特許第6937698号(P6937698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937698
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】処理ツールのモニタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20210909BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   H01L21/02 Z
   G05B23/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-542399(P2017-542399)
(86)(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公表番号】特表2018-513547(P2018-513547A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】GB2016050080
(87)【国際公開番号】WO2016128709
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2018年11月9日
(31)【優先権主張番号】1502312.0
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ムーニー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジ ヴィンセント
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−283056(JP,A)
【文献】 特開2002−285974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理ツールからの排出ストリームの処理中に少なくとも1つの処理ツールをモニタするためのモニタ装置であって、
前記排出ストリームの前記処理中に発生された処理特性データを受信するように作動可能な受信論理部と、
前記処理特性データを前記少なくとも1つの処理ツールの状態に寄与する寄与期間に関連付けられた寄与処理特性データと該状態に寄与しない非寄与期間に関連付けられた非寄与処理特性データとに分別するように作動可能な分別論理部と、
前記状態のステータスを決定する時に前記寄与処理特性データを利用し、かつ前記非寄与処理特性データを除外するように作動可能な故障論理部と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記寄与期間は、能動半導体処理が発生する期間を含み、前記非寄与期間は、該能動半導体処理が発生しない期間を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記寄与期間は、堆積が発生する期間を含み、前記非寄与期間は、堆積が発生しない期間を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記分別論理部は、前記処理特性データを閾値量と比較すること、変異の量を検出すること、及びパターン照合することのうちの少なくとも1つによって前記寄与期間と前記非寄与期間を識別するように作動可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記故障論理部は、組合せ寄与処理特性データを与えるために前記寄与期間からの寄与処理特性データを組み合わせるように作動可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記故障論理部は、将来寄与処理特性データを推定するために前記組合せ寄与処理特性データを外挿するように作動可能であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記故障論理部は、推定モデルを用いて将来寄与処理特性データを推定するために前記組合せ寄与処理特性データを外挿するように作動可能であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記推定モデルは、第1の期間に対して線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの少なくとも1つ、及び第2の期間に対して該線形回帰、該多項式回帰、該差分比例計算、該積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの別の少なくとも1つを用いて将来寄与処理特性データを推定するために前記組合せ寄与処理特性データを外挿するように作動可能であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記推定モデルは、前記将来寄与処理特性データと後続受信処理特性データの間の差を用いて再帰的に較正するように作動可能であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記故障論理部は、時間ベースの補正ファクタを非寄与期間中の前記将来寄与処理特性データに適用するように作動可能であることを特徴とする請求項から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記故障論理部は、前記将来寄与処理特性データが故障閾値と交差する時に故障状態を決定するように作動可能であることを特徴とする請求項から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記故障論理部は、前記将来寄与処理特性データが故障閾値と交差するまでの寄与期間の回数の表示を与えるように作動可能であることを特徴とする請求項から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記故障論理部は、前記非寄与処理特性データが前記非寄与期間中に選択量よりも大きく変異する時に故障状態を識別するように作動可能であることを特徴とする請求項から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
半導体処理ツールからの排出ストリームの処理中に少なくとも1つの処理ツールをモニタする方法であって、
前記排出ストリームの前記処理中に発生された処理特性データを受信する段階と、
前記処理特性データを前記少なくとも1つの処理ツールの状態に寄与する寄与期間に関連付けられた寄与処理特性データと該状態に寄与しない非寄与期間に関連付けられた非寄与処理特性データとに分別する段階と、
前記状態のステータスを決定する時に前記寄与処理特性データを利用し、かつ前記非寄与処理特性データを除外する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
コンピュータ上で実行された時に請求項14に記載の方法を実行するように作動可能なコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの処理ツールをモニタするためのモニタ装置、方法、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
処理ツールのモニタは公知である。真空ポンピング及び排除システムにおける処理ツールのような処理ツールは、排除デバイス及び補助デバイスと共に、真空ポンピング機構と真空ポンピング機構を駆動するためのモータとを有する。真空ポンピング及び排除システムは、例えば処理チャンバ及び搬送チャンバを有し、半導体ウェーハのようなウェーハを処理するための半導体処理ツールから排出される排出ストリームを受け入れるように接続することができる。
【0003】
これらの処理ツールの状態は、それらの作動中に悪化し、ツールを修復、修理、又は維持するための保守活動が必要である。例えば、フィルタは、粒子で目詰まり状態になり、保守を必要とする場合がある。既存の技術は、これらの保守活動を定期的又はイベント後にスケジュールしようと模索するが、両方は、非効率的であり、有意な欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、処理ツールをモニタするための改善された技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様により、半導体処理ツールからの排出ストリームの処理中に少なくとも1つの処理ツールをモニタするためのモニタ装置を提供し、モニタ装置は、排出ストリームの処理中に発生された処理特性データを受信するように作動可能な受信論理部と、処理特性データを少なくとも1つの処理ツールの状態に寄与する寄与期間に関連付けられた寄与処理特性データと状態に寄与しない非寄与期間に関連付けられた非寄与処理特性データとに分別するように作動可能な分別論理部と、状態のステータスを決定する時に寄与処理特性データを利用し、かつ非寄与処理特性データを除外するように作動可能な故障論理部とを含む。
【0006】
第1の態様は、既存の技術の問題が、それらが顧客へのシステムの受渡し又は前回の保守活動の実施からの経過時間に典型的に依存する固定保守スケジュールに頼ることであることを認識している。そのようなスケジュールは、保守活動が予定されている時にシステムの状態が保守を必要としない場合があり、又はシステムが想定を上回ってより集中的に使用されたことに起因して保守活動の必要性がある場合があるので、利用度及び保守活動の実際の必要性を考慮していない。第1の態様はまた、処理が作動する期間を測定することが可能である場合があるが、これは、不正確な保守活動をもたらす可能性もあることを認識している。
【0007】
従って、モニタ装置を提供する。モニタ装置は、1又は2以上の処理ツールをモニタすることができる。モニタは、半導体処理ツールの排出ストリームの処理中である場合がある。モニタ装置は、処理特性データを受信することができる受信論理部を含むことができる。処理特性データは、排出ストリームが処理される時に発生させることができる。分別論理部も提供することができる。分別論理部は、特性データがツールの状態に寄与する期間中に発生されたか又はこの状態に寄与しなかった期間中に発生されたかに基づいて処理特性データを分別、分離、又は分類することができる。従って、処理特性データは、寄与処理特性データと非寄与処理特性データとに分別することができる。故障論理部も提供することができる。故障論理部は、状態のステータスを決定する時に寄与処理特性データを利用することができる。故障論理部はまた、ステータスを決定する時に非寄与処理特性データを除外することができる。このようにして、ツールの状態に寄与する期間中に発生されたデータのみが、このツールの状態のステータスを決定する時に使用される。この状態に寄与しない期間中に発生された他のデータは、ツールの状態のステータスの正確な評価を決定することができるように無視又は省略される。これは、ツールの状態のステータスの正確でより信頼できる評価を与えることを助ける。
【0008】
一実施形態では、受信する段階は、処理ツールから処理特性データを受信する段階を含む。従って、データは、処理ツール自体から受信することができる。
【0009】
一実施形態では、寄与期間は、期間の第1の検出可能ステージを含み、非寄与期間は、第2の検出可能ステージを含む。従って、寄与期間及び非寄与期間は、処理ツールの作動又は非作動のあらゆる検出可能又は差別可能ステージを含むことができる。
【0010】
一実施形態では、寄与期間は、能動半導体処理が発生する期間を含み、非寄与期間は、能動半導体処理が発生しない期間を含む。従って、寄与期間は、能動半導体処理が発生する期間とすることができ、非寄与期間は、能動半導体処理が発生しない期間とすることができる。
【0011】
一実施形態では、寄与期間は、堆積が発生する期間を含み、非寄与期間は、堆積が発生しない期間を含む。従って、半導体処理ツール内の堆積の結果として発生する状態に対して、寄与期間は、堆積が発生する期間であると考えられる。
【0012】
一実施形態では、寄与期間は、洗浄が発生する期間を含む。
【0013】
一実施形態では、非寄与期間は、パージが発生する期間を含む。
【0014】
一実施形態では、分別論理部は、処理特性データを閾値量と比較することによって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。従って、仮に特性データが選択閾値量を通過すれば、それは、寄与及び非寄与期間の発生を識別することができる。
【0015】
一実施形態では、分別論理部は、処理特性データ内の変異の量を検出することによって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。
【0016】
一実施形態では、分別論理部は、処理特性データ内のパターン照合によって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。一実施形態では、分別論理部は、処理特性データ内の既知の処理パターン(典型的に処理ライブラリ内に含有される)に対するパターン照合によって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。一実施形態では、分別論理部は、処理特性データ内の新しいパターン(典型的に処理ライブラリに追加するための)を識別するように作動可能である。従って、寄与期間及び/又は非寄与期間に関連付けることができる特定のパターンは、処理特性データ内で認識することができる。機械学習パターン照合アルゴリズムの例は、C5、K−平均、コホーネンマップ(クラスター化アルゴリズム)、及びニューラルネットワークを含む。
【0017】
一実施形態では、分別論理部は、処理特性データが閾値時間期間にわたって閾値量と交差するか否かを決定することによって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。従って、これらの期間は、選択閾値時間期間にわたって選択閾値量が交差されることによって識別することができる。
【0018】
一実施形態では、分別論理部は、立ち上がりエッジ時間、立ち下がりエッジ時間、処理特性データ下の面積、及び処理特性データの値間の差のうちの少なくとも1つを決定することによって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。従って、これらの期間は、様々な異なる方法で決定することができる。
【0019】
一実施形態では、分別論理部は、処理特性データのガウス混合解析によって寄与期間と非寄与期間を識別するように作動可能である。
【0020】
一実施形態では、故障論理部は、組合せ寄与処理特性データを与えるために寄与期間からの寄与処理特性データを組み合わせるように作動可能である。従って、寄与期間からの処理特性データは、組合せ寄与処理特性データを与えるために組み合わせるか、集めるか、又は互いに連結することができる。これは、ツールの状態のステータスに影響を及ぼす累積データを与える。
【0021】
一実施形態では、故障論理部は、組合せ寄与処理特性データを与えるために寄与期間からの寄与処理特性データの平均を組み合わせるように作動可能である。従って、期間からの特性データそれ自体の全てを組み合わせるのではなく、その代わりにデータの平均又は他の統計的に変更された表現を組み合わせることができ、これは、データの安定性を高めることを助ける。
【0022】
一実施形態では、故障論理部は、将来寄与処理特性データを推定するために組合せ寄与処理特性データを外挿するように作動可能である。従って、組合せデータは、将来寄与処理特性データ値を推定、計算、又は近似するために外挿することができる。これは、故障論理部が、いつ保守を必要とする場合があるかを予想するのに使用することができるデータ値の予想を行うことを可能にする。
【0023】
一実施形態では、故障論理部は、将来寄与処理特性データを推定するために推定モデルを用いて組合せ寄与処理特性データを外挿するように作動可能である。
【0024】
一実施形態では、推定モデルは、将来寄与処理特性データを推定するために線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの少なくとも1つを使用する。推定モデルは、例えば、事例ベースの推論のような経験ベースの技術と組み合わせることができる様々な数学的モデル化技術を使用することができる。精度を改善するために、異なる技術からの出力を組み合わせる実証層を使用して残存使用寿命に対する最適推定値を決定することができる。確率的推論が、このステージ中に広範囲にわたって適用される。
【0025】
一実施形態では、推定モデルは、第1の期間に対して線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの少なくとも1つ、及び第2の期間に対して線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの別の少なくとも1つを用いて将来寄与処理特性データを推定するために組合せ寄与処理特性データを外挿するように作動可能である。従って、異なる技術の組合せを使用することができ、その各々は、第1又は第2の期間中により適切である場合がある。
【0026】
一実施形態では、推定モデルは、ベイズ推定技術と将来寄与処理特性データ及び後続受信処理特性データ間の差とを用いて再帰的に較正するように作動可能である。従って、予想将来特性データは、後続受信の実特性データに対して比較することができ、推定モデルは、その推定の精度を改善するために再帰的に較正される。
【0027】
一実施形態では、故障論理部は、非寄与期間中に時間ベースの補正ファクタを将来寄与処理特性データに適用するように作動可能である。従って、寄与期間が発生していない時でさえも変更されるステータスを有する状態に対して、これらの期間中に推定将来データに補正を加えることができる。例えば、一部の状態のステータスは、洗浄中に変化し、典型的には、状態のステータスの深刻度を低下させる。時間ベースの補正を適用することにより、これらを受け入れて予想を更に正確にすることができる。
【0028】
一実施形態では、故障論理部は、将来寄与処理特性データが故障閾値と交差する時に故障状態を決定するように作動可能である。従って、故障論理部は、推定将来特性データが選択故障閾値と交差するか又はそれを超える時にステータスが故障であると決定する。
【0029】
一実施形態では、故障論理部は、将来寄与処理特性データが故障閾値と交差するまでの寄与期間の回数の表示を与えるように作動可能である。従って、故障論理部は、推定将来寄与特性データが故障閾値と交差するか又はそれを超えるまでに何回の寄与期間が残っているか(残存使用寿命)を示すことができる。これは、故障論理部が、故障の可能性が高くなるまでに何回の寄与期間が残っているかの表示をオペレータに提供することを可能にする。
【0030】
一実施形態では、故障論理部は、将来寄与処理特性データが対応する故障閾値と交差する時に故障状態の複数の強度を決定するように作動可能である。従って、故障論理部は、故障状態のいくつかの異なる強度又は深刻度を与えることができる。
【0031】
一実施形態では、故障論理部は、将来寄与処理特性データが故障閾値の各々と交差するまでの寄与期間の回数の表示を与えるように作動可能である。従って、故障論理部は、故障状態のこれらの異なる深刻度の各々がいつ発生する場合があるかをオペレータに示すことができる。
【0032】
一実施形態では、各故障閾値は、公称作動処理特性データ値からの選択変異を用いて設定される。各閾値を設定するために様々な異なる方法を使用することができることは認められるであろう。
【0033】
一実施形態では、故障論理部は、非寄与処理特性データが非寄与期間中に選択量よりも大きく変異する時に故障状態を識別するように作動可能である。従って、故障論理部は、非寄与期間中に非寄与特性データが選択閾値量よりも大きく変異又は変化する時に故障を識別することができる。
【0034】
一実施形態では、処理ツールは、真空ポンプ及び排除装置のうちの少なくとも一方を含む。
【0035】
一実施形態では、処理特性データは、処理ツール及び排出ストリームのうちの一方の温度、処理ツール内の排出ストリームの圧力、処理ツールの電力消費、及び処理ツールを通る流量のうちの少なくとも1つを含む。様々な異なる測定可能特性データを利用することができることは認められるであろう。
【0036】
第2の態様により、半導体処理ツールからの排出ストリームの処理中に少なくとも1つの処理ツールをモニタする方法を提供し、本方法は、排出ストリームの処理中に発生された処理特性データを受信する段階と、処理特性データを少なくとも1つの処理ツールの状態に寄与する寄与期間に関連付けられた寄与処理特性データと状態に寄与しない非寄与期間に関連付けられた非寄与処理特性データとに分別する段階と、状態のステータスを決定する時に寄与処理特性データを利用し、かつ非寄与処理特性データを除外する段階とを含む。
【0037】
一実施形態では、受信する段階は、処理ツールから処理特性データを受信する段階を含む。
【0038】
一実施形態では、寄与期間は、期間の第1の検出可能ステージを含み、非寄与期間は、第2の検出可能ステージを含む。従って、寄与期間及び非寄与期間は、処理ツールの作動又は非作動のあらゆる検出可能又は差別可能ステージを含むことができる。
【0039】
一実施形態では、寄与期間は、能動半導体処理が発生する期間を含み、非寄与期間は、能動半導体処理が発生しない期間を含む。
【0040】
一実施形態では、寄与期間は、堆積が発生する期間を含み、非寄与期間は、堆積が発生しない期間を含む。
【0041】
一実施形態では、寄与期間は、洗浄が発生する期間を含む。
【0042】
一実施形態では、非寄与期間は、パージが発生する期間を含む。
【0043】
一実施形態では、分別は、処理特性データを閾値量と比較することによって寄与期間と非寄与期間を識別する段階を含む。
【0044】
一実施形態では、分別は、処理特性データ内の変異量を検出することによって寄与期間と非寄与期間を識別する段階を含む。
【0045】
一実施形態では、分別は、処理特性データ内のパターン照合によって寄与期間と非寄与期間を識別する段階を含む。
【0046】
一実施形態では、分別は、処理特性データが閾値時間期間にわたって閾値量と交差するか否かを決定することによって寄与期間と非寄与期間を識別する段階を含む。
【0047】
一実施形態では、分別は、立ち上がりエッジ時間、立ち下がりエッジ時間、処理特性データ下の面積、及び処理特性データ値間の差のうちの少なくとも1つを決定することによって寄与期間と非寄与期間を識別する段階を含む。
【0048】
一実施形態では、分別は、処理特性データのガウス混合解析によって寄与期間と非寄与期間を識別する段階を含む。
【0049】
一実施形態では、利用する段階は、組合せ寄与処理特性データを与えるために寄与期間からの寄与処理特性データを組み合わせる段階を含む。
【0050】
一実施形態では、利用する段階は、組合せ寄与処理特性データを与えるために寄与期間からの寄与処理特性データの平均を組み合わせる段階を含む。
【0051】
一実施形態では、利用する段階は、将来寄与処理特性データを推定するために組合せ寄与処理特性データを外挿する段階を含む。
【0052】
一実施形態では、利用する段階は、将来寄与処理特性データを推定するために推定モデルを用いて組合せ寄与処理特性データを外挿する段階を含む。
【0053】
一実施形態では、推定モデルを使用する段階は、将来寄与処理特性データを推定するために線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの少なくとも1つを使用する段階を含む。
【0054】
一実施形態では、推定モデルを使用する段階は、将来寄与処理特性データを推定するために第1の期間に対して線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの少なくとも1つ、及び第2の期間に対して線形回帰、多項式回帰、差分比例計算、積分ベースの計算、カルマンフィルタリング、粒子フィルタリング、及び事例ベースの推論のうちの別の少なくとも1つを用いて組合せ寄与処理特性データを外挿する段階を含む。
【0055】
一実施形態では、本方法は、ベイズ推定技術と将来寄与処理特性データ及び後続受信処理特性データ間の差とを用いて推定モデルを再帰的に較正する段階を含む。
【0056】
一実施形態では、利用する段階は、非寄与期間中に時間ベースの補正ファクタを将来寄与処理特性データに適用する段階を含む。
【0057】
一実施形態では、利用する段階は、将来寄与処理特性データが故障閾値と交差する時に故障状態を決定する段階を含む。
【0058】
一実施形態では、利用する段階は、将来寄与処理特性データが故障閾値と交差するまでの寄与期間の回数の表示を与える段階を含む。
【0059】
一実施形態では、利用する段階は、将来寄与処理特性データが対応する故障閾値と交差する時に故障状態の複数の強度を決定する段階を含む。
【0060】
一実施形態では、利用する段階は、将来寄与処理特性データが故障閾値の各々と交差するまでの寄与期間の回数の表示を与える段階を含む。
【0061】
一実施形態では、本方法は、公称作動処理特性データ値からの選択変異を用いて各故障閾値を設定する段階を含む。
【0062】
一実施形態では、利用する段階は、非寄与処理特性データが非寄与期間中に選択量よりも大きく変異する時に故障状態を識別する段階を含む。
【0063】
一実施形態では、処理ツールは、真空ポンプ及び排除装置のうちの少なくとも一方を含む。
【0064】
一実施形態では、処理特性データは、処理ツール及び排出ストリームのうちの一方の温度、処理ツール内の排出ストリームの圧力、処理ツールの電力消費、及び処理ツールを通る流量のうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
第3の態様により、コンピュータ上で実行された時に第2の態様の方法段階を実施するように作動可能なコンピュータプログラム製品を提供する。
【0066】
更に別の特定のかつ好ましい態様は、添付の独立及び従属請求項に示している。従属請求項の特徴は、適切な場合にかつ請求項に明示的に指すもの以外の組合せで独立請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0067】
装置特徴が機能を与えるように作動可能であるように説明される場合に、これは、その機能を与えるか又はその機能を与えるように適合又は構成された装置特徴を含むことは認められるであろう。
【0068】
ここで添付図面を参照して本発明の実施形態を以下で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】一実施形態による半導体処理装置を示す図である。
図2図1に示すモニタ装置によって実施される主要処理段階を示す図である。
図3】数週間にわたってプロットされたブースター電力と排気圧の両方を含むポンプから受信した例示的特性データを示す図である。
図4】数時間にわたる図3のデータの一部分を示す図である。
図5】半導体サイクル内の複数のモードを特徴付けるガウス混合分布手法を示す図である。
図6A】処理に関連するものとして識別されたデータを含めてこれらの処理に無関係として識別されたデータを除外するための閾値を用いる特性データのフィルタリングをより詳細に例示する図である。
図6B】アイドル状態から離れる動きに基づく繰り返しパターン照合を用いた特性データのフィルタリングを示す図である。
図7】フィルタリングされたデータに対する別のガウス混合モデル解析を示す図である。
図8A】平均排気圧対処理カウントを表すグラフである。
図8B】データのうちの一部の単純外挿を示す図である。
図9】残存使用寿命を推定するための線形回帰技術の結果を示す図である。
図10】多項式回帰を用いて推定された残存寿命予想を示す図である。
図11】残存処理段階回数を推定する段階に対する差分及び比例計算手法を示す図である。
図12】積分ベースの技術を用いて推定された残存使用寿命を示す図である。
図13】排気圧、推定残存処理回数、及び3つの異なる警報又は警告閾値を示す図である。
図14】顧客処理のセグメント化を通して可能にされるポンプ及び排除システムに対して外部の問題の故障識別を示す図である。
図15】動的モデルベースの手法の重要概念を示す図である。
図16】段階数に基づく粒子フィルタリングフレームワークを示す図である。
図17】排除TPU故障例に適用された粒子フィルタリングを示す図である。
図18】2つの異なる時点で行われた長期予想から発生されたRUL確率分布関数を示す図である。
図19】コンテキストを提供し、かつ長期予想がそれに対して行われたデータを提供するオリジナルTPU故障例である図である。
図20】分別段階とそれに続いてより情報に富む実証的なRUL予想を発生させる実証エンジンにその後に入力される個別の別々の数学的かつ経験ベースの技術とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
実施形態をより詳細に解説する前に最初に概要を提供する。これらの実施形態は、排出ストリームを処理する1又は2以上の処理ツールの状態状況、又はステータスをモニタする技術を与える。一般的に排出ストリームは、半導体処理ツールによる処理中にこのツールから供給される。
【0071】
排出ストリームが処理されている間に処理ツールからデータが受信される(排出ストリームが受け入れられている間にデータを受信することができる)。これらのデータは、排出ストリームの特性又は特質又は処理ツール自体の作動特性又は特質のような処理ツールによって測定されるか又は体験される処理特性を与える。
【0072】
次いで、これらのデータは、2つの異なる分類群のうちの一方に分別又は分類される。第1の群は、処理ツールの特定の状態に寄与するデータ(寄与データ)を示している。第2の群は、処理ツールの特定の状態に寄与しないデータ(非寄与データ)である。このようにして、受信される全ての特性データのうちで、処理ツールが実施しているいずれかの処理に関連し、処理ツールの状態又はステータスに影響を及ぼす特性データ部分のみが当該状態のステータスを決定する際に使用され、残りのデータは、当該状態に寄与しないことが決定されたので除外される。非寄与データを除外することによって正確な状態評価を行うことができる。
【0073】
上述の寄与期間及び非寄与期間を識別するために、様々な異なる技術を利用することができることは認められるであろう。これらの期間は、半導体処理ツール自体が信号伝達することができ、又は処理ツールによって測定された特性から又は処理中の処理ツール自体の特性から推測することができる。
【0074】
典型的には、寄与期間は、堆積期間のような半導体の能動処理期間であることになる。そのような期間は、一般的に処理ツールに対して悪影響を有し、一般的にいずれかの故障をもたらす。ツールの状態のステータスを決定することにより、故障の可能性を予想し、故障が発生することになる可能性が高くなるまでに処理段階又はサイクルを何回実施することができるかを推定することができる。それによって予防保守を計画して実施することが可能になり、又はそうでなければ部分的に処理された半導体に対して考えられる損傷をもたらし、廃棄をもたらす場合がある処理中に発生する故障の可能性が低下する。更に、処理サイクルにわたる様々なステージのセグメント化により、いずれか所与のステージ中のどの時点で重大なパラメータ変化が存在するかを決定することができることを特筆しておくことは重要である。それによって通常状態中にモニタ機器の改善されたフィンガプリント、従って、作業状態における重要な変化及び変異を追跡する機能をもたらすことができる。
【0075】
半導体処理装置
図1は、一実施形態による半導体処理装置、全体的に10を示している。半導体処理が内部で行われる半導体処理ツール20が設けられる。そのような半導体処理は、半導体の成長、半導体層の成長、半導体層の埋め込み、及び/又は半導体材料に関連する他の構造の生成を含むことができる。半導体処理ツール20と結合され、導管25を通して排出ストリームを受け入れる排除装置30が設けられる。排除装置30は、処理された排出ストリームが雰囲気に放出される前に有害物質の組成を除去又は変更するか又はこれらの物質の濃度を許容レベルまで低下させるように作動する。一般的に排除装置30は、当業技術で一般に知られているように、燃焼器、プラズマトーチ、又は類似のデバイス37、及び1又は2以上の洗浄デバイス39と共に、1又は2以上の真空ポンプ35A、35Bを含むことになる。真空ポンプ35A、35Bは、並列配置することができ、デバイス37内に給気することができることは認められるであろう。
【0076】
排除装置の構成要素からデータを受信するために排除装置30に結合されたモニタ装置40が設けられる。更に、半導体処理ツール20がデータを供給する場合に、これらのデータもモニタ装置40によって受信される。
【0077】
排除装置の構成要素をセンサとして使用することができ、又はセンサを設けることができる。例えば、真空ポンプは、排除装置30、及び/又は上流又は下流にある他の機器内で発生する機器の故障の徴候を検出して分類するために解析することができるデータを供給する処理センサとして機能するように使用することができる。下記でより詳細に説明するように、一般的にそのような故障は、他のデータによる実証を通して識別することができる。これらのデータを用いて、ポンプのような機器の残存使用寿命を残りの処理サイクルの回数に関して処理ツールデータとは関係なく推定することができる。
【0078】
典型的には、そのような解析は、機器の故障の前に様々な機器の問題を強力に検出して分類するために、受信データに対してウィンドウ及びモデル化技術を利用する。この解析は、受信データ、並びに解析論理部60によって一般的に1又は2以上のモデルを用いて実施されるデータ処理の結果を格納するためのデータストレージ50を含むモニタ装置40によって行われる。
【0079】
次いで、モニタ装置40は、排除装置30及び/又は半導体処理ツール20の状態の表示を与え、次いで、この表示は、故障が発生したか否か、通常作動からの変異が発生したか否かを通知するために、及び/又は予想される故障が発生するまでに何回のサイクルが残っているかの表示を与えるために使用することができる。
【0080】
モニタ作動の概要
この概要では、モニタ装置40によって実施される主な処理段階を図2に例示する。
【0081】
段階S1において、モニタ装置40は、排除装置30及び/又は半導体処理ツール20からデータを受信する。一般的に各々が異なる特性に関する1よりも多いデータセットが受信される場合に、これらのデータセットは、一般的に別々に格納される。
【0082】
段階S2において、データは解析され、次いで、一般的に2つの異なるカテゴリに分別される。第1のカテゴリは、装置の構成要素の状態に寄与しないと見なされるデータであり、第2のカテゴリは、装置の状態に寄与すると見なされるデータである。例えば、装置の状態に寄与するデータは、一般的に能動処理の期間中に受信されるものになり、それに対して能動処理が行われていない期間中に受信されるデータが非寄与データになる。異なる期間を識別し、それによってこれらの期間内のデータを分類するためのそのような分別は、下記でより詳細に説明するように様々な異なる方法に実施することができる。
【0083】
データが分別されると、次に、故障又は変異(一般的に指定フィンガプリント状態からの)が発生したか否かを識別するために、及び/又は故障が発生するまでにどの程度の時間がある可能性が高いかという表示を与えるために段階S3において分別されたデータが解析される。上述のように、この解析結果は、保守の計画立案及びスケジュール生成に向けて使用することができる。
【0084】
モニタ例
次いで、モニタ装置の作動の詳細例を以下に説明する。以下の例は、排除装置30内のポンプからのパラメータ又は特性を利用しているが、他の構成要素からのパラメータ又は特性を同等に使用することができることは認められるであろう。また、以下の例は、ポンプからのブースター電力及び排気圧を利用しているが、例えば、ブースターインバータ速度、吸気圧のようなポンプ自体又は排出ストリームに関する他のパラメータを提供することができることは認められるであろう。
【0085】
データ収集
例えば、正確なポンプ処理特徴付けを可能にするためには、様々なガス負荷状態を取り込むために処理サイクルにわたって十分なデータサンプリングが必要である。ポンプパラメータの分布及びその経時的シーケンスを解析することにより、この場合に、例えば、処理段階又は洗浄段階のいずれが行われているかのような半導体サイクルの重要ステージにおける処理挙動を特徴付けることができる。一般的に、ステージは、ある一定の時間量にわたってポンピングすることからなる。堆積ガス負荷がポンプに印加される度に、ポンプの電力消費、並びにその排気圧も高まる。各堆積ガス流れは、排気閉塞に寄与する不純物及び漂積物を含む。従って、ブースター電力の増大を用いてガス負荷を検出して特徴付けることができる。高堆積ガス負荷には洗浄が続く傾向にある。洗浄中には低いガス負荷及び関連の電力消費が発生する。この場合に、単に「洗浄」であるガス負荷を「処理」であるものから区別することができる。各処理が時間内に検出されて特徴付けられた状態で、処理中の排気圧がどの程度であったかを知ることができる。更に、この原理を採用すると、半導体処理のセグメント化を通して他のタイプの故障をセグメント化することができる。例えば、洗浄中に腐食が発生した場合に、洗浄中の時間をセグメント化し、それによって腐食に寄与する時間をセグメント化することができる。
【0086】
図3は、数週間にわたってプロットされたブースター電力と排気圧の両方を含むポンプから受信した例示的特性データを示している。図4は、数時間にわたるこのデータの一部分を示している。
【0087】
明らかなように、全てのガス負荷が電力消費の増大及びそれと同期した排気圧の増大をもたらすが、全ての電力ピークは処理と関連がなく、これらのピークのうちの一部はパージ段階に関連し、一部は洗浄に関連する。この例では、電力がブースター電力の振幅分布に依存して選択される所与の閾値に達した時にピークが検出される。信号は矩形であるので、振幅分布は2つのモード(高及び低)を有する。閾値は、より高い電力振幅の90%に設定される。各ピークは、その幅、振幅、開始時間、終了時間、及び次のピークまでの時間によって特徴付けられる。
【0088】
データ分別
様々な異なる手法が、データを処理に関連するデータと洗浄中のもののような処理に関連しないデータとに分別することを可能にすることができるが、一実施形態は、図5に示すように半導体サイクル内の複数のモードを特徴付けるガウス混合分布手法を利用する。図5で見ることができるように、この分布は、非常に短い経過時間(一般的に100秒よりも短い)のもの及び長い経過時間(一般的に100秒よりも長い)のものという2つのピーク群を示している。
【0089】
この例では、検出ピーク数は5190であった。短いピークはパージ段階として識別され、それに対して長いピークは「処理」として識別される。この場合、この分類は、処理に関連しない特性データをフィルタ除去することを可能にし、従って、この実施形態ではフィルタリングは、長いピークだけを考慮することからなる。
【0090】
他の実施形態では、データ分別は閾値ベースのものではなく、代わりにアイドル状態又は通常状態から離れる動きを辿る特性データのパターンを検出することに基づいている。一般的にそのようなパターンの照合又は識別は、統計モデル表現又はガウス混合モデル表現に頼り、長さ、平均値、標準偏差、曲線下の面積のようないくつかの異なる特質を互いに利用することができる。そのようなパラメータは、事前定義された又は学習されたものとすることができる。これらのパターンに対する特性データの照合は、異なる距離メトリックと照合処理とを利用することができる。
【0091】
実施形態はまた、異なるy軸範囲にわたる幅分布又は正規化データと差別化データの両方を用いた幅分布のような技術を利用することができることがわかる。
【0092】
図6Aは、閾値技術を用いて処理に関連するものとして識別されたデータを含め、かつこれらの処理に無関係として識別されたデータを除外する特性データのフィルタリングをより詳細に例示している。
【0093】
図6Bは、パターン照合技術を用いて処理に関連するものとして識別されたデータを含め、かつこれらの処理に無関係として識別されたデータを除外する特性データのフィルタリングをより詳細に例示している。寄与データ及び非寄与データを構成するものは、予想されている故障状態のタイプと故障機構とに依存することになる。この例では、データ200は、処理堆積段階Aに関連するものとして識別され、データ210は、処理堆積段階Bに関連するものとして識別され、データ230は、洗浄段階(一般的に処理堆積段階A及びBの終了時に行われる)に関連するものとして識別され、これらのデータの各々が、これらの期間中のツール作動が特定の最終故障状態に寄与することになることを示すことで寄与データである。パージ段階に関連するものとして識別されたデータ220を含む残りのデータは、これらの期間中のツール作動が特定の最終故障状態に寄与することにはならない可能性が高いことで非寄与データである。
【0094】
データ解析
特性データが分別された状態で、次いで、これらのデータを解析することができる。例えば、図7に示すように、次いで、別のガウス混合モデル解析をフィルタリングされたデータに対して実施することができる。そのような解析は、検出ピーク数が1196前後であることを明らかにする。この例では、この例では1128であったこの期間にわたって実施された処理の回数を示す情報は、半導体処理ツール20から利用可能である。これは、この特徴付けが適切な程度で正確であることを示している。
【0095】
その後の処理において特性データを利用することはできるが、この実施形態では、その代わりに各処理中の平均値が利用される。他の統計的前処理を実施することができることは認められるであろう。処理の開始点及び終了点は既知であるので、当該期間中の排気圧は既知であり、その平均を特定の処理の実施に関連して計算することができる。
【0096】
図8Aは、平均排気圧対処理カウントを表すグラフである。このグラフ上のデータから、次の閉塞故障までの残存使用寿命(RUL)を決定し、残存処理段階の回数の関数として表すことができる。処理堆積段階の回数を用いてRULを推定するのに使用することができる様々な異なる手法が存在する。一般的に、特定のパラメータに対してデバイスに関連する故障点を表す警報限界又は危険ゾーンが設定される。この危険ゾーンは、安全制約状態又は過去の経験の結果として設定することができ、手動介入が必要であると見なされる点として捉えることができる。
【0097】
この特定の事例では、危険ゾーンは700Pa前後である。ポンプの稼働は、処理カウント159、634、及び972において行われる。稼働間の処理回数は475(デルタ2)及び338(デルタ3)である。
【0098】
図8Bは、圧力閾値が交差されるまでの処理サイクル数を決定することによってRULを推定するのに使用することができるデータのうちの一部の単純外挿を示している。
【0099】
線形回帰
図9は、RULを推定するための線形回帰技術の結果を示している。この技術は、以下の線形方程式のパラメータ「利得」及び「オフセット」を推定するために5つの点を用いて排気圧を外挿することからなる。
圧力(t)=利得×t+オフセット...(式1)
【0100】
排気閉塞前までの残存処理回数は、次式:
残存寿命(t)=(限界−圧力(t))/(利得(t))...(式2)
に従って計算される。
【0101】
線形外挿によって推定される残りの処理回数は、排気圧の急激な降下に起因して安定せず、絶えず変化することを見ることができる。この場合に、圧力増大が一定である期間中に推定残存処理回数を非常に正確なものとすることができる。この技術は、ある一定の故障領域に特に適している。
【0102】
多項式回帰
図10は、多項式回帰を用いて推定された残存寿命予想を示している。この技術は、以下の多項式のパラメータ「A」、「B」、「C」、及び「オフセット」を推定するために5つの点を用いて排気圧を外挿することからなる。
圧力(t)=A.(t^2)+B.t+C...(式3)
【0103】
多項式外挿によって推定される残存処理回数も、排気圧の急激な降下に起因して安定しておらず、絶えず変化する。しかし、ここでもまた、圧力増大が一定である場合に、残存処理回数はある程度正確である。
【0104】
差分及び比例計算
図11は、残存処理段階回数を推定する段階に対する差分及び比例計算を示している。ここでもまた、残存処理回数は、排気圧の急激な降下に起因して安定しておらず、絶えず変化している。
残存寿命(t)=[限界−圧力(t)]×利得...式4)
【0105】
精度は、一定である利得に依存する。
【0106】
積分ベースの計算
図12は、積分ベースの技術を用いて推定された残存使用寿命を示している。稼働の間の排気圧の積分は以下の通りである。
面積_1=0.9853e+05
面積_2=2.6409e+05
面積_3=2.2636e+05
【0107】
デルタ2がデルタ3よりも有意に大きい(28%大きい)ことに注意されたい。しかし、面積2は面積3よりも大きい(16%だけ大きい)が、対応するデルタ程には大きくない。
【0108】
比率=面積/デルタを計算することにより、以下が得られる。
0.0056(比率1)、及び
0.0067(比率2)
【0109】
これらの比率が非常に近い(0.0061±0.005)ことを見ることができる。
【0110】
この手法は、残存使用寿命を所与の処理回数を表す面積として表すことからなる。残存使用寿命は次式に従って計算される。
残存寿命(t)=(cte面積−∫(圧力(t)+オフセット)dt)/cte面積×cte処理...(式5)
【0111】
明らかなように、稼働前の残存処理回数は、圧力値が増大するにも関わらず徐々に減少して安定化し、その後に再度立ち上がる。精度は、稼働毎に減少する場合がある寿命予想を表す面積を調節することによって改善することができる。圧力が処理段階に即して定常的に増大しないことにより、RUL推定に関連してある程度の不確実性がもたらされる。しかし、値は、臨界面積又は臨界質量に達した後には立ち上がらない。実時間残存処理回数を1時間当たりの処理回数で表された処理速度として報告することができる。
【0112】
変動に関しては、積分ベースの計算が最良の解をもたらす。精度に関しては、線形回帰が最も適切であると思われる。従って、排気閉塞前の残存処理回数を決定するモデルは、警報レベルに依存してこれら2つの計算の間で切り換えることができる。これは、積分手法と回帰/外挿/モデルベースの手法との組合せを使用する(例えば、この事象の地平線においてモデルベースの手法に切り換える)ことができることを意味する。そのような技術は、例えば、粒子フィルタ及びカルマンフィルタなどを使用することができる。そのようなモデル化技術/数学的技術の組合せを使用する場合に、図15から図20に示す信頼度及び確率の尺度を利用することができる。
【0113】
図15は、再帰ベイズ推定技術の使用に基づく動的モデルベースの手法の重要概念を示している。
【0114】
図16は、分別段階を有する段階の回数に基づく粒子フィルタリングフレームワークを状態推定及び長期予想の発生と共に示している。
【0115】
図17は、排除TPU故障例に適用された粒子フィルタリングを状態推定及び長期予想の発生と共に例示している。
【0116】
図18は、2つの異なる時点で行われた長期予想から発生されたRUL確率分布関数を示している。
【0117】
図19は、コンテキストを提供し、かつ長期予想がそれに対して行われたデータを提供するオリジナルTPU故障例である。
【0118】
図20は、分別段階と、それに続いて、一実施形態により各それぞれの個別アルゴリズムの異なるニュアンスが考慮されたより情報に富む実証的RUL予想を発生させる実証エンジンにその後に入力される個別の別々の数学的技術及び経験ベースの技術とを示している。
【0119】
警報
図13は、排気圧、推定残存処理回数、及び3つの異なる警報閾値又は警告閾値を示している。この例では、稼働を必要とする前に200回、100回、及び50回の処理が残っていると推定される時に警報表示が与えられる。
【0120】
外部故障
異なる半導体処理モード中のポンプ又は他のパラメータ挙動を理解し、かつ半導体サイクルが異なる故障タイプにどのように影響を及ぼす場合があるかを理解することにより、故障が排除装置30の外部で発生する可能性が高いか否かを決定することができる。実際に故障は、処理ツール20又は排除装置30内で真空ポンプ35A、35B内のセンサから検出することができる。しかし、一般的にデータは、故障の性質を正確に決定するために下流の情報を用いて実証しなければならない。例えば、処理ツール20のチャンバ内の漏れを考えると、チャンバ内の圧力が増大し、この増大は、図14に示すアイドリング中の排気圧の増大によって確認される。同じく例えば閉塞を考える。様々なパラメータが、閉塞の性質に依存して増大する可能性がある。しかし、パラメータに関係なく、閉塞は、処理堆積段階の直接的な影響として悪化する。処理段階中ではなく処理洗浄中にポンプ閉塞パラメータが増大するシナリオを考えると、この増大は、漏れという異なる問題の発生を指している。従って、これらのパラメータの傾向は、閉塞を識別するのを助けることができるが、半導体サイクル情報を重ねることにより、故障がいずれか他の箇所におけるものであるか否かを決定することができる。
【0121】
従って、実施形態が、ポンプ又は他のデバイスを使用し、半導体サイクルを特徴付け、かつ既知の故障に対するこのサイクルの影響を理解することを見ることができる。この手法は、ポンプ処理特性の何らかのレベルの検証に頼っている。しかし、訓練された状態で、この手法は、個別のツール処理ベースのデータとは全く無関係であるべきである。
【0122】
添付図面を参照して本明細書に本発明の例示的実施形態を詳細に開示したが、本発明がその通りの実施形態に限定されないこと、及び添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定められるような本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって本明細書に様々な変更及び修正を達成することができることは理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20