特許第6937861号(P6937861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6937861
(24)【登録日】2021年9月2日
(45)【発行日】2021年9月22日
(54)【発明の名称】コイルばね装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20210909BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20210909BHJP
【FI】
   F16F9/32 B
   F16F1/12 N
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-64890(P2020-64890)
(22)【出願日】2020年3月31日
【審査請求日】2021年7月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 泰亮
(72)【発明者】
【氏名】柴田 優一
(72)【発明者】
【氏名】國分 一平
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 朋哉
【審査官】 児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−15249(JP,A)
【文献】 特開2019−148273(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2770271(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/00−6/00
9/00−9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材がコイル軸回りに螺旋状に上下方向に延びる本体ばねと、
前記本体ばねの下端部を、この本体ばねの下方から支持するインシュレータと、を備え、
前記インシュレータに、コイル軸回りに延び、前記本体ばねの下端部が嵌合された支持溝が設けられ、
前記本体ばねの下端部は、前記支持溝の内面に接着され、
前記支持溝の内面には、前記線材の外周面を支持する複数のスペーサ突起が設けられ、
複数の前記スペーサ突起のうち、前記支持溝の開口端縁に隣接する隣接スペーサ突起は、
前記開口端縁に向けて延びる一対の側壁面を備えるとともに、
前記支持溝の内面のうち、前記開口端縁を含む部分の平面視において、前記開口端縁が延びる延在方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記平面視において、前記間隔を介して前記延在方向で互いに隣り合う各前記側壁面の、前記開口端縁に直交する直交方向に対する各傾斜角度が、互いに異なっている、コイルばね装置。
【請求項2】
前記延在方向で互いに隣り合う2つの前記隣接スペーサ突起のうちの少なくとも1つは、前記延在方向に沿う幅が、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなり、かつ前記平面視において、一対の前記側壁面の、前記直交方向に対する各傾斜角度が、互いに異なるように形成されている、請求項1に記載のコイルばね装置。
【請求項3】
前記延在方向で互いに隣り合う2つの前記隣接スペーサ突起のうちの少なくとも1つは、前記延在方向に沿う幅が、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなるとともに、一対の前記側壁面における前記開口端縁側の端部同士を連結して前記開口端縁側を向く前壁面を備え、かつ前記平面視において、一対の前記側壁面における各延長線の交点が、前記支持溝の内面上に位置するように形成されている、請求項1または2に記載のコイルばね装置。
【請求項4】
前記延在方向で互いに隣り合う2つの前記間隔のうちの少なくとも1つは、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなり、
前記平面視において、この間隔を介して前記延在方向で互いに隣り合う各前記側壁面における各延長線の交点は、前記支持溝の内面上に位置している、請求項1から3のいずれか1項に記載のコイルばね装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルばね装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サスペンション装置に装着されて用いられるコイルばね装置として、従来から、線材がコイル軸回りに螺旋状に上下方向に延びる本体ばねと、本体ばねの下端部を、この本体ばねの下方から支持するインシュレータと、を備え、インシュレータに、コイル軸回りに延び、本体ばねの下端部が嵌合された支持溝が設けられ、本体ばねの下端部は、支持溝の内面に接着され、支持溝の内面に、線材の外周面を支持する複数のスペーサ突起が設けられた構成が知られている。
本体ばねの下端部を、支持溝の内面に接着する際、まず、支持溝の内面に接着剤を載置し、次に、本体ばねの下端部を支持溝の内側に押込むことで、支持溝の内面上の接着剤を押し広げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−15249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のコイルばね装置では、支持溝の内面上の接着剤が、本体ばねの下端部に押込まれ、支持溝の開口端縁に向けて流れる過程において、スペーサ突起により分岐させられた後に合流し、整流状態で支持溝の開口端縁に到達することで、本体ばねの下端部と、支持溝の内面と、の間の接着層の外面に、支持溝の開口端縁の一部を横断して露出させるウェルドラインが発生するおそれがあった。この場合、支持溝の内面のうち、開口端縁に連なる開口端部の一部が露出し、この部分に例えば小石等の異物が進入するおそれがある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、本体ばねの下端部と、支持溝の内面と、の間の接着層の外面にウェルドラインが発生するのを抑制することができるコイルばね装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のコイルばね装置は、線材がコイル軸回りに螺旋状に上下方向に延びる本体ばねと、前記本体ばねの下端部を、この本体ばねの下方から支持するインシュレータと、を備え、前記インシュレータに、コイル軸回りに延び、前記本体ばねの下端部が嵌合された支持溝が設けられ、前記本体ばねの下端部は、前記支持溝の内面に接着され、前記支持溝の内面には、前記線材の外周面を支持する複数のスペーサ突起が設けられ、複数の前記スペーサ突起のうち、前記支持溝の開口端縁に隣接する隣接スペーサ突起は、前記開口端縁に向けて延びる一対の側壁面を備えるとともに、前記支持溝の内面のうち、前記開口端縁を含む部分の平面視において、前記開口端縁が延びる延在方向に間隔をあけて複数設けられ、前記平面視において、前記間隔を介して前記延在方向で互いに隣り合う各前記側壁面の、前記開口端縁に直交する直交方向に対する各傾斜角度が、互いに異なっている。
【0007】
この発明によれば、前記平面視において、前記間隔を介して前記延在方向で互いに隣り合う各側壁面の、前記直交方向に対する各傾斜角度が、互いに異なっているので、本体ばねの下端部を、支持溝の内面に接着する際、支持溝の内面のうち、隣接スペーサ突起を挟む支持溝の開口端縁の反対側に載置した接着剤が、前記間隔を通過しつつ支持溝の開口端縁に向けて流れる過程において、前記間隔を画成する一方の側壁面側と他方の側壁面側とで、例えば流れの向き、若しくは速さを異ならせること等が可能になり、また、前記間隔が、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなっている場合には、一方の側壁面に沿って流れる一方の流れが、他方の側壁面に沿って流れる他方の流れを、合流時に例えば分断するように、2つの流れを互いに干渉させて勢いを弱めること等が可能になる。
以上より、前記間隔を流れる接着剤が、整流状態で支持溝の開口端縁に到達することが抑えられ、本体ばねの下端部と、支持溝の内面と、の間の接着層の外面に、支持溝の開口端縁の一部を、前記直交方向に跨いで露出させるウェルドラインが発生するのを抑制することができる。
【0008】
前記延在方向で互いに隣り合う2つの前記隣接スペーサ突起のうちの少なくとも1つは、前記延在方向に沿う幅が、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなり、かつ前記平面視において、一対の前記側壁面の、前記直交方向に対する各傾斜角度が、互いに異なるように形成されてもよい。
【0009】
この場合、前記延在方向で互いに隣り合う2つの隣接スペーサ突起のうちの少なくとも1つが、前記延在方向に沿う幅が、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなり、かつ前記平面視において、一対の側壁面の、前記直交方向に対する各傾斜角度が、互いに異なるように形成されている。
したがって、本体ばねの下端部を、支持溝の内面に接着する際、支持溝の内面のうち、隣接スペーサ突起を挟む支持溝の開口端縁の反対側に載置した接着剤が、本体ばねの下端部を形成する線材の外周面と、支持溝の内面と、の間を、支持溝の開口端縁に向けて流れる過程において、隣接スペーサ突起により分岐させられて生じた2つの分岐流のうち、いずれか一方の分岐流が、いずれか他方の分岐流を、合流時に例えば分断するように、2つの分岐流を互いに干渉させて勢いを弱めること等が可能になる。これにより、2つの分岐流が、合流して整流状態で支持溝の開口端縁に到達することが抑えられ、本体ばねの下端部と、支持溝の内面と、の間の接着層の外面に、支持溝の開口端縁の一部を、前記直交方向に跨いで露出させるウェルドラインが発生するのを抑制することができる。
【0010】
前記延在方向で互いに隣り合う2つの前記隣接スペーサ突起のうちの少なくとも1つは、前記延在方向に沿う幅が、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなるとともに、一対の前記側壁面における前記開口端縁側の端部同士を連結して前記開口端縁側を向く前壁面を備え、かつ前記平面視において、一対の前記側壁面における各延長線の交点が、前記支持溝の内面上に位置するように形成されてもよい。
【0011】
この場合、本体ばねの下端部を、支持溝の内面に接着する際に、前述のように隣接スペーサ突起により分岐させられて生じた2つの接着剤の分岐流を、支持溝の開口端縁から流動方向の後方に離れた位置で合流させることが可能になり、これらの2つの分岐流が支持溝の開口端縁に到達したときの勢いが抑えられ、接着層の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを確実に抑制することができる。
【0012】
前記延在方向で互いに隣り合う2つの前記間隔のうちの少なくとも1つは、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなり、前記平面視において、この間隔を介して前記延在方向で互いに隣り合う各前記側壁面における各延長線の交点は、前記支持溝の内面上に位置してもよい。
【0013】
この場合、前記平面視において、前記開口端縁側に向かうに従い狭くなっている前記間隔を介して、前記延在方向で互いに隣り合う各側壁面における各延長線の交点が、支持溝の内面上に位置しているので、本体ばねの下端部を、支持溝の内面に接着する際に、この間隔を画成する一方の側壁面に沿って流れる一方の接着剤の流れ、およびこの間隔を画成する他方の側壁面に沿って流れる他方の接着剤の流れを、支持溝の開口端縁から流動方向の後方に離れた位置で合流させることが可能になり、これらの2つの流れが支持溝の開口端縁に到達したときの勢いが抑えられ、接着層の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、本体ばねの下端部と、支持溝の内面と、の間の接着層の外面にウェルドラインが発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る一実施形態として示したコイルばね装置の斜視図である。
図2図1のコイルばね装置の一部を示す上面図である。
図3図2に示すコイルばね装置のIII−III線矢視断面図である。
図4】本発明に係る第1実施形態として示した、支持溝の内面のうち、支持溝の外周縁を含む部分の平面図である。
図5】本発明に係る第2実施形態として示した、支持溝の内面のうち、支持溝の外周縁を含む部分の平面図である。
図6】本発明に係る第3実施形態として示した、支持溝の内面のうち、支持溝の外周縁を含む部分の平面図である。
図7】本発明に係る第4実施形態として示した、支持溝の内面のうち、支持溝の外周縁を含む部分の平面図である。
図8】本発明に係る第1実施形態および第3実施形態の変形例として示した、支持溝の内面のうち、支持溝の外周縁を含む部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るコイルばね装置の第1実施形態を、図1図4を参照しながら説明する。
コイルばね装置1は、線材Wがコイル軸O回りに螺旋状に上下方向に延びる本体ばね11と、本体ばね11の下端部を、この本体ばね11の下方から支持するインシュレータ12と、を備えている。コイルばね装置1は、例えば、本体ばね11の内側に挿通されるショックアブソーバ、およびショックアブソーバの上端部に装着されたストラットマウント等を有するサスペンション装置に装着されて用いられる。
【0017】
本体ばね11は、線材Wの末端部w1が、この末端部w1に対してコイル軸O方向の内側で隣り合う線材Wから上下方向に離れたオープンエンドのコイルばねとなっている。線材Wの横断面視形状は、末端部w1を含む全長にわたって同等になっている。図示の例では、線材Wの横断面視形状は、円形状となっている。
【0018】
なお、本体ばね11として、線材Wの末端部w1が、この末端部w1に対してコイル軸O方向の内側で隣り合う線材Wに当接し重ね合わされたクローズドエンドのコイルばねを採用してもよい。この構成において、線材Wの末端部w1に、例えば研削加工等を施し、上下方向に直交する水平方向に延び、かつ上下方向の外側を向く平坦面を形成してもよい。線材Wの横断面視形状は、例えば矩形状等であってもよい。
【0019】
インシュレータ12は、例えばゴム等の弾性材料で形成されている。図2に示されるように、インシュレータ12は、上下方向から見て、コイル軸O回りに延びる円弧形状を呈する。インシュレータ12は、コイル軸Oを中心に180°以上360°以下の角度範囲にわたって延びている。
【0020】
インシュレータ12に、コイル軸O回りに延び、本体ばね11の下端部が嵌合された支持溝13が設けられている。支持溝13は、コイル軸Oを中心に180°以上360°以下の角度範囲にわたって延びている。図3に示されるように、支持溝13の内面と本体ばね11の下端部との間に、接着層16が設けられ、本体ばね11の下端部が、支持溝13の内面に接着されている。
【0021】
支持溝13の内面は、線材Wの外周面に沿って湾曲した凹曲面状に形成されている。支持溝13は、コイル軸O回りに沿う周方向の一方側、上方、および径方向の外側に向けて一体に開口している。
なお、支持溝13として、例えば、周方向の両側に向けて開口した構成、若しくは径方向の外側が閉塞された構成等を採用してもよい。
【0022】
支持溝13の開口端縁21〜24は、支持溝13における径方向の外端縁に位置してコイル軸O回りに延びる外周縁21と、支持溝13における径方向の内端縁に位置してコイル軸O回りに延びる内周縁22と、外周縁21および内周縁22それぞれにおける周方向の一方側の端縁同士を接続する一端縁23と、内周縁22における周方向の他方側の端縁から径方向の外側に向けて延びる他端縁24と、を有している。
外周縁21は、内周縁22より下方に位置している。一端縁23は、周方向の一方側から見て、線材Wの外周面に沿って湾曲した凹曲線状を呈する。
【0023】
支持溝13の内面には、線材Wの外周面を支持する複数のスペーサ突起14、15が設けられている。
複数のスペーサ突起14、15は、支持溝13の内面に、周方向に間隔をあけて設けられるとともに、径方向に間隔をあけて設けられている。複数のスペーサ突起14、15は、支持溝13の内面における全域にわたって設けられている。支持溝13の内面と、線材Wの外周面と、の間の隙間に占めるスペーサ突起14、15の体積の割合は10%を超え、接着層16の体積の割合は90%未満となっている。
【0024】
図4に示されるように、複数のスペーサ突起14、15のうち、支持溝13の開口端縁21〜24に隣接する隣接スペーサ突起14は、この開口端縁21〜24に向けて延びる一対の側壁面14a、14bを備えている。図示の例では、隣接スペーサ突起14は、支持溝13の外周縁21に隣接し、一対の側壁面14a、14bは、支持溝13の外周縁21に向けて延びている。
【0025】
なお、隣接スペーサ突起14として、支持溝13の開口端縁21〜24のうち、外周縁21以外の他の開口端縁22〜24に隣接し、側壁面14a、14bが、支持溝13における他の開口端縁22〜24に向けて延びる構成を採用してもよい。複数のスペーサ突起14、15のうち、隣接スペーサ突起14以外のスペーサ突起15は、例えば、一対の側壁面14a、14bを有しない、円柱状等に形成されてもよい。
【0026】
隣接スペーサ突起14は、図4に示されるような、支持溝13の内面のうち、支持溝13の外周縁21を含む部分の平面視において、支持溝13の外周縁21が延びる延在方向に間隔Aをあけて複数設けられている。
図示の例では、前記延在方向は、周方向と一致している。
【0027】
そして、周方向で互いに隣り合う2つの隣接スペーサ突起14のうちの少なくとも1つは、周方向に沿う幅が、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなり、かつ前記平面視において、一対の側壁面14a、14bの、支持溝13の外周縁21に直交する直交方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なるように形成されている。
図示の例では、前記直交方向は、径方向と一致している。
【0028】
また、周方向で互いに隣り合う2つの隣接スペーサ突起14のうちの少なくとも1つは、周方向に沿う幅が、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなるとともに、一対の側壁面14a、14bにおける支持溝13の外周縁21側の端部同士を連結して支持溝13の外周縁21側を向く前壁面14cを備え、かつ前記平面視において、一対の側壁面14a、14bにおける各延長線L1、L2の交点P1が、支持溝13の内面上に位置するように形成されている。なお、前記平面視において、前記交点P1を支持溝13の外側に位置させてもよい。
【0029】
図示の例では、複数の隣接スペーサ突起14は、互いに同じ大きさで、同じ形状に形成されている。
隣接スペーサ突起14は、前記平面視において、前壁面14cが上底をなし、一対の側壁面14a、14bが脚をなす台形状を呈する。前記平面視において、各隣接スペーサ突起14における一対の側壁面14a、14bのうちのいずれか一方の側壁面14aは、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い、いずれか他方の側壁面14bに近付く向きに延び、いずれか他方の側壁面14bは、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い、いずれか一方の側壁面14aから離れる向きに延びている。
なお、各隣接スペーサ突起14における一対の側壁面14a、14bは、前記平面視で、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い、互いに周方向に近付く向きに延びてもよい。
【0030】
前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なっている。前記間隔Aの幅(周方向の大きさ)は、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い広くなっている。一対の側壁面14a、14bは、前記平面視で真直ぐ延びている。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によるコイルばね装置1によれば、前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なっている。
したがって、本体ばね11の下端部を、支持溝13の内面に接着する際、支持溝13の内面のうち、隣接スペーサ突起14を挟む支持溝13の外周縁21の反対側に載置した接着剤が、前記間隔Aを通過しつつ支持溝13の外周縁21に向けて流れる過程において、この間隔Aを画成する一方の側壁面14a側と他方の側壁面14b側とで、例えば流れの向き、若しくは速さを異ならせること等が可能になる。
これにより、前記間隔Aを流れる接着剤が、整流状態で支持溝13の外周縁21に到達することが抑えられ、本体ばね11の下端部と、支持溝13の内面と、の間の接着層16の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを抑制することができる。
【0032】
本実施形態では、周方向で互いに隣り合う2つの隣接スペーサ突起14のうちの少なくとも1つが、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなり、かつ前記平面視において、一対の側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なるように形成されている。
【0033】
したがって、本体ばね11の下端部を、支持溝13の内面に接着する際、支持溝13の内面のうち、隣接スペーサ突起14を挟む支持溝13の外周縁21の反対側に載置した接着剤が、本体ばね11の下端部を形成する線材Wの外周面と、支持溝13の内面と、の間を、支持溝13の外周縁21に向けて流れる過程において、隣接スペーサ突起14により分岐させられて生じた2つの分岐流のうち、いずれか一方の分岐流が、いずれか他方の分岐流を、合流時に例えば分断するように、2つの分岐流を互いに干渉させて勢いを弱めること等が可能になる。これにより、2つの分岐流が、合流して整流状態で支持溝13の外周縁21に到達することが抑えられ、本体ばね11の下端部と、支持溝13の内面と、の間の接着層16の外面に、支持溝13の外周縁21の一部を、径方向に跨いで露出させるウェルドラインが発生するのを抑制することができる。
【0034】
本実施形態では、周方向で互いに隣り合う2つの隣接スペーサ突起14のうちの少なくとも1つが、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなるとともに、一対の側壁面14a、14bにおける支持溝13の外周縁21側の端部同士を連結して、支持溝13の外周縁21側を向く前壁面14cを備え、かつ前記平面視において、一対の側壁面14a、14bにおける各延長線L1、L2の交点P1が、支持溝13の内面上に位置するように形成されている。
したがって、本体ばね11の下端部を、支持溝13の内面に接着する際に、前述のように隣接スペーサ突起14により分岐させられて生じた2つの接着剤の分岐流を、支持溝13の外周縁21から流動方向の後方に離れた位置で合流させることが可能になり、これらの2つの分岐流が支持溝13の外周縁21に到達したときの勢いが抑えられ、接着層16の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを確実に抑制することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係るコイルばね装置2を、図5を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0036】
本実施形態のコイルばね装置2では、周方向で互いに隣り合う2つの前記間隔Aのうちの少なくとも1つが、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなり、前記平面視において、この間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14bにおける各延長線L2の交点P2が、支持溝13の内面上に位置している。
【0037】
図示の例では、周方向で隣り合う各隣接スペーサ突起14が、前記平面視において、前記間隔Aにおける周方向の中央部を通り、径方向に延びる線に対して対称形状を呈する。前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに同等になっている。前記間隔Aは、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなっているものと、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い広くなっているものと、が隣接スペーサ突起14を介して交互に設けられている。前記平面視において、前者の前記間隔Aを画成する各側壁面14bにおける各延長線L2の交点P2は、支持溝13の内面上に位置している。この交点P2は、前記平面視において、前者の前記間隔Aを周方向に挟む各隣接スペーサ突起14それぞれの前記交点P1と一致している。
なお、前記平面視において、この交点P2を支持溝13の外側に位置させてもよいし、前記交点P1から離して位置させてもよい。また、前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2を、互いに異ならせてもよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によるコイルばね装置2によれば、前記平面視において、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなっている前記間隔Aを介して、周方向で互いに隣り合う各側壁面14bにおける各延長線L2の交点P2が、支持溝13の内面上に位置しているので、本体ばね11の下端部を、支持溝13の内面に接着する際に、この間隔Aを画成する一方の側壁面14bに沿って流れる一方の接着剤の流れ、およびこの間隔Aを画成する他方の側壁面14bに沿って流れる他方の接着剤の流れを、支持溝13の外周縁21から流動方向の後方に離れた位置で合流させることが可能になり、これらの2つの流れが支持溝13の外周縁21に到達したときの勢いが抑えられ、接着層16の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを確実に抑制することができる。
【0039】
次に、本発明の第3実施形態に係るコイルばね装置3を、図6を参照しながら説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0040】
本実施形態のコイルばね装置3では、隣接スペーサ突起14が、前壁面14cを有さず、前記平面視で、支持溝13の外周縁21側に向けて尖る三角形状を呈する。図示の例では、各隣接スペーサ突起14における一対の側壁面14a、14bは、前記平面視で、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い、互いに周方向に近付く向きに延びている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によるコイルばね装置3によれば、第1実施形態のコイルばね装置1とほぼ同様の作用効果を奏する。
【0042】
次に、本発明の第4実施形態に係るコイルばね装置4を、図7を参照しながら説明する。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0043】
本実施形態のコイルばね装置4では、前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なっている。
前記平面視において、各隣接スペーサ突起14における一対の側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに同じになっている。図示の例では、隣接スペーサ突起14は、前記平面視で平行四辺形状を呈する。
なお、隣接スペーサ突起14の前記平面視形状は、平行四辺形状に限らず適宜変更してもよく、また、前記平面視において、各隣接スペーサ突起14における一対の側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2を、互いに異ならせてもよい。
【0044】
周方向で互いに隣り合う2つの前記間隔Aのうちの少なくとも1つが、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなっている。図示の例では、前記間隔Aは、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなっているものと、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い広くなっているものと、が隣接スペーサ突起14を介して交互に設けられている。前記平面視において、前者の前記間隔Aを画成する各側壁面14a、14bにおける各延長線L1、L2の交点P2は、支持溝13の内面上に位置している。なお、前記平面視において、この交点P2を支持溝13の外側に位置させてもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によるコイルばね装置4によれば、前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なっている。
したがって、本体ばね11の下端部を、支持溝13の内面に接着する際、支持溝13の内面上の接着剤が、前記間隔Aを通過しつつ支持溝13の外周縁21に向けて流れる過程において、前記間隔Aを画成する一方の側壁面14a側と他方の側壁面14b側とで、例えば流れの向き、若しくは速さを異ならせること等が可能になり、また、前記間隔Aが支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなっている場合には、一方の側壁面14aに沿って流れる一方の流れが、他方の側壁面14bに沿って流れる他方の流れを、合流時に例えば分断するように、2つの流れを互いに干渉させて勢いを弱めること等が可能になる。
以上より、前記間隔Aを流れる接着剤が、整流状態で支持溝13の外周縁21に到達することが抑えられ、接着層16の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを抑制することができる。
【0046】
前記平面視において、支持溝13の外周縁21側に向かうに従い狭くなっている前記間隔Aを介して、周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bにおける各延長線L1、L2の交点P2が、支持溝13の内面上に位置しているので、本体ばね11の下端部を、支持溝13の内面に接着する際に、この間隔Aを画成する一方の側壁面14aに沿って流れる一方の接着剤の流れ、およびこの間隔Aを画成する他方の側壁面14bに沿って流れる他方の接着剤の流れを、支持溝13の外周縁21から流動方向の後方に離れた位置で合流させることが可能になり、これらの2つの流れが支持溝13の外周縁21に到達したときの勢いが抑えられ、接着層16の外面に、前述のウェルドラインが発生するのを確実に抑制することができる。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、一対の側壁面14a、14bは、前記平面視で湾曲してもよく、隣接スペーサ突起14の前記平面視形状は、角部が面取りされた形状、若しくはオーバル形状等であってもよい。
隣接スペーサ突起14は、支持溝13の内面における径方向の全長にわたって設けられてもよい。
【0049】
前記第1実施形態、および前記第3実施形態において、例えば図8に示されるように、周方向で隣り合う各隣接スペーサ突起14のうちのいずれか一方を、幅が支持溝13の外周縁21側に向かうに従い広くなるように、前記平面視において、図心回りに180°回転した向きに設け、前記平面視において、前記間隔Aを介して周方向で互いに隣り合う各側壁面14a、14bを互いに平行にし、これらの側壁面14a、14bの、径方向に対する各傾斜角度θ1、θ2を、互いに同等にしてもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態、および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3、4 コイルばね装置
11 本体ばね
12 インシュレータ
13 支持溝
14 隣接スペーサ突起(スペーサ突起)
14a、14b 側壁面
14c 前壁面
21 外周縁(開口端縁)
A 間隔
L1、L2 延長線
O コイル軸
P1、P2 交点
W 線材
θ1、θ2 傾斜角度
【要約】
【課題】本体ばねの下端部と、支持溝の内面と、の間の接着層の外面にウェルドラインが発生するのを抑制する。
【解決手段】本体ばねおよびインシュレータ12を備え、インシュレータに、コイル軸回りに延び、本体ばねの下端部が嵌合された支持溝13が設けられ、本体ばねの下端部は、支持溝の内面に接着され、支持溝の内面には、線材の外周面を支持する複数のスペーサ突起14、15が設けられ、複数のスペーサ突起のうち、支持溝の開口端縁21に隣接する隣接スペーサ突起14は、前記開口端縁に向けて延びる一対の側壁面14a、14bを備えるとともに、支持溝の内面のうち、前記開口端縁を含む部分の平面視において、前記開口端縁が延びる延在方向に間隔Aをあけて複数設けられ、前記平面視において、前記間隔を介して前記延在方向で互いに隣り合う各側壁面の、前記開口端縁に直交する直交方向に対する各傾斜角度θ1、θ2が、互いに異なっている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8