【文献】
CUPELLI, C. et al.,Leukocyte enrichment based on a modified pinched flow fractionation approach,Microfluidics and Nanofluidics,2013年03月 日,Vol. 14, Issue 3-4,pp. 551-563
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流路デバイスは、前記光学センサから見て前記第1流路および前記第2流路に重ならない領域に、前記光学センサが照射する光を反射しない基準用非反射部材が配置されている、請求項1または請求項2に記載の計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る計測装置の例について、図面を参照しつつ説明する。本開示では、便宜的に直交座標系(X,Y,Z)を定義してZ軸方向の正側を上方とするが、本発明は、いずれの方向が上方または下方とされてもよい。以下の内容は本発明の実施形態を例示するものであって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
(計測装置)
図1〜3に、計測装置1全体を模式的に示す。
図1は、計測装置1を上面視した図である。
図2は、計測装置1の概念図であり、ブロック図によって各構成要件の関係を示す。
図3は、計測装置1の断面図であり、
図1に示したA−A線に沿って計測装置1を切断した場合の断面図である。
【0010】
計測装置1は、流体中の特定の粒子を計測することができる。計測装置1は、流路デバイス2と、光学センサ3と、制御部4とを有している。流路デバイス2中には、特定の粒子(第1粒子)を含んだ流体(第1流体)が流
れる。光学センサ3は、流路デバイス2に対向して配置され、第1流体に光を照射し、第1流体を通過した光(通過後に反射して再び通過して戻ってきた光)を受光することができる。制御部4は、光学センサ3の出力に基づいて、第1粒子の数を推定することができる。なお、第1流体は、検体である。
【0011】
光学センサ3から、第1流体に光を照射したときに、第1流体を通過する光は、第1粒子によって分散または吸収等され、光の強度が低下する。そして、粒子の数が既知である検体と光の減衰量との関係を示した検量線を予め準備しておき、制御部4によって、光の強度と検量線とを比較することによって、第1粒子を計測することができる。
【0012】
図4に、流路デバイス2を模式的に示す。
図4は、流路デバイス2を上面透視した場合の図である。なお、
図4中のA−A線は、
図1中のA−A線に対応している。
【0013】
流路デバイス2は、第1流体中の第1粒子を計測するための、計測用の流路である。流路デバイス2は、透光性の第1流路5および第2流路6を有している。第1流路5には、第1粒子を含む第1流体が流れる。第2流路6には、第1粒子を含まない流体(第2流体)が流れる。言い換えれば、第1流路5は、計測用の流路であり、第2流路6は、校正用の流路である。なお、第1流体は、検体であり、例えば血液などが想定される。第2流体は、校正用流体であり、例えば生理食塩水などを利用することができる。
【0014】
光学センサ3は、第1粒子をセンシングすることができる。光学センサ3は、計測時に、第1流路5および第2流路6のそれぞれに光を照射するとともに、第1流路5および第2流路6を通過したそれぞれの光を受光する。光学センサ3は、発光素子7と受光素子8とを有している。発光素子7は、例えば、LED(Light emitting Diode)またはLD(Laser Diode)であればよいが、本開示の発光素子7は、LEDである。受光素子8は、例えば、PD(Photo Diode)であればよい。
【0015】
制御部4は、計測装置1を制御するものである。制御部4は、光学センサ3によって得られる第1流路5を通過した光(第1光)の強度および第2流路6を通過した光(第2光)の強度を比較することによって、第1粒子を計測することができる。すなわち、制御部4は、第1光と第2光との強度差を算出し、第1光と第2光との強度差を検量線と比較することによって、第1粒子を計測することができる。
【0016】
ここで、従来の計測装置を繰り返し使用していると、光学センサの発光素子が劣化し、光の強度が低下してくる。すなわち、光学センサを用いて、第1粒子の光の分散、吸収などを利用して光の強度から第1粒子を計測する場合に、例えば、光学素子の劣化によって光の強度が低下すると、第1粒子の数が本来の数よりも多いという計測結果になってしまう。これに対して、本発明に係る計測装置1では、上記の通り、第1光と第2光との強度差から、第1粒子を計測していることから、光学素子の劣化に左右されず、計測の精度を維持あるいは向上させることができる。
【0017】
以下、各構成要件について、詳細に説明する。
【0018】
(流路デバイス)
流路デバイス2は、上記の通り、計測用の流路として機能することができる。流路デバイス2は、光学センサ3で第1粒子を計測するために透光性を有している。なお、流路デバイス2は、少なくとも第1流路5および第2流路6の計測に必要な部分が透光性であればよく、流路デバイス2の全てが透光性である必要はない。
【0019】
流路デバイス2は、例えば、板状であればよい。流路デバイス2は、主に、第1基板9および第2基板10を接合することによって形成されている。具体的には、流路デバイス2は、溝を有した第1基板9と、第1基板9の表面に配された第2基板10とを有している。第2基板10は、第1基板9の溝の開口を塞いでいる。すなわち、第1基板9の溝および第2基板10の表面によって、第1流路5および第2流路6が構成される。なお、流路デバイス2は、第1基板9および第2基板10以外の部材を有していても構わない。
【0020】
第1基板9は、例えば、平板状の部材であればよい。第1基板9の材料は、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン・コポリマー(COC)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂またはポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂等であればよい。本開示の第1基板9の材料は、PDMSである。第1基板9の屈折率は、例えば、1.4以上1.6以下に設定される。
【0021】
第1基板9の溝の幅は、例えば、500μm(0.5mm)以上4000μm(4mm)以下であればよい。溝の深さは、例えば、100μm(0.1mm)以上1000μm(1mm)以下であればよい。なお、第1基板9および第1基板9の溝は、従来周知の方法によって形成することができる。第1基板9の溝の底面からの厚みは、例えば、0.5mm以上1mm以下に設定されている。なお、本開示の流路デバイス2では、第1基板9の溝の幅および深さは、第1流路5および第2流路6の幅および高さと同じである。
【0022】
第2基板10は、例えば平板状の部材であればよい。第2基板10の材料は、例えばガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂等であればよい。第2基板10の屈折率は、例えば、1.4以上1.6以下に設定される。本開示の第2基板10の材料は、ガラスである。なお、第2基板10は、従来周知の方法によって形成することができる。第2基板10の厚みは、例えば、0.5mm以上1mm以下に設定されている。なお、第2基板10の厚みは、第1基板9の厚みよりも、小さく設定されている。
【0023】
なお、第1基板9および第2基板10は、何れが上側に位置していてもよいが、本開示の流路デバイス2では、第2基板10の上面に第1基板9が配されている。
【0024】
図5に、流路デバイス2の一部を模式的に示す。
図5は、
図4中の破線部を拡大した図である。
【0025】
第1流路5は、少なくとも第1流体が流れ込む流路である。第1流路5は、流路デバイス2の両面に位置した複数の第1開口11を有している。複数の第1開口11は、少なくとも、流体が流入したり、流出したりするための開口であればよい。複数の第1開口11は、流路デバイス2の上面(第
1基板
9の上面)に配置された第1流入口12と、流路デバイス2の下面(第
2基板
10の下面)に配置された第1流出口13と、を有している。第1流入口12は、流体が第1流路5に流入するための開口である。第1流出口13は、第1流路5から流体が流出するための開口である。
【0026】
第1流路5は、第1流入口12に接続しているとともに厚み方向に延びている鉛直部14と、鉛直部14に接続しているとともに平面の一方向に沿って延びている平面部15と、をさらに有している。鉛直部14は、第1基板9に形成された貫通孔である。平面部15は、第1基板9に形成された溝である。平面部15の横断面(流体の移動方向に直交する断面)の形状は、例えば、矩形状であればよい。
【0027】
平面部15は、鉛直部14に接続している第1平面部16と、第1平面部16に接続しているとともに第1平面部16よりも幅が大きい第2平面部17と、をさらに有していてもよい。第1平面部16および第2平面部17の接続部は、徐々に幅広になっている。なお、光学センサ3の発光素子7の照射領域は、第2平面部17である。
【0028】
また、第2平面部17は、第1平面部16よりも高さが大きくてもよい。その結果、第1粒子を拡散しやすくすることができる。第1平面部16の高さは、例えば0.2mm以上1mm以下であればよい。第2平面部17の高さは、例えば1mm以上5mm以下であればよい。
【0029】
第2流路6は、少なくとも第2流体が流れ込む流路である。第2流路6は、流路デバイス2の両面に位置した複数の第2開口18を有している。複数の第2開口18は、少なくとも、流体が流入したり、流出したりするための開口であればよい。複数の第2開口18は、流路デバイス2の上面(第1基板9の上面)に配置された第2流入口19と、流路デバイス2の下面(第2基板10の下面)に配置された第2流出口20と、を有している。
【0030】
第2流路6は、第2流入口19に接続しているとともに厚み方向に延びている鉛直部(図示せず)と、鉛直部に接続しているとともに平面の一方向に沿って延びている第3平面部21と、をさらに有している。第2流路6の第3平面部21の一部は、例えば、少なくとも第1流路5の第2平面部17と同一形状を有していればよい。また、第2平面部17と同一形状を有する第3平面部21の一部の厚み方向の位置は、例えば、第1流路5と同一位置であればよい。なお、第2流路6は、校正用流路として機能することができれば、第1流路5と同一形状、同一位置でなくてもよい。
【0031】
流路デバイス2は、第1流路5の他に、第1流路5に接続した第3流路22をさらに有していてもよい。そして、第3流路22は、第1流路5の平面部15に接続されていてもよい。第3流路22は、例えばガスなどを流すことによって、平面部15に到達した検体を押し流す機能を有する。その結果、第1流路5(
平面部15)内での検体の滞留を低減することができる。
【0032】
本開示の流路デバイス2では、第3流路22は、第1流路5の鉛直部14と平面部15との接続部に接続されるように配されている。また、第3流路22は、流路デバイス2の表面(本開示では、第1基板9の上面)に位置した第3開口23を有している。第3開口23は、検体を押し流すための押出用流体を流入させるための開口である。
【0033】
本開示の流路デバイス2は、第
1基板
9の上面の第1流路5および第2流路6に重なる領域に配置された反射部材であるミラー24を、さらに有していてもよい。ミラー24は、光学センサ3の発光素子7が出射した光のうち、第1流路5および第2流路6のそれぞれを通過した光を、光学センサ3の受光素子8へ反射することができる。
【0034】
流路デバイス2において、第1流路5および第2流路6に対して、光学センサ3と反対側の第1流路5および第2流路6に重なる領域に、光学センサ3が照射する光を光学センサ3に向けて反射する反射部材としてミラー24を配置することによって、光学センサ3が照射する光を第1流路5および第2流路6を通して効率よく光学センサ3で受光することができる。また、第1流路5および第2流路6に対して光学センサ3と反対側から入射する外乱光をミラー24によって遮光することができるので、光学センサ3による計測の精度を良好にすることができる。
【0035】
ミラー24は、例えば、薄膜状の部材であればよい。ミラー24の材料は、屈折率が、第1基板9の屈折率と異なる材料であればよい。ミラー24の材料は、例えば、アルミニウムまたは金などの金属材料、あるいは例えば誘電体多層膜フィルタなどの誘電体材料の積層体で形成することができる。ミラー24の屈折率は、例えば1.4以上1.6以下に設定される。ミラー24は、例えば、蒸着法またはスパッタリング法等の方法によって、第1基板9の上面に形成することができる。
【0036】
また、本開示においては、ミラー24は後述するように第1流路5および第2流路6に重なるように配置されるものであるが、第1流路5および第2流路6の両方をカバーする一体のものに限られるものではなく、第1流路5および第2流路6のそれぞれに重なるように別々に配置されていても構わない。ミラー24を別々に配置する場合には、外乱光を遮光するために、それらミラー24の間に遮光部材を配置してもよい。また、ミラー24によって外乱光を遮光する効果をより確実に奏するために、ミラー24の上に非反射部材または遮光部材を配置して、ミラー24からの透過およびミラー24への外乱光の入射を防ぐようにしてもよい。
【0037】
本開示の流路デバイス2は、ミラー24に代えて、第1流路5および第2流路6に対して、光学センサ3と反対側の第1流路5および第2流路6に重なる領域に、光学センサ3が照射する光を反射しない非反射部材124を配置してもよい。非反射部材124を配置することによって、光学センサ3が照射する光のうち第1流路5に含まれる第1粒子で反射した光あるいは第1流路5および第2流路6の界面(光学センサ3側から見た天井面)で反射した光を光学センサ3で受光することができる。これにより、界面からの反射を計測してDCオフセットを光学的に行なうことができるとともに、第1粒子で反射した光を良好に受光することができる。また、第1流路5および第2流路6に対して光学センサ3と反対側から入射する外乱光を非反射部材124によって確実に遮光することができるので、光学ノイズを除去して、光学センサ3による計測の精度を良好にすることができる。この非反射部材124としては、例えば無反射布などを用いることができる。また、黒色などの艶消し塗料を塗布して非反射部材124としてもよい。
【0038】
ミラー24に代えて非反射部材124を配置する場合には、光学センサ3が計測する領域の全体に渡って第1流路5および第2流路6の両方をカバーする一体のものとすることが好ましい。
【0039】
本開示の流路デバイス2は、
図7に示すように、非反射領域25を有していてもよい。非反射領域25とは、流路デバイス2のうち第1流路5および第2流路6が無い部分であり、かつ上面視したときにミラー24が配置されていない領域をいう。そして、この非反射領域25に、光学センサ3が照射する光を反射しない基準用非反射部材125を配置するとよい。基準用非反射部材125は、光学センサ3の受光素子8についての校正に使用することができ、光学センサ3による計測のときに基準となるものである。基準用非反射部材125における反射光の強度を基準にすることによって、光学センサ3の使用時に発生するノイズの影響を低減することができる。なお、基準用非反射部材125としては、例えば、無反射布などを設置すればよく、黒色の艶消し塗料などを塗布して形成しても構わない。
【0040】
また、
図8に示すように、基準用非反射部材125は、非反射領域25に対応する、第1流路5および第2流路6に重ならない領域で、第2基板10の下面に配置してもよい。この場合にも、基準用非反射部材125における反射光の強度を基準にすることによって、光学センサ3の使用時に発生するノイズの影響を低減することができる。
【0041】
本開示の計測装置1は、第1流路5に流体を供給する第1ポンプ26、第2流路6に流体を供給する第2ポンプ27、第3流路22に気体(以下、ガスともいう。)を供給する第3ポンプ28、をさらに有している。第1ポンプ26、第2ポンプ27、第3ポンプ28は、チューブなどの複数の他の流路(図示せず)を介して、それぞれ第1開口11、第2開口18、第3開口23に通じている。
【0042】
(光学センサ)
図6に、光学センサ3を模式的に示す。
図6は、
図3に示した光学センサ3を拡大した図である。
【0043】
光学センサ3は、第1粒子を計測するためのセンサである。光学センサ3は、上記の通り、発光素子7と受光素子8とを有している。本開示の受光素子8は、上面に一導電型の領域29aおよび他導電型の領域29bを有した半導体基板29と、一対の第1電極30とを有している。本開示の発光素子7は、半導体基板29の受光素子8として機能する部分から離れて配された複数の半導体層31と、一対の第2電極32とを有している。
【0044】
光学センサ3は、流路デバイス2の表面に対して、平面方向に移動可能に設置されている。その結果、計測装置1は、光学センサ3を移動させながら第1流路5および第2流路6に対して順番に光を照射することができ、それぞれに対する個々の光の強度を測定することができる。なお、本開示の光学センサ3は、流路デバイス2の下側に位置している。
【0045】
(制御部)
制御部4は、計測装置1を制御することができる。具体的には、制御部4は、光学センサ3、第1ポンプ26、第2ポンプ27および第3ポンプ28などの駆動も制御することができる。制御部4は、第1ポンプ26を駆動して、流体を第1流路5に流入させることができる。また、制御部4は、第2ポンプ27を駆動して、流体を第2流路6に流入させることができる。また、制御部4は、第3ポンプ28を駆動して、ガスを第3流路22に流入させることができる。制御部4は、種々の回路を組み合わせて構成されている。
【0046】
図7に、計測装置1を模式的に示す。
図7(a)は、計測装置1を
図1および
図4に示すB−B線で切断した時の断面図である。
図7(b)は、計測の仕組みを説明する図である。
【0047】
制御部4は、光学センサ3の出力結果に基づいて、計測結果を算出することができる。制御部4は、上記の通り、第1流路5を通過した光の強度および第2流路6を通過した光の強度を比較することによって、第1粒子を計測することができる。
【0048】
まず、光学センサ3は、非反射領域25での基準用非反射部材125に対応した光の強度を測定し、基準信号S1を出力す
る(同図中の丸付き数字1)。次に、光学センサ3は、第2流路6に到る前の部分で第1基板9および第2基板10の通過光(ミラー24または非反射部材124からの反射光)の強度を測定するが、これは計測には特に必要ではない(丸付き数字2)。次に、光学センサ3は、第2流路6の通過光(ミラー24または非反射部材124からの反射光)の強度を測定し、計測信号S2を出力する(丸付き数字3)。この計測信号S2は、基準信号S1を使用しない場合には、校正信号S2として使用できる信号である。次に、光学センサ3は、第2流路6と第1流路5との間の部分で第1基板9および第2基板10の通過光(ミラー24または非反射部材124からの反射光)の強度を測定するが、これも計測には特に必要ではない(丸付き数字4)。次に、光学センサ3は、第1流路5の通過光(ミラー24または非反射部材124からの反射光であるが、非反射部材124を配置した場合は、実質的には非反射部材124で反射されなかった以外の例えば第1粒子および第1流路5の界面(天井面)による反射光)の強度を測定し、計測信号S3を出力する(丸付き数字5)。その後、光学センサ3は、第1流路5を過ぎた部分で第1基板9および第2基板10の通過光(ミラー24または非反射部材124からの反射光)の強度を測定するが、これも計測には特に必要ではない(丸付き数字6)。
【0049】
次に、第2流路6における計測信号S2と基準信号S1との差(S2−S1)と、第1流路5における計測信号S3と基準信号S1との差(S3―S1)とを引き算した計測値R(=(S2−S1)−(S3−S1)=S2−S3)を算出する。そして、計測値Rと、予め制御部4に記憶されている検量線の値とを比較することによって、第1流路5における第1流体中の第1粒子の数を推定することができる。
【0050】
なお、以上の計測の仕組みは、
図8に示すように基準用非反射部材125を流路デバイス2の光学センサ3側(第2基板10の下面)に配置した場合も同様である。
【0051】
ここで、基準信号S1と計測対象による光損失に対応する計測信号S2,S3との差が十分に大きいときは、反射部材であるミラー24を配置すればよいが、その差が小さい場合には、精度よく計測することが難しくなる場合がある。この対策としては、光学センサ3の発光素子7の光出力を増加させるか、受光素子8で受光した後に信号の増幅率を高めるかといったことが考えられる。しかしながら、発光素子7の光出力を増加させるのは容易ではない場合が多く、信号の増幅率を高めるにも増幅回路の制約などがあって増幅範囲にも限界がある。また、信号処理の回路上で一定の出力を差し引いてから増幅する方法も考えられるが、一定の出力を差し引く際には、信号がその分小さくなるもののノイズ成分はそのまま残るため、増幅後にはノイズ成分がより大きく増幅されてしまうという問題がある。
【0052】
これに対して、上記の本開示の計測装置1および計測方法によれば、光出力の計測に際して光学的に光信号を差し引くために、流路デバイス2から透過して外部に出た光が反射して戻って来たり、外部の光が外乱光として入射したりすることを効果的に抑制することができる。これにより、計測に当たってDCオフセットの設定を光学的に行なうことができ、外部からの余分な光を遮光することができ、流路デバイス2に対して安定した計測ができる。その結果、精度の良好な計測を安定して行なうことができる。
【0053】
また、本開示の計測装置1および計測方法によれば、基準用非反射部材125と第1流路5と第2流路6とを一体的に配置し、それらを走査するように光学センサ3を移動させながら計測を行なうことで、短時間に1度の計測で所望の信号およびデータを得ることができるので、例えば発光素子7の出力変動などに起因する測定誤差の低減が可能となる。
【0054】
また、制御部4における信号に対する演算を、例えば−10×log(計測信号/基準信号)として光損失(dB)で行なう場合には、発光素子7の発光強度を相当程度変化させても計算結果はほとんど影響を受けず変わらないので、長期使用における発光素子7の劣化にも影響を受けにくく、安定した計測が可能となる。
【0055】
また、上記の計測の仕組みにおいて説明した丸付き数字2,4,6の信号を、それら同士あるいは基準信号S1および計測信号S2,S3と比較することで、流路デバイス2と光学センサ3とが相対的に正しい位置および角度に設置されているかどうかの確認を行なうことも可能となる。
【0056】
なお、検量線のデータ(標準データ)は、必ずしも制御部4に記憶されている必要はない。例えば、制御部とネットワークで接続された他の記憶媒体に記録されており、測定毎にその記憶媒体にアクセスして引き出すようにしてもよい。
【0057】
制御部4は、校正信号S2を取得したときに、標準データにおける第2流体の校正信号と比較してもよい。その結果、両者の信号に大きな差がある場合には、測定に異常が生じたと判断することができる。その結果、正確な測定データのみを収集することに役立つ。
【0058】
光学センサ3は、1回の測定毎に、第1流路5および第2流路6のそれぞれに光を照射し、第1流路5および第2流路6を通過したそれぞれの光を受光してもよい。また、制御部4は、1回の測定毎に、第1流路5を通過した光の強度および第2流路6を通過した光の強度を比較してもよい。その結果、例えば、血液中の白血球などの微粒子を計測する場合には、わずかな光の出力の変動が計測結果に大きな影響があるため、上記の構成を有することによって、微粒子の計測精度を向上させることができる。
【0059】
制御部4は、校正信号
S2を取得したときに、校正信号S2が任意の基準値よりも下回っていた場合には、エラー信号を出力してもよい。その結果、例えば、光学センサ3の発光素子7の寿命を知らせることができる。なお、基準値は、標準データにおける第2流体の校正信号S2′から一定値を差し引いた値などでよい。
【0060】
制御部4は、光学センサ3が各信号S1,S2およびS3を出力した後に、光学センサ3を元の位置に戻してもよい。また、制御部4は、光学センサ3が各信号S1,S2およびS3を出力した後に、光学センサ3を元の位置に戻さなくてもよい。なお、光学センサ3を元の位置に戻さない場合には、次の測定時には、反対方向から計測してもよい。
【0061】
制御部4は、光学センサ3を点灯して、各信号S1,S2およびS3を出力した後、光学センサ3の移動中に、光学センサ3を消灯してもよい。また、制御部4は、計測中に光学センサ3をパルス駆動して、点滅させてもよい。その結果、連続点灯させる場合に比べて、光学センサ3の発光素子7の劣化を低減することができる。
【0062】
制御部4は、計測終了後に、第3ポンプ28を駆動して、第1流体を押し出してもよい。なお、計測終了の判断は、光学センサ3が、各信号S1,S2およびS3を出力した時でもよい。また、計測終了の判断は、光学センサ3が、流路デバイス2に対して、移動を開始して、元の位置に戻って来てからでもよい。また、計測終了の判断は、光学センサ3に、非反射領域25、第1流路5、第2流路6を計測させた後、再度、非反射領域25を計測させることによって、行なってもよい。また、計測終了の判断は、光学センサ3を駆動してから一定時間経過後であってもよい。
【0063】
制御部4は、第1ポンプ26を駆動した後、一定時間経過後に第3ポンプ28を駆動してもよい。その結果、第1ポンプ26の駆動によって第1流路5に流入した流体を、第3ポンプ28の駆動によってガスを第3流路22を介して第1流路5に流入させることによって、第1流路5内で移動させて運ぶことができる。その結果、第1流路5中の流体の移動が速くなり、計測効率を向上させることができる。
【0064】
制御部4は、第1流路5に流体が流入した後、第3ポンプ28によって、第3流路22内のガスの圧力を変動させてもよい。その結果、第1流路5内に流入した第1流体を撹拌し、第1流体中の第1粒子を攪拌することができる。なお、第1粒子を攪拌することによって、計測精度を向上させることができる。
【0065】
制御部4は、光学センサ3によって第1流路5に第1流体が流入したことを確認した後、第3ポンプ28によって第1流体を撹拌し、第1粒子の攪拌を開始してもよい。その結果、第3ポンプ28によって、第1流路5内の圧力を減圧し過ぎて、第1流路5内の第1流体が第3流路22から漏れてしまうことを低減することができる。なお、具体的には、第1流路5に第1粒子が流入すると光学センサ3の計測信号S3が、第1粒子がない場合と比較して小さくなるため、計測信号S3が小さくなったときに、第1流路5に第1流体が流入したと判定すればよい。
【0066】
制御部4は、第1ポンプ
26を駆動した後、一定時間経過後に第1流体を撹拌し、第1粒子の攪拌を開始してもよい。この場合、発光素子7の劣化を低減することができる。なお、この場合、第1粒子の攪拌の開始位置は、発光素子7の照射領域の手前であっても構わない。また、この場合は、第1粒子の攪拌の終了後、第3ポンプ28によって第3流路22を介してガスを第1流路5に流入させ、第1流体を発光素子7の照射領域まで押し出してもよい。
【0067】
制御部4は、第3ポンプ28によって第1流路5内の圧力を変動させつつ、光学センサ3を駆動してもよい。すなわち、第1流路5および第3流路22につながるポンプを停止し、第3ポンプ28を駆動してもよい。その結果、第1粒子が攪拌されたかどうかを確認することができる。すなわち、第1粒子が凝集しているとき、計測信号S3が小さくなり、第1粒子を攪拌して第1粒子の凝集がなくなると、計測信号S3が大きくなる場合がある。したがって、計測信号S3の変動が一定の範囲に収まったことを確認すれば、第1粒子が攪拌されたかどうか確認することができる。なお、具体的には、例えば、最新の計測信号S3(または計測値R)と、直前の5回分の同じ指標との差が±5%以下であれば、第1粒子の攪拌が完了したと判断すればよい。
【0068】
制御部4は、第1粒子の攪拌中において、光学センサ3を、第1流路5を測定する位置に待機させていてもよい。その結果、計測効率を向上させることができる。
【0069】
また、制御部4は、第1粒子の攪拌中において、光学センサ3を待機させている場合、光学センサ3を点滅させてもよい。その結果、発光素子7の劣化を低減することができる。
【0070】
また、制御部4は、第1粒子の攪拌中において、光学センサ3を待機させた場合は、第1粒子の攪拌の完了後に、第2流路6を測定した方がよい。その結果、計測精度を向上させることができる。
【0071】
制御部4は、第3ポンプ28によって、第1流体を攪拌するとともに、第2ポンプ27によって、第2流路6に第2流体を流入させてもよい。すなわち、第1粒子の攪拌完了前に、第2ポンプ27を駆動して第2流路6に第2流体を流入させてもよい。その結果、計測効率を向上させることができる。なお、第2ポンプ27の駆動は、第1ポンプ26または第3ポンプ28と同時であってもよいし。第1ポンプ26および第3ポンプ28よりも先に駆動していてもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
(計測装置1A)
以下に、本発明に係る第2の実施形態である計測装置1Aについて説明する。
【0073】
図9〜10に、計測装置1A全体を模式的に示す。
図9は、計測装置1Aを上面視した図である。
図10は、計測装置1の断面図であり、図
9に示したA−A線に沿って計測装置1を切断した場合の断面図である。
図11は、計測装置1の概念図であり、ブロック図によって各構成要件の関係を示す。
【0074】
計測装置1Aは、流路デバイス2Aの上面に配された分離用流路デバイス33をさらに備えている。分離用流路デバイス33は、検体から特定の粒子を分離して取り出し、選別するための流路である。計測装置1Aが、流路デバイス2Aおよび分離用流路デバイス33を備えていることで、計測対象である第1粒子を検体から分離して選別することが、連続したプロセスで可能になり、作業効率を向上させることができる。なお、本実施形態の以下の説明では、流路デバイス2Aを「測定用流路デバイス2A」とする。
【0075】
図12、
図13に分離用流路デバイス33を模式的に示す。
図12は、分離用流路デバイス33を上面透視したときの図である。
図13は、
図12中の破線部を拡大した図である。
【0076】
(分離用流路デバイス)
分離用流路デバイス33は、微粒子を分離し、検体中から取り出すように選別して回収することができる。分離用流路デバイス33は、第4流路34を有している。その結果、微粒子を分離し、回収することができる。
【0077】
分離用流路デバイス33は、例えば、板状であればよい。また、例えば、分離用流路デバイス33の平面形状は矩形状であり、表面は平坦面である。分離用流路デバイス33の厚みは、例えば、1mm以上5mm以下であればよい。分離用流路デバイス33の平面形状は、例えば短辺が10mm以上30mm以下、長辺が10mm以上50mm以下であればよい。分離用流路デバイス33は、例えば、射出成型によって成形することができる。
【0078】
分離用流路デバイス33は、主に、第3基板35および第4基板36によって形成されている。具体的には、分離用流路デバイス33は、溝を有した第3基板35と、第3基板35の表面に配された第4基板36とを有している。第4基板36は、第3基板35の溝の開口を塞いでいる。すなわち、第3基板35の溝および第4基板36の表面によって、第4流路34が構成される。なお、分離用流路デバイス33は、第3基板35および第4基板36以外の部材を有していても構わない。
【0079】
第3基板35、第4基板36は、例えば、平板状の部材であればよい。第3基板35、第4基板36の材料は、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂等であればよい。本開示の第3基板35、第4基板36の材料は、PDMSである。
【0080】
なお、第3基板35および第4基板36は、何れが上側に位置していてもよいが、本開示の分離用流路デバイス33では、第4基板36の上面に第3基板35が配されている。
【0081】
第4流路34は、第4主流路37と、第4主流路37から分岐した第4分岐流路38と、を有している。本開示の分離用流路デバイス33においては、分離用流路デバイス33内を流れる流体は、第4主流路37に流入し、特定の微粒子(第1粒子)とは異なる微粒子(第2粒子)のみが第4主流路37から第4分岐流路38に流れこむことによって、特定の微粒子を分離して回収し、分離した特定の微粒子を検体に含ませることができる。なお、特定の微粒子のみが第4分岐流路38に流れ込むことによって、特定の微粒子を第4分岐流路38側に分離して回収することもできる。
【0082】
なお、第4分岐流路38は、第2粒子のみが分岐するように設計するが、必ずしも第2粒子のみが分岐するとは限らない。すなわち、第4分岐流路38には、第2粒子と異なる微粒子が流入することもある。
【0083】
図13に、第1粒子と第2粒子の分離の様子を模式的に示す。なお、図中の大きい円が第1粒子を示し、小さい円が第2粒子を示す。また、X軸方向に沿った太い矢印が主流であり、Y軸方向に沿った太い矢印が、後述する「押付流」を示す。さらに、図中のハッチングの領域は、後述する「引き込み流れ」を示す。
【0084】
本開示の第4流路34は、1つの第4主流路37と、1つの第4主流路37の片側に接続された複数の第4分岐流路38と、を有している。分離用流路デバイス33では、第4主流路37および第4分岐流路38のそれぞれの断面積、長さ、および検体の流速などを調整することによって、第4主流路37内に、第4主流路37から第4分岐流路38へ流れ込む「引き込み流れ」を発生させることができる。そして、分離用流路デバイス33では、第4流路34に、第4主流路37内を流れる検体を第4分岐流路38側に押し付け可能な押付流を発生させている。その結果、
図13に示したように、引き込み流れの幅を、検体中を流れる特定の微粒子の重心位置よりも大きく、また他の微粒子の重心位置よりも小さくすることによって、第4分岐流路38に所定の微粒子(ここでは第2粒子)を引き込むことができる。
【0085】
本開示の分離用流路デバイス33は、特に、血液中の赤血球と白血球とを分離することを意図している。なお、血液中の赤血球の重心位置は、例えば縁から2〜2.5μmの位置であり、白血球の重心位置は、例えば縁から5〜10μmの位置である。この場合、第4主流路37は、例えば、断面積が300μm
2以上1000μm
2以下、長さが0.5mm以上20mm以下であればよい。また、第4分岐流路38は、例えば断面積が100μm
2以上500μm
2以下、長さが3mm以上25mm以下であればよい。また、第4流路34内の流速は、例えば0.2m/s以上5m/s以下にすればよい。その結果、引き込み流れの幅を、例えば2μm以上15μm以下に設定することができ、血液から赤血球と白血球とを分離することができる。
【0086】
第4流路34は、第4主流路37に接続した第4回収流路39をさらに有しており、第1粒子を回収することができる。本開示では、第4流路34では、押付流を利用して、第4回収流路39に第1粒子を回収することができる。
【0087】
また、第4流路34は、複数の第4分岐流路38に接続した第4廃棄流路40を有していてもよい。第4廃棄流路40によって、分離された第2粒子を回収してもよいし、廃棄してもよい。なお、複数の第4分岐流路38によって第1粒子を回収する場合には、複数の第4分岐流路38が接続した1つの第4廃棄流路40は、第1粒子を回収する流路として機能する。また、この場合に第4主流路37を最後まで流れた流体は、廃棄してもよい。
【0088】
第4流路34は、分離用流路デバイス33の表面に位置した複数の第4開口41を有している。複数の第4開口41は、少なくとも第4主流路37に検体が流入する第4検体流入口42と、第4回収流路39から第1粒子を回収する第4検体流出口43と、検体から第1粒子を除いた成分を回収する少なくとも1つの第4廃棄流出口44と、を有している。また、本開示では、検体を第4分岐流路38側に押し付けるための第3流体が流入する第4押付流入口45も有している。なお、本開示では、第4廃棄流出口44は、第4主流路37および第4廃棄流路40に接続されている。または、第4廃棄流出口44から流出する流体は、後述する第2流路デバイス2Aに形成された貫通孔44′を介して、回収される。なお、第4検体流出口43は、測定用流路デバイス2Aの第1流路5の第1流入口12に接続されている。
【0089】
(測定用流路デバイス)
図14に、測定用流路デバイス2Aを模式的に示す。
図14は、測定用流路デバイス2Aを上面透視したときの図である。
【0090】
本開示の測定用流路デバイス2Aの上面は、
図10に示すように、第1領域46および第2領域47を有している。また、平面視したときに、測定用流路デバイス2Aの第1流路5は第1領域46から第2領域47にわたって配されており、分離用流路デバイス33は、測定用流路デバイス2Aの第1領域46のみに配されている。その結果、第2領域47に第1流路5が露出していることから、第2領域47を測定領域として使用することができる。なお、本開示では、第2領域47には、ミラー24が配されている。
【0091】
測定用流路デバイス2Aは、第1流路5、第2流路6および第3流路22とは異なる、第5流路48をさらに有していてもよい。また、第5流路48は、測定用流路デバイス2Aの表面に位置した複数の第5開口49を有していてもよい。第5流路48は、微粒子分離前の検体が流れる流路として機能することができる。
【0092】
複数の第5開口49は、第5流入口50および第5流出口51を有している。第5流入口50は、検体が第5流路48に流入するための開口である。第5流出口51は、検体が第5流路48から流出するための開口である。第5流入口50は露出しており、第5流出口51は、分離用流路デバイス33の第4検体流入口42に接続されている。
【0093】
第5流入口50および第5流出口51は、測定用流路デバイス2Aの上面(第1基板9の上面)に位置している。本開示では、第5流入口50は、第1流入口12と同じ面に位置している。また、本開示では、第5流出口51は、第1流入口12と同じ面に位置している。複数の第5開口49の第5流入口50、第3開口23と同じ面に位置している。
【0094】
測定用流路デバイス2Aは、第1流路5、第2流路6、第3流路22および第5流路48とは異なる、第6流路52をさらに有していてもよい。第6流路52は、測定用流路デバイス2Aの表面に位置した複数の第6開口53を有している。複数の第6開口53は、第6流入口54および第6流出口55を有している。第6流入口54は、第3流体が第6流路52に流入するための開口である。第6流出口55は、第3流体が第6流路52から流出するための開口である。第6流入口54は露出しており、第6流出口55は、分離用流路デバイス33の第4押付流入口45に接続されている。
【0095】
(分離用流路デバイスと測定用流路デバイスとの接続構造)
図15に、分離用流路デバイスと測定用流路デバイス
との接続構造を模式的に示す。なお、
図15は、
図10中の破線部を拡大した断面図である。
【0096】
分離用流路デバイス33は、上記の通り、測定用流路デバイス2Aの上面に配されている。具体的には、分離用流路デバイス33の下面は、測定用流路デバイス2Aの上面との間にシート部材56を介在させてもよい。言い換えれば、計測装置1は、分離用流路デバイス33と測定用流路デバイス2Aとの間に配されたシート部材56を有していてもよい。
【0097】
シート部材56は、難接着の材料同士を接合するための中間層としての機能を有している。シート部材56は、例えばシリコーンまたはPDMSなどの材料で形成されていればよい。なお、シート部材56は、複数の貫通孔57を有している。分離用流路デバイス33と測定用流路デバイス2Aとの間は、貫通孔57を介して流体が流れることになる。本開示の分離用流路デバイス33と測定用流路デバイス2Aは、シート部材56の下面に塗布された接着剤を介して、接続されている。
【0098】
本開示の計測装置1Aは、
図11に示すように、第5流路48に流体を供給する第1ポンプ26A、第6流路52に流体を供給する第4ポンプ58をさらに有している。なお、第1ポンプ26Aは、第1実施形態の第1ポンプ26に相当するものである。すなわち、第1ポンプ26Aは、第5流路48、第4流路34の順に通じて、第1流路5に第1流体を供給するものである。第1ポンプ26A、第2ポンプ27、第3ポンプ28および第4ポンプ58は、チューブなどの複数の他の流路(図示せず)を介して、それぞれ第5開口49、第2開口18、第3開口23および第6開口53に通じている。
【0099】
制御部4Aは、計測装置1Aを制御することができる。具体的には、制御部4Aは、光学センサ3、第1ポンプ26A、第2ポンプ27、第3ポンプ28および第4ポンプ58などの駆動も制御することができる。制御部4Aは、第1ポンプ26Aを駆動させて、特定の粒子を含む流体を第1流体として第1流路5に流入させることができる。また、制御部4Aは、第2ポンプ27を駆動させて、特定の粒子を含まない流体を第2流体として第2流路6に流入させることができる。また、制御部4Aは、第3ポンプ28を駆動させて、気体(ガス)を第3流路22に流入させることができる。制御部4Aは、種々の回路を組み合わせて構成されている。
【0100】
制御部4Aは、第3流体を第4流路34の
第4主流路37に流入させた後に、検体を第4流路34の
第4主流路37に流入させるとよい。制御部4Aは、第4ポンプ58を駆動して
第4主流路37に第3流体を流入させた後に、第1ポンプ26を駆動して
第4主流路37に検体を流入させればよい。
【0101】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の第1の実施形態および第2の実施形態の各構成要件は適宜組み合わせされてもよく、また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
【0102】
上述した実施形態では、第2流路6の一端は第2流出口20を有している例を説明したが、
図16に示したように、第2流路6の一端は、第1流路5に接続されていてもよい。第2流路6が第1流路5に接続している場合、第1流路5に第2流路6を介して第2流体を流入させることができる。その結果、第1流路5に流入する第1流体の量が少ない場合に、第2流路6から第1流路5に第2流体を補充することができる。なお、この場合、第2流体は、第3流体と同じ流体であってもよい。
【0103】
なお、第2流路6が第1流路
5に接続している場合、制御部4は、第1流体が第1流路5に到達する前に、第1流路5に一定量の第2流体を流入させてもよい。その結果、一定量の溶媒中にどの程度第1粒子が含まれているか定量的に測定することができる。
【0104】
制御部4は、第1流路5に第2流体を流入させる場合は、光学センサ3によって流体の有無を確認してもよい。この場合、制御部4は、第2ポンプ27を駆動して第2流路6に第2流体を流入させた後、光学センサ3を駆動し、それとともに第1ポンプ26(または第1ポンプ26Aおよび第4ポンプ58)を駆動して、第1流路5に第1流体を(および第6流路52に
第3流体を)流入させてもよい。また、制御部4は、第1ポンプ26(または第1ポンプ26Aおよび第4ポンプ58)を駆動した後、一定時間内に第2ポンプ27を駆動してもよい。
【0105】
また、第1流路5と第2流路6
とが接続している場合は、第1流路5と第2流路6との接続部に第3流路22を接続してもよい。この場合、制御部4は、まず、第1流路5に第2流体を流入させた後、第1流路5に第1流体を流入させ、次に第1流路5にガスを流入させるとよい。その結果、第2流路6に第1流体が流入することを低減することができる。
【0106】
なお、第1流路5にガスを流入させて、第2流路6から第1流路5にわたって存在している第2流体を分断した後、第1流体を流入させてもよい。この場合は、制御部4は、第2ポンプ27を駆動した後、第3ポンプ28を駆動し、第1ポンプ26を駆動すればよい。
【0107】
上述した実施形態では、第4流路34に第6流路52から第3流体を供給する例を説明したが、第6流路52の代わりに、第2流路6から第3流体を供給してもよい。この場合、第2流体と第3流体
とは同一になる。すなわち、第6流路52は存在せず、第2流路6の一端が第4流路34の第4押付流入口4
5に接続されてい
てもよい。
【0108】
上述した実施形態では、分離用流路デバイス33が、第3基板35および第4基板36を有している例を説明したが、第4基板36の代わりにシート部材56を第4基板36として機能させてもよい。