特許第6937667号(P6937667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937667
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】来訪者受付システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20210909BHJP
【FI】
   G06Q10/10
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-219596(P2017-219596)
(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公開番号】特開2019-91250(P2019-91250A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄司 圭一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 将芳
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−191740(JP,A)
【文献】 特開2008−236698(JP,A)
【文献】 特開2007−087334(JP,A)
【文献】 特開2010−205122(JP,A)
【文献】 特開2013−254287(JP,A)
【文献】 特開2007−066210(JP,A)
【文献】 特開平09−138839(JP,A)
【文献】 特開2009−187105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問が予定されている来訪者に関する情報に基づき記号により表現される認証キーを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された認証キーを前記訪問が予定されている来訪者に通知する通知手段と、
前記生成手段により生成された認証キーを少なくとも含む認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、
施設の受付において、来訪者が来訪時に携帯してくるカードであって前記通知手段により通知された認証キーが付加されているカードを撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影されたカードの画像を解析することで認証キーを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された認証キーが前記認証情報に含まれている認証キーと合致する場合に来訪者を認証する認証手段と、
を有することを特徴とする来訪者受付システム。
【請求項2】
前記カードは、名刺であり、
前記認証情報には、更に前記来訪者に関する情報に含まれる来訪者の名刺の記載事項が含まれており、
前記取得手段は、前記カードの画像を解析することで、更に来訪者の名刺の記載事項を取得し、
前記認証手段は、前記取得手段により取得された認証キー及び来訪者の名刺の記載事項が前記認証情報に含まれている認証キー及び来訪者の名刺の記載事項と合致する場合に来訪者を認証することを特徴とする請求項1に記載の来訪者受付システム。
【請求項3】
前記カードに付加される前記認証キーは、来訪者によって書き込まれた手書き文字であることを特徴とする請求項1に記載の来訪者受付システム。
【請求項4】
前記認証情報には、前記認証キー前記カードに付加するための条件が設定される付加条件が含まれており、
前記通知手段は、前記付加条件を前記訪問が予定されている来訪者に通知し、
前記認証手段は、前記カードに付加されている認証キーが前記付加条件に設定されている条件に合致するよう付加されている場合に来訪者を認証することを特徴とする請求項1又は2に記載の来訪者受付システム。
【請求項5】
前記付加条件は、前記訪問が予定されている来訪者に関する情報を利用して設定されることを特徴とする請求項に記載の来訪者受付システム。
【請求項6】
前記付加条件には、前記カードに前記認証キーを付加する際の文字列の方向又は前記カード上における前記認証キーの付加位置の少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項に記載の来訪者受付システム。
【請求項7】
前記来訪者の名刺の記載事項は、来訪者が所属する団体名及び来訪者の氏名を少なくとも含むことを特徴とする請求項2に記載の来訪者受付システム。
【請求項8】
来訪者の名刺のレイアウト情報が予め設定されている名刺情報記憶手段を有し、
前記取得手段は、来訪者の名刺のレイアウト情報を参照して、認証に利用する名刺の記載事項の記載位置を特定することを特徴とする請求項2に記載の来訪者受付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来訪者受付システム、特に施設の受付における来訪者の認証に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的規模の大きい企業のビルでは、来訪者の入館を厳重に管理している場合が少なくない。例えば、受付人員は、受付時に認証した来訪者個々にゲストカード(入館証)を手渡す。訪問者は、ゲストカードを建物の入口に設置されているカードリーダに読み取らせる。これにより、入口のゲートが開き、訪問者は入館することが可能となる。
【0003】
ところで、顧客の訪問日時は、各時間とも00分や30分など切りの良い時間に設定される場合が多い。例えば、ランチ休憩直後の13時00分に訪問日時が設定されると、その時間に来訪者が集中し、受付に行列ができてしまう場合がある。
【0004】
来訪者が一時的に集中することで発生しうる受付の遅れを解消するために、従来では、事前に知らされているIDをバーコード化して訪問者の名刺に印刷しておき、訪問者が、その名刺を訪問先の受付に設置されているカードリーダに読み取らせることで自動受付するシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−186292号公報
【特許文献2】特開2014−063401号公報
【特許文献3】特開2008−021263号公報
【特許文献4】特開2008−123277号公報
【特許文献5】特開2005−267525号公報
【特許文献6】特開2005−301861号公報
【特許文献7】特開平10−246041号公報
【特許文献8】特開2009−030307号公報
【特許文献9】特開2013−229780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バーコードは、データを固定長とすることや所定の印刷範囲を必要とするなど、システムにおいて定められた規格に従って形成しなければならない。また、複数の規格があるとは言え、印刷により形成する必要があるなど、種々の制約がある。
【0007】
本発明は、来訪者の認証キーに記号を用いることで柔軟性があり、また認証精度が向上可能な認証キーを提供する来訪者受付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る来訪者受付システムは、訪問が予定されている来訪者に関する情報に基づき記号により表現される認証キーを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された認証キーを前記訪問が予定されている来訪者に通知する通知手段と、前記生成手段により生成された認証キーを少なくとも含む認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、施設の受付において、来訪者が来訪時に携帯してくるカードであって前記通知手段により通知された認証キーが付加されているカードを撮影する撮影手段と、前記撮影手段により撮影されたカードの画像を解析することで認証キーを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された認証キーが前記認証情報に含まれている認証キーと合致する場合に来訪者を認証する認証手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記カードは、名刺であり、前記認証情報には、更に前記来訪者に関する情報に含まれる来訪者の名刺の記載事項が含まれており、前記取得手段は、前記カードの画像を解析することで、更に来訪者の名刺の記載事項を取得し、前記認証手段は、前記取得手段により取得された認証キー及び来訪者の名刺の記載事項が前記認証情報に含まれている認証キー及び来訪者の名刺の記載事項と合致する場合に来訪者を認証することを特徴とする。
【0010】
また、前記カードに付加される前記認証キーは、来訪者によって書き込まれた手書き文字であることを特徴とする。
【0012】
また、前記認証情報には、前記認証キー前記カードに付加するための条件が設定される付加条件が含まれており、前記通知手段は、前記付加条件を前記訪問が予定されている来訪者に通知し、前記認証手段は、前記カードに付加されている認証キーが前記付加条件に設定されている条件に合致するよう付加されている場合に来訪者を認証することを特徴とする。
【0013】
また、前記付加条件は、前記訪問が予定されている来訪者に関する情報を利用して設定されることを特徴とする。
【0014】
また、前記付加条件には、前記カードに前記認証キーを付加する際の文字列の方向又は前記カード上における前記認証キーの付加位置の少なくとも1つが含まれることを特徴とする。
【0015】
また、前記来訪者の名刺の記載事項は、来訪者が所属する団体名及び来訪者の氏名を少なくとも含むことを特徴とする。
【0016】
また、来訪者の名刺のレイアウト情報が予め設定されている名刺情報記憶手段を有し、前記取得手段は、来訪者の名刺のレイアウト情報を参照して、認証に利用する名刺の記載事項の記載位置を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、来訪者の認証キーに記号を用いることで柔軟性があり、また認証精度が向上可能な認証キーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る来訪者受付システムの全体構成の一実施の形態及びブロック構成を示す図である。
図2】本実施の形態における入退館管理装置を形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における認証情報記憶部に登録される認証情報のデータ構成の一例を示す図である。
図4】本実施の形態における来訪者の照合処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る来訪者受付システムの全体構成の一実施の形態及びブロック構成を示す図である。図1には、カメラ1と、入退館管理装置10と、外部システム2と、入退館管理装置10と外部システム2とを接続するインターネット等のネットワーク3と、が示されている。本実施の形態では、施設として比較的規模の大きい企業(会社A)のビル4を想定している。ビル4の入口(受付階)には、ゲートと、ゲートの外側に来訪者の受付を行う従業員(受付人員)がいる受付カウンタが設けられており、訪問者は、受付を正規に済ませることでゲートが開き、ビル4に入館することが可能となる。
【0021】
入退館管理装置10は、サーバールーム等ビル4内の所定の位置に設置される、また、カメラ1は、ビル4の受付階のゲートの外側に設置される。なお、図1には、1台のカメラ1のみを図示したが、複数台設置してもよい。また、外部システム2は、当企業の顧客となる企業(会社B)のシステムである。なお、図1には、1つの外部システム2のみを図示したが、複数のシステムがネットワーク3を介して接続されていてもよい。
【0022】
なお、「顧客」は、企業(会社B)を指す場合と会社Aに訪問する従業員(訪問者)を指す場合とがある。ただ、訪問者個人を指す場合には「訪問者」と称することにする。また、「訪問者」というのは、会社Aに訪れる者であって、本実施の形態の場合、会社Aの顧客(会社B)の従業員である。「来訪者」というのは、会社Aに訪れてくる者であって、本実施の形態の場合、会社Aの顧客(会社B)の従業員である。このように、「訪問者」と「来訪者」は、同じ人物(図1の名刺の記載によると「山田 太郎」)を指す。
【0023】
図2は、本実施の形態における入退館管理装置10を形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において入退館管理装置10を形成するサーバコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、入退館管理装置10は、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示手段として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)29を内部バス30に接続して構成される。
【0024】
図1に戻り、カメラ1は、来訪者が来訪時に携帯してくる名刺を撮影する。本実施の形態における入退館管理装置10は、来訪者情報取得部11、認証情報生成部12、通知部13、取得部14、認証部15、認証結果表示部16、予約情報記憶部17、認証情報記憶部18及び名刺情報記憶部19を有している。なお、本実施の形態において説明に用いない構成要素については、図1から省略している。
【0025】
来訪者情報取得部11は、会社Aに訪問することが予定されている顧客に関する情報を予約情報記憶部17から読み出す。認証情報生成部12は、来訪者情報取得部11により読み出された来訪者情報に基づき認証情報を生成して認証情報記憶部18に登録する。通知部13は、認証情報生成部12により生成された認証情報に含まれている認証キーを当該顧客に通知する。取得部14は、カメラ1により撮影された名刺の画像を解析することで認証キー及び名刺の記載事項を取得する。本実施の形態において「名刺の記載事項」というのは、来訪者の認証処理に用いる情報であり、本実施の形態の場合、来訪者が所属する会社の会社名と来訪者の氏名がこれに該当する。
【0026】
認証部15は、取得部14により取得された認証キー及び名刺の記載事項が認証情報記憶部18に記憶されている認証情報に含まれている認証キー及び名刺の記載事項と合致する場合に来訪者を認証する。認証結果表示部16は、認証部15による認証結果をディスプレイ27に表示する。なお、本実施の形態において「認証」というのは、来訪者が不正な第三者ではなく予約済みの正当な顧客であることを証明することをいう。ただ、「認証結果」というように、場合によって認証作業(認証処理)を表す場合もある。
【0027】
予約情報記憶部17には、顧客の会社Aへの訪問の予約に関する予約情報が顧客の訪問前に設定登録されている。予約情報には、予約日時、予約した顧客に関する情報及び訪問先(会社A)側に関する情報が設定登録されている。顧客に関する情報としては、会社名、住所、電話番号等の会社情報と、来訪者の役職、氏名、メールアドレス等の来訪者個人に関する情報が含まれている。また、訪問先(会社A)側に関する情報としては、来訪者に応対する担当者、使用する会議室等の情報が含まれている。
【0028】
図3は、本実施の形態における認証情報記憶部18に登録される認証情報のデータ構成の一例を示す図である。認証情報は、来訪者情報、認証キー、付加条件及び時間帯という情報項目にて構成される。このうち、来訪者情報、認証キー及び付加条件は、来訪者を認証する際に用いる情報である。来訪者情報は、来訪者に関する情報であり、本実施の形態では、会社名と来訪者の氏名を用いる。来訪者情報に設定する情報項目によって名刺から読み取る情報(名刺の記載事項)が決まる。

【0029】
認証キーは、会社Aが顧客に付与する認証用の識別情報である。後述するように、顧客は、認証キーを来訪者の名刺に付加することになるが、認証情報に設定される付加条件には、名刺にどのように付加するのか、その名刺への付加条件が設定される。本実施の形態では、付加条件の例として、文字列方向及び付加位置を設定している。本実施の形態では、記号のうち文字を使って認証キーを表現する場合を想定しているので、文字列方向には、横書き、縦書き、更に複数の行に折り返すなど、その文字列の並びや方向についての条件が設定される。付加位置には、名刺上において認証キーが付加されるべき位置や範囲が設定される。図3には、右上等おおよその位置を示すように設定しているが、名刺全体を座標データで表して座標データで付加すべき範囲を具体的に指定するようにしてもよい。また、図3に例示したように複数箇所を設定してもよい。名刺によっては、会社のログ等が印刷されていることから、1箇所で指定された付加位置に認証キーを付加できない場合があるので、付加位置の選択の余地を顧客に与えるためである。
【0030】
名刺情報記憶部19には、顧客の名刺のレイアウト情報が予め設定されている。具体的には、当該顧客の会社名、氏名、必要により住所や電話番号の印刷位置が容易に特定できるための情報が設定されている。
【0031】
入退館管理装置10における各構成要素11〜16は、入退館管理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部17〜19は、入退館管理装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0032】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0033】
次に、本実施の形態における動作について説明する。まず、顧客(来訪者)に対して認証キーを発行し、通知するまでの処理について説明する。
【0034】
顧客の来訪が予定されると、その顧客についての予約情報が予約情報記憶部17に登録される。予約情報が新たに登録されると、来訪者情報取得部11は、登録された予約情報から来訪者の認証に用いる情報を来訪者情報として抽出する。
【0035】
認証情報生成部12は、抽出された来訪者情報に基づき認証情報を生成する。本実施の形態では、来訪者の認証に、来訪者に関する情報と認証キーを併用する。認証情報に設定する来訪者情報は、カメラ1による名刺の撮像画像から抽出した情報(名刺の記載事項)の照合に用いるので、名刺の記載事項から選出する必要がある。本実施の形態では、図3に例示したように来訪者が所属する会社の名称(会社名)及び来訪者の氏名を用いるが、この情報に限定する必要はなく、名刺の記載事項であり、予約情報にも設定されている情報、例えば住所や電話番号等でもよい。また、会社名及び氏名にこれらの情報を付加してもよい。情報を付加することで認証の精度を向上させることが可能となる。
【0036】
また、認証情報生成部12は、来訪者情報取得部11により取得された来訪者情報に基づき認証キーを生成する。認証キーは、他の認証キーと重複しなければどのような方法にて生成してもよい。管理者が手入力で設定してもよい。ただ、本実施の形態では、顧客の情報に依存させるようにした。例えば、会社名には、漢字、カタカナ、ひらがな、英文字等が用いられており、また、社名及び社名長もばらつきがあり、基本的には異なる認証キーが生成されやすい。
【0037】
例えば、会社名を構成する各文字を所定の規則に従って数値化し、その数値にある定数をかけて文字列(認証キー)を生成する所定の生成アルゴリズムに従って認証キーを生成する。このように、会社名の文字及び文字数に依存させて認証キーを生成するので、バーコードを用いる場合と異なり、認証キーが固定長で生成されるとは限らない。もちろん、固定長となるよう生成してもよい。
【0038】
本実施の形態では、付加条件も同様に、来訪者情報を利用して自動設定する。例えば、会社名を利用すると、会社名を構成する各文字を所定の規則に従って数値化し、その数値にある定数をかけて1つの値を算出し、その値が奇数なら縦書き、偶数なら横書きと設定される所定の生成アルゴリズムを用いる。
【0039】
付加位置も同様に所定のアルゴリズムを用いて設定されるようにしてよい。本実施の形態では、付加条件として文字列方向及び付加位置を例にしているが、これとは別に、あるいはこれに加えて,例えば文字色の指定、印刷か手書きかの別、印刷する場合にはフォントや文字サイズ等、手書きの場合は、鉛筆等筆記用具の種類などその他の条件を設定してもよい。
【0040】
上記説明では、会社名から認証キーを生成するようにしたが、氏名をも用いて生成してもよい。また、その逆に会社名に含まれている全ての文字を用いずに一部の文字を用いるようにしてもよい。また、認証キーが手書きされる場合を考慮して、識別しにくい文字や誤認しやすい文字、例えば“l”、“1”、“o”、“0”等を含まないように認証キーを生成するようにしてもよい。
【0041】
また、来訪者の訪問日時は予約情報から特定できるので、その訪問日時の前後30分を、訪問してくる可能性のある時間帯として設定する。図3には、来訪者が15時に予約している場合の例が示されている。
【0042】
本実施の形態では、認証キーのみで来訪者を認証することが可能である。ただ、来訪者情報(会社名及び氏名)を組み合わせることで認証制度を更に向上させることができる。また、訪問予定の時間帯を設定しておけば、不正な訪問を防止することができる。また、認証キーが偶然にも一致した場合の不具合を回避できる可能性が高くなる。
【0043】
以上のようにして、認証キーが生成されると、通知部13は、認証情報に含まれている認証キー及び付加条件を該当する顧客に通知する。本実施の形態では、顧客の所定のメールアドレス又は来訪者個人のメールアドレス宛に電子メールにて通知することを想定しているが、通知する方法は、特に限定する必要はない。
【0044】
顧客(会社B)では、認証キーが通知されてくると、付加条件により指定された方法で認証キーを来訪者の名刺に付加する。名刺に付加する作業は、来訪者が行っても、専門のスタッフが行ってもよい。
【0045】
ここで、本実施の形態では、認証キーを名刺に「付加」するという表現を用いている。「付加」には、認証キーを名刺に印刷する場合、手書きする場合、認証キーが付加されている紙やシールを名刺に貼り付ける場合等、名刺に認証キーを付けるあらゆる手段が含まれることを示している。
【0046】
以上のようにして、来訪者の名刺に認証キーが付加されると、訪問者は、認証キーが付加された名刺を持って訪問先(会社A)に訪問する。そして、会社Aの入口階に設置されているカメラ1に名刺を撮影させる。このとき、訪問者は、受付をしている従業員(受付人員)と接触する必要はない、以下、来訪者の照合処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0047】
訪問者は、名刺をカメラ1の撮影範囲におくことで、本処理を実施するアプリケーションは自動的に起動される。そして、カメラ1は、名刺を撮影する(ステップ101)。取得部14は、カメラ1により名刺が撮影されると、その撮像画像を解析することによって認証キー及び名刺の記載事項、本実施の形態の場合、認証情報記憶部18に設定されている来訪者情報に該当する項目情報(会社名、氏名)を取得する(ステップ102)。
【0048】
ところで、取得部14は、上記のように名刺の撮像画像を解析することによって来訪者の会社名及び氏名を取得することになる。名刺のレイアウトは、ある程度パターン化されているようにも考えられるが、中には奇抜なレイアウトの名刺も存在し、会社名及び氏名を抽出しにくい状況になるかもしれない。そこで、名刺情報記憶部19に各会社の名刺のレイアウト情報、特にパターン化されていないデザインの名刺のレイアウト情報を事前に登録しておくことによって、来訪者情報(会社名、氏名)の認識精度を向上させることが可能となる。
【0049】
なお、取得部14は、認証情報に含まれている付加位置を利用することによって認証キーを抽出するようにしてもよい。正当な来訪者の場合には、認証キーの読取精度を向上させることが可能となる。また、名刺ホルダーを利用し、カメラ1の撮影範囲の所定位置に名刺を位置付けできるようして、名刺の記載事項の読取精度を向上させるようにしてもよい。
【0050】
続いて、認証部15は、取得部14により取得された認証キー及び来訪者情報を、認証情報記憶部18に登録されている認証情報に設定されている認証キー及び来訪者情報と照合する(ステップ103)。取得部14により取得された認証キーが認証情報に設定されている認証キーと合致することで来訪者を認証、すなわち正当な来訪者と認証してもよいが、本実施の形態では、更に来訪者情報を照合することによって認証精度を高めている。
【0051】
更に、本実施の形態では、名刺から読み取った認証キーが、認証情報に設定されている付加条件に合致していたかどうか、具体的には、認証キーは、名刺上のどの位置に付加されており、それは縦書きか横書きかという文字列の方向などを検証する。
【0052】
このように、認証キー及び来訪者情報が認証情報に合致しており、更に名刺上の認証キーが付加条件に合致していた場合に(ステップ104でY)、来訪者を認証する。認証されるとゲートが開き、訪問者は、ビル4の中に入ることができる。
【0053】
本実施の形態においては、認証キーに加えて、名刺の記載事項、更に認証キーの付加条件を考慮していくことで来訪者の認証精度を向上させることができる。
【0054】
また、図3に示すように訪問者の訪問時刻を含む時間帯を設定している。従って、訪問者の実際の訪問時刻を含む時間帯が設定されている認証情報に絞り込んで、名刺の画像から抽出した情報を照合することができる。
【0055】
一方、来訪者が認証できなかった場合(ステップ104でN)、ゲートは閉状態のままであり、訪問者は、ビル4の中に入ることができないが、このとき、認証結果表示部16は、認証に失敗した旨をディスプレイ27に表示する。ディスプレイ27は、受付人員が視認可能な位置やカメラ1の設置位置近傍に設置するなど運用によって設置場所を選べばよい。前者の場合、受付人員は、認証に失敗した来訪者とはじめて接触し、直接応対する。後者の場合、訪問者は、名刺の再読み取りを試みる。なお、認証に失敗したときの対応は、この例に限らず会社Aの運用に従えばよい。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態によれば、認証に成功した場合、訪問者は、受付人員と全く接触しなくてよい。つまり、受付人員を削減することが可能となる。また、入館が許可された来訪者に手渡すゲストカード(入館証)を用いない運用に変えることも可能となる。つまり、認証キーが付加されている名刺がゲストカードの代わりとして利用することが可能となる。
【0057】
ところで、本実施の形態では、名刺に付加する認証キーとして文字列を利用しているが、これにより、手書き文字を利用できるのが好適である。手書き文字でよいということは、バーコードのようにプリンタを利用しなくてよいということである。従って、例えば、外出中の顧客に急遽来社してもらうことになった場合、認証キーを顧客に電話にて伝える。認証キーが伝えられた訪問者は、その認証キーを名刺に書き込めばよい。付加位置等の付加条件が伝えられれば、その付加条件に合致するよう認証キーを書き込むことになる。
【0058】
この例のように、手書き文字が使えることで、会社Aへの訪問が外出先で求められるような緊急性のある場合にも対応可能となる。また、認証キーの書き込みに鉛筆を用いれば、認証キーを消すことができるので、印刷する場合と異なり、名刺を再利用することも可能となる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態では、名刺に認証キーを付加するようにした。ただ、前述したように認証キーだけでも来訪者の認証は可能である。つまり、名刺以外のカードに認証キーを付加し、そのカードをカメラ1に撮影させるようにしてもよい。このように、認証キーを付加できる媒体をカードとして利用することも可能である。
【0060】
また、本実施の形態では、記号により認証キーを表現するようにした。上記説明では、認証キーを文字列にて生成する場合を例にした。ただ、図形や罫線等文字以外の記号、若しくはこれらの記号を文字と組み合わせて認証キーを生成してもよい。また、記号により認証キーを表現することにより、バーコードと比較して、認証キーの長さ、認証キーを構成する記号の大きさ等に柔軟性を持たせることが可能となる。特にサイズが相対的に小さい名刺上に認証キーを付加できるスペースは制限されるので、認証キーの長さや大きさ、向きを調整しやすい記号を用いることは都合よい。また、バーコードと異なり、手書きによっても認証キーを名刺に付加することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 カメラ、2 外部システム、3 ネットワーク、4 ビル、10 入退館管理装置、11 来訪者情報取得部、12 認証情報生成部、13 通知部、14 取得部、15 認証部、16 認証結果表示部、17 予約情報記憶部、18 認証情報記憶部、19 名刺情報記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークインタフェース(IF)、30 内部バス。
図1
図2
図3
図4