(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937691
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】カード収容型背面ケース
(51)【国際特許分類】
H04M 1/11 20060101AFI20210909BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20210909BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20210909BHJP
H04M 1/21 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
H04M1/11 Z
G06F1/16 313C
H04M1/02 C
H04M1/21 M
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-527516(P2017-527516)
(86)(22)【出願日】2016年7月8日
(86)【国際出願番号】JP2016070310
(87)【国際公開番号】WO2017007028
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2019年6月10日
【審判番号】不服2020-14622(P2020-14622/J1)
【審判請求日】2020年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-137294(P2015-137294)
(32)【優先日】2015年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596139122
【氏名又は名称】株式会社パワーサポート
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 克史
【合議体】
【審判長】
佐藤 智康
【審判官】
山中 実
【審判官】
吉田 隆之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−117483(JP,A)
【文献】
特開2015−106754(JP,A)
【文献】
特開2013−9277(JP,A)
【文献】
AppBank、[レビュー],スマホにカードポケットを付けられる『Sinji pouch』!新色はiPhoneとの一体感抜群!!,[online],2014年 8月30日,[令和2年 4月16日検索],URL,https://web.archive.org/web/20140830070544/http://www.appbank.net/2014/08/25/goods−books/878267.php
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/11, G06F 1/16, H04M 1/02, H04M 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯情報端末の背面側に装着されるカード収容型背面ケースであって、
前記携帯情報端末に装着されるケース本体と、
前記ケース本体の外側面に取り付けられ、且つ、カードをスライドさせて収容可能なカード収容ポケットを備え、
前記カード収容ポケットは、閉鎖端と、開放端とを有し、
前記閉鎖端は、前記カード収容ポケットの下端及び前記カード収容ポケットの一対の側端に設けられ、
前記開放端は、前記カード収容ポケットの上端に設けられ、
前記カード収容ポケットの下端に設けられた前記閉鎖端は、前記ケース本体の長手方向の一方の端部側に設けられ、
前記開放端は、前記ケース本体の前記長手方向の前記一方の端部と他方の端部との間に設けられ、
前記ケース本体には前記カード収容ポケットによって被覆される位置にカード取出孔が設けられ、
前記カード取出孔は、前記カード収容ポケット内に収容された前記カードをスライドさせて前記カード収容ポケットから取り出し可能にするように設けられる、カード収容型背面ケース。
【請求項2】
前記ケース本体には、前記カード収容ポケットに対応した位置に前記携帯情報端末からの電磁波を遮断可能な電磁波遮断シートが設けられている、請求項1に記載の背面ケース。
【請求項3】
前記カード取出孔は、前記カードが前記カード収容ポケット内に収容された状態で前記カードのアンテナに重ならない位置に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の背面ケース。
【請求項4】
前記ケース本体は、本体部と、電磁波遮断シートと、外張り部とを備え、
前記カード収容ポケットは、前記外張り部の外側面に取り付けられ、
前記電磁波遮断シートは、前記カード収容ポケットに対応した位置に設けられ、前記携帯情報端末からの電磁波を遮断可能であり、
前記電磁波遮断シートは、前記本体部と前記外張り部との間に設けられ、
前記本体部、前記電磁波遮断シート及び前記外張り部のそれぞれには、前記カード収容ポケットによって被覆される位置にカード取出孔が設けられている、請求項1に記載の背面ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報端末の背面側に装着され且つカードを収容可能なカード収容型背面ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
各社から発売されているスマートフォンやタブレット端末などの携帯情報端末はタッチディスプレイによる直感的な操作が可能であり、携帯性のよさから多くのユーザーに利用されている。
【0003】
ユーザーは携帯情報端末をポケットや鞄に入れて持ち歩くことが多く、傷がつきやすい。そこで、携帯情報端末の背面側に装着される背面ケースが広く利用されている。
【0004】
このような背面ケースには、ICカードが収容可能なものがあり、背面ケースにICカードを収容しておくことによって、背面ケースを装着した携帯情報端末をICカードリーダーに近づけるだけで決済を行うことが可能になり、便利である。
【0005】
特許文献1には、ICカードの種々の収容方法を開示している。特許文献1の
図5には、携帯情報端末と背面ケースの間に電磁波遮断シートとICカードを収容する構成が開示されている。特許文献1の
図6には、背面ケースの外面側に設けられたポケットにICカードを収容する構成が開示されている。特許文献1の
図4及び
図7には、2枚のプレートの間にカード収容部を設け、一方のプレートをスライド移動させることによってカード収容部内にICカードを出し入れ可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−106754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の
図5の構成では、ICカードや電磁波遮断シートがケースに固定されていないので、ICカードを出し入れする際にICカードや電磁波遮断シートが脱落してしまう虞れがある。特許文献1の
図6の構成では、ポケットに設けられた開口からICカードが外部に露出してしまうために背面ケースの美観が損なわれてしまう虞れがある。特許文献1の
図4及び7の構成は、プレートをスライド移動させる機構が必要であるために、強度及び耐久性が不十分になりやすい。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、強度及び美観に優れ且つカードの出し入れを行いやすいカード収容型背面ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、携帯情報端末の背面側に装着されるカード収容型背面ケースであって、前記携帯情報端末に装着されるケース本体と、前記ケース本体の外側面に設けられ且つカードをスライドさせて収容可能なカード収容ポケットを備え、前記ケース本体には前記カード収容ポケットによって被覆される位置にカード取出孔が設けられ、前記カード取出孔は、前記カード収容ポケット内に収容された前記カードをスライドさせて前記カード収容ポケットから取り出し可能にするように設けられる、カード収容型背面ケースが提供される。
【0010】
本発明の構成では、ケース本体の外側からカードをスライドさせてカード収容ポケットに収容するので、ケース本体を携帯情報端末から取り外すことなく、カードをカード収容ポケットに収容することができる。また、ケース本体を携帯情報端末から取り外した状態でカード取出孔を通じて指などをカードに押し付けてカードをスライドさせることによって、カードをカード収容ポケットから取り除くことができる。カードは、カード収容ポケット内に配置されているので、ケース本体を携帯情報端末から取り外しても、カード収容ポケット内のカードが脱落することがない。また、カード取出孔を通じてカードをスライドさせるので、カード収容ポケットの外側にカードを露出させる必要がない。このため、カードの露出による美観の悪化を避けることができる。さらに、電磁波遮断シートを用いる場合には、電磁波遮断シートをケース本体に固定することができる。従って、カードを出し入れする際に電磁波遮断シートが脱落することを防ぐことができる。また、本発明の背面ケースはプレートをスライド移動させる機構が必要ないので、強度及び耐久性が優れている。
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記ケース本体には、前記カード収容ポケットに対応した位置に前記携帯情報端末からの電磁波を遮断可能な電磁波遮断シートが設けられている。
好ましくは、前記カードは、周辺部に内蔵されたアンテナを備え、前記カード取出孔は、前記カードが前記カード収容ポケット内に収容された状態で前記アンテナに重ならない位置に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】携帯情報端末1の背面側にカード収容型背面ケース3が装着されている状態を示す斜視図である。
【
図2】(a)〜(b)は背面ケース3の斜視図である。
【
図3】カード7がカード収容ポケット8内に収容されている状態をケース本体4側から見た図である。
【
図5】カード7と電磁波遮断シート2cの位置関係を示し、(a)は斜視図、(b)はカード7から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図5を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0014】
図1は、携帯情報端末1の背面側にカード収容型背面ケース3が装着されている状態を示す。携帯情報端末1の一例はiPhone6であり、背面ケース3は、携帯情報端末1の背面及び側面を覆うように携帯情報端末1に装着される。
図2に示すように、背面ケース3は、ケース本体4と、その外側面に設けられたカード収容ポケット8を備える。
【0015】
ケース本体4は、携帯情報端末1の背面を覆う背面部4aと、携帯情報端末1の側面を覆う側面部4bを備え、側面部4bが携帯情報端末1に弾性的に係合されることによって背面ケース3が携帯情報端末1に装着される。背面部4aにはカード取出孔4cとカメラ開口4dが設けられている。カード取出孔4cについては後述する。カメラ開口4dは、携帯情報端末1に設けられたカメラ及びライトに対応した位置に設けられる。側面部4bには、携帯情報端末1の側面に設けられた操作スイッチ及びコネクタに対応した位置に切欠部4e,4f,4gが設けられている。
【0016】
カード収容ポケット8は、略長方形であり、上端8aは開放端であり、側端8b及び下端8cが閉鎖端になっている。そして、
図3に示すように、上端8aから挿入したカード7がカード収容ポケット8とケース本体4の間の空間8dに保持可能に構成されている。空間8dの幅方向及び高さ方向の寸法は、カード7よりも大きくなっているので、カード7の全体が空間8d内に保持される。また、カード収容ポケット8には孔や切り欠きが設けられていないので、カード7が空間8d内に保持されている状態では、外側からカード7が見えず、美観が害されることがない。また、カード7は、カード取出孔4cを通じて指などを用いてカード7をスライドさせてカード収容ポケット8から取り出すことができる。カード取出孔4cの形状は特に限定されないが、カード7をスライドさせやすいように、カード7のスライド方向に細長い形状(例:長円形状)が好ましい。カード取出孔4cは、カード7がカード収容ポケット8内に配置された状態でカード7の略中央に位置するように設けられている。
【0017】
図4に示すように、ケース本体4は、本体部2aと、本体部2aの内側に貼着された内張り部2bと、本体部2aの外側に貼着された電磁波遮断シート2cと、本体部2aの外側に電磁波遮断シート2cを覆うように貼着された外張り部2dで構成される。本体部2aは樹脂で形成され、内張り部2bと外張り部2dはレザーなどの美観に優れた材料で形成される。内張り部2bと外張り部2dは、ケース本体4の美観を向上させるために設けられており、機能面では省略可能である。
【0018】
電磁波遮断シート2cは、フェライトなどの電磁波を吸収可能な材料で形成される。電磁波遮断シート2cは、カード7が非接触ICカードである場合に、携帯情報端末1の背面からの電磁波によってカード7が誤動作することを防ぐために設けられる。カード7が電磁波の影響を受けにくいものである場合は、電磁波遮断シート2cは省略可能である。
【0019】
図5に示すように、電磁波遮断シート2cは、カード7がカード収容ポケット8に収容された状態で電磁波遮断シート2cがカード7に重なるように設けられる。但し、電磁波遮断シート2cには、カード取出孔4cに対応した部位には開口が設けられており、この開口部位では、携帯情報端末1からの電磁波は遮断されない。しかし、この部位にはカード7に内蔵されるアンテナ7aが設けられていないので、この部位に開口が設けられていてもカード7の誤動作につながらない。従来は、電磁波遮断シート2cによる電磁波遮断効果を十分に発揮させるために電磁波遮断シート2cに開口が設けられることはなかった。一方、本発明者は、カード7の略中央にはアンテナ7aが設けられていないことに着目し、カード7の略中央に対応する位置において電磁波遮断シート2cに開口を設けることを許容することによってケース本体4にカード取出孔4cを設けることが可能になった。
【0020】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・電磁波遮断シート2cは、携帯情報端末1とカード7の間に配置すればよく、外張り部2dの外側に貼着したり、本体部2a又は内張り部2bの内側に貼着してもよい。
【符号の説明】
【0021】
1:携帯情報端末、2a:本体部、2b:内張り部、2c:電磁波遮断シート、2d:外張り部、3:カード収容型背面ケース、4:ケース本体、4c:カード取出孔、7:カード、8:カード収容ポケット