(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の流動焼却システムおよび流動焼却システムの制御方法の実施形態について説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の流動焼却システム1の概要の一例を示す図である。
図1に示す例では、流動焼却システム1が、焼却炉11と、有機性廃棄物投入流路12Aと、有機性廃棄物投入ポンプ12Bと、過給機13と、空気供給流路14A、14B、14Cと、ブロワ15と、大気吸込弁16と、排ガス流路17A、17Bと、排ガスバイパス流路18A、18Bと、排ガスバイパス弁19A、19Bとを備えている。
焼却炉11は下水処理等で生じた汚泥などの有機性廃棄物の焼却処理を行う。有機性廃棄物投入流路12Aは、有機性廃棄物を焼却炉11に投入(供給)するための流路である。有機性廃棄物投入ポンプ12Bは、有機性廃棄物を焼却炉11に投入するためのポンプである。過給機13は、コンプレッサ13Aとタービン13Bとを備えており、タービン13Bの回転に伴って連結軸を介してコンプレッサ13Aが回転する。
図1に示す例では、有機性廃棄物供給手段として有機性廃棄物投入ポンプ12Bを用いているが、スクリューコンベア等の他の供給手段を用いてもよい。
空気供給流路14A、14B、14Cは、有機性廃棄物の焼却に用いられる空気を焼却炉11に供給するための流路である。空気供給流路14Cは、焼却炉11とコンプレッサ13Aとを接続している。空気供給流路14Aは、コンプレッサ13Aと接続し空気供給流路14Cの反対側に延びている。つまり、コンプレッサ13Aは、空気供給流路14A、14C上に配置されている。空気供給流路14Bは、空気供給流路14Aに接続されている。
ブロワ15は、空気供給流路14Aに接続されている。つまり、ブロワ15は、空気供給流路14A、14Cのうちのコンプレッサ13Aよりも上流側の部分に接続されている。ブロワ15は、例えば過給機13の起動時や有機性廃棄物の焼却に用いられる空気の不足時に、空気をコンプレッサ13Aに供給する(押し込む)。
大気吸込弁16は、空気供給流路14B上に配置されている。つまり、大気吸込弁16は、空気供給流路14A、14B、14Cのうちのコンプレッサ13Aよりも上流側の部分に配置されている。大気吸込弁16は、例えば空気供給流路14A内(コンプレッサ13Aの入口側部分)が負圧になっている時などに開弁する。
図1に示す例では、ブロワ15および大気吸込弁16が流動焼却システム1に備えられているが、他の例では、流動焼却システム1がブロワ15および/または大気吸込弁16を備えていなくてもよい。
【0020】
図1に示す例では、排ガス流路17A、17Bが、有機性廃棄物の焼却により生じた排ガスを焼却炉11から排出するための流路である。排ガス流路17Aは、焼却炉11とタービン13Bとを接続しており、間に集塵機等が配置されている(図示しない)。排ガス流路17Bは、タービン13Bと接続し排ガス流路17Aの反対側に延びている。つまり、タービン13Bは、排ガス流路17A、17B上に配置されている。
過給機13のタービン13Bは、焼却炉11から排出された排ガスの圧力や熱を利用して回転し、連結軸を介してコンプレッサ13Aを回転させ、コンプレッサ13Aは、焼却炉11に供給される空気を圧縮する。なお、タービン13Bに焼却炉11から排出された排ガスを供給することで、排ガスの熱を直接的に利用し、タービン13Bを回転させることができるが、焼却炉11から排出された排ガスにより加温された空気をタービン13Bに供給することにより、排ガスの熱を間接的に利用してタービン13Bを回転させてもよい。
排ガスバイパス流路18A、18Bは、焼却炉11から排出された排ガスがタービン13Bをバイパスするための流路である。排ガスバイパス流路18Aと排ガスバイパス流路18Bとは、並列に配列され、排ガス流路17A、17Bに接続されている。
排ガスバイパス弁19Aは、排ガスバイパス流路18A上に配置されている。排ガスバイパス弁19Aは、例えば過給機13の起動時に開弁する。排ガスバイパス弁19Bは、排ガスバイパス流路18B上に配置されている。排ガスバイパス弁19Bは、例えば過給機13の常用時(非起動時)に開弁する。排ガスバイパス弁19A、19Bが開弁すると、タービン13Bに流れる排ガスの流量が減少し、過給機13の回転数が減少する。つまり、排ガスバイパス弁19A、19Bは、過給機13の回転数を制御する過給機回転数制御弁として機能する。例えば流動焼却システム1の昇温工程、保温工程、設備停止時などにおいては、排ガスバイパス弁19A、19Bが全開状態になる。
排ガスバイパス弁19Aは、排ガスバイパス弁19Bと同様に、過給機13に流れる排ガス量を調整することにより、過給機13のコンプレッサ13Aが製造する加圧空気の圧力、流動空気量を総合的に制御する。
排ガスバイパス弁19A、19Bのうちの排ガスバイパス弁19Bが、流動空気量の制御に主に用いられる。排ガスバイパス弁19Bの開度が常用範囲を超える場合、排ガスバイパス弁19Bの開度が急激に変動する場合などに、排ガスバイパス弁19Aは作動する。
図1に示す例では、2つの排ガスバイパス流路18A、18Bと2つの排ガスバイパス弁19A、19Bとが流動焼却システム1に備えられているが、他の例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路を1つのみ備え、排ガスバイパス弁を1つのみ備えていてもよい。また、他の例として、過給機を複数備えていてもよい。
【0021】
図1に示す例では、流動焼却システム1が、炉内圧検出部1Aと、コンプレッサ入口空気温度検出部1Bと、コンプレッサ入口空気圧力検出部1Cと、コンプレッサ出口空気圧力検出部1Dと、焼却炉出口圧力検出部1Eと、タービン出口圧力検出部1Fと、有機性廃棄物流量検出部1Gと、流動空気流量検出部1Hと、制御部1J、1Kと、設定入力部1Lと、過給機サージング偏差検出部1Mとを更に備えている。
炉内圧検出部1Aは、焼却炉11の内部の圧力である炉内圧を検出する。コンプレッサ入口空気温度検出部1Bは、空気供給流路14A内のうちのコンプレッサ13Aの入口部分の空気の温度を検出する。コンプレッサ入口空気圧力検出部1Cは、空気供給流路14A内のうちのコンプレッサ13Aの入口部分の空気の圧力を検出する。コンプレッサ出口空気圧力検出部1Dは、空気供給流路14C内のうちのコンプレッサ13Aの出口部分の空気の圧力を検出する。
焼却炉出口圧力検出部1Eは、排ガス流路17A内のうちの焼却炉11の出口部分の排ガスの圧力を検出する。タービン出口圧力検出部1Fは、排ガス流路17B内のうちのタービン13Bの出口部分の排ガスの圧力を検出する。
有機性廃棄物流量検出部1Gは、有機性廃棄物投入ポンプ12Bによって有機性廃棄物投入流路12Aから焼却炉11に供給される有機性廃棄物の流量(有機性廃棄物投入量の現在値)[t/h]を検出する。流動空気流量検出部1Hは、空気供給流路14Cから焼却炉11に供給される空気の流量を検出する。
【0022】
図1に示す例では、制御部1Jが、例えば流動空気流量偏差[Nm
3/h]、流動空気流量差分[Nm
3/h]、有機性廃棄物投入量目標値変化量[t/h]などの複数の制御パラメータの算出などを行う。制御部1Jは、演算処理部1J1と、有機性廃棄物投入ポンプ制御部1J2と、演算処理部1J3と、バイパス弁制御部1J4とを備えている。
流動空気流量偏差は、空気供給流路14Cから焼却炉11に供給される空気の流量の現在値(流動空気流量検出部1Hによって検出される流量の値)と目標値との差である。流動空気流量差分は、空気供給流路14Cから焼却炉11に供給される空気の流量(流動空気流量検出部1Hによって検出される流量)の所定時間当たりの変化量である。有機性廃棄物投入量目標値変化量は、有機性廃棄物投入流路12Aから焼却炉11に投入される有機性廃棄物の量の目標値の所定時間当たりの変化量である。
【0023】
図1に示す例では、制御部1Kが、制御部1Jによって算出された制御パラメータなどに基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の算出などを行う。制御部1Kは、条件成立判定部1K1と、重み算出部1K2と、開度目標値算出部1K3とを備えている。
設定入力部1Lは、例えば流動焼却システム1のオペレータによる有機性廃棄物投入量の目標値[t/h]などの入力を受け付ける。また、設定入力部1Lは、例えば流動焼却システム1のオペレータによる流動空気流量の目標値(空気供給流路14Cから焼却炉11に供給される空気の流量の目標値)などの入力を受け付ける。詳細には、設定入力部1Lは、流動空気流量の目標値の設定に必要な例えば有機性廃棄物投入量1t/hあたりの流動空気量、最小流動空気量、補正空気流量などの入力を受け付ける。
過給機サージング偏差検出部1Mは、過給機13の現在の状態と過給機13のサージングが発生する状態との差である過給機サージング偏差を検出する。例えば、過給機13の状態が、サージングが発生しやすい状態である場合に、過給機サージング偏差検出部1Mは、小さい値の過給機サージング偏差を検出する。一方、過給機13の状態が、サージングが発生しやすい状態ではない場合に、過給機サージング偏差検出部1Mは、大きい値の過給機サージング偏差を検出する。
【0024】
図2は流動空気流量検出部1Hと設定入力部1Lと有機性廃棄物流量検出部1Gと有機性廃棄物投入ポンプ12Bと排ガスバイパス弁19A、19Bと制御部1J、1Kとの関係の一例を示す図である。
図1および
図2に示す例では、制御部1Jの演算処理部1J1が、流動空気流量検出部1Hによって検出される流動空気流量の現在値と、設定入力部1Lに入力された流動空気流量の目標値との差である流動空気流量偏差[Nm
3/h]を算出する。また、演算処理部1J1は、流動空気流量検出部1Hによって検出される流動空気流量の現在値の所定時間当たりの変化量である流動空気流量差分[Nm
3/h]を算出する。
制御部1Jの有機性廃棄物投入ポンプ制御部1J2は、有機性廃棄物流量検出部1Gによって検出された有機性廃棄物投入量の現在値[t/h]と、設定入力部1Lに入力された有機性廃棄物投入量の目標値[t/h]とに基づいて、有機性廃棄物投入ポンプ12Bの回転数[%]を算出し、有機性廃棄物投入ポンプ12Bの制御を実行する。有機性廃棄物投入ポンプ制御部1J2は、例えば有機性廃棄物流量一定制御を実行する。
制御部1Jの演算処理部1J3は、設定入力部1Lに入力された有機性廃棄物投入量の目標値[t/h]に基づいて、有機性廃棄物投入量目標値変化量[t/h]を算出する。詳細には、演算処理部1J3が、設定入力部1Lに入力された有機性廃棄物投入量の目標値[t/h]に基づいて、有機性廃棄物投入量目標値変化量(有機性廃棄物投入流路12Aから焼却炉11に投入される有機性廃棄物の量の目標値の所定時間当たりの変化量)[t/h]を算出する。
【0025】
図1および
図2に示す例では、制御部1Jのバイパス弁制御部1J4が、制御部1Kによって算出された排ガスバイパス弁19A、19Bの開度に基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの制御を実行する。
制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する条件が成立するか否かを判定する。例えば、条件成立判定部1K1は、制御部1Jの演算処理部1J1によって算出された流動空気流量偏差に基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する条件(第1条件)が成立するか否かを判定する。また、条件成立判定部1K1は、演算処理部1J1によって流動空気流量差分に基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する条件(第2条件)が成立するか否かを判定する。また、条件成立判定部1K1は、制御部1Jの演算処理部1J3によって算出された有機性廃棄物投入量目標値変化量に基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する条件(第3条件)が成立するか否かを判定する。
制御部1Kの重み算出部1K2は、例えば第1条件、第2条件、第3条件などの複数の条件のうちの2つ以上の条件が成立すると条件成立判定部1K1によって判定された場合に、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値の算出に用いられる重みを算出する。
制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、2つ以上の条件が成立すると条件成立判定部1K1によって判定された場合であって、2つ以上の重みが重み算出部1K2によって算出された場合に、重み算出部1K2によって算出された2つ以上の重みに基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値を算出する。詳細には、開度目標値算出部1K3が、重み算出部1K2によって算出された2つ以上の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値として算出する。算出される開度の目標値は、排ガスバイパス弁の開度の値や、現在値の排ガスバイパス弁の開度に対する変化量などである。
【0026】
図3は制御部1Kにおける処理の一例を説明するための図である。
図3に示す例では、制御部1Jの演算処理部1J1によって算出された流動空気流量偏差の値DVが、偏差ゼロに相当する値DVZRよりも小さく、負の値である。つまり、
図3に示す例では、流動空気流量の現在値が、流動空気流量の目標値よりも小さい。
また、
図3に示す例では、流動空気流量偏差に基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する第1条件として、第1−1条件〜第1−6条件のうちの第1−2条件と第1−3条件とが成立する。
詳細には、演算処理部1J1によって算出された流動空気流量偏差の値DVが、値DV2A〜値DV2Bの範囲に含まれるため、条件成立判定部1K1は、第1−2条件が成立すると判定する。また、演算処理部1J1によって算出された流動空気流量偏差の値DVが、値DV3A〜値DV3Bの範囲にも含まれるため、条件成立判定部1K1は、第1−3条件も成立すると判定する。
重み算出部1K2は、成立した第1条件(第1−2条件、第1−3条件)に対応する制御パラメータとしての流動空気流量偏差の値DVに基づいて、重み(第1重み)としての排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP12、VP13を算出する。
詳細には、重み算出部1K2が、流動空気流量偏差の値DVに基づいて、第1−2条件に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP12(<現在値VPZR)を算出する(つまり、値VP12は負の値)。また、重み算出部1K2は、流動空気流量偏差の値DVに基づいて、第1−3条件に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP13(<現在値VPZR)を算出する(つまり、値VP13は負の値)。
【0027】
図3に示す例では、制御部1Jの演算処理部1J1によって算出された流動空気流量差分の値DFが、差分ゼロに相当する値DFZRよりも小さく、負の値である。つまり、
図3に示す例では、流動空気流量が減少中である。
また、
図3に示す例では、流動空気流量差分に基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する第2条件として、第2−1条件〜第2−7条件のうちの第2−1条件と第2−2条件とが成立する。
詳細には、演算処理部1J1によって算出された流動空気流量差分の値DFが、値DF1A〜値DF1Bの範囲に含まれるため、条件成立判定部1K1は、第2−1条件が成立すると判定する。また、演算処理部1J1によって算出された流動空気流量差分の値DFが、値DF2A〜値DF2Bの範囲にも含まれるため、条件成立判定部1K1は、第2−2条件も成立すると判定する。
重み算出部1K2は、成立した第2条件(第2−1条件、第2−2条件)に対応する制御パラメータとしての流動空気流量差分の値DFに基づいて、重み(第2重み)としての排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP21、VP22を算出する。
詳細には、重み算出部1K2が、流動空気流量差分の値DFに基づいて、第2−1条件に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP21(<現在値VPZR)を算出する(つまり、値VP21は負の値)。また、重み算出部1K2は、流動空気流量差分の値DFに基づいて、第2−2条件に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP22(<現在値VPZR)を算出する(つまり、値VP22は負の値)。
【0028】
図3に示す例では、制御部1Jの演算処理部1J3によって算出された有機性廃棄物投入量目標値変化量の値SLが、変化量ゼロに相当する値SLZRよりも大きく、正の値である。つまり、
図3に示す例では、有機性廃棄物投入量目標値が増加中である。
また、
図3に示す例では、有機性廃棄物投入量目標値変化量に基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する第3条件として、第3−1条件〜第3−6条件のうちの第3−3条件が成立する。
詳細には、演算処理部1J3によって算出された有機性廃棄物投入量目標値変化量の値SLが、値SL3A〜値SL3Bの範囲に含まれるため、条件成立判定部1K1は、第3−3条件が成立すると判定する。
重み算出部1K2は、成立した第3条件(第3−3条件)に対応する制御パラメータとしての有機性廃棄物投入量目標値変化量の値SLに基づいて、重み(第3重み)としての排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP33を算出する。
詳細には、重み算出部1K2が、有機性廃棄物投入量目標値変化量の値SLに基づいて、第3−3条件に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP33(≒現在値VPZR)を算出する(つまり、値VP33は概略ゼロ)。
【0029】
図3に示す例では、開度目標値算出部1K3が、重み算出部1K2によって算出された5つの重み(値VP12、値VP13、値VP21、値VP22、値VP33)に基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値VPを算出する。詳細には、開度目標値算出部1K3が、重み算出部1K2によって算出された5つの重みの平均値(=(VP12+VP13+VP21+VP22+VP33)/5)を、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値VPとして算出する(つまり、目標値VPは、現在値より小さい負の値)。
なお、各条件について、複数の制御パラメータを条件としてもよい。例えば、第1条件においては、流動空気流量偏差と他の制御パラメータを条件とし、いずれも成立する条件のみについて、条件成立と判定してもよい。この場合、重み算出部1K2は、成立条件に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値を算出する。
【0030】
図4は有機性廃棄物投入量の目標値と流動空気流量の目標値との関係の一例を示す図である。
図4において、横軸は有機性廃棄物投入量の目標値(負荷率(%))を示しており、縦軸は流動空気流量の目標値を示している。
例えば
図3に示す排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VP33は、
図4に示す関係に基づいて設定されている。
図4に示す例では、設定入力部1Lに入力された「最小流動空気量」の値に基づいて、
図4中の「最小流動空気量」の値が設定されている。そのため、負荷率が例えば10(%)のような有機性廃棄物投入量の目標値が小さい場合においても、流動空気流量の目標値が、
図4中の破線上の値よりも大きい「最小流動空気量」に設定され、流動化に必要な最小空気量が確保される。
また、
図4に示す例では、設定入力部1Lに入力された「補正空気流量」の値に基づいて、
図4中の「補正空気流量」の値が設定されている。
図4に破線で示すように、流動空気流量の目標値は、基本的に、有機性廃棄物投入量の目標値が増加するに従って増加する。つまり、有機性廃棄物投入量の目標値と流動空気流量の目標値とが比例関係を有する。
詳細には、
図4に示す例では、「設定刻み幅」が設定され、流動空気流量の目標値が設定刻み幅の値ずつステップ状に増加するように、有機性廃棄物投入量の目標値と流動空気流量の目標値との関係が設定されている。
【0031】
図5は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第1例を示す図である。
図5において、縦軸は、流動空気流量検出部1Hによって検出された流動空気流量の検出値(「流動空気量PV」)と、設定入力部1Lに入力された流動空気流量の目標値(「流動空気量SV」)と、制御部1Kの開度目標値算出部1K3によって算出された排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値(「常用時排ガスバイパス弁開度」)とを示している。横軸は時間(時刻)を示している。
図5に示す例では、時刻t1〜時刻t2の期間中、制御部1Jの演算処理部1J1によって算出される流動空気流量偏差と流動空気流量差分とが概略ゼロになる。また、図示しないが、制御部1Jの演算処理部1J3によって算出される有機性廃棄物投入量目標値変化量が概略ゼロになる。
その結果、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
図5に示すように、時刻t1〜時刻t2の期間中、開度目標値算出部1K3は、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として、概略一定値を算出する。
【0032】
図5に示す例では、時刻t2〜時刻t3の期間中、流動空気量PVと流動空気量SVとが、概略一致しつつ、増加する。そのため、演算処理部1J1によって算出される流動空気流量偏差が概略ゼロになると共に、流動空気流量差分が正の値になる。また、図示しないが、制御部1Jの演算処理部1J3によって算出される有機性廃棄物投入量目標値変化量が概略ゼロになる。
その結果、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
図5に示すように、時刻t2〜時刻t3の期間中、開度目標値算出部1K3によって算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値が、減少する。そのため、タービン13Bに流れる排ガス量が増加し、過給機13の回転数が増加する。その結果、増加する流動空気量SVに追従して、流動空気量PVも増加する。
つまり、
図5に示す例では、流動空気流量偏差および流動空気流量差分の値に応じて、排ガスバイパス弁19Bの開度が適切に制御されている。
【0033】
図6は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第2例を示す図である。
図6において、縦軸は、制御部1Kの開度目標値算出部1K3によって算出された排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値(「常用時排ガスバイパス弁開度」)と、流動空気流量検出部1Hによって検出された流動空気流量の検出値(「流動空気量PV」)と、設定入力部1Lに入力された流動空気流量の目標値(「空気量SV」)と、設定入力部1Lに入力された有機性廃棄物投入量の目標値(「有機性廃棄物投入量目標値」)とを示している。横軸は時間(時刻)を示している。
図6に示す例では、時刻t11〜時刻t12の期間中、流動空気量PVが流動空気量SVよりも大きい。そのため、演算処理部1J1によって算出される流動空気流量偏差が正の値になる。
また、時刻t11〜時刻t12の期間中、流動空気量PVが増加する。そのため、演算処理部1J1によって算出される流動空気流量差分も正の値になる。
一方、時刻t11〜時刻t12の期間中、有機性廃棄物投入量目標値が減少する。そのため、演算処理部1J3によって算出される有機性廃棄物投入量目標値変化量が負の値になる。
その結果、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
図6に示す例では、時刻t11〜時刻t12の期間中、流動空気流量偏差、流動空気流量差分および有機性廃棄物投入量目標値変化量の値に応じて、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として、適切な値が算出される。そのため、オペレータによる排ガスバイパス弁19Bの開度の調整作業が行われることなく、排ガスバイパス弁19Bの開度が適切に制御される。
【0034】
詳細には、
図6に示す例では、時刻t11〜時刻t12の期間中、有機性廃棄物投入量目標値の減少に伴って、流動空気量SVが減少する。また、流動空気量PVが流動空気量SVよりも大きい。そのため、排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が実行される。
一方、有機性廃棄物投入量目標値が減少しているため、仮に、有機性廃棄物投入量目標値が変化していない場合と同様に排ガスバイパス弁19Bの開度を増加すると、流動空気量PVが過剰に少なくなってしまうおそれがある。
そこで、第1実施形態の流動焼却システム1では、有機性廃棄物投入量目標値の減少に伴ってタービン13Bに流れる排ガス量も減少することが考慮され、有機性廃棄物投入量目標値が変化していない場合よりも緩やかに排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が実行される。
その結果、
図6に示す例では、オペレータによる排ガスバイパス弁19Bの開度の調整作業が行われることなく、排ガスバイパス弁19Bの開度が適切に制御される。
【0035】
図7は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第3例などを示す図である。
詳細には、
図7(A)は過給機13の現在の状態、過給機13のサージングが発生する状態などを説明するための図である。
図7(A)において、縦軸は圧力比(コンプレッサ出口空気圧力検出部1Dによって検出される圧力P2と、コンプレッサ入口空気圧力検出部1Cによって検出される圧力P1との比(P2/P1))を示しており、横軸は過給機13のコンプレッサ13Aを通過する空気の流量Fを示している。
図7(A)中の「サージング領域」は、過給機13のサージングが発生するおそれがある過給機13の運転領域を示しており、過給機13のサージングが発生する状態に相当する。
図7(A)中の「過給機コンプレッサ動作点」は、過給機13の現在の状態に相当する。
図7(A)中の実線の曲線は、「サージング領域」を画定するサージング予測線を示している。
図7(A)中の破線の曲線は、「サージング余裕空気量(目標値)」を示している。
図7(A)中の「サージング余裕空気量PV」は、過給機13の現在の状態と過給機13のサージングが発生する状態との差である過給機サージング偏差に相当する。上述したように、
図1に示す例では、過給機サージング偏差検出部1Mが過給機サージング偏差を検出する。
図2に示す例では、過給機サージング偏差検出部1Mによって検出された過給機サージング偏差が、「その他入力信号」として制御部1Kに入力される。
【0036】
図7(B)は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第3例を示す図である。
図7(B)において、縦軸は、流動空気流量検出部1Hによって検出された流動空気流量の検出値(「流動空気量PV」)と、設定入力部1Lに入力された流動空気流量の目標値(「流動空気量SV」)と、制御部1Kの開度目標値算出部1K3によって算出された排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値(「常用時排ガスバイパス弁開度」)とを示している。横軸は時間(時刻)を示している。
図7(B)に示す例では、時刻t21〜時刻t22の期間中、過給機サージング偏差検出部1Mによって検出された過給機サージング偏差が閾値以下になる。
制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
詳細には、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、過給機サージング偏差検出部1Mによって検出された過給機サージング偏差に基づいて排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する条件を含む複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、過給機サージング偏差に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、過給機サージング偏差に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
その結果、
図7(B)に示す例では、時刻t21〜時刻t22の期間中、排ガスバイパス弁19Bの開度を減少する制御が実行される。
【0037】
詳細には、
図7(B)に示す例では、流動空気量PVおよび流動空気量SVが減少し、
図7(A)中の「過給機コンプレッサ動作点」がサージング予測線に接近する時刻t21に、サージング回避制御(排ガスバイパス弁19Bの開度を減少する制御)が開始される。排ガスバイパス弁19Bの開度が約20%減少することによって、「過給機コンプレッサ動作点」がサージング予測線から離間し、過給機13のサージングが回避される。
【0038】
図8は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第4例を示す図である。
図8において、縦軸は、制御部1Kの開度目標値算出部1K3によって算出された排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値(「常用時排ガスバイパス弁開度」)と、流動空気流量検出部1Hによって検出された流動空気流量の検出値(「流動空気量PV」)と、炉内圧検出部1Aによって検出された焼却炉11の内部の圧力である炉内圧(「炉内圧力」)と、設定入力部1Lに入力された流動空気流量の目標値(「流動空気量SV」)とを示している。横軸は時間(時刻)を示している。
図8に示す例では、時刻t31〜時刻t32の期間中、炉内圧検出部1Aによって検出された炉内圧と、炉内圧上限値(図示せず)との差が閾値以下になる。炉内圧検出部1Aによって検出された炉内圧は、「その他入力信号」(
図2参照)として制御部1Kに入力される。
制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
詳細には、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、炉内圧検出部1Aによって検出された炉内圧に基づいて排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する条件を含む複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、炉内圧に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、炉内圧に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
その結果、
図8に示す例では、時刻t31〜時刻t32の期間中、排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が実行される。
【0039】
詳細には、
図8に示す例では、炉内圧検出部1Aによって検出される炉内圧が炉内圧上限値に接近する時刻t31に、空気量上昇抑制制御(排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御)が開始される。
流動空気量PVが流動空気量SVより低いため、通常時であれば、時刻t31に排ガスバイパス弁19Bの開度を減少する制御が開始されるが、
図8に示す例では、炉内圧が炉内圧上限値に接近しているため、時刻t31に排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が開始される。
【0040】
図9は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第5例を示す図である。
図9において、縦軸は、流動空気流量検出部1Hによって検出された流動空気流量の検出値(「流動空気量PV」)と、制御部1Kの開度目標値算出部1K3によって算出された排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値(「常用時排ガスバイパス弁開度」)と、過給機13の回転数(「過給機回転数」)と、ブロワ15の回転数(「ブロワ回転数」)とを示している。横軸は時間(時刻)を示している。
図9に示す例では、時刻t40以降の期間中、ブロワ15が、作動し、空気を過給機13のコンプレッサ13Aに供給する。ブロワ15の回転数は、「その他入力信号」(
図2参照)として制御部1Kに入力される。
制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
詳細には、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、ブロワ15の回転数に基づいて排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する条件を含む複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、ブロワ15の回転数に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、ブロワ15の回転数に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
その結果、
図9に示す例では、時刻t41〜時刻t43の期間中、排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が実行される。
【0041】
詳細には、
図9に示す例では、ブロワ15の回転数が30%に相当する回転数になる時刻t41に、過給機回転数減速制御(排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御)が開始され、排ガスバイパス弁19Bの開度が少しずつ増加する。
次いで、ブロワ15の回転数が45%に相当する回転数になる時刻t42に、排ガスバイパス弁19Bの開度の増加速度が上昇する。その結果、過給機13の回転数が減少する。一方、流動空気量PVの大きい変動は生じない。
次いで、時刻t43に、ブロワ15による流量一定制御に切り替えられる。
【0042】
自立解除時(常圧復帰工程)においては過給機13の回転数を減少するために排ガスバイパス弁19Bの開度を増加するが、仮に、ブロワ15の回転数が低く、ブロワ15から過給機13のコンプレッサ13Aに供給される空気量が少ない場合には、流量制御の対象が過給機13からブロワ15に引き継がれないおそれがある。
その点に鑑み、第1実施形態の流動焼却システム1では、
図9に示すように、ブロワ15の回転数を増加すると共に、排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が実行される。
【0043】
図10は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第6例を示す図である。
図10において、縦軸は、制御部1Kの開度目標値算出部1K3によって算出された排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値(「常用時排ガスバイパス弁開度」)と、大気吸込弁16の開度(「大気吸込弁開度」)と、流動空気流量検出部1Hによって検出された流動空気流量の検出値(「流動空気量PV」)と、設定入力部1Lに入力された流動空気流量の目標値(「流動空気量SV」)とを示している。横軸は時間(時刻)を示している。
図10に示す例では、時刻t51〜時刻t52の期間中、大気吸込弁16の開度が増加しており、大気吸込弁16の開度が最大開度よりも小さい。大気吸込弁16の開度は、「その他入力信号」(
図2参照)として制御部1Kに入力される。
制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、複数の条件に対応する複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
詳細には、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、大気吸込弁16の開度に基づいて排ガスバイパス弁19Bの開度を算出する条件を含む複数の条件(図示せず)が成立すると判定する。また、制御部1Kの重み算出部1K2は、大気吸込弁16の開度に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重み(図示せず)を算出する。また、制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、大気吸込弁16の開度に基づいて算出される排ガスバイパス弁19Bの開度の値(重み)を含む複数の重みの平均値を、排ガスバイパス弁19Bの開度の目標値として算出する。
その結果、
図10に示す例では、時刻t51〜時刻t52の期間中、排ガスバイパス弁19Bの開度の増加を抑制し、空気量のゆらぎを最小限に抑制する制御が実行される。
【0044】
詳細には、
図10に示す例では、時刻t51に大気吸込弁16の開度を増加する制御が開始される。それに伴って、流動空気量PVが、増加し、流動空気量SVより大きくなる。仮に、時刻t51〜時刻t52の期間中に、排ガスバイパス弁19Bの開度を増加する制御が実行されると、大気吸込弁16の開度の増加に伴う流動空気量PVの増加と、排ガスバイパス弁19Bの開度の増加に伴う流動空気量PVの増加とが重複し、流動空気量PVが過剰に増加するおそれがある。
その点に鑑み、第1実施形態の流動焼却システム1では、
図10に示すように、時刻t51〜時刻t52の期間中に、排ガスバイパス弁19Bの開度の増加が抑制される(詳細には、排ガスバイパス弁19Bの開度が増加しない)。その結果、時刻t51〜時刻t52の期間中、および、それ以降の期間中に、流動空気量PVが大きく変動するおそれを抑制することができる。
【0045】
図11は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の第7例を示す図である。
図11に示す例では、制御部1Kの重み算出部1K2が、
図5に示す例と同様に、流動空気流量偏差の値および流動空気流量差分の値に基づいて、流動空気量一定制御結果に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VPA(<現在値VPZR)を算出する(つまり、値VPAは負の値)。
また、重み算出部1K2が、
図7(B)に示す例と同様に、過給機サージング偏差に基づいて、サージング回避制御結果に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VPB(<現在値VPZR)を算出する(つまり、値VPBは負の値)。
また、重み算出部1K2が、
図8に示す例と同様に、炉内圧に基づいて、炉内圧力上昇回避制御結果に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VPC(≒現在値VPZR)を算出する(つまり、値VPCは概略ゼロ)。
また、重み算出部1K2が、
図6に示す例と同様に、流動空気流量偏差、流動空気流量差分および有機性廃棄物投入量目標値変化量に基づいて、有機性廃棄物投入量目標値変化時の制御乱れ回避制御結果に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VPD(>現在値VPZR)を算出する(つまり、値VPDは正の値)。
また、重み算出部1K2が、
図9に示す例と同様に、ブロワ15の回転数に基づいて、自立解除時のブロワ回転数に応じた過給機回転数減速制御結果に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VPE(>現在値VPZR)を算出する(つまり、値VPEは正の値)。
また、重み算出部1K2が、
図10に示す例と同様に、大気吸込弁16の開度に基づいて、自立切替時の大気吸込弁開度に応じた流量乱れ回避制御結果に対応する重みとして、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の値VPF(≒現在値VPZR)を算出する(つまり、値VPFは概略ゼロ)。
【0046】
また、
図11に示す例では、開度目標値算出部1K3が、重み算出部1K2によって算出された6つの重み(値VPA、値VPB、値VPC、値VPD、値VPE、値VPF)に基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値VPを算出する。詳細には、開度目標値算出部1K3が、重み算出部1K2によって算出された6つの重みの平均値(=(VPA+VPB+VPC+VPD+VPE+VPF)/6)を、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値VPとして算出する(つまり、目標値VPは、現在値より小さい負の値)。
【0047】
図12は第1実施形態の流動焼却システム1によって実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。
図12に示す例では、ステップS1において、設定入力部1Lが、流動空気流量の目標値、有機性廃棄物投入量の目標値などの入力を受け付ける。
また、ステップS2では、流動空気流量検出部1Hによる流動空気流量の現在値の検出、有機性廃棄物流量検出部1Gによる有機性廃棄物投入量の現在値の検出などが実行される。
次いで、ステップS3では、制御部1Jの演算処理部1J1が、ステップS1において入力された流動空気流量の目標値と、ステップS2において検出された流動空気流量の現在値との差である流動空気流量偏差を、制御パラメータとして算出する。
また、ステップS3では、演算処理部1J1が、ステップS2において検出された流動空気流量の現在値の所定時間当たりの変化量である流動空気流量差分を、制御パラメータとして算出する。
また、ステップS4では、制御部1Jの演算処理部1J3が、ステップS1において入力された有機性廃棄物投入量の目標値に基づいて、制御パラメータとしての有機性廃棄物投入量目標値変化量を算出する。
また、ステップS5では、過給機サージング偏差などの入力信号(制御パラメータ)が、制御部1Kに入力される。
次いで、ステップS6では、制御部1Kが、ステップS3、S4において算出された制御パラメータと、S5において入力された制御パラメータとに基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の算出などを行う。
【0048】
詳細には、ステップS61において、制御部1Kの条件成立判定部1K1は、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度を算出する条件が成立するか否かの判定を実行する。
次いで、ステップS62では、制御部1Kの重み算出部1K2が、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値の算出に用いられる重みを算出する。
次いで、ステップS63では、制御部1Kの開度目標値算出部1K3が、ステップS62において算出された2つ以上の重みに基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値を算出する。
次いで、ステップS7では、制御部1Jのバイパス弁制御部1J4が、ステップS63において算出された排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値に基づいて、排ガスバイパス弁19A、19Bの制御を実行する。
また、ステップS7では、制御部1Jの有機性廃棄物投入ポンプ制御部1J2による有機性廃棄物投入ポンプ12Bの制御などが実行される。
【0049】
上述したように、第1実施形態の流動焼却システム1では、
図6に示す例のように、有機性廃棄物投入量目標値の変化が考慮されて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値が算出される。そのため、有機性廃棄物投入量目標値が変化する場合であっても、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値を適切に算出することができる。
つまり、第1実施形態の流動焼却システム1では、有機性廃棄物投入量目標値の変化が考慮されることなく排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値が算出される場合に有機性廃棄物投入量目標値が変動する度にオペレータによって行われていた排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の調整作業を不要にすることができる。
すなわち、第1実施形態の流動焼却システム1では、有機性廃棄物投入量目標値の変化が考慮されることなく排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値が算出される場合よりも、有機性廃棄物投入量目標値の変動時のオペレータの手間を低減することができる。
【0050】
また、第1実施形態の流動焼却システム1では、
図11に示す例のように、有機性廃棄物投入量目標値変化量を含む複数の制御パラメータのそれぞれが考慮されて、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値が算出される。
詳細には、第1実施形態の流動焼却システム1では、複数の制御パラメータが考慮されて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値が算出される場合に、複数の制御パラメータに基づいて複数の重み(例えば値VPA、値VPB、値VPC、値VPD、値VPE、値VPF)が算出され、複数の重みに基づいて排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値(例えば目標値VP)が算出される。
そのため、第1実施形態の流動焼却システム1では、複数の重みが考慮されない場合よりも、排ガスバイパス弁19A、19Bの開度の目標値を適切に算出することができる。
【0051】
<第2実施形態>
以下、本発明の流動焼却システムおよび流動焼却システムの制御方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の流動焼却システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の流動焼却システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の流動焼却システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の流動焼却システム1と同様の効果を奏することができる。
【0052】
図13は第2実施形態の流動焼却システム1の概要の一例を示す図である。
上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路18A、18Bと、過給機回転数制御弁として機能する排ガスバイパス弁19A、19Bとを備えている。
一方、
図13に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路18A、18Bと排ガスバイパス弁19A、19Bとを備えておらず、代わりに、空気バイパス流路18Cと、過給機回転数制御弁として機能する空気バイパス弁19Cとを備えている。
空気バイパス流路18Cは、焼却炉11に供給される空気が過給機13のコンプレッサ13Aをバイパスするための流路であり、逆流を防ぐため逆止弁が備えられている(図示しない)。
空気バイパス弁19Cは、空気バイパス流路18C上に配置されている。
【0053】
図13に示す例では、制御部1Kが、制御部1Jによって算出された制御パラメータなどに基づいて空気バイパス弁19Cの開度の算出などを行う。制御部1Jのバイパス弁制御部1J4は、制御部1Kによって算出された空気バイパス弁19Cの開度に基づいて、空気バイパス弁19Cの制御を実行する。
制御部1Kの条件成立判定部1K1は、空気バイパス弁19Cの開度を算出する条件が成立するか否かを判定する。例えば、条件成立判定部1K1は、制御部1Jの演算処理部1J1によって算出された流動空気流量偏差に基づいて空気バイパス弁19Cの開度を算出する条件(第1条件)が成立するか否かを判定する。また、条件成立判定部1K1は、演算処理部1J1によって流動空気流量差分に基づいて空気バイパス弁19Cの開度を算出する条件(第2条件)が成立するか否かを判定する。また、条件成立判定部1K1は、制御部1Jの演算処理部1J3によって算出された有機性廃棄物投入量目標値変化量に基づいて空気バイパス弁19Cの開度を算出する条件(第3条件)が成立するか否かを判定する。
制御部1Kの重み算出部1K2は、例えば第1条件、第2条件、第3条件などの複数の条件のうちの2つ以上の条件が成立すると条件成立判定部1K1によって判定された場合に、空気バイパス弁19Cの開度の目標値の算出に用いられる重みを算出する。
制御部1Kの開度目標値算出部1K3は、2つ以上の条件が成立すると条件成立判定部1K1によって判定された場合であって、2つ以上の重みが重み算出部1K2によって算出された場合に、重み算出部1K2によって算出された2つ以上の重みに基づいて、空気バイパス弁19Cの開度の目標値を算出する。詳細には、開度目標値算出部1K3が、重み算出部1K2によって算出された2つ以上の重みの平均値を、空気バイパス弁19Cの開度の目標値として算出する。
【0054】
<第3実施形態>
以下、本発明の流動焼却システムおよび流動焼却システムの制御方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の流動焼却システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の流動焼却システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の流動焼却システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の流動焼却システム1と同様の効果を奏することができる。
【0055】
図14は第3実施形態の流動焼却システム1の概要の一例を示す図である。
上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、空気供給流路14A、14B、14Cを備えている。
一方、
図14に示す例では、流動焼却システム1が、空気供給流路14Cを備えておらず、代わりに、空気供給流路14D、14Eを備えている。
また、上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガス流路17A、17Bを備えている。
一方、
図14に示す例では、流動焼却システム1が、排ガス流路17A、17Bを備えておらず、代わりに、排ガス流路17Cを備えている。
また、上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路18A、18Bを備えている。
一方、
図14に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路18A、18Bを備えておらず、代わりに、排ガスバイパス流路18Dを備えている。
また、上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス弁19A、19Bを備えている。
一方、
図14に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス弁19A、19Bを備えておらず、代わりに、排ガスバイパス弁19Dを備えている。更に、流動焼却システム1は、熱交換器1Xを備えている。
【0056】
図14に示す例では、空気供給流路14A、14B、14D、14Eが、有機性廃棄物の焼却に用いられる空気を焼却炉11に供給するための流路である。空気供給流路14Dの一端は、コンプレッサ13Aと接続し、空気供給流路14Dは、空気供給流路14Aの反対側に延びている。つまり、コンプレッサ13Aは、空気供給流路14A、14D上に配置されている。空気供給流路14Dの他端は、タービン13Bと接続している。
空気供給流路14Eの一端は、タービン13Bと接続し、空気供給流路14Eは、空気供給流路14Dの反対側に延びている。つまり、タービン13Bは、空気供給流路14D、14E上に配置されている。空気供給流路14Eの他端は、焼却炉11と接続している。
【0057】
図14に示す例では、排ガス流路17Cが、有機性廃棄物の焼却により生じた排ガスを焼却炉11から排出するための流路である。
熱交換器1Xでは、排ガス流路17Cを流れる排ガスと、空気供給流路14Dを流れる空気との間の熱交換が行われる。その結果、空気供給流路14Dを流れる空気が加熱され、その熱によって、タービン13Bが駆動される。
排ガスバイパス流路18Dは、焼却炉11から排出された排ガスが熱交換器1Xをバイパスするための流路である。排ガスバイパス流路18Dは、排ガス流路17Cに並列に接続されている。
排ガスバイパス弁19Dは、排ガスバイパス流路18D上に配置されている。
なお、
図14に示す例では、焼却炉11から排出され、排ガスバイパス流路18Dまたは熱交換器1Xを通過した排ガスは、誘引ファンによって吸引される。このとき、焼却炉11の内部の圧力は負圧となっていても良い。
【0058】
図14に示す例では、排ガスバイパス弁19Dの開度が増加すると、タービン13Bに供給される空気の温度が低下する。その結果、タービン13Bの回転数が減少し、流動空気量(焼却炉11に供給される空気の流量)が減少する。
一方、排ガスバイパス弁19Dの開度が減少すると、タービン13Bに供給される空気の温度が上昇する。その結果、タービン13Bの回転数が増加し、流動空気量が増加する。
【0059】
<第4実施形態>
以下、本発明の流動焼却システムおよび流動焼却システムの制御方法の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の流動焼却システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の流動焼却システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の流動焼却システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の流動焼却システム1と同様の効果を奏することができる。
【0060】
図15は第4実施形態の流動焼却システム1の概要の一例を示す図である。
上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、空気供給流路14A、14B、14Cを備えている。
一方、
図15に示す例では、流動焼却システム1が、空気供給流路14Cを備えておらず、代わりに、空気供給流路14D、14Eを備えている。
また、上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガス流路17A、17Bを備えている。
一方、
図15に示す例では、流動焼却システム1が、排ガス流路17A、17Bを備えておらず、代わりに、排ガス流路17Cを備えている。
また、上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路18A、18Bを備えている。
一方、
図15に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス流路18A、18Bを備えておらず、代わりに、空気バイパス流路18Eを備えている。
また、上述したように、
図1に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス弁19A、19Bを備えている。
一方、
図15に示す例では、流動焼却システム1が、排ガスバイパス弁19A、19Bを備えておらず、代わりに、空気バイパス弁19Eを備えている。更に、流動焼却システム1は、熱交換器1Xを備えている。
【0061】
図15に示す例では、空気供給流路14A、14B、14D、14Eが、有機性廃棄物の焼却に用いられる空気を焼却炉11に供給するための流路である。空気供給流路14Dの一端は、コンプレッサ13Aと接続し、空気供給流路14Dは、空気供給流路14Aの反対側に延びている。つまり、コンプレッサ13Aは、空気供給流路14A、14D上に配置されている。空気供給流路14Dの他端は、タービン13Bと接続している。
空気供給流路14Eの一端は、タービン13Bと接続し、空気供給流路14Eは、空気供給流路14Dの反対側に延びている。つまり、タービン13Bは、空気供給流路14D、14E上に配置されている。空気供給流路14Eの他端は、焼却炉11と接続している。
【0062】
図15に示す例では、排ガス流路17Cが、有機性廃棄物の焼却により生じた排ガスを焼却炉11から排出するための流路である。
熱交換器1Xでは、排ガス流路17Cを流れる排ガスと、空気供給流路14Dを流れる空気との間の熱交換が行われる。その結果、空気供給流路14Dを流れる空気が加熱され、その熱によって、タービン13Bが駆動される。
空気バイパス流路18Eは、空気供給流路14Dを流れる空気がタービン13Bをバイパスするための流路である。空気バイパス流路18Eは、空気供給流路14D、14Eに並列に接続されている。
空気バイパス弁19Eは、空気バイパス流路18E上に配置されている。
なお、
図15に示す例では、焼却炉11から排出され、熱交換器1Xを通過した排ガスは、誘引ファンによって吸引される。このとき、焼却炉11の内部の圧力は負圧となっていても良い。
【0063】
図15に示す例では、空気バイパス弁19Eの開度が増加すると、タービン13Bに供給される空気量が減少し、タービン13Bの回転数が減少する。つまり、コンプレッサ13Aの回転数も減少する。その結果、流動空気量(焼却炉11に供給される空気の流量)が減少する。
一方、空気バイパス弁19Eの開度が減少すると、タービン13Bに供給される空気量が増加し、タービン13Bの回転数が増加する。つまり、コンプレッサ13Aの回転数も増加する。その結果、流動空気量が増加する。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。