(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1乃至前記第3領域のそれぞれにおいて前記第1赤色発光層、前記第1緑色発光層及び前記第1青色発光層の下面は前記第1共通層の上面と接する、請求項1に記載の有機発光素子。
車両の計器盤、車両内のヘッドアップ装置、前面ガラス、ルームミラー及びサイドミラーの少なくとも一つに設置されるように構成された有機発光表示装置を含む車両用表示装置であって、前記有機発光表示装置は、
それぞれ駆動薄膜トランジスタを有する第1領域、第2領域及び第3領域を備えた基板と、
前記第1領域乃至前記第3領域にそれぞれの前記駆動薄膜トランジスタと接続するように配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置された第1共通層と、
前記第1領域と第2領域にそれぞれ配置された第1赤色発光層及び第1緑色発光層と、
前記第1乃至前記第3領域にわたって、前記第1赤色発光層、第1緑色発光層及び第1共通層上に配置された第1青色発光層と、
前記第1青色発光層上に配置された電荷生成層と、
前記電荷生成層上の第2共通層と、
前記第1領域と第2領域において、前記第2共通層上にそれぞれ配置された第2赤色発光層及び第2緑色発光層と、
前記第1乃至前記第3領域にわたって、前記第2赤色発光層、第2緑色発光層及び第2共通層上に配置された第2青色発光層と、
前記第2青色発光層上に配置された第3共通層と、
前記第3共通層上の第2電極と、を含み、
前記第1青色発光層及び第2青色発光層は、励起に関与する第1ホストと、電子輸送性の第2ホストと、青色ドーパントとを含み、
前記第2ホストの最低空軌道(LUMO)準位は前記第1ホストのLUMO準位より0.2eV乃至0.5eV高い、車両用表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために案出されたもので、特に野外光でも高輝度を維持し、工程単純化及び材料費節減をなすことができる有機発光素子、これを用いた有機発光表示装置及び車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の有機発光素子、これを用いた有機発光表示装置及び車両用表示装置は構造を変更することにより、強い野外光の条件又は透明表示がなされる装置でも輝度の損失を防止し高輝度を維持して視認が可能であり、工程単純化及び材料費節減をなすことができる。
【0010】
一実施例による本発明の有機発光素子は、第1領域、第2領域及び第3領域にそれぞれ配置された第1電極と、前記第1電極上に配置された第1共通層と、前記第1領域と第2領域にそれぞれ配置さられた第1赤色発光層及び第1緑色発光層と、前記第1〜第3領域にわたって、前記第1赤色発光層、第1緑色発光層及び第1共通層上に配置された第1青色発光層と、前記第1青色発光層上に配置された電荷生成層と、前記電荷生成層上の第2共通層と、前記第1領域と第2領域において、前記第2共通層上にそれぞれ配置された第2赤色発光層及び第2緑色発光層と、前記第1〜第3領域にわたって、前記第2赤色発光層、第2緑色発光層及び第2共通層上に配置された第2青色発光層と、前記第2青色発光層上に配置された第3共通層と、前記第3共通層上の第2電極と、を含む。
【0011】
前記第1青色発光層及び第2青色発光層は、励起に関与する第1ホストと、電子輸送性の第2ホストと、青色ドーパントとを含む。前記第1青色発光層は、前記電荷生成層に接する。
ここで、前記第2ホストのLUMO準位は前記第1ホストの最低空軌道(LUMO)準位より0.2eV〜0.5eV高いことが好ましい。
また、前記第2ホストは、アントラセンをコアとして含み、ジベンゾフランを末端基として含む化合物であってもよい。
前記第2ホストは下記化学式のいずれか一つの化合物を含められる。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
また、前記第1及び第2青色発光層は第1及び第2ホストのそれぞれの30vol%以上を含むことができる。
【0015】
そして、前記第1赤色発光層は前記第1緑色発光層及び前記第1青色発光層より厚くてもよく、前記第2赤色発光層は前記第2緑色発光層及び前記第2青色発光層より厚くてもよい。
前記第1及び第2青色発光層の厚さは150Å〜400Åであってもよい。
【0016】
前記第1緑色発光層の厚さは前記第1青色発光層の厚さ以上で且つ400Å以下でもよく、前記第2緑色発光層の厚さは前記第2青色発光層の厚さ以上で且つ400Å以下であってもよい。
また、前記第2電極上にキャッピング層をさらに含められる。
そして、前記第3共通層は前記第2電極と接していることが好ましい。
また、前記第1〜第3領域のそれぞれにおいて第1赤色発光層、前記第1緑色発光層及び第1青色発光層の下面は前記第1共通層の上面と接してもよい。
前記第3共通層と前記第2電極の間に、第4共通層、発光構造及び第5共通層が積層された発光スタックをさらに含められる。
【0017】
前記発光層構造は、前記第1領域と第2領域にそれぞれ配置された第3赤色発光層及び第3緑色発光層と、前記第1〜第3領域にわたって、前記第3赤色発光層、第3緑色発光層及び第4共通層上に配置された第3青色発光層とを含むことができる。
【0018】
また、同じ目的を達成するための本発明の有機発光表示装置は、それぞれ駆動薄膜トランジスタを有する第1領域、第2領域及び第3領域を備えた基板と、前記第1領域〜第3領域にそれぞれの駆動薄膜トランジスタと接続するように配置された第1電極と、前記第1電極上に配置された第1共通層と、前記第1領域と第2領域にそれぞれ配置された第1赤色発光層及び第1緑色発光層と、前記第1〜第3領域にわたって、前記第1赤色発光層、第1緑色発光層及び第1共通層上に配置された第1青色発光層と、前記第1青色発光層上に配置されて た電荷生成層と、前記電荷生成層上の第2共通層と、前記第1領域と第2領域において、前記第2共通層上にそれぞれ配置された第2赤色発光層及び第2緑色発光層と、前記第1〜第3領域にわたって、前記第2赤色発光層、第2緑色発光層及び第2共通層上に配置された第2青色発光層と、前記第2青色発光層上に配置された第3共通層と、前記第3共通層上の第2電極とを含む。
前記第1青色発光層及び第2青色発光層は、励起に関与する第1ホストと、電子輸送性の第2ホストと、青色ドーパントとを含められる。
前記第2ホストの最低空軌道(LUMO)準位は前記第1ホストのLUMO準位より0.2eV〜0.5eV高くできる。
また、前記第2ホストは、アントラセンをコアとして含み、末端基としてジベンゾフランを含む化合物であってもよい。
前記第2電極の上面に接したキャッピング層をさらに備えてもよい。
そして、前記キャッピング層上に光学フィルムをさらに含められる。
【0019】
また、前記基板は透明可撓性フィルムであってもよく、前記第1電極は反射電極を含むことができ、前記第2電極は、透明電極層、反射透過性電極層、複数層の透明電極層のスタック、複数層の反射透過性電極層のスタック、ならびに透明電極及び反射透過性電極層のスタックのいずれか一つであってもよい。
【0020】
そして、前記発光表示装置は、車両の計器盤、車両内のヘッドアップ装置、前面ガラス、ルームミラー及びサイドミラーの少なくとも一つに設置されて車両用表示装置として用いることができる。
前記駆動薄膜トランジスタは車両内のバッテリーから電力を受けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有機発光素子、これを用いた有機発光表示装置及び車両用表示装置は次のような効果がある。
【0022】
第1に、有機発光素子において、青色発光層が各サブ画素に分割して形成せず、アクティブ領域全体に形成して、高精細蒸着マスクの使用を減らすことができる。これによって収率の増加が可能である。
【0023】
第2に、赤色発光層と緑色発光層に接する青色発光層は、隣接した長波長発光層側にエネルギーを伝達して長波長発光層(赤色発光層及び緑色発光層)の励起を補助して赤色及び緑色サブ画素で青色発光層が発光に寄与することにより、赤色及び緑色発光層の単一層構成のために有する厚さより赤色及び緑色発光層の厚さを減らし、赤色及び緑色発光層に含まれる高価の赤色及び緑色ドーパントの使用を減らすことができ、これによって材料費低減が可能である。
【0024】
第3に、青色発光層と他色発光層間のスタック領域が発生しても青色発光に必要な励起エネルギーを他色発光に必要な励起エネルギーより高くして、他色発光層が配置された領域で青色発光層からエネルギーを受けて該当色(赤色及び緑色)の発光が可能であり、青色との混色を防止することができる。
【0025】
第4に、青色発光層は青色発光層内の励起子(exciton)の形成のための第1ホストと電荷生成層からの電子輸送のための第2ホストがともに使用され、特に第1スタックの青色発光層と電荷生成層が接するように構成可能である。したがって、第1スタックで電子輸送層の省略が可能である。この場合、電子輸送層の省略によって層間界面バリアを減らすことができ、これにより駆動電圧を低減させることができる。
【0026】
第5に、有機物層の使用を減少させることにより、電子輸送層形成のための材料費削減が可能である。電子輸送層が省略される場合にも青色発光層のホスト構成変更によって青色発光層が電子輸送層の機能をするので、各色相別効率の低下なしに維持させることができ、低い青色効率をむしろ上昇させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施例を説明する。明細書全般にわたって同じ参照番号は実質的に同じ構成要素を意味する。以下の説明で、本発明に係わる技術又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、以下の説明で使われる構成要素の名称は明細書の容易な作成を考慮して選択したもので、実際製品の部品の名称と違うこともある。
【0029】
本発明の多様な実施例を説明するための図面に開示した形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものなので、本発明が図面に示した事項に限定されるものではない。本明細書全般にわたって同じ図面符号は同じ構成要素を指称する。また、本発明の説明において、関連の公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。本明細書で言及する‘含む’、‘有する’、‘なる’などが使われる場合、‘〜のみ’が使われない限り、他の部分が加わることができる。構成要素を単数で表現した場合、特に明示的な記載事項がない限り、複数を含む場合もある。
本発明の多様な実施例に含まれた構成要素の解釈において、別途の明示的な記載がないとしても誤差範囲を含むものに解釈する。
【0030】
本発明の多様な実施例の説明において、位置関係について説明する場合、例えば、‘〜上に’、‘〜上部に’、‘〜下部に’、‘〜そばに’などに2部分の位置関係を説明する場合、‘すぐ’又は‘直接’が使われない限り、2部分の間に一つ以上の他の部分が位置することもある。
【0031】
本発明の多様な実施例の説明において、時間関係について説明する場合、例えば、‘〜の後に’、‘〜に引き継き’、‘〜の次に’、‘〜の前に’などで時間的先後関係を説明する場合、‘すぐ’又は‘直接’が使われない限り、連続的ではない場合も含むことができる。
【0032】
本発明の多様な実施例の説明において、‘第1〜’、‘第2〜’などを多様な構成要素を敍述するために使うことができるが、このような用語は互いに同一又は類似の構成要素を互いに区別するために使われるだけである。よって、本明細書で、‘第1〜’で修飾される構成要素は別途の言及がない限り、本発明の技術的思想内で‘第2〜’で修飾される構成要素と同一であることもある。
【0033】
本発明の多くの多様な実施例のそれぞれの特徴が部分的に又は全体的に互いに結合又は組合せ可能であり、技術的に多様な連動及び駆動が可能であり、多様なそれぞれの実施例が互いに対して独立的に実施するできることもでき、関連関係で一緒に実施することもできる。
【0034】
図1は本発明の有機発光素子を示した断面図である。また、
図2は
図1の第1及び第2青色発光層の構成を示した図面、
図3は
図2の第1青色発光層及びその隣接層に対応するバンドダイアグラムを示した図である。
【0035】
図1に示すように、本発明の有機発光素子は、第1領域SP1、第2領域SP2及び第3領域SP3にそれぞれ備えられた第1電極110と、前記第1電極110上に備えられた第1共通層CML1と、前記第1領域SP1と第2領域SP2にそれぞれ備えられた第1赤色発光層130及び第1緑色発光層135と、前記第1〜第3領域SP1、SP2、SP3にわたって、前記第1赤色発光層130、第1緑色発光層135及び第1共通層CML1上に備えられた第1青色発光層140と、前記第1青色発光層140上に備えられ、前記第1青色発光層と接する電荷生成層150と、前記電荷生成層150上の第2共通層CML2と、前記第1領域SP1と第2領域SP2の前記第2共通層CML2上にそれぞれ備えられた第2赤色発光層160及び第2緑色発光層165と、前記第1〜第3領域SP1、SP2、SP3にわたって、前記第2赤色発光層160、第2緑色発光層165及び第2共通層CML2上に備えられた第2青色発光層170と、前記第2青色発光層170上に備えられた第3共通層CML3と、前記第3共通層CML3上の第2電極180とを含む。
【0036】
このように、本発明の有機発光素子は、第1電極110と第2電極180の間に、複数のスタック、すなわち第1スタックS1と第2スタックS2とを有し、これら複数のスタックの間に電荷生成層150を有するもので、第1及び第2スタックS1、S2にそれぞれ発光層構造を備え、それにより、単一スタックの有機発光素子と比べて発光効率及び寿命を向上させたものである。
【0037】
ここで、発光構造では、第1〜第3領域SP1、SP2、SP3にわたって各スタックで、第1及び第2青色発光層140、170が共有されており、第1領域SP1と第2領域SP2の各スタックS1、S2はそれぞれ、第1及び第2赤色発光層130、160と第1及び第2緑色発光層135、165が第1及び第2青色発光層140、170の下面に接して備えられる。
【0038】
本発明の有機発光素子は2スタック構造を含み、各領域で同じ構成を有する発光層構造が電荷生成層150を挟んで繰り返される構造を有する。このように、本発明の有機発光素子は、第1及び第2青色発光層140、170を第1〜第3領域SP1、SP2、SP3によって共有させ得る。したがって、本発明の有機発光素子は互いに異なる高精細蒸着マスクを用いて発光層を形成する構造に比べ、高精細蒸着マスクを要求することなく、広いアクティブ領域に対してオープンしているオープンマスクを介して、繰り返される発光層構造を形成可能であり、高精細蒸着マスクの使用時に発生する撓み又は位置ずれなどの問題を防止し、第1及び第2青色発光層140、170の蒸着不良を防止する。
【0039】
よって、有機発光素子において、第1及び第2青色発光層140、170を各領域に分割されて形成されておらず、アクティブ領域全体に形成されているので、高精細蒸着マスクの使用を減らすことができる。これにより収率増加が可能である。
【0040】
また、第1及び第2赤色発光層130、160と第1及び第2緑色発光層135、165に接して備えられた第1及び第2青色発光層140、170が長波長を発光する隣接した発光層、すなわち、第1及び第2赤色発光層130、160及び第1及び第2緑色発光層135、165側にエネルギーを伝達し、これらの第1及び第2赤色発光層130、160及び第1及び第2緑色発光層135、165で各色相の励起(excitation)を助け、それにより、第1領域SP1及び第2領域SP2で第1及び第2青色発光層140、170が他色(赤色及び緑色)の発光に寄与し、各領域別各スタックに単一発光層を有する構造における構造と比べて赤色発光層130、160及び緑色発光層135、165より発光層の厚さを減らせ、赤色及び緑色発光層に含まれる高価な赤色及び緑色ドーパントの使用を減らすことができ、これにより材料費の節約が可能である。
【0041】
そして、第1及び第2領域SP1、SP2で、第1及び第2青色発光層140、170と第1及び第2赤色発光層130、160及び第1及び第2緑色発光層135、165間のスタック領域が発生した場合であっても、青色発光に必要な励起エネルギーを他色発光に必要な励起エネルギーより高くし、第1及び第2青色発光層140、170からエネルギーを受けて第1及び第2赤色発光層130、160及び第1及び第2緑色発光層135、165のそれぞれの領域の発光領域(emission zone)が発生することにより、青色との混色を防止することができる。
【0042】
前記第1電極110は反射電極を含み、前記第2電極180は透明電極層又は反射透過性電極層の単一層又は複数の透明電極層が、複数の反射透過性電極層及び透明電極層と反射透過性電極層のスタックのいずれか一つであってもよい。前記第1電極110が含む反射電極は、例えばAPC(Ag:Pb:Cu)、Ag、Alのいずれか1種又はこれらの合金を含むことができ、場合によって反射電極の上面又は下面に備えられた透明電極をさらに含むことができる。そして、前記第2電極180が透明電極である場合、第2電極180はインジウム、チタン、亜鉛、スズのいずれか1種を含む透明酸化物金属であってもよく、前記第2電極180が反射透過性電極である場合、第2電極180は光が透過するほどの薄いAg、Mg、Ybのうちの少なくとも一つ又はこれらの一部を含む合金膜であってもよい。
【0043】
本発明の有機発光素子における赤色光は波長600nm〜650nmでピーク波長を有するものであり、緑色光は510nm〜590nmでピーク波長を有するものであり、青色光は440nm〜490nmでピーク波長を有するものである。上述した波長範囲でピーク波長を有することにより、視感上完全な赤色、緑色、青色にあたる場合の他にも、赤色光はオレンジ色に近い光を含むことができ、緑色光は黄色に近いかマゼンタ(magenta)特性に近い光を含むことができ、青色光はシアン(cyan)、スカイブルー又はディープブルーなどを含むことができる。それぞれ第1〜第3領域SP1〜SP3から出る光が組み合わせられて白色光を具現することができれば他の発光色の組合せも可能である。
【0044】
前記第1領域SP1では、第1赤色発光層130及び第2赤色発光層160で電子とホールの再結合によって発光する赤色光がそれぞれ前記第1電極110と第2電極180の間でマイクロキャビティー(microcavity)効果によって赤色光の出力を増加させる原理で動作する。ここで、第1領域SP1で第1青色発光層140及び第2青色発光層170は発光層であるが、第1赤色発光層130及び第2赤色発光層160より励起に必要なエネルギーが大きいため、第1領域では、第1青色発光層140及び第2青色発光層170は電子を第1及び第2赤色発光層130、160に渡す役割をするだけで、自ら発光しない。また、反射性の第1電極110と透明又は反射透過性の第2電極180の間で赤色光は微細に共振し、上方に発光する。このとき、第1及び第2電極110、180の間の前記第1赤色発光層130及び第2赤色発光層160で発光領域(emission zone)が発生するように光学距離がセットされるので、青色の混色が防止される。赤色光は相対的に光学距離が長く、本発明の有機発光素子は高効率素子において層構造を単純化したもので、サブ画素別に分割される正孔補助輸送層などを備えないものであり、発光領域を合わせるために、第1及び第2赤色発光層130、160を他領域SP2、SP3にある第1及び第2緑色発光層135、165及び第1及び第2青色発光層140、170に比べて厚く形成する。前記第1及び第2赤色発光層130、160の厚さはおよそ400Å〜800Åである。
【0045】
同様に、第2領域SP2では、第1緑色発光層135及び第2緑色発光層165で電子とホールの再結合によって発光する緑色光が前記第1電極110と第2電極180の間でマイクロキャビティー効果によって緑色光の出力を増加させる原理で動作する。この場合、第1及び第2緑色発光層135、165は前記第1及び第2赤色発光層130、160より薄く形成され、その厚さはおよそ200Å〜400Åである。
【0046】
前記第1青色発光層140及び第2青色発光層170は、第1及び第2領域SP1、SP2では電子輸送層の機能をし、第3領域SP3では発光層の機能と電子輸送層の機能の両方を兼ねるものである。このために、第3領域SP3で第1及び第2青色発光層140、170内の励起子(exciton)の形成のための第1ホストbh1と第1電荷生成層150からの電子輸送のための第2ホストbh2を青色ドーパントbdとともに使用する。ここで、前記第1青色発光層140は電荷生成層150と直接接するので、第1スタックS1で電子輸送層を省略することができる。
【0047】
第2スタックS2では、第2青色発光層170を使用する場合、上部の第3共通層CML3内に位置する電子輸送層を省略することも可能であるが、前記第2電極180に隣接した第3共通層CML3の電子注入特性を向上させ駆動電圧を低くするためには、第2スタックS2に電子輸送層を備えることが好ましい。
【0048】
前記電荷生成層150は、n型ドーパントを電子移動度の高いホスト物質内に有するn型電荷生成層150a(nCGL)とp型ドーパントを正孔移動度の高いホスト物質内に有するp型電荷生成層150bの2層からなり、n型ドーパントとp型ドーパントが各ホスト物質のフェルミ準位を変更して、隣接するスタックS1、S2の間で電子及び正孔が送受信され、たやすく移動できるように働く。この場合、前記電荷生成層150は第1スタックS1に対してはカソードの役割をし、第2スタックS2に対してはアノードの役割をすることで、電極がない有機スタックの内部で電極として機能し、電子と正孔を隣接スタックS1、S2内の各層に伝達し、該当スタックS1、S2の赤色、緑色及び青色発光層130、135、140、160、165、170で励起子を形成する。
【0049】
このように、電荷生成層150を中心に2個のスタック構成を含めて一つのサブ画素を構成すれば、一般的な単一スタック構造に比べ、高い効率及び寿命を得ることができる。しかし、スタック構成が増えて各サブ画素別(領域別)にパターン化する構成が要求されるので高精細蒸着マスクが必要になり、スタック層の数が増えるともっと多くの数の有機蒸着チャンバーが要求される。
【0050】
本発明の有機発光素子は、これを改善するために、青色発光層をサブ画素別に区分せず、アクティブ領域に一体化して備えられ、前記青色発光層内に励起性ホストと電子輸送機能のホストをともに備え、青色発光層が一つのみ備えられた第3領域では青色発光を遂行し、アクティブ領域全体では垂直方向に電子輸送層として機能し、別途の電子輸送層を省略したものである。
【0051】
一方、第1共通層CML1、第2共通層CML2及び第3共通層CML3は第1〜第3領域SP1〜SP3に共通して間断なく備えられる点で‘共通層’と言う。これらのそれぞれは単一層であってもよく、必要によって多様な機能を付け加えて複数層からなってもよい。概して、共通層は電極と発光層又は発光層と電荷生成層の間で正孔又は電子を輸送する機能を果たす。それぞれの第1共通層CML1は正孔注入層115及び第1正孔輸送層(HTL1)120を含み、第2共通層CML2は第2正孔輸送層155を含み、第3共通層CML3は電子輸送層173及び電子注入層175を含む。そして、前記共通層CML1、CML2、CML3は有機材料からなる。場合によって、第2電極180と接した電子注入層175は無機化合物と金属の組合せからなる。この場合、金属は前記第2電極180に含まれた材料であり、電子注入バリアを低くすることができる。
【0052】
また、第2電極180の上側に形成されるキャッピング層190は有機発光素子の上部を保護し、光抽出を向上させる機能を有し、有機材料を含み、有機発光素子の製造の最後段階で形成される。
【0053】
第1電極110と第2電極180の間の構成はいずれも有機層であり、これらのパターニング化及び蒸着層数が多くなるほどそれぞれの整列が必要となり、誤整列時の不良率が増加する。位置合わせ不良の場合、これは収率を減少させ、材料費を上昇させる原因となりうる。
具体的に、発光層構造の構成及び変形例を説明する。
【0054】
図2に示すように、第1及び第2青色発光層140、170は第3領域SP3で第1及び第2青色発光層140、170内に励起子(exciton)を形成するための第1ホストbh1と第1電荷生成層150からの電子輸送のための第2ホストbh2がともに使用され、特に第1スタックS1の第1青色発光層140と第1電荷生成層150が接するように構成可能である。
【0055】
したがって、第1スタックS1で電子輸送層を省略することができる。この場合、電子輸送層の省略によって第1及び第2電極110、180の間で層間界面バリアを減らせ、これにより有機発光素子の駆動に必要となる駆動電圧を低減させられる。
【0056】
また、本発明の有機発光素子は、第1スタックS1で電子輸送層の省略によって有機物層の使用を減少させて形成のための材料費の節減が可能である。電子輸送層が省略される場合にも、第1及び第2青色発光層140、170のホストbh1、bh2の構成変更によって少なくとも第1青色発光層140が電子輸送層(Electron transport layer)の機能をすることにより、各色相別に効率の低下なしに維持させることができ、むしろ、より低かった青色効率を上昇させることができる。
【0057】
このために、
図3に示すように、少なくとも第1青色発光層140は、励起(Excitation)に関与する第1ホストbh1、電子輸送性の第2ホストbh2及び青色ドーパントbdを含む。
【0058】
前記第1ホストbh1は、一般的な青色発光層に備えられるホストのように、アントラセンを母体とする化合物であり、青色ドーパントbdが励起することを助ける機能を有する。
【0059】
前記第2ホストbh2は第1ホストbh1のHOMO準位と類似したHOMO準位を有し、第1ホストbh1のLUMO準位より高いLUMO準位を有するものであり、第2ホストbh2が隣接した電荷生成層(
図1の150)と類似したLUMO準位を持って、電子が第1青色発光層140に進入するのにバリアを減らすことによって電子注入効率を向上させ得る。第1青色発光層140は電荷生成層150と接して第1〜第3領域SP1、SP2、SP3に共通して存在するから、各領域における電荷生成層150から第1青色発光層140への電子注入特性を類似させることができる。また、前記第1青色発光層140と同じな第1及び第2ホストbh1、bh2を使って第2青色発光層170を構成してもよい。
ここで、前記第2ホストbh2のLUMO準位は前記第1ホストbh1のLUMO準位より0.2eV〜0.5eV高い。
【0060】
一方、本発明の有機発光素子において、第1及び第2青色発光層140、170内の第1ホストbh1及び第2ホストbh2は次の化学式4で表現される。ここで、R1〜R10に対応する置換基は溶融芳香環(Fused Aromatic Ring)又は複素環(Hetero−Cyclic Ring)を含み、ここで、R1〜R10のうち4個以下は複素環を含む。
【0061】
前記第1ホストbh1と第2ホストbh2の中で相対的に第2ホストbh2のLUMO準位が高い。これは第2ホストbh2の電子注入バリアが低いことを意味し、第1〜第3領域SP1〜SP3で電子輸送に寄与することを意味する。
【化4】
【0062】
また、前記第1及び第2青色発光層140、170は、第1及び第2青色発光層140、170内のそれぞれの充分な励起作用を助け、電子輸送性を助けるように第1及び第2ホストbh1、bh2をそれぞれ30vol%以上含まれることができる。
【0063】
そして、前記第1赤色発光層130は発光領域を長波長の赤色に合わせて確保するように前記第1緑色発光層135及び前記第1青色発光層140より厚くてもよく、前記第2赤色発光層160は前記第2緑色発光層165及び前記第2青色発光層170より厚くてもよい。
ここで、発光構造物のうち最も薄い前記第1及び第2青色発光層140、170の厚さは150Å〜400Åであってもよい。
【0064】
前記第1緑色発光層135は前記第1青色発光層140の厚さ以上で、且つ、400Å以下の厚さであってよく、前記第2緑色発光層165は前記第2青色発光層170の厚さ以上で、且つ、400Å以下の厚さを有してもよい。
上述した本発明の有機発光素子に比較例を比較して本発明の有機発光素子の効果を説明する。
図4aは第1比較例による有機発光素子を示した断面図、
図4bは
図4aの青色発光層及びその隣接層に対応するバンドダイアグラムを示した図である。
【0065】
図4aに示すように、第1比較例による有機発光素子は、第1〜第3領域SP1、SP2、SP3のそれぞれに第1電極10、正孔注入層15、第1正孔輸送層20、第1発光層30、35、40、第1電子輸送層45、電荷生成層50、第2正孔輸送層55、第2発光層60、65、70、第2電子輸送層73、電子注入層75、及び第2電極80及びキャッピング層90が形成される。電荷生成層50は、n型電荷生成層50aとp型電荷生成層50bとを含む2層構造を有する。上述した本発明の有機発光素子に比べ、第1及び第2青色発光層40、70の構成が違い、第1スタックS1内に第1電子輸送層45をさらに備えた点に違いがある。
【0066】
ここで、前記第1及び第2青色発光層40、70は、青色励起のための励起性の第1ホストbh1と青色ドーパントbdを含む。すなわち、第1及び第2青色発光層40、70に単一のホストbh1と青色ドーパントbdが含まれる。
【0067】
この場合、
図4bに示すように、第1比較例は、第1ホストbh1のLUMO準位が第1電子輸送層ETL1 45のLUMOエネルギー準位よりも0.5eV以上低く、これは電子が第1電子輸送層45から第1青色発光層40に伝達されるとき、高いエネルギーバリアとして作用して電子伝達特性を低下させる。
【0068】
図5aは第2比較例による有機発光素子の青色発光層を示した断面図であり、
図5bは
図5aの青色発光層及びその隣接層に対応するバンドダイアグラムを示した図である。
【0069】
図5a及び
図5bに示すように、第2比較例による有機発光素子は、上述した
図1の構成とは、第1及び第2青色発光層の構成を除いては同一であり、第1及び第2青色発光層の構成を励起性の第1ホストbh1と電子輸送材料(ETM)の第3ホストbh3及び青色ドーパントbdを混合して構成したものである。この構成では、第3ホストbh3として第2スタックS2の電子輸送層と同一材料を使い、前記第1青色発光層240内に第1ホストbh1とともに含ませたものである。この場合、第2比較例は、第1スタックS1内に電子輸送層が含まれない。
以下では、表1及び
図6に基づいて本発明と第1及び第2比較例による有機発光素子の効果を比較する。
【0070】
以下の実験で、共通的に青色発光層の励起機能を助ける前記第1ホストbh1は化学式5で開示した化合物のように、アントラセンを中心として末端にナフタリンを含む。下記の実験で、第1ホストbh1は化学式5で表される材料を用いた。
【0072】
本発明の青色発光層に用いられた第2ホストbh2は次の化学式6を用いた。これはアントラセンを中心として末端にジベンゾフラン(dibenzofuran)を含む化合物である。すなわち、第2ホストbh2はコアとしてアントラセンを使用し、末端基としてジベンゾフランを含む
【0074】
前記第2ホストbh2としては、上述した化学式6の他に次の化学式7、化学式8又は化学式9の化合物を含む場合、同等以上の実験結果を得ることができた。
【化7】
【0078】
前記表1で、第1比較例は
図4a及び
図4bの構造の結果であり、第1比較例変形例は
図4aの構成の中で第1スタックから電子輸送層を省略した場合の結果であり、第2比較例は
図5a及び
図5bの構造の結果であり、本発明の実施例は
図1〜
図3の構造の結果である。第1比較例、第1比較例変形例、第2比較例及び本発明の実施例に係る有機発行素子は次のような基本構造を有する。
【0079】
実験上の本発明の実施例による有機発光素子を
図1の構成にしたがって製造する。第1電極110はITO(70Å)/APC(1000Å)/ITO(70Å)で形成した後、第1スタックS1の正孔注入層115を50Åの厚さに形成し、前記第1正孔輸送層120をNPDから400Åの厚さに形成し、ついで発光層構造物として第1領域SP1の第1赤色発光層130を赤色ホスト及び赤色ドーパントを含ませて500〜650Åの厚さに形成し、第1緑色発光層135を、第2領域SP2の緑ホスト及び緑ドーパントを含ませて300〜400Åの厚さに形成し、第1〜第3領域SP1〜SP3にわたって、上述した第1ホストbh1及び第2ホストbh2と青色ドーパントを含む第1青色発光層140を300〜350Åの厚さに形成する。ついで、電荷生成層150はn型電荷生成層150aとp型電荷生成層150bを積層して形成し、n型電荷生成層150aとp型電荷生成層150bはそれぞれ150Å、60Åの厚さに形成する。
【0080】
そして、前記電荷生成層150上に、第2スタックS2として第2正孔輸送層155を形成し、第2赤色発光層160、第2緑色発光層165及び第2青色発光層170を第1スタックS1の発光層構造物130、135、140と同様な方式で形成する。ついで、電子輸送層173をアントラセン系化合物とLiq化合物から300Åの厚さに形成し、電子注入層175を、Mg:LiFを1:1の割合で組成して30Åの厚さに形成し、ついで、第2電極180を、Ag:Mgを3:1の割合で組成して160Åの厚さに形成する。
【0081】
実験上、第1及び第2赤色発光層130、160はそれぞれ赤色ドーパントを7wt%含み、第1及び第2緑色発光層135、165はそれぞれ緑色ドーパントを15wt%含み、第1及び第2青色発光層140、170はそれぞれ青色ドーパントを3wt%含む。このようなドーパントの含量は一例に過ぎず、各ドーパントの含量は20wt%以内の範囲で変更可能である。
【0082】
第1比較例の有機発光素子は、上述した本発明の実施例と比較して、第1青色発光層40が第3領域に制限的に備えられた点、第1青色発光層40及び第2青色発光層70にホストとして第1ホストbh1のみを備えた点、及び第1スタック内にもアントラセン系化合物とLiq化合物から300Åの厚さに形成された第1電子輸送層45を備えた点が異なる。
第1比較例の変形例に係る有機発光素子は、前記第1比較例の構造において、第1スタックの電子輸送層45を省略したものである。
【0083】
第2比較例の有機発光素子は、本発明の実施例に比べ、第1及び第2青色発光層が異なることを除いては、本開示の一例に係る有機発光ダイオードと同様の構成を有する。第2比較例は、第1及び第2青色発光層に励起に関連した第1ホストbh1の他に、第2スタックS2の電子輸送層と同じ材料からなる第3ホストbh3を含む点で異なり、その他の構成は本発明の実施例と同一である。
【0084】
表1の内容で、効率及び照明輝度は、理解の便宜のために第1比較例の値を基準に比較して示した。すなわち、第1比較例に係る有機発光素子の青色、緑色、赤色のそれぞれの効率及び照明輝度特性を100%とし、これと比較して第1比較例変形例、第2比較例及び本発明実施例を示したものであり。第1比較例の効率又は照明輝度より大きな値であれば優れた傾向を示し、低い値であれば不十分な特性を示すことを意味する。
【0085】
詳述すれば、本発明の実施例を適用するとき、第1比較例に比べ、本発明の実施例は、第1スタックから電子輸送層を省略したにもかかわらず青色駆動に必要な駆動電圧が減少し、輝度特性が向上することを確認することができる。また、緑色駆動に必要な駆動電圧は同等な水準であり、輝度特性が向上した。赤色駆動に必要な駆動電圧においては0.1V程度の上昇があるが、照明輝度特性が向上して、赤色の色特性も、本発明の実施例の適用時、第1比較例と類似した水準であるかそれより向上することができることを意味する。
【0086】
本発明の実施例の適用に関し、より重要なことは、構造的に電子輸送層を一スタック構造から省略し、青色発光層を各スタックでサブ画素別パターニングなしに適用することにより、高精細蒸着マスクの使用を減らして収率を一定の水準以上に確保可能なことである。
【0087】
一方、表1の第1比較例の変形例に係る有機発光素子は、第1比較例に比べ、同じ青色発光層を適用するが、電子輸送層を第1スタックから省略した場合である。この場合、特に、発光層構造において2個の発光層が積層される赤色発光層を備えた第1領域と緑色発光層を2層備えた第2領域で駆動電圧上昇と輝度低下の現象が著しいことを確認することができる。本発明の実施例に係る有機発光素子は、電子輸送層を省略したにもかかわらず、第1比較例の水準以上の輝度特性を確保し、特に青色の駆動電圧を減らすことができる。
【0088】
表1の第2比較例に係る有機発光素子では、励起性のホストの他に電子輸送層として用いた材料を青色発光層に適用した場合を示したものである。詳述すれば、この場合、第1比較例又は本発明の実施例に比べて青色の輝度効率が半分に低下して、電子輸送層の材料をホストとして用いるとき、青色発光層内の正孔/電子の励起効率を落とす点を理解することができる。このような有機発光素子を装置に具現する場合、時間が経つにつれて徐々に青色を現すことができない傾向を示すであろう。
【0089】
一方、本発明実施例による有機発光素子は、青色発光層のホストを適用するときに励起性の第1ホストと第2ホストの特定のLUMOエネルギー差を有する電子輸送性の材料を適用して、第1ホストの機能を低下せずに第2ホストが電子輸送に寄与することを確認することができる。また、青色、緑色及び赤色の色特性の中で特定の色相が低下するか著しく劣化することなしに、均一に向上する傾向を示し、これから長期間駆動にもかかわらず安定的な特性を示すことを予想することができる。
図6は実験例の電流−電圧(J−V)特性を示したグラフである。
【0090】
J−Vグラフにおいて傾きが緩やかに増加する領域が一定程度にある場合にのみグラデーションを表現可能である。
図6はJ−Vカーブ特性において本発明に係る実施例が最も緩やかな傾き特性を示し、これは本発明に係る実施例では、十分なグラデーション表現が可能であることを意味する。
【0091】
以下では、第1及び第2赤色発光層130、160又は第1及び第2緑色発光層135、165を形成する第1蒸着マスク250と、本発明の第1及び第2青色発光層を形成する第2蒸着マスク230とを比較する。
【0092】
図7aは本発明の有機発光素子の赤色発光層又は緑色発光層を形成する第1蒸着マスクを示した平面図であり、
図7bは本発明の有機発光素子の青色発光層を形成する第2蒸着マスクを示した平面図である。
【0093】
図7aに示すように、基板内のアクティブ領域に所定領域として区分されて蒸着される赤色発光層又は緑色発光層を形成するために使用される第1蒸着マスク250は、第1領域の発光部又は第2領域の発光部に対応する領域に第1開口部251を有し、残りの領域は遮蔽部252となる。この場合、第1開口部251の大きさはサブ画素の大きさ以下に形成され、第1蒸着マスク250は微細に分割されて構成される。また、第1蒸着マスク250を使用して形成された第1及び第2赤色発光層130、160並びに、第1及び第2緑色発光層135、165のそれぞれは第1開口部251に対応する形態に分離されて形成される。
【0094】
図7bに示すように、第1〜第3領域SP1、SP2、SP3覆うように位置する第2蒸着マスク230は基板の全てのサブ画素に対応する領域に形成された第2開口部232を有し、基板の残りの縁部に形成された遮蔽部231を有する。前記第2蒸着マスク230を用いて第1青色発光層140又は第2青色発光層170を形成するとき、アクティブ領域内の全てのサブ画素にわたって間断なく一体的に形成される。
図8は本発明の有機発光素子を適用した有機発光表示装置を示した断面図である。
【0095】
図8に示すように、本発明の有機発光表示装置は
図1で説明した有機発光素子を基板100上に有し、前記有機発光素子の第1電極110は各有機発光素子の第1領域〜第3領域(サブ画素)SP1〜SP3に備えられた駆動薄膜トランジスタTFTと接続する。
【0096】
ここで、駆動薄膜トランジスタTFTは概略的に示されているが、基板100の所定領域に備えられた半導体層と、前記半導体層との間にゲート絶縁膜を介在して構成されたゲート電極と、前記半導体層の両側と接続されたソース電極及びドレイン電極とを含み、前記駆動薄膜トランジスタに備えられたいずれか一電極が前記第1電極110と接続する。
【0097】
場合によって、本発明の有機発光表示装置は、図示のように、2スタック構造を有してもよく、発光効率をより上昇させるために、前記第3共通層CML3と前記第2電極180の間に発光スタックを少なくとも一つ含み、発光スタックは、第4共通層、指定されたサブ画素に備えられた赤色発光層及び緑色発光層の組合せ、各サブ画素にわたって備えられた青色発光層、及び第5共通層が積層される。
【0098】
また、前記キャッピング層190の上面には、封止のために、有機膜と無機膜とが交互に積層された薄膜積層体が備えてもよく、表示装置の最終の出射側又はカバーフィルムの内側には、輝度向上のために光学フィルムがさらに備えることができる。
図9は本発明の有機発光表示装置を適用した車両を示した図である。
【0099】
図9に示すように、本発明の有機発光表示装置は、基板100を車両の計器盤(図示せず)、前面ガラスから分離されて移動可能なヘッドアップディスプレイ2000、前面ガラス3000、ルームミラー(図示せず)及びサイドミラー3100の少なくとも一つに付着して用いることができる。この場合、車両内のディスプレイは運転者に情報を提供するための装置として利用可能であろう。
本発明の有機発光表示装置の基板100は透明可撓性プラスチック基板を使用して、車両内への設置を容易にできる。
【0100】
そして、基板100の各有機発光素子を駆動するための前記駆動薄膜トランジスタTFTは車両内のバッテリーから電力を受けて動作することができ、これから電流を受けて有機発光素子が駆動することができる。この場合、野外での移動中にも本発明のディスプレイは高い発光効率を有するので、使用者に高輝度で画像を表示することができ、視認性が優れる。また、第1スタック内から電子輸送層を省略することによって電子輸送のバリア電圧が低下し、電子輸送速度を高められる。青色発光層を全てのサブ画素が共有していても、各発光層内で正孔及び電子の再結合を向上させて各発光色の輝度特性を向上させることができる。
【0101】
車両内に本発明の有機発光表示装置を設置すると、高輝度特性を有するので、野外光又は暗い条件でも運転者に一定程度以上の輝度特性を提供して、運転中に運転者の走行視野を妨げることなしに表示することができる。
【0102】
第1に、有機発光素子では、青色発光層が各サブ画素に分割して形成されず、アクティブ領域全体にわたって一体的に形成されるため、高精細蒸着マスクの使用を減らすことができる。これにより、収率を増加させられる。
【0103】
第2に、赤色発光層と緑色発光層に接する青色発光層は、隣接した長波長発光層(すなわち、赤色発光層と緑色発光層)側にエネルギーを伝達し、赤色発光層および緑色発光層の励起を補助する。それにより、青色発光層は赤色および緑色サブ画素の発光に寄与し、赤色および緑色発光層の厚さは、各領域の各スタックが単一の発光層、すなわち赤色または緑色発光層を有する構造と比較して減少する。また、赤色および緑色発光層に含まれる高価な赤色および緑色ドーパントの使用を減らすことができ、したがって材料費を低減できる。
【0104】
第3に、青色発光層と別の色の発光層との間にスタック領域が形成された場合であっても、青色発光に必要な励起エネルギーは別の色の発光に必要な励起エネルギーよりも大きく、別の色の発光層が配置された領域では、青色発光層から受けとるエネルギーによって対応する色(赤色光と緑色光)をさせることが可能であり、青色光との混色を防ぐことができる。
【0105】
第4に、青色発光層は、青色発光層内に励起子を形成する第1ホストと電荷発生層からの電子を輸送する第2ホストとを共に使用するように構成されている。特に、第1のスタックの青色発光層は電荷発生層と接する。したがって、第1スタック中の電子輸送層は省略することができる。この場合、電子輸送層の省略により層間界面バリアが減少し、駆動電圧を低減できる。
【0106】
第5に、有機発光素子は、電子輸送層を省略することによって有機層の使用を減らし、したがって材料費を削減できる。電子輸送層が省略されても、青色発光層のホストの構成変更によって青色発光層が電子輸送層として機能するため、各発光色の効率を低下せず維持できる。特に、青色光の効率はかなり高められ得る。
【0107】
一方、以上で説明した本発明は上述した実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内でさまざまな置換、変形及び変更が可能であるというのが本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。