(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6937839
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】反射式広角レンズユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20210909BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20210909BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20210909BHJP
G03B 21/28 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
G02B17/08 A
G02B13/18
G03B21/00 D
G03B21/28
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-552182(P2019-552182)
(86)(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公表番号】特表2020-529031(P2020-529031A)
(43)【公表日】2020年10月1日
(86)【国際出願番号】IB2018054612
(87)【国際公開番号】WO2019053522
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】106213600
(32)【優先日】2017年9月13日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519337396
【氏名又は名称】福建省鋭馳智能技術研究院有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】孔建平
【審査官】
殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0327508(US,A1)
【文献】
特開2016−151687(JP,A)
【文献】
特開2017−009779(JP,A)
【文献】
特開2015−125293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が大きく、且つ投影比の小さな反射式広角レンズユニットであって、表示素子からの光線を投影するために用いられ、
表示素子からの光線を受け付ける、前記表示素子に対して位置が固定されている第1レンズ群であって、
前記第1レンズ群は、前記表示素子から順に1枚の非球面レンズ、1枚の球面レンズ、1つの三枚接合レンズ、1枚の球面レンズが配置され、
前記三枚接合レンズは2枚の外側レンズと1枚の中心レンズから構成され、前記2枚の外側レンズは光を負に屈折させ、前記中心レンズは光を正に屈折させる、前記第1レンズ群、と、
前記第1レンズ群において表示素子から曲面反射鏡に向かって最も離間した位置に配置される前記球面レンズから、最も広い空気間隔を境にして、前記第1レンズ群からの光線を受け付ける第2レンズ群とから構成される光軸上に設けられるレンズフロントユニットと、
表示素子から前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群を通過した光線を反射する曲面反射鏡から構成され、前記第1レンズ群は前記光軸に対して第1焦点距離を有し、前記曲面反射鏡が第2焦点距離を有し、前記第1焦点距離に対する前記第2焦点距離の比の絶対値が0.7超1.3未満であるレンズバックユニットと、から構成され、
前記第1レンズ群のうち表示素子に最も近接するレンズの頂点から、前記光軸に沿って前記第2レンズ群のうち表示素子と最も離間するレンズの頂点までの距離をレンズフロントユニットの全長と定義し、前記第1レンズ群のうち表示素子に最も近接するレンズの頂点から、前記曲面反射鏡の中心点までの前記光軸方向における距離をレンズユニットの全長と定義し、前記レンズフロントユニットの全長に対する前記レンズユニットの全長の比が1.8超且つ2.2未満である反射式広角レンズユニット。
【請求項2】
当該レンズフロントユニットと当該レンズバックユニットは同一の光軸を有する請求項1に記載の反射式広角レンズユニット。
【請求項3】
当該第2レンズ群は、2枚の非球面レンズと2枚の球面レンズを少なくとも含む請求項1に記載の反射式広角レンズユニット。
【請求項4】
当該第2レンズ群は、2枚の非球面レンズと1つの二枚接合レンズを少なくとも含む請求項1に記載の反射式広角レンズユニット。
【請求項5】
当該曲面反射鏡は、凹陥式の光軸対称非球面反射鏡である請求項1に記載の反射式広角レンズユニット。
【請求項6】
当該第2レンズ群は、当該反射式広角レンズユニットのピントを調整するよう前後に移動する請求項1に記載の反射式広角レンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲面反射鏡を利用する広角レンズユニットに関し、具体的には、投影用の超短焦点反射式投影レンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタの重要部材の進歩に伴って、表示素子の解像度はすでに4K/2Kに達している。また、これらに搭載される光源も、LEDかレーザかに関わらず高輝度化が進んでおり、家庭向け市場への投影用製品の参入は更に成熟化に向かっている。
【0003】
短焦点投影の場合には、プロジェクタとスクリーンとの距離を大幅に縮小でき、わずか数十cmの投影距離で100インチ以上の画面に投影可能となることも多い。また、短焦点プロジェクタはテレビ台に配置することができ、一般的なテレビと同様の配置位置となるため、通常の長焦点プロジェクタに比べて省スペースとなり、且つ、取り付け面等の利点を有する。よって、短焦点投影は、一般的なプロジェクタよりも使用上の実用性を備えている。
【0004】
近年、短焦点投影技術は市場で注目されつつある。現在のところ、単焦点投影の投影比は約0.24〜0.65の間であるが、投影比0.2以下の超短焦点レンズユニットを実現しようとすると、技術的に困難を伴う。また、大開口の投影レンズユニットを用いて輝度を向上させる場合には、より小さな投影比を実現するために、レンズユニットから出射される光はスクリーンに対しより大きな入射角度を有する必要がある。そのため、より多くの球面収差、コマ収差、非点収差及び投影画像の歪みが発生する。従来は、多くのレンズを使用することでこれらの不具合を解消する必要があった。また、一般的には、超短焦点レンズユニットの組み立て及び生産時に、レンズユニット内のいくつかのレンズの位置を微調整しなければ鮮明な画像は得られない。そのため、製造工程がやや複雑であり、大量生産ニーズには不向きであった。
【0005】
上記を背景として、本創造を行った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、本創造に基づく一実施例は、表示素子からの光線を投影するための開口が大きく且つ投影比の小さな反射式広角レンズユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該反射式広角レンズユニットはレンズフロントユニットを含み、当該レンズフロントユニットが光軸上に設けられる。当該レンズフロントユニットは、第1レンズ群及び第2レンズ群を含む。当該第1レンズ群は、表示素子からの光線を受け付けるものであって、第1焦点距離を有する。当該第2レンズ群は、当該第1レンズ群からの光線を受け付ける。当該反射式広角レンズユニットはレンズバックユニットを更に含む。当該レンズバックユニットは曲面反射鏡を含み、当該曲面反射鏡は第2焦点距離を有する。当該第1焦点距離に対する当該第2焦点距離の比の絶対値は、0.7超1.3未満である。当該第1レンズ群のうち表示素子に最も近接するレンズの頂点から、当該光軸に沿って当該第2レンズ群のうち光源と最も離間するレンズの頂点までの距離をレンズフロントユニットの全長と定義する。また、当該第1レンズ群のうち光源に最も近接するレンズの頂点から当該曲面反射鏡の中心点までの当該光軸方向における距離をレンズユニットの全長と定義する。当該レンズフロントユニットの全長に対する当該レンズユニットの全長の比は、1.8超2.2未満である。
【0008】
一実施例において、当該レンズフロントユニットと当該レンズバックユニットは同一の光軸を有する。一実施例において、当該第1レンズ群は、1つの三枚接合レンズ、1枚の非球面レンズ及び2枚の球面レンズを少なくとも含む。一実施例において、当該三枚接合レンズは、2枚の外側レンズと1枚の中心レンズを含み、当該2枚の外側レンズは光を負に屈折させ、当該中心レンズは光を正に屈折させる。一実施例において、当該第2レンズ群は、2枚の非球面レンズと2枚の球面レンズを少なくとも含む。一実施例において、当該第2レンズ群は、2枚の非球面レンズと1つの二枚接合レンズを少なくとも含む。一実施例において、当該曲面反射鏡は、凹陥式の光軸対称非球面反射鏡である。一実施例において、当該第2レンズ群は、当該反射式広角レンズユニットのピントを調整するよう前後に移動する。
【0009】
本創造におけるその他の態様は、以下の図面に基づく詳細な記載からより明らかとなる。
【0010】
以下の図面に基づく詳細な記載を参照することで、ここで記載する実施例及び利点をより良好に理解可能となる。これらの図面は、当業者が、記載される実施例の形式及び詳細を、実施例の精神及び範囲を超えることなく変更することを制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本創造の一実施例における反射式広角レンズユニットの構造を示す図である。
【
図2】
図2は、反射式広角レンズユニットのレンズフロントユニット及びレンズバックユニットの細部を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、広角レンズユニットが異なる投影位置の場合に投影するスクリーンサイズを示している。
【
図3B】
図3Bは、広角レンズユニットが異なる投影位置の場合に投影するスクリーンサイズを示している。
【
図4A】
図4Aは、投影スクリーン上の各サンプリング点を示している。
【
図4B】
図4Bは、反射式広角レンズユニットをある投影サイズに適用した場合の広角レンズユニットの変調伝達関数(MTF)を示している。
【
図4C】
図4Cは、反射式広角レンズユニットをある投影サイズに適用した場合の広角レンズユニットの変調伝達関数(MTF)を示している。
【
図4D】
図4Dは、反射式広角レンズユニットをある投影サイズに適用した場合の広角レンズユニットの変調伝達関数(MTF)を示している。
【
図5】
図5は、反射式広角レンズユニットを異なる投影サイズに適用した場合の歪曲収差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本創造がしっかりと理解されるよう、以下の記載では多数の特定の詳細内容を提示する。ここで開示する実施例は、一部又は全ての特定の詳細内容を必要とすることなく実行可能である。また、ここで開示する実施例が不要に混乱させることのないよう、周知の操作及び原理については詳述しない。また、ここで開示する実施例を特定の事例を組み合わせて記載する場合には、開示する実施例を制限する意図ではないと解釈すべきである。相対関係を記載する用語(例えば、「左」と「右」や「上」と「下」等)を用いて特定の実施例を記載する場合、これらの用語は理解を容易にするために使用するのであって、限定を意図するものではない。
【0013】
本創造は、超短焦点の反射式広角レンズユニットを提供する。当該反射式広角レンズユニットは、大開口への使用に適している(FNO1.7)、レンズ枚数が少ない、レンズユニットの長さが短い、レンズユニットの製造時にレンズの細部を調整不要である、組み立てが容易で大量生産ニーズに適している、0.2以下の投影比を達成可能である、投影サイズ範囲の拡大縮小比率が大きい、といった利点を有する。以下に、図面を参照して本創造の各種実施例につき説明する。
【0014】
本創造の一実施例に基づき、
図1は、一例としての反射式広角レンズユニット100を示す図である。反射式広角レンズユニット100は、投影表示デバイスに適用される高解像度、大開口(例えば、FNO1.7)、且つ低投影比(例えば、投影比0.19)のテレセントリック広角レンズユニット(tele−centric wide angle lens)とすればよい。ここで、
図1を参照して、反射式広角レンズユニット100の配置方式を示す。反射式広角レンズユニット100は、レンズフロントユニット101と、レンズバックユニット103を含めばよい。当該レンズフロントユニット101は、光軸107上に設けられるとともに、第1レンズ群110及び第2レンズ群120を含む。反射式広角レンズユニット100は、表示素子Cからの光線を投影する。表示素子Cからの光線は、プリズムCl、第1レンズ群110、第2レンズ群120を通過した後、凹面の非球面反射鏡105を経由して、視聴のためにスクリーン(図示しない)に投影される。当該表示素子Cは、投影表示デバイスの光学系に使用される表示素子であり、例えば、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD,Digital Micromirror Device)、エルコス(LCoS,Liquid Crystal on Silicon)等の光変調素子である。
図1の実施例では、表示素子CにプリズムClが搭載されている。ただし、その他の実施例において、投影表示デバイスのニーズに基づき、表示素子Cはプリズムを搭載してもしなくてもよいと解釈すべきである。
【0015】
当該第1レンズ群110は、表示素子Cからの光線を受け付けるものであって、第1焦点距離を有する。第1レンズ群110は、非球面レンズ111、球面レンズ113、三枚接合レンズ115及び球面レンズ117を含む。また、当該三枚接合レンズ115は、2枚の外側レンズと1枚の中心レンズを含む。当該2枚の外側レンズは光を負に屈折させ、当該中心レンズは光を正に屈折させる。当該第1レンズ群110の主な機能は、レンズユニットの解像度の向上と、光学軸方向及び側面方向における色収差の低下である。三枚接合レンズの使用によって、レンズの使用枚数を減らし、レンズユニットのサイズを縮小することが可能となる。
【0016】
第2レンズ群120は、当該第1レンズ群からの光線を受け付ける。当該第2レンズ群120は、非球面レンズ121、二枚接合レンズ123及び非球面レンズ125を含む。実施例によっては、当該二枚接合レンズ123を2枚の球面レンズとしてもよい。当該第2レンズ群120の主な機能は、光線の伝達過程で発生するコマ収差や非点収差の除去、歪みの低減、視野角の増大、及び、当該反射式広角レンズユニットの焦点距離を調整し、画像の焦点が鮮明となるよう、投影サイズの違いに応じて前後に移動することである。当該第1レンズ群110のうち表示素子に最も近接するレンズの頂点から、当該光軸107に沿って当該第2レンズ群120のうち表示素子と最も離間するレンズの頂点までの距離を、レンズフロントユニットの全長と定義する。
【0017】
レンズバックユニット103は、曲面反射鏡105(例えば、凹陥式の光軸対称非球面反射鏡)を含み、表示素子から当該第1レンズ群及び当該第2レンズ群を通過した光線を反射して、第1レンズ群110及び第2レンズ群120に起因する歪曲収差を修正する。当該曲面反射鏡105は、第2焦点距離を有する。当該第1レンズ群110のうち表示素子に最も近接するレンズの頂点から、当該曲面反射鏡105の中心点までの当該光軸107方向における距離を、レンズユニットの全長と定義する。本創造の反射式広角レンズユニットによれば、下記の条件式を同時に満たすことができる。
(I)0.7<|第2焦点距離/第1焦点距離|<1.3
(II)1.8<レンズユニットの全長/レンズフロントユニットの全長<2.2
【0018】
なお、
図1では、レンズバックユニット103をレンズフロントユニット101と同一の光軸上に設ける場合を示しているが、その他の実施例では、レンズバックユニット103を光軸107に対し上方又は下方に変位させ、及び/又は、某角度だけ偏向させてもよい。この場合、当該第1レンズ群110のうち表示素子に最も近接するレンズの頂点から、当該曲面反射鏡105の中心点までの当該光軸107方向における距離が変わらない(換言すれば、レンズユニットの全長が変わらない)よう維持できればよい。
【0019】
本創造におけるレンズユニットのレンズの配列方式によれば、広角レンズユニットの外寸を縮小可能であり、且つ、レンズユニット内に使用されるレンズの枚数を減らすことができる。よって、小型の投影スクリーンサイズから大型の投影スクリーンサイズに至るまで、焦点を鮮明にできるとの効果が得られる。また、開口が大きく(例えば、FNO1.7)、投影比が非常に小さくなる(例えば、投影比≦0.2)。
【0020】
ここで、
図2を参照する。なお、
図2の目的は例示にすぎず、これらレンズ同士の相対的な位置又は比率を表すものではないと解釈すべきである。
図2では、説明の便宜上、各レンズに含まれるレンズ面に符号を付している。
図2に示すように、曲面反射鏡105はレンズ面Slを含む。第2レンズ群120において、非球面レンズ125は、レンズ面S2及びレンズ面S3を含み、二枚接合レンズ123はレンズ面S4、レンズ面S5及びレンズ面S6を含み、非球面レンズ121はレンズ面S7及びレンズ面S8を含む。第1レンズ群110において、球面レンズ117はレンズ面S9及びレンズ面S10を含み、三枚接合レンズ115はレンズ面Sll、レンズ面S12、レンズ面S13及びレンズ面S14を含み、球面レンズ113はレンズ面S15及びレンズ面S16を含む。且つ、非球面レンズ111は、レンズ面S17及びレンズ面S18を含む。以下に、反射式広角レンズユニット100の好ましい実施例における例示的パラメータを表にして説明する。なお、厚さとは、当該レンズ面/スクリーンと光軸との交点位置から次のレンズ面までの距離(換言すれば、ここで示す厚さとは、レンズの厚さ又は当該レンズ面と次のレンズ面とのピッチ)のことである。一例を挙げると、スクリーン欄に記載されている厚さとは、スクリーンからレンズ面S1までのピッチであり、レンズ面S1欄に記載されている厚さとは、レンズ面S1からレンズ面S2までのピッチであり、レンズ面S2欄に記載されている厚さとは、レンズ面S2からレンズ面S3までのピッチ(換言すれば、レンズ125の厚さ)である。なお、本文中で記載するサイズは比率に基づき拡大・縮小が可能なことから、単位は表記していない。また、*印を付与しているものは、ピント調整の際に移動可能なことを表す。
【0022】
以下の表2〜表4では、非球面のレンズ面Sl、S2、S3、S7〜S8と、S17〜S18のパラメータを詳細に記載している。なお、Kは円錐係数、ARは非球面係数である。また、表5は、ピント調整時における相互の空気間隔の厚さを示している。
【0027】
上記表中のパラメータを下記式に代入することで、これらレンズ面の座標パラメータ(原点位置はレンズの頂点に定義)を得ることができる。なお、下記式において、CURVは前記曲率半径の逆数(換言すれば、1/RDY)、RADIUSはレンズの曲率半径を示す。且つ、A、B、C、Dは非球面係数である。レンズ面S1〜S3の場合、非球面表面の数式は次の通りとなる。
【0029】
また、レンズ面S7〜S8及びS17〜18の場合、非球面係数の数式は次の通りとなる。
【0031】
上記の好ましい実施例における反射式広角レンズユニットは、第1焦点距離に対する第2焦点距離の比の絶対値が約0.98であり、レンズフロントユニットの全長に対するレンズユニットの全長の比は約2.09である。よって、いずれも上記2つの条件式を満たしている。なお、上記では好ましい実施例のパラメータについて詳述したが、上記のパラメータは例示にすぎず、限定を意図しないと解釈すべきである。且つ、当業者であれば、本創造の構成及び範囲を逸脱することなく、本開示内容で述べた2つの条件式を満たしつつ上記のパラメータを修正可能である。
【0032】
図3A及び
図3Bは、本創造における広角レンズユニット100が異なる投影位置の場合に投影するスクリーンサイズを示している。また、
図3Cは投影比を示す図である。当該投影比とは、投影レンズユニットの先端から投影スクリーンまでの距離Dの、投影画像の幅Lに対する比(換言すれば、D/L)であり、本創造に基づく反射式広角レンズユニットであれば0.19の投影比に達し得る。
【0033】
図4Aは、投影スクリーン上の各サンプリング点F1〜F9を示している。
図4B〜
図4Dは、それぞれ当該実施例の反射式広角レンズユニットを110インチ、98インチ及び83インチの投影サイズに適用した場合の広角レンズユニットの変調伝達関数(MTF)を示している。これら図面の各曲線は、それぞれスクリーン上のF1〜F9位置における広角レンズユニットの変調伝達関数曲線に対応しており、各位置が更にx方向(sagittal)及びy方向(tangential)に細分化されている。
【0034】
図5は、本実施例に基づく反射式広角レンズユニットを投影サイズ110インチ、98インチ及び83インチに適用した場合の歪曲収差図(Distortion)である。図示するように、本創造の反射式広角レンズユニットの歪曲変数は、全視野においていずれも1%未満である。なお、
図5に示す歪曲収差図は例示を目的とするものにすぎず、詳細なデータについては次の表6に記載する。
【0036】
以上の実施例から明らかなように、本創造の大開口(例えば、FNO1.7)広角レンズユニットでは0.19の投影比を達成可能である。また、投影サイズについては大サイズ(例えば、110〜83インチ)に幅広く適用可能である。また、本創造におけるレンズユニットの変調伝達関数は、各種投影サイズの各位置においていずれも約0.5以上を達成可能である。中でも98インチが好ましく、この場合のレンズユニットの伝達関数は約0.6に達し得る。従って、本開示内容に基づく広角レンズユニットは、レンズユニットの生産及び組み立て時に組立公差を補償するだけの十分な余裕を有する。そのため、生産時に内部のレンズを単独で調整する必要がなく、工程が容易となる。よって、広角レンズユニットの量産ニーズに対応可能となる。
【0037】
上記の発明につき、明確な理解を目的として詳細に記載したが、言うまでもなく、添付の特許請求の範囲内において何らかの変更又は修正を行ってもよい。従って、本文中の実施例は説明のためのものであって、限定を意図しないとみなすべきである。且つ、本創造は本文中で提示した詳細に限らず、添付の特許請求の範囲及び等価物の範囲において修正してもよい。
【符号の説明】
【0038】
100 反射式広角レンズユニット
101 レンズフロントユニット
103 レンズバックユニット
105 反射鏡
107 光軸
110 第1レンズ群
111 非球面レンズ
113 球面レンズ
115 三枚接合レンズ
117 球面レンズ
120 第2レンズ群
121 非球面レンズ
123 二枚接合レンズ
125 非球面レンズ
S1〜S18 レンズ面
C 表示素子
F1〜F8 サンプリング位置