特許第6937750号(P6937750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6937750増大した通信容量を有する衛星システムおよび衛星システムの容量を増大させるための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937750
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】増大した通信容量を有する衛星システムおよび衛星システムの容量を増大させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/195 20060101AFI20210909BHJP
【FI】
   H04B7/195
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-522029(P2018-522029)
(86)(22)【出願日】2016年10月28日
(65)【公表番号】特表2018-537897(P2018-537897A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】IB2016002017
(87)【国際公開番号】WO2017098334
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2019年10月28日
(31)【優先権主張番号】62/247,611
(32)【優先日】2015年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517180785
【氏名又は名称】ワールドビュー・サテライツ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・セイン・ワイラー
【審査官】 対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/021238(WO,A1)
【文献】 特表2001−514811(JP,A)
【文献】 特開2007−088612(JP,A)
【文献】 特開2003−234684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/14−7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星システムの帯域幅を増大させるための方法であって、前記衛星システムが複数の衛星を備え、前記複数の衛星が複数の面に配列され、各面において公称数の衛星を有し、前記方法が、
第1のカバレージエリアを有する最小セット衛星ネットワークポータル(SNP)と、前記複数の衛星のうちの少なくとも1つに配設された少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第1のゲートウェイアンテナとの間に、第1の帯域幅を有する第1の通信リンクを確立するステップと、
第2のカバレージエリアを有するインタースティシャルSNPと、前記複数の衛星のうちの前記少なくとも1つの衛星に配設された前記少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第2のゲートウェイアンテナとの間に、第2の帯域幅を有する第2の通信リンクを確立するステップとを備え、前記第2のカバレージエリアが、前記第1のカバレージエリアの少なくとも一部分にオーバーラップし、
前記第1の通信リンクを介して前記1つの衛星によって受信される第1のゲートウェイビームを、チャネルの第1のグループにチャネル化するステップであって、そのチャネルの各々が、前記第1のグループの中の他のチャネルとは異なる範囲の周波数に関連付けられる、ステップと、
前記第2の通信リンクを介して前記1つの衛星によって受信される第2のゲートウェイビームを、チャネルの第2のグループにチャネル化するステップであって、そのチャネルの各々が、前記第1のグループの中の前記他のチャネルとは異なる範囲の周波数に関連付けられ、
(a)前記第1および第2のグループが同じ数のチャネルを有し、
(b)前記第1のグループの中の特定の範囲の周波数を有するチャネルごとに、同じ範囲の周波数を有するチャネルが前記第2のグループの中にある、ステップと、
前記同じ範囲の周波数を有する、前記第1のグループおよび前記第2のグループからのチャネルを加算するステップと
をさらに備える、方法。
【請求項2】
前記第2の帯域幅が前記第1の帯域幅に実質的に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
地上ユーザ端末への送信のために、前記加算されたチャネルを前記1つの衛星上のそれぞれの無線トランシーバに導くステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
面ごとの前記公称数の衛星が増加し、各衛星は複数の無線トランシーバを含み、前記方法が、
前記1つの衛星上の複数の無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバを非アクティブ化させるステップであって、前記第1の無線トランシーバが、それらに割り振られたチャネルの前記第1のグループの少なくとも第1のチャネルを有する、ステップと、
前記複数の無線トランシーバのうちの第2の無線トランシーバに前記第1のチャネルを再割り振りするステップとをさらに備え、前記第2の無線トランシーバが、第1の地理的領域へビームを送信する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の無線トランシーバが、それらに割り振られたチャネルの前記第2のグループの第1のチャネルを有し、前記方法が、チャネルの前記第2のグループの前記第1のチャネルを前記第2の無線トランシーバに再割り振りするステップをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
チャネルの前記第1のグループの前記第1のチャネルおよびチャネルの前記第2のグループの第2のチャネルを、前記第2の無線トランシーバから第3の無線トランシーバに再割り振りするステップをさらに備え、再割振りが行われると、
(a)前記第3の無線トランシーバが、前記第1の地理的領域へ送信することが可能であり、
(b)前記第2の無線トランシーバが、前記第1の地理的領域へ送信することが不可能である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
衛星システムの帯域幅を増大させるための方法であって、前記衛星システムが複数の衛星を備え、前記複数の衛星が複数の面に配列され、各面において公称数の衛星を有し、各衛星は複数の無線トランシーバを含み、前記方法が、
第1の最小セットSNPが地球上の他のいかなる最小セットSNPに対するよりも、相対的に地球上の地理的領域における前記第1の最小セットSNPに近い第1のカバレージエリアを有するインタースティシャル衛星ネットワークポータル(SNP)を、地球上の前記地理的領域において、配設するステップと、
前記インタースティシャルSNPと、前記複数の衛星のうちの前記衛星の1つに配設された少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの1つとの間に、第1の通信リンクを確立するステップであって、前記第1の通信リンクが、前記第1の最小セットSNPと前記複数の衛星のうちの前記1つの衛星に配設された前記少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第2のゲートウェイアンテナとの間に確立された第2の通信リンクによって提供されるゲートウェイビームによって、前記衛星と地球上の前記地理的領域との間で提供される帯域幅を増大させる、インタースティシャルゲートウェイビームを提供する、ステップと
前記第1の最小セットSNPと前記少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの前記第2のゲートウェイアンテナとの間の前記第2の通信リンクを介して受信されたゲートウェイビームからチャネルの第1のグループを形成するステップと、
前記複数の衛星のうちの前記1つの衛星上の複数の無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバを非アクティブ化させるステップと、
以前に前記第1の無線トランシーバに割り振られたチャネルの前記第1のグループの第1のチャネルを、前記1つの衛星上の前記複数の無線トランシーバのうちの第2の無線トランシーバに再割り振りするステップと
を備え、前記第2の無線トランシーバが、地球上の前記地理的領域への送信のために、前記第1のチャネルで、衛星アンテナビームを生成する、方法。
【請求項8】
前記インタースティシャルゲートウェイビームが、前記衛星と地球上の前記地理的領域との間で提供される前記帯域幅を実質的に2倍にする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記インタースティシャルゲートウェイビームからチャネルの第2のグループを形成するステップと、
同様の周波数範囲を有する、前記第1のグループおよび前記第2のグループからのチャネルを加算するステップと
をさらに備える請求項7に記載の方法。
【請求項10】
アンテナビームの生成のために、前記加算されたチャネルを前記1つの衛星上のそれぞれの無線トランシーバに導くステップをさらに備える請求項9に記載の方法。
【請求項11】
チャネルの前記第1のグループの前記第1のチャネルを、前記第2の無線トランシーバから第3の無線トランシーバに再割り振りするステップをさらに備え、再割振りが行われると、
(a)前記第3の無線トランシーバが、地球上の記地理的領域へ送信することが可能であり、
(b)前記第2の無線トランシーバが、前記地理的領域へ送信することが不可能である、
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
衛星システムの帯域幅を増大させるための方法であって、前記衛星システムが複数の衛星を備え、前記複数の衛星が複数の面に配列され、各面において公称数の衛星を有し、各衛星は複数の無線トランシーバを含み、前記方法が、
第1の最小セットSNPが他のいかなる最小セットSNPに対するよりも、相対的に地球上の地理的領域における前記第1の最小セットSNPに近い第1のカバレージエリアを有するインタースティシャル衛星ネットワークポータル(SNP)を、地球上の前記地理的領域において、配設するステップと、
前記インタースティシャルSNPと、前記複数の衛星のうちの前記衛星の1つに配設された少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第2のゲートウェイアンテナとの間に、第1の通信リンクを確立するステップであって、前記第1の通信リンクが、前記第1の最小セットSNPと前記複数の衛星のうちの前記1つの衛星に配設された前記少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第1のゲートウェイアンテナとの間に確立された第2の通信リンクによって、前記衛星と地球上の前記地理的領域との間で提供される帯域幅を増大させる、インタースティシャルゲートウェイビームを提供する、ステップと、
前記第1の最小セットSNPと前記第2のゲートウェイアンテナとの間の前記第2の通信リンクを介して受信されたゲートウェイビームからチャネルの第1のグループを形成するステップと、
前記インタースティシャルゲートウェイビームからチャネルの第2のグループを形成するステップと、
同様の周波数範囲を有する、前記第1のグループおよび前記第2のグループからのチャネルを加算するステップと、
前記1つの衛星上の複数の無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバを非アクティブ化させるステップと、
チャネルの前記第1のグループの第1のチャネルおよびチャネルの前記第2のグループの第1のチャネルを、前記1つの衛星上の前記複数の無線トランシーバのうちの第2の無線トランシーバに再割り振りするステップとをさらに備え、そのチャネルの両方が、以前は前記第1の無線トランシーバに割り振られており、前記第2の無線トランシーバが、前記地理的領域への送信のためにビームを生成する、
方法。
【請求項13】
チャネルの前記第1のグループの前記第1のチャネルおよびチャネルの前記第2のグループの第2のチャネルを、前記第2の無線トランシーバから第3の無線トランシーバに再割り振りするステップをさらに備え、再割振りが行われると、
(a)前記第3の無線トランシーバが、前記地理的領域へ送信することが可能であり、
(b)前記第2の無線トランシーバが、前記地理的領域へ送信することが不可能である、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連事例の陳述
本事例は、参照により本明細書に組み込まれる2015年10月28日に出願された米国特許出願第62/247,611号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、衛星システムに関する。
【背景技術】
【0003】
非静止衛星システムは、静止軌道(地球の表面のおよそ36,000キロメートル上方)以外の高度において地球を周回する衛星のグループまたはコンスタレーションを備える。低地球軌道(LEO:low earth orbit)にある非静止衛星システムは、非静止衛星のより低い軌道に起因して、静止衛星システムよりも小さい伝搬損失および小さい伝搬遅延を有する。したがって、そのような衛星は、インターネットサービスなどの対話型通信にとって、静止衛星よりもいっそう適している。
【0004】
静止衛星システムは、軌道周期が地球の自転周期に等しく、したがって、地球からは空中の固定位置にあるように見える。非静止衛星は、比較的高い速度で移動し、したがって、地表に限定された観察者には地平線から地平線まで頭上を通過するように見える。非静止衛星と地球との間のこの相対移動により、そのような衛星は、地表に限定されたユーザ端末の範囲を出たり入ったりして移動する。したがって、そのような端末は、継続的な通信を達成するために、ある衛星から次の衛星にそれらの通信リンクを切り替えなければならない(すなわち、ハンドオフ)。
【0005】
いくつかのシステムでは、衛星からユーザ端末への無線送信は、異なる方向に向けられた複数の独立したビームの形態をなす。そのため、地表に限定されたユーザ端末が衛星間でのハンドオフに対処することに加えて、衛星のカバレージエリアが特定のユーザを通り過ぎるときに個々の衛星の個々のビーム間でのハンドオフがある。
【0006】
そのような衛星システムのデータスループットは、いかなるEPFD(等価電力束密度)および波形の問いとも切り離されて、カバレージの電力およびMHz/ Km2の関数である。電力は、スペクトル効率を高めるために使用され得るが、帯域幅(bps/Hz)の「ビット/sec/Hz」として与えられると、QPSK(4位相シフトキーイング)の最も効率的なビット/Hz/secで動作するように最適に十分な電力が適用される。リンクバジェットに従ってQPSKを達成する電力に、電力がアルゴリズム的に設定される場合、データのより多くのビットを地上まで運ぶために調整すべき次のパラメータは、MHz/Km2を大きくすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第14/627,577号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、衛星システムの通信容量を増大させるための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
信号対雑音比によって決定されるような所与のスペクトル効率に対して、ユーザ端末へ送信されているデータの量は、より広い帯域幅を追加することによって増大させることができる。本教示によれば、帯域幅は、以下のもののうちの1つまたは複数を使用して広げられる。
・インタースティシャルゲートウェイビーム(Interstitial Gateway Beam)
・チャネルスタッキング(Channel Stacking)
・容量フォールディング(Capacity Folding)
【0010】
インタースティシャルゲートウェイビーム。いくつかの実施形態では、各衛星は、SNPと通信するための2つのゲートウェイアンテナ(すなわち、地上ゲートウェイアンテナおよび関連する機器)を含む。近接するSNPカバレージエリア間で衛星が移動するときのハンドオフを容易にするために、衛星上に2つのアンテナが必要とされる。したがって、大部分の時間で衛星ゲートウェイアンテナのうちの一方だけが使用中である。本発明の発明者は、衛星上の(普通は)未使用のゲートウェイアンテナと通信できる別のSNP- インタースティシャルSNP- を追加することによって、規定された地理的領域にわたってデータ容量を2倍にすることが可能であることを認識した。
【0011】
チャネルスタッキング。普通は使用中の衛星ゲートウェイアンテナの使用可能な容量は、たとえば、地上ユーザ端末への「ユーザ」ビームとしての送信にとって適切なトランシーバを対象とする、異なる個別の範囲の周波数を有する16個のチャネル/信号などにチャネル化される。「チャネル」および「信号」という用語は、本開示および添付の特許請求の範囲で互換的に使用される。
【0012】
インタースティシャルゲートウェイビーム(インタースティシャルSNPと、本来なら未使用のゲートウェイアンテナとの間の通信から得られる)を使用すると、衛星とユーザ端末との間の通信容量は、(インタースティシャルビームを介して受信される)帯域幅の追加の16チャネルを、普通は使用中のゲートウェイビームからの16チャネルと「スタッキング」(すなわち、加算)することによって2倍にされ得る。
【0013】
容量フォールディング。面ごとの衛星の数が増える場合、各衛星によって提供されるカバレージエリアは縮小する。カバレージエリアが縮小するので、互いに隣接する衛星からの周辺ビームのカバレージにオーバーラップがある。たとえば、面ごとの衛星の数が36個から39個に増えると、互いに隣接する衛星の(16本の)ビームのうちの2本がオーバーラップし、その結果、衛星当り14本のアクティブなビームしか必要とされない。アクティブでない2本のビームに関連する帯域幅は、アクティブなチャネルのうちのいくつかに加えられてよく、または「折り返され」てよい。
【0014】
例として、ゲートウェイアンテナのうちの1つがおよそ4000MHzの帯域幅を提供し、その帯域幅が16個の250MHzチャネルにチャネル化されると想定する。(インタースティシャルSNPとともに提供されるような)インタースティシャルゲートウェイビームを使用して、合計8000MHzを得るために帯域幅の追加の4000MHzが提供される。面ごとの衛星の数を36個から39個に増やすことにより、2つのゲートウェイアンテナから合計1000MHzを得るためにゲートウェイアンテナ当り2チャネルが解放される。この余剰帯域幅は、高トラフィック領域に追加の容量を提供することができる。したがって、本明細書で開示する方法は、(この例では)衛星のユーザリンクフットプリントに提供される帯域幅を4000MHzから9000MHzに増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】インターネットサービスを家庭などに配信するための衛星システム100を示す図である。
図2】システム100の衛星から送信されているビームを示す図である。
図3】3つのSNP、およびそれらの関連するカバレージエリア、ならびにそのようなエリアにわたる衛星の移動を示す図である。
図4A】SNP対衛星通信のために1つの衛星ゲートウェイアンテナだけが名目上使用中である、SNPのカバレージエリアの領域を示す図である。
図4B】本発明の例示的な実施形態による、帯域幅を増大させるためのインタースティシャルSNPの使用を示す図である。
図4C】本発明の例示的な実施形態による、帯域幅を増大させるためのインタースティシャルSNPの使用を示す図である。
図5A】本発明の例示的な実施形態によるチャネルスタッキングを示す図である。
図5B】本発明の例示的な実施形態によるチャネルスタッキングを示す図である。
図5C】本発明の例示的な実施形態によるスタッキングのさらなる例を示す図である。
図6A】1つの面における衛星の数が増加するにつれてユーザリンクフットプリントにおいて増大するオーバーラップを示す図である。
図6B】1つの面における衛星の数が増加するにつれてユーザリンクフットプリントにおいて増大するオーバーラップを示す図である。
図6C】1つの面における衛星の数が増加するにつれてユーザリンクフットプリントにおいて増大するオーバーラップを示す図である。
図7A】面ごとに36個の衛星があるときに衛星のユーザリンクフットプリントに提供される帯域幅の一例を示す図である。
図7B】チャネルスタッキングを使用して帯域幅を2倍にすることを示す図である。
図7C】面ごとの衛星の数が増える結果、図7Bと比較して帯域幅が増大することを示す図である。
図8A】本発明の例示的な実施形態による、面ごとの衛星の数の増加から得られる余分のチャネルが、衛星が移動するときに地上の特定の物理的エリアにわたってとどまるようにフォールディングおよびローリングされる方式を示す図である。
図8B】本発明の例示的な実施形態による、面ごとの衛星の数の増加から得られる余分のチャネルが、衛星が移動するときに地上の特定の物理的エリアにわたってとどまるようにフォールディングおよびローリングされる方式を示す図である。
図8C】本発明の例示的な実施形態による、面ごとの衛星の数の増加から得られる余分のチャネルが、衛星が移動するときに地上の特定の物理的エリアにわたってとどまるようにフォールディングおよびローリングされる方式を示す図である。
図8D】本発明の例示的な実施形態によるチャネルフォールディングおよびローリングのさらなる例を示す図である。
図8E】本発明の例示的な実施形態によるチャネルフォールディングおよびローリングのさらなる例を示す図である。
図9】本発明の例示的な実施形態による、インタースティシャルSNPを配置するための方法のフロー図である。
図10】本発明の例示的な実施形態による、インタースティシャルSNPを利用することによって、利用可能な帯域幅を増大させるための方法のフロー図である。
図11】本発明の一実施形態による、チャネルスタッキングによって帯域幅を増大させるための方法のフロー図である。
図12】本発明の一実施形態による、冗長なアンテナビームを非アクティブ化させること、およびそれらに関連するチャネルを他のアンテナビームに再割り振りすることによって、帯域幅を増大させるための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義。以下に掲載される用語は、本開示および添付の特許請求の範囲での使用のために次のように定義される。
・「SNP」とは、「衛星ネットワークポータル」に対する頭字語である。SNPは、いくつかのSAP(衛星アクセスポイント)を含む物理的サイトを指し、SAPは、RF電子装置に加えてゲートウェイアンテナ、およびモデム、ならびに電力源と、ケーブルと、転送および制御ハードウェアとを含む。「地上ゲートウェイアンテナ」という用語は、ゲートウェイアンテナがSNPの中に含まれる機器の一部にすぎないという理解とともに、「SNP」と互換的に使用される。
・「アンテナビーム」とは、「衛星アンテナビーム」もしくは「ユーザビーム」とも呼ばれる、衛星上のトランシーバと地上ユーザ端末との間での送信、または「ゲートウェイビーム」とも呼ばれる、衛星上のゲートウェイアンテナと地上SNPとの間での送信を指す。
・「ユーザリンクフットプリント」とは、衛星アンテナビームの地上でのカバレージエリアを指す。
・「実質的に(substantially)」および「約(about)」とは、量/数量/数などを修飾するために使用されるとき(たとえば、実質的に等しい、ほぼ同じ(about the same)など)、その量/数量/数の「プラスまたはマイナス15%」を意味する。
追加の定義は、本開示を通して文脈の中で与えられる。
【0017】
本発明の例示的な実施形態は、地球上の任意のロケーションに低コスト広帯域インターネットサービスをもたらすための、出願人の衛星システム100に関する。本発明の実施形態は、概して、任意の数の衛星(すなわち、1つまたは複数)を伴って、地上で測定可能な放射(たとえば、光、RF、または他の任意のもの)のビームを生成する非静止衛星に適用可能である。
【0018】
図1は、衛星システム100の例示的な実施形態およびその動作環境を示す。前に出願された特許出願で開示されるシステム100は、コアネットワーク102、ゲートウェイアンテナ104、LEO衛星106、およびユーザ端末112を含む。システム100は、インターネット50からユーザデバイス70(たとえば、テレビジョン、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、またはデータを受信および/もしくは送信することが可能な他のデバイス)へデータを送信し、逆も同様である。
【0019】
コアネットワーク102は、インターネット50との間でデータを受信/送信する。他の機能の中でも、コアネットワーク102は、複数のLEO衛星106への送信のために、データパケットを複数のゲートウェイアンテナ104に転送する。同様に、コアネットワーク102は、複数のLEO衛星から複数のゲートウェイアンテナを介してデータパケットを受信する。インターネットコンテンツなどを含むことに加えて、以下でさらに説明するように、データパケットはシステム関連情報を含む。
【0020】
簡単のために、図1は単一のLEO衛星106を示すが、システム100が、「コンスタレーション」と呼ばれるそのような複数のLEO衛星を含むことを理解されたい。たとえば、いくつかの実施形態では、コンスタレーションは、600〜700個の衛星などの極めて多数の衛星を含む。いくつかの実施形態では、衛星のコンスタレーションは複数の軌道「面」に編成され、各軌道面は異なる高度にある。通常、ただし必ずしもそうではないが、等しい数の衛星が各軌道面にある。
【0021】
図1に示す実施形態では、ユーザデバイス70は、ユーザ端末112を経由して、衛星106からまたは衛星106へデータを受信および/または送信する。ユーザデバイス70は、建造物60内に位置するものとして示される。いくつかの他の実施形態では、ユーザ端末112とユーザデバイスとの間の拡張された適切な電気通信接続性によってサポートされるとき、ユーザデバイス70は屋外で使用される。
【0022】
例示的な実施形態では、ユーザ端末112は、住居である建造物60に取り付けられるものとして示される。いくつかの他の実施形態では、建造物60は、企業(たとえば、オフィスビル、レストラン、倉庫など)などの住居以外のビル、格納庫、またはクルーズ船のようなゆっくりと動く船などでさえある。通常、1つのユーザ端末112は、それらにインターネット接続性を提供するために各ロケーション(たとえば、住居、企業など)において配置される。ユーザ端末112の一実施形態が、2015年2月20日に出願され「User Terminal Having A Linear Array Antenna With Electronic And Mechanical Actuation System」と題する米国特許出願第14/627,577号で提供される。
【0023】
LEO衛星106は、少なくとも2つの異なるタイプのアンテナとしての複数のインスタンスが装備される。アンテナ108Aおよび108Bは、SNPとの通信のためのものであり、SNPは地上ゲートウェイアンテナ104を含む。そのような各アンテナは、一度に1つのSNPと通信する。
【0024】
アンテナ110は、ユーザ端末112との通信のためのものである。例示的な実施形態では、アンテナ110は、無線信号を地球の表面に向かって送信する(または、無線信号を地球の表面から受信する)ための無線アンテナ(および、関連するトランシーバ)である。そのような送信は、ビーム210として図2に示され、その各々は地球の表面上にフットプリント212を提供する。ユーザ端末112がビーム210のうちの1本のフットプリント212内にあるとき、そのユーザ端末はその無線送信からデータを受信する。例示的な実施形態では、LEO衛星106は、16本のビームを送信(または、受信)するための16個のアンテナを有する。
【0025】
インタースティシャルSNPおよびゲートウェイビーム。図3A図3Cは、互いに隣接するSNP、およびその軌道に沿ったSNPのカバレージエリアにわたる衛星の移動を示す。これらの図の各々は、3つのSNP314A、314B、および314C、ならびにそれらの関連する理想化されたカバレージ領域316を示す。SNP314A、314B、および314Cは、本明細書で「最小セットSNP」と呼ぶ。最小セットSNPは、所望の通信カバレージをシステム100に提供するのに必要であるSNPを表す。最小セットSNPは「インタースティシャルSNP」とは区別され、後者は、以下でより十分に説明するように、選択されたカバレージ領域において帯域幅/システム容量を増大させるために使用される。世界的な通信カバレージを提供するために、図3A図3Cに示す3つよりも多くの最小セットSNPが必要とされることが諒解されよう。
【0026】
図3A図3Cの各々は、衛星318、およびその関連する理想化されたユーザリンクフットプリント320(すなわち、衛星ビームの地上カバレージ)を示す。いくつかの実施形態では、SNPカバレージエリア316の直径は、約4200キロメートルである。ユーザリンクフットプリント320は、長さが約1000キロメートルである辺を有する正方形として理想化されている。
【0027】
図3A図3Cは、大部分の時間にわたって、衛星の(少なくとも)2つのゲートウェイアンテナのうちの1つだけが使用中であるように(たとえば、図1、ゲートウェイアンテナ108Aおよび108Bを参照)、衛星318が単一のゲートウェイビームを介して単一の最小セットSNPと通信することを示す。たとえば、図3Aにおいて、衛星318は、そのゲートウェイアンテナのうちの1つを使用して、ゲートウェイビーム3222を介して最小セットSNP314Aと通信する。
【0028】
従来の動作の場合、衛星の第2のゲートウェイアンテナが使用される時間は、図3Bに示すようなハンドオフ中だけである。詳細には、衛星のゲートウェイアンテナのうちの1つは、ゲートウェイビーム3222を介してSNP314Aなどの第1の最小セットSNPと通信中であり、衛星のゲートウェイアンテナのうちの第2のゲートウェイアンテナは、ゲートウェイビーム3221を介して、隣接する最小セットSNP314Bと通信中である。図3Cは、ハンドオフの後の状況を示し、またしても、衛星のゲートウェイアンテナのうちの1つだけが使用中であり、すなわち、衛星318がゲートウェイビーム3221を介して最小セットSNP314Bと通信する。
【0029】
図4Aは、最小セットSNP314Bに関連するカバレージ領域におけるエリアを示す領域422を示し、衛星のゲートウェイアンテナのうちの1つだけが使用中となる(すなわち、ハンドオフなし)。図から諒解されるように、領域422は、SNPカバレージ領域のかなりの部分を表す。
【0030】
次に図4Bを参照すると、本発明の一実施形態に従って1つまたは複数の追加のSNP- 「インタースティシャルSNP」- を領域422に配置することにより、使用されるべき衛星の、普通はアイドル状態の第2のゲートウェイアンテナが、領域422の少なくとも一部分における利用可能な帯域幅を事実上2倍にすることが可能になる。その部分- セクション424- は、SNP314Bのカバレージゾーン316およびインタースティシャルSNP414Bのカバレージゾーン416がオーバーラップする場所である。
【0031】
図4Cおよび図4Dは、衛星318がセクション424を通って移動することを示す。これらの図に示すように、衛星の2つのゲートウェイアンテナのうちの一方は、ゲートウェイビーム3221を介して最小セットSNP314Bと通信し、衛星のゲートウェイアンテナのうちの他方は、ゲートウェイビーム3222を介してインタースティシャルSNP414Bと通信する。
【0032】
このようにして第2のゲートウェイアンテナを利用することは、地上から衛星へ(アップリンク)または反対に(ダウンリンク)送信されている情報の量を2倍にするための能力をもたらす。実際の使用事例では、インタースティシャルSNPは、帯域幅を求める大きい需要がある人口集中地域などの領域に戦略的に配置される。したがって、「最小セットSNP」との対照として、本開示および添付の特許請求の範囲での使用のために定義されるような「インタースティシャルSNP」とは、最小セットSNPと衛星のゲートウェイアンテナのうちの1つとの間の単一の通信リンクによって名目上提供される帯域幅/容量に比べて、帯域幅/容量の増大を(最も近くの最小セットSNPのカバレージゾーンの一部分に)もたらすSNPを意味する。
【0033】
図4Cおよび図4Dに示すように、インタースティシャルSNPは、通常、いかなる最小セットSNPが別の最小セットSNPに対するよりも、少なくとも1つの最小セットSNPの近くに配置される。たとえば、図4Cおよび図4Dにおいて、最小セットSNP314A、314B、および314Cのいずれかが互いに対するよりも、インタースティシャルSNP414Bは最小セットSNP314Bに近い。
【0034】
例示的な実施形態では、衛星が2つのゲートウェイアンテナしか有しないので、図は追加の帯域幅を提供するために単一のインタースティシャルSNPを使用することを示す。特定の領域のための帯域幅を増大させるために、2つ以上のインタースティシャルSNPが使用され得る他のシナリオがある。たとえば、衛星が3つのゲートウェイアンテナを有する場合、衛星が同時に3つのSNPと通信することが可能である。
【0035】
図9は、本発明の例示的な実施形態による、インタースティシャルSNPを配置するための方法900のフロー図を示す。タスク901において、最小セットSNPのカバレージエリアに位置し、帯域幅を求める公称需要よりも相対的に大きい需要を有する、地理的領域が識別される。タスク902において、インタースティシャルSNPが、より大きい需要の地理的領域がインタースティシャルSNPのカバレージエリアによって取り囲まれるようなロケーションにおいて据え付けられる。このロケーションは、通常、最小セットSNPが他のいかなる最小セットSNPに対するよりも、最も近くの最小セットSNPに近い。
【0036】
図10は、本発明の例示的な実施形態による、インタースティシャルSNPを利用することによって、利用可能な帯域幅を増大させるための方法1000のフロー図を示す。タスク1001において、第1の通信リンクが、最小セットSNPと衛星上の少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第1のゲートウェイアンテナとの間に確立される。したがって、いくつかの量の帯域幅(たとえば、4000MHzなど)を有する第1のゲートウェイビームは、衛星との間でデータを送信する。タスク1002において、第2の通信リンクが、インタースティシャルSNPと衛星上の少なくとも2つのゲートウェイアンテナのうちの第2のゲートウェイアンテナとの間に確立される。
【0037】
チャネルスタッキング。図5Aは、衛星システム100の従来の動作中に衛星において受信されるようなKaバンドゲートウェイビーム3221を示し、衛星318は、図3Cに示すような単一の最小セットSNP314Bと通信する。衛星は、16個のチャネル(すなわち、信号)Ai(ただし、i=1,16)にチャネル化されるように図5Aに示されるKaバンドゲートウェイビーム3221をそのように受信する。これらのチャネルは、ユーザ端末112(図1)への送信のために、Kuバンド信号Ui(ただし、i=1,16)にダウンコンバートされ、衛星のビーム210(図2)に適用される。より詳細には、信号は、ユーザ端末への送信のために、様々な衛星アンテナに関連するトランシーバ(図示せず)に供給される。
【0038】
図5Bは、本教示の一実施形態による、衛星システム100の動作中に衛星において受信されるようなKaバンドゲートウェイビーム3221およびKaバンドゲートウェイビーム3222を示し、衛星318は、2つのSNP、すなわち、図4Cおよび図4Dに示すような最小セットSNP314BおよびインタースティシャルSNP418Bと通信する。
【0039】
衛星は、Kaバンドゲートウェイビーム3221およびKaバンドゲートウェイビーム3222をそのように受信する。両方のビームは16チャネルにチャネル化され、Kaバンドゲートウェイビーム3221がチャネルAi(ただし、i=1,16)にチャネル化され、Kaバンドゲートウェイビーム3222がチャネルBi(ただし、i=1,16)にチャネル化される。Kaバンドチャネル/信号AiはKuバンドチャネルUi(ただし、i=1,16)にダウンコンバートされ、Kaバンドチャネル/信号BiはKuバンドチャネルUi(ただし、i=17,32)にダウンコンバートされる。チャネルの2つのセットは「スタッキング」され、すなわち、2つのチャネルは、ユーザ端末112への送信のために衛星ビームの各々に適用される。
【0040】
図5Cは、スタッキングの技法をさらに説明するための、衛星のペイロードの図を示す。図は、2本のKaバンドゲートウェイビーム(一方が衛星の「A」アンテナにおいて受信され、他方が衛星の「B」アンテナにおいて受信される)を示す。Kaバンド信号は、増幅器526を介して増幅され、チャネル化され(2つの到来信号の各々に対して6チャネルが示される)、ダウンコンバータ528によってKuバンドにダウンコンバートされ、次いで、2本の到来ビームから供給される同様の周波数チャネルが、コンバイナ530において加算される。
【0041】
したがって、インタースティシャルSNPの利用可能性により、インタースティシャルゲートウェイビームからの帯域幅は、第1のゲートウェイビームからの帯域幅の上に「スタッキング」され得る。このことは、最小セットSNPとインタースティシャルSNPの両方によってカバーされる領域において、利用可能な帯域幅を事実上2倍にする。
【0042】
チャネルフォールディング。図6A図6Cは、1つの面における衛星の数が増加するにつれて増大する、衛星318のユーザリンクフットプリントにおいて領域632として識別されるオーバーラップを示す。互いに隣接する衛星のユーザリンクフットプリントのオーバーラップの結果として、ビームのうちのいくつかが非アクティブ化され得る。たとえば、面ごとの36個の衛星の公称システム設計に対して、TABLE I(表1)は、面における衛星の数が増加するにつれて、16本および20本のアクティブなビームを有する公称衛星設計にとって、アクティブなビームが減少することを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
図11は、本発明の一実施形態による、チャネルスタッキングによって帯域幅を増大させるための方法のフロー図を示す。タスク1101において、(最小セットSNPと衛星上の第1のゲートウェイアンテナとの間の第1の通信リンクを介して送信されたような)第1のゲートウェイビームの帯域幅が、複数のチャネルにチャネル化される。タスク1102において、(インタースティシャルSNPと衛星上の第2のゲートウェイアンテナとの間の第2の通信リンクを介して送信されたような)インタースティシャルゲートウェイビームの帯域幅が、複数のチャネルにチャネル化される。いくつかの実施形態では、複数のチャネルは各々、250MHzの帯域幅を各々が有する16チャネルを含む。いくつかの他の実施形態では、複数のチャネルは各々、200MHzの帯域幅を各々が有する20チャネルを含む。
【0045】
タスク1103によれば、チャネルの2つのグループは「スタッキング」され、タスク1104において、地上ユーザ端末との間の送信のために、衛星上の複数の無線トランシーバに割り振られる。「スタッキング」は物理的な動作でなく、単に、異なる2本のゲートウェイビームからの同じ周波数範囲を有するチャネルが識別され、次いで、タスク1104に従って、それらの周波数範囲に応じて衛星上の同じ無線トランシーバに割り振られることを示す。
【0046】
容量フォールディング。TABLE I(表1)によれば、面ごとの衛星の数が増加するにつれて、衛星当りのアクティブなビームの数が減少する。この減少は余剰チャネルをもたらし、余剰チャネルは、実際には、たとえば、適切な内部切替え行列を使用して、アクティブなチャネル上に折り返され得る。
【0047】
容量フォールディングの一実施形態が図7A図7Cに示される。図7Aを参照すると、例として、衛星のコンスタレーションが面ごとに36個の衛星を有すると想定する。最小セットSNPと衛星のうちの1つにおけるゲートウェイアンテナのうちの1つとの間の通信リンクがおよそ4000MHzの帯域幅を提供すると想定する。また、帯域幅がチャネル化され、16個のKuバンド、すなわち、250MHzチャネルUi;i=1,16にダウンコンバートされると想定する。
【0048】
図7Bは、インタースティシャルSNPを使用することによって帯域幅を2倍にすることを示し、インタースティシャルSNPは、衛星の本来なら未使用の第2のゲートウェイアンテナにリンクし、余剰帯域幅が「スタッキング」され、したがって、Ui;i=1,16およびUi;i=17,32としての8000MHzの帯域幅を提供する。
【0049】
図7Cは、面ごとの衛星の数が36個から39個に増える結果、図7Bと比較して帯域幅が増大することを示す。TABLE I(表1)に示すように、この増大は、2本のアンテナビームの非アクティブ化をもたらす。チャネルスタッキングを用いると、このことは、残りのアクティブなビームのうちの他のビームに再割り振りされ得る追加の合計1000MHzに対して(各々250MHzの)4チャネルを同等と見なす。図7Cにおいて、チャネルUi;i=29,32が再割り振りされる。したがって、本明細書で開示する方法は、(この例では)衛星のユーザリンクフットプリントに提供される帯域幅を4000MHzから9000MHzに増大させることができる。
【0050】
「余剰」チャネルによって表される追加の容量は、アクティブなビームのうちのいくつかに割り振られ得る。帯域幅を求める比較的大きい需要を有する地理的ロケーションにおいて、それらの帯域幅拡張ビームがユーザ端末とリンクするとき、余剰帯域幅が良好に使用される。しかしながら、衛星が移動するにつれて、そのようなビームは、それらのユーザ端末とのそれらのリンクを失う。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、この問題は、「ローリング」、すなわち、異なるアクティブなビームにチャネルを再割り当てすることによって対処され、その結果、衛星が移動する間、地上の物理的エリアにわたって余剰チャネルが固定されたままとなる。この概念が図8A図8Cに示される。
【0052】
図8Aは、衛星から送信される16本のアンテナビームの、地球上でのフットプリント812を示す。説明を簡単にするために、各フットプリントは長方形として示される。各ビームは、A(最低周波数)〜H(最高周波数)の範囲の中の特定の周波数チャネルを介した送信に割り当てられる。いくつかの実施形態では、特定の割当ては、内側のビームにおけるチャネルA〜Dおよび外側のビームにおけるチャネルE〜Hを用いて進める。この割当てパターンは、自由空間損失を部分的に補償するために、より高いアンテナ利得をもたらす高い方の周波数を、(衛星から地上までの)最長距離を進行するビームに配置する。簡単のために、1つのゲートウェイアンテナから供給されるチャネルのみが図示される。
【0053】
図8Bにおいて、領域834は、帯域幅を求める需要が周囲領域よりも相対的に大きく、かつ余剰チャネルによってカバーされるべき、地上の固定エリアを表す。これらの余剰チャネルに対する帯域幅は、下部の3本のビーム14〜16(すなわち、周波数F-G-Hを送信するフットプリントを通る「x」によって示される)の非アクティブ化から来る。ここで非アクティブ化されているこれらの領域がさもなければカバーするであろう領域は、同じ軌道面における次の衛星によってカバーされる。このことは、もちろん、互いに隣接する衛星のユーザリンクフットプリントの十分なオーバーラップがある地点まで衛星コンスタレーションが増大して、すべての衛星における3本のビームがオフにされることを許容することを想定する。領域834においてどの周波数チャネルを使用すべきかという選択は、その領域の中の各ビームが同じ周波数チャネルを2回使用しない限り任意である。再び、簡単のために、ただ1つのゲートウェイアンテナからのトラフィックが示される。
【0054】
図8Cは、同じ衛星フットプリントを、ただし、厳密に1本のビーム幅だけ衛星が移動しているようなもっと後の時点において示す。余剰帯域幅を受信すべき、地上の領域834は、衛星に対して移動している(もちろん、地上の領域は移動しておらず、むしろ、衛星が移動している)。いずれの場合も、領域834に「追従する」ように余剰帯域幅をシフトさせることが必要である。このことは、ビーム9への余剰帯域幅接続を除去すること、および同時に余剰帯域幅をビーム6に適用することによって行われる。このプロセスは、余剰容量の領域が衛星ユーザリンクフットプリントの外部となるまで繰り返される。
【0055】
図8Dおよび図8Eは、チャネルフォールディングの技法をさらに説明するための、衛星のペイロードの図を示す。これらの図は、図5Cに示されるものを詳細に示すが、加算接合点(図8E)は、図5Cに従って、ここでは3つ以上の入力を受け入れる。
【0056】
図8Dは、2本のKaバンドゲートウェイビーム(一方は衛星の「A」アンテナにおいて受信され、他方は衛星の「B」アンテナにおいて受信される)を示す。「A」アンテナにおいて受信されるKaバンド信号は、6個のチャネル1A〜6Aにチャネル化され、「B」アンテナにおいて受信される信号は、6個のチャネル1B〜6Bにチャネル化される。「アスタリスク」によって識別されるチャネル(すなわち、1、2、5、および6)は、(どの進路を衛星が飛んでいるのかに応じて)非アクティブ化され得るビームへ普通は送られることになるチャネルを表す。いずれの場合も、それらは外側のビームである。したがって、これらのチャネルは再割振りのために利用可能である。そのため、図8Eに示すように、各ビームは、外側のビームへ導かれていることになる余剰チャネルを受信することが可能である。選択および制御は、各配線における増幅器を「オン」または「オフ」にすることによって達成される。いくつかの他の実施形態では、選択および制御は、スイッチ(図示せず)を介して実行される。またいくつかのさらなる実施形態では、切替え/加算は、プロセッサにおいてデジタル的に実行され得る。加算された信号は、次いで、地上ユーザ端末への送信のために、衛星上の適切なトランシーバへ送られる。
【0057】
図12は、図8A図8Cに提示するように、冗長なアンテナビームを非アクティブ化させること、およびそれに関連するチャネルを他のアンテナビームに再割り振りすることによって、帯域幅を増大させるための方法1200のフロー図を示す。
【0058】
前に説明したように、追加の衛星が面の中に移動すると、互いに隣接する衛星からの衛星アンテナビーム間のオーバーラップが発生する。したがって、各衛星上の(そのようなビームを生成する)トランシーバのうちのいくつかは非アクティブ化され得る。タスク1201は、衛星上の少なくとも1つの無線トランシーバ(すなわち、衛星アンテナビーム)を非アクティブ化させることを記載する。
【0059】
タスク1202は、非アクティブ化された1つまたは複数の無線トランシーバに関連するチャネルをアクティブな無線トランシーバに割り振り、その結果、アクティブなトランシーバが、帯域幅を求める公称需要よりも相対的に大きい需要が存在する地理的領域へ送信することを記載する。衛星が移動中であるので、(チャネルの再割振りに起因して)余剰帯域幅を有する衛星アンテナビームは、対象の地理的領域の範囲から出て、それらとの接続性を失う。特定の衛星アンテナビームが接続性を維持する時間の量は、様々な要因の関数であるが、通常、約8〜15秒の範囲の中にある。したがって、衛星アンテナビームが依然として対象の領域との接続性を有するかどうかというタスク1204における照会の前に、タスク1203において、ある時間期間にわたる「滞留」がある。滞留期間は、8〜15秒よりも著しく短くすべきである(およそ0.25秒未満)。タスク1204における照会への答えが「yes」である場合、余剰帯域幅を有するアンテナビームが、依然として対象の領域へ送信していることを意味し、次いで、タスク1204における照会を繰り返す前に、ある時間期間にわたって待機する。
【0060】
タスク1204における照会への応答が「no」である場合、タスク1205において、任意のアクティブな無線トランシーバが対象の領域との接続性を有するかどうかを照会する。タスク1205における照会への答えが「no」である場合、そのことは、衛星のすべてのビームが対象の領域の範囲外にあることを意味し、(その領域に対する)処理はタスク1207において終了する。
【0061】
タスク1205における照会への応答が「yes」である場合、タスク1206において、対象の地理的領域へ送信する別のアクティブな無線トランシーバに、以前に割り振られたチャネルを再割り振りする。次いで、滞留するためにタスク1203にループバックする。タスク1203→1204(no)→1205(yes)→1206→1203などのシーケンスは、衛星が対象の領域の範囲外になるまで繰り返される。
【0062】
本開示が少数の実施形態しか説明しないこと、および本開示を読んだ後に本発明の多くの変形形態が当業者によって容易に考案され得ること、および本発明の範囲が以下の特許請求の範囲によって決定されるべきであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0063】
50 インターネット
60 建造物
70 ユーザデバイス
100 衛星システム
102 コアネットワーク
104 ゲートウェイアンテナ
106 低地球軌道(LEO)衛星
108 アンテナ
110 アンテナ
112 ユーザ端末
210 ビーム
212 フットプリント
314 衛星ネットワークポータル(SNP)
316 カバレージ領域
318 衛星
320 ユーザリンクフットプリント
322 ゲートウェイビーム
414 インタースティシャルSNP
526 増幅器
528 ダウンコンバータ
530 コンバイナ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12