(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第1閾値以上で、かつ前記第2閾値以下となる前記静電容量値が第1所定回数以上検出された場合に、前記第1閾値変更処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
前記制御装置は、前記第1閾値を前記第3閾値に変更した後、前記第2閾値よりも大きくなる前記静電容量値が第2所定回数以上検出された場合に、前記第3閾値を前記第1閾値に戻す第2閾値変更処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
説明の便宜上、特定の項目について説明した構成と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。この点については、実施形態2においても同様である。また、本実施形態以下の各実施形態において、本発明の一態様に係る電子機器が備える表示装置、制御装置等の各装置については、単数であってもよいし複数であってもよい。
【0012】
<スマートフォンの構成>
スマートフォン10(電子機器)は、パーソナルコンピュータ・PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等の機能を併せ持った多機能の携帯電話機である(後述のスマートフォン20についても同様)。なお、本発明の適用対象となる電子機器としては、スマートフォンの他、携帯電話機やウェアラブル端末、小型ゲーム機などの携帯端末、あるいはタブレット端末、家電製品等を例示することができる。
図1に示すように、スマートフォン10は、タッチパネル(表示装置)1、記憶装置2、アプリケーション処理装置3および制御装置4を備えている。
【0013】
タッチパネル1は、例えば、相互容量方式の場合、互いに交差するK本(Kは複数:任意)の制御ラインおよびM本(Mは複数:任意)の駆動センスラインを備えている。また、タッチパネル1は、K本の制御ラインとM本の駆動センスラインとの各交差点に対応してマトリックス状に配置された、(K×M)個の電極を備えている(タッチパネル1の構造につき、不図示)。
【0014】
タッチパネル1は、後述の静電容量値検出部4aによって検出された電極の静電容量の変化から、当該タッチパネル1と重ね合わされた表示パネル(不図示)の表示面に操作体がタッチ(接触)またはホバー(近接)したことを検出する。ここで、「静電容量の変化」とは、各電極と操作体との間に生じる容量変化を指す。また、操作体としては、ユーザの指、タッチペン等を例示することができる。
【0015】
なお、(K×M)個の電極について、この個数および上述の配置態様に限定されない。言い換えれば、タッチパネル1の表示面内に静電容量の変化を検知するための電極が複数配置されていればよい。また、タッチパネル1は必ずしも相互容量方式である必要はなく、自己容量方式であってもよい。
【0016】
記憶装置2は、例えば、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などで構成され、スマートフォン10が備える各装置の動作に必要なデータを記憶する。記憶装置2は、例えば制御装置4に内蔵されてもよいし、スマートフォン10の外部に具備されてもよい。
【0017】
アプリケーション処理装置3は、後述の検出情報出力部4cから出力された検出情報に応じて、スマートフォン10に所定のアプリケーションに従った動作・処理を実行させる。
【0018】
制御装置4は、例えばCPUであり、記憶装置2に記憶されているプログラムを実行することによってスマートフォン10が備える各装置の動作を統括的に制御する。また、制御装置4は、
図1に示すように静電容量値検出部4a、閾値変更部4bおよび検出情報出力部4cを備えている。
【0019】
静電容量値検出部4aは、(K×M)個の電極のいずれかにおいて、操作体が表示面にタッチまたはホバーしたことによる静電容量の変化が生じた場合、当該静電容量の変化を表す静電容量値Sを検出して検出結果を閾値変更部4bに出力する。
【0020】
ここで、本明細書中の「静電容量値S」は、表示面に対して操作体がタッチまたはホバーしていない状態の静電容量値を基準値とした場合、当該基準値から変化した量を意味する。なお、上記変化した量の算出方法は、タッチパネルの方式に依存する。
【0021】
閾値変更部4bは、
図2の(a)に示すように、静電容量値検出部4aから出力された検出結果、すなわち静電容量値Sが、第1閾値A以上かつ第2閾値B以下であるか否かを判定する。また、閾値変更部4bは、第1閾値A以上かつ第2閾値B以下となる静電容量値(以下、「第1判定対象静電容量値」)の個数をカウントすることにより、静電容量値検出部4aが第1判定対象静電容量値を第1所定回数P以上検出したか否かを判定する。なお、
図2の(a)における「I.感度変更判断に用いる静電容量値」が、第1判定対象静電容量値に該当する。
【0022】
さらに、閾値変更部4bは、静電容量値検出部4aによって第1判定対象静電容量値が第1所定回数P以上検出された場合、
図2の(b)に示すように第1閾値Aを当該第1閾値Aよりも小さい第3閾値A´に変更する。制御装置4は、閾値変更部4bによるこれら一連の処理を第1閾値変更処理として実行する。
【0023】
ここで、第1閾値Aおよび第3閾値A´は、表示面へのタッチまたはホバーがあったか否かを判定するための基準値である。第2閾値Bは、表示面におけるタッチおよびホバーの検出感度のキャリブレーションを行うか否かを判定するための基準値である。
【0024】
また、第1閾値Aは、タッチパネル1の性能等に応じて決まる固有の値である。さらに、第2閾値は、タッチパネル1の使用態様(例えば、保護フィルムを表示面に貼る/貼らない)、保護フィルムの厚さ、および表示面に加わる圧力等を予め想定することによって適宜設定変更できる値である。
【0025】
第1所定回数Pおよび第3閾値A´は、タッチパネル1の性能や想定されるタッチパネル1の使用態様等を総合考慮することによって決められた固有の値である。後述の第2所定回数Qについても同様である。
【0026】
このように、タッチパネル1の性能や想定されるタッチパネル1の使用態様等に応じて第2閾値Bおよび第3閾値A´を適宜設定することにより、表示面へのタッチおよびホバーの検出漏れを効果的に防止することができる。第1閾値A・第2閾値B・第3閾値A´のそれぞれは、閾値変更部4b内のメモリに記憶されていてもよいし、記憶装置2に記憶されていてもよい。あるいは、外部の記憶装置(不図示)に記憶されていてもよい。
【0027】
なお、上述した第1閾値Aから第3閾値A´への変更の判定基準はあくまで一例であり、第1判定対象静電容量値が第1所定回数P以上検出された場合に変更する必要は必ずしもない。
【0028】
例えば、制御装置4(具体的には閾値変更部4b)は、所定期間内に第1閾値A以上かつ第2閾値B以下となる静電容量値が1個以上検出された場合に、第1閾値Aを第3閾値A´に変更してもよい。言い換えれば、第1閾値変更処理は、第1閾値A以上かつ第2閾値B以下となる静電容量値が継続的に検出された場合に、第1閾値Aを第3閾値A´に変更するものであればよい。
【0029】
<第1閾値から第3閾値への変更方法>
閾値変更部4bによる第1閾値Aから第3閾値A´への変更方法(電子機器の制御方法)としては、
図3に示す方法を例示することができる(スマートフォン20についても同様)。
【0030】
図3に示すように、まず、タッチパネル1の表示面において操作体によるタッチまたはホバーがあった場合(ステップ101(以下、「S101」と略記))、静電容量値検出部4aが当該タッチまたはホバーに起因する静電容量値を検出する(S102)。静電容量値検出部4aは、検出結果(検出された静電容量値)を閾値変更部4bに出力する。
【0031】
次に、閾値変更部4bは、静電容量値検出部4aから出力された検出結果に基づいて、検出された静電容量値が第1閾値A以上かつ第2閾値B以下であるか否かを判定する(S103:第1閾値比較ステップ(閾値変更ステップ))。
【0032】
S103でYES(以下、「Y」と略記)と判定した場合、閾値変更部4bは、1ループ前までの第1判定対象静電容量値の連続検出回数iに1を加え、当該1を加えた連続検出回数iが第1所定回数P以上か否かを判定する(S104:第1回数比較ステップ(閾値変更ステップ))。一方、S103でNO(以下、「N」と略記)と判定した場合、再びS101以下の各処理を実行する。
【0033】
S104でYと判定した場合、閾値変更部4bは、第1閾値Aを第3閾値A´に変更する(S105:第1閾値変更ステップ(閾値変更ステップ))。制御装置4は、第3閾値A´を基準値としてタッチまたはホバーの有無を判定し、検出する。一方、S104でNと判定した場合、再びS101以下の各処理を実行する。
【0034】
〔実施形態2〕
<制御装置による第2閾値変更処理>
本実施形態に係るスマートフォン20は、制御装置4が、所定条件を充足した場合に一旦変更した第3閾値A´を第1閾値Aに戻す第2閾値変更処理を実行する点で、実施形態1に係るスマートフォン10と異なる。
【0035】
具体的には、閾値変更部4bは、
図4に示すように、第1閾値Aを第3閾値A´に変更した後、静電容量値検出部4aから出力された検出結果(静電容量値S)が第2閾値Bよりも大きいか否かを判定する。また、閾値変更部4bは、第2閾値Bよりも大きくなる静電容量値(以下、「第2判定対象静電容量値」)の個数をカウントすることにより、静電容量値検出部4aが第2判定対象静電容量値を第2所定回数Q以上検出したか否かを判定する。なお、
図4における「III.感度を元に戻す判断に用いる静電容量値」が、第2判定対象静電容量値に該当する。
【0036】
さらに、閾値変更部4bは、静電容量値検出部4aによって第2判定対象静電容量値が第2所定回数Q以上検出された場合、
図4に示すように第3閾値A´を第1閾値Aに戻す。制御装置4は、閾値変更部4bによるこれら一連の処理を第2閾値変更処理として実行する。
【0037】
なお、スマートフォン20の制御装置4による第1閾値変更処理については、実施形態1に係る制御装置4と同様に、第1判定対象静電容量値が第1所定回数P以上検出された場合に第1閾値Aを第3閾値A´に変更してもよい。あるいは、所定期間内に第1閾値A以上かつ第2閾値B以下となる静電容量値が1個以上検出された場合に、第1閾値Aを第3閾値A´に変更してもよい。
【0038】
<第3閾値から第1閾値への変更方法>
閾値変更部4bによる第3閾値A´から第1閾値Aへの変更方法としては、
図5に示す方法を例示することができる。なお、
図5のフローチャートは、制御装置4が第1閾値変更処理を実行した後の処理を示すものである。また、
図5のフローチャートにおけるS201およびS202の各処理は、
図3のフローチャートにおけるS101およびS102の各処理と同様であることから、その説明を省略する。
【0039】
図5に示すように、閾値変更部4bは、静電容量値検出部4aから出力された検出結果に基づいて、検出された静電容量値が第2閾値Bよりも大きいか否かを判定する(S203:第2閾値比較ステップ)。
【0040】
S203でYと判定した場合、閾値変更部4bは、1ループ前までの第2判定対象静電容量値の連続検出回数kに1を加え、当該1を加えた連続検出回数kが第2所定回数Q以上か否かを判定する(S204:第2回数比較ステップ)。一方、S203でNと判定した場合、再びS201以下の各処理を実行する。
【0041】
S204でYと判定した場合、閾値変更部4bは、第3閾値A´を第1閾値Aに戻す(S205:第2閾値変更ステップ)。制御装置4は、再び第1閾値Aを基準値としてタッチまたはホバーの有無を判定し、検出する。一方、S204でNと判定した場合、再びS201以下の各処理を実行する。
【0042】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置4の制御ブロック(特に閾値変更部4b)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0043】
後者の場合、制御装置4は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0044】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電子機器(スマートフォン10、20)は、少なくとも1つの表示装置(タッチパネル1)と、少なくとも1つの制御装置(4)とを備える電子機器であって、前記表示装置の表示面内には、前記表示面への操作体の近接または接触に応じて静電容量が変化する電極が複数配置されており、前記制御装置は、複数の前記電極のいずれかにおける前記静電容量の変化を表す静電容量値(S)について、前記近接または前記接触があったか否かを判定するための第1閾値(A)以上で、かつ前記表示面の検出感度のキャリブレーションを行うか否かを判定するための第2閾値(B)以下となる前記静電容量値が継続的に検出された場合に、前記第1閾値を前記第1閾値よりも小さい第3閾値(A´)に変更する第1閾値変更処理を実行する。
【0045】
上記の構成によれば、例えば保護フィルムの厚みや、操作者の指の大きさ・指圧の強さに応じて第2閾値を適宜設定することにより、表示面への近接および接触の検出漏れを効果的に防止することができる。また、保護フィルムに覆われる表示面の領域と、保護フィルムに覆われずに露出する表示面の領域とを意図的に設ける必要がないことから、操作上の無駄のない、良好な外観の電子機器を実現することができる。
【0046】
本発明の態様2に係る電子機器は、上記態様1において、前記制御装置は、前記第1閾値以上で、かつ前記第2閾値以下となる前記静電容量値が第1所定回数(P)以上検出された場合に、前記第1閾値変更処理を実行してもよい。
【0047】
上記の構成によれば、第1閾値以上かつ第2閾値以下の静電容量値が第1所定回数以上検出された場合、言い換えれば近接および接触の検出漏れが発生する可能性が高くなった場合に、近接または接触の有無を判定するための閾値を第3閾値に変更することができる。したがって、表示面への近接および接触の検出漏れを効果的に防止することができる。
【0048】
本発明の態様3に係る電子機器(スマートフォン20)は、上記態様1または2において、前記制御装置は、前記第1閾値を前記第3閾値に変更した後、前記第2閾値よりも大きくなる前記静電容量値が第2所定回数(Q)以上検出された場合に、前記第3閾値を前記第1閾値に戻す第2閾値変更処理を実行してもよい。
【0049】
上記の構成によれば、第2閾値よりも大きくなる静電容量値が第2所定回数以上検出された場合、言い換えれば近接および接触の検出漏れが発生する可能性が低くなった場合に、近接または接触の有無を判定するための閾値を通常の第1閾値に戻すことができる。したがって、無駄な第3閾値の設定が継続することによる、表示面への近接および接触の誤検知を効果的に防止することができる。
【0050】
本発明の態様4に係る制御装置(4)は、少なくとも1つの表示装置(タッチパネル1)を備える電子機器(スマートフォン10、20)を制御する制御装置であって、前記表示装置の表示面内には、前記表示面への操作体の近接または接触に応じて静電容量が変化する電極が複数配置されており、複数の前記電極のいずれかにおける前記静電容量の変化を表す静電容量値(S)について、前記近接または前記接触があったか否かを判定するための第1閾値(A)以上で、かつ前記表示面の検出感度のキャリブレーションを行うか否かを判定するための第2閾値(B)以下となる前記静電容量値が継続的に検出された場合に、前記第1閾値を前記第1閾値よりも小さい第3閾値(C)に変更する閾値変更部(4b)を備える。
【0051】
上記の構成によれば、表示面への近接および接触の検出漏れを効果的に防止しつつ、電子機器が操作上の無駄のない、良好な外観となる制御装置を実現することができる。
【0052】
本発明の態様5に係る制御方法は、少なくとも1つの表示装置(タッチパネル1)と、少なくとも1つの制御装置(4)とを備える電子機器(スマートフォン10、20)を制御する制御方法であって、前記表示装置の表示面内には、前記表示面への操作体の近接または接触に応じて静電容量が変化する電極が複数配置されており、複数の前記電極のいずれかにおける前記静電容量の変化を表す静電容量値(S)について、前記近接または前記接触があったか否かを判定するための第1閾値(A)以上で、かつ前記表示面の検出感度のキャリブレーションを行うか否かを判定するための第2閾値(B)以下となる前記静電容量値が継続的に検出された場合に、前記第1閾値を前記第1閾値よりも小さい第3閾値(C)に変更する閾値変更ステップ(S103、S104、S105)を含む。
【0053】
上記の構成によれば、表示面への近接および接触の検出漏れを効果的に防止しつつ、電子機器が操作上の無駄のない、良好な外観となる制御方法を実現することができる。
【0054】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置のプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0055】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。