特許第6937706号(P6937706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6937706走行路検査車両、走行路検査方法、及び走行路検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937706
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】走行路検査車両、走行路検査方法、及び走行路検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20210909BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   G01N21/84 B
   B61K9/08
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-21535(P2018-21535)
(22)【出願日】2018年2月9日
(65)【公開番号】特開2019-138746(P2019-138746A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】592225124
【氏名又は名称】サノヤス・ライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】三宅 朋文
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 幸三
(72)【発明者】
【氏名】鍋吉 弘
(72)【発明者】
【氏名】平岡 洋一
(72)【発明者】
【氏名】花田 恵二
(72)【発明者】
【氏名】中原 耕志
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−021967(JP,A)
【文献】 特開2014−017611(JP,A)
【文献】 特開2015−023370(JP,A)
【文献】 JIS A 1701:2006 遊戯施設の検査標準,日本工業規格,2006年,[ONLINE],[令和3年 6月22日検索],インターネット<URL;https://kikakurui.com/a1/A1701-2006-01.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
B61C 1/00 − B61C 17/12
B61D 1/00 − B61D 15/12
B61G 1/00 − B61G 11/18
B61J 1/00 − B61J 99/00
B61K 1/00 − B61K 13/04
H04N 5/91 − H04N 5/956
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットコースター走行路を自走する走行路検査車両であって、
当該走行路検査車両を走行及び停止させるための駆動制御を行う駆動部と、
少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像する撮像部と、
前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部と、
前記駆動部、前記撮像部、及び前記位置検出部に電力を供給する電源部と、を備え
前記撮像部は、前記ジェットコースター走行路を上方から撮像する上方撮像部及び前記ジェットコースター走行路を下方から撮像する下方撮像部を有したことを特徴とする走行路検査車両。
【請求項2】
前記撮像部が撮像した前記走行路画像及び前記車両位置を無線にて送信可能な送信部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の走行路検査車両。
【請求項3】
前記駆動部、及び前記撮像部に対する制御信号を受信可能な受信部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の走行路検査車両。
【請求項4】
前記走行路画像に基づいて、少なくとも前記ジェットコースター走行路の欠陥を検査する検査部を備え、前記受信部は当該検査部に対する制御信号を受信可能とし、前記送信部は当該検査部による検査結果を送信可能とすることを特徴とする請求項3に記載の走行路検査車両。
【請求項5】
前記駆動部は当該走行路検査車両を前進又は後進走行を可能とし、かつ走行時の速度コントロールが可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の走行路検査車両。
【請求項6】
前記駆動部は、少なくとも前輪又は後輪を駆動し、
前記前輪又は後輪は、上部車輪と下部車輪とが軌条を挟む方向に押圧する押圧手段を有することで、当該走行路検査車両が前記ジェットコースター走行路を自走可能とし、
前記駆動部を駆動するための前記電源部の容量がなくなった場合に、前記上部車輪と前記下部車輪との押圧を解除する解除手段が前記押圧手段の前記押圧を解除することにより当該走行路検査車両を自重で前記ジェットコースター走行路を自由滑走させることを特徴とする請求項1〜5に記載の走行路検査車両。
【請求項7】
前記位置検出部は、前記ジェットコースター走行路におけるスタート位置からの距離を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の走行路検査車両。
【請求項8】
ジェットコースター走行路の走行路検査方法であって、
撮像部、駆動部、電源部、送信部、及び前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部を搭載した走行路検査車両を前記ジェットコースター走行路において前記駆動部が駆動制御して自走させ前記撮像部により少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像して、当該走行路画像と前記車両位置を前記送信部より表示装置に逐次無線送信し、欠陥の可能性がある欠陥可能性位置を把握する欠陥可能性位置把握工程と、
前記欠陥可能性位置まで前記車両位置を検出しながら前記走行路検査車両を自走させ、当該欠陥可能性位置を再度撮像して前記送信部より前記表示装置に無線送信し検査を行なう検査工程と、を実行し、
前記撮像部は、前記ジェットコースター走行路を上方から撮像するとともに、前記ジェットコースター走行路を下方から撮像することを特徴とする走行路検査方法。
【請求項9】
前記検査工程では、少なくとも前記ジェットコースター走行路における欠陥を検査することを特徴とする請求項8に記載の走行路検査方法。
【請求項10】
前記欠陥可能性位置把握工程では、前記ジェットコースター走行路の画像に加えて、前記ジェットコースター走行路の接合部をも撮像することを特徴とする請求項8又は9に記載の走行路検査方法。
【請求項11】
ジェットコースター走行路の走行路検査システムであって、
自身を自走させるための駆動制御を行う駆動部、少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像する撮像部、前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部、前記走行路画像と前記車両位置を無線で送信する送信部、及び電源部を搭載した走行路検査車両と、
前記送信部により無線で送信した前記走行路画像及び前記車両位置を受信する地上受信部、及び受信した前記走行路画像及び前記車両位置を表示可能な表示部を有した表示装置と、を備え
前記撮像部は、前記ジェットコースター走行路を上方から撮像する上方撮像部及び前記ジェットコースター走行路を下方から撮像する下方撮像部を有したことを特徴とする走行路検査システム。
【請求項12】
前記地上受信部が受信した前記走行路画像及び前記車両位置を記憶する記憶部を前記表示装置に備えたことを特徴とする請求項11に記載の走行路検査システム。
【請求項13】
前記駆動部、及び前記撮像部に対して制御信号を無線で送信可能な地上送信部を前記表示装置に備えるとともに、前記制御信号を受信可能な受信部を前記走行路検査車両に備えたことを特徴とする請求項11又は12に記載の走行路検査システム。
【請求項14】
前記地上受信部が受信した前記走行路画像と前記車両位置をサーバに送信するサーバ送信部を備えたことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の走行路検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェットコースターの走行路を検査する走行路検査車両、走行路検査方法、及び走行路検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊園地等に設置されているジェットコースターの軌条等の走行路は定期的に人間の目によって、傷、ひび割れ、摩耗、塗装はがれ等の欠陥について点検、検査が行われている。このジェットコースター走行路の検査は、高所作業による危険を伴う作業であるとともに、軌条の上面だけでなく下面や軌条の接合部など点検範囲が広いため作業に時間がかかる。
【0003】
特許文献1には、軌条の中空部に加圧エアを封入し、その加圧エアの圧力の所定検査時間における低下を検知して軌条のき裂を検出する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2005−249416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、き裂の有無を検出できたとしてもき裂の場所までは特定できず、また、軌条の塗装剥がれや傷、或は接合部の点検をすることができないため、人の高所作業による点検、検査がなくならないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明は、ジェットコースター走行路を自走する走行路検査車両であって、
当該走行路検査車両を走行及び停止させるための駆動制御を行う駆動部と、
少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像する撮像部と、
前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部と、
前記駆動部、前記撮像部、及び前記位置検出部に電力を供給する電源部と、を備え
前記撮像部は、前記ジェットコースター走行路を上方から撮像する上方撮像部及び前記ジェットコースター走行路を下方から撮像する下方撮像部を有したことを特徴とする走行路検査車両を提供するものである。
【0008】
この構成により、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。ジェットコースターにおける一般の遊戯用車両は自走するものではなく、高所まで牽引した後自由滑走してスタート位置まで戻るように構成されているが、走行路検査車両が自走することにより必要な検査箇所まで迅速に移動し、又は停止させることができる。
【0009】
前記撮像部が撮像した前記走行路画像及び前記車両位置を無線にて送信可能な送信部を備えた構成としてもよい。
【0010】
この構成により、走行路検査車両から離れた地上などの場所でジェットコースター走行路の点検、検査をすることができる。
【0011】
前記駆動部、及び前記撮像部に対する制御信号を受信可能な受信部を備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成により、駆動部、及び撮像部を走行路検査車両から離れた地上などの場所で制御することができる。
【0013】
前記走行路画像に基づいて、少なくとも前記ジェットコースター走行路の欠陥を検査する検査部を備え、前記受信部は当該検査部に対する制御信号を受信可能とし、前記送信部は当該検査部による検査結果を送信可能とする構成としてもよい。
【0014】
この構成により、撮像した走行路画像をすぐに欠陥検査してその結果を送信可能とするため、人が画像を視ながらの目視検査を不要とすることができる。
【0015】
前記駆動部は当該走行路検査車両を前進又は後進走行を可能とし、かつ走行時の速度コントロールが可能である構成としてもよい。
【0016】
この構成により、点検、検査の都合により適切な検査箇所に任意の速度で走行路を移動することができる。
【0017】
前記駆動部は、少なくとも前輪又は後輪を駆動し、
前記前輪又は後輪は、上部車輪と下部車輪とが軌条を挟む方向に押圧する押圧手段を有することで、当該走行路検査車両が前記ジェットコースター走行路を自走可能とし、
前記駆動部を駆動するための前記電源部の容量がなくなった場合に、前記上部車輪と前記下部車輪との押圧を解除する解除手段が前記押圧手段の前記押圧を解除することにより当該走行路検査車両を自重で前記ジェットコースター走行路を自由滑走させる構成としてもよい。
【0018】
この構成により、電源部からの電力がなんらかの影響によって遮断されたとしても自由滑走により回収可能な高度の低い位置又はスタート位置に走行路検査車両を戻すことができる。つまり、ジェットコースター走行路における最高度位置において自由滑走を開始させた場合はスタート位置まで戻すことができるが、最高度位置以外の高度の高い位置から自由滑走を開始させた場合はいずれかの回収可能な高度の低い位置まで戻すことができる。
【0019】
前記位置検出部は、前記ジェットコースター走行路におけるスタート位置からの距離を検出する構成としてもよい。
【0020】
この構成により、ジェットコースター走行路における車両位置を容易に特定することができる。
【0021】
また、上記課題を解決するために本発明は、ジェットコースター走行路の走行路検査方法であって、
撮像部、駆動部、電源部、送信部、及び前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部を搭載した走行路検査車両を前記ジェットコースター走行路において前記駆動部が駆動制御して自走させ前記撮像部により少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像して、当該走行路画像と前記車両位置を前記送信部より表示装置に逐次無線送信し、欠陥の可能性がある欠陥可能性位置を把握する欠陥可能性位置把握工程と、
前記欠陥可能性位置まで前記車両位置を検出しながら前記走行路検査車両を自走させ、当該欠陥可能性位置を再度撮像して前記送信部より前記表示装置に無線送信し検査を行なう検査工程と、を実行し、
前記撮像部は、前記ジェットコースター走行路を上方から撮像するとともに、前記ジェットコースター走行路を下方から撮像することを特徴とする走行路検査方法を提供するものである。
【0022】
この構成により、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。
【0023】
前記検査工程では、少なくとも前記ジェットコースター走行路における欠陥を検査する構成としてもよい。
【0024】
この構成により、少なくともジェットコースター走行路の欠陥を検査することができる。
【0025】
前記欠陥可能性位置把握工程では、前記ジェットコースター走行路の画像に加えて、前記ジェットコースター走行路の接合部をも撮像する構成としてもよい。
【0026】
この構成により、ジェットコースター走行路の接合部をも撮像し、欠陥の点検、検査することができる。
【0027】
さらに、上記課題を解決するために本発明は、ジェットコースター走行路の走行路検査システムであって、
自身を自走させるための駆動制御を行う駆動部、少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像する撮像部、前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部、前記走行路画像と前記車両位置を無線で送信する送信部、及び電源部を搭載した走行路検査車両と、
前記送信部により無線で送信した前記走行路画像及び前記車両位置を受信する地上受信部、及び受信した前記走行路画像及び前記車両位置を表示可能な表示部を有した表示装置と、を備え
前記撮像部は、前記ジェットコースター走行路を上方から撮像する上方撮像部及び前記ジェットコースター走行路を下方から撮像する下方撮像部を有したことを特徴とする走行路検査システムを提供するものである。
【0028】
この構成により、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。
【0029】
前記地上受信部が受信した前記走行路画像及び前記車両位置を記憶する記憶部を前記表示装置に備えた構成としてもよい。
【0030】
この構成により、走行路検査車両による走行路画像及び車両位置を表示装置の記憶部に記憶しておき、別の時間帯に当該走行路画像及び車両位置を人が目視して点検、検査を行なうことができるため、作業の段取りが立てやすく、また同一の走行路画像及び車両位置に基づく複数回の点検、検査を行なうことが可能となる。
【0031】
前記駆動部、及び前記撮像部に対して制御信号を無線で送信可能な地上送信部を前記表示装置に備えるとともに、前記制御信号を受信可能な受信部を前記走行路検査車両に備えた構成としてもよい。
【0032】
この構成により、地上で走行路検査車両を制御してジェットコースター走行路の点検、検査を行なうことができる。
【0033】
前記地上受信部が受信した前記走行路画像と前記車両位置をサーバに送信するサーバ送信部を備えた構成としてもよい。
【0034】
この構成により、遊園地から遠く離れた営業所等の場所でジェットコースター走行路の点検、検査を行なうことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の走行路検査車両、走行路検査方法、及び走行路検査システムにより、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施例1における走行路検査車両を前方から視た図である。
図2】本発明の実施例1における走行路検査車両を側方から視た図である。
図3】本発明の実施例1における走行路検査車両の制御系ブロック図である。
図4】本発明の実施例1における走行路検査システムの概念図である。
図5】本発明の実施例2における走行路検査車両の制御系ブロック図である。
図6】本発明の実施例2における走行路検査システムの概念図である。
図7】本発明の実施例3における走行路検査車両の制御系ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0037】
本発明の実施例1について、図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における走行路検査車両を前方から視た図である。図2は、本発明の実施例1における走行路検査車両を側方から視た図である。図3は、本発明の実施例1における走行路検査車両の制御系ブロック図である。図4は、本発明の実施例1における走行路検査システムの概念図である。
【0038】
(走行路検査車両)
実施例1における走行路検査車両100の構造を図1図2に示す。走行路検査車両100は、台車62を台車取付け部61が支持し、台車取付け部61を4ヶ所の車輪部により支持している。車輪部は、前輪左側部、前輪右側部、後輪左側部、及び後輪右側部からなっている。ジェットコースター走行路1の左側軌条1L及び右側軌条1Rを前輪左側部及び前輪右側部を駆動部82が駆動し、左側軌条1L及び右側軌条1Rに沿って後輪左側部及び後輪右側部が回転することにより走行可能な構造を有している。
【0039】
前輪左側部は、左側軌条1Lに沿って回転走行する左側上部前輪11、左側下部前輪12、及び左側側部前輪13を有している。左側上部前輪11を支持して回転させる車軸である左前輪上部車軸51は左前輪上部内側車軸受31と左前輪上部外側車軸受34とによって回転可能に支持されている。また、左側下部前輪12を支持して回転させる車軸である左前輪下部車軸52は左前輪下部内側車軸受32と左前輪下部外側車軸受35とによって回転可能に支持されている。そして、左前輪上部内側車軸受31と左前輪下部内側車軸受32とはバネ33によって互いに接近する方向に付勢されることにより、左側上部前輪11と左側下部前輪12とで左側軌条1Lを上下から押圧しながら駆動部82(図3参照)により駆動され回転するように構成されている。
【0040】
左側側部前輪13を回転させる車軸である左前輪側部車軸53は左前輪上部外側車軸受34と左前輪下部外側車軸受35とによって回転可能に支持され、左側側部前輪13が左側軌条1Lを外側から押圧しながら回転するように構成されている。実施例1においては、左側側部前輪13が左側軌条1Lを外側から押圧するために、左前輪上部内側車軸受31と左前輪上部外側車軸受34との間、及び、左前輪下部内側車軸受32と左前輪下部外側車軸受35とのを図示しないバネにより互いに接近する方向に付勢している。
【0041】
このように、左側上部前輪11と左側下部前輪12とで左側軌条1Lを上下から押圧し、左側側部前輪13が左側軌条1Lを押圧していることで、ジェットコースター走行路1に対して走行路検査車両100が上下反転した宙返り状態や左側方又は右側方が上向きとなる状態であってもガタツキなくしっかりと左側軌条1Lとの位置関係を保って走行路検査車両100を走行させることができる。また、走行時以外は左側上部前輪11と左側下部前輪12の押圧力により停止状態を維持することができる。
【0042】
また、前輪右側部は、右側軌条1Rに沿って回転走行する右側上部前輪21、右側下部前輪22、及び右側側部前輪23を有している。右側上部前輪21を支持して回転させる車軸である右前輪上部車軸54は右前輪上部内側車軸受41と右前輪上部外側車軸受44とによって回転可能に支持されている。また、右側下部前輪22を支持して回転させる車軸である右前輪下部車軸55は右前輪下部内側車軸受42と右前輪下部外側車軸受45とによって回転可能に支持されている。そして、右前輪上部内側車軸受41と右前輪下部内側車軸受42とはバネ43によって互いに接近する方向に付勢されて右側上部前輪21と右側下部前輪22とで右側軌条1Rを上下から押圧しながら駆動部82によって駆動され回転するように構成されている。
【0043】
右側側部前輪23を支持して回転させる車軸である右前輪側部車軸56は右前輪上部外側車軸受44と右前輪下部外側車軸受45とによって回転可能に支持され、右側側部前輪23が右側軌条1Rを外側から押圧しながら回転するように構成されている。実施例1においては、右側側部前輪23が右側軌条1Rを外側から押圧するために、右前輪上部内側車軸受41と右前輪上部外側車軸受44との間、及び、右前輪下部内側車軸受42と右前輪下部外側車軸受45とのを図示しないバネにより互いに接近する方向に付勢している。
【0044】
このように、右側上部前輪21と右側下部前輪22とで右側軌条1Rを上下から押圧し、右側側部前輪23が右側軌条1Rを押圧していることで、ジェットコースター走行路1に対して走行路検査車両100が上下反転した宙返り状態や右側方が下向きとなる状態であってもガタツキなくしっかりと右側軌条1Rとの位置関係を保って走行路検査車両100を走行させることができる。また、走行時以外は右側上部前輪21と右側下部前輪22の押圧力により停止状態を維持することができる。
【0045】
また、実施例1においては、各車輪の各軌条に対する停止時の保持力を向上させるために摩擦力の大きなゴムで各車輪を構成している。これにより、各車輪間の軌条に対する押圧に加えてこの摩擦力により停止時の停止状態を維持することが可能となっている。
【0046】
後輪左側部についても同様の構成である。すなわち後輪左側部においては、左側軌条1Lを回転走行する左側上部後輪14、左側下部後輪15、及び左側側部後輪16を有していて、それぞれ左側軌条1Lを押圧しながら回転するように構成されているが、前輪左側部と同様の構成であるので説明は省略する。但し、左側上部後輪14及び左側下部後輪15は駆動部82によって駆動されず回転するのみである。
【0047】
後輪右側部は前輪右側部と同様の構成を有しているので説明は省略するが、左側上部後輪(図示せず)及び左側下部後輪(図示せず)は駆動部82によって駆動されず右側軌条1Rを押圧しながら回転するのみである。
【0048】
なお、実施例1においては、左側上部前輪11と左側下部前輪12との左側軌条1Lへの押圧、及び右側上部前輪21と右側下部前輪22との右側軌条1Rへの押圧は、バネ力による構成としたが、必ずしもこれに限定されず都合により適宜変更が可能である。例えば、左側上部前輪11、左側下部前輪12、右側上部前輪21、及び右側下部前輪22のいずれか又は全てに磁石を含むようにして磁力により左側軌条1L及び右側軌条1Rに押圧する構成としてもよい。
【0049】
また、実施例1においては、前輪左側部、及び前輪右側部を駆動輪としたが、必ずしもこれに限定されず、都合により適宜変更することができる。例えば、後輪左側部、及び後輪右側部を駆動輪としてもよいし、前輪左側部、前輪右側部、後輪左側部、及び後輪右側部の全てを駆動輪としてもよい。
【0050】
ここで、本発明におけるジェットコースター走行路の定義は、軌条と軌条を支持する軌条受け台を指すものとする。実施例1においては、2本の軌条(左側軌条1L及び右側軌条1R)を有することとしているが、軌条の数は1本であっても3本以上を有するものであってもよい。軌条の数が変われば車輪部の数を変えればよい。また、実施例1においては、軌条の断面は円形状を有しているが、断面形状は正方形でも長方形でも多角形でもよい。
【0051】
走行路検査車両100が走行するジェットコースター走行路1は、車輪が回転走行する左側軌条1Lと右側軌条1Rとを略Y字状の軌条受け部4が支持した構成を有している。軌条受け部4は接合部3により走行路取付け台2にボルド止めされている。走行路取付け台2は地面に固定されている。これらの左側軌条1L、右側軌条1R、軌条受け部4、接合部3、及び走行路取付け台2は、いずれも錆を防止するために塗装が施されている。
【0052】
なお、実施例1においては、軌条受け部4が略Y字状を有しているが、必ずしもこれに限定されず都合により適宜最適な形状のものを採用することができる。例えば、略I字状を有しているものでもよいし、他の形状を有しているものでもよい。
【0053】
走行路検査車両100の台車62前方には撮像部71が設けられ、少なくともジェットコースター走行路1の走行路画像を撮像することができる。また、左側軌条1Lの下面を撮像する撮像部72が前輪左側部の左前輪下部内側車軸受32の外側に飛び出した部分に設けられ、右側軌条1Rの下面を撮像する撮像部73が前輪右側部の右前輪下部内側車軸受42の外側に飛び出した部分に設けられている。
【0054】
なお、実施例1においては、撮像部71が台車62の前方側に設けられ、ジェットコースター走行路1の左側軌条1L及び右側軌条1Rの上面を撮像するように構成されているが、必ずしもこれに限定されず都合により適宜変更することができる。例えば、撮像部71を台車62の後方側に設けてもよいし、撮像部71によりジェットコースター走行路1における左側軌条1L及び右側軌条1Rの上面に加えて、ジェットコースター走行路1における軌条受け部4を撮像するように構成してもよいし、ジェットコースター走行路1に加えて接合部3を撮像するように構成してもよい。また、レンズ倍率や撮像方向を変更可能とし、適宜必要な箇所を撮像できるように構成してもよい。
【0055】
また、実施例1においては、撮像部71が左側軌条1L及び右側軌条1Rの両方の上面を撮像するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、左側軌条1Lの上面を撮像する撮像部と右側軌条1Rの上面を撮像する撮像部と設けるように構成してもよい。
【0056】
さらに、実施例1においては、撮像部72を前輪左側部に設け、右側軌条1Rの下面を撮像する撮像部73を前輪右側部に設けるように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、撮像部72を後輪左側部に設け、右側軌条1Rの下面を撮像する撮像部73を後輪右側部に設けるように構成してもよい。撮像部71、撮像部72、及び撮像部73により、少なくともジェットコースター走行路1の軌条の上下面である走行路画像を撮像すればよい。
【0057】
ここで、塗装剥がれ、傷、割れ、欠け、摩耗等の欠陥は、軌条における各車輪が走行する部分に発生しやすいことがわかっている。したがって、軌条の上部、下部、及び外側側部における車輪痕が残る部分を必ず撮像するように撮像部71、撮像部72、及び撮像部73の撮像方向や倍率を調整している。また、左側軌条1L及び右側軌条1Rの側面の車輪痕が残る部分を撮像しやすくするために、撮像部72、及び撮像部73を斜め内側方向に撮像可能として設けてもよい。
【0058】
ジェットコースター走行路1と接合部3とは、定期的に傷、ひび割れ、摩耗、塗装はがれ等の欠陥について点検、検査を行なうことが求められている。従来は人がジェットコースター走行路1を歩いて目視点検を行っていたが、高所作業による危険を伴う作業であるとともに、軌条の上面だけでなく下面や軌条の接合部など点検範囲が広いため作業に時間がかかっていた。
【0059】
本発明における実施例1においては、ジェットコースター走行路1を走行路検査車両100が自走して撮像部71〜73により走行路画像を撮像し、点検、検査を行なうことができ、人による高所作業をなくすとともに、点検作業を迅速に行うことができる。
【0060】
図3に走行路検査車両100の制御系ブロック図を示す。撮像部71、72、73は、それぞれ走行路画像を撮像するようにCCDカメラ、及びレンズで構成されている。また、必要に応じて照明部を設けてもよい。撮像した走行路画像は送信部81、アンテナ91を経由して送信可能に構成されている。
【0061】
駆動部82は、モータを駆動制御し左側上部前輪11、左側下部前輪12、右側上部前輪21、右側下部前輪22を駆動して走行路検査車両100を任意の速度で走行させることができる。ジェットコースター走行路1は、急旋回や急降下が存在するが、これらの部分においても任意の速度での走行が可能となるように、左側上部前輪11及び左側下部前輪12に対する駆動制御と右側上部前輪21及び右側下部前輪22に対する駆動制御とは別々のモータにより個別に行われるとともに、それぞれ速度コントロールが可能とされている。
【0062】
走行路検査車両100は駆動部82の駆動制御により、前進又は後進を選択して走行させることができる。ジェットコースター走行路1において欠陥の多発する要注意位置が経験的にわかっている場合がある。そういった場合は前進又は後進を選択して、要注意位置に効率的に走行させることができる。また、要注意位置に到着したことを走行路検査車両100が自身の位置である車両位置を認識できるように位置検出部86を備えている。
【0063】
位置検出部86は、左側上部前輪11及び右側上部前輪21の回転数を計測してスタート地点からのジェットコースター走行路1上の距離を計測するように構成されている。そして、スタート地点において外部からトリガを与えることにより計測した距離をリセットされる。その結果、走行路検査車両100がジェットコースター走行路1に沿って走行するとその距離を計測して車両位置を検出することができる。検出した車両位置は逐次走行路画像とともに送信部81から送信される。
【0064】
撮像部71、72、73、送信部81、駆動部82、及び位置検出部86には、それぞれ電池からなる電源部83により必要な電力が供給される。電源部83の電池には事前に充電しておくことが可能に構成されていて、ジェットコースター走行路1を少なくとも1周して走行路画像を撮像し車両位置とともに送信することができる容量が蓄電できるように構成されている。
【0065】
しかしながら、予想外のアクシデントの影響により予想以上に電力を消耗した場合に備えて、蓄電量が所定の10%未満になったときにアラームを送信できるようにされている。また、このアラームに対応することができず蓄電量が駆動部82を駆動できるだけの容量がなくなった場合は、各車輪の各軌条への押圧は自動的に解除されて走行路検査車両100の自重で自由滑走させてジェットコースター走行路1の回収可能な高度の低い位置に戻すことができる。各車輪の各軌条への押圧を解除するには、例えば、各車輪を軌条に接近する方向に付勢しているバネ33、43等に電磁石を設け、電力が供給されている間は電磁石の極板同士が密着してバネ33、43等が圧縮して付勢力を維持し、電力の供給がなくなれば電磁石の極板同士が自動的に離間してバネ33、43等の圧縮が解除されて付勢力が解除されるように構成すればよい。
【0066】
なお、実施例1においては、電源部83を電池により構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、軌条や架線等から接触又は非接触によって電源部83に電力を供給するようにしてもよい。
【0067】
また、実施例1においては、撮像した走行路画像と車両位置を送信するように構成したが、必ずしもこれに限定されず、適宜変更が可能である。例えば、走行路検査車両100に記憶部を備え、当該記憶部に撮像した走行路画像を車両位置とともに記憶するようにしてもよい。そして、記憶させた走行路画像と車両位置とは、走行路検査車両100がスタート地点に戻った際に読み出すようにすればよい。
【0068】
(走行路検査システム)
図4に実施例1における走行路検査システムの概念図を示す。走行路検査車両100から無線で送信された走行路画像と車両位置は、地上の表示装置400で受信される。具体的には、表示装置400の地上受信部401で受信されて、パソコンからなる表示部404に表示される。送信される走行路画像は、撮像部71による左側軌条1L及び右側軌条1Rの上面の走行路画像と撮像部72による軌条1Lの下面の走行路画像と撮像部73による軌条1Rの下面の走行路画像とがあるが、それぞれIDによって区別されている。表示部404においては、これらの走行路画像を1画面で全てを表示することもそれぞれの走行路画像をひとつずつ切り換えて表示することもできる。
【0069】
表示部404に表示される走行路画像を人が目視することによって、左側軌条1L、右側軌条1Rを中心とするジェットコースター走行路1における欠陥の点検、検査を地上に居ながらにして行うことができる。傷、ひび割れ、摩耗、塗装はがれ等の欠陥が目視で認められたら、表示部404に表示されている車両位置により欠陥可能性位置を把握する。そして、把握した欠陥可能性位置の状況をより詳細に検査するために、再度、走行路検査車両100を欠陥可能性位置まで走行させる。
【0070】
また、地上受信部401が受信した走行路画像と車両位置とを記憶する記憶部を表示装置400に設けてもよい。これにより、走行路検査車両100による走行路画像を表示装置400の記憶部に記憶しておき、別の時間帯に当該走行路画像を人が目視して点検、検査を行なうことができるため、作業の段取りが立てやすく、また同一の走行路画像及び車両位置に基づく複数回の点検、検査を行なうことが可能となる。
【0071】
なお、図4に示すように、表示装置400にサーバ送信部403を備えて、受信した走行路画像と車両位置の情報をサーバに無線又は有線にて送信するようにしてもよい。これにより、ジェットコースターから遠く離れた事務所において点検、検査を行なうことができるが、必須のものではなく必要に応じて備えればよい。
【0072】
(走行路検査方法)
上述した走行路検査システムにおいて、ジェットコースター走行路1の点検、検査を行なう走行路検査方法について説明する。
【0073】
まず、欠陥可能性位置把握工程を実行する。すなわち、走行路検査車両100をジェットコースター走行路1のスタート位置に位置させて位置検出部86の計測値をリセットする。このリセットは、スイッチを位置検出部86に設けてスイッチを操作することによりリセットしてもよいが、実施例1においては、スタート位置に走行路検査車両100が位置したときにジェットコースター走行路1に設けられたトリガ板が走行路検査車両100に設けたスイッチを自動的に操作するように構成している。
【0074】
次に、走行路検査車両100をジェットコースター走行路1に沿って任意の速度で自走させ、撮像部71、72、73が撮像した走行路画像を表示部404で目視による点検、検査を開始する。走行路検査車両100の走行位置である車両位置は常に表示部404に表示されている。撮像部71は左側軌条1Lの上面、右側軌条1Rの上面、及び軌条受け部4を撮像し、撮像部72は左側軌条1Lの下面を撮像し、撮像部73は右側軌条1Rの下面を撮像する。
【0075】
なお、実施例1においては、撮像部71は左側軌条1Lの上面、右側軌条1Rの上面、及び軌条受け部4を撮像するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、撮像部71が左側軌条1Lの上面、右側軌条1Rの上面、及び軌条受け部4に加えて、接合部3を撮像するように構成してもよい。その場合は、接合部3のある位置を走行する時に撮像部71の撮像方向や撮像倍率を変更するようにすればよい。
【0076】
左側軌条1L、右側軌条1Rの上面又は下面に傷、ひび割れ、摩耗、塗装はがれ等の欠陥を認識するか、欠陥の恐れがあることを認識したら、そのときの走行路検査車両100のジェットコースター走行路1の位置である車両位置を把握する。車両位置は送信された位置検出部86の計測値が表示部404に表示されることにより把握することができる。
【0077】
なお、実施例1においては、欠陥の位置又は欠陥の恐れのある位置を把握することとしたが、このときに表示部におけるスイッチ操作により欠陥の位置又は欠陥の恐れのある車両位置と走行路画像とを表示装置400の上述した記憶部に記憶させるように構成してもよい。そのときは、走行路検査車両100が1周してスタート地点に戻ってから、記憶させた車両位置と走行路画像とを読み出して再確認してもよい。
【0078】
次に、検査工程を実行する。すなわち、走行路検査車両100が1周してスタート位置に戻れば、検出した欠陥の位置又は欠陥の恐れのある位置まで走行路検査車両100を走行させて停止させる。このときの速度を、欠陥可能性位置把握工程のときよりは高速にすると迅速に欠陥可能性位置に到達させることができる。そして、撮像部71、72、又は73により撮像した走行路画像を確認して欠陥であるか否か、及び欠陥の種類を見極める。そして、確かに欠陥であることを判断したら、欠陥の位置と欠陥の種類を表示装置400に記憶させる。この記憶させた欠陥の位置と欠陥の種類は次回の点検、検査の際に参考にすることができる。
【0079】
そして、修理が必要であれば、検出した欠陥の位置において人が必要な修理作業を行う。修理が必要なければ点検、検査が終了する。なお、簡易な修理、例えば、塗装剥がれ等は走行路検査車両100の台車62にスプレー等の塗装装置を設けて表示装置400からのスイッチ操作により行ってもよい。
【0080】
なお、実施例1においては、最初に任意の速度でジェットコースター走行路1を走行路検査車両100が1周して欠陥の有無を把握するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、欠陥の発生しやすい箇所が予め特定されているなら、1周させることなく当該箇所の位置まで高速で走行路検査車両100を自走させて当該箇所の点検、検査を重点的に行ってもよいし、1周させる過程で当該箇所を重点的に点検、検査してもよい。
【0081】
実施例1においては、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。仮に、表示部404に表示された走行路画像のみでは欠陥か否かの判断がつかない場合や修理が必要な場合であっても、人による高所作業を必要最小限にすることができる。また、走行路検査車両100が自走して撮像することにより、迅速に点検、検査を行なうことができる。さらに、表示部404を複数の人で目視して点検することができるので、欠陥か否かの判断をより正確に行うことができる。また、欠陥の画像を記憶しておくことにより、同様の欠陥があった場合の参考とすることができ、検査精度の向上を図ることができる。
【0082】
このように実施例1においては、ジェットコースター走行路を自走する走行路検査車両であって、当該走行路検査車両を走行及び停止させるための駆動制御を行う駆動部と、少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像する撮像部と、前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部と、前記駆動部、前記撮像部、及び前記位置検出部に電力を供給する電源部と、を備えたことを特徴とする走行路検査車両により、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。
【0083】
また、実施例1においては、ジェットコースター走行路の走行路検査方法であって、
撮像部、駆動部、電源部、送信部、及び前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部を搭載した走行路検査車両を前記ジェットコースター走行路において前記駆動部が駆動制御して自走させ前記撮像部により少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像して、当該走行路画像と前記車両位置を前記送信部より表示装置に逐次無線送信し、欠陥の可能性がある欠陥可能性位置を把握する欠陥可能性位置把握工程と、
前記欠陥可能性位置まで前記車両位置を検出しながら前記走行路検査車両を自走させ、当該欠陥可能性位置を再度撮像して前記送信部より前記表示装置に無線送信し検査を行なう検査工程と、を実行することを特徴とする走行路検査方法により、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。
【0084】
さらに実施例1においては、ジェットコースター走行路の走行路検査システムであって、
自身を自走させるための駆動制御を行う駆動部、少なくとも前記ジェットコースター走行路の走行路画像を撮像する撮像部、前記ジェットコースター走行路における自身の位置である車両位置を検出する位置検出部、前記走行路画像と前記車両位置を無線で送信する送信部、及び電源部を搭載した走行路検査車両と、
前記送信部により無線で送信した前記走行路画像及び前記車両位置を受信する地上受信部、及び受信した前記走行路画像及び前記車両位置を表示可能な表示部を有した表示装置と、を備えたことを特徴とする走行路検査システムにより、人による高所作業をなくし安全にジェットコースター走行路を点検、検査することができる。
【実施例2】
【0085】
本発明の実施例2について図5図6を参照して説明する。図5は、本発明の実施例2における走行路検査車両の制御系ブロック図である。図6は、本発明の実施例2における走行路検査システムの概念図である。
【0086】
実施例2は、駆動部、及び撮像部に対する制御信号を受信可能な受信部を走行路検査車両に備えるとともに、当該受信部に対して制御信号を無線で送信可能な地上送信部を表示装置に備えた点で実施例1と異なる。
【0087】
図5に示すように、走行路検査車両200はアンテナ91に接続された受信部84を備えている。アンテナ91は送信部81から入力された情報を送信可能であるとともに、受信した情報を受信部84に出力可能な送受信兼用のアンテナである。受信部84が受信した制御信号により、駆動部82、撮像部71、72、73を制御する。
【0088】
具体的には、受信した制御信号により、駆動部82に対して前進、後進、及び停止の動作や前進時又は後進時の速度を制御する。また、全ての車輪部の軌条への押圧を解除させて自由滑走による回収可能な高度の低い位置やスタート位置への帰還を指示することができる。また、撮像部71、72、73に対して、撮像方向、撮像倍率を制御することができる。
【0089】
この制御信号は、表示装置500(図6参照)に設けた地上送信部502から送信される。つまり、表示部404を目視して点検、検査を実施中にじっくりと観察が必要な箇所があれば、表示部404のスイッチ操作により走行路検査車両200を前進、後進又は停止させて再度当該箇所を撮像させる。また、撮像部71、72、73の撮像方向や撮像倍率を表示部404のスイッチ操作により変更して欠陥の恐れのある箇所を詳細に点検、検査する。
【0090】
なお、実施例2においては、受信部84が受信した制御信号により撮像部71、72、73における撮像方向や撮像倍率を制御するように構成したが、必ずしもこれに限定されず都合により適宜変更が可能である。例えば、照明部の光量や照明色の制御も行うようにしてもよい。
【0091】
このように、地上の表示装置からのスイッチ操作により各種の制御信号を走行路検査車両に送信して制御するようにしたことにより、臨機応変にまた高精度にジェットコースター走行路の点検、検査を行なうことができる。
【実施例3】
【0092】
本発明の実施例3について図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施例3における走行路検査車両の制御系ブロック図である。
【0093】
実施例3は、走行路画像に基づいて少なくとも前記ジェットコースター走行路の欠陥を検査する検査部を走行路検査車両に備えた点で実施例1、2と異なる。
【0094】
図7に示すように、走行路検査車両300においては、撮像部71、72、73が撮像した走行路画像は検査部85に入力される。検査部85では、入力された走行路画像に基づいて欠陥検査を自動で行なう。欠陥検査は、所定面積の撮像毎に、境界抽出、領域抽出、面積カウント、又は色判別等の公知の手法により行う。欠陥検査が終わると走行路画像とともに、欠陥の有無、欠陥の種類、車両位置、時刻、撮像部IDなどの情報を送信部81から送信する。
【0095】
表示装置においては、受信した走行路画像、欠陥の有無、欠陥の種類、車両位置、時刻、撮像部IDなどの情報から、間違いなく欠陥か否かの判断を人が行う。その結果、欠陥か否かの判断が困難であれば、上述した検査工程を実施することにより、当該箇所を表示装置に表示された走行路画像及び検査部85の検査結果に基づいて入念に点検、検査を行なう。つまり検査工程においても検査部85は欠陥検査を実施することができる。
【0096】
また、地上送信部502から無線送信された検査部85に対する制御信号を受信部84にて受信することができる。この制御信号は、検査部85が実行すべき検査手法を選択する。例えば、塗装剥がれの検査を重点的に行う場合は色判別を選択し、割れの検査を重点的に行う場合は境界検出を選択する。また、これらの手法を同時に実行するように選択することもできる。
【0097】
これにより、人による目視点検、検査に代えて検査部85による自動検査が行えるため、精度の高い点検、検査を迅速に無人で行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明における走行路検査車両、走行路検査方法、及び走行路検査システムは、遊園地等のジェットコースター走行路検査の分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0099】
1:ジェットコースター走行路 1L:左側軌条 1R:右側軌条
2:走行路取付け台 3:接合部 4:軌条受け部
11:左側上部前輪 12:左側下部前輪 13:左側側部前輪
14:左側上部後輪 15:左側下部後輪 16:左側側部後輪
21:右側上部前輪 22:右側下部前輪 23:右側側部前輪
31:左前輪上部内側車軸受 32:左前輪下部内側車軸受 33:バネ
34:左前輪上部外側車軸受 35:左前輪下部外側車軸受
39:左後輪上部外側車軸受 40:左後輪下部外側車軸受
41:右前輪上部内側車軸受 42:右前輪下部内側車軸受 43:バネ
44:右前輪上部外側車軸受 45:右前輪下部外側車軸受
51:左前輪上部車軸 52:左前輪下部車軸 53:左前輪側部車軸
54:右前輪上部車軸 55:右前輪下部車軸 56:右前輪側部車軸
61:台車取付け部 62:台車
71:撮像部 72:撮像部 73:撮像部
81:送信部 82:駆動部 83:電源部
84:受信部 85:検査部 86:位置検出部 91:アンテナ
100:走行路検査車両 200:走行路検査車両 300:走行路検査車両
400:表示装置 401:地上受信部
403:サーバ送信部 404:表示部
500:表示装置 502:地上送信部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7