(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンテレフタラートグリコール(PETG)、ポリスチレン(PS)、ポリカルボナート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタラート(PCT)、グリコール修飾PCTコポリマー(PCTG)、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸のコポリエステル(PCTA)、ポリブチレンテレフタラート(PBCT)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンブタジエンコポリマー(SBC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLPDE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、プロピレン(PP)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から11のいずれかに記載のブロー成形多層物品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本開示は、以下の記載からよりよく理解されるものと考えられる。
【0014】
外見及び/又は表面粗さのグラデーションを有する、人目を引く物品は、容器及びボトルなどの中空体を有するブロー成形品であってもよく、射出延伸ブロー成形(ISBM)のプロセスを介して作製することができる。
図1は、物品1の正面図であり、この例では、軸方向の色のグラデーション、光沢のグラデーション、及び表面粗さのグラデーションを備えたボトルである。
【0015】
ブロー成形品は、物品の中空体を画定する壁を有することができる。壁には、ISBMにより接着剤なしで形成された複数の層を含めることができる。壁は、透明で着色されてもよいA層と、不透明化顔料又は効果顔料を含むことができる1つ又は複数のB層を含むことができる。物品全体にわたって、壁が不透明化顔料及び/又は効果顔料を含む少なくとも1つの層を含むため、物品1は、容積全体にわたって不透明に見える可能性がある。
【0016】
軸方向の色のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーションは、ISBMプロセスによって形成することができる。
図1Aのボトルでは、ボトル又は肩部31の頂部に向かう領域は着色され、光沢があるように見えることができる。この光沢領域では、壁の最外層はA層であり、透明であってもよく、無色であってもよく、又は着色することができる。光沢領域は、透明なA層の下にあるB層に存在する効果顔料により、メタリック及び/又は輝いて見ることができ、このようなA層は物品の最外層である。
【0017】
図1Aのボトルでは、基部11に向かう領域は、つや消し領域であり、光沢領域と比較して比較的粗い表面テクスチャを有することができ、シルク状のソフトタッチ感と共につや消し仕上げをもたらす。これは、ボトルの外面又はその近くに存在する効果顔料及び/又は不透明化顔料によって引き起こされる可能性がある。この例では、つや消し領域の壁は、少なくとも5つの層を含むことができ、つや消し領域の外層は、効果顔料を含むことができるB層であってもよい。別の例では、B層は、乳白剤及び/又は不透明吸収顔料などの別の不透明化顔料を含むことができる。
【0018】
本明細書に記載されるブロー成形プロセスにより製造された物品及び各物品は、独特であってもよい。例えば、グラデーションは、一般的に、どの物品でも同じではない。仕上げの組み合わせ(光沢、輝き、メタリック、真珠様光沢、及び/又はつや消しなど)と組み合わせたこの独特性は、物品の人目を引く高級な外見に貢献する。
【0019】
本明細書で使用するとき、「外見のグラデーション」は、色のグラデーション及び光沢のグラデーションを指す。物品は、色のグラデーション、特に軸方向の色のグラデーション及び/又は光沢のグラデーションを有することができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「物品」は、消費者が使用するための個別のブロー成形中空物体、例えば、組成物を入れるのに適した容器を指す。非限定的な例には、ボトル、ジャー、カップ、キャップ、バイアル、トトルなどが含まれ得る。物品は、貯蔵、包装、輸送/出荷、及び/又はその中の組成物容器を分配するために使用することができる。容器内に収容可能な非限定的な容積は、約10mL〜約1000mL、約100mL〜約900mL、約200mL〜約860mL、約260mL〜約760mL、約280mL〜約720mL、約350mL〜約500mLである。あるいは、容器は最大5L又は最大20Lの容量を有することができる。
【0021】
物品に含まれる組成物は、種々の組成物のいずれかであってもよく、洗剤(洗濯洗剤や食器用洗剤など)、布地柔軟剤及び芳香増強剤(Downy(登録商標)Fresh Protect)、飲料及びスナックを含むが、これらに限定されない食品、紙製品(例えば、ティッシュ、ワイプ)、美容用組成物(例えば、化粧品、ローション、シャンプー、コンディショナー、ヘアスタイリング剤、デオドラント剤及び制汗剤、並びに顔、手、頭皮、及び身体を含む皮膚の洗浄、クリーニング、クレンジング、及び/又は角質ケアを含む、個人用クレンジング)、口腔ケア製品(例えば、歯磨き、マウスウォッシュ、デンタルフロス)、医薬品(解熱剤、鎮痛剤、鼻粘膜充血除去薬、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、サプリメント、下痢止め、プロトンポンプ阻害薬及び他の胸焼け治療薬、吐き気止めなど)などを含む。組成物は多くの形態を含むことができ、形態の非限定的な例には、液体、ゲル、粉末、ビーズ、固体バー、パック(例えば、Tide PODS(登録商標))、フレーク、ペースト、錠剤、カプセル、軟膏、フィラメント、繊維、及び/又はシート(トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ワイプなどの紙シートを含む)が含まれ得る。
【0022】
物品は、製品、例えばシャンプー及び/又はコンディショナーなどの液体製品を保持するためのボトルであってもよい。
【0023】
本明細書で使用するとき、「ブロー成形」は、組成物を収容するのに適した空洞を含む中空のプラスチック製品が形成される製造プロセスを指す。一般的には、押出ブロー成形(EBM)、射出ブロー成形(IBM)、及び射出延伸ブロー成形(ISBM)の3種類の主なブロー成形がある。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「色」には、例えば白色、黒色、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、スミレ色、茶色、及び/又は他の任意の色などの、任意の色が含まれる。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「色のグラデーション」は、第1の領域及び第2の領域を有する着色領域を指し、着色された領域は、L
*a
*b
*色空間における任意の連続関数を含む。グラデーションは、サンプル全体又はサンプルに沿った測定位置に対するL
*、a
*及び/又はb
*値のいずれか又は全ての連続関数であってもよい。
【0026】
本明細書で使用するとき、「効果顔料」とは、2つの主要な顔料クラスのいずれか、「金属効果顔料」及び「特殊効果顔料」を意味する。金属効果顔料は、金属粒子のみで構成されている。金属効果顔料は、アプリケーションシステムで平行に配列されている場合、金属プレートレットの表面での光の反射によって金属のような光沢を生成する。特殊効果顔料には、「金属効果顔料」として分類できない他の全てのプレートレット状の効果顔料が含まれる。特殊効果顔料は、通常、マイカ、(天然又は合成)ホウケイ酸ガラス、アルミナフレーク、シリカフレークなどのプレートレット状の結晶(又は粒子)を有する基板に基づく。これらのプレートレット状粒子は、通常、金属酸化物でコーティングされている。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「光沢のグラデーション」は、第1の領域及び第2の領域を有する領域を指す。光沢は、グラデーション全体で連続的に変化する可能性があり、一般に、光沢の高い領域から光沢の低い領域、又はその逆の向きになる。物品には様々なバリエーションがあるため、孤立値と思われる領域があり、正しい方向に向かない場合があるが、光沢のグラデーション全体では、光沢は、一般に、一方向に向く。
【0028】
本明細書で使用するとき、「不透明」とは、層の全視感透過率が50%未満であることを意味する。全視感透過率は、ASTM D1003に従って測定される。
【0029】
特殊効果顔料は、「真珠光沢顔料」(「真珠光沢顔料」とも呼ばれる)を含み得る。また、金属酸化物、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び他の酸化物を含む1つ又は複数の誘電性層で被覆されたマイカ又はガラスフレークなどの層状基材の使用に基づく、「干渉顔料」又は「真珠光沢顔料」も適切である。これらの顔料は、光の反射及び屈折の結果として真珠様光沢を示すことができ、金属酸化物層の厚さによっては、干渉色効果を示すこともできる。真珠光沢顔料の非限定的な例には、二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0030】
真珠光沢顔料を含む効果顔料は、メルク社及びBASF社などの供給業者から市販されている。
【0031】
本明細書で使用するとき、「予備的形成品」は、予備的な、通常は不完全な成形又は成形を受け、通常は更に加工されて物品を形成するユニットである。通常、予備的形成品は、ほぼ「試験管」形状である。
【0032】
本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」とは、3%未満、あるいは2%未満、あるいは1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.25%未満、あるいは0.1%未満、あるいは0.05%未満、あるいは、0.01%未満、あるいは0.001%未満、及び/又は含まないことを意味する。本明細書で使用するとき、「含まない」は0%を意味する。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「表面粗さのグラデーション」は、第1の領域及び第2の領域を有する領域を指す。表面粗さは、グラデーション全体にわたって連続的に変化する可能性があり、一般に、表面粗さが大きい領域から表面粗さが小さい領域、又はその逆の向きになる。物品には様々なバリエーションがあるため、孤立値と思われる領域があり、正しい方向に向かない場合があるが、表面粗さのグラデーション全体では、表面粗さ及び光沢は、一般に、一方向に向く。
【0034】
本明細書で使用するとき、「透明」とは、層の全視感透過率が50%以上であり、反射ヘイズが5ヘイズ単位未満であることを意味する。全視感透過率は、ASTM D1003に従って測定され、反射ヘイズは、ASTM E430に従って測定される。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include、includes、及びincluding)」は非限定的であることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味すると理解される。
【0036】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量を基準とする。全てのこのような重量は、提示された成分に関する場合、活性成分の濃度に基づき、従って市販材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。
【0037】
別途記載のない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0038】
本明細書の全体を通して記載される全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して記載される全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明示的に記載されているかのように含むことになる。
【0039】
量の範囲が記載される場合、これらは組成物中の当該成分の総量であり、又は成分定義の範囲に2種以上が当てはまる場合、組成物中の、その定義に適合する全ての成分の総量であると理解されるべきである。例えば、組成物が1%〜5%の脂肪酸アルコールを含む場合、2%のステアリルアルコール及び1%のセチルアルコールを含み、かつ他の脂肪酸アルコールは含まない組成物は範囲に収まるであろう。
【0040】
図1Aは、物品1の正面図であり、軸方向の色のグラデーション及び光沢のグラデーションを含む外見のグラデーション、並びに表面粗さのグラデーションを備えている。物品1は、本体2と、外面にねじ切り込み41及びオリフィス42を有するネック4と、物品の中空体に通じる開口部とを有する。本体は、下端に基部11を、上端に肩部31を有する。
図1Aの例では、外見のグラデーション及び表面粗さのグラデーションが、本体2の外面に見られる。
【0041】
本体2の外面は、物品1の底部に向かって位置し、基部11を含むことができるつや消し領域10と、物品1の頂部に向かって位置し、肩部311を含むことができる光沢領域30を有することができる。本体2の長さを下方に移動するにつれて、光沢領域30と真珠様光沢領域10との間の光沢20°は減少し、光沢領域30とつや消し領域との間の表面粗さは増加する。つや消し領域と光沢領域の他の配置も可能である。いくつかの例では、表面粗さのグラデーションが逆になり、光沢領域が物品の底部に向かい、つや消し領域が物品の頂部に向かい、別の例では、物品は、物品の中央から伸びるなど、複数のグラデーションを含むことができる。
【0042】
図1Bは、
図1Aの軸yに沿った拡大式断面図である。内面5及び外面6を有する壁3によって画定される中空体25は、ISBMによって接着剤なしで(又は接着剤を実質的に含まずに)形成することができる。
図1Bの構造には、少なくとも5つの層があり、3つのB層(B)及び2つのA層(A)である。
【0043】
B層は、効果顔料及び/又は不透明化顔料を含むことができる。
【0044】
A層は透明であってもよく、顔料又は可溶性染料を含むことができる。顔料又は染料は着色することができる。あるいは、A層は無色にすることができる。A層は、顔料及び/又は最大寸法が約150nmより大きいか、又は約150nm〜5000nmである粒子を含まないか、実質的に含まなくてもよい。
【0045】
あるいは、A層は顔料を含むことができ、顔料の屈折率(波長に依存する)とマトリックスの屈折率との差が低いマトリックス中に顔料が存在することができるため、又は顔料の粒子サイズが、ミー散乱が生じるサイズよりも小さい(通常は、約100nm以下の最大粒子寸法である)場合には、A層は、依然として透明であることができる。不透明吸収顔料の層の含有量が十分に小さい場合、A層は不透明吸収顔料を含むことができ、それでも透明であり得る。
【0046】
図1Bに示すように、B層の1つは壁の外面を形成し、従って、効果顔料及び/又は不透明化顔料は、店の棚で、又は製品の通常の使用中に消費者に見える。5つの層は、真珠様光沢領域の壁全体を形成することができ、追加の層があってもよい。製造プロセスにより、B層は、壁の断面に細いストリームとして現れる追加のフォーク状に接合されることが多い。最終物品において、B層は、B層の約0.01重量%〜約10重量%、あるいは約0.5重量%〜約7.5重量%、あるいは約1重量%〜約5重量%の顔料を含むことができる。
【0047】
平均パネル壁厚は、約200μm〜約5mm、あるいは約250μm〜約2.5mm、あるいは約300μm〜約2mm、あるいは約350μm〜約1.5mm、あるいは約375μm〜約1.4mmであってもよい。平均パネル壁厚は、後述する局所壁厚法を使用して決定できる。平均局所壁厚は、容積全体で20%未満、あるいは15%未満、あるいは10%未満、あるいは10%未満で変化する可能性がある。
【0048】
A層とB層の比率が物品の長さにわたって変化し得、層の数とフォークの量が変化しても、平均局所壁厚は、物品の本体全体で実質的に均一になる。真珠様光沢領域のA層とB層の比率は、約0.4〜約2.5である。光沢領域のA層とB層の比率は、約2〜約25、あるいは約5〜約25、あるいは約10〜約25、あるいは約15〜約25である。
【0049】
つや消し領域に効果顔料が含まれている場合、真珠層のような光沢を持たせることができる。手触りのために、つや消し領域は、シルク状、つや消し状、ソフトな感触を有することができる。つや消し領域は、表面粗さがより高い及び/又は光沢がより低い可能性があるため、光沢がない。つや消し領域は、本体の外面又はその近くの顔料によって形成され得る。
【0050】
図2Aは、倍率500倍でのつや消し領域での外面のSEM画像であり、
図2Bは、倍率1000倍でのつや消し領域での物品の外面のSEM画像である。この倍率では、表面は滑らかに見えない。代わりに、表面近く又は表面にある効果顔料プレートレットに由来する興味深い延伸形態がある。形成する効果顔料プレートレットをつなぐ「クモの巣」があるように見える。
【0051】
つや消し領域とは対照的に、光沢領域は光沢があり、角度によっては反射率が高いか、又はメタリックに見える場合がある。光沢仕上げは、物品の外面上の透明層によって形成することができる。物品の外面上のA層の存在は、効果顔料を含むB層が外側から見えるようにすることができ、同時に物品に高レベルの光沢を与えることができる。理論に拘束されるものではないが、効果顔料を含むB層の不透明な表面から離れた位置に光沢表面が存在すると、わずかにずれた2つの焦点が得られ、観察者に奥行きのある印象を与えることができる。この光沢領域は、物品の高級な外見に寄与し得る。
【0052】
驚くべきことに、本発明による物品において、B層中の効果顔料粒子は、それらの表面が物品の表面に平行になるように、主に配向することができることが見出された。理論に拘束されるものではないが、配向されていないプレートレットに対する配向されたプレートレットの比が高いのは、A層の間に挟まれたB層よりも厚い(物品の同等の機械的強度において)物品壁全体に効果顔料が分散される単層物品において、各ストリーム間の界面が、同様の位置に対してより高い剪断を受けるという事実を含む要因の組み合わせによる可能性があると考えられている。単層物品では、粒子は高剪断領域に集中しにくいため、射出成形プロセス中に360°回転する、より自由な空間が多くなるが、多層物品では、B層は、物品壁の全ての厚さの一部を表すため非常に薄いので、射出成形及び延伸ステップは、プレートレット状顔料粒子の割合がより大きい、より最適な配向をもたらす。
【0053】
更に、物品が不規則な形状である場合でも、プレートレット効果顔料が物品の表面と平行に配向する傾向があることが見出された。従って、物品の形状は、観察されるときの物品の向きに依存して、物品を見ている人の視点から物品が生成する視覚効果を修正するために、更に使用することができる。
【0054】
図2Cは、倍率1000倍での光沢領域における物品の外面のSEM画像である。この画像では、表面にまだ少量のプレートレットが見えているが、ストレッチ形態は見えていない。おそらく、表面近く又は表面にプレートレット非常に少ないため、光学応答はほとんど影響を受けず、従って高い光沢を示す。
【0055】
光沢領域及びつや消し領域の間は、ボトルの色及び/又はテクスチャが連続的に変化する移行領域である。移行中、効果顔料は、いくつかのポイントで外面上にあり、透明光沢は、他のポイントに存在するため、消費者が視覚的に知覚できるように、連続的かつ緩やかに見える色の変化及び/又はテクスチャの変化をもたらすことができる。
図2Dは、倍率1000倍での移行領域における物品の外面のSEM画像である。プレートレット粒子は依然として表面に見えており、延伸形態の一部が存在し、あまり目立たない。
【0056】
興味深いことに、予備的形成品及びボトルが同じ製造プロセスに従って製造された場合でも、第1の領域から第2の領域への移行は異なる。このバリエーションは、それぞれ例1、2、及び3に対応する
図3A、3B、及び3Cに見ることができ、後述する表1及び表3に記載されている。
図3A、3B、及び3Cでは、基部のベースとなる領域は、真珠様光沢を見て感じることができる白色の影であり、肩部の近くの領域は光沢があり、飽和色(
図3Aは青色、
図3Bは金色、
図3Cは赤色)である。白色から色(及び真珠様光沢から光沢)への移行は、ボトル毎に異なる。顕著な移行は、各ボトルのわずかに異なるポイントで発生し、わずかに異なる形状である。従って、各ボトルは独特であり、人目を引き、消費者にアピールする手作りの高級な外見を有することができる。
【0057】
図4Aは、外見のグラデーション及び表面粗さのグラデーションを備えた予備的形成品100の正面図である。予備的形成品は、底部中央にゲート刻印112を有する半球状底部111により下端が閉じられた円筒状本体120、並びに外周壁にねじ切り込み141を有し、ネック140及び本体120の境界につば状ネックリング142を有する円筒状ネック140を有する。本体は、つや消し領域110及び光沢領域130を有することができる。
【0058】
図4Bは、軸xに沿った断面図であり、予備的形成品の壁150によって画定された中空体125を示している。壁150は、内面151及び外面152を有する。壁150は、複数の層を有する。
図4B及び後述する
図5A〜5Kで見られるように、A層、B層、及びフォークは、物品の長さ全体にわたって変化する。
図4Bは、外面上の効果顔料の量が物品の長さにわたって変化することを示しており、これは色のグラデーション及び表面粗さのグラデーションを生成するのに役立ち得る。
【0059】
図5A〜5Kは、予備的形成品150の長さに沿った異なる断面において、内面151及び外面152を有する壁150を立体光学顕微鏡で撮影した画像である。
図5A〜5B及び5Kは、倍率が10倍であり、
図5C〜5Jは、倍率が20倍である。各画像は、予備的形成品のネックから徐々に遠くへ移動し、B層のフローパターンを追跡する。
図5A〜5Iは、予備的形成品における層及び欠陥(例えば、複数のストリームを形成するための層のフォーク状)を示す。予備的形成品からの層及び欠陥は、ブロー成形後に物品に存在する。予備的形成品に対する完成品アスペクト比は、一般的に、約8:1であるが、別のアスペクト比でも機能する。
【0060】
図5Aは、ねじ切り込み141を含むネック140の断面を示す。複数のA層(A)及びB層(B)を表示することができる。興味深いことに、B層は、3番目のねじ山の外面(画像の右側)にある。これは、ネック及び/又は切り込みで、消費者に効果顔料が見えることを意味する。更に、フォーク状201があり、B層が予備的形成品の長さにわたってフォーク状であり得ることを示している。
【0061】
図5Bは、おそらくネック直下の断面を示している。(顕微鏡なしで)消費者には、この断面は、光沢があり色付きに見える。A層の下の効果顔料は、色がメタリック、輝き、及び/又はきらめくように見えることがある。内面151及び外面152は、大部分がA層である。顕微鏡下でも見分けるのは困難であるが、外層に何らかの効果顔料が付着している場合がある。B層は、
図5Bで見える少なくとも2つのストリームに分割される。
【0062】
図5Cは、
図5Bの断面よりも底部に近い断面を示す。
図5Cでは、B層は
図5Bよりも厚い。外面152は、一般に、透明なAからなる。顕微鏡下でも見分けることは困難であるが、外層に何らかの効果顔料が付着している場合がある。B層のフォーク状は、
図5Cに示すように、201で閉じる。そして、別のB層は、
図5Cに示すように、202で開始される。
【0063】
図5Dは、B層分布を含む層分布における非対称層分布を示す、
図5Cにおける断面よりも底部に近い断面を示す。
図5C及び5Dでは、最も厚いB層は外面近くにあるが、外面には厚いB層はない。
【0064】
図5Eは、
図5Dの断面よりも底部に近い断面を示す。この画像では、外面152に非常に薄いB層があり、最も外側のB層の間にフォーク205がある可能性が高い。
図5Eの204で示すように、フォークも閉じているように見える。内面151には見かけのB層もある。
【0065】
図5Fは、5Eの断面よりも底部に近い断面を示す。この画像では、外面152により厚いB層がある。(顕微鏡なしで)消費者には、予備的形成品のこの断面はおそらく真珠様光沢があり、この例では白く見える。これは、効果顔料の厚い層が透明ではなく、着色された透明な領域は観察者にとって視覚的に知覚可能ではないからである。内面151に向かうB層は、依然として、206でフォーク状であるが、フォーク状は207で閉じ始めている。
【0066】
図5Gは、5Fの断面よりも底部に近い断面を示す。この画像は、予備的形成品の底部近くのB層でのフォーク208を示す。繰り返すが、目視検査では、この断面はおそらく真珠様光沢があり、この例では白く見える。
【0067】
図5Hは、5Gの断面よりも底部に近い断面を示す。
図5Hは、予備的形成品の丸い底部のすぐ上にある。B層は、
図5Hではより厚い。更に、中央のB層(コアと呼ばれることもある)は先細になっている。繰り返すが、目視検査では、この断面はおそらく真珠様光沢があり、この例では白く見える。
【0068】
図I及びJは、予備的形成品の丸い底部の近くの壁を示す。
【0069】
図5Kは、ゲート112を含む断片を示す。ゲートは完成品に存在する。
【0070】
物品は、第1の領域(例えば、光沢領域)から第2の領域(例えば、つや消し領域)までの長さの少なくとも一部に沿って延びる外見のグラデーションを含むことができる。色のグラデーション及び光沢のグラデーションを含む外見のグラデーションは、物品の外面を見るユーザーが視覚的に知覚することができる。色のグラデーションは、暗い強度から明るい強度まで、又はその逆に拡張できる。加えて、又は代替として、物品は、物品の長さに沿った2つ以上の色のグラデーション、例えば、暗から明へのグラデーション、続いて明から暗へのグラデーション、続いて更なる暗から明へのグラデーションなどを含むことができる。色のグラデーションは、第1の色から第2の色まで拡張できる。一例では、色のグラデーションは、白色から第2の色、又はその逆に拡張する。光沢のグラデーションは、高い光沢から低い光沢へ、又はその逆に拡張できる。加えて、又は代替として、物品は、物品の長さに沿った2つ以上の光沢のグラデーション、例えば、高い光沢から低い光沢、続いて低い光沢から高い光沢へのグラデーション、続いて更なる高い光沢から低い光沢へのグラデーションなどを含むことができる。
【0071】
物品はまた、第1の領域から第2の領域までの長さの少なくとも一部に沿って延びる表面粗さのグラデーションを含むことができる。グラデーションは、物品の外面を見る人が視覚的に知覚することができる。加えて、又は代替として、人が例えば指で物品に触れると、表面粗さのグラデーションを感じることができる。表面粗さのグラデーションは、滑らかなテクスチャからつや消しテクスチャへ、又はその逆に拡張できる。加えて、又は代替として、物品は、物品の長さに沿った2つ以上の表面粗さのグラデーション、例えば、つや消しテクスチャから滑らかなテクスチャ、続いて滑らかなテクスチャからつや消しテクスチャ、及び場合により、続いて更なるつや消しテクスチャから滑らかなテクスチャなどを含むことができる。
【0072】
色のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーションは、観察者に「視覚的に知覚可能」であり得る。「視覚的に知覚可能」とは、標準的な100ワットの白熱電球の照度に少なくとも相当する照明の下で、0.25メートルの距離から、人の観察者が、肉眼(近視、遠視を矯正するために適した標準的な矯正レンズを除く、又は正視、又は他の矯正された視力)でグラデーションを視覚的に認識することができることを意味する。
【0073】
グラデーションは、例えば、白色、黒色、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、スミレ色、茶色、銀色、金色、及び/又は他の任意の色、又はそれに近いなど、任意の適切な色を含むことができる。特定の実施形態では、グラデーションは、青色から白色、濃い青色から明るい青色、ピンク色から白色、濃いピンク色から明るいピンク色、紫色から白色、濃い紫色から明るい紫色、赤色から白色、濃い赤色から明るい赤色、金色から白色、明るい金色から濃い金色、黄色から白色、明るい黄色から濃い黄色、緑色から白色、明るい緑色から濃い緑色、青色から紫色、ピンク色から紫色、又は任意の他の適切な構成のグラデーションであってもよい。
【0074】
色のグラデーションは、長さ又はグラデーションに沿ったΔE値によって識別でき、数学的には次式で表される。
ΔE
*=[(L
*X−L
*Y)
2+(a
*X−a
*Y)
2+(b
*X−b
*Y)
2]
1/2
「X」は第1の測定ポイントを表し、「Y」はグラデーションに沿った2番目の測定ポイントを表す。
【0075】
本明細書でグラデーションを定義するために利用されるカラースケール値は、CIE LABスケールである。測定は、ハンター色反射率計によってなされる。このシステムの完全な技術的説明は、R.S.Hunter,「photoelectric color difference Meter」,Journal of the Optical Society of America,Vol.48,pp.985−95,1958による記事に見出すことができる。ハンター尺度による色の測定のために特に設計された装置が、米国特許第3,003,388号(Hunterら、1961年10月10日発行)に記載されている。一般に、ハンター色「L」スケール値は光反射率測定の単位であり、より明るい色で着色された材料はより多くの光を反射するので、値が高いほど色は更に明るい。具体的には、Hunter Colorシステムでは、「L」スケールは100の等しい単位区分を含む。絶対的な黒色がスケールの最低値(L=0)であり、絶対的な白色がスケールの最高値(L=100)である。従って、本発明による物品のハンターカラー値を測定する際、「L」スケール値が低い程、材料は暗くなる。本明細書中の物品は、本明細書中で定義されるLハンター値が満たされることを条件として、任意の色であってもよい。このシステムに従って色を規定する際、L
*は明るさを表し(0=黒色、100=白色)、a
*及びb
*はそれぞれ独立して2つの色軸を表し、a
*は赤色/緑色軸(+a=赤色、−a=緑色)を表し、b
*は黄色/青色軸(+b=黄色、−b=青色)を表す。
【0076】
色のグラデーション全体で測定する際、例えば、グラデーションの上部、グラデーションの中央付近、グラデーションの底部で測定する際、L
*、a
*、b
*の値が変化する。いくつかの例では、色によっては、値は増加し、他の場合には、値は減少する。
【0077】
図6A、6B、及び6Cの表に示すように、L
*、a
*、及びb
*は、測定がボトルの長さにわたって行われるときに変化するが、これは、以下の表1及び表3に記載される例1、2、及び3における色のグラデーションを示す。
【0078】
外見のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーションは、物品の任意の適切な位置で提供することができる。外見のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーションは、物品の基部から肩部まで、又は物品の基部からネックまで拡張することができる。あるいは、外見のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーションは、物品の長さの一部のみに沿って拡張することができる。あるいは、一連の外見のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーションを物品の長さに沿って提供することができる。このようなグラデーションは、連続的であってもよく、別個であってもよい。更に、外見のグラデーションは、物品の外周の任意の適切な量、例えば物品の外周の一部、又は物品の実質的に全周の周りに拡張することができる。
【0079】
人が視覚的に知覚できるように、物品は不透明に見える場合がある。物品は不透明に見える場合があるが、不透明度は、後述する不透明度試験方法に従って測定した場合、ボトル全体で変化する可能性がある。
【0080】
%不透明度は、約55%〜約100%、あるいは約60%〜約98%、あるいは約65%〜約97%であってもよい。%不透明度は、約70%〜約100%、あるいは約72%〜約99%、あるいは約74%〜約97%、あるいは約80%〜約96%であってもよい。%不透明度は、50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、及び90%超であってもよい。不透明度は、後述する不透明度試験方法で測定される。
【0081】
最も不透明な領域から最も不透明でない領域への不透明度の変化率%は、30%未満、あるいは25%未満、あるいは22%未満、あるいは20%未満であり得る。不透明度は、不透明度試験方法に従って、グラデーションにわたって変化することができ、例えば、物品は、つや消し領域よりも光沢領域における不透明度%が高い可能性がある。
【0082】
3つの例示的なボトルの不透明度%は、例1、2、及び3に対応する
図7A、7C、及び7Eであり、後述する表1及び表3に記載されている。
図7B、7D、及び7Fは、
図7A、7C、及び7Eからのデータを示し、線グラフとして表される。
図7B、7D、及び7Fは、これらの例の不透明度がボトルの長さにわたってほとんど変化しないことを示す。
【0083】
物品には光沢のグラデーションを付けることができ、光沢は物品の長さにわたって異なる場合がある。光沢20°の変化は、50GU超、55GU超、60GU超、65GU超、68GU超、70GU超、72GU超、73GU超、75GU超、80GU超、及び/又は84GU超であってもよい。光沢単位の変化は、約65GU〜約95GU、約70 68GU〜約92GU、約70GU〜約90GU、約72GU〜約88GU、約74GU〜約87GU、及び/又は約75GU〜約85GUであってもよい。
【0084】
光沢領域は、65GU以上、68GU以上、70GU以上、71GU以上、73GU以上、及び/又は75GU以上の光沢20°の位置を有することができる。光沢領域は、約65GU〜約110GU、約68〜約100GU、約69〜約95GU、約70GU〜約90GU、及び/又は75GU〜約85GUの光沢20°の位置を有することができる。
【0085】
つや消し領域は、15以下、12以下、10以下、8以下、7以下、及び/又は6以下の光沢20°の位置を有することができる。つや消し領域は、約2〜約13、約4〜約9、及び/又は約5〜約8の光沢20°の位置を有することができる。
【0086】
光沢20°は、後述する光沢20°法に従って測定され得る。最高GU及び最低GUは、以下のように決定できる。サンプルパネルは、後述するように物品から取り外される。光沢20°は、サンプルパネルの長さに沿って10mm毎に行われる。変化は、測定された最高値から測定された最低値を差し引くことによって計算される。
【0087】
3つの例示的なボトルの光沢20°は、例1、2、及び3に対応する
図8A、8C、及び8Eであり、後述する表1及び表3に記載されている。
図8B、8D、及び8Fは、
図8A、8C、及び8Eからのデータを示し、線グラフとして表される。
図8B、8D、及び8Fは、表面粗さのグラデーションを示す連続的でより急峻な移行を伴う領域が存在することを示している。この領域は、R
2値が0.95超の場合に、5超、7超、10超、11超、12超、13超、及び/又は14超の絶対値を有する勾配を有することができる。これらの例では、急な移行部の長さは約50mmである。
【0088】
物品は、表面粗さのグラデーションを有することができ、表面粗さは、物品の縦方向の長さにわたって変化することができる。表面粗さの変化は、20μin(0.508μm)以上、25μin(0.635μm)以上、28μin(0.7112μm)以上、30μin(0.762μm)以上、31μin(0.7874μm)以上、32μin(0.8128μm)以上であってもよい。表面粗さの変化は、約18μin(0.4572μm)〜約45μin(1.143μm)、約20μin(0.508μm)〜約40μin(1.016μm)、約22μin(0.5588μm)〜約38μin(0.9652)、約25μin(0.635μm)〜約35μin(0.889μm)、及び/又は約28μin(0.7112μm)〜約34μin(0.8636μm)であってもよい。
【0089】
光沢領域は、8μin(0.2032μm)未満、5μin(0.127μm)、3μin(0.0762)未満、及び/又は2μin(0.0508)未満の表面粗さを有する位置を有することができる。光沢領域は、約0.5μin(0.0127μm)〜約4μin(0.1016μm)、約0.75μin(0.01905μm)〜約3.5μin(0.0889μm)、約1μin(0.0254μm)〜約3.25μin(0.08255μm)、約1μin(0.0254μm)〜約3μin(0.0762μm)、及び/又は約1.25μin(0.03175μm)〜約3μin(0.0762μm)の表面粗さを有する位置を有することができる。
【0090】
つや消し領域は、25μin(0.635μm)超、28μin(0.7112μm)超、30μin(0.762μm)超、31μin(0.7874μm)超、及び/又は32μin(0.8128μm)超の表面粗さを有する位置を有することができる。つや消し領域は、約20μin(0.508μm)〜約42μin(1.0668μm)、約25μin(0.635μm)〜約40μin(1.016μm)、約28μin(0.7112μm)〜約38μin(0.9652μm)、及び/又は約30μin(0.762μm)〜約36μin(0.9144μm)の表面粗さを有する位置を有することができる。光沢領域と比較して、つや消し領域の表面粗さは大きくなるが、それでも人の手触りは滑らかに感じられる。つや消し領域は、柔らかい感触又は真珠層のような感触を有することができる。しかし、光沢を感じたり、光沢があるようには見えない。
【0091】
3つの例示的なボトルの粗さは、例1、2、及び3に対応する
図9A、9C、及び9Eであり、後述する表1及び表3に記載されている。
図9B、9D、及び9Fは、
図9A、9C、及び9Eからのデータを示し、線グラフとして表される。
図9B、9D、及び9Fは、表面粗さのグラデーションを示す連続的でより急峻な移行を伴う領域が存在することを示している。
【0092】
図7、
図8及び
図9に示される物品の線形測定は、本明細書に示されるプロセスを用いて異なる縦方向の長さの物品を製造することができる可能性を考慮するために、物品の縦方向の長さのパーセントとして交互にとられることができることは、当業者には理解されるであろう。例えば、表面粗さのグラデーションは、物品の頂部の5%以内、あるいは物品の頂部から縦方向の長さの10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80−%又は90%以内で開始できる。同様に、表面粗さのグラデーションは、物品の底部の5%以内、あるいは物品の底部から縦方向の長さの10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80−%又は90%以内で終了できる。
【0093】
粗さは、後述する表面粗さ測定方法に従って測定できる。最高表面粗さ及び最低表面粗さは、以下のように決定できる。サンプルパネルは、後述するように物品から取り外される。表面粗さの測定は、サンプルパネルの長さに沿って10mm毎に行われる。変化は、測定された最高値から測定された最低値を差し引くことによって計算される。
【0094】
更に、本明細書に記載される物品は、単層及び多層物品を含む他の物品と比較して、層間剥離を受けにくい。層間剥離は、ボトルや容器などのブロー成形多層中空物品の製造における一定の問題である。層間剥離は、容器の機械的取り扱い、熱応力又は機械的応力により、直ちに又は経時的に生じることがある。これは通常、容器表面の気泡(実際には、気泡のように見える、界面での2つの層の分離である)として現れるが、容器の破損の原因となり得る。理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、依然として溶融状態にあるか、又は部分溶融状態にある様々な層の材料が長期にわたって接触するため、平行流共射出は、層間の界面領域の形成をもたらし、層はわずかに相互浸透すると考えている。界面領域は、層間の良好な接着を生成し、従って、それらを分離することは非常に困難となる。驚くべきことに、本発明による多層物品は、ステップ流共射出又はオーバーモールドを使用して製造された予備的形成品をブロー成形することによって得られる物品に関してだけでなく、単層予備的形成品から得られる物品に関しても、層間剥離に対する改良された耐性を有することも見出された。言い換えれば、界面層は、単層の実行に関して物品壁を更に強化するように見える。層間剥離は、後述するように、臨界垂直荷重を測定して評価される。より高い臨界垂直荷重は、より高い層間剥離を示す。
【0095】
物品は、90N以上、95N以上、100N以上、104N以上、105N以上、110N以上、及び/又は120N以上の臨界垂直荷重を有することができる。物品は、約90N〜約170N、あるいは約95N〜約160N、あるいは約100N〜約155N、あるいは約104N〜約145Nの臨界垂直荷重を有することができる。臨界垂直荷重は、後述の方法を使用して、臨界垂直荷重によって測定することができる。
【0096】
一例では、A層及びB層は両方ともPETを含み、100Nを超える臨界垂直荷重を有することができる。しかし、PET/PEN、PET/COC(環状オレフィンコポリマー)、PET/ナイロン、PET/再生PET又はPET/LCPは、垂直荷重が低い場合がある。例えば、これらの例の垂直荷重は、20N超、30N.超、及び/又は40N超であってもよい。あるいは、これらの例の垂直荷重は、約10N〜約110N、約20N〜約80N、約30N〜約70N、又は約40N〜約60Nであってもよい。
【0097】
以下の表1に、臨界垂直荷重法に従って層間剥離の試験を行った例1〜3を含む7つの例を示す。結果を以下の表3及び表4に示す。
【0099】
【表2】
1.例1〜3は、後述するISBM方法に従って製造される。ストリームa(溶融A層を含む)は最終壁構造の70%を形成し、ストリームb(溶融B層を含む)は最終壁構造の30%を形成する。
2.比較実施例Aは、ストリーム−bがストリーム−aの流量よりも速い流量に加速されないこと、従って、物品が形成される際に、B層が予備的形成品のA層の間に挟まれることを除いて、本明細書に記載された例と同様に製造される。比較実施例1及びプロセスに関する詳細情報は、欧州特許出願公開第17196087.5号(P&G Case No.CM04872F)に見出される。
PET:DAK Americas LLC社から入手可能なLaser+(登録商標)C(E60A)
青色顔料及び染料−トランスベビーブルー:(クラリアント社FE53820025)
金色顔料及び染料−トランスゴールド:(クラリアント社FP13820093)
赤色顔料及び染料−アーバンレッドマスターバッチ:(クラリアント社FE31820014)
サテンパールホワイト:(クラリアント社NE02760182)オレンジマスターバッチ:E−15796−2トランスオレンジマスターバッチ(クラリアント社NE21760074)透明ゴールドマスターバッチ:(クラリアント社NEG1760080)
【0102】
層間剥離抵抗は、後述する方法を使用して、臨界垂直荷重を測定して評価される。より高い臨界垂直荷重は、より高い層間剥離を示す。発明例1、2及び3は、比較例A〜Dと比較してより高い臨界垂直荷重を示す。従って、例1、2、及び3は、例A〜Dと比較して、層間剥離に対する耐性が高く、層間の接着性が向上している。例1〜3は、特に、層間剥離が透明領域から測定された場合、3層を有する比較例A及びBよりも高い臨界垂直荷重を有していた。
【0103】
本発明による物品及び予備的形成品は、通常、典型的に熱可塑性樹脂を含む熱可塑性材料から製造される。
【0104】
物品は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンテレフタラートグリコール(PETG)、ポリスチレン(PS)、ポリカルボナート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタラート(PCT)、グリコール修飾PCTコポリマー(PCTG)、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸のコポリエステル(PCTA)、ポリブチレンテレフタラート(PBCT)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンブタジエンコポリマー(SBC)、又は、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLPDE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、プロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、液晶ポリマー(LCP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、のうちの1つのポリオレフィン及び、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性樹脂を、50重量%超、好ましくは70重量%超、より好ましくは80重量%超、更により好ましくは90重量%超含んでもよい。好ましくは、熱可塑性樹脂は、PET、HDPE、LDPE、PP、PVC、PETG、PEN、PS、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。一例では、熱可塑性樹脂はPETであってもよい。
【0105】
更に、再生熱可塑性材料、例えば消費者使用後再生利用ポリエチレンテレフタラート(PCRPET)、工業使用後再生利用ポリエチレンテレフタラート(PIRPET)、粉砕再生ポリエチレンテレフタラートを用いてもよい。
【0106】
再生可能資源由来のモノマーと、再生不能資源(例えば、石油)由来のモノマーとの組み合わせを用いて、本明細書に記載の熱可塑性材料を形成してもよい。例えば、熱可塑性樹脂は、全てバイオ由来モノマーから製造されたポリマーを含んでもよく、又は部分的にバイオ由来モノマーから製造され、部分的に石油由来モノマーから製造されたポリマーを含んでもよい。
【0107】
本明細書で用いられる熱可塑性樹脂は、例えばメタロセン触媒を用いて重合されたメタロセンPEなど、比較的狭い重量分布を有し得る。これらの材料は光沢度を改善し得るため、メタロセン熱可塑性樹脂の実施態様では、形成された物品は更に改善された光沢度を有する。しかしながら、メタロセン熱可塑性材料は汎用材料と比較してより高価になる場合がある。従って、代替的な一実施形態では、物品は、高価なメタロセン熱可塑性材料を実質的に含まない。
【0108】
A層及びB層は、同じ種類の熱可塑性樹脂(PETなど)に基づくことができ、これにより、化学的適合性及びより堅牢な壁のために、界面における層のより良好な相互浸透を改善することができる。「同じ種類の樹脂に基づく」とは、A層及びB層が、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも90%、及び/又は少なくとも95%の同じタイプの樹脂を含むことができることを意味する。「同じ種類」の樹脂とは、同じ化学物質クラスの樹脂、つまりPETは、単一の化学物質クラスと見なされる。例えば、分子量の異なる2つの異なるPET樹脂は、同じ種類であると見なされる。しかし、1つのPET樹脂及び1つのPP樹脂は同じ種類とは見なされない。異なるポリエステルも同じ種類とは見なされない。
【0109】
A層及びB層は、同じ熱可塑性樹脂(例えば、PET)によって形成することができ、添加される着色剤及び顔料(効果顔料及び/又は着色顔料を含む)の種類についてのみ異なってもよい。
【0110】
物品は、様々な機能性を備えた1つ又は複数の副層を含むことができる。例えば、物品は、外側の熱可塑性層と内側の熱可塑性層との間に、バリア材料の副層又は再生材料の副層を有することができる。このような層状容器は、熱可塑性樹脂製造分野で用いられる一般的な技術に従って、複数層の予備的形成品から製造することができる。バリア材料の副層及び再生材料の副層は、A層(特にA層の透明度に影響を与えない場合)又はB層又は追加のC層で使用できるためである。
【0111】
物品は、層の必要な特性が維持される限り、その層のいずれかにおいて、通常は物品の約0.0001重量%〜約9重量%、約0.001%〜約5重量%、及び/又は約0.01重量%〜約1重量%の量で添加剤を含むことができる。添加剤の非限定的例としては、充填剤、硬化剤、帯電防止剤、潤滑剤、UV安定剤、酸化防止剤、粘着防止剤、触媒安定剤、核形成剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0112】
追加のグラデーション及び/又は視覚効果を生成することができる。例えば、A層又はB層は、黒色及び/又は着色吸収顔料を含むことができる。
【0113】
A層はまた、A層が依然として透明又は部分的に透明に見えるように、十分に小さい及び/又は十分に少量の効果顔料を含む効果顔料を含むこともできる。例えば、A層は、(例えば、輝き効果を生成するために)小さな粒子サイズを有する比較的少量の効果顔料、又は大きな粒子を有する更に少量の効果顔料を含むことができる。
【0114】
B層は、不透明化顔料(効果顔料に加えて、又はその代わりに)を含むことができる。不透明化顔料としては、乳白剤、不透明吸収顔料、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0115】
乳白剤の非限定的な例としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、粘土、鉱物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。乳白剤は、熱可塑性材料(例えば、ポリ(メチルメタクリラート)を含むことができるPET、シリコーン、液晶ポリマー(LCP)、ポリメチルペンテン(PMP)、空気、ガスなど)とは適切に異なる屈折率を有する任意のドメイン/粒子であってもよい。更に、乳白剤は、光の散乱により白く、又は光の吸収により黒く見え、並びに下の層に透過される光の大部分をブロックする限り、層の間の陰影を有することができる。黒色の不透明化顔料の非限定的な例としては、カーボンブラック、及びPaliogen(登録商標)Black L 0086(BASF社)などの有機黒色顔料が挙げられる。
【0116】
不透明吸収顔料は、それらが存在する材料に色及び不透明度を提供する粒子を含むことができる。不透明吸収顔料は、無機又は有機粒子状材料であってもよい。平均粒子サイズが十分に大きく、通常100nm超、あるいは500nm超、あるいは1μm超、あるいは5μm超の場合、全ての吸収顔料は不透明である可能性がある。吸収顔料は、有機顔料及び/又は無機顔料であってもよい。有機吸収顔料の非限定的な例としては、アゾ及びジアゾレーキ、ハンザ、ベンズイミダゾロン、ジアリリド、ピラゾロン、黄色及び赤色などのアゾ及びジアゾ顔料、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジオキサジン、アントラキノン、イソインドリン、チオインジゴ、ジアリール又はキノフタロン顔料、アニリンブラックなどの多環式顔料、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。無機顔料の非限定的な例としては、チタンイエロー、酸化鉄、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、鉛イエロー、カドミウムイエロー及びカドミウムレッド、カーボンブラック顔料、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有機顔料及び無機顔料は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0117】
A層及びB層内の層配置及び構成要素を制御することは、独特なカラープロファイル及び透明性を生成して、様々な視覚効果を達成し、最終的には、人目を引く高級な外見を作り出すことができる。例えば、A層は透明で着色することができ、B層は銀真珠色効果顔料を有することができ、これにより、つや消し銀真珠色の外見と光沢着色真珠との間にグラデーションをもたらすことができる。あるいは、A層は不透明で黒色であり、干渉色を生成する効果顔料を有するB層と組み合わせることができ、黒色から強い干渉色までのグラデーションを有するグラデーションブロー成形品を達成することができる。
【0118】
A層及びB層は、同一グレードのPET、異種グレードのPET、又はバージンPET/再生PET(rPET)などの類似の樹脂を含むことができる。費用の削減及び持続可能性の理由により、r−PETの使用が望ましい。A層及びB層はまた、PET/環状オレフィンコポリマー、PET/PEN、又はPET/LCPなど、物品内で交互になり得る異なる樹脂を含むことができる。樹脂ペアは、外見、機械的、並びにガス及び/又は蒸気バリアなどの最適な特性を有するように選択される。
【0119】
物品は、本明細書に記載されるISBMプロセスに従って製造することができる。ISBMプロセスを使用して製造された物品(及び射出成形で製造されたそれぞれの予備的形成品)は、ゲートマーク、すなわち射出が行われる「ゲート」を示す小さな隆起ドットの存在について、異なるプロセス、例えば押出ブロー成形を使用して製造された類似物品と区別することができる。通常、容器及びボトルの場合、「ゲートマーク」は物品の下部にある。
【0120】
ISBMプロセスは、予備的形成品の製造から始まる。ISBMでは、予備的形成品は共射出成形で製造できる。ここで、外層の材料が金型キャビティに流入すると、コア及びキャビティ壁の隣の材料が凍結し、材料が中央チャネルを流下する。ストリーム−b(熱可塑性樹脂に効果顔料及び/又は不透明化顔料を含む)の材料が入ると、ストリーム−bは、ストリーム−a(透明B層を形成する)の流量を超える流量を有し、初期フローの前面を通過する。このストリーム−bが射出プロセスを開始し、同じ金型キャビティ内の新しい外層になり、前方に流れると、外層を生成する壁で固化し続ける。これにより、外面で固化した2つの異なるストリームを有する予備的形成品部分が効果的に形成される。予備的形成品は、加工条件及び外層をもたらす材料に応じて、様々な数の層を有する壁を有する。
【0121】
ここで、物品の独特な視覚的外見は、上述の標準的なプロセスを大幅に変更することによって達成することができ、予備的形成品は以下のように製造することができる。第1に、予備的形成品は、ストリームの注入が互いに5秒以内に開始される平行流共射出法を用いて製造することができる。
【0122】
材料の注入フローは、通常以下のように行われる。ストリー−ムa(溶融A層を含む)の最初の注入に続いて、約1〜2秒遅れて、ストリーム−b(溶融B層を含む)の注入が行われる。所望の時間に、ストリームが予備的形成品金型に挿入された後、ストリーム−bはストリーム−aの流量よりも速い流量に加速される。これにより、ストリーム−bはストリーム−aを通り抜け、ストリーム−bはストリーム−aの外側を流れる。従って、ストリーム−bの一部は予備的形成品の外面を部分的に形成し、外層に効果顔料をもたらし、外見のグラデーション及び/又は表面粗さのグラデーション効果を生成する。
【0123】
図5A〜5Kの画像の多くに見られるように、予備的形成品の壁(及び最終的に完成品の壁)において、B層はフォーク状であり得る。これらのフォーク状は、ストリーム−aの粘性環境で進行するときにストリーム−bによって形成される糸状の流れの形成によるものである。これらの流れは、典型的な流体で見られるような典型的な糸状の分裂には従わない。プロセスは、粘性流体のより大きな小塊間の、薄い糸状領域を形成する流体塊の伸長によって特徴付けられる。糸状領域は通常、壊れるまで薄くなり続け、個々の液体の小滴を形成する。この場合、ストリーム−bは十分に粘性があるため、分裂に至る表面摂動はほぼ完全に減衰する。この最小表面エネルギー状態態により、細いフィラメントに細くなり続け、個々の液滴への分裂が回避される、ストリーム−bの長いフィラメントの生成がもたらされる。
【0124】
フォーク状の一例は、物品に沿って軸方向に先細り(細くなる)するストリーム−bの単一の流れであり、これは、主にストリーム−bからなる複数の流れを形成するように分割することができる。同様に、ストリーム−aの流れは、ストリーム−bと反対の方法で先細になることができ、流れは、複数の流れに分割できる。ストリーム−a及びbのいずれか又は両方をフォーク状にする能力により、物品の外見及び表面粗さを徐々に制御できる。
【0125】
所望の視覚効果に応じて、所望の時間を制御できる。当然、オペレーターは、ストリーム−bを最初に開始し、異なる視覚効果のために、後にストリーム−aを加速することを選択することができる。いずれにせよ、蒸気加速のタイミングは視覚効果を決定し、つまり、物品のネック、基部、又は本体、あるいはその部分が、外面に顔料を有するかどうかを決定する。
【0126】
本発明の予備的形成品の製造中、温度の厳密な制御は、熱可塑性材料の粘度に部分的に影響を与えることにより、層の規則性にとって有益であることが見出された。ストリーム−b(溶融B層を含む)の材料は、ストリーム−a(溶融A層を含む)の材料と同じ温度で注入する必要がある。ストリーム−aの材料(溶融A層を含む)の好ましい温度範囲は、注入の時点で測定して、約240℃〜約305℃、あるいは約250℃〜約300℃、あるいは約270℃〜約290℃、あるいは約275℃〜約285℃、及び/又は約280℃である。ストリーム−bの材料(溶融B層を含む)は、注入の時点で測定して、約260℃〜約310℃、あるいは約270℃〜約300℃、あるいは約275℃〜約285℃、あるいは約280℃以上の範囲内の温度であってもよい。ストリーム−bの温度は、ストリーム−aよりも高くなってもよい。温度は、熱可塑性樹脂及びストリームの顔料充填量によって異なる。ストリームのより低い温度及びより高い粘度は、層のより良好かつより均一な形成に寄与する。ストリームの粘度の差は、十分に監視される必要があり、最終物品の完全性を含むことができる、流れにおける奇形層又は異常を防止するように調整される必要がある。
【0127】
予備的形成品を製造する共射出プロセス中に制御する必要がある別のプロセスパラメータは、噴射ノズルに供給するマニホールドラインに沿って測定されるストリームの圧力である。ストリーム−a(層Aを形成する)は、約25bar〜約400bar、あるいは約30bar〜約40bar、あるいは約34〜約36barの範囲に保つことが好ましく、低温/高温粘度ストリーム−b(B層を形成する)は、約1000〜約1600barの範囲に保つことが好ましい。
【0128】
A層の透明度を維持するために、予備的形成品が形成されたらすぐに、予備的形成品を急速に冷却することが有益である。同じことは、延伸ブロー成形操作から形成された後の物品の急速冷却にも当てはまる。樹脂のガラス転移温度(Tg)に近い温度で長時間暴露すると、樹脂の結晶化が促進され、透明性が損なわれる可能性がある。急速冷却により、アモルファスで透明な構造が可能な限り維持される。
【0129】
次いで、予備的形成品が予備的形成品金型から解放されると、予備的形成品はすぐに処理できるが、より典型的には冷却され、貯蔵され、次の時間及び/又は位置で延伸ブロー成形ステーションで処理される。2番目のステップでは、予備的形成品を延伸ブロー成形装置に導入し、通常はコアロッドを使用して加熱及び延伸することによって、予備的形成品をその最終形状にブロー成形する。ISBMプロセスでは、他のブロー成形プロセスとは異なり、予備的形成品は、予備的形成品が膨張することを可能にするのに十分な温度まで再加熱され、得られるブロー成形容器の側壁で二軸分子整列が達成される。予備的形成品をネックで保持すると、空気圧力及び通常は延伸ロッドを使用することにより、予備的形成品を軸方向延伸させ、半径方向に延伸することができる。ボトルの場合、物品のネック部分は、閉じることに適したねじ山又はフランジを含むことができ、通常、ネック部分が伸張されないことが多いので、予備的形成品に関しては変化しない。射出延伸ブロー成形によって得られる物品は、予備的形成品よりも大幅に長くなる可能性がある。射出延伸ブロー成形プロセスに関する更なる情報は、一般的な教科書、例えばWiley−Interscience Publicationによって出版された「Wiley Encyclopedia of Packaging Technology」第2版(1997年)から得ることができる(特に、87〜89ページ参照)。
【0130】
これらのステップには多くのバリエーションがあり、例えば、予備的形成品は、予備的形成品が製造される同じ機械で延伸成形ブローできるが、2ステップ/2機械プロセスがはるかに一般的である。
【0131】
多層物品は、共射出された予備的形成品をブロー成形することにより製造することができ、予備的形成品は平行流共射出により製造することができる。
【0132】
試験法
物品が容器又はボトルである場合、臨界垂直荷重、光沢20°、不透明度、及び分光測光の測定は全て、物品から取り外されたサンプルパネルで行った。長さ100mm及び幅約50mmの寸法を有するサンプルを、物品壁の主要部分から切り取り、肩部/ネック及び底部領域から少なくとも50mm離れて切り取る。
【0133】
物品がサンプルを取り入れることができない場合、スケール1:2の幅:長さを有する、この大きくより短いサンプルを、以下に詳述するように使用することができる。容器及びボトルの場合、サンプルは、肩部/ネック又は基部領域から少なくとも50mm離れたボトルのラベルパネルから取り除くことが好ましい。切断は、適切なカミソリの刃又は万能ナイフで行われ、より大きな領域が除去され、新しいシングルエッジのカミソリの刃で更に適切なサイズに切断される。
【0134】
サンプルは、可能であれば平坦であるべきであるか、少なくとも試験が行われる領域でサンプルを平坦に維持するフレームを使用することによって平坦にする必要がある。臨界垂直荷重、光沢20°、形状測定、不透明度、及び分光測光を決定するには、サンプルが平坦であることが重要である。
【0135】
破損領域での臨界垂直荷重(N)及びスクラッチ深度
ボトルから取り出したときにサンプルが容易に層間剥離した場合、サンプルには「臨界垂直荷重」に対して0Nのスコアが与えられる。無傷のままであるサンプルについては、スクラッチ試験手順(ASTM D7027−13/ISO 19252:08)に従って、Surface Machine Systems社のScratch 5を使用して、直径1mmの球形チップ、初期荷重:1N、最終荷重:125N、スクラッチ速度:10mm/s、及びスクラッチ長さ100mmを使用してスクラッチ誘発損傷を受ける。100mmより小さいサンプルについては、初期荷重及び最終荷重を同じに維持しながら、スクラッチ長さを減少させることができる。これにより、臨界垂直荷重の推定値が提供される。この推定値を使用して、追加のサンプルを狭い荷重範囲で実行し、臨界垂直荷重をより正確に判断できる。
【0136】
スクラッチ誘発損傷は、ボトルの内面及び外面に相当する、サンプルの両側で実行される。サンプルは、サンプルの下側に、3M社によるScotch(登録商標)Permanent Mounting Tape(合計厚さが約62ミル又は1.6mmである、アクリル系接着剤を有するポリウレタン両面高密度フォームテープ、UPC#021200013393)などのフォームベースの両面テープを使用することによって、サンプルステージに固定されることが重要である。スクラッチ試験の前に、全てのサンプルを圧縮空気で洗浄する。
【0137】
破損点は、スクラッチ試験の完了後に、目に見える層間剥離の開始が発生するスクラッチの長さ方向の距離として視覚的に決定される。層間剥離は、当業者により裸眼又は実体顕微鏡の助けを借りて視認可能な層間に空隙を導入する。これは、標準偏差が10%以下で、サンプルの各面(上記のボトルから切り取ったものとして定義)毎に最低3つのスクラッチに基づいて検証される。この方法の結果として、臨界垂直荷重が低い側が報告される。破損領域でのスクラッチ深度は、ASTM D7027に従って、層間剥離の開始が発生するポイントのスクラッチ位置全体で測定される。臨界垂直荷重(N)は、破損点と判断された位置で記録された垂直荷重として定義される。レーザー走査型共焦点顕微鏡(KEYENCE VK−9700K)及びVK−X200アナライザーソフトウェアを使用して、破損点、スクラッチ幅、及びスクラッチ深度を含むスクラッチ誘発損傷を分析する。
【0138】
光沢20°法
光沢20°は、ASTM D 2457/D523に従って、20マイクロ−トリ−グロス(BYK−Gardner社)の光沢計で測定される。各ポイントを3回測定し、平均を計算して光沢20°を決定する。全ての光沢測定は、「ベースブラック」と呼ばれる黒い背景で行われた。ベースブラックは、X−Riteグレースケールバランスカード(45×45 L
*a
*b
*21.077 0.15−0.29)の黒色領域である。Micro−Tri Gloss計によって与えられる測定値は、「光沢単位」を表す単位「GU」を有する。
【0139】
局所壁厚
特定の位置での壁厚は、直径1/8インチのターゲットボールを使用するOlympus Magna−Mike(登録商標)8600を使用して測定された。各位置で3回の測定を行い、局所壁厚を決定するために平均を計算した。
【0140】
平均局所壁厚は、物品又はパネルの長さ全体にわたって上記のように局所壁厚を決定し、次いで平均を計算することにより決定された。肩部付近及び基部付近の厚さは、平均局所壁厚から除外される。
【0141】
表面粗さ測定方法
方法1:Surftest SJ−210(Mitutoyo America Corporation)などの可携帯型表面粗さ試験機を使用して、サンプルパネルをRa(算術平均高さ)について分析し、ボトルの高さを均等にする。粗さは、μin単位で測定される。
【0142】
不透明度試験方法
不透明度は、直径3mmの開口を有するX−rite 341C(X−Rite社)などの携帯型濃度計を使用して、ボトルの切り取り部分で測定する。絶対光学密度(D)を測定し、D=−log
10Tで透過率(T)に変換し、式中、%不透明度は100−%Tであり、5.00の光学密度(D)=100%不透明であり、0.00=0%不透明である。各ポイントを3回測定し、平均を計算して%不透明度を決定する。
【0143】
組み合わせ
A.ブロー成形多層物品であって、
内面及び外面を含む壁によって画定される中空体を含み、壁の少なくとも第1の部分は、外面及び内面を形成する少なくとも2つのA層及び少なくとも2つのB層を含む少なくとも5つの層を含み、
A層は透明であり、着色された染料又は顔料を含んでもよく、
B層は効果顔料及び/又は不透明化顔料を含み、
A層及びB層は熱可塑性樹脂を含み、
外面は、A層及びB層からの成分によって形成された、軸方向の色のグラデーション及び/又は光沢のグラデーションを含む、ブロー成形多層物品。
【0144】
B.壁の少なくとも第2の部分が、
壁の外面と、内面との間に配置された少なくとも1つのB層と、
壁の外面と、内面とを形成する少なくとも2つのA層と、を含む少なくとも3つの層を含み、
B層はA層の間に位置しており、
効果顔料又は不透明化顔料は、A層を通して見ることができる、段落Aに記載の物品。
【0145】
C.B層が物品壁の全長にわたって延び、B層が可変の厚さを含み、B層が第1の部分において第2の部分よりも厚い、段落Bに記載される物品。
【0146】
D.B層の少なくとも1つがフォーク状である、段落A〜Cに記載される物品。
【0147】
E.段落A〜Dに記載される物品であって、物品は、物品の長さに沿って約18μin(0.4572μm)〜約45μin(1.143μm)、好ましくは約20μin(0.508μm)〜約40μin(1.016μm)、より好ましくは約22μin(0.5588μm)〜約38μin(0.9652)、更により好ましくは約25μin(0.635μm)〜約35μin(0.889μm)の表面粗さの変化を有する。
【0148】
F.第2の部分は、8μin(0.2032μm)未満、好ましくは5μin(0.127μm)、より好ましくは3μin(0.0762μm)未満、及び更により好ましくは2μin(0.0508μm)未満の表面粗さを含む光沢部分である、段落B〜Eに記載される物品。
【0149】
G.第1の部分は、約20μin(0.508μm)〜約42μin(1.0668μm)、好ましくは約25μin(0.635μm)〜約40μin(1.016μm)、より好ましくは約28μin(0.7112μm)〜約38μin(0.9652μm)、及び更により好ましくは約30μin(0.762μm)〜約36μin(0.9144μm)の表面粗さを含むつや消し領域である、段落A〜Fに記載される物品。
【0150】
H.物品は、物品の長さに沿って光沢20°の変化を有し、変化は、50GU超、好ましくは65GU超、より好ましくは70GU超、及び更により好ましくは75GU超である、段落A〜Gに記載される物品。
【0151】
I.第2の部分は、約65GU〜約110GU、好ましくは約68GU〜約100GU、より好ましくは約69〜約95GU、及び更により好ましくは約70GU〜約90GUの光沢20°を有する位置を含む光沢領域である、段落A〜Hに記載される物品。
【0152】
J.第1の部分は、15以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、及び更により好ましくは7以下の光沢20°を有する位置を含むつや消し領域である、段落A〜Iに記載される物品。
【0153】
K.物品は、約70%〜約100%、好ましくは約75%〜約95%、及びより好ましくは約80%〜約93%の不透明度を有する、段落A〜Jに記載される物品。
【0154】
L.%不透明度は、70%超、好ましくは75%超、より好ましくは80%超、及び更により好ましくは85%超であってもよい、段落A〜Kに記載される物品。
【0155】
M.不透明度は、物品の長さにわたって、30%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは22%未満、及び更により好ましくは20%未満変化する、段落K〜Lに記載される物品。
【0156】
N.物品は、
内面と外面とを有する壁によって規定されるネックを含むボトルであり、
ネックは色のグラデーションを含まず、
ネックの外面の一部はA層を含み、ネックの外面の一部はB層を更に含む、段落A〜Mに記載される物品。
【0157】
O.物品は、100N超、好ましくは105超、及びより好ましくは110超の臨界垂直荷重を有していた、段落A〜Nに記載される物品。
【0158】
P.効果顔料は、真珠光沢顔料であり、効果顔料は、B層の約0.01重量%〜約10重量%を構成する、段落A〜Oに記載される物品。
【0159】
Q.壁は、約250μm〜約1mm、好ましくは約300μm〜約700μm、及びより好ましくは約400μm〜約600μm、及び更により好ましくは約450μm〜約575μmの厚さを含み、壁パネルの平均厚さは、物品の長さにわたって30%未満変化する、段落A〜Pに記載される物品。
【0160】
R.熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンテレフタラートグリコール(PETG)、ポリスチレン(PS)、ポリカルボナート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタラート(PCT)、グリコール修飾PCTコポリマー(PCTG)、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸のコポリエステル(PCTA)、ポリブチレンテレフタラート(PBCT)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンブタジエンコポリマー(SBC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLPDE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、プロピレン(PP)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落A〜Qに記載される物品。
【0161】
S.多層物品は、ポリエチレンテレフタラートを含む、段落Rに記載される物品。
【0162】
T.物品は、非円筒形状を有する、段落A〜Sに記載される物品。
【0163】
U.ブロー成形品の製造方法であって、方法は以下のステップ:
a.予備的形成品を製造するための予備的形成品金型を提供することと、
b.溶融熱可塑性樹脂を含むストリーム−aを、流量−aで予備的形成品金型に注入することと、
c.ストリーム−aの注入の0〜2秒以内に、溶融熱可塑性樹脂及び効果顔料及び/又は不透明化顔料を含むストリーム−bを、初期流量−bで予備的形成品金型に注入することと、
d.流量−bを加速して、流量−aよりも速くすることと、
e.ストリーム−bをストリーム−aに吹き込み、ストリーム−bをストリーム−aの外側に流すことと、
f.冷却して、外面を含む予備的形成品を形成し、外面の少なくとも一部は、外見のグラデーション及び/又は表面のグラデーションを生成する凝固したストリーム−bを含むことと、
g.予備的形成品をブロー成形して、段落A〜Tの物品を形成することと、を含む、方法。
【0164】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0165】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0166】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。