特許第6937794号(P6937794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石川島建材工業株式会社の特許一覧

特許6937794地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法
<>
  • 特許6937794-地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法 図000002
  • 特許6937794-地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法 図000003
  • 特許6937794-地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法 図000004
  • 特許6937794-地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法 図000005
  • 特許6937794-地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937794
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   F24T 10/15 20180101AFI20210909BHJP
   F03G 4/00 20060101ALI20210909BHJP
   F16L 21/035 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   F24T10/15
   F03G4/00 501
   F16L21/035
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-82055(P2019-82055)
(22)【出願日】2019年4月23日
(65)【公開番号】特開2020-180715(P2020-180715A)
(43)【公開日】2020年11月5日
【審査請求日】2020年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】若林 正憲
(72)【発明者】
【氏名】塩入 志緒里
(72)【発明者】
【氏名】金子 研一
(72)【発明者】
【氏名】峯▲崎▼ 晃洋
(72)【発明者】
【氏名】三上 恭伸
(72)【発明者】
【氏名】久米 毅志
(72)【発明者】
【氏名】内藤 泰文
(72)【発明者】
【氏名】増田 宏
(72)【発明者】
【氏名】守谷 憲和
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−010761(JP,U)
【文献】 特開2013−148256(JP,A)
【文献】 特開昭58−018044(JP,A)
【文献】 特開2012−047407(JP,A)
【文献】 特開2014−005983(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/157875(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/196571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24T 10/15
F03G 4/00
F16L 21/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配設されていて熱交換用の熱媒を流通させる配管と、
前記筐体の端面に開口する前記配管の端部に設けられていて、前記端面に対向配置される他の前記筐体の前記端面に開口する前記配管内に挿入されることで、他の前記筐体の前記配管と連結可能な前記配管の連結部と、
を備えたことを特徴とする地熱交換用セグメント。
【請求項2】
内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設されていて一端部に前記熱媒の取り出し口または戻し口となる口部を備えた複数の第一セグメントと、
前記第一セグメントの間に連結された連結セグメントと、を備え、
前記第一セグメント及び前記連結セグメントがリング状に配設され、周囲の地熱と熱交換された前記第一セグメント内の配管の熱媒を前記取り出し口となるいずれか1つの口部から取り出しでき、
前記第一セグメント同士が、対向配置される端面に開口する前記配管内に挿入されて熱媒を流通可能なジョイントによって連結されている、
ことを特徴とする地熱交換装置。
【請求項3】
内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設されていて一端部に前記熱媒の取り出し口または戻し口となる口部を備えた複数の第一セグメントと、
前記第一セグメントの配管に連結されていて内部に熱交換用の熱媒を流通させ且つ両端が開口する前記配管が水平方向に配設された第二セグメントと、
前記第一セグメントの間に連結された連結セグメントと、を備え、
前記第一セグメント、前記第二セグメント及び前記連結セグメントがリング状に配設され、周囲の地熱と熱交換された前記第一セグメント内の配管の熱媒を前記取り出し口となるいずれか1つの口部から取り出しでき、
前記第二セグメント同士及び前記第一セグメント及び第二セグメント内に設けられた前記配管同士が、対向配置される端面に開口する前記配管内に挿入されて熱媒を流通可能なジョイントによって連結されている、
ことを特徴とする地熱交換装置。
【請求項4】
地中熱の高い地層の領域で、内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設されていて一端部に前記熱媒の取り出し口または戻し口となる口部を備えた2つの第一セグメントのうちの一方のセグメントの端面に開口する配管に連結されたジョイントに他方のセグメントを相対移動させて他方のセグメントの端面に開口する配管内に前記ジョイントを押し込むことで、前記一方のセグメントの配管と前記他方のセグメントの配管とを連結させる工程と、
前記第一セグメントの間に形成された空間内に、連結セグメントを連結させることで前記第一セグメントと前記連結セグメントとをリング状に連結する工程と、
を有することを特徴とする地熱交換装置の組み立て方法。
【請求項5】
地中熱の高い地層の領域で、内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設されていて一端部に前記熱媒の取り出し口または戻し口となる口部を備えた2つの第一セグメントと、内部に熱交換用の熱媒を流通させ且つ両端が開口する前記配管が水平方向に配設された2つの第二セグメントとを用意し、1つの前記第一セグメントと1つの前記第二セグメントとを対象とし、残りの1つの前記第一セグメントと残りの1つの前記第二セグメントとを対象とし、または2つの前記第二セグメントを対象として、一方のセグメントの端面に開口する配管に連結されたジョイントに他方のセグメントを相対移動させて他方のセグメントの端面に開口する配管内に前記ジョイントを押し込むことで、前記一方のセグメントの配管と前記他方のセグメントの配管とを連結させる工程と、
前記第一セグメントの間に形成された空間内に、連結セグメントを連結させることで前記第一セグメントと前記第二セグメントと前記連結セグメントとをリング状に連結する工程と、
を有することを特徴とする地熱交換装置の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地中熱の高い地層に埋設して、熱交換器としての配管内を流通する熱媒を高温の地層と熱交換することで採熱して地熱を利用する地熱交換用セグメントと地熱交換装置及びその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、山間地に構築される送電用鉄塔や橋梁の基礎杭(深礎杭)を利用して対地熱交換器を地中に埋設し、その対地熱交換器内を通過する熱媒を高温の周囲地層と熱交換させることで周囲の地層から採熱する熱交換システムが知られている。採熱した熱エネルギーは、蒸気や熱水等の熱媒を用いて地上に取り出し、橋梁路面や道路路面の融雪設備、農業用ハウスの暖房設備、建築物の暖房設備や、地熱発電等に利用されている。
例えば特許文献1に記載された対地熱交換装置では、地すべり抑止杭を施設した地すべり危険地に、熱媒を通過させるU字管状の対地熱交換器を地すべり抑止杭内に配設している。そして、高温の周囲地層と対地熱交換器内の熱媒とを熱交換して熱媒を地上に取り出して融雪設備等に利用している。
【0003】
また、特許文献2に記載された地熱発電システムでは、地中に埋設した外管を通して地熱の層から採熱して地熱発電等に再利用する地熱回収装置が提案されている。この地熱回収装置では、地中に埋設された外管内に3本以上のU字状内管が互いに交差させて配設されている。U字状内管内の蒸気や熱水等の熱媒を地中の地熱と熱交換して地上に搬送し、地熱発電装置に用いている。
3本のU字状内管は外管内で重力方向と周方向に位置を変えて重ねて配管させている。また、これら地すべり抑止杭は内径1m〜1.5m程度の小径であるため、U字状内管は3本程度しか配設できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−235957号公報
【特許文献2】特開2017−210888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された対地熱交換装置や地熱回収装置等では、地中熱の高い地層が地下深部に存在していると、地上から地下深部にまで配設するU字状管が長くなる。その場合、地下深部で熱交換した熱媒がU字状管内を地上まで上昇する間に温度低下を生じるため熱効率が悪かった。しかも、U字状管は地中熱の高い地層の領域で略U字状に湾曲している管体部分だけで地熱との間で熱交換するため、熱交換できる領域の面積が小さく、この点でも熱効率が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、地熱を効率よく熱交換して効率的に利用できるようにした地熱交換用セグメントと、地熱交換装置及びその組み立て方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による地熱交換用セグメントは、筐体と、筐体の内部に配設されていて熱交換用の熱媒を流通させる配管と、筐体に設けられていて他の筐体の配管と連結可能な配管の連結部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、地熱交換用セグメントの筐体内に設けた配管を配設したために地熱の熱変換効率が良い。しかも、配管は地熱交換用セグメントの筐体内に配設されているために取付けと取り外しが容易で組立コストが低廉になる。
【0008】
本発明による地熱交換装置は、内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設されていて一端部に熱媒の取り出し口を備えた複数の第一セグメントと、第一セグメントの間に連結された連結セグメントとを備え、第一セグメント及び連結セグメントがリング状に配設され、周囲の地熱と熱交換された第一セグメント内の配管の熱媒を取り出し口から取り出しできることを特徴とする。
本発明によれば、地熱交換装置は第一セグメント及び連結セグメントがリング状に配設されているため、地熱交換装置の周囲に設けられた地中熱の高い地層との間で配管内の熱媒と地熱とを効率よく熱交換できる。
【0009】
また、第一セグメントの配管に連結されていて内部に熱交換用の熱媒を流通させ且つ両端が開口する配管が水平方向に配設された第二セグメントを備えていることが好ましい。
地熱交換装置は第一セグメントの配管と第二セグメントの配管が略リング状に配設されているため、配管内の熱媒とその周囲の高温の地層との間で効率よく熱交換できる。
【0010】
また、第一セグメント同士、または第二セグメント同士及び第一セグメント及び第二セグメント内に設けられた配管同士が熱媒を流通可能なジョイントによって連結されていてもよい。
第一セグメント同士、または第二セグメント同士及び第一セグメント及び第二セグメント内の配管をジョイントによって容易に連結することができて熱媒の流通性がよい。
【0011】
また、連結セグメントは、第一セグメントの間に連結されていることが好ましい。
第一セグメントは配管の取り出し口を有しているため、配管を設けない連結セグメントを最後に容易に取り付けることができてリング状に形成できる。
【0012】
本発明による地熱交換装置の組み立て方法は、地中熱の高い地層の領域で、内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設されていて熱媒の取り出し口を備えた第一セグメントと、内部に熱交換用の熱媒を流通させる配管が水平方向に配設された第二セグメントとの間で、一方のセグメントの配管に連結されたジョイントに他方のセグメントを相対移動させて他方の配管と連結させる工程と、第一セグメントの間に形成された他方のセグメントを相対移動させるための空間内に、連結セグメントを連結させることで第一セグメントと前記第二セグメントと前記連結セグメントとをリング状に連結する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、第一セグメントと第二セグメントをジョイントを介してスライドさせて相対移動することで配管同士を連結できるため、最後に残った相対移動のための空間内に連結セグメントを嵌合させることで、各セグメントを簡単にリング状に連結できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による地熱交換セグメントによれば、熱媒を収容した配管を筐体の内部に配設させたために地中熱の高い地層の地熱と配管内の熱媒との間の熱交換を効率的に行うことができると共に、セグメントの着脱によって配管を着脱できるため配管の取り扱いが容易である。
本発明による地熱交換装置及び地熱交換装置の組み立て方法は、地中熱の高い地層の領域にセグメントをリング状に連結した地熱交換装置を設置することで、水平方向に配設された配管内の熱媒と地熱との間で効率よく地熱交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による地熱交換装置を地すべり抑止杭における地中熱の高い地層に設けた要部構成を示す図である。
図2図1に示す地熱交換装置の配管と地熱交換器とを示す模式図である。
図3】地熱交換装置を示す地熱交換用のセグメントリングを示す平面図である。
図4図3に示すセグメントリングの展開図である。
図5】(a)は第一セグメントと第二セグメントの配管同士のジョイントを介した連結工程を示す図、(b)はジョイントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による地熱交換装置1について図1図5を参照して説明する。
図1に示す地熱交換装置1において、例えば地すべり危険地に直径4〜6m程度の円筒杭としての地すべり抑止杭2を打設している。この地すべり抑止杭2は、予めボーリング等で地中熱の高い地層Tを検知して確認しておくものとする。地すべり抑止杭2の施工に際して地上から深礎工法によって竪穴を掘削する。そして、土留め用のライナーとして円弧版状の鋼製ライナー2aを竪穴の内面周囲に設置して円筒状に形成し、竪穴の上側から下側に向けて順次鋼製ライナー2aを施工していくことで地すべり抑止杭2を構築する。
この地すべり抑止杭2は、地上から地すべり面よりも下方の不動地層にまで到達させている。これらの地すべり抑止杭2は所定間隔を開けて縦横方向に列状に多数施工していてもよい。
【0016】
地すべり抑止杭2は、地中における地中熱の高い地層Tに対向する領域に鋼製ライナー2aに代えて地熱交換装置1が設置されている。図2は地熱交換装置1の模式図であり、地すべり抑止杭2における地中熱の高い地層Tに囲まれた領域に水平方向に円弧状に延びる配管3が両端部で略U字状に湾曲して上下方向に複数段に亘って蛇行して配列されている。配管3は熱交換器を構成する。配管3内には熱交換用の熱媒が流通している。地熱採取用の熱媒として例えば蒸気、熱水、或いはブライン等を用いることができる。配管3内の熱媒は例えばブラインであり、高温の地熱と熱交換される。
【0017】
配管3は例えば鋼管パイプであり、1本の連続する管体として蛇行しながら上下方向に複数段配列されている。配管3の下端部の取り出し口3aには取り出し流路10aが接続され、配管3の上方に設けた地熱交換器5に延びている。地熱交換器5では、第一凝縮器6と第二凝縮器7とが対向して配設されている。配管3の下端部の取り出し流路10aには逆止弁8とポンプPとが順次設置されている。取り出し流路10aでは、配管3内で地熱と熱交換された高温の熱媒が第一凝縮器6の一端に送られる。
配管3の上端部の戻し口3bには戻し流路10bが接続され、戻し流路10bは第一凝縮器6の他端に連結されている。戻し流路10bの管路には第一凝縮器6で熱交換されて冷却された熱媒を一時的に貯留するためのタンク9が設置されている。取り出し流路10aと戻し流路10bとで熱源側循環路10を構成する。
【0018】
第一凝縮器6内に配設された配管3内を流れる高温の熱媒は、第一凝縮器6に対向する第二凝縮器7内に設置された出力側循環路12との間で熱交換される。出力側循環路12内の熱媒は例えば熱水であり、高温に変換されて例えば地すべり抑止杭2内を通って地上に設けた不図示の熱利用装置に供給される。
熱利用装置は、例えば橋梁路面や道路の路面等の融雪設備、農業用ハウスの暖房設備、建築物の暖房設備等として利用される。或いは、地熱発電装置に利用されてもよい。地熱交換装置1は用途によってどの温度帯の地熱を使用するか変わるものであり、地中熱の高い地層Tに対する設置領域を調整する。
【0019】
次に、地熱交換装置1の具体例について図3図5により説明する。
図3に示す地熱交換装置1は配管3を水平方向に配列した主体セグメント14及び接続セグメント15と配管3を含まない連結セグメント16とをリング状に配列して締結ボルト等の継手で連結したものである。これら主体セグメント14、接続セグメント15、連結セグメント16は例えば鋼製セグメント製の筐体4を有しており、略直方体形状の筐体4を略円弧版状に湾曲して形成されている。しかも、主体セグメント14及び接続セグメント15は各筐体4内に1または複数本の配管3が水平方向に配列されている。
地熱交換装置1の主体セグメント14、接続セグメント15、連結セグメント16は地すべり抑止杭2の鋼製ライナー2aに代えて、地中熱の高い地層Tに直接接触して配設されているため地熱が良く伝達される。
【0020】
これら主体セグメント14、接続セグメント15、連結セグメント16からなる地熱交換装置1は、シールドトンネルで用いるセグメントを周方向に連結したセグメントリングと同様な構成を有している。図3に示すように、主体セグメント14、接続セグメント15、連結セグメント16からなるセグメントリング1Aの地熱交換装置1は好ましくは平面状に設置され、上下方向に複数段のセグメントリング1Aを積層している。しかも、主体セグメント14と接続セグメント15は略同一長さに形成され、連結セグメント16は他のセグメントと比較して小幅に形成されたキーセグメントに相当する。
図3及び図4において、主体セグメント14は略直方体を湾曲した形状であり、対向する一対の円弧板状側面からなる鋼板14aと鋼板14aに略直交する周方向の一方の端面14bと他方のテーパ状端面14cとを備えている。接続セグメント15は対向する一対の円弧板状側面からなる鋼板15aと鋼板15aに直交する周方向の両側の端面15bとを備えている。小幅の連結セグメント16は周方向の両側の端面がテーパ状をなすテーパ面16a,16aを有している。
【0021】
次に図4により主体セグメント14について説明する。図4に示す地熱交換装置1はセグメントリング1Aの展開図を側面視している。主体セグメント14は、配管3について上向きの戻し口3bを設けた第1の主体セグメント14Aと、下向きの取り出し口3aを設けた第2の主体セグメント14Bとを備えている。
第1の主体セグメント14Aは略円弧版状の鋼製セグメント内部に水平方向に延びる複数列、例えば3列の配管3が上下方向に略平行に配列されている。第1の主体セグメント14Aは3列の配管3のうち上側の配管3の一端開口が戻し口3bを形成し、他端が端面14bに開口している。下側の2列の配管3は一端が略U字状の湾曲部3cによって互いに連結され、他端が端面14bに開口している。
【0022】
第2の主体セグメント14Bは略円弧版状の鋼製セグメント内部に水平方向に延びる複数列、例えば3列の配管3が上下方向に略平行に配列されている。第2の主体セグメント14Bは3列の配管3のうち上側の2列の配管3は一端が略U字状の湾曲部3cによって互いに連結され、他端が端面14bに開口している。下側の配管3は一端が下方に屈曲して取り出し口3aを形成し、他端が端面14bに開口している。
【0023】
次に接続セグメント15は同一構成のものが例えば2つ配設されている。各接続セグメント15は水平方向に延びる配管3が上下方向に略平行に3本配列されている。接続セグメント15の両端では3本の配管3が端面15bにそれぞれ開口している。各配管3は一端が第1の主体セグメント14Aまたは第2の主体セグメント14Bの各配管3に接続され、他端は他の接続セグメント15の各配管3とそれぞれ連結されている。
【0024】
図5(a)に示すように、第1の主体セグメント14A、第2の主体セグメント14B内の各配管3の端部は接続セグメント15内の各配管3とジョイント18を介して連結されている。同様に各接続セグメント15の配管3同士もジョイント18を介して連結されている。図5(b)はジョイント18を示すものであり、内部を熱媒が流通する略円筒状のジョイント本体の一端側の外周面には雄ねじ18aが形成され、例えば主体セグメント14A、14Bまたは接続セグメント15の各配管3の端部に形成された雌ねじ部3dに螺合可能である。
ジョイント18の長手方向中央部にはリング状のつば部18bが外側に突出して一体形成され、ジョイント18を配管3の雌ねじ部3dに捻じ込んだ際のストッパーになる。つば部18bに対して雄ねじ部18aとは反対側の円筒部18dにシール部材として止水性を有するOリング18cが全周に巻回されており、ジョイント18の外周面にはOリング18cを着座させるためのリング状の凹部が形成されている。
【0025】
そのため、例えば接続セグメント15の配管3に主体セグメント14A、14Bの配管3を連結するには、先ず一方の配管3、例えば主体セグメント14Aの配管3の雌ねじ部3dにジョイント18の雄ねじ部18aをねじ込み、つば部18bが配管3の端部に当接した位置に保持する。そして、ジョイント18のつば部18bより左側のOリング18cを有する円筒部18dを接続セグメント15の配管3内に押し込む。この場合もジョイント18はつば部18bが接続セグメント15の配管3の端部に当接するまで押し込まれる。しかも、ジョイント18のOリング18cが配管3内で圧縮されることで水密または気密にシールできる。
【0026】
そのため、主体セグメント14A等の配管3と接続セグメント15等の配管3とを連結してシールするために、一方のセグメントをスライド移動させるためのジョイント18のつば部18bと円筒部18dとの間の長さLに相当する空間が少なくとも必要である。図5に示す例では、3本の配管3に螺合した各ジョイント18に対して円筒部18dの長さLだけ相対的にスライド移動して接続セグメント15等の3本の配管3の端部に同時に各ジョイント18の円筒部18dを嵌合することになる。
また、2つの接続セグメント15の配管3同士を連結する場合にも、同様に一方の接続セグメント15の配管3の雌ねじ部3dにジョイント18の雄ねじ部18aを予めねじ込んでおく。そして、一方の接続セグメント15のジョイント18の円筒部18dを長さL以上の隙間を介して他方の接続セグメント15の各配管3の端部に対して相対移動させて嵌合させ、互いの配管3同士を連結させる。
【0027】
そして、各2つの主体セグメント14A、14Bと接続セグメント15を略リング状に連結した状態で、主体セグメント14A、14Bの間に長さL以上の隙間が形成されている。この隙間に小幅の連結セグメント16をテーパ面16a,16aで嵌合させてボルトで結合する。連結セグメント16の両端にテーパ面16a,16aを形成したために、これに対向する主体セグメント14A、14Bの端部もテーパ状面14cが形成されている。
これにより、主体セグメント14A、14Bのテーパ状端面14c間に連結セグメント16を嵌合してボルトで互いに連結することができる。これにより、セグメントリング1Aが構築される。
【0028】
また、図3及び図4に示す地熱交換装置1において、各2つの主体セグメント14A、14B及び接続セグメント15と連結セグメント16を連結してなるセグメントリング1Aを上下方向に複数段配列する。そして、各セグメントリング1Aの上向きの戻し口3bと下向きの取り出し口3aを互いに連結することで配管3が連続する。最も上側のセグメントリング1Aの配管3の戻し口3bは戻し流路10bに連結され、最も下側の地熱交換装置1の配管3の取り出し口3aは取り出し流路10aに連結されている。上下方向に配列するセグメントリング1Aは地中熱の高い地層Tの厚みに応じて、或いは取り出される必要な熱量に応じて適宜数を段状に接続できる。
【0029】
なお、地すべり抑止杭2における地熱交換装置1の空間にセメントミルク等の熱伝導性の高い媒体を埋め込むことで、熱伝導性を向上させることができる。また、配管3を主体セグメント14A、14B及び接続セグメント15の外周側の面に当接することで、地熱交換装置1の補強効果と熱伝達効果が高まる。このような地熱交換装置1の配管3の構成を模式的に示すと図1及び図2のようになる。
なお、地すべり抑止杭2、地熱交換装置1、地熱交換器5、熱源側循環路10及び出力側循環路12とで地熱交換設備を構成する。
【0030】
本実施形態による地熱交換装置1は上述した構成を有しており、次にその施工方法について説明する。
先ず、例えば地すべり地に地すべり抑止杭2を打設する。地すべり地の抑止杭として、深礎工法によって竪穴を掘削する。土砂の部分はバックホウに取り付けたクラムシェルによって掘削し、岩盤部はブレーカを用いて人力によって掘削する。地すべり抑止杭2の土留め用ライナーとして鋼製ライナー2aを竪穴の内壁に組み立てる。地すべり抑止杭2の深さ方向における地中熱の高い地層Tに対向する領域には、鋼製ライナー3に代えて地熱交換装置1を設置する。
【0031】
地熱交換装置1の施工に際して、3本の配管3を内蔵した接続セグメント15を地すべり抑止杭2の鋼製ライナー2aの下側に固定し、一方の配管3の端部にジョイント18の雄ねじ部18aを捻じ込み、他方の接続セグメント15に相対的にスライドさせてジョイント18の円筒部18dを配管3内に押し込んで連結させる。その後、接続セグメント15同士をボルトで連結する。
次に、主体セグメント14A、14Bの各配管3にジョイント18をねじ込み、接続セグメント15に主体セグメント14A、14Bを相対的にスライド移動させて互いに連結させる。接続セグメント15と主体セグメント14A、14Bはボルト等の継手で互いに固定させる。最後に、主体セグメント14A、14B同士の間のテーパ状端面14c、14cにはジョイント18をスライド結合するための空間が残されており、この空間に連結セグメント16を嵌め込んでボルト等の継手で互いに固定する。これによって、1組のセグメントリング1Aからなる地熱交換装置1を組み立てできる。
【0032】
地熱交換装置1は、必要に応じて複数段、例えば4段のセグメントリング1Aを上下方向に積層させ、隣り合うセグメントリング1A同士を配管3の取り出し口3aと戻し口3bで連結して全体に連続する1本の配管3を構築する。上下両端の取り出し口3aと戻し口3bを取り出し流路10aと戻し流路10bにそれぞれ連結することで熱源側循環路10を設置し、第一凝縮器6に接続する。更に、第二凝縮器7、出力側循環路12を接続する。
熱源側循環路10には熱媒として例えばブラインを循環させて地中熱の高い地層Tから採熱する。出力側循環路12には熱媒として例えば熱水または蒸気等を循環させる。第一凝縮器6及び第二凝縮器7との間で温熱を伝達させて、出力側循環路12を通って循環する熱媒によって、路面の融雪や農業用ハウスの暖房などに使用することができる。
【0033】
上述したように本実施形態による地熱交換装置1は、地すべり抑止杭2における地中熱の高い地層Tに接する領域に、配管3が主体セグメント14及び接続セグメント15の各筐体4内で円周形状の内面に沿って水平方向に各3段配設されているため配管3の面積が大きく、熱伝達効率が高い。
しかも、地熱交換装置1の主体セグメント14、接続セグメント15、連結セグメント16が地中熱の高い地層Tに接して配設されているため、主体セグメント14及び接続セグメント15内に配設された配管3に地熱が良く伝達され、熱伝達効率が高い。
更に、配管3は互いに着脱可能な主体セグメント14及び接続セグメント15内に配設されてユニット化されており、連結セグメント16と共に組み立て作業が容易である。
【0034】
以上、本発明の実施形態による地熱交換装置1について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述の実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0035】
なお、上述した実施形態では、地熱交換装置1の主体セグメント14及び接続セグメント15に3本の配管3を水平方向に配列して接続したが、3本に限定されるものではなく、4本以上配列してもよいし、1本または2本の配管3を配列してもよい。また、主体セグメント14及び接続セグメント15において、配管3を水平方向に配列させたが、斜め方向に配列してもよく、本明細書では、このような構成も水平方向に含めるものとする。
また、実施形態では、地すべり抑止杭2の一部壁面に地熱交換装置1を設置したが、地すべり抑止杭2以外の地中熱の高い地層にも設置できることはいうまでもない。
【0036】
実施形態による地熱交換装置1は主体セグメント14及び接続セグメント15及び連結セグメント16によってセグメントリング1Aを構成したが、接続セグメント15を省略し、水平方向に延長させた主体セグメント14と連結セグメント16とでセグメントリング1Aを構成してもよい。この場合、複数の主体セグメント14間で配管3を1本に接続するものとする。
本発明において、主体セグメント14は第一セグメント、接続セグメント15は第二セグメントに含まれる。
【0037】
主体セグメント14、接続セグメント15、連結セグメント16は例えば鋼製セグメントに代えて合成セグメントやコンクリートセグメント等で構成されていてもよい。
なお、上述した実施形態では、地熱交換装置1の配管3の取り出し口3a、戻し口(取り出し口)3bに接続される取り出し流路10a、戻し流路10bを備えた地熱交換器5は地すべり抑止杭2内に設置したが、これに代えて取り出し流路10a、戻し流路10bを地すべり抑止杭2の外部の地上に取り出して地熱交換器5に連結してもよい。また、本発明による地熱交換装置は地すべり危険地以外の場所や地すべり抑止杭2以外の立て坑等にも設置できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1 地熱交換装置
2 地すべり抑止杭
3 配管
3a、3b 取り出し口
4 筐体
5 地熱交換器
6 第一凝縮器
7 第二凝縮器
10 熱源側循環路
10a 取り出し流路
10b 戻し流路
12 出力側循環路
14 主体セグメント
15 接続セグメント
16 連結セグメント
18 ジョイント
18a 雄ねじ部
18b つば部
18c Oリング
図1
図2
図3
図4
図5