【実施例】
【0123】
実施例1:
A)材料及び方法
菌株及び増殖条件。この研究で使用した株を
図15A−Nに列挙する。プラスミド精製及びクローニングに使用した大腸菌Top10、及び接合伝達に使用した大腸菌Sm10λpir、並びにpKNG101を伝播するために使用した大腸菌BW19610[36]を、LB寒天プレート上及びLB培地中、37℃で常套的に増殖させた。アンピシリンを200μg/ml(エルシニア属)又は100μg/ml(大腸菌)で使用して、発現ベクターについて選択した。ストレプトマイシンを100μg/mlの濃度で使用して、自殺ベクターについて選択した。Y.エンテロコリティカMRS40[22]、非アンピシリン耐性E40派生物[21]及びそれに由来する株をブレインハートインフュージョン(BHI:Difco)上で、室温で常套的に増殖させた。Y.エンテロコリティカ株に、ナリジクス酸酸(35μg/ml)を添加し、全てのY.エンテロコリティカasd株に、さらに、100μg/mlのメソ−2,6−ジアミノピメリン酸(mDAP、Sigma Aldrich)を補充した。サルモネラ菌SL1344をLB寒天プレート上及びLB培地中、37℃で常套的に増殖させた。アンピシリンを100μg/mlの濃度で使用して、サルモネラ菌における発現ベクターについて選択した。
【0124】
Y.エンテロコリティカの遺伝子操作。Y.エンテロコリティカの遺伝子操作は、記載されている[37、38]。簡単に述べると、精製pYV40プラスミド又はゲノムDNAを鋳型として使用して、2断片オーバーラップPCRにより、それぞれの遺伝子の欠失又は修飾部分の両側に200−250bpの隣接配列をもたらす、pYVプラスミド内又は染色体上の遺伝子の修飾又は欠失のための変異誘発物を構築した。得られた断片を大腸菌BW19610[36]におけるpKNG101[33]にクローニングした。配列が検証されているプラスミドを大腸菌Sm10λpir内に形質転換し、そこからプラスミドを対応するY.エンテロコリティカ株内に移動させた。組込み型ベクターを保有する突然変異株を選択圧なしで数世代増殖させた。次いで、スクロースを使用して、ベクターを失ってしまったクローンについて選択した。最後に、突然変異株をコロニーPCRにより同定した。特定の変異誘発物(pSi_408、pSi_419)を表IIIに収載する。
【0125】
プラスミドの構築。プラスミドpBad_Si2又はpBad_Si1(
図10)を、YopEのN末端138アミノ酸(配列番号2)を有する融合タンパク質のクローニングに使用した。pBad_Si2は、精製pYV40からのYopE及びSycE用の内在性プロモーターを含有するSycE−YopE
1−138断片をpBad−MycHisA(Invitrogen)のKpnI/HindIII部位にクローニングすることにより構築した。さらなる改変は、消化、クレノウ断片処理及び再ライゲーションによるpBad−MycHisAのNcoI/BglII断片の除去を含む。二方向転写ターミネーター(BBa_B1006;iGEM foundation)を、KpnI切断及びクレノウ処理(pBad_Si2)部位又はBglII切断部位(pBad_Si1)にクローニングした。さらに、YopE
1−138の3’末端に、次の切断部位を加えた:XbaI−XhoI−BstBI−(HindIII)(
図10B)。pBad_Si1は、pBad_Si2と同等であるが、アラビノース誘導性プロモーターの下でNcoI/BglII部位においてpEGFP−C1(Clontech)から増幅されたEGFPをコードする。対応する内在性プロモーターとSteA
1−20断片(pSi_266)、完全長SteA配列(pSi_267)、SopE
1−81断片(pSi_268)又はSopE
1−105断片(pSi_269)とを含むプラスミドpSi_266、pSi_267、pSi_268及びpSi_269を、サルモネラ菌SL1344ゲノムDNAから増幅し、pBad−MycHisA(Invitrogen)のNcoI/KpnI部位にクローニングした。
【0126】
完全長遺伝子又はそれらの断片を、下の表Iに収載されている特定のプライマーで増幅し、YopE
1−138との融合体としてプラスミドpBad_Si2に、又はz−BIM(配列番号21)の場合はpBad_Si1にクローニングした(下の表IIを参照されたい)。SteA又はSopEとの融合のために、合成DNA構築物をKpnI/HindIIにより切断し、pSi_266、pSi_267、pSi_268又はpSi_269にそれぞれクローニングした。細菌種の遺伝子の場合、精製ゲノムDNAを鋳型として使用した(フレクスナー赤痢菌M90T、サルモネラ菌亜種ネズミチフス菌SL1344、バルトネラ・ヘレンセラ菌ATCC 49882)。ヒト遺伝子については、別段の記述がない場合、汎用cDNAライブラリー(Clontech)を使用し(
図15A−N)、ゼブラフィッシュ遺伝子をcDNAライブラリー(M.Affolterからの親切な寄贈品)から増幅した。ライゲーションしたプラスミドを大腸菌Top10にクローニングした。シークエンシング済みプラスミドを、標準的な大腸菌エレクトロポレーションの場合と同様の設定を使用して所望のY.エンテロコリティカ又はサルモネラ菌株にエレクトロポレーションした。
【0127】
Yop分泌。培養をBHI−Ox中37℃(分泌許容条件)[39]に変えることにより、Yopレギュロンの導入を果たした。炭素源グルコース(4mg/ml)を添加した。
【0128】
細胞と上清画分を20800gで10分間、4℃での遠心分離により分離した。細胞ペレットを全細胞画分と見なした。最終10%(w/v)のトリクロロ酢酸を用いて、1時間、4℃で、上清中のタンパク質を沈殿させた。遠心分離(15分間、20800g)及び上清の除去後、得られたペレットを氷冷アセトンで一晩洗浄した。試料を再び遠心分離し、上清を廃棄し、ペレットを空気乾燥させ、1×SDSローディング色素に再懸濁させた。
【0129】
分泌されたタンパク質をSDS−PAGEによる分析し、各場合、細菌3×10
8個により分泌されたタンパク質をレーン毎にローディングした。12.5%SDS−PAGEゲルを使用して、イムノブロット法による特定の分泌タンパク質の検出を行った。全細胞内のタンパク質を検出するために、別段の記述がない場合、細菌2×10
8個をレーン毎にローディングし、イムノブロット法による検出前に12.5%SDS−PAGEゲルを用いてタンパク質を分離した。
【0130】
YopEに対するラットモノクローナル抗体(MIPA193−13A9;1:1000、[40])を使用して、イムノブロッティングを行った。バックグラウンド染色を低減させるために、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT asdに対する抗血清を一晩に2回、予備吸着させた。ラット抗体に対する二次抗体であって、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(1:5000;Southern biotech)にコンジュゲートさせた二次抗体を用いて検出を行い、その後、ECL化学発光基質(LumiGlo,KPM)で現像した。
【0131】
細胞培養及び感染。10%FCS及び2mM L−グルタミン(cDMEM)を補充したダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)でHeLa Ccl2、swiss 3T3線維芽細胞、4T1、B16F10及びD2A1を培養した。HUVECを単離し、[41]に記載されているように培養した。10%FCS及び2mM L−グルタミンを補充したRPMI 1640でジャーカット及び4T1細胞を培養した。添加剤を加えたBHIでY.エンテロコリティカを一晩、室温で増殖させ、新たなBHIで希釈して0.2のOD
600にし、2時間、室温で増殖させた後、さらに30分間、又はEGFPの送達の場合は1時間、37℃水浴振盪機への温度シフトを行った。最後に、細菌を遠心分離(6000rcf、30秒)により回収し、10mM HEPES及び2mM L−グルタミンを補充したDMEMで1回洗浄した。添加剤を加えたLBで一晩、37℃でサルモネラ菌を増殖させ、新たなLBで1:40希釈し、2.5時間、37℃で増殖させた(SpiI T3SS誘導条件)、又は一晩培養物を37℃でさらにインキュベートした(SpiII T3SS誘導条件)。最後に、細菌を遠心分離(6000rcf、30秒)により収集し、10mM HEPES及び2mM L−グルタミンを補充したDMEMで1回洗浄した。96ウェルプレートに(免疫蛍光法のために)又は6ウェルプレートに(ウェスタンブロット法のために)播種した細胞を、10mM HEPES及び2mM L−グルタミンを補充したDMEM中で、示されている感染多重度で感染させた。細菌を添加した後、プレートを1分間、1750rpmで遠心分離し、示されている期間、37℃で置いておいた。細胞外細菌を、示されている場合にはゲンタマイシン(100mg/ml)により殺滅した。免疫蛍光分析の場合、感染アッセイを4%PFA固定により停止した。ウェスタンブロット分析のために、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、Phospho−safe溶解バッファー(Novagen)を添加して細胞を溶解した。氷上でのインキュベーション後、細胞を遠心分離した(16000rcf、25分、4℃)。上清を回収し、Bradford BCAアッセイ(Pierce)により全タンパク質含有量について分析した後、SDS PAGE、そして抗リン酸化Akt(Ser473及びT308、両方ともCell Signaling)、抗アクチン(Millipore)、抗Bid(Cell Signaling)、抗Myc(Santa Cruz)、抗p38(Cell Signaling)、抗リン酸化p−38(Thr180/Tyr182;Cell Signaling)、抗カスパーゼ3 p17(Cell Signaling)及び抗Ink4C(Cell Signaling)抗体を使用するウェスタンブロッティングを行った。
【0132】
サルモネラ菌に関する分泌分析。サルモネラ菌によるタンパク質分泌の誘導のために、オービタルシェーカー(150rpmに設定した)を用いて、0.3M NaClを含有するLB中で一晩、サルモネラ菌を培養した。次いで、0.3M NaClを含有する新たなLBでサルモネラ菌を1:50希釈し、4時間、37℃で、振盪せずに増殖させた。
【0133】
全細胞及び上清画分を20800gで20分間、4℃での遠心分離により分離した。細胞ペレットを全細胞画分と見なした。最終10%(w/v)のトリクロロ酢酸を用いて、1時間、4℃で、上清中のタンパク質を沈殿させた。遠心分離(15分間、20800g)及び上清の除去後、得られたペレットを氷冷アセトンで一晩洗浄した。試料を再び遠心分離し、上清を廃棄し、ペレットを空気乾燥させ、1×SDSローディング色素に再懸濁させた。
【0134】
分泌されたタンパク質をSDS−PAGEにより分析し、各場合、細菌3×10
8個により分泌されたタンパク質をレーン毎にローディングした。12.5%SDS−PAGEゲルを使用して、イムノブロット法による特定の分泌タンパク質の検出を行った。全細胞内のタンパク質を検出するために、別段の記述がない場合、細菌2×10
8個をレーン毎にローディングし、イムノブロット法による検出前に12.5%SDS−PAGEゲルを用いてタンパク質を分離した。イムノブロット法は、抗Myc(Santa Cruz)抗体を使用して行った。
【0135】
感染細胞からのT3SS移行タンパク質のウェスタンブロッティング。6ウェルプレート内のHeLa細胞を、感染多重度100で、上で説明したように感染させた。TEVプロテアーゼ移行性Y.エンテロコリティカ株を用いる同時感染の場合、株のOD
600を設定し、2つの細胞懸濁液をチューブの中で(別段の指示がない限り)1:1で混合した後、細胞に添加した。感染の最後に、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、小量の氷冷PBS中にかき取ることにより回収した。遠心分離(16000rcf、5分、4℃)後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche complete、Roche)を補充した0.002%ジギトニンにペレットを溶解した。溶解したペレット氷上で5分間インキュベートし、次いで、遠心分離した(16000rcf、25分、4℃)。上清を回収し、全タンパク質含有量をBradford BCAアッセイ(Pierce)により分析した後、SDS PAGE、そして抗Myc抗体(Santa Cruz、9E11)又は抗Ink4C抗体(Cell Signaling)を使用するウェスタンブロット法を行った。
【0136】
免疫蛍光。96ウェルプレート(Corning)に播種した細胞を、上で説明したように感染させ、4%PFAでの固定後、細胞をPBSで3回洗浄した。次いで、0.3%Triton X−100を含有するPBS中5%ヤギ血清を使用して室温で1時間にわたってウェルをブロッキングした。一次抗体(抗Myc、Santa Cruz、1:100)を、1%BSAと0.3%Triton X−100を含有するPBSで希釈し、細胞を4℃で一晩インキュベートした。細胞をPBSで4回洗浄した後、1%BSAと0.3%Triton X−100を含有するPBSで希釈した二次抗体(AF488抗マウス、life technologies、1:250)を添加した。必要に応じて、ヘキストDNA染色(life technologies、1:2500)及び/又はアクチン染色(Dy647−ファロイジン、DyeOmics)を含めた。一部の事例では、PFAを洗い流した直ぐ後にDNA及び/又はアクチン染色剤のみを適用した。細胞を室温で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、下で説明するような自動画像分析により分析した。
【0137】
自動顕微鏡観察及び画像分析。ImageXpress Micro(Molecular devices、Sunnyvale、USA)を用いて画像を自動で取得した。MetaXpress(Molecular devices、Sunnyvale、USA)を使用して抗Myc染色強度の定量を行った。核領域及び細菌を含有する領域を除く細胞内の領域を手動で選択し(40画素のエリアを有する円)、平均強度を記録した。
【0138】
リン酸化p38のTNFα刺激及びウェスタンブロッティング。6ウェルプレートに播種したHeLa細胞を、感染多重度100で、上で説明したように感染させた。感染の30分後にゲンタマイシンを添加し、感染の45分後にTNFaを添加した(10ng/ml)。感染の1時間15分後に細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、Phospho−safe溶解バッファー(Novagen)を添加して細胞を溶解した。氷上でのインキュベーション後、細胞を遠心分離した(16000rcf、25分、4℃)。上清を回収し、全タンパク質含有量をBradford BCAアッセイ(Pierce)により分析した後、SDS PAGE、そして抗リン酸化p38、全p38抗体(Cell Signaling)及び抗アクチン抗体(Millipore)を使用するウェスタンブロッティングを行った。
【0139】
感染HeLa細胞のcAMPレベル決定。96ウェルプレートに播種したHeLa細胞を、上で説明したように感染させた。感染の30分前に、cDMEMを、10mMのHEPESと2mM L−グルタミンと及び100uM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX、Sigma Aldrich)とを補充したDMEMに交換した。感染の60分後、ゲンタマイシンを添加し、細胞を37℃でさらに90分インキュベートした。競合ELISAを製造業者の説示(Amersham、cAMP Biotrak、RPN225)に従って使用して、cAMPの決定を行った。ポジティブコントロールとして、示されている量のコレラ毒素(C8052、Sigma Aldrich)を、10mM HEPESと2mM L−グルタミンと100uM IBMXとを補充したDMEM中の細胞に1時間にわたって添加した。
【0140】
ゼブラフィッシュ胚感染、イメージング及び自動画像定量。全ての動物実験は、認可されたガイドラインに従って行った。ゼブラフィッシュを標準条件で維持した[42]。28.5℃での受精後の時間(hpf)により胚をステージ分類した[43]。この研究では次のゼブラフィッシュ系統を使用した:野生型フィッシュ(AB/EK及びEK/TL)。感染プロトコールは[44]に与えられているガイドラインに従った。0.2mMのN−フェニルチオ尿素(PTU)を含有するE3培地中で12hpf胚を維持して、色素形成を防止した。受精後2日(dpf)の胚に0.2mg/mlのトリカインにより麻酔し、ヘアループツールを使用してそれらをE3中1%寒天プレート上に並べた[44]。0.4%アラビノースと抗生物質とmDapとを補充したBHI中でY.エンテロコリティカを一晩、室温で増殖させ、0.5%アラビノースと他の添加剤とを含有する新たなBHIで希釈して0.2のOD
600にし、室温で2時間増殖させた後、さらに45分間、37℃水浴振盪機への温度シフトを行った。最後に、細菌を遠心分離(6000rcf、30秒)により回収し、PBSで1回洗浄した。mDAPを含有するPBS中でのOD
600を2に設定した。1−2nLのこの懸濁液を、並べたゼブラフィッシュ胚の後脳に、Femtojet Microinjector(Eppendorf)を使用し、針の先端を細いピンセットで取り除いたFemtotips II(Eppendorf)を使用して注射した。注射時間を0.2秒に設定し、補償圧力を15hPaに設定し(Eppendorf、Femtojet)、注射圧力を600−800hPaの間に調整した。液滴サイズ、したがって種菌を、顕微鏡により、及びコントロールプレーティングにより確認した。マイクロインジェクション後、トリカインとPTUとを含有するE3中にフィッシュを回収し、37℃で30分インキュベートし、28℃でさらに5時間インキュベートした。感染の1時間後に蛍光双眼顕微鏡(Leica)を使用してゼブラフィッシュ後脳における細菌EGFP蛍光を観察し、適切に注射されなかった胚を廃棄した。感染の最後に、2%氷冷PFAを用いて氷上で1時間フィッシュを固定し、さらに新たな氷冷PFAを用いて4℃で一晩固定した。抗体染色を以前に記載されているように行った[45、46]。簡単に述べると、胚を、0.1%Tweenを含有するPBSで4回、各洗浄について5分間、洗浄し、PBS−T+0.5%Triton X−100で30分間、室温で透過処理した。胚をブロッキング溶液(0.1%Tweenと0.1%TritonX−100と5%ヤギ血清と1%BSAとを含有するPBS)中、4℃で一晩ブロッキングした。抗体(切断カスパーゼ3(Asp175)、Cell Signaling)をブロッキング溶液で1:100希釈し、振盪しながら4℃で、暗所でインキュベートした。フィッシュを、7回、0.1%Tweenを含有するPBSで30分間洗浄した後、ブロッキング溶液で希釈した二次抗体(ヤギ抗ウサギAF647、Invitrogen、1:500)を添加し、4℃で一晩インキュベートした。幼生を、0.1%Tweenを含有するPBSで4回、30分間、4℃で洗浄し、1回、一晩にわたって洗浄し、さらに3−4回洗浄した。40×水浸対物レンズを使用してLeica TCS SP5共焦点顕微鏡で画像を撮影した。Imaris(Bitplane)及びImage Jソフトウェア(http://imagej.nih.gov/ij/)を使用して画像を分析した。
【0141】
画像分析(pBad_Si2についてのn=14又はz−BIMについてのn=19に関して)を、CellProfiler[47]により、記録zスタック画像のz軸方向の最大値投影に関して行った。簡単に述べると、細菌をGFPチャネルにより検出した。細菌斑点の各エリアの周囲に半径10画素の円を生成した。重複する領域を、接しているメンバー間で等分した。細菌を密接に取り囲んでいるこれらのエリア内のカスパーゼ3 p17染色強度を測定した。
【0142】
リン酸化プロテオミクス用の試料調製。各条件について、6ウェルプレート2つのHeLa CCL−2細胞をコンフルエンスまで増殖させた。細胞を、30分間、上で説明したように感染させた。示されている時点で、プレートを氷上に置き、氷冷PBSで2回洗浄した。次いで、試料を尿素溶液[8M尿素(AppliChem)、0.1M炭酸水素アンモニウム(Sigma)、0.1%RapiGest(Waters)、1×PhosSTOP(Roche)]中に回収した。試料を短時間ボルテックスし、4℃で超音波処理し(Hielscher)、サーモミキサー(Eppendorf)で5分振盪し、4℃、16000gで20分遠心分離した。上清を回収し、さらなる処理のために−80℃で保管した。BCA Protein Assay(Pierce)を使用してタンパク質濃度を測定した。
【0143】
リン酸化ペプチド濃縮。ジスルフィド結合を、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを最終濃度10mMで用いて37℃で1時間、還元した。20mMヨードアセトアミド(Sigma)を用いて室温で30分間、暗所で遊離チオールをアルキル化した。N−アセチルシステインを最終濃度25mMで用いて室温で10分間、過剰ヨードアセトアミドを失活させた。Lys−Cエンドペプチダーゼ(和光純薬工業株式会社)を添加して1:200の最終酵素/タンパク質比(w/w)にし、37℃で4時間インキュベートした。その後、溶液を、0.1M炭酸水素アンモニウム(Sigma)で尿素2M未満の最終濃度に希釈し、シークエンシンググレードの修飾トリプシン(Promega)を50:1のタンパク質対酵素比で用いて37℃で一晩消化した。ペプチドをC18 Sep−Pakカートリッジ(Waters)で脱塩し、真空下で乾燥させた。以前に記載されている[48]のようにTiO
2を用いて全ペプチド質量2mgからリン酸化ペプチドを単離した。簡単に述べると、乾燥させたペプチドを、フタル酸で飽和した80%アセトニトリル(ACN)−2.5%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液に溶解した。ペプチドを、ブロッキング済みMobicolスピンカラム(MoBiTec)内の同量の平衡TiO
2(ビーズ径5μm、GL Sciences)に添加し、それを転倒回転させながら30分間インキュベートした。カラムを飽和フタル酸酸性溶液で2回、80%ACN及び0.1%TFAで2回、最後に0.1%TFAで2回洗浄した。ペプチドを、0.3M NH
4OH溶液で溶出した。5%のTFA溶液及び2M HClで溶出液のpHを2.5未満に調整した。リン酸化ペプチドをmicrospin C18カートリッジ(Harvard Apparatus)で再度脱塩した。
【0144】
LC−MS/MS分析。1.9μmのC18樹脂(Reprosil−AQ Pur、Dr.Maisch)を施設内で充填した加熱したRP−HPLCカラム(75μm×45cm)を装着した、EASY nano−LC system(Thermo Fisher Scientific)を使用して、ペプチドのクロマトグラフ分離を行った。200nl/分の流速で120分かけて98%溶媒A(0.15%ギ酸)及び2%溶媒B(98%アセトニトリル、2%水、0.15%ギ酸)から30%溶媒Bまで変動する直線勾配を使用して、LC−MS/MS実行1回につき全リン酸化ペプチド試料1μgのアリコートを分析した。質量分析は、ナノエレクトロスプレーイオン源を装備しているデュアルプレッシャーLTQ−Orbitrap質量分析計(どちらもThermo Fisher Scientific)で行った。各MS1スキャン(Orbitrapで取得)の後、30秒間の動的排除を伴う、最も含有量の多い20の前駆体イオンの衝突誘起解離(CID、LTQで取得)を行った。リン酸化ペプチド分析のために、最も含有量の多い10の前駆体イオンを、使用可能な多段階の活性化を伴うCIDに付した。全サイクル時間はおよそ2秒であった。MS1に関しては、最大時間300ミリ秒にわたってイオン10
6個をOrbitrapセルに蓄積し、分解能60,000FWHMで(400m/zで)スキャンした。MS2スキャンは、通常のスキャンモード、目標設定イオン10
4個、及び蓄積時間25ミリ秒を使用して取得した。一価イオン、及び電荷状態が未指定のイオンは、MS2事象の誘発から除外した。正規化衝突エネルギーを32%に設定し、スペクトル毎に1つのマイクロスキャンを取得した。
【0145】
ラベルフリー定量及びデータベース検索。取得した生ファイルを、デフォルトパラメータを使用してラベルフリー定量用のProgenesisソフトウェアツール(Nonlinear Dynamics、バージョン4.0)にインポートした。MS2スペクトルをmgf形式でProgenesisから直接エクスポートし、MaxQuantソフトウェア(バージョン1.0.13.13)からのSequenceReverserツールを使用して生成した、ホモサピエンス(Homo sapiens)の予測SwissPortエントリー(www.ebi.ac.uk、公表日2012年5月16日)及びよく見られた夾雑物の順方向及び逆方向配列(合計で41,250配列)を含むデコイデータベース[49]を、MASCOTアルゴリズム(Matrix Science、バージョン2.4)を使用して検索した。Y.エンテロコリティカに由来するタンパク質を同定するために、非リン酸化ペプチドを多く含む試料について、Y.エンテロコリティカの予測SwissPortエントリー(www.ebi.ac.uk、公開日2013年8月15日)を含む、上記の同じデータベースを検索した。前駆体イオン許容値を10ppmに設定し、断片イオン許容値を0.6Daに設定した。検索基準を次のように設定した:十分なトリプシン特異性を要求し(プロリンが続かない限り、リジン又はアルギニン残基の後で切断)、切断ミス2つを許容し、TiO2濃縮又は非濃縮試料について、カルバミドメチル化(C)を固定修飾として、リン酸化(S、T、Y)又は酸化(M)を可変修飾として、それぞれ設定した。最後に、データベース検索結果をxmlファイルとしてエクスポートし、MS1特徴評価のためにProgenesisソフトウェアにインポートし直した。リン酸化ペプチド定量のために、検出された全特徴のMS1ピーク存在量を収録しているcsvファイルをエクスポートし、非濃縮試料については、タンパク質毎に同定された全てのペプチドの合計特徴強度に基づく全てのタンパク質測定値を収録しているcsvファイルを作成した。重要なこととして、Progenesisソフトウェアを、ペプチドの類似のセットにより同定されたタンパク質を一緒に分類するように、及びデータベース内の単一タンパク質についての特異的配列と矛盾しないペプチドのみをタンパク質同定に用いるように設定した。施設内で開発したSafeQuant v1.0 Rスクリプト(データ未公表、https://github.com/eahrne/SafeQuant/で入手可能)を使用して、両方のファイルをさらに処理した。簡単に述べると、このソフトウェアは、同定レベル偽発見率を(デコイタンパク質配列データベースヒット数に基づいて)1%に設定し、同定されたMS1ピーク存在量(抽出イオンクロマトグラム、XIC)を全試料にわたって正規化する、すなわち、確信的に同定された全てのペプチド特徴の合計XICを、全てのLC−MS実行について等しくなるように調整する。次に、定量された全てのリン酸化ペプチド/タンパク質に、時点当たりのXIC中央値に基づいて時点毎に存在比を割り当てる。各々の比の統計的有意性は、そのq値(偽発見率調整p値)によって得られ、このq値は、修正t統計量p値を算定すること[50]及び多重検定用に調整すること[51]によって得られる。リン酸化した残基の位置は、MASCOT(スコア>10)により自動的に指定された。用いたMS生ファイル及び検索パラメータのアノテーションが一緒に付与されている全てのスペクトルを、PRIDEパートナーレポジトリー[52]経由でProteomeXchange Consortium(http://proteomecentral.proteomexchange.org)に寄託することになる。
【0146】
http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/におけるEMBL−EBIウェブに基づくClustalW2多重配列アライメントツールを使用して、配列アラインメントを行った。
【0147】
4T1同種移植マウスモデルにおける体内分布
全ての動物実験は、認可されたものであり(license 1908;Kantonales Veterinaramt Basel−Stadt)、地域のガイドライン(Tierschutz−Verordnung;Basel−Stadt)及びスイス動物保護法(Tierschutz−Gesetz)に従って行った。6週齢BALB/cマウスをJanvier Labsから取り寄せた。少なくとも1週間の馴化後、イソフルランを使用してマウスを麻酔し、100ul 4T1細胞(細胞1×10
5−1×10
6個)をBALB/cマウスの側副部に皮下注射した。この実験を通して、マウスの行動及び身体的外見についてのスコアを付け、体表温度並びに体重を測定した。
【0148】
腫瘍が発生したら、マウスに8mg/ml デスフェラル溶液(10ml/kg)を腹腔内注射により投与した。翌日、マウスを尾静脈への注射によりY.エンテロコリティカMRS40又はY.エンテロコリティカMRS40ΔHOPEMT(細菌2×10
5、1×10
6又は1×10
7個)に感染させた。マウスに静脈内投与した種菌を希釈平板法により検証した。一部の実験では、腫瘍進行をデジタルノギスでの腫瘍長及び幅の毎日の測定により追跡した。腫瘍体積を0.532×長さ×幅
2として決定した。注射後のそれぞれの日に、マウスをCO
2吸入により屠殺した。直ちに心臓からの吸引により血液試料を単離した。肝臓、脾臓、肺及び腫瘍を単離し、それらの重量を判定した。臓器及び腫瘍をホモジナイズした。ナリジクス酸(35ug/ml)を含有するLB寒天プレート上への段階希釈物のスポッティングにより、各試料におけるCFUを判定した。
【0149】
B)結果
YopE融合タンパク質の3型分泌に基づくタンパク質送達系
Y.エンテロコリティカT3SSエフェクターYopE(配列番号1)のまさにN末端は、異種タンパク質を移行させるのに十分な分泌シグナルを有する[26]が、そのシャペロン(SycE)についてはシャペロン結合部位(CBS)を含まない[53]。本発明者らは、YopEのN末端138アミノ酸(配列番号2)を選択して、送達すべきタンパク質と融合させた。このYopEのN末端138アミノ酸は、他の異種T3S基質の移行について最良の結果をもたらすことが証明されていた[28]からであった。YopEのこれらのN末端138アミノ酸はCBSを含有するので、本発明者らは、さらに、SycEを共発現させることを決めた。精製Y.エンテロコリティカpYV40毒性プラスミドからクローニングしたSycE−YopE
1−138断片は、YopEの及びそのシャペロンSycEの内在性プロモーターを含有する(
図10)。したがって、SycEと任意のYopE
1−138の融合タンパク質は、室温での増殖から37℃への急速な温度シフトにより誘導される。37℃での培養時間は、細菌内に存在する融合タンパク質量に影響を与えることになる。多重クローニング部位(MCS)をYopE
1−138の3’末端に付加させ(
図10B)、その後、Myc及び6×Hisタグ及び終止コドンを付加させた。
【0150】
バックグラウンド株を注意深く選択した。先ず、内在性エフェクターの移行を制限するために、本発明者らは、公知のエフェクター、Yop H、O、P、E、M及びTの全てが欠失したY.エンテロコリティカ株(名称HOPEMT)[54]を使用した。加えて、本発明者らは、外来メソ−2,6−ジアミノピメリン酸の非存在下では増殖することができない栄養要求突然変異株[55]を時には使用した。この株のアスパラギン酸−ベータ−セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子が欠失したものであり(Δasd)、Swiss safety agencyによりバイオセーフティレベル1に分類されている(A010088/2に対する補正)。加えて、本発明者らは、バックグラウンド株のより大規模な選択をもたらすために接着タンパク質YadA及び/又はInvAを欠失させた。yadA又はyadA/invA株を使用は、誘導されるバックグラウンドシグナルを低減させるが[56]が、送達されるタンパク質量も同様に影響を受ける[57]。
【0151】
真核細胞へのYopE融合タンパク質送達の特徴づけ
インビトロ分泌アッセイ(
図1Aを参照されたい)では、周囲の液体へのタンパク質分泌を人工的に誘導する。TCAに基づくタンパク質沈殿の後、抗YopE抗体でのウェスタンブロット分析を使用して、分泌されたタンパク質量を決定した(
図1B)。wt株は、完全長YopEを分泌したが、ΔHOPEMT asd株は、分泌しなかった。YopE
1−138−Myc−His(さらなる名称YopE
1−138−Myc;配列番号3)が存在すると、より小さなYopEバンドが目に見えるようになった(
図1B)。したがって、YopE
1−138断片は本明細書に記載の設定で十分に分泌される。真核細胞へのタンパク質移行の均一性を分析するために、本発明者らは、YopE
1−138−Mycをコードする株にHeLa細胞を感染させ、IFによりMycタグを染色した(
図2A及びB)。最初は細菌のみが染色されたが、感染後(p.i.)30分の時点では、細胞の輪郭が目に見え始め、これは感染時間を増加させると増強される(
図2B)。この傾向は、HeLa細胞の内部のMycタグ染色強度によく反映される(
図2A及びB)。YopE
1−138−Mycは、核内を除いて[58]、細胞のどこででも検出することができる(
図2A)。意外なことに、この手法により、全てではないが大多数の細胞に同等に到達した。Y.エンテロコリティカに多くの異なる細胞型が感染することが公知であるので[59]、本発明者らは、様々な細胞株へのYopE
1−138−Myc送達を追跡した。感染したマウス線維芽細胞、ジャーカット細胞及びHUVECにおいて同じ同種抗Myc IF染色が観察された(
図11)。さらに、感染多重度を高く又は低く調整することにより、なお大多数の細胞を標的としたまま、送達されるタンパク質量を調節することが可能になる(
図2C)。細菌数を少なくすると、少数の細胞が大量の送達タンパク質を有することになるのではなく、大多数の細胞が少量の送達タンパク質を有することになる(
図2C)。
【0152】
T3SS送達タンパク質の核への再指向
YopE自体は細胞質に局在していたので(
図2A)、YopE
1−138断片が核融合タンパク質の局在化を妨げるかどうかを試験することは特に興味深い。したがって、本発明者らは、YopE
1−138−EGFPのC末端(及びN末端、同様の結果)にSV40 NLSを付加させた(それぞれ配列番号39及び配列番号38)。感染させたHeLa細胞において、YopE
1−138−EGFP(配列番号37)は、弱い細胞質染色をもたらしたが、YopE
1−138−EGFP−NLSは、より強力な核内EGFPシグナルを生じさせた(
図3)。これは、YopE
1−138断片がNLSの使用と適合性であることを示す。mCherryは、植物病原体において既に使用されているが[60]、これは、T3SSをコードするヒト又は動物病原性細菌を介したGFP様タンパク質の送達成功を意味する。これにより、SycE及びYopE
1−138依存性戦略は最適な多くのタンパク質の送達に非常に有望であることが検証される。
【0153】
真核細胞への融合タンパク質の移行後のYopE
1−138付属物の除去
YopE
1−138断片は、細菌送達に大いに役立つものであるが、融合タンパク質の機能及び/又は局在化を妨げる可能性がある。したがって、タンパク質送達後にそれを除去することが最適であるだろう。この目的のために、本発明者らは、YopE
1−138と融合パートナー(転写制御因子ET1−Myc(配列番号36及び41)[64]及びヒトINK4C(配列番号40及び配列番号43))との間に2つのTEV切断部位(ENLYFQS)[61−63]を導入した。提供する方法の優位性を保持するために、本発明者らは、別のY.エンテロコリティカ株においてTEVプロテアーゼ(S219Vバリアント;[65])をYopE
1−138(配列番号42)とさらに融合した。HeLa細胞を一度に両方の株に感染させた。タンパク質の移行画分のみの分析を可能にするために、感染HeLa細胞を、感染の2時間後に(
図4)、細菌を溶解しないことが公知であるジギトニンを用いて溶解した([66];コントロールについては
図12を参照されたい)。ウェスタンブロット分析は、細胞が対応する株に感染した場合にのみ、YopE
1−138−2×TEV切断部位−ET1−Myc又はYopE
1−138−2×TEV切断部位−Flag−INK4C−Mycの存在を明示した(
図4A及びC)。この細胞溶解物を精製TEVプロテアーゼで一晩消化すると、シフトしたバンドを観察することができた(
図4A及びC)。このバンドは、TEV切断部位のN末端に残存物がある、ET1−Myc(
図4C)又はFlag−INK4C(
図4A)に対応し、この残存物は、1つのセリンのみの可能性が最も高い。TEVプロテアーゼを送達する株に細胞を同時感染させると、同じ切断ET1−Myc又はFlag−INK4C断片が目に見えるようになった。これは、T3SSを介して送達されたTEVプロテアーゼが機能性であること、及び単一細胞が両方の菌株に感染したことを示す(
図4A及びC)。切断は完全なものではないが、移行したタンパク質の大多数が、感染の2時間後に既に切断され、精製TEVプロテアーゼで一晩消化しても、より高い切断率は得られなかった(
図4B)。報告されているように、TEVプロテアーゼ依存性切断は、融合タンパク質次第で最適化を必要とする可能性がある[67、68]。したがって、移行後のYopE
1−138付属物のTEVプロテアーゼ依存性除去は、アミノ酸組成をN末端アミノ酸1つだけしか変化させずに、殆どの天然異種タンパク質のT3SSタンパク質送達をもたらす初めてのものである。
【0154】
YopE断片のTEVプロテアーゼ依存性切断の代替の手法は、目的の融合タンパク質にユビキチンを組み込むことに存した。実際、ユビキチンは、そのC末端で、内在性ユビキチン特異的C末端プロテアーゼ(脱ユビキチン化酵素、DUB)群により、プロセシングされる。切断はユビキチンのまさにC末端(G76の後ろ)で起こるはずであるので、目的のタンパク質には追加のアミノ酸配列がないはずである。この方法を、YopE1−138−ユビキチン−Flag−INK4C−MycHis融合タンパク質を用いて試験した。YopE1−138−Flag−INK4C−MycHisを発現する細菌に感染させたコントロール細胞では、融合タンパク質の効率的移行を示す、YopE1−138−Flag−INK4C−MycHisに対応するバンドが見られた(
図24)。YopE1−138−ユビキチン−Flag−INK4C−MycHisを発現する細菌に細胞を1時間感染させたとき、Flag−INK4C−MycHisのサイズに対応する追加のバンドが目に見えた。これは、融合タンパク質の一部が切断されたことが示す。この結果は、融合タンパク質へのユビキチンの導入により、外来プロテアーゼを必要とすることなくYopE1−138断片を切り離すことが可能になることを示す。
【0155】
III型及びIV型細菌エフェクターの移行
サルモネラ菌からのSopEは、Cdc42と相互作用してアクチン細胞骨格リモデリングを促進する、よく特徴づけられているグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)である[69]。HeLa細胞へのYopE
1−138−Mycの移行の影響はなかったが、移行したYopE
1−138−SopE(配列番号5及び135)は、アクチンネットワークの劇的な変化を誘導した(
図5A)。別のGEFエフェクタータンパク質である、フレクスナー赤痢菌からのIpgB1(配列番号4)で、同様の結果が得られた。意外なことに、アクチン細胞骨格の最初の変化は、感染後2分という速さで観察された(
図5A)。したがって、T3SS依存性タンパク質送達は、遠心分離により感染を開始した直後に起こると、結論づけることができる。厳密なT3SS依存性輸送を証明するために、真核細胞膜への移行孔を形成するT3SSタンパク質の1つを欠失させた(YopB、[70]を参照されたい)(
図12)。
【0156】
サルモネラ属感染中、SopE移行後に、Cdc42に対するGTPase活性化タンパク質(GAP)として機能するSptPが移行する[71]。YopE
1−138−SopE−Myc(配列番号135)単独での移行は、大規模なF−アクチン再構成を誘発したが、YopE
1−138−SptP(配列番号8)を発現する細菌による同時感染は、この効果を用量依存的に消失させた(
図5B)。抗Myc染色は、この阻害がYopE
1−138−SopE−Myc移行レベル低下に起因するものではないことを示した(
図5B)。総じてこれらの結果は、2つの菌株による細胞の同時感染が、2つの異なるエフェクターをそれらの機能的相互作用に取り組むために単一細胞に送達するための有効な方法であることを示した。
【0157】
フレクスナー赤痢菌III型エフェクターOspFは、MAPキナーゼp38及びERKを脱リン酸化させるリン酸化スレオニンリアーゼとして機能する[72]。移行したYopE
1−138−OspF(配列番号7)の機能性を試験するために、本発明者らは、TNFαでの刺激後のp38のリン酸化をモニターした。未感染細胞、又はYopE
1−138−Mycを発現する細菌に感染させた細胞では、TNFαは、p38リン酸化を誘導した。対照的に、YopE
1−138−OspFの移行後、TNFαにより誘導されたリン酸化が消失した。これは、送達されたOspFがp38に対して活性であることを示す(
図6A)。
【0158】
サルモネラ属感染中に、III型エフェクターSopBは、Aktの持続的活性化により上皮細胞をアポトーシスから保護する[73]。YopE
1−138−Myc又はYopE
1−138−SopEの移行はAktに影響を与えなかったが、YopE
1−138−SopB(配列番号6)の移行は、活性形態を反映して、T308及びS473におけるAktの強力なリン酸化を誘導した(
図6B)。同様の結果が、フレクスナー赤痢菌からのSopB−ホモログ(IpgD、配列番号9)で得られた。総じて、本発明者らの結果は、YopE
1−138に基づく送達系が、これまでに試験しれた全てのT3Sエフェクターに対して機能すること、並びに細胞骨格、炎症及び細胞生存をはじめとする中心的細胞機能の調節に関与するタンパク質の調査を可能にすることを示す。
【0159】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス、レジオネラ・ニューモフィラ及びバルトネラ・ヘレンセラ菌をはじめとする多数の細菌は、IV型分泌を使用してエフェクターを細胞に注入する。バルトネラ・ヘンセラ菌からのIV型エフェクターBepAを、本発明者らのツールを使用してHeLa細胞に移行することができるかどうかを試験した。完全長BepA(配列番号10)、及びC末端Bidドメインを含有するBepA
E305−end(配列番号11)をクローニングし、細胞をそれぞれの株に感染させた。BepAはサイクリックAMP(cAMP)の産生を誘導することが証明されていたので[74]、感染後にHeLa細胞におけるcAMPのレベルを測定した。バルトネラ・ヘンセラ菌エフェクターBepG(配列番号136)のBidドメインの移行は、cAMPを誘導することができなかったが、完全長BepA及びBepA
E305−endは、期待量[74]のcAMP産生を誘発した(
図6C)。この結果は、IV型エフェクターもYopE
1−138に基づく送達系によって宿主細胞標的に有効に送達することができること、及びそれらが機能性であることを示す。
【0160】
上皮細胞への真核生物タンパク質の移行
ヒトタンパク質がIII型分泌によって移行できることを明らかにするために、本発明者らは、ヒトアポトーシス誘導因子を、Y.エンテロコリティカによる送達のためにYopE
1−138と、又はサルモネラ菌による送達のためにSteA
1−20、SteA、SopE
1−81若しくはSopE
1−105と融合させた。次いで、本発明者らは、Bcl−2タンパク質ファミリーのアポトーシス促進性スメンバーであるヒトBH3相互作用ドメインデスアゴニスト(BID、配列番号24)の移行をモニターした。BIDは、カスパーゼ−8(CASP8)により誘導されるミトコンドリア損傷のメディエーターである。CASP8は、BIDを切断し、切断型BID(tBID、配列番号25)はミトコンドリアに移行し、そこでシトクロムC放出を誘発する。後述のトクロムC放出は、固有モードのカスパーゼ3(CASP3)活性化をもたらし、その間に、CASP3は17kDaサブユニットと12kDaサブユニットに切断される[75]。YopE
1−138−Myc又はYopE
1−138−BIDを発現するY.エンテロコリティカによる1時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、ヒトtBIDの移行は、よく特徴づけられているアポトーシス誘導因子スタウロスポリンよりも大きな程度で細胞死を誘発した(
図7A及びC)。予測通り、tBIDの移行は、CASP3 p17サブユニットの産生を、もっと言えば、スタウロスポリンを用いた場合より多い量での産生をもたらす(
図7A)。移行したタンパク質量と内在性Bidを比較することができるように、HeLa細胞をジギトニンで溶解し、抗Bid抗体を使用するウェスタンブロット法により分析した(
図7B)。T3SSにより送達されたYopE
1−138−tBIDは、HeLa細胞内でほぼ内在性Bidレベルに達したが、送達されたYopE
1−138−BIDのほうが多い量で存在した(2.5倍)(
図7B)。HeLa細胞のディーププロテオーム及びトランスクリプトームマッピングにより、単一細胞当たりBIDコピー数10
5の4.4倍が推定された[76]。したがって、T3SS依存性ヒトタンパク質送達は、1細胞当たり10
5−10
6タンパク質に達すると結論づけることができる。これらの数は、大腸菌T3SSにより移行されるナノボディの細胞当たりのコピー数[4]と一致する。感染多重度が及び感染期間が10倍、抗生物質添加の時点及び感染前の37℃での培養時間が3.2倍のレベルになると仮定すると、送達されるタンパク質コピー/細胞を、数1000コピー/細胞から数10
6コピー/細胞まで調整することができる。総じて、これらの結果は、移行したtBIDが機能性であり、有意味なレベルで送達されることを示した。これにより、細胞生物学の中心的側面である、アポトーシスの調節におけるタンパク質の役割を研究するための移行ツールが検証された。
【0161】
本発明者らは、さらに、Y.エンテロコリティカによる送達のために、マウスtBID(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号194)又はマウスtBID若しくはマウスBAX(どちらの場合もY.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号138及び139)のBH3ドメインを、YopE
1−138と融合させた。何れのタンパク質も送達しない又はYopE
1−138−Mycを送達するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdによる2.5時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、マウスtBID(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの、配列番号194)の移行は、B16F10細胞(
図16)、D2A1細胞(
図17)、HeLa細胞(
図18)及び4T1細胞(
図19)において細胞死を誘発した。Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたマウスBID(配列番号138)又はY.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたマウスBAX(配列番号139)のBH3ドメインの移行も、B16F10細胞(
図16)、D2A1細胞(
図17)、HeLa細胞(
図18)及び4T1細胞(
図19)において大規模な細胞死を誘導することが判明した。
【0162】
サルモネラ菌aroA細菌による4時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、マウスtBIDの移行は、マウスtBIDの移行がCASP3 p17サブユニットの産生をもたらすので、アポトーシスを誘発した(
図20及び21)。SopE融合タンパク質についてのアポトーシス誘導の程度は、SpiI T3SS誘導条件を使用した場合のほうが大きかった(
図20)。これは、SpiI T3SSによるSopEの排他的輸送を反映している。SteA
1−20融合マウスtBIDは、アポトーシスを誘導することができなかった。これは、SteAの20のN末端アミノ酸内の分泌シグナルが、融合タンパク質の送達を可能にするには十分でないことに起因する可能性が高い(
図20及び21)。完全長SteAと融合しているマウスtBIDは、SpiI T3SS誘導条件とSpiII T3SS誘導条件の両方でHeLa細胞においてアポトーシス誘導をもたらした(
図20及び21)。これは、SteAが両方のT3SSにより輸送され得ることを反映している。SpiII T3SS誘導条件下であっても、SpiII T3SS誘導条件でのSopE融合タンパク質の活性によって見られるようなSpiI T3SSの部分的活性が予測されることに留意しなければならない(
図21)。
【0163】
ここで機能の点で詳述した、移行させる真核生物タンパク質に加えて、いくつかの他の真核生物タンパク質を本明細書に記載のツールを使用して分泌した。これは、Y.エンテロコリティカのよる送達(
図13、14及び23)のために、細胞周制御からのタンパク質(Mad2(配列番号15)、CDK1(配列番号14)、INK4A(配列番号16)、INK4B(配列番号17)及びINK4C(配列番号18))並びにそれらの部分(INK4A 84−103(配列番号158)、p107 657−662(配列番号159)、p21 141−160(配列番号160)、p21 145−160(配列番号161)、p21 17−33(配列番号162)及びサイクリンD2 139−147(配列番号163))、アポトーシス関連タンパク質(Bad(配列番号29)、FADD(配列番号28)、及びカスパーゼ3 p17(配列番号22)及びp12(配列番号23)、ゼブラフィッシュBid(配列番号19)及びt−Bid(配列番号20))並びにそれらの部分(tBid BH3(配列番号138)、Bax BH3(配列番号139))、シグナル伝達タンパク質(マウスTRAF6(配列番号12)、TIFA(配列番号13))、GPCR Gαサブユニット(GNA12、最短アイソフォーム、(配列番号30))、標的タンパク質分解のためのナノボディ(vhhGFP4、(配列番号31))及びナノボディ融合構築物(Slmb−vhhGFP4;(配列番号32、33、34))[77])(
図13及び14)、並びに低分子量GTPase(Rac1 Q61E(配列番号26及び137)及びRhoA Q63L(配列番号27))、及びヒトAktからのプレクストリン相同ドメイン(配列番号35)を含む。機能の点で詳述したアポトーシス関連タンパク質(マウスtBid、配番号144−147)に加えて、これは、サルモネラ菌による送達(
図22)のために、細胞周期制御からのタンパク質(Mad2(配列番号168−169)、CDK1(配列番号170−171)、INK4A(配列番号164−165)及びINK4C(配列番号166−167))をさらに含む。これらのタンパク質は機能的の点で検証されていないが、YopE付属物の可能な除去と併せて、多様な真核生物タンパク質のT3SS依存性分泌の可能性は、細胞生物学及び治療応用へのT3SSの広範な適用性に関して新しい展望を開く。
【0164】
ゼブラフィッシュ胚内への切断型Bidのインビボ移行はアポトーシスを誘導する
この細菌ツールの興味深い特徴は、生きている動物に使用できる可能性である。胚の状態のゼブラフィッシュを透明に保つことができ、それにより蛍光染色及び顕微鏡観察が可能になる[44、78、79]。少数のゼブラフィッシュアポトーシス誘導因子が詳細に記載されており、そのうちz−BIMが最も強力である[80]。したがって、本発明者らは、z−BIMを本発明者らの系にクローニングすることを決めた。ヒトBIMに対する相同性が例え弱くとも、本発明者らは、ヒト上皮細胞におけるYopE
1−138−z−BIM(配列番号21)のアポトーシス誘導の力価をアッセイした。YopE
1−138−z−BIMを移行させる株に1時間感染させたHeLa細胞は、細胞死の明らかな徴候を示した。次いで、本発明者らは、後脳への細菌のマイクロインジェクションによる局在感染モデルを使用して、受精後2日(dpf)のゼブラフィッシュ胚でのインビボ実験を行った[44]。5.5時間の感染後、フィッシュを固定し、透過処理し、CASP3 p17の存在について染色した。YopE
1−138−Mycを発現する株に感染させると、後脳領域では細菌が目に見えたが(染色「b」、
図8A I)、細菌の周囲ではアポトーシスの誘導が検出されなかった(染色「c」、
図8A I)。対照的に、YopE
1−138−z−BIMを送達する株に感染させると、細菌の周囲の領域において、切断されたCASP3の存在の強力な増加が観察された(
図8A II)。z軸方向の最大値投影に関する自動画像分析により、YopE
1−138−z−BIMを移行させる細菌が、近くの細胞のアポトーシスをコントロール細菌によるものよりもはるかに多く誘導することが確認される(
図8B)。これは、z−BIMが、細菌による移行時にゼブラフィッシュにおいて機能性であることを示す。これらの結果は、生きている動物における真核生物タンパク質送達のためのT3SSの使用をさらに認証するものである。
【0165】
リン酸化プロテオミクスは、タンパク質リン酸化に対する移行タンパク質の広範囲の影響を明示する
リン酸化は、生物学的プロセスを活性化するか又は不活化することができる広範な翻訳後修飾であり、したがって、シグナル伝達事象を研究するための好適な標的である[81、82]。それにもかかわらず、現在利用できる、アポトーシスに関するリン酸化の系レベルの分析はない。HeLa細胞に送達されたヒトtBidの影響を分析するために、本発明者らは、LC−MS/MSによるラベルフリーリン酸化プロテオミクス手法を使用した。3つの独立した実験において、細胞を未処理のまま放置するか、又はΔHOPEMT asd+YopE
1−138−Myc若しくはΔHOPEMT asd+YopE
1−138−tBidに30分間感染させた。細胞を溶解し、その後、酵素的消化、リン酸化ペプチド濃縮、並びに個々のリン酸化ペプチドの定量及び同定を行った。本発明者らは、ΔHOPEMT asd+YopE
1−138−Mycに感染させた細胞とΔHOPEMT asd+YopE
1−138−tBidに感染させた細胞を比較し、それにより、363のtBid依存性リン酸化事象を同定することができた。本発明者らがtBidリン酸化プロテオームと定義した、243の異なるタンパク質に対応する、tBid送達時に、286のリン酸化ペプチドは、リン酸化の増加を示したが、77は、然程リン酸化されなかった。STRINGデータベースを使用して、tBidリン酸化プロテオームのタンパク質間相互作用ネットワークを生成した[83](
図9A)。さらに、ミトコンドリアでのアポトーシスに関係することが公知の27のタンパク質をネットワークに追加して、中心クラスターを構築した。興味深いことに、tBidリン酸化プロテオームからのほんの少数のタンパク質しかこの中心クラスターにつながらず、これは、多くのタンパク質が、これまでアポトーシスタンパク質に直接関連づけられなかったリン酸化の変化を受けることを示す。tBidリン酸化プロテオームによりカバーされる生物学的機能を特徴づけるために、本発明者らは、Database for Annotation,Visualization,and Integrated Discovery(DAVID、http://david.abcc.ncifcrf.gov/)[84、85]の機能アノテーションツールを使用して遺伝子オントロジー分析を行った。同定された生物学的機能は、多様な細胞プロセスがtBidによる影響を受けることを示す。クロマチン再構成及び転写制御に関与する多くのタンパク質は、リン酸化の変化を受ける(すなわち、CBX3、CBX5、TRIM28、HDAC1)。例えば、HDAC1は、転写制御に関与するヒストンデアセチラーゼである。HDAC1が、アポトーシスにも関与するタンパク質であるNF−kBの転写活性を調節することができることは、証明されている。本発明者らは、アポトーシスの調節に重要な役割を果たすことが以前に証明されている、RNAプロセシングに関与するタンパク質のクラスターをさらに同定した[86]。例えば、HNRPKは、DNA損傷に対するp53/TP53応答を媒介し、アポトーシスの誘導に不可欠なものである[87]。さらに、タンパク質翻訳に関与するタンパク質のリン酸化も影響を受ける。いくつかの真核生物開始因子(すなわち、EIF4E2、EIF4B、EIF3A、EIF4G2)がリン酸化の変化を受け、これは、アポトーシス細胞においてタンパク質合成全体が減少するという観察と一致している。興味深いことに、細胞骨格リモデリングに関与する多くのタンパク質(例えば、PXN、MAP1B9)のリン酸化がtBid送達時に変更される。これは、細胞の形態がtBid送達時に劇的に変化するという観察と一致している(
図9B)。細胞収縮、及び接触の喪失は、ZO2及びパキシリンのような接着関連タンパク質のリン酸化が観察されるという事実に反映される。同様に、核の収縮には、ラミンA/C及びラミンB1のような層状タンパク質のリン酸化が伴う。総じて、tBID送達は、ミトコンドリア完全性の破壊によっても示される迅速なアポトーシス応答を誘導する(
図9B)。本発明者らは、tBid誘導アポトーシスが、多様な細胞プロセスにおける何百ものリン酸化事象に影響を与えることを明らかにした。同定された多くのタンパク質がアポトーシスに関係しているが、アポトーシス誘導時にリン酸化されることが分かっているのはほんの少数であった。したがって、リン酸化プロテオミクス手法は、アポトーシスに関するさらなる研究のための有用な方策となる。
【0166】
反復した同一又は可変タンパク質ドメインからなる真核生物異種融合タンパク質の上皮細胞への移行
反復した同一又は可変タンパク質ドメインからなる異種融合タンパク質がIII型分泌により移行することができることを証明するために、本発明者らは、Y.エンテロコリティカによる送達のためのマウスアポトーシス誘導因子をYopE
1−138と融合させた。コントロールとして、本発明者らは、Y.エンテロコリティカによる送達のために、マウスtBID(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号194)又はマウスtBID若しくはマウスBAX(どちらの場合もY.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの;配列番号200及び201)のBH3ドメインを、YopE
1−138と融合させた。異種融合タンパク質は、結果としてYopE
1−138−(tBID−BH3)
2(配列番号202)になるようにそれ自体と融合しているtBIDのマウスBH3ドメインの1つの事例に存する。第2の事例では、異種融合タンパク質は、結果としてYopE
1−138−(tBID−BH3)−(BAX−BH3)(配列番号203)になる、BAXのマウスBH3ドメインと融合しているtBIDのマウスBH3ドメインからなる。マウスtBID及びマウスBAXの事例では、コドンをY.エンテロコリティカに対して最適化した。反復した同一のドメイン、又は異なるタンパク質ドメインの組合せの模式図を
図25に示す。
【0167】
YopE
1−138−Mycを送達するY.エンテロコリティカΔHOPEMT asdによる4時間の感染は、アポトーシスを誘導することができなかったが、tBIDのマウスBH3ドメイン(Y.エンテロコリティカに対してコドン最適化されたもの、配列番号194)の移行は、B16F10及び4T1細胞において細胞死を誘発し(
図26及び27)、感染多重度(MOI)の増加に対して明確な用量反応効果があった。驚くべきことに、送達されたYopE
1−138−(tBID−BH3)−(BAX−BH3)又はYopE
1−138−(tBID−BH3)
2は、より低い感染多重度ではYopE
1−138−(tBID−BH3)より活性が高いことが判明した(
図26及び27)。これは、反復した同一のドメインの送達により又は異なるタンパク質ドメインの組合せの送達によりアポトーシスのような所望の細胞経路に対する効果を増大させることができることを示す。
【0168】
増強アポトーシス促進性細菌の生成
上述の実験において、アポトーシス促進性タンパク質(例えば、t−BID(配列番号25)又はBIM(配列番号21))のT3SSに基づく送達は、がん性細胞を含むマウス細胞及びヒト細胞両方において、細胞死を効率的に誘導したこと、並びに細菌のコドン使用頻度に対して最適化したマウスtBID(配列番号138)を使用したときこの効果を増大させることができたことが分かる。この細胞殺滅増加は、使用される最適なコドンに起因するタンパク質産生量の増加及びT3SSによる後続の送達量の増加を反映する可能性が非常に高い。
【0169】
送達又はアポトーシス促進性タンパク質を最適化するために、様々なアポトーシス促進性タンパク質で形質転換された株が表IVの通りに生成されている。
【0170】
シグナル伝達に必要な必須ドメイン(配列番号138又は200)に送達されるタンパク質の短縮は、細胞殺滅効率を増加させることができる(
図28)。理論に縛られることは望まないが、有効性のこの増加は、送達されるタンパク質のより小さいサイズに起因するタンパク質産生量の増加及びT3SSによる後続の送達量の増加に関係する可能性が高い。YopE部分とtBIDのBH3ドメインの間へのリンカー(配列番号218)の導入は、さらなるアミノ酸4個分BH3ドメイン(配列番号217)を伸長するばかりでなく、有効性を低下させた(
図28)。
【0171】
加えて、そのような必須ドメイン(例えば、t−BIDのBH3ドメイン(配列番号202))のリピート又はそれらの必須ドメイン(例えば、t−BIDのBH3ドメインとBAXのBH3ドメイン(配列番号203及び219))の組合せを有する合成輸送基質を生成した。驚くべきことに、同じ又は異なるBH3ドメインのタンデムリピートは、がん性細胞株(4T1及びB16F10細胞を含む)に対するアポトーシス誘導増強をもたらすことが判明した(
図28)。真核細胞1個当たりのそのような細胞の50%を殺滅するために必要とされる細菌数(感染多重度)を指すIC50(半最大阻害濃度)は、単一tBID BH3ドメインと比較してtBID BH3のタンデムリピートの送達時に減少することが判明した(
図28)。タンパク質サイズは、tBIDの第2のBH3ドメインとしての融合により増加されるので、この研究結果は、驚くべきものであった。このために、YopE
1−138−tBID BH3(配列番号138又は200)と比較してYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)の発現と送達レベル減少が予想され、最大で同等レベルに達する可能性があった。細胞殺滅活性の増加を達成するために、融合tBID BH3ドメインは、真核細胞へのT3SSによる送達時に一緒に同時に作用しなければならない。YopE
1−138−(tBID BH3)
2構築物中の1つのtBID BH3ドメインしか機能しない場合、YopE
1−138−tBID BH3を用いた場合とせいぜい同じ効率しか期待できないだろう。
【0172】
インビボ研究のためにYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)の遺伝的安定性を増加させるために、本発明者らは、YopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)をエルシニア属毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に、(変異誘発プラスミドpSI_408及びpSI_419を使用して)天然YopEプロモーターのもとで、相同組み替えによりクローニングした。そのような変異誘発物質は、組込みが起こるそれぞれの遺伝子の部位に応じて200−250bpの配列が両側に隣接している、所望のタンパク質をコードするDNA配列を含有する。これらのプラスミドを大腸菌Sm10λpir内に形質転換し、そこからプラスミドを対応するY.エンテロコリティカ株内に移動させた。組み込み型ベクターを保有する突然変異株を選択圧なしで数世代増殖させた。次いで、スクロースを使用して、ベクターを失ってしまったクローンについて選択した。最後に、突然変異株をコロニーPCRにより同定した。T3SSによる輸送のための内在性タンパク質(「エルシニア属外部タンパク質」、Yop、と呼ばれる)は、エルシニア属毒性プラスミド(pYV)という名称の、Y.エンテロコリティカのこの70kbプラスミド上にコードされており、このプラスミドは、T3SS装置をさらにコードする。
【0173】
エルシニア毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に、天然YopEプロモーターのもとで、YopE
1−138−(tBID BH3)(配列番号138若しくは200)又はYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)をコードする、エルシニア属株を、がん性細胞(4T1及びB16F10細胞を含む)においてアポトーシスを誘導する能力について評価した(
図29)。真核細胞1個当たりのそのような細胞の50%を殺滅するために必要とされる細菌数(感染多重度)を指すIC50(半最大阻害濃度)は、単一tBID BH3ドメインと比較してtBID BH3のタンデムリピートの送達時に、両方のタンパク質が、エルシニア属毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に、天然YopEプロモーターのもとでコードされている場合、減少することが判明した(
図29)。これは、これらのタンパク質の発現プラスミド媒介送達からの研究結果(
図28)と一致する。重ねて、タンパク質サイズは、tBIDの第2のBH3ドメインの融合により増加されるので、この研究結果は、驚くべきものであった。このために、YopE
1−138−tBID BH3(配列番号138又は200)と比較してYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)の発現と送達レベル減少が予想され、最大で同等レベルに達する可能性があった。細胞殺滅活性の増加を達成するために、融合tBID BH3ドメインは、真核細胞へのT3SSによる送達時に一緒に同時に作用しなければならない。YopE
1−138−(tBID BH3)
2構築物中の1つのtBID BH3ドメインしか機能しない場合、YopE
1−138−tBID BH3を用いた場合とせいぜい同じ効率しか期待できないだろう。さらに、エルシニア毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に天然YopEプロモーターのもとでYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)をコードするエルシニア株を、がん性細胞においてアポトーシスを誘導するそれらの能力について、YopE
1−138−(tBID BH3)
2の発現ブラスミド(pBad−MycHisAに基づく)由来送達と比較した。pYV(1−6コピーと報告される)と比較して高い、pBad−MycHisAのコピー数(20−25コピー)と一致して、YopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)のpBad−MycHisAに基づく送達は、4T1及びB16F10細胞のIC50値をわずかに低下させる結果となった(
図29)。
【0174】
細菌投与後14日目までのインビトロでの腫瘍特異的増殖の検証
遺伝子改変Y.エンテロコリティカによる腫瘍定着実験を同系マウス同種移植モデル(4T1乳がんモデル)において繰り返し、細菌の定着を2週間にわたって追跡した。このとき、マウスを1×10
6コロニー形成単位(CFU)のY.エンテロコリティカΔyopH、O、P、E、M、Tに感染させた。感染後まだ間もない頃にB16F10モデルと同様の結果を得たが、本発明者らは、腫瘍定着が、感染後8日目に、そして14日目まで一貫して認められることをさらに明らかにすることができた(
図30)。さらに、この定着は非常に特異的であり、評価した他の全ての臓器においてほんの少数の細菌しか検出されなかった(
図31)。これらの研究結果は、Y.エンテロコリティカΔyopH、O、P、E、M、Tが、腫瘍の持続的定着を確立することによって、免疫系によるクリアランスを防止することができることを示す。
【0175】
腫瘍進行を遅らせる点でのY.エンテロコリティカΔHOPEMTの有効性
インビボでの腫瘍細胞に送達されるYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)の影響を評価するために、本発明者らは、4T1乳がん細胞を皮下同種移植した野生型Balb/Cマウスにおいて研究を行った。本発明者は、エルシニア属毒性プラスミドpYV上のYopEの天然部位に天然YopEプロモーターのもとでYopE
1−138−(tBID BH3)
2(配列番号202)をコードする、Y.エンテロコリティカΔHOPEMT株を評価することを目標とした。腫瘍が150−250mm3のサイズに達したら、PBS又は1×10
7のY.エンテロコリティカΔHOPEMT pYV−YopE
1−138−(tBID BH3)をマウスに静脈内注射した。細菌の静脈内注射の日を0日目と定義した。その後数日(細菌の静脈内注射後0日目から9日目)にわたって腫瘍体積をノギスで測定した。腫瘍サイズの一切の初期均質性を補償するために、腫瘍体積を0日目の腫瘍体積に対して正規化した。Y.エンテロコリティカΔHOPEMT pYV−YopE
1−138−(tBID BH3)
2での治療は、腫瘍体積進行に対する影響を示し、細菌投与後8、9及び10日目に統計的に有意な腫瘍低減があった(
図32)。重要なこととして、単独でのY.エンテロコリティカΔHOPEMTは、4T1マウスがんモデルにおいて腫瘍進行に影響を与えないことが判明した(
図33)。これらの実験結果は、そのような細菌及びそれらのT3SSを腫瘍進行の妨害に用いることができることに光を当てるものである。
【0176】
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<さらなる実施態様>
[実施態様1]
5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株。
[実施態様2]
5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターで形質転換された組換えグラム陰性菌株であって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、組換えグラム陰性菌株。
[実施態様3]
少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠く、実施態様1又は2に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様4]
エルシニア属(Yersinia)、エスケリキア属(Escherichia)、サルモネラ菌(Salmonella)及びシュードモナス属(Pseudomonas)からなる群から選択される、実施態様1から3の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様5]
エルシニア属及びサルモネラ属からなる群から選択される、実施態様1から3の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様6]
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、YopEエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片を含むか、又は組換えグラム陰性菌株が、サルモネラ属株であり、第1のDNA配列によりコードされている細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、SopE若しくはSteAエフェクタータンパク質若しくはそのN末端断片を含む、実施態様1から3の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様7]
組換えグラム陰性菌株が、エルシニア属株であり、前記エルシニア属株が野生型であるか、又は少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠き、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、Y.エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)YopEエフェクタータンパク質のN末端138アミノ酸を含む、或いは組換えグラム陰性菌株が、サルモネラ属株であり、前記サルモネラ属株が野生型であるか、又は少なくとも1つのT3SSエフェクタータンパク質の産生を欠き、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルが、サルモネラ菌(S.enterica)SteAエフェクタータンパク質を含むか、又はサルモネラ菌SopEエフェクタータンパク質のN末端81若しくは105アミノ酸を含む、実施態様1又は2に記載の組換えグラム陰性菌株。
[実施態様8]
5’から3’方向に、
プロモーター、
前記プロモーターに動作可能に連結されている、細菌T3SSエフェクタータンパク質からの送達シグナルをコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクター。
[実施態様9]
5’から3’方向に、
細菌エフェクタータンパク質からの送達シグナル又はその断片をコードする第1のDNA配列、
前記第1のDNA配列の3’末端とインフレームで融合している、異種タンパク質の反復ドメイン又は異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインをコードする第2のDNA配列
を含むベクターであって、異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質、細胞周期制御因子、アンキリンリピートタンパク質、細胞シグナル伝達タンパク質、レポータータンパク質、転写因子、プロテアーゼ、低分子量GTPase、GPCR関連タンパク質、ナノボディ融合構築物及びナノボディ、細菌T3SSエフェクター、細菌T4SSエフェクター並びにウイルスタンパク質からなる群から選択される、ベクター。
[実施態様10]
異種タンパク質が、アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質からなる群から選択される、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8若しくは9に記載のベクター。
[実施態様11]
アポトーシス又はアポトーシス調節に関与するタンパク質が、BH3−onlyタンパク質、カスパーゼ、及びアポトーシスの細胞死受容体調節の細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される、実施態様10に記載の組換えグラム陰性菌株又はベクター。
[実施態様12]
反復ドメインが、同一であるか、又は80%より高いアミノ酸配列同一性を有する、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8若しくは9に記載のベクター。
[実施態様13]
反復ドメインが、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメインである、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。
[実施態様14]
異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、タンパク質の同じ機能クラスに属する異種タンパク質のドメインである、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8若しくは9に記載のベクター。
[実施態様15]
異なる異種タンパク質の2つ以上のドメインが、アポトーシス誘導因子tBIDのBH3ドメイン、及びアポトーシス調節因子BAXのBH3ドメインである、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。
[実施態様16]
ベクターが、プロテアーゼ切断部位をコードする第3のDNA配列を含み、第3のDNA配列が、前記第1のDNA配列の3’末端と前記第2のDNA配列の5’末端の間に位置する、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。
[実施態様17]
細菌T3SSエフェクタータンパク質が、SopE、SopE2、SptP、SteA、ExoS、SipA、SipB、SipD、SopA、SopB、SopD、IpgB1、IpgD、SipC、SifA、SseJ、Sse、SrfH、SspH1、YopJ、AvrA、AvrBsT、YopT、YopH、YpkA、Tir、EspF、TccP2、IpgB2、OspF、Map、OspG、OspI、VirA、IpaA、IpaH、SspH1、VopF、ExoS、ExoT、HopAB2、XopD、AvrRpt2、HopAO1、HopPtoD2、HopU1、GALAタンパク質ファミリー、AvrBs2、AvrD1、AvrBS3、YopO、YopP、YopE、YopT、EspG、EspH、EspZ、IpaA、IpaB、IpaC、VirA、IcsB、OspC1、OspE2、IpaH9.8、IpaH7.8、AvrB、AvrD、AvrPphB、AvrPphC、AvrPphEPto、AvrPpiBPto、AvrPto、AvrPto、AvrPtoB、VirPphA、AvrRpm1、AvrRpt2、AvrRpt2、HopPtoD2、HopPtoE、HopPtoF、HopPtoN、PopB、PopP2、AvrBs3、XopD、及びAvrXv3からなる群から選択される、実施態様1から7の何れか一項に記載の組換えグラム陰性菌株又は実施態様8又は9に記載のベクター。