(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937804
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法
(51)【国際特許分類】
C01G 23/00 20060101AFI20210909BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20210909BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20210909BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20210909BHJP
B82Y 99/00 20110101ALI20210909BHJP
【FI】
C01G23/00 B
H01M4/485
B82Y30/00
B82Y40/00
B82Y99/00
【請求項の数】31
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-162035(P2019-162035)
(22)【出願日】2019年9月5日
(65)【公開番号】特開2020-40873(P2020-40873A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年9月10日
(31)【優先権主張番号】201811038606.9
(32)【優先日】2018年9月6日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519316254
【氏名又は名称】中国石油天然气股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PetroChina Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】李建明
(72)【発明者】
【氏名】金旭
(72)【発明者】
【氏名】王曉▲チィ▼
(72)【発明者】
【氏名】孫亮
(72)【発明者】
【氏名】蘇玲
(72)【発明者】
【氏名】劉曉丹
【審査官】
神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第104201364(CN,A)
【文献】
特開2010−228980(JP,A)
【文献】
特表2016−501806(JP,A)
【文献】
特開2015−201438(JP,A)
【文献】
特開2016−193816(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/025795(WO,A1)
【文献】
JIANG, Yan-Mei et al.,Scientific Reports,2013年,3,3490,DOI: 10.1038/srep03490
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/00
H01M 4/485
B82Y 30/00
B82Y 40/00
B82Y 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸リチウム材料の晶相がスピネル型晶相、単斜晶系晶相又はそれらの複合晶相であり、前記チタン酸リチウム材料は主に線状分画構造により構成され、前記線状分画構造のアスペクト比は10を超え、線状分画構造のチタン酸リチウム材料の表面構成物はナノシートであり、前記線状分画構造は直径が20nm〜1μmであり、長さが1μm〜50μmであり、前記ナノシートの寸法は5nm〜300nmであり、前記ナノシートの厚さは1nm〜20nmである、線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法であって、
(1)線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを調製する工程、
(2)工程(1)で得られた線状構造ペルオキソチタン酸リチウムから水熱反応又は溶媒熱反応により線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得る工程、
(3)工程(2)で得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体からアニール処理により前記線状分画構造チタン酸リチウム材料を得る工程、
を含み、
前記方法は、
(a1)チタンを含有するペルオキソ錯体分散液を調製する工程、
(b1)工程(a1)で得られたチタンを含有するペルオキソ錯体分散液にリチウム化合物を加えて溶液を形成する工程、
(c1)工程(b1)で得られた溶液を加熱反応させて線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得る工程、
を含み、又は
(a2)チタン源で加水分解反応により水和チタン酸の沈殿を形成する工程、
(b2)水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に工程(a2)で得られた水和チタン酸の沈殿を分散させて、攪拌して溶液を形成する工程、
(c2)工程(b2)で得られた溶液に加熱反応させて線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得る工程、
を含む線状構造ペルオキソチタン酸リチウムの調製を更に含み、
工程(c1)及び工程(c2)で得られた線状構造ペルオキソチタン酸リチウムに対して低温処理を行うことにより、線状構造ペルオキソチタン酸リチウムの表面の過酸化物イオンを分解させて除去することで、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得ることを更に含み、
前記低温処理は温度が120℃〜200℃であり、時間が1h〜12hである、
線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項2】
前記線状分画構造は中実線状構造又は中空線状構造である、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項3】
前記線状分画構造は直径が50nm〜500nmであり、長さが5μm〜20μmである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項4】
前記ナノシートの寸法は10nm〜100nmである
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項5】
前記ナノシートの厚さは1nm〜10nmである
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項6】
前記線状分画構造のアスペクト比は10〜100である
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項7】
前記線状分画構造チタン酸リチウム材料の表面には、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒リン、金属及び半導体の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせが担持されている
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項8】
前記水熱反応系は純水系、酸性水系又はアルカリ性水系から選択され、前記水熱反応は温度が100℃〜150℃であり、時間が1h〜24hである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項9】
前記溶媒熱反応系はアルコールの水溶液系又はアルコール溶液系から選択され、前記溶媒熱反応は温度が80℃〜150℃であり、時間が1h〜24hである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項10】
前記アニール処理は温度が300℃〜700℃であり、時間が1h〜24hである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項11】
前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液におけるチタンのペルオキソ錯体の濃度は0.01mol/L〜1mol/Lである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項12】
前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液におけるチタンのペルオキソ錯体の濃度は0.05mol/L〜0.5mol/Lである、
請求項11に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項13】
前記方法は、チタン化合物を過酸化物水溶液に分散させて分散液を形成して、前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液を得る工程を含むチタンを含有するペルオキソ錯体分散液の調製方法を更に含む、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項14】
前記チタン化合物は、金属チタン、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタングリコール、チタングリセロール、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、四フッ化チタン、フッ化チタン酸アンモニウム、窒化チタン、二酸化チタン及びチタン酸の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである、
請求項13に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項15】
前記過酸化物は、過酸化水素、過酸化尿素、及び過酢酸の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである、
請求項13に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項16】
チタン化合物を過酸化物水溶液に分散させて分散液を形成した後、分散液にポリマーを添加する工程を更に含み、そして前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液を得る、
請求項13に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項17】
前記ポリマーは、キトサン、グアーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである、
請求項16に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項18】
前記ポリマーの添加量としては、添加した後に得られたチタンを含有するペルオキソ錯体分散液におけるポリマーの質量含有量が1/10000〜10/100である、
請求項16に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項19】
前記リチウム化合物は、水酸化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム及び超酸化リチウムの中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項20】
前記リチウム化合物の使用量としては、リチウム化合物を加えて溶液を形成した後、溶液におけるリチウムイオンの濃度が0.4mol/L〜2.0mol/Lである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項21】
工程(c1)と工程(c2)に記載の加熱反応は、温度がそれぞれ独立して60℃〜100℃であり、時間がそれぞれ独立して0.5h〜24hである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項22】
前記チタン源はチタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタングリコール、チタングリセロール、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、四フッ化チタン、フッ化チタン酸アンモニウム、窒化チタン、チタン酸及び工業用チタン含有化合物の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項23】
工程(a2)に記載の加水分解反応は、前記チタン源を水中に分散させて加水分解を行って水和チタン酸の沈殿を生成することを含み、又は、前記加水分解反応は塩基性物質を含有する水溶液に前記チタン源を分散させて加水分解を行って水和チタン酸の沈殿を生成すること含む、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項24】
前記塩基性物質はアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン及びジエタノールアミンの中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである、
請求項23に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項25】
工程(a2)は、加水分解の後、得られた水和チタン酸の沈殿粗生成物を精製する工程を更に含み、且つ精製された水和チタン酸の沈殿を工程(b2)に用いて、
前記精製方法は、水洗-遠心分離、水洗-膜分離、水洗-濾過及び透析の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項26】
精製された前記水和チタン酸の純度が97%以上である
請求項25に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項27】
工程(b2)に係る水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における水酸化リチウムの濃度は0.4mol/L〜2.0mol/Lである、
請求項1に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項28】
工程(b2)に係る水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における水酸化リチウムの濃度は1.0mol/L〜1.5mol/Lである、
請求項27に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項29】
工程(b2)に係る水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における過酸化水素水の体積分率は0.5%〜10%である、
請求項27に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項30】
工程(b2)に係る水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における過酸化水素水の体積分率は1%〜3%である、
請求項29に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【請求項31】
前記方法は、工程(3)でアニール処理により前記線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た後、得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料の表面に、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒リン、金属及び半導体の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせを担持させる工程を更に含む、
請求項1〜30のいずれか1項に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー分野に関する。具体的には、本発明は線状分画構造チタン酸リチウム材料
の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸リチウムは理想的な、開発に非常に有望なリチウムイオン電池負極材料であり、その充放電サイクルが数千回以上となり、電極材料分野の研究ホットスポットである。
【0003】
チタン酸リチウムの寸法及び形態はリチウムイオン電池における応用に大きな影響を与える。例えば、分画構造材料は、材料のナノ構造特性を十分に利用するとともに、材料のナノ構造機能を良好に保つことができる。分画構造材料の組成物は、一般的には小さなナノ粒子であり、材料の比表面積を増加し、材料のナノオーダー性能を高めることができる。分画構造材料は全体としてミクロンオーダーであり、全体としての粒子間の堆積に有利であり、電池の急速充放電性能を大きく高めることができる。また、粒子に比べて、線状構造のチタン酸リチウム材料は、粒子間の結晶粒界を低減させて、長軸方向におけるキャリアの輸送に寄与することができる。電池電極材料分野では、長軸は電子の有効遷移に寄与し、短軸はリチウム、ナトリウム又はカリウムイオンの高速なインターカレーションとデインターカレーション過程に寄与する。粒子に比べて、線状構造は良好な充放電性能などを有する。従って、線状分画構造チタン酸リチウム材料は、材料の比表面積を大きく高めて、材料の表面活性を高めて、粒子間の結晶粒界を低減させて、長軸方向におけるキャリアの有効輸送に寄与することできるため、電池電極の容量及び急速充放電などの分野における材料の応用性能を大きく高めることができる。
【0004】
従来、チタン酸リチウムを調製する方法は主に固相合成と水熱反応による調製とを含む。そのうち、固相合成方法としては、まず水酸化リチウム又は炭酸リチウムと二酸化チタンなどの原料をボールミルにより、又は有機溶剤に均一に混合した後、800℃超えの高温で焼結して調製するのが一般的である。該方法による調製は、過剰な水酸化リチウム又は炭酸リチウムが必要になるため、得られたチタン酸リチウムは通常純度が高くなく、寸法がミクロンオーダーにあり、形態も均一性も良くない。チタン酸リチウムの水熱調製方法としては、一般的に市販の二酸化チタン及び水酸化ナトリウムを開始原材料とし、水熱法によりチタン酸ナトリウムを調製し、且つチタン酸ナトリウムを酸溶液に浸漬させ、イオン交換法によりチタン酸を得た。そして、チタン酸と水酸化リチウム溶液を混合してチタン酸リチウム前駆体を得てから、異なる温度でアニーリング処理して、生成物であるチタン酸リチウムを得た。該調製方法の水熱過程は高温高圧に関与するため、一定の危険性がある。また、該反応系は10mol/Lの強アルカリであり、高温で強い腐食性を有するため、水熱反応機器に対する要求が非常に過酷であり、好適な反応機器を見出すことが難しい。また、該調製方法で使用されるアルカリ濃度が高いため、後続の製品の分離、精製が困難になり、環境にも一定の汚染を与える。従って、チタン酸リチウムの水熱調製方法は、合成機器及び後続処理などの面で多くの課題に直面し、大規模な製造を実現することができない。
【0005】
以上のように、リチウムイオンなどの電池分野におけるチタン酸リチウム材料の応用性能をさらに高めるために、線状分画構造を有するチタン酸リチウム電極材料を探して開発することは緊急に必要である。また、開発プロセスの流れが簡単であり、チタン酸リチウムの大規模な製造に便利な調製方法、特に線状分画構造を有するチタン酸リチウム材料の調製方法について、技術的にはやはり挑戦的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、線状分画構造チタン酸リチウム材料を提供することを目的の一つとする。
【0007】
また、本発明は、前記線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法を提供することを目的の一つとする。
【0008】
更に、本発明は、イオン電池の電極材料を提供することを目的の一つとする。
【0009】
上記の目的を達成するために、一方では、本発明はチタン酸リチウム材料の晶相がスピネル型晶相、単斜晶系晶相又はそれらの複合晶相であり、前記チタン酸リチウム材料が主に線状分画構造により構成され、線状分画構造のチタン酸リチウム材料の表面構成物はナノシートである線状分画構造チタン酸リチウム材料を提供する。
【0010】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記線状分画構造チタン酸リチウム材料の表面には、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒リン、金属及び半導体の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせが担持される。
【0011】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記線状分画構造のアスペクト比は10を超える。
【0012】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記線状分画構造のアスペクト比は10〜100である。
【0013】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記チタン酸リチウム線状分画構造は中実線状構造又は中空線状構造である。
【0014】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記線状分画構造は直径が20nm〜1μmであり、長さが1μm〜50μmである。
【0015】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記線状分画構造は直径が50nm〜500nmであり、長さが5μm〜20μmである。
【0016】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ナノシートの寸法は5nm〜300nmである。
【0017】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ナノシートの寸法は10nm〜100nmである。
【0018】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ナノシートの厚さは1nm〜20nmである。
【0019】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ナノシートの厚さは1nm〜10nmである。
【0020】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法は、
(1)線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを調製する工程、
(2)工程(1)で得られた線状構造ペルオキソチタン酸リチウムから水熱反応又は溶媒熱反応により線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得る工程、
(3)工程(2)で得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体からアニール処理により前記線状分画構造チタン酸リチウム材料を得る工程、を含む。
【0021】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記方法は、
(a1)チタンを含有するペルオキソ錯体分散液を調製する工程、
(b1)工程(a1)で得られたチタンを含有するペルオキソ錯体分散液にリチウム化合物を加えて溶液を形成する工程、
(c1)工程(b1)で得られた溶液を加熱反応させて線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得る工程、
を含み、又は
(a2)チタン源で加水分解反応により水和チタン酸の沈殿を形成する工程、
(b2)水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に工程(a2)で得られた水和チタン酸の沈殿を分散させて、攪拌して溶液を形成する工程、
(c2)工程(b2)で得られた溶液に加熱反応させて線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得る工程、を含む線状構造ペルオキソチタン酸リチウムの調製を更に含む。
【0022】
本発明のある具体的な実施形態によれば、工程(c1)及び工程(c2)で得られた線状構造ペルオキソチタン酸リチウムに対して低温処理を行うことにより、線状構造ペルオキソチタン酸リチウムの表面の過酸化物イオンを分解させて除去することで、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得ることを更に含む。
【0023】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記低温処理は温度が120℃〜200℃であり、時間が1h〜12hである。
【0024】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記水熱反応系は純水系、酸性水系又はアルカリ性水系から選択され、前記水熱反応は温度が100℃〜150℃であり、時間が1h〜24hである。
【0025】
なお、本発明に記載の純水系とは、中性水系、即ち、pH値が中性の水であり、例えば、脱イオン水、生活用水、工業用水などであることは理解することができる。
【0026】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記溶媒熱反応系はアルコールの水溶液系又はアルコール溶液系から選択され、前記溶媒熱反応は温度が80℃〜150℃であり、時間が1h〜24hである。
【0027】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記アニール処理は温度が300℃〜700℃であり、時間が1h〜24hである。
【0028】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液におけるチタンのペルオキソ錯体の濃度は0.01mol/L〜1mol/Lである。
【0029】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液におけるチタンのペルオキソ錯体の濃度は0.05mol/L〜0.5mol/Lである。
【0030】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記方法は、チタン化合物を過酸化物水溶液に分散させて分散液を形成して、前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液を得る工程を含むチタンを含有するペルオキソ錯体分散液の調製方法を更に含む。
【0031】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記チタン化合物は、金属チタン、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタングリコール、チタングリセロール、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、四フッ化チタン、フッ化チタン酸アンモニウム、窒化チタン、二酸化チタン及びチタン酸の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0032】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記過酸化物は、過酸化水素、過酸化尿素、及び過酢酸の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0033】
本発明のある具体的な実施形態によれば、チタン化合物を過酸化物水溶液に分散させて分散液を形成した後、分散液にポリマーを添加する工程を更に含み、そして前記チタンを含有するペルオキソ錯体分散液を得る。
【0034】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ポリマーは、キトサン、グアーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0035】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ポリマーの添加量としては、添加した後に得られたチタンのペルオキソ錯体を含有する分散液におけるポリマーの質量含有量が1/10000〜10/100である。
【0036】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記ポリマーの添加量としては、添加した後に得られたチタンのペルオキソ錯体を含有する分散液におけるポリマーの質量含有量が1/1000〜1/100である。
【0037】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記リチウム化合物は、水酸化リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム及び超酸化リチウムの中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0038】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記リチウム化合物の使用量としては、リチウム化合物を加えて溶液を形成した後、溶液におけるリチウムイオンの濃度が0.4mol/L〜2.0mol/Lである。
【0039】
本発明のある具体的な実施形態によれば、工程(c1)と工程(c2)に記載の加熱反応は、温度がそれぞれ独立して60℃〜100℃であり、時間がそれぞれ独立して0.5h〜24hである。
【0040】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記チタン源はチタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタングリコール、チタングリセロール、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、四フッ化チタン、フッ化チタン酸アンモニウム、窒化チタン、チタン酸及び工業用チタン含有化合物の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0041】
本発明のある具体的な実施形態によれば、工程(a2)に記載の加水分解反応は、前記チタン源を水中に分散させて加水分解を行って水和チタン酸の沈殿を生成することを含み、又は、前記加水分解反応は塩基性物質を含有する水溶液に前記チタン源を分散させて加水分解を行って水和チタン酸の沈殿を生成すること含む。
【0042】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記塩基性物質はアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン及びジエタノールアミンの中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0043】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記加水分解反応は常温常圧で行う。
【0044】
本発明のある具体的な実施形態によれば、工程(a2)は、加水分解の後、得られた水和チタン酸の沈殿粗生成物を精製する工程を更に含み、且つ精製された水和チタン酸の沈殿を工程(b2)に用いて、前記精製方法は、水洗-遠心分離、水洗-膜分離、水洗-濾過及び透析の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせである。
【0045】
本発明のある具体的な実施形態によれば、精製された水和チタン酸の純度が97%以上である。
【0046】
本発明のある具体的な実施形態によれば、工程(b2)に係る水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における水酸化リチウムの濃度は0.4mol/L〜2.0mol/Lである。
【0047】
本発明のある具体的な実施形態によれば、工程(b2)に係る水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における水酸化リチウムの濃度は1.0mol/L〜1.5mol/Lである。
【0048】
本発明のある具体的な実施形態によれば、水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における過酸化水素水の体積分率は5/1000〜10/100である。
【0049】
本発明のある具体的な実施形態によれば、水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液における過酸化水素水の体積分率は1/100〜3/100である。
【0050】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記方法は、工程(3)においてアニール処理により前記線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た後、得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料の表面に、炭素、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒リン、金属及び半導体の中から選ばれる一種もしくは複数種の組み合わせを担持させる工程を更に含む。
【0051】
他方では、本発明は
(1)線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを調製する工程、
(2)工程(1)で得られた線状構造ペルオキソチタン酸リチウムから水熱反応又は溶媒熱反応により線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得る工程、
(3)工程(2)で得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体からアニール処理により前記線状分画構造チタン酸リチウム材料を得る工程、を含む前記線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製方法を更に提供する。
【0052】
更に、本発明は電極材料は主に本発明のいずれか1項に記載の線状分画構造チタン酸リチウム材料により構成されるイオン電池の電極材料も提供する。
【0053】
本発明のある具体的な実施形態によれば、前記イオン電池はリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、カリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池から選択される。
【0054】
なお、用語「含む/含有する」は本文で使用される場合、特徴、インテグラル、工程又はモジュールの存在を指すが、一つ又は複数のほかの特徴、インテグラル、工程又はモジュールの存在又は付加を除外しない。
【0055】
本発明では、一つの実施形態に記載及び/又は示される特徴は、同一又は類似の方式で、一つ又は複数のほかの実施形態に使用されたり、ほかの実施形態における特徴と組み合わせたり、又はほかの実施形態における特徴を代替することができる。
【0056】
本発明で引用されるいかなるデジタル値は、下限値ないし上限値の間の、1単位で逓増する下値及び上値の全ての値を含み、任意の下値と任意のより高い値の間に、少なくとも2単位の間隔が存在すればよい。例えば、一つの部品の数量又はプロセス変数(例えば、温度、圧力、時間など)の値として1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70であることが記載されるのは、例えば15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの値も明確に本明細書に示されることを説明することを目的とする。1未満の値について、1単位が0.0001、0.001、0.01、0.1であると適切に考えられる。これらは明確に表現するための例示に過ぎず、最低値と最高値の間に列挙される数値の全ての可能な組み合わせは、ともに類似の方式で該明細書で明確に述べられていると考えられることができる。
【0057】
以上のように、本発明は線状分画構造チタン酸リチウム材料及びその調製と応用を提供する。本発明のチタン酸リチウム材料は以下の利点がある。
(1)本発明は初めて線状分画構造チタン酸リチウム材料を提供し、該材料の表面構成物はナノシートである。
(2)該線状構造は、長軸が電子の有効遷移に寄与し、シート状分画構造がリチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンの高速なインターカレーションとデインターカレーション過程に寄与し、大きい比表面積が電解液と電極の接触面積、電流密度の低減に寄与し、良好な電池急速充放電性能を有する。
(3)該方法により提供された線状分画構造チタン酸リチウム材料の調製技術は、ほかの方法で実現できないものである。
(4)該方法により提供された分画構造により、チタン酸リチウムの比表面積を増加させ、電極材料としてのチタン酸リチウムと電解液との接触面積を増加させ、電流密度を低減して、電池性能を高めることができる。
(5)該方法により提供された線状分画構造は粒子間の結晶粒界を低減させて、長軸方向におけるキャリアの有効輸送に寄与し、電極材料の応用効果を高めることができる。
(6)該方法は、製造プロセスが簡単であり、プロセスパラメータの制御が容易となり、製造コストが低いため、大規模な工業化生産を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】実施例1のチタン酸リチウム材料(スピネル型チタン酸リチウム晶相)のXRD図である。
【
図2】実施例1のチタン酸リチウム材料(線状構造)のSEM図である。
【
図3】実施例1の線状チタン酸リチウム材料(分画構造)のSEM図である。
【
図4】実施例1の線状分画構造チタン酸リチウム材料の表面構成物(ナノシート)のSEM図である。
【
図5】異なる充放電速率における実施例1の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極材料とするリチウムイオン電池の放電容量図である。
【
図6】実施例2の中空線状構造のチタン酸リチウム材料のSEM図である。
【
図7】異なる充放電速率における実施例2の中空線状構造チタン酸リチウム材料を電極材料とするリチウムイオン電池の放電容量図である。
【
図8】実施例3の線状分画構造チタン酸リチウム材料(スピネル型チタン酸リチウムと単斜晶系晶相の複合晶相)のXRD図である。
【
図9】実施例3の線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEM図である。
【
図10】実施例4の線状分画構造チタン酸リチウム材料(単斜晶系チタン酸リチウム晶相)のXRD図である。
【
図11】実施例4の線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEM図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、具体的な実施例により本発明の実施過程及びそれによる有益な効果を詳細に説明し、読者に本発明の実質及び特徴をよく理解させるように意図し、本件の実施可能な範囲を限定することはない。
【0060】
実施例1
まず、2gのチタンイソプロポキシドを100mlの水に分散させてから、5mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3.5gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を80℃まで加熱してから、定温で6時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、120℃で6時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を450℃で4時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。
【0061】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のXRD晶相スペクトルは
図1に示し、標準なスピネル型チタン酸リチウム(PDFカード番号が49-0207である)の標準ピークと完全に重なるので、スピネル型チタン酸リチウムであると実証された。
【0062】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料の低倍SEM形態スペクトルは
図2に示すように、線状構造が中実線状構造であり、線状構造のアスペクト比が10を超え、またアスペクト比が10〜100の線状構造が占める割合は90%以上と高くなる。図から分かるように、線状分画構造チタン酸リチウム材料は直径が20nm〜1μmであり、長さが1μm〜50μmであり、また、直径が50nm〜500nmであり、長さが5μm〜20μmである線状構造が占める割合は60%と高くなる。
【0063】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料の高倍SEM形態スペクトルは
図3に示すように、線状構造が線状分画構造であり、その表面がナノシート粒子により構成されることが分かる。ナノシートの寸法は5nm〜300nmであり、寸法が10nm〜100nmのナノシートが占める割合は80%と高くなる。
【0064】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のナノシート表面構成物のSEMスペクトルは
図4に示すように、ナノシートの厚さが1nm〜20nmであり、厚さが1nm〜10nmのナノシートが占める割合が80%と高くなることが分かる。
【0065】
異なる充放電速率における本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極材料とするリチウムイオン電池の放電容量の試験結果は
図5に示す。リチウムイオン電池電極の製造はナイフコートの方法が採用される。まず、N-メチルピロリドン(NMP)を溶剤として生成物であるチタン酸リチウム:super P:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)=7:2:1の質量比で、混合してスラリーとして、ナイフコーターでスラリーを銅箔に均一に塗布し、その後、グローブボックス内で金属リチウムを対極とし、1mol/LのLiPF
6/EC-DMC-EMC(1:1:1)を電解液とし、Glass Fiberを隔膜として、型番がCR2032であるボタン電池と組み立てられ、電気化学的試験を行う。
図5から分かるように、材料構造は以下の特性を有する。(1)線状構造は大きいアスペクト比を有し、アスペクト比が主に10〜100であるため、ナノ粒子に比べて、粒子間の結晶粒界を大きく低減して、長軸方向における電子の有効遷移に寄与し、電極材料全体としての導電性能を高めることができる。(2)シート状分画構造のナノシートの厚さは主に1nm〜10nmであり、非常に短いリチウムイオン遷移経路を有するため、リチウムイオンのインターカレーションとデインターカレーション過程を急速に高めて、倍率充放電性能を高めることができる。(3)該分画構造は大きい比表面積を有し、78.3m
2/gであるため、電解液と電極の接触面積、電流密度の低減に寄与する。(4)該線状分画構造は、導電剤と十分に均一に混合しやすいため、ライン同士の間の有効導電接触が増加し、電子の有効輸送が向上する。従って、該構造のチタン酸リチウム材料は優れたリチウムイオン電池充放電性能を有し、1C、2C、5C、10C、15C、20C、50Cとの異なる充放電速率で、電池平均容量がぞれぞれ、240、218、208、196、186、180、162mAhg
-1に保持され、特に、50Cの超急速充放電速率においても、162mAhg
-1と高くなる放電容量も保持でき、ほかの報告の線状チタン酸リチウム材料より遥かに高くなる。
【0066】
実施例2
まず、2gのチタンテトラブトキシドを100mlの水に分散させてから、5mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3.5gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を80℃まで加熱してから、定温で6時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を150℃のオーブンに入れて4時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。次に、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、120℃で6時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を450℃で4時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。
【0067】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のXRD晶相スペクトルは
図1と一致し、標準なスピネル型チタン酸リチウム(PDFカード番号が49-0207である)の標準ピークと完全に重なるので、スピネル型チタン酸リチウムであると実証された。
【0068】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEM形態スペクトルは
図6に示すように、線状構造が中空線状構造であり、線状構造のアスペクト比は10を超え、アスペクト比が10〜100の線状構造が占める割合は90%以上と高くなる。図から分かるように、線状分画構造チタン酸リチウム材料は直径が20nm〜1μmであり、長さが1μm〜50μmであり、直径が50nm〜500nmであり、長さが5μm〜20μmである線状構造が占める割合は60%と高くなる。線状構造は線状分画構造であり、その表面はナノシート粒子により構成されることが図から分かる。ナノシートの寸法は5nm〜300nmであり、寸法が10nm〜100nmのナノシートが占める割合は80%と高くなる。また、図から分かるように、ナノシートの寸法は1nm〜20nmであり、寸法が1nm〜10nmのナノシートが占める割合は80%と高くなる。
【0069】
異なる充放電速率における本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極材料とするリチウムイオン電池の放電容量の試験結果は
図7に示す。リチウムイオン電池電極の製造はナイフコートの方法が採用される。まず、N-メチルピロリドン(NMP)を溶剤として、生成物であるチタン酸リチウム:super P:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)=7:2:1の質量比で、混合してスラリーとして、ナイフコーターでスラリーを銅箔に均一に塗布し、その後、グローブボックス内で金属リチウムを対極とし、1mol/LLiPF
6/EC-DMC-EMC(1:1:1)を電解液とし、Glass Fiberを隔膜として、型番がCR2032であるボタン電池と組み立てられ、電気化学的試験を行う。
図7から分かるように、材料構造は以下の特性を有する。(1)線状構造は大きいアスペクト比を有し、アスペクト比が主に10〜100であるため、ナノ粒子に比べて、粒子間の結晶粒界を大きく低減して、長軸方向における電子の有効遷移に寄与し、電極材料全体としての導電性能を高めることができる。(2)シート状分画構造のナノシートの厚さは主に1nm〜10nmであり、非常に短いリチウムイオン遷移経路を有するため、リチウムイオンのインターカレーションとデインターカレーション過程を急速に高めて、倍率充放電性能を高めることができる。(3)中空構造を有するため、該分画構造は大きい比表面積を有し、90.7m
2/gであるため、電解液と電極の接触面積、電流密度の低減に寄与する。(4)該線状分画構造は、導電剤と十分に均一に混合しやすいため、ライン間の有効導電接触が増加し、電子の有効輸送が向上する。従って、該構造のチタン酸リチウム材料は優れたリチウムイオン電池充放電性能を有し、1C、2C、5C、10C、15C、20C、50Cとの異なる充放電速率で、電池平均容量がぞれぞれ、235、225、207、193、184、180、173mAhg
-1に保持され、特に、50Cの超急速充放電速率においても、173mAhg
-1と高くなる放電容量も保持でき、ほかの報告の線状チタン酸リチウム材料より遥かに高くなる。
【0070】
実施例3
まず、1gのチタン酸を100mlの水に分散させてから、6mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に4gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を90℃まで加熱してから、定温で5時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。次に、上記白色固体を100mlのイソプロパノールと水の比率が1:5であるアルコール水溶液中に分散させて、100℃で8時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を300℃で6時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。
【0071】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のXRD晶相スペクトルは
図8に示し、生成物は標準なスピネル型チタン酸リチウム(PDFカード番号が49-0207である)及び単斜晶系チタン酸リチウム(PDFカード番号が33-0831である)晶相の標準ピークと重なるので、生成物はスピネル型チタン酸リチウムと単斜晶系チタン酸リチウムの複合晶相であると実証された。
【0072】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEM形態スペクトルは
図9に示すように、線状構造は中実線状構造であり、線状構造のアスペクト比は10を超え、またアスペクト比が10〜100の線状構造が占める割合は80%以上と高くなる。図から分かるように、線状分画構造チタン酸リチウム材料は直径が20nm〜1μmであり、長さが1μm〜50μmであり、直径が50nm〜500nmであり、長さが5μm〜20μmである線状構造が占める割合は60%と高くなる。線状構造は線状分画構造であり、その表面はナノシート粒子により構成されることが図から分かる。ナノシートの寸法は5nm〜300nmであり、寸法が10nm〜100nmのナノシートが占める割合は80%と高くなる。また、図から分かるように、ナノシートの寸法は1nm〜20nmであり、寸法が1nm〜10nmのナノシートが占める割合は80%と高くなる。
【0073】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0074】
実施例4
攪拌条件で、2gの硫酸チタニルを100mlの水溶液に分散し溶解させてから、溶液が中性(pH値が約7である)になるまで、上記溶液に濃度0.1mol/Lのアンモニア水を緩やかに滴下して、硫酸チタニルを徐々に完全に加水分解させて、水和チタン酸沈殿を生成する。そして、水和チタン酸沈殿を超音波分散させ、脱イオン水で複数回洗浄して、遠心分離を行う。次に、過酸化水素と水酸化リチウムを水に溶解させて、水酸化リチウムの濃度が0.8mol/Lであり、過酸化水素の体積分率が3%である水溶液を形成する。その後、上記遠心分離がなされた水和チタン酸沈殿を100mlの上記調製された水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に分散させて、攪拌して黄色透明溶液が形成される。次に、上記黄色透明溶液を70℃まで加熱してから、定温で10時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。そして、上記白色固体を100mlのエタノールと水の比率が5:1であるアルコール水溶液中に分散させて、120℃で12時間溶媒熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を600℃で3時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。
【0075】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のXRD晶相スペクトルは
図10に示し、生成物は標準な単斜晶系チタン酸リチウム(PDFカード番号が33-0831である)晶相の標準ピークと重なるので、生成物は単斜晶系チタン酸リチウム晶相であると実証された。
【0076】
本実施例で得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEM形態スペクトルは
図11に示すように、生成物は線状構造であり、直径が20nm〜1μmであり、長さが1μm〜50μmであり、アスペクト比が10を超えており、且つ線状構造は線状分画構造であり、その表面はナノシート粒子により構成され、ナノシートは寸法が5nm〜300nmであり、厚さが1nm〜20nmであることが分かる。
【0077】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0078】
実施例5
まず、0.3gの硫酸チタンを100mlの水に分散させてから、2gの過酸化尿素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に1gの過酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を60℃まで加熱してから、定温で24時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、100℃で12時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を350℃で6時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0079】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0080】
実施例6
まず、8gのチタン酸を80mlの水に分散させてから、25mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3gの酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を100℃まで加熱してから、定温で1時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、150℃で2時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を700℃で1時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0081】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0082】
実施例7
まず、3gの水和硫酸チタニルを100mlの水に分散させてから、5mlの濃度30%の過酢酸を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3gの超酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を90℃まで加熱してから、定温で3時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水酸化リチウムの濃度が0.1mol/Lである水中に分散させて、140℃で3時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を650℃で3時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0083】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0084】
実施例8
まず、3gのチタンテトラブトキシドを100mlの水に分散させてから、6mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を70℃まで加熱してから、定温で12時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの硝酸の濃度が0.01mol/Lである水中に分散させて、110℃で8時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を600℃で4時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。SEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0085】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0086】
実施例9
まず、3gのチタンテトラブトキシドを100mlの濃度が1/1000のヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液に分散させてから、6mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を75℃まで加熱してから、定温で10時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlのメタノールと水の比率が1:1であるアルコール水中に分散させて、80℃で24時間溶媒熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を350℃で8時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0087】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0088】
実施例10
まず、2gのチタンイソプロポキシドを100mlの濃度が5/1000のポリビニルアルコール水溶液に分散させてから、5mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3.5gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を85℃まで加熱してから、定温で6時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、120℃で6時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を50mlの濃度1mol/Lのグルコース溶液中に浸漬させて、遠心分離し乾燥させてから、550℃で不活性雰囲気中で4時間加熱し、炭素を担持させた線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0089】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0090】
実施例11
まず、1.5gのチタンイソプロポキシドを100mlの水に分散させてから、4mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を75℃まで加熱してから、定温で8時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を150℃のオーブンに入れて4時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。次に、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、120℃で6時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を450℃で4時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0091】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0092】
実施例12
まず、0.5gの硫酸チタンを100mlの水に分散させてから、2.5gの過酸化尿素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に1.2gの過酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を65℃まで加熱してから、定温で20時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を200℃のオーブンに入れて1時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。次に、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、150℃で2時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を550℃で3時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0093】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0094】
実施例13
まず、8gのチタン酸を80mlの水に分散させてから、25mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に3gの酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を100℃まで加熱してから、定温で2時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を120℃のオーブンに入れて10時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。次に、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、100℃で12時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を350℃で8時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0095】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0096】
実施例14
まず、2.5gのチタンイソプロポキシドを100mlの濃度が8/1000のポリビニルアルコール水溶液に分散させてから、6mlの濃度30%の過酸化水素を加えて、攪拌してチタンを含有するペルオキソ錯体懸濁液を形成する。次に、上記ペルオキソ錯体懸濁液に4gの水酸化リチウムを添加して、攪拌して淡黄色透明溶液を形成する。そして、上記淡黄色透明溶液を80℃まで加熱してから、定温で8時間攪拌して、白色生成物である線状構造のペルオキソチタン酸リチウムを得て、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を180℃のオーブンに入れて2時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。そして、上記白色固体を100mlのエタノールと水の比率が1:1であるアルコール水中に分散させて、150℃で1時間溶媒熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。その後、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を650℃で3時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。最後に、上記分画構造チタン酸リチウム材料を50mlの濃度が1/1000の酸化グラフェン水溶液中に浸漬させて、乾燥してから500℃の不活性雰囲気中で5時間アニール処理して、グラフェンを担持させた線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0097】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0098】
実施例15
攪拌しながら、0.5gの四塩化チタンを100mlの水溶液に分散し溶解させてから、溶液が中性(pH値が約7である)になるまで、上記溶液に濃度0.01mol/Lの水酸化ナトウム水溶液を緩やかに滴下して、四塩化チタンを徐々に完全に加水分解させて、水和チタン酸沈殿を生成する。そして、水和チタン酸沈殿を超音波分散させ、脱イオン水で複数回洗浄して、遠心分離を行う。次に、過酸化水素と水酸化リチウムを水に溶解させて、水酸化リチウムの濃度が0.4mol/Lであり、過酸化水素の体積分率が1%である水溶液を形成する。その後、上記遠心分離がなされた水和チタン酸沈殿を100mlの上記調製された水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に分散させて、攪拌して黄色透明溶液を形成する。次に、上記黄色透明溶液を60℃まで加熱してから、定温で24時間攪拌して、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、130℃で5時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を400℃で5時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0099】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0100】
実施例16
攪拌しながら、5gの硫酸チタンを100mlの水溶液に分散し溶解させてから、溶液が中性(pH値が約7である)になるまで、上記溶液に濃度0.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液を緩やかに滴下して、硫酸チタンを徐々に完全に加水分解させて、水和チタン酸沈殿を生成する。そして、水和チタン酸沈殿を超音波分散させ、脱イオン水で複数回洗浄して、遠心分離を行う。次に、過酸化水素と水酸化リチウムを水に溶解させて、水酸化リチウムの濃度が1.0mol/Lであり、過酸化水素の体積分率が8%である水溶液を形成する。その後、上記遠心分離がなされた水和チタン酸沈殿を100mlの上記調製された水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に分散させて、攪拌して黄色透明溶液を形成する。次に、上記黄色透明溶液を100℃まで加熱してから、定温で1時間攪拌して、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、140℃で4時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を600℃で3時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0101】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0102】
実施例17
攪拌しながら、1gのチタンイソプロポキシドを100mlの水溶液に分散し、直接に加水分解させて水和チタン酸沈殿を生成する。そして、水和チタン酸沈殿を超音波分散させ、脱イオン水で複数回洗浄して、遠心分離を行う。次に、過酸化水素と水酸化リチウムを水に溶解させて、水酸化リチウムの濃度が0.6mol/Lであり、過酸化水素の体積分率が2%である水溶液を形成する。その後、上記遠心分離がなされた水和チタン酸沈殿を100mlの上記調製された水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に分散させて、攪拌して黄色透明溶液を形成する。次に、上記黄色透明溶液を85℃まで加熱してから、定温で5時間攪拌して、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を160℃のオーブンに入れて3時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。次に、上記白色固体を100mlの水中に分散させて、130℃で5時間水熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を350℃で8時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0103】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。
【0104】
実施例18
攪拌しながら、3gのチタンテトラブトキシドを100mlの水溶液に分散し、直接に加水分解させて水和チタン酸沈殿を生成する。そして、水和チタン酸沈殿を超音波分散させ、脱イオン水で複数回洗浄して、遠心分離を行う。次に、過酸化水素と水酸化リチウムを水に溶解させて、水酸化リチウムの濃度が0.7mol/Lであり、過酸化水素の体積分率が4%である水溶液を形成する。その後、上記遠心分離がなされた水和チタン酸沈殿を100mlの上記調製された水酸化リチウムを含有する過酸化水素水溶液に分散させて、攪拌して黄色透明溶液を形成する。次に、上記黄色透明溶液を70℃まで加熱してから、定温で6時間攪拌して、反応を停止させて、分離して乾燥して、白色固体を得た。その後、上記乾燥後の白色固体を130℃のオーブンに入れて10時間処理し、表面に過酸化物イオンが除去された線状構造ペルオキソチタン酸リチウムを得た。そして、上記白色固体を100mlのエタノールと水の比率が1:1であるアルコール水中に分散させて、100℃で8時間溶媒熱反応して、線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を得た。最後に、上記得られた線状分画構造チタン酸リチウム前駆体を550℃で4時間加熱して、線状分画構造チタン酸リチウム材料を得た。得られた線状分画構造チタン酸リチウム材料のSEMスペクトルは実施例1の製品のSEMスペクトルに類似する。
【0105】
本実施例の線状分画構造チタン酸リチウム材料を電極として製造されたリチウムイオン電池は、試験により、その電容量性能は実施例1の試験結果に類似する。