の端側壁部には、他方の端側壁部側を向く頂面を有する突起部が形成され、前記突起部は、前記一方の端側壁部の少なくとも周方向に沿う中央部を含むように配置され、前記突起部の頂面は、前記パネル底壁部または前記一方の端側壁部から径方向の外側に向けて延び、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次ボトル軸方向に沿う前記一方の端側壁部側に向けて延びる傾斜壁面であ
り、前記突起部は、径方向の外端に位置する外壁面を有し、前記突起部の外壁面は、前記一方の端側壁部と前記頂面の径方向の外端と、を連結し、かつ、ボトル軸と平行に延びていることを特徴とする。
【0008】
本発明のボトルの一つの態様では、例えばボトルに密封された内容物の温度が低下する等によりボトル内が減圧した場合に、パネル部が径方向の内側に向けて優先的に変形することで、ボトルのうちパネル部以外の部分での変形を抑えつつ、ボトル内の減圧を吸収できる。
そして、本発明のボトルの一つの態様によれば、パネル部のボトル軸方向の両端部に位置する端側壁部の少なくとも一方に突起部が形成されていることで、突起部が形成された端側壁部に対してボトル軸方向に隣り合うパネル隣接部位の剛性を高めることができる。
したがって、例えば内容物を充填する際に搬送されるボトルに作用するラインプレッシャー、および流通時等にボトルに加えられる径方向からの強い外力(衝突力)等によって、パネル隣接部位が窪まされたり潰されたりして変形することを抑制できる。
また、パネル隣接部位に加えられる径方向の外力の一部を突起部の外壁面全体で受けやすい。これにより、パネル隣接部位に加えられる外力の一部を、突起部において分散して受け止めやすく、効果的に吸収できる。したがって、胴部が塑性変形することをより抑制できる。
【0009】
また、パネル隣接部位に径方向外側から加えられる外力の一部を、突起部を介してパネル部によって受けることができる。これにより、パネル隣接部位に加えられる外力を分散して受けることができる。したがって、パネル隣接部位が変形することをより抑制できる。
【0010】
また、突起部が、パネル側壁部における端側壁部の周方向に沿う中央部を含むように配置されていることで、パネル隣接部位の変形をより安定的に抑制することができる。すなわち、端側壁部における周方向に沿う中央部は、端側壁部における周方向に沿う両端部に比べて、大きく変形(変位)しやすい部位である。そのため、端側壁部の中央部に突起部を配置して端側壁部の剛性を向上させることで、端側壁部の変形を効果的に抑制できる。したがって、端側壁部におけるボトル軸方向の一方側に隣り合うパネル隣接部位の剛性を効果的に向上させることができ、パネル隣接部位が変形することをより抑制できる。
以上により、本発明のボトルの一つの態様によれば、ボトルに強い外力が作用することがあっても胴部の変形を抑制できる。
【0011】
また、本発明のボトルの一つの態様によれば、胴部が変形した場合であっても形状の復元が容易である。以下、詳細に説明する。
例えば、突起部の頂面を径方向と平行な頂面に変更した場合について考える。この場合において、径方向の外力によってパネル隣接部位が変形する場合、径方向の外力に対して突起部の剛性が高くなり過ぎて突起部が変形せず、突起部によって外力を吸収できない虞がある。そのため、外力の大部分がパネル隣接部位に直接的に作用して、パネル隣接部位の変形が塑性変形となり、パネル隣接部位が元の形状に復元しなくなる虞がある。したがって、変形した胴部の形状を元に戻せない虞がある。
【0012】
一方、突起部が変形する場合、突起部の変形によって外力の一部を吸収できるため、突起部が変形しない場合に比べてパネル隣接部位が塑性変形しにくく、パネル隣接部位が変形する場合であっても、パネル隣接部位の変形は弾性変形となりやすい。しかし、突起部の頂面が径方向と平行な場合に径方向の外力を受けて突起部が変形すると、突起部の頂面が座屈する虞がある。この場合、突起部の頂面が折れて塑性変形しやすく、突起部が復元しなくなる虞がある。そのため、パネル隣接部位の変形が弾性変形であっても、パネル隣接部位に復元力が作用しにくくなり、パネル隣接部位が元の形状に戻りにくい虞がある。
以上のように、突起部の頂面が径方向と平行である場合には、胴部が塑性変形して元の形状に復元しない、または、胴部の変形が弾性変形であっても元の形状に復元しにくくなる虞があった。
【0013】
これに対して、本発明のボトルの一つの態様では、突起部の頂面を、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次ボトル軸方向に沿う突起部が設けられた端側壁部側に向けて延びる傾斜壁面としたため、径方向の外力に対して突起部の剛性が高くなり過ぎることを抑制できる。これにより、パネル隣接部位に径方向の外力が加えられた場合に、突起部が変形することによって外力の一部を吸収しやすく、パネル隣接部位を含む突起部の周囲が塑性変形することを抑制できる。これにより、パネル隣接部位が変形する場合に、パネル隣接部位の変形を弾性変形としやすく、パネル隣接部位に復元力を作用させやすい。
【0014】
また、突起部の頂面が径方向に対して傾く傾斜壁面であるため、突起部が変形する場合に、頂面が座屈しにくい。これにより、突起部が塑性変形しにくく、突起部の変形が弾性変形となりやすい。したがって、突起部が元の形状に復元しやすく、弾性変形したパネル隣接部位にも十分な復元力が作用しやすい。これにより、弾性変形したパネル隣接部位が元の形状に復元しやすい。
以上により、本発明のボトルの一つの態様によれば、ボトルに強い外力が作用する場合であっても胴部の変形を抑制でき、かつ、胴部が変形した場合であっても胴部の変形を弾性変形としやすく胴部の形状の復元が容易なボトルが得られる。
【0015】
前記突起部の頂面は、前記パネル底壁部から径方向の外側に向けて延びている構成としてもよい。
【0016】
この構成によれば、突起部の頂面が端側壁部から延びる場合に比べて、頂面の径方向の内端をよりパネル側壁部から離れた位置に配置でき、頂面の径方向に対する傾きを大きくしやすい。これにより、頂面が座屈することをより抑制できる。したがって、突起部の変形をより弾性変形としやすく、より突起部に復元力を作用させやすい。これにより、胴部が塑性変形することをより抑制でき、胴部が弾性変形した場合であっても、形状の復元がより容易である。
【0017】
さらに、突起部の径方向の内端がパネル底壁部に繋がるため、パネル隣接部位に加えられた径方向の外力の一部を突起部で受ける際に、突起部に加えられた外力をパネル底壁部に受け流すことができる。これにより、パネル隣接部位が塑性変形することをより抑制できる。
【0018】
前記突起部の頂面の径方向に対する傾きは、前記突起部が設けられた前記一方の端側壁部の径方向に対する傾きよりも大きい構成としてもよい。
【0019】
この構成によれば、突起部の頂面の径方向に対する傾きが端側壁部の径方向に対する傾きよりも小さいまたは同じ場合に比べて、突起部の頂面が座屈することをより抑制しやすい。したがって、突起部の変形をより弾性変形としやすく、より突起部に復元力を作用させやすい。これにより、胴部が塑性変形することをより抑制でき、胴部が弾性変形した場合であっても、形状の復元がより容易である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一つの態様によれば、ボトルに強い外力が作用する場合であっても胴部の変形を抑制でき、かつ、胴部が変形した場合であっても胴部の変形を弾性変形としやすく胴部の形状の復元が容易なボトルが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るボトルについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0025】
本実施形態のボトル1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂材料により形成されているとともに、
図1に示されるように有底筒状をなしており、ボトル軸方向に沿って口部2、肩部3、胴部4および底部5がこの順に一体的に連設されている。本実施形態のボトル1は、例えば、射出成形により形成されたプリフォームを2軸延伸ブローしてなるブロー成形品であり、ボトル1内部には例えば調味料や飲料等の内容物が収容される。
【0026】
なお、口部2、肩部3、胴部4および底部5は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態ではこの共通軸をボトル軸Oと呼び、ボトル軸Oと平行な方向をボトル軸方向と呼ぶ。また、ボトル軸方向における口部2側を上側と呼び、底部5側を下側と呼ぶ。また、ボトル軸Oに直交する方向を径方向と呼び、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0027】
図1において、口部2は、ボトル軸方向両側に開口する円筒状である。口部2の外径は、肩部3の外径、胴部4の外径および底部5の外径よりも小さい。口部2の上側の開口部は、ボトル1の内容物を注出するための注出口である。
口部2には、有頂筒状の不図示のキャップが装着される。口部2に装着されたキャップが開閉される、あるいは口部2に対してキャップが着脱されることで、口部2の注出口が開閉される。
肩部3は、口部2の下端に繋がる。肩部3の外径は、口部2から底部5側(下側)へ向かうに従い漸次大きくなる。
【0028】
胴部4は、ボトル軸方向に延びる筒状である。より詳細には、胴部4は、ボトル軸Oを中心とする円筒状である。胴部4は、下側胴部4aと、上側胴部4bと、括れ部4cと、を備えている。
下側胴部4aは、胴部4の下側の部分である。下側胴部4aには、径方向の内側に向けて窪むパネル部6が周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態では、パネル部6は、例えば、6つ形成されている。複数のパネル部6が周方向に沿って形成されることで、下側胴部4aには、周方向に隣り合うパネル部6同士の間に位置する複数の柱部7と、パネル部6のボトル軸方向の両側に位置する一対の環状部8と、が形成されている。
【0029】
柱部7は、軸方向に延びている。柱部7は、一対の環状部8同士を繋ぐ。
環状部8は、ボトル軸Oを中心とする円環状である。本実施形態において環状部8は、胴部4のうちパネル部6に対してボトル軸方向の両側に隣り合うように配置されたパネル隣接部位である。本実施形態において環状部8は、ボトル1において外径が最も大きい最大外径部である。最大外径部である環状部8には、例えば内容物を充填する際に搬送されるボトル1に作用するラインプレッシャー、および流通時等にボトル1に加えられる径方向からの強い外力(衝突力)等が加えられやすい。柱部7の外周面と環状部8の外周面とは、径方向において同じ位置に配置されている。
【0030】
パネル部6は、パネル部6における径方向の内側に位置するパネル底壁部10と、パネル底壁部10の外周縁から径方向の外側に向けて延びるパネル側壁部11と、を備えている。
図1に示される側面視で、パネル底壁部10は、ボトル軸方向に長い角丸の矩形状である。パネル底壁部10の外周縁部10aは、パネル底壁部10における外周縁部10aの内側の部分よりも径方向内側に窪んでいる。パネル底壁部10における外周縁部10aの内側の部分の中央には、径方向内側に窪む窪み部10bが形成されている。窪み部10bは、ボトル軸方向に延びている。
【0031】
図1に示される側面視で、パネル側壁部11は、ボトル軸方向に長い角丸の矩形枠状である。パネル側壁部11は、パネル底壁部10の周囲を囲んでいる。パネル側壁部11は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次ボトル1の側面視でパネル底壁部10の外側に向けて延びている。すなわち、
図1に示される側面視で、パネル側壁部11は、パネル底壁部10から径方向外側に離間するに従い漸次パネル底壁部10の外側へ向かって傾斜して形成されている。
【0032】
パネル側壁部11は、パネル側壁部11における周方向の両端部に位置してボトル軸方向に延びる一対の縦側壁部11aと、パネル側壁部11におけるボトル軸方向の両端部に位置して周方向に延びる一対の横側壁部(端側壁部)11bと、を備えている。縦側壁部11aは、パネル底壁部10における周方向の両端に連なっており、横側壁部11bは、パネル底壁部10におけるボトル軸方向の両端に連なっている。縦側壁部11aの幅(周方向に沿う長さ)は、ボトル軸方向に沿う全体に亘って略一定である。横側壁部11bの幅(ボトル軸方向に沿う長さ)は、横側壁部11bの周方向に沿う全体に亘って略一定である。
【0033】
複数のパネル部6の少なくとも1つにおいて、パネル側壁部11のうち、ボトル軸方向の両端部に位置する横側壁部11bの少なくとも一方の横側壁部11bには、他方の横側壁部11b側を向く頂面12aを有する突起部12が形成されている。突起部12は、横側壁部11bの少なくとも周方向に沿う中央部を含むように配置されている。本実施形態において突起部12は、すべてのパネル部6に1つずつ形成されている。各パネル部6において1つの突起部12は、一対の横側壁部11bのうち下側の横側壁部11bにおける周方向の中央部に形成されている。すなわち、本実施形態において突起部12の頂面12aは、上側を向く面である。
【0034】
突起部12は、
図2および
図3に示すように、横側壁部11bから突出する中空の略四角錐台状である。本実施形態において突起部12の径方向の内端は、パネル底壁部10に繋がる。突起部12の径方向の外端は、環状部8の外周面と径方向においてほぼ同じ位置に配置される。本実施形態では、突起部12の径方向の外端は、環状部8の外周面よりも僅かに径方向の内側に配置される。突起部12の径方向の外端と、環状部8の外周面との径方向に沿う高低差は、1mm以下である。本実施形態では、突起部12の径方向の外端が後述する外壁面12bであり、外壁面12bと環状部8の外周面との径方向の高低差が1mm以下である。この高低差は、一例として、0.1mm以上、0.2mm以下程度である。
【0035】
突起部12の頂面12aは、パネル底壁部10から径方向の外側に向けて延び、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次ボトル軸方向に沿う一方の横側壁部11b側(突起部12が形成された横側壁部11b側)に向けて延びる傾斜壁面である。本実施形態において頂面12aは、径方向の内側から外側に向かうに従って漸次下側に向けて傾斜して延び、上側および径方向外側に面している。
図3に示すように、頂面12aの径方向に対する傾きは、突起部12が設けられた横側壁部11bの径方向に対する傾きよりも大きい。本実施形態において、頂面12aは、パネル底壁部10の下端部分から径方向の外側に向けて延びている。
【0036】
突起部12は、径方向の外端に位置する外壁面12bを有する。外壁面12bは、突起部12が設けられた一方の横側壁部11bと頂面12aの径方向の外端と、を連結し、かつ、ボトル軸Oと平行に延びている。外壁面12bは、径方向外側に面している。
図2に示すように、外壁面12bは、台形状である。
突起部12は、周方向の両端に位置する一対の側壁面12cを有する。側壁面12cは、頂面12aの周方向の両端から横側壁部11bまで延びる傾斜面である。側壁面12cは、周方向において頂面12aから離れるに従って漸次下側に向けて延びている。一対の側壁面12cは、径方向の内側から外側に向かうに従って、周方向において漸次互いに近づく。側壁面12cの径方向の内端は、パネル底壁部10における突起部12が形成された一方の横側壁部11bとの接続部分と繋がる。側壁面12cの径方向の外端は、外壁面12bと繋がる。
突起部12において、頂面12aと外壁面12bとが接続された角部、外壁面12bと側壁面12cとが接続された角部、および側壁面12cと頂面12aとが接続された角部は、丸みを帯びている。
【0037】
上側胴部4bは、
図1に示すように、胴部4の上側の部分であり、下側胴部4aよりも上側に配置されている。上側胴部4bの上端は、肩部3の下端に繋がる。上側胴部4bには、径方向の内側に向けて窪むパネル部9が周方向に間隔をあけて複数形成されている。パネル部9は、下側胴部4aに設けられたパネル部6と、突起部12が形成されていない点を除いて、ほぼ同様の形状である。パネル部9は、例えば、6つ形成されている。
【0038】
上側胴部4bの外径は、下側胴部4aの外径よりも小さい。本実施形態において上側胴部4bは、ラベル表示領域である。上側胴部4bの外周には、商品名等を表示するシュリンクフィルム等で形成されたラベルが装着される。
括れ部4cは、下側胴部4aと上側胴部4bとを繋ぐ。括れ部4cの外径は、下側胴部4aの外径および上側胴部4bの外径よりも小さい。
【0039】
底部5は、略皿板状である。底部5は、円環筒状のヒール部13と、板状の底壁部14と、を備えている。
ヒール部13とヒール部13の直上に位置する環状部8との間には、径方向内側に窪むとともに周方向に沿って延びる環状の細溝5aが形成されている。
【0040】
底壁部14は、底壁部14の外周縁部に位置する円環部14aと、ボトル軸O上(径方向中央部)に位置して上側へ向けて窪む陥没部14bと、を備えている。
陥没部14bは、ボトル軸Oを中心とする有頂筒状である。陥没部14bにおける下面には、上側へ向けて窪むとともに径方向に沿って延びる溝14cが周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示は省略するが、複数の溝14cは、ボトル軸Oを中心として放射状に配置されている。
【0041】
以上説明した本実施形態のボトル1では、例えばボトル1に密封された内容物の温度が低下する等によりボトル1内が減圧した場合に、パネル部6が径方向の内側に向けて優先的に変形することで、ボトル1のうちパネル部6以外の部分での変形を抑えつつ、ボトル1内の減圧を吸収できる。
そして、本実施形態のボトル1によれば、パネル部6の下端部に位置するパネル側壁部11の横側壁部11bに突起部12が形成されていることで、パネル部6の下側に位置する環状部8の剛性を高めることができる。したがって、例えば内容物を充填する際に搬送されるボトル1に作用するラインプレッシャー、および流通時等にボトル1に加えられる径方向からの強い外力(衝突力)等によって、環状部8が窪まされたり潰されたりして変形することを抑制できる。
【0042】
また、環状部8に径方向外側から加えられる外力の一部を、突起部12を介してパネル部6によって受けることができる。これにより、環状部8に加えられる外力を分散して受けることができる。したがって、環状部8が変形することをより抑制できる。
【0043】
また、突起部12が、パネル側壁部11における横側壁部11bの周方向に沿う中央部を含むように配置されていることで、環状部8の変形をより安定的に抑制することができる。すなわち、横側壁部11bにおける周方向に沿う中央部は、横側壁部11bにおける周方向に沿う両端部に比べて、大きく変形(変位)しやすい部位である。そのため、横側壁部11bの中央部に突起部12を配置して横側壁部11bの剛性を向上させることで、横側壁部11bの変形を効果的に抑制できる。したがって、横側壁部11bの下側に隣り合う環状部8の剛性を効果的に向上させることができ、環状部8が変形することをより抑制できる。
以上により、本実施形態によれば、ボトル1に強い外力が作用することがあっても胴部4の変形を抑制できる。
【0044】
また、本実施形態によれば、胴部4が変形した場合であっても形状の復元が容易である。以下、詳細に説明する。
例えば、本実施形態における突起部12の頂面12aを径方向と平行な頂面に変更した場合について考える。この場合において、径方向の外力によって環状部が変形する場合、径方向の外力に対して突起部の剛性が高くなり過ぎて突起部が変形せず、突起部によって外力を吸収できない虞がある。そのため、外力の大部分が環状部に直接的に作用して、環状部の変形が塑性変形となり、環状部が元の形状に復元しなくなる虞がある。したがって、変形した胴部の形状を元に戻せない虞がある。
【0045】
一方、突起部が変形する場合、突起部の変形によって外力の一部を吸収できるため、突起部が変形しない場合に比べて環状部が塑性変形しにくく、環状部が変形する場合であっても、環状部の変形は弾性変形となりやすい。しかし、突起部の頂面が径方向と平行な場合に径方向の外力を受けて突起部が変形すると、突起部の頂面が座屈する虞がある。この場合、突起部の頂面が折れて塑性変形しやすく、突起部が復元しなくなる虞がある。そのため、環状部の変形が弾性変形であっても、環状部に復元力が作用しにくくなり、環状部が元の形状に戻りにくい虞がある。
以上のように、突起部の頂面が径方向と平行である場合には、胴部が塑性変形して元の形状に復元しない、または、胴部の変形が弾性変形であっても元の形状に復元しにくくなる虞があった。
【0046】
これに対して、本実施形態では、突起部12の頂面12aを、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次ボトル軸方向に沿う突起部12が設けられた横側壁部11b側に向けて延びる傾斜壁面としたため、径方向の外力に対して突起部12の剛性が高くなり過ぎることを抑制できる。これにより、環状部8に径方向の外力が加えられた場合に、突起部12が変形することによって外力の一部を吸収しやすく、環状部8を含む突起部12の周囲が塑性変形することを抑制できる。これにより、環状部8が変形する場合に、環状部8の変形を弾性変形としやすく、環状部8に復元力を作用させやすい。
【0047】
また、突起部12の頂面12aが径方向に対して傾く傾斜壁面であるため、突起部12が変形する場合に、頂面12aが座屈しにくい。これにより、突起部12が塑性変形しにくく、突起部12の変形が弾性変形となりやすい。したがって、突起部12が元の形状に復元しやすく、弾性変形した環状部8にも十分な復元力が作用しやすい。これにより、弾性変形した環状部8が元の形状に復元しやすい。
以上により、本実施形態によれば、ボトル1に強い外力が作用する場合であっても胴部4の変形を抑制でき、かつ、胴部4が変形した場合であっても胴部4の変形を弾性変形としやすく胴部4の形状の復元が容易なボトル1が得られる。
【0048】
また、本実施形態によれば、頂面12aはパネル底壁部10から径方向の外側に向けて延びている。そのため、頂面12aが横側壁部11bから延びる場合に比べて、頂面12aの径方向の内端をよりパネル側壁部11から離れた位置に配置でき、頂面12aの径方向に対する傾きを大きくしやすい。これにより、頂面12aが座屈することをより抑制できる。したがって、突起部12の変形をより弾性変形としやすく、より突起部12に復元力を作用させやすい。これにより、胴部4が塑性変形することをより抑制でき、胴部4が弾性変形した場合であっても、形状の復元がより容易である。
【0049】
さらに、突起部12の径方向の内端がパネル底壁部10に繋がるため、環状部8に加えられた径方向の外力の一部を突起部12で受ける際に、突起部12に加えられた外力をパネル底壁部10に受け流すことができる。これにより、環状部8が塑性変形することをより抑制できる。
【0050】
また、本実施形態によれば、頂面12aの径方向に対する傾きは、突起部12が設けられた横側壁部11bの径方向に対する傾きよりも大きい。したがって、頂面12aが座屈することをより抑制しやすい。そのため、突起部12の変形をより弾性変形としやすく、より突起部12に復元力を作用させやすい。これにより、胴部4が塑性変形することをより抑制でき、胴部4が弾性変形した場合であっても、形状の復元がより容易である。
【0051】
また、本実施形態によれば、突起部12における径方向の外端に位置する外壁面12bは、横側壁部11bと頂面12aの径方向の外端と、を連結し、ボトル軸Oと平行に延びている。そのため、環状部8に加えられる径方向の外力の一部を突起部12の外壁面12b全体で受けやすい。これにより、環状部8に加えられる外力の一部を、突起部12において分散して受け止めやすく、効果的に吸収できる。したがって、胴部4が塑性変形することをより抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、突起部12における径方向外側に位置する外端(本実施形態では外壁面12b)と環状部8の外周面との径方向に沿う高低差が、1mm以下である。そのため、突起部12によって環状部8の剛性を向上させつつ、ボトル1に加えられた径方向からの外力を突起部12によっても直接的に受けとめやすくなり、環状部8の変形を抑制する効果がより顕著となる。なお、前記高低差が1mmを超えると、ボトル1に外力を及ぼす対象物が突起部12に触れにくくなり、上述した効果が得られにくくなる。
【0053】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
例えば、前述の実施形態では、パネル部6および柱部7が、周方向に間隔をあけて各6つ設けられているが、パネル部6および柱部7の数および配置等は、ボトル1に要求される強度および減圧吸収容量等を考慮して適宜設計変更が可能である。
また、前述した実施形態では、肩部3、胴部4および底部5のボトル軸Oに垂直な横断面視形状が円形状とされているが、これに限られず、例えば横断面視で多角形状にする等、適宜変更してもよい。
【0055】
また、ボトル1を形成する合成樹脂材料は、前述したポリエチレンテレフタレート以外の合成樹脂材料や複数の合成樹脂材料からなるブレンド材料等に適宜変更してよい。
さらに、ボトル1は単層構造体に限られず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、もしくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
【0056】
また、前述の実施形態では、胴部4において肩部3に連なる上側部分(上側胴部4b)がラベル表示領域である構成としたが、これに限られない。例えば、下側胴部4aがラベル表示領域であってもよい。この場合、下側胴部4aの外周に商品名等を表示するシュリンクフィルム等で形成されるラベルが装着される。
【0057】
また、前述の実施形態では、胴部4の環状部8が、パネル部6の直上および直下に一対形成されているとしたが、これに限定されるものではなく、環状部8はパネル部6の直上または直下に1つのみ形成されていてもよい。
また、環状部8がボトル1の最大外径部となっている構成としたが、これに限定されるものではなく、環状部8以外の部位がボトル1の最大外径部であっても構わない。この場合、最大外径部の位置に合わせて突起部12を設けることで、上述したランプレッシャー等の外力が作用しやすい最大外径部の変形を抑制できる。また、環状部8の外周面が、柱部7の外周面よりも径方向外側に突出してもよい。
【0058】
また、パネル底壁部10の形状およびパネル側壁部11の形状は、前述の実施形態で説明した形状に限定されない。例えば、パネル底壁部10が矩形状以外の多角形状で、パネル側壁部11が矩形枠状以外の多角形枠状であってもよい。また、例えば、パネル底壁部10が楕円状および長円状等の円形状で、パネル側壁部11が楕円状および長円状等の円形枠状であってもよい。
【0059】
また、前述の実施形態では、突起部12は、下側胴部4aにおける複数のパネル部6のそれぞれに形成され、上側胴部4bにおける複数のパネル部9には形成されない構成としたが、これに限られない。突起部12は、ボトル1に形成された複数のパネル部6,9の少なくとも1つにおいて、パネル側壁部11に形成されていればよい。突起部12は、複数のパネル部6のうちの一部のパネル部6のみに形成されていてもよい。突起部12は、例えば、複数のパネル部9のすべて、または複数のパネル部9のうちの一部のパネル部9に形成されていてもよい。突起部12は、上述したラインプレッシャー等の外力が作用する部位(本実施形態では下側の環状部8)の位置に合わせて配置されることが好ましい。
【0060】
また、前述の実施形態では、パネル側壁部11における一対の横側壁部11bのうち下側の横側壁部11bのみに突起部12が形成されている構成としたが、これに限られない。突起部12は、パネル側壁部11における一対の横側壁部11bの両方に形成されていてもよいし、パネル側壁部11における一対の横側壁部11bのうち上側の横側壁部11bのみに形成されていてもよい。
【0061】
また、前述の実施形態では、突起部12が横側壁部11bの周方向に沿う中央部に1つ形成されているとしたが、これに限定されない。突起部12は、例えば、1つの横側壁部11bに対して、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。この場合、複数の突起部12のうちの少なくとも1つが、横側壁部11bの周方向に沿う中央部を含むように形成されていればよい。また、突起部12は、横側壁部11b全体に周方向に沿って延びていてもよい。また、突起部12における径方向外側に位置する外端と環状部8の外周面とが径方向において同じ位置であってもよい。すなわち、突起部12における径方向外側に位置する外壁面12bと環状部8の外周面との径方向に沿う高低差が0mmであってもよい。
【0062】
また、前述の実施形態では、傾斜壁面である頂面12aがパネル底壁部10における突起部12が形成された一方の横側壁部11bとの接続部分から延びる構成としたが、これに限られない。頂面12aは、突起部12が形成された一方の横側壁部11bから径方向の外側に向けて延びていてもよい。また、頂面12aの径方向に対する傾きは、突起部12が設けられた横側壁部11bの径方向に対する傾きと同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した各構成を適宜組み合わせてもよい。